(1)経営の基本方針
企業は株主・従業員・社会の三者の共有物である、というのがNOKグループの基本的考え方であります。これに顧客・仕入先・金融機関等を加えた利害関係者、いわゆるステイクホルダーの方々が誇りを持てる企業、それがNOKグループの目指すべき姿と考えております。そのためには、「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」ことにより高い収益力を持つ強い企業集団をつくりあげることが重要と考え、この考えに基づき事業経営を展開しております。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、消費税増税が控えてはいるものの、引き上げ幅は小幅であり、駆け込み需要・反動減とも前回と比べて小規模で、影響は軽微にとどまる見込みです。しかし、中国や欧州では景気減速感は強まっており、米中貿易摩擦が深刻化することによる世界経済への波及が懸念され、英国のEU離脱問題も含め、先行き不透明感は高まっております。
シール事業では、自動車向けについては、国内は消費税増税による駆け込み需要・反動減があるものの影響は軽微にとどまるとみられます。海外では、北米の需要は堅調、中国は米中貿易摩擦の影響はあるものの、経済対策効果により需要は持ち直していくとみられます。一般産業機械向けについては、国内の建機需要はほぼ横ばい、海外では、中国の建機需要の伸びは鈍化するとみられます。このような中で、国内および海外の競合他社との競争激化が見込まれるため、営業・生産・技術一体となり、拡販の推進、最適地生産による生産体制の効率化に取り組むとともに、品質のさらなる向上についても引き続き取り組んでまいります。
電子部品事業では、高機能スマートフォンやハードディスクドライブ等の台数減少による需要の伸び悩み、季節的な需要変動の拡大等が課題となっております。これらに対応すべく、自動車向け、および新たな用途への拡販を推進するとともに、全社一丸となった変動に強い体質づくりと、品質のさらなる向上について引き続き取り組んでまいります。
ロール事業では、事務機市場の成長鈍化、および価格競争激化による製品価格の下落により、販売の減少が想定されます。これらに対応するべく、営業・技術一体による品質・コスト面での競争力向上、新製品の開発によりさらなる拡販を図るとともに、経営効率をより一層高めて収益力の向上に取り組んでまいります。
このような課題に対処するとともに、自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の構築、ますます拡大する海外事業の適切な管理、品質力のさらなる向上や新商品開発、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、下記方針に基づき、3カ年計画(2017年度から2019年度まで)に取り組み、全社一丸となって邁進、努力していく所存であります。
スローガン(基本方針)
「持続性ある企業体質の構築」
方針
(1)バランスのとれた顧客構成の構築
-拡販と新商品の開発による拡大均衡を目指して
(2)ダントツ品質の定着
(3)実効性あるBCMの構築
(4)人間尊重経営の実践
-活力に溢れた人づくり、職場づくり
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとして、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において判断したものであります。
(1)自然災害等について
当社グループは、地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症等の発生により、当社グループの生産活動や物流活動に支障をきたす事態に備えて、生産拠点の分散化や安全対策を行い事業継続のためにリスクの最小化に努めております。しかしながら、これらの事態の発生を完全に防止または軽減することができない可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)政治経済情勢について
当社グループは、日本、北米、欧州、中国、その他アジア諸国等において事業を展開しております。そのため、当社グループが製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
(3)法的規制等の影響について
当社グループは、事業を展開する各国において様々な法規制の適用を受けております。将来においてこれらの法規制が改正・強化された場合、新たな規制を遵守するために発生する追加コストの負担は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)訴訟その他の法的手続にかかわるリスクについて
当社グループが、各国で事業を遂行する上で、訴訟や規制当局による措置その他の法的手続の当事者となる可能性があります。これらの法的手続の結果、当社グループに対して金銭的な賦課や事業遂行に関する制約が課された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権侵害の影響について
当社グループは、特許権その他の知的財産権の取得により自社の保有技術を保護すると共に、第三者の知的財産権に対する侵害の予防にも注意を払っております。しかし、国情の相違等から当社グループの知的財産権の保護が十分に得られず販売減少や訴訟費用が発生した場合や、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害したために販売中止や賠償金支払が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報流出の影響について
当社グループは、事業を遂行する上で、技術情報や個人情報等の機密情報を有しております。これらの情報の外部流出防止のため社内体制・手続を構築しておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出した場合、社会的信用の低下や賠償金支払等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)サイバー攻撃等の影響について
当社グループは、悪意のあるサイバー攻撃等による、操業停止、重要データの喪失、情報漏洩に対して、外部機関等を活用した調査・予防措置を実施しますが、未知の方法のサイバー攻撃により操業に影響を及ぼす可能性があります。
(8)環境規制が及ぼす影響について
当社グループは、各拠点における環境関連法令を遵守し、かつ顧客からの環境に関わる要請に対応するために必要な処置を講じておりますが、将来において法令や顧客要請が強化される、環境責任が発生する、事業活動が制約を受ける等の可能性があります。その対応の費用が多額となる場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品の品質問題が及ぼす影響について
当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予測できない原因による製品の品質不具合の発生を皆無にすることは困難であります。万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動の影響について
当社グループの当期連結売上高に占める海外売上高比率は約7割であり、各地域における為替動向が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、当社グループの業績及び財務状況は為替変動の影響を受ける可能性があります。
(11)金利変動の影響について
当社グループは、資金需要、調達手段、及び金融情勢を勘案し資金調達をしておりますが、金融情勢の変化により調達金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)株式市場の動向による影響について
国内外の株式市場の動向は、当社が保有する投資有価証券の評価額、及び当社グループの年金資産の運用状況に影響を及ぼします。株式市場が低迷した場合、投資有価証券の評価損が発生する可能性、及び年金資産が目減りし、会社負担が増大する可能性があります。
(13)原材料の価格変動について
当社グループの製品の主要原材料である鋼板・合成ゴム・銅箔・樹脂フィルム・金等の価格は、需給動向等により変動しております。これら原材料価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、原材料価格の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
(14)顧客の業績への依存について
当社グループでは、シール製品及び電子部品の製造・販売が事業の大部分を占めており、これらの分野においては国内外の主要な自動車メーカー、建機メーカー、及び電子機器メーカー等を主な得意先としております。これらの顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や予期しない契約の変更等、当社グループにて管理できない要因により影響を受ける可能性があります。このような顧客への売上減少により当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
(15)需要動向の変化による影響について
当社グループの主要製品であるオイルシール等については、主に内燃機関(エンジン)に用いられるものでありますが、近年においては燃料電池自動車、及び電気自動車も市場投入されております。そのため当社グループでは将来の普及に備え、燃料電池に搭載可能な新製品等に関する研究開発も進めております。しかしながら、現時点において将来、燃料電池自動車、及び電気自動車の普及が当社グループの業績及び財務状況に与える影響を見通すことは困難であります。
また、自動車、建機、電子機器製品、及び事務機のコモディティ化の流れの中で、新興国等での現地メーカーの台頭もあり、今後より一層の競争激化とそれに起因する価格下落が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16)他企業との提携について
当社グループは、事業を展開する上で、他社と様々な提携活動を行っておりますが、提携先固有の事情による提携の解消等、当社グループで管理できない要因により業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
とりわけ、当社は1960年よりフロイデンベルグ社(以降同社)との間で、資本及び技術提携を行っており、当社グループの事業展開において、同社(グループ企業含む)は、パートナー企業として重要な位置付けを有しております。
現在同社は、投資会社であるフロイデンベルグ・エス・エーを通じて当社発行済株式の25.1%を保有する筆頭株主であり、1960年の提携以降、同社との関係は継続しております。今後においても、同社との提携関係は安定的に継続していくものと当社グループは認識しておりますが、同社との提携関係又は同社の事業戦略等に変化が生じた場合においては、当社グループの事業に対して影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、西日本豪雨等の自然災害による影響はあったものの、設備投資は底堅く推移しており、景気は緩やかな回復基調を維持しています。海外においては、米国経済は底堅く推移しています。中国は米国との貿易摩擦の影響もあり減速傾向がみられます。
自動車業界は、国内では、軽自動車の需要が好調に推移しています。海外では、北米の需要は堅調に推移していますが、中国の需要は減速傾向がみられます。
電子業界は、下期に入り、携帯電話、ハードディスクドライブ、デジタルカメラの生産台数は減少しました。
事務機業界は、事務機市場の成熟化により、需要は横ばいで推移しました。
このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、785,133百万円となり、前連結会計年度末対比で8,180百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金が減少したことによるものです。
負債合計は、299,634百万円となり、前連結会計年度末対比6,214百万円の増加となりました。これは、買掛金は減少したものの、短期借入金と長期借入金が増加したこと等によるものです。
純資産は、その他有価証券評価差額金の減少、および配当金の支払いによる利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末対比14,395百万円減の485,498百万円となり、自己資本比率は56.6%となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
b. 経営成績
当社の経営成績は以下のとおりです。
シール事業におきましては、自動車向けについては、国内では軽自動車が牽引する形で需要は好調に推移し、また東南アジアでの需要が好調に推移した事等により、販売は増加しました。一般産業機械向けについては、建設機械、工作機、ロボット向けについて底堅く推移した事により、販売は増加しました。
その結果、売上高は341,680百万円(前年同期比1.4%の増収)となりました。営業利益は、人件費・経費、償却費の増加等により36,209百万円(前年同期比11.3%の減益)となりました。
電子部品事業におきましては、自動車向けは好調に推移しましたが、高機能スマートフォンは生産減の影響により販売は減少しました。
その結果、売上高は297,374百万円(前年同期比17.6%の減収)となりました。営業損失は、販売の減少により、14,151百万円(前年同期は2,963百万円の営業利益)となりました。
ロール事業におきましては、金融、繊維機械向けの需要は伸びましたが、事務機向けの需要が生産調整により減少したため、トータルでの販売は減少しました。
その結果、売上高は20,071百万円(前年同期比3.6%の減収)となりました。営業損失は、経費等の削減に努めましたが販売減少の影響が大きく、129百万円(前年同期は49百万円の営業損失)となりました。
特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は10,356百万円(前年同期比1.8%の減収)となりました。営業利益は、品目構成の変化により1,203百万円(前年同期比9.4%の増益)となりました。
営業外収支(収益費用の純額)については、当連結会計年度7,996百万円の収益(前年同期は11,357百万円の収益)となりました。これは主に、持分法による投資利益および為替差益が前連結会計年度より減少したことによるものです。
特別損益の収支(利益損失の純額)については、当連結会計年度18,225百万円の損失(前年同期は3,425百万円の損失)となりました。これは主に、電子部品事業を営む連結子会社である日本メクトロン株式会社の固定資産の減損によるものです。
税金等調整前当期純利益に対する法人税等の負担率は、当連結会計年度52.4%(前連結会計年度25.9%)となりました。
以上の結果、当社グループの業績は、売上高は669,482百万円(前年同期比8.2%の減収)となりました。営業利益は23,140百万円(前年同期比48.5%の減益)、経常利益は31,135百万円(前年同期比44.7%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は、3,419百万円(前年同期比90.3%の減益)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ8,658百万円減少し80,761百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動の結果、得られた資金は、63,854百万円(前年同期比8.2%の減少)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上、および非資金項目である減価償却費と減損損失の計上によるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動の結果、使用した資金は、79,259百万円(前年同期比35.1%の減少)となりました。これは主として投資有価証券と有形固定資産の取得によるものです。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動の結果、得られた資金は、6,633百万円(前年同期は13,010百万円の支出)となりました。これは配当金の支払を実施したものの、短期借入れ、および長期借入れによる収入が増加したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール事業 |
344,255 |
97.9 |
|
電子部品事業 |
293,797 |
76.6 |
|
ロール事業 |
20,253 |
95.4 |
|
その他事業 |
10,361 |
93.5 |
|
合計 |
668,668 |
87.1 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール事業 |
341,680 |
101.4 |
|
電子部品事業 |
297,374 |
82.4 |
|
ロール事業 |
20,071 |
96.4 |
|
その他事業 |
10,356 |
98.2 |
|
合計 |
669,482 |
91.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
||
|
Apple Inc. |
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
146,720 |
20.1 |
99,752 |
14.9 |
|
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
シール事業
「事業の拡大」、「競争力ある生産体制の構築」、「グローバル事業の強化」、「ダントツ品質の追求」を柱に、持続性ある企業体質の構築を図ることが重要と考えております。
「事業の拡大」につきましては現有製品のシェアアップ、新商品開発力強化とともに成長を続ける海外市場での拡販を図り、「競争力ある生産体制の構築」につきましては生産子会社の体制の見直し、「グローバル事業の強化」につきましては変化する環境への迅速な対応を行い、「ダントツ品質の追求」につきましては品質・技術の教育・伝承の充実及びIoTの活用による品質向上を検討してまいります。
電子部品事業
「拡販による顧客ベースの多角化」、「変化に対応できる収益体質の強化」、「ダントツ品質の実現」により、変化を乗り越える構造改革の断行を進めてまいります。
「拡販による顧客ベースの多角化」につきましては自動車向けビジネス拡大の加速並びに提案力の強化により新規顧客・新用途向けビジネスを拡大し、「変化に対応できる収益体質の強化」につきましては人に頼らないものづくりの実現、聖域なき総原価低減活動の推進、業務の生産性向上による間接部門のスリム化、フリーキャッシュフローの増加による財務体質の改善を進め、「ダントツ品質の実現」につきましては人に頼らないものづくりによる品質の安定化、自動車要求品質への対応を行ってまいります。
ロール事業
業績回復を図るために、積年の課題である「拡販の推進」を最優先課題とし、並行して「BEPの改善による利益体質の強化」並びに「抜本的な品質改善」を強力に推進してまいります。
「拡販の推進」につきましては新仕様開発による受注拡大、立上品質の確保、価格競争力の向上を図り、「BEPの改善による利益体質の強化」につきましては生産性向上・品質改善・内製化に加えて、生産管理システムの再構築と活用、業務の効率化を推進し、「抜本的な品質改善」につきましては徹底した現場管理による品質の安定化と良品・量産条件の再検討による品質の改善を推進いたします。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」で述べましたとおり以下が主なものとなります。
a. 自然災害等
b. 政治経済情勢
c. 法的規制等の影響
d. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク
e. 知的財産権侵害の影響
f. 情報流出の影響
g. サイバー攻撃等の影響
h. 環境規制が及ぼす影響
i. 製品の品質問題が及ぼす影響
j. 為替変動の影響
k. 金利変動の影響
l. 株式市場の動向による影響
m. 原材料の価格変動
n. 顧客の業績への依存
o. 需要動向の変化による影響
p. 他企業との提携
当社グループでは自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の構築、ますます拡大する海外事業の適切な管理、品質力の更なる向上や新商品開発、並びにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、3カ年計画(2017年度から2019年度まで)を作成し、取り組んでおります。
また、経営成績に影響する各種リスクを回避できるよう、引き続き経営者として努力してまいりますとともに、企業目的である「全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす」、そのための事業方針である「技術に裏打ちされた独自性ある、かつ社会にとって有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」の具現化に努めてまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
②契約債務
2019年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
|
年度別要支払額(百万円) |
||||
|
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
66,972 |
66,972 |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
19,563 |
- |
9,314 |
8,713 |
1,535 |
|
リース債務 |
236 |
67 |
115 |
44 |
9 |
③財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は固定金利の長期借入金で調達しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
2018年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
指標 |
2018年度(計画) |
2018年度(実績) |
2018年度(計画比) |
|
売上高 |
755,000 |
669,482 |
△85,517(△11.3%) |
|
営業利益 |
49,000 |
23,140 |
△25,859(△52.8%) |
セグメント別の達成・進捗状況は以下のとおりです。
シール事業
自動車向けの販売については、国内ではある程度堅調に推移したものの、米国との貿易摩擦に端を発する中国市場の減速影響を受け、計画対比では減収となりました。
一般産業機械向けについては、建設機械、工作機、ロボット向けについて市場はいずれも底堅く推移したものの、顧客構成の変化等から計画対比では微減となりました。
一方、生産活動においては、昨年度より不足していた人員の手配や設備能力の拡充を図ったため固定費が増加傾向にあることに加え、その過程で品質や教育に追加のコストが発生したことから、収益面では苦戦を強いられることとなりました。
また拡販・増産や技術力強化のための大型投資も当年度中に稼働を開始したことから償却費が増加しており、これらの効果を早期に実現することが今後の課題となります。
以上の結果、売上高は341,680百万円(2018年度計画比2.1%の減収)となり、営業利益は36,209百万円(2018年度計画比13.8%の減益)となりました。
電子部品事業
高機能スマートフォン向けの需要が減少し、全体として販売は計画対比大幅に減少しました。販売減の影響が大きく損益も大幅に悪化しました。
以上の結果、売上高は297,374百万円(2018年度計画比20.7%の減収)となり、営業損失は14,151百万円(2018年度計画は7,000百万円の営業利益)となりました。
ロール事業
売上高は市場在庫調整等の影響で第4四半期に減速しましたが、年度としては当初計画に対して微増収で終了しました。営業利益は経費と投資の抑制に加えて収益体質の強化に努めたことと、品目構成の良化もあり当初計画に対しては大幅な良化となりましたが黒字化までには至らず、二期連続の赤字で終了しました。
以上の結果、売上高は20,071百万円(2018年度計画比0.4%の増収)となり、営業損失は129百万円(2018年度計画は800百万円の営業損失)となりました。
当社グループ(当社及び連結子会社)が締結している重要な契約は次のとおりであります。
提出会社
①技術提携契約
|
相手先 |
国名 |
内容 |
契約日 |
|
フロイデンベルグ社 |
ドイツ連邦共和国 |
オイルシール、Oリング等のシール製品及びそれに関連する技術の共同開発 |
2017年12月21日 |
②合弁契約
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相手先 |
国名 |
内容 |
合弁会社名 |
契約日 |
|
フロイデンベルグ社 |
ドイツ連邦共和国 |
米国子会社(NOK Inc.)とフロイデンベルグ社の米国子会社によるオイルシール、Oリング等のシール製品並びに関連製品事業の合弁 |
フロイデンベルグ |
1989年3月23日 |
当社グループは、当社技術本部及び連結子会社の各技術部門を中心に、相互連携を図りながら、担当分野に係る新技術・新製品等の開発活動を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)シール事業
「環境」、「安全」及び「IT化対応」を重点として、継続的に技術・製品開発を進めております。環境関連では、低摩擦損失による省エネルギー効果に寄与する製品、電気自動車(EV)・ハイブリッド(HEV)・燃料電池自動車(FCV)に対応するクリーンな製品の開発を進めております。
安全やIT関連では、自動車制動関連の製品や電子部品との複合等による高付加価値製品の開発に取り組んでおります。
オイルシールにおいては、Le-μ’s(商標)ブランドの低摩擦技術群による省エネルギーへの貢献と、耐ダスト性の向上による過酷環境への対応とを両立する製品の市場投入も始めております。また、更なる低摩擦化を目指したコーティングなどの開発を進めており、今後もLe-μ’sブランドのラインナップの拡充を図っていきます。自動車の技術動向への対応として、E-mobility用シールの開発も進めております。
Oリングにおいては、環境対応エンジンに対する高圧用シール、組立性を向上させるコーティング、燃料電池関連シールを市場投入する一方で、E-mobility関連シールや低燃費に貢献できる各種機能を向上させるシールの開発を進めております。
自動車用自動変速機の回転軸用シールリングにおいては、しゅう動面にシール媒体である油を提供する形状を付与することにより、従来品対比で最大、約70~80%の低トルク化が可能な市場投入をしております。
新商品関連では、EV/HEV/FCVに代表されるエコカーのニーズに対し、従来のシール製品群に加え、電子機器や電動ユニット向けにFPC一体シール部品、および放熱をサポートする熱伝導性ゴムを開発しております。さらに燃料電池の中核を成すスタック向けに低反力・省スペースのシール部品を開発し、一部顧客向けに量産を開始しております。
また、自動運転に代表される先進運転支援システム(ADAS)が注目を集めております。それには運転者の状態を判断する「ドライバモニタリング」も必要とされており、我々の開発した生体信号を測定できるゴム電極は心電、筋電位、脳波等のモニタリングが可能であり、運転者の疲労や眠気の検知への利用が期待されています。
自動車以外の分野においては、新たな分野・市場への参入に向け、ゴムや樹脂のモールド技術を用いて耐候性や耐衝撃性を向上させたICタグ、医療・バイオ分野に向けた機能性ゴム部品など、より付加価値の高い製品開発を進めております。
化学合成品関係では、環境負荷の低減に対応した素材の開発や、フッ素系機能性化合物製品の開発とそれらの新規製造法を検討するとともに、生産プロセス面からも資源・省エネルギーや環境に配慮した商品開発を推進しております。
なお、当事業に係る研究開発費は
(2) 電子部品事業
スマートフォン/タブレットなどの小型携帯電子機器向けをはじめ、今後の成長電子市場である車載向けや、医療・ヘルスケア、ロボット等の分野に向けたフレキシブル配線板(FPC)のプロセス/材料/部品実装開発及びFPCの新商品開発を推進しております。開発概要は、FPCの高信頼性、低伝送損失化、高精細/高機能化、モジュール化を実現するコア技術の確立であります。
車載向けには、急速に進展するEV化に伴いFPCの高信頼性接続技術化を図り、バッテリー需要の高まりと安全性に対応した電圧監視用FPCやインバーター対応FPCを開発推進しております。
小型携帯電子機器に関しては、5G移動通信システム向けとして、信号の高周波化・高速化、データの大容量化に対応し、ベース樹脂にLCP(液晶ポリマー)フィルムを適用した高速伝送用FPCの開発、および開発品の顧客への試作対応を進めております。
また、5Gの特徴である信号伝送の低遅延化によって、小型携帯電子機器の他、遠隔操作を企図したロボット分野へのFPCの応用も対応しております。特にVR/AR技術へのFPCの応用として、触覚グローブの開発を推進しております。グローブに組み込んだFPC端子部から発生する電気刺激により、遠隔操作によるロボットの指先でセンシングした感触が伝わるものです。
また、伸縮性のある基材と配線により、肌への密着に関し違和感のない透湿性、装着感を備え、脳波等制度の高いバイタルデータセンシング機能を持つストレッチャブルFPCの開発を推進し、顧客向けの試作及び量産対応を開始しております。今後更なる研究機関、企業との共同研究を継続し高機能化を推進致します。
配線の高密度化に対応するために、サブトラクティブ工法による更なる配線の高精細化に取り組むと共に、超微細配線の形成に向けたセミアディティブ工法の開発を推進し、顧客試作に向けたプロセス構築を進めております。また、配線微細化と同時に必要となるビアの小径化に対し、レーザ加工技術において、新技術の適用および量産適用の推進、更なる小径化対応を進めております。
なお、当事業に係る研究開発費は、
(3) ロール事業
事務機業界では、最近の市場動向として中国・ASEAN地区への生産二極化の進展、また低価格分野向けを中心にローカル部品メーカーの参入などが顕著な動きとなってきています。
一方、事務機の機能トレンドである高速化、高画質化を目的として新タイプトナーへの変更等の開発が進められており、使用される部品についても従来仕様以上の機能を要求されております。弊社は引続き顧客要求に合わせた開発推進を行ってまいります。併せて、品質向上、開発工期の短縮と共により安定した生産体制の構築に努めてまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は
(4) その他事業
潤滑剤関係では、E-mobⅰlity化や物質法規制の厳格化に対応すべく、市場要求や物質法規制を先取りした製品の開発を進めています。また、安全性や環境対応性を配慮しながら、電食防止・腐食防止などの付加価値を向上させることを目的とした新素材・新技術の研究開発に注力しています。
なお、当事業に係る研究開発費は