文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
企業は株主・従業員・社会の三者の共有物である、というのがNOKグループの基本的考え方であります。これに顧客・仕入先・金融機関等を加えた利害関係者、いわゆるステイクホルダーの方々が誇りを持てる企業、それがNOKグループの目指すべき姿と考えております。そのためには、「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」ことにより高い収益力を持つ強い企業集団をつくりあげることが重要と考え、この考えに基づき事業経営を展開しております。
(2)目標とする経営指標
中長期的にはROA5%、ROE10%、自己資本比率50%を目標としております。しかし現在は収益力が落ち込んでいるため、自己資本比率以外は短期的な目標たりえず、まずは各セグメントでの売上高利益率の回復に専念したいと考えています。
(3)経営環境及び対処すべき課題等
今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、変異株を含めた新型コロナウイルス感染拡大に加え、半導体部品等の原材料供給懸念や労働力不足、貨物・物流の遅延等の販売に影響を及ぼすリスクが多数潜んでおり、依然として先行き不透明な状態となっております。
シール事業では、自動車向けについては、国内は下期の好調さの反動減が想定されますが、全体需要としては堅調に推移するとみられます。海外では、北米は半導体部品をはじめとした部品の供給懸念があるものの、旺盛な新車需要を背景に需要は好調に推移するとみられます。また、中国は需要の好調さが継続するとみられます。一方、中長期的には、自動車の電動化に伴う事業環境の大きな変化が想定されます。一般産業機械向けについては、国内の建設機械需要は横ばい、海外では、中国の建設機械需要の伸びは拡大するとみられます。このような中で、国内および海外の競合他社とのさらなる競争激化が見込まれるため、営業・技術・生産一体となり、新商品を含めた拡販の推進、生産体制の効率化・最適化に取り組むとともに、品質のさらなる向上についても引き続き取り組んでまいります。
電子部品事業では、高機能スマートフォンの需要変動への対応やハードディスクドライブ需要の減少等が課題となっております。自動車向けでは電動化による業界構造の変化、足元の半導体不足が懸念されますが、需要は持ち直していくとみられます。これらに対応すべく、新用途への拡販を推進するとともに生産能力を将来の需要に見合ったものにするため、引き続き生産体制の効率化を進めてまいります。
その他事業では、ロール事業は、従来からの事務機市場の成長鈍化に加え、リモートワークによる働き方改革がペーパーレス化を進め、プリンターおよび消耗品の需要減少が継続する懸念があります。特殊潤滑剤事業は、自動車向け等の需要増加が見込まれます。これらに対応すべく、営業・技術・生産一体による品質・コスト面での競争力向上、さらなる拡販を図るとともに、経費抑制等を徹底するなど経営効率をより一層高めて収益力の向上に取り組んでまいります。
※2022年3月期より、ロール事業は事業規模の大きさを鑑み、その他事業に含めて開示させて頂きます。
こうした厳しい経営環境の中、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に徹するとともに、ますます拡大する海外事業の適切な管理や新商品開発による販売強化、品質力のさらなる向上、自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の運用、業務の効率化、デジタル化の推進、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、下記方針に基づき3カ年計画(2020年度から2022年度まで)に取り組み、全社一丸となって邁進、努力していく所存であります。
3カ年計画スローガン(基本方針)
「変化への柔軟な対応と“持続性ある企業”への再挑戦」
方針
(1)特定顧客依存からの脱却-拡販と新事業の創出による拡大均衡
(2)品質の原点回帰
(3)実効性あるBCMの運用
(4)競争力向上、収益改善に繋がる業務のデジタル化推進
(5)人間尊重経営の実践-活力に溢れた人づくり、柔軟・多様な働き方の導入
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のものがあると考えております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社では、グループ全体に関わるリスク管理の基本方針や管理体制について「リスク管理規程」で定め、その規定に基づき、社長をリスクマネジメント責任者とした管理体制を構築し、グループのリスク管理を推進しています。当社の考える、会社経営に影響を及ぼす可能性がある事業等のリスクには、企業価値向上のためリスクとのバランスを図りつつリターンの最大化を図っていく「事業戦略リスク」と、企業価値の維持のためにその発生防止もしくは発生確率・損失の極小化を図るべき「損失発生リスク」があると考えています。更に前者の「事業戦略リスク」は、戦略リスク・投資リスク・市場リスクに区分し、後者の「損失発生リスク」は、法的リスク・カントリーリスク・災害リスク・信用リスクに区分してリスクマネジメントを実施しています。
「事業戦略リスク」については、グループの経営戦略を検討する会議にて、グループ会社における事業の推進、新規案件等でのリスクを把握し、最大のリターンが適時・適切に得られるよう審議を行なっています。「損失発生リスク」については、リスクマネジメント責任者を補佐する機関として、危機管理室長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、定期的にグループの当該リスクの洗い出し、分析、発生頻度(時期)や損失規模(損害額)を想定したリスクレベル評価による定量化を行ない、その重要性・緊急性を考慮し優先順位を付けて課題・対応策の検討を行なっています。
NOKグループ リスクマネジメント体制
(1)新型コロナウイルス感染症に関するリスク
当社グループでは、昨年から続いている新型コロナウイルスの感染の収束が見えない中、お客様、取引先様、従業員を含めた、ステークホルダーの安全の確保を第一に感染拡大防止に向けた施策を実施しています。感染拡大防止の施策として、「新型コロナウイルス対応マニュアル」の策定、在宅勤務や時差出勤等の実施、リモートワークツール等の積極的な活用により業務を継続できる環境を確保する対応を行なっております。各生産拠点では、各国・地域の政府や自治体の指導に基づいた感染拡大防止対策を徹底しながら、生産活動の維持に努めています。
政府が進めているワクチンの接種により感染拡大が抑えられ、状況が改善に向かうと予想されますが、現時点では、新型コロナウイルス感染の収束の時期については、予測が困難であり、今後更に長期化した場合は、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業戦略リスク
①戦略リスク
a.顧客の業績への依存について
当社グループでは、シール製品及び電子機器部品の製造・販売が事業の大部分を占めており、これらの分野においては国内外の主要な自動車メーカー、建機メーカー、及び電子機器メーカー等を主な得意先としております。これらの顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や予期しない契約の変更等、当社グループにて管理できない要因により影響を受ける可能性があります。このような顧客への売上減少により当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。当社グループではバランスの取れた顧客構成を志向し、当該顧客企業への売上減少のリスクが最小限となるよう努めております。
b.他企業との提携について
当社グループは、事業を展開する上で、他社と様々な提携活動を行っておりますが、提携先固有の事情による提携の解消等、当社グループで管理できない要因により業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
とりわけ、当社は1960年よりフロイデンベルグ社(以下同社)との間で、資本及び技術提携を行っており、当社グループの事業展開において、同社(グループ企業含む)は、パートナー企業として重要な位置付けを有しております。
現在同社は、投資会社であるフロイデンベルグ・エス・エーを通じて当社発行済株式の25.1%を保有する筆頭株主であり、1960年の提携以降、同社との関係は継続しております。今後においても、同社との提携関係は安定的に継続していくものと当社グループは認識しておりますが、同社との提携関係又は同社の事業戦略等に変化が生じた場合においては、当社グループの事業に対して影響を及ぼす可能性があります。
②投資リスク
a.需要動向の変化による影響について
当社グループの主要製品であるオイルシール等については、主に内燃機関(エンジン)に用いられるものでありますが、近年においては燃料電池自動車、及び電気自動車も市場投入されております。そのため当社グループでは将来の普及に備え、燃料電池自動車や電気自動車に搭載可能な新製品等に関する研究開発も進めております。しかしながら、現時点において将来、燃料電池自動車、及び電気自動車の普及が当社グループの業績及び財務状況に与える影響を見通すことは困難であります。
また、自動車、建機、電子機器製品、及び事務機のコモディティ化の流れの中で、新興国等での現地メーカーの台頭もあり、今後より一層の競争激化とそれに起因する価格下落が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③市場リスク
a.為替変動の影響について
当社グループの当期連結売上高に占める海外売上高比率は約7割であり、各地域における為替動向が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、当社グループの業績及び財務状況は為替変動の影響を受ける可能性があります。
b.金利変動の影響について
当社グループは、資金需要、調達手段、及び金融情勢を勘案し資金調達をしておりますが、金融情勢の変化により調達金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
c.株式市場の動向による影響について
国内外の株式市場の動向は、当社が保有する投資有価証券の評価額、及び当社グループの年金資産の運用状況に影響を及ぼします。株式市場が低迷した場合、投資有価証券の評価損が発生する可能性、 及び年金資産が目減りし、会社負担が増大する可能性があります。
d.原材料の価格変動について
当社グループの製品の主要原材料である鋼板・合成ゴム・銅箔・樹脂フィルム・金等の価格は、需給動向等により変動しております。これら原材料価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、原材料価格の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。原材料価格変動の状況を鑑み、当社グループでは原材料を安定且つ継続的に供給いただける事業パートナーを国内に限らず広く世界中に求めております。
(3)損失発生リスク
「損失発生リスク」については、会社経営に重大な影響を及ぼす可能性のある危機の種類、及びそれを発生させる原因に基づき下記の通り区分を行なっております。
<会社経営に重大な影響を及ぼす可能性がある危機・リスク区分>
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危機の種類 |
原因 |
リスク区分 |
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操業停止 |
火災・爆発 |
・災害リスク ・カントリーリスク |
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自然災害(地震・水害等) |
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病気(新型コロナウイルス、新型インフルエンザ、SARS等) |
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材料供給停止 |
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不法な業務妨害 |
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ライフライン途絶 |
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法令違反等の発生 |
司法(犯罪・利益供与等) |
・法的リスク ・信用リスク |
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税務(税法違反等) |
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会社法・金融商品取引法(株主代表訴訟等) |
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環境(汚染等) |
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労働法(労基法違反・セクハラ等) |
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従業員の死亡、重大な障害の発生、又はその恐れがある場合 |
労働災害 |
・災害リスク ・カントリーリスク |
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交通事故 |
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自然災害(地震・水害等) |
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火災・爆発 |
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海外での戦争・暴動・テロ・誘拐等 |
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訴訟 |
・法的リスク |
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その他会社に重大な影響を及ぼす事項 |
重要な機密情報の紛失・漏洩 |
・信用リスク |
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重大な品質問題 |
・信用リスク |
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その他 |
・各種リスク |
|
各本社機能部門(業務統括部門)は、想定される各リスクの評価について、予防対策を行なう前の素のリスクのことを「固有リスク」として、発生頻度を1年あたりの平均発生回数をもとに4段階で評点化し、それに損失規模を1回あたりの損害金額(直接の経済的損失額)をもとに5段階で評点化したものを乗じて算出しています。また、予防対策(ソフト面・ハード面)、保険・その他のヘッジについて有効性の評価(4段階にて評点化)を行ない、「固有リスク」からそれを除したものを対策後の「残余リスク」※1として定量評価を実施しています。この「固有リスク」と「残余リスク」の評点を踏まえ重要性・緊急性を考慮し、抑え込みたいリスク項目に優先順位付けを行ない、重要なリスクについては各部門にてリスク管理項目に掲げて対策を実施しています。また、定期的に各リスク項目の評価を行ない、管理項目および対策内容の見直しを実施し、継続的にリスク管理を行なっております。
(注)※1:残余リスク = 固有リスク(発生頻度×損失規模)- 対策の有効性
各区分における重要なリスクが現実化し損失が発生する可能性、ならびに現在実施している予防対策・リスクヘッジは以下の通りです。
①法的リスク
a.法的規制等の影響について
当社グループは、事業を展開する各国において様々な法規制の適用を受けております。法令に準じた社内規程やマニュアルの整備、各種教育によるコンプライアンス意識の醸成・周知徹底、外部専門家との連携体制の構築を図っておりますが、将来においてこれらの法規制が改正・強化された場合、新たな規制を遵守するために発生する追加コストの負担は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
b.訴訟その他の法的手続にかかわるリスクについて
当社グループが、各国で事業を遂行する上で、グループ内部統制の体制の整備、外部専門家との連携体制の構築、各種保険への加入等によるリスクヘッジを行なっておりますが、訴訟や規制当局による措置その他の法的手続の当事者となる可能性があります。これらの法的手続の結果、当社グループに対して金銭的な賦課や事業遂行に関する制約が課された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
c.知的財産権侵害の影響について
当社グループは、特許権その他の知的財産権の取得により自社の保有技術を保護すると共に、第三者の知的財産権に対する侵害の予防にも注意を払っております。しかし、国情の相違等から当社グループの知的財産権の保護が十分に得られず販売減少や訴訟費用が発生した場合や、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害したために販売中止や賠償金支払が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
d.環境規制が及ぼす影響について
当社グループは、各拠点における環境関連法令を遵守し、かつ顧客からの環境に関わる要請に対応するために必要な処置を講じておりますが、将来において法令や顧客要請が強化される、環境責任が発生する、事業活動が制約を受ける等の可能性があります。その対応の費用が多額となる場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②カントリーリスク
a.政治経済情勢について
当社グループは、日本、北米、欧州、中国、その他アジア諸国等において事業を展開しております。そのため、当社グループが製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
③災害リスク
a.自然災害等について
当社グループは、地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症等の発生により、当社グループの生産活動や物流活動に支障をきたす事態に備えて、生産拠点の分散化や安全対策を行い事業継続のためにリスクの最小化に努めております。しかしながら、これらの事態の発生を完全に防止または軽減することができない可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④信用リスク
a.情報流出の影響について
当社グループは、事業を遂行する上で、技術情報や個人情報等の機密情報を有しております。これらの情報の外部流出防止のため社内体制・手続を構築しておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出した場合、社会的信用の低下や賠償金支払等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
b.サイバー攻撃等の影響について
当社グループは、悪意のあるサイバー攻撃等による、操業停止、重要データの喪失、情報漏洩に対して、外部機関等を活用した調査・予防措置を実施しますが、未知の方法のサイバー攻撃により操業に影響を及ぼす可能性があります。
c.製品の品質問題が及ぼす影響について
当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予測できない原因による製品の品質不具合の発生を皆無にすることは困難であります。万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各リスクに対する上記の予防対策にもかかわらず、顕在化された「損失発生リスク」が会社経営に重大な影響を及ぼす緊急事態が発生した場合は、直ちに緊急対策本部を設置しグループ全体で迅速に対応を行うことにより、可能な限り事業継続を図り、顧客等のステークホルダーへの影響を最小化することに努めています。
また、当社グループの事業の継続に障害となる事象(災害リスク)が発生した場合に、事業継続を確実にすると共に事業継続活動を継続的、かつ効果的に推進するための「事業継続マネジメントシステム」を構築し、その推進機関である「NOKグループBCM委員会」を設置して、事業継続計画(BCP)の立案、及び事業継続マネジメント(BCM)活動を推進しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等、国内外において厳しい状況となりました。政府の各種施策により一定の抑制効果はあったものの、感染拡大に歯止めがかからず、経済の下振れリスクを含んだ先行き不透明な状態が続いております。
自動車業界は、新型コロナウイルスの影響により、国内では一時的に需要が落ち込んだものの、下期より回復しました。海外においても、大きく需要が減少しましたが、北米では下期に大幅に回復しました。一方、中国においては、早期に経済活動が再開し、年度を通じて好調を維持しました。
電子機器業界は、新型コロナウイルスの影響により製品の生産、出荷に遅れが生じるとともに、スマートフォン、ハードディスク等の需要が減少しました。一方で、オンライン化の推進により、パソコンやタブレットの需要は増加しました。
事務機業界は、新型コロナウイルスの影響により、複合機およびプリンターともに需要が減少しました。
このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、803,000百万円となり、前連結会計年度末対比で74,304百万円の増加となりました。これは主に、投資を一時的に抑制したことから、有形固定資産が減少したものの、運転資金需要に対応した短期借入の実施による現金及び預金の増加、下半期の販売増加に伴う受取手形及び売掛金の増加、更に保有株式の時価上昇により投資有価証券が増加したことによるものです。
負債合計は、300,886百万円となり、前連結会計年度末対比19,429百万円の増加となりました。これは主に、退職給付に係る負債が減少したものの、短期借入金と繰延税金負債が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末対比54,875百万円増の502,114百万円となり、自己資本比率は57.0%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当の支払いにより利益剰余金が減少したものの、その他有価証券評価差額金が増加したことによるものです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
b.経営成績
当社の経営成績は以下のとおりです。
シール事業におきましては、自動車向けは、下期に入り需要は回復しましたが、上期の需要が落ち込んだことが影響し、販売は減少しました。一方で、一般産業機械向けは、中国における建設機械需要の増加により、販売は増加しました。
その結果、売上高は293,023百万円(前年同期比7.6%の減収)となりました。営業利益は、人件費・経費等の削減に努めましたが、販売減少の影響により、23,183百万円(前年同期比4.6%の減益)となりました。
電子部品事業におきましては、高機能スマートフォン向け、自動車向けの需要は下期に入り回復しましたが、上期の需要が大きく落ち込んだことにより、販売は減少しました。
その結果、売上高は281,771百万円(前年同期比0.5%の減収)となりました。営業損失は、販売が減少したものの、人件費・経費等の削減、償却費の減少効果により、8,371百万円(前年同期は12,600百万円の営業損失)となりました。
ロール事業におきましては、複合機および補修用部品の需要が落ち込んだことにより、販売は減少しました。
その結果、売上高は14,184百万円(前年同期比20.3%の減収)となりました。営業損失は、人件費・経費等の削減に努めましたが販売減少の影響が大きく、1,422百万円(前年同期は751百万円の営業損失)となりました。
特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は7,390百万円(前年同期比17.5%の減収)となりました。営業利益は1,060百万円(前年同期比6.4%の増益)となりました。
以上の結果、当社グループの経営成績は、売上高は596,369百万円(前年同期比4.9%の減収)となりました。営業利益は14,467百万円(前年同期比20.3%の増益)、経常利益は18,339百万円(前年同期比5.6%の増益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,361百万円(前年同期は2,218百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ38,019百万円増加し120,385百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動の結果、得られた資金は、45,824百万円(前年同期比35.8%の減少)となりました。これは主として、下半期の業績の回復を背景とした運転資金の増加によるものです。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動の結果、使用した資金は、18,719百万円(前年同期比62.9%の減少)となりました。これはコロナ禍の影響を鑑み、年初より投資を圧縮したことが主たる要因です。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動の結果、得られた資金は、5,884百万円(前年同期は17,497百万円の支出)となりました。これは配当金の支払および長期借入金の返済をしたものの、コロナ禍の影響を鑑み短期借入を実施したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
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シール事業 |
293,060 |
92.7 |
|
電子部品事業 |
283,529 |
102.0 |
|
ロール事業 |
14,051 |
78.9 |
|
その他事業 |
6,526 |
72.3 |
|
合計 |
597,168 |
96.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール事業 |
293,023 |
92.4 |
|
電子部品事業 |
281,771 |
99.5 |
|
ロール事業 |
14,184 |
79.7 |
|
その他事業 |
7,390 |
82.5 |
|
合計 |
596,369 |
95.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
Apple Inc. |
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
76,465 |
12.2 |
87,537 |
14.7 |
|
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの状況は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全事業とも売上は前年対比で減少しました。一方で、営業利益は経費の削減・投資の抑制効果等により、前年対比で増益となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
シール事業におきましては、自動車向けは、下期における需要回復により売上の回復が見られましたが、上期における国内外の需要の落ち込みが大きく影響し、通期の売上は減少しました。一方で、一般産業機械向けは、中国における建設機械需要の増加により、売上は増加しました。持続的な競争力を有する生産体制の構築に引き続き注力するとともに、不採算品目の見直しを行い、収益の確保を進めてまいります。
電子部品事業におきましては、自動車向け・タブレット向けは増収となったものの、スマートフォン向けにおいて需要変動の影響を受け全体売上は減少しましたが、体質改革が国内外で着実に進んだ結果、人件費、経費及び償却費用等の減少効果により、前年対比で営業損失幅は改善しました。引き続き、固定費の管理による変動に強い体質づくりを推進するとともに、生産体制の再構築による生産効率の向上及び自動車向けを含む新用途への拡販により、事業の安定化を図りつつ持続性のある成長につなげてまいります。
ロール事業におきましては、従来からの事務機市場の成長鈍化に加え、リモートワークの普及によってペーパーレス化が加速したことで、複合機および補修用部品の需要が落ち込み、売上は減少しました。引き続き原価低減を含む収益改善施策を推し進め、アフターコロナのロール市場においても収益を出せる体質の構築に注力してまいります。
また、昨年度同様、新商品・新事業創出にも力を入れております。今年度は、新たに生体信号ゴム電極「Sotto」シリーズとして、衣類に取り付け可能な「Sotto ファブリック」や、脳波計測用「Sotto ブレイン」が加わり、両製品ともECサイトでの試行販売が開始されております。その他にも、細胞培養容器としての活用が期待される透明フッ素樹脂「MEXFLON®」など、各事業の専門的な技術を生かした新商品の開発を進めております。開発品の早期の収益貢献を実現するため、顧客検証と並行して事業化に向けた体制作りにも取り組んでまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」で述べましたとおり、以下が主なものとなります。
a. 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
b. 顧客の業績への依存
c. 他企業との連携
d. 需要動向の変化による影響
e. 為替変動の影響
f. 金利変動の影響
g. 株式市場の動向による影響
h. 原材料の価格変動
i. 法的規制等の影響
j. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク
k. 知的財産権侵害の影響
l. 環境規制が及ぼす影響
m. 政治経済情勢による影響
n. 自然災害等による影響
o. 情報流出の影響
p. サイバー攻撃等の影響
q. 製品の品質問題が及ぼす影響
当社グループでは、ますます拡大する海外事業の適切な管理や新商品開発による販売強化、品質力のさらなる向上、自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の運用、業務の効率化、デジタル化の推進、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、取り組んでおります。
また、経営成績に影響する各種リスクを回避できるよう、引き続き経営者として努力してまいりますとともに、企業目的である「全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす」、そのための事業方針である「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」の具現化に努めてまいります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループとしては中長期的な経営上の目標として、収益性を表す指標としてROA5%、経営の安全性を表す指標として自己資本比率が50%の維持を掲げています。これらを達成した結果として、一般的に優良企業と目されるROE10%に届くことになります。
しかし現在は収益力が落ち込んでいるため、自己資本比率以外は短期的な目標たりえず、まずは各セグメントでの売上高利益率の回復に専念したいと考えています。
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経営目標 |
目標水準 |
2020年度(実績) |
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ROA |
5% |
△0.2% |
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ROE |
10% |
△0.3% |
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自己資本比率 |
50% |
57.0% |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.契約債務
2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
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年度別要支払額(百万円) |
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契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
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短期借入金 |
76,914 |
76,914 |
- |
- |
- |
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長期借入金 |
13,161 |
- |
10,687 |
2,386 |
88 |
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リース債務 |
1,468 |
426 |
304 |
150 |
586 |
c.財務政策
財務政策としては、良好な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために経営資源を配分することを基本方針としており、具体的な指標としてROA5%、ROE10%、自己資本比率50%の水準を中長期的な目標としています。
経営資源の配分については、安定的な経営に必要な手元現預金水準を維持しつつ、設備投資等、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
設備投資は、将来にわたり長期安定的な利益を生み出すため、新商品・新ビジネスへの対応や、付加価値の内部取り込みといった目的の投資の他、品質向上及び省人化の投資、また計画的な設備の老朽化更新といった投資が主な内容となっております。
各年度の設備投資額はフリーキャッシュ・フロー黒字の範囲内を原則とし、十分な水準の手元流動性を確保するよう努めておりますが、不足する運転資金、設備投資資金については金融機関からの借入により調達しています。
株主還元については、中長期的な業績に対応して一定水準の安定した配当を継続することが大切であると考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)が締結している重要な契約は次のとおりであります。
提出会社
①技術提携契約
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相手先 |
国名 |
内容 |
契約日 |
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フロイデンベルグ社 |
ドイツ 連邦共和国 |
オイルシール、Oリング等のシール製品及びそれに関連する技術の共同開発 |
2017年12月21日 |
②合弁契約
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相手先 |
国名 |
内容 |
合弁会社名 |
契約日 |
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フロイデンベルグ社 |
ドイツ 連邦共和国 |
米国子会社(NOK Inc.)とフロイデンベルグ社の米国子会社によるオイルシール、Oリング等のシール製品並びに関連製品事業の合弁 |
フロイデンベルグ NOK GP |
1989年3月23日 |
当社グループは、当社技術本部及び連結子会社の各技術部門を中心に、相互連携を図りながら、担当分野に係る新技術・新製品等の開発活動を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)シール事業
「環境」、「安全」及び「自動運転」対応を重点として、継続的に技術・製品開発を進めております。
環境関連では、低摩擦損失による省エネルギー効果に寄与する製品、電気自動車(EV)・ハイブリッド(HEV)・燃料電池自動車(FCV)に対応するクリーンな製品の開発を進めております。
安全や自動運転対応では、自動車制動関連の製品や電子部品との複合等による高付加価値製品の開発に取り組んでおります。
オイルシールにおいては、Le-μ’s(商標)ブランドの低摩擦技術群による省エネルギーへの貢献と、耐ダスト性の向上による過酷環境への対応とを両立する製品の市場投入も始めております。また、更なる低摩擦化を目指したコーティングなどの開発を進めており、今後もLe-μ’sブランドのラインナップの拡充を図っていきます。また、自動車ならびに建機・農機などの技術動向への対応として、e-Mobility関連シールや電動化向けシールの開発も進めております。
Oリングにおいては、低摩擦技術によるLe-μ’sブランドにCNT添加Ovalリングを加えました。また、e-Mobility関連シール、燃料電池関連シールや低燃費に貢献できる各種機能を向上させるシールの開発によりカーボンニュートラルに対する貢献を目指しております。
自動車用自動変速機の回転軸用シールリングにおいては、アイドリングストップ車に対応した低リークシールリングCS-Ringを開発し、従来品対比で最大80%の低リーク効果がある製品を市場投入しております。
新商品関連では、EV/HEV/FCVに代表されるエコカーのニーズに対し、従来のシール製品群に加え、電子機器や電動ユニット向けにFPC一体シール部品、および放熱をサポートする熱伝導性部品の販売を開始しました。さらに燃料電池の中核を成すスタック向けに低反力・省スペースのシール部品を開発し、一部顧客向けに量産しております。
また、自動運転に代表される先進運転支援システム(ADAS)の中では、ドライバモニタリング技術も必要とされており、我々の開発した生体信号を測定できるゴム電極は心電、筋電位、脳波等のモニタリングが可能であり、運転者の疲労や眠気の検知への利用が期待されています。
自動車以外の分野においては、「環境・エネルギー」「情報通信」「ライフサイエンス」市場に注目しており、ゴムや樹脂のモールド技術を用いて耐候性や耐衝撃性を向上させた物品管理用ICタグや、医療・バイオ分野に向けた解析評価用のデバイスなど、より付加価値の高い製品開発を進めております。
化学合成品関係では、環境負荷の低減に対応した素材の開発や、フッ素系機能性化合物製品の開発とそれらの新規製造法を検討するとともに、生産プロセス面からも資源・省エネルギーや環境に配慮した商品開発を推進しております。
なお、当事業に係る研究開発費は
(2)電子部品事業
成長電子市場である小型携帯電子機器・自動車・医療・ヘルスケアの各分野に向けたフレキシブル配線板(FPC)の新商品開発を推進しております。
小型携帯電子機器は、5Gにより高速・大容量通信が開始されたことから高速伝送FPCを商品化しています。主にアンテナと回路間の接続(アンテナケーブル)に使用され、送受信する信号を伝送します。6GHz以下の「SUB-6」にはMPI(モデファイドPI)を用いたFPCを、さらに高い周波数の「ミリ波帯」にはLCP(液晶ポリマー)を用いたFPCを商品化しています。また、今後予定されています50GHz以上の超高周波帯に向けては、フッ素系材料を適用したFPCの開発を進めています。
5G用チップセットメーカーから5G用FPCのサプライヤー認定を受け、セットメーカー各社から引き合いを受けています。
新たな商品展開として、機器内の省スペース化・組込み性向上に向けて、アンテナケーブルとUSB等の高速デジタル信号用ケーブルを一体化する検討を推進しております。
車載向けには、拡大する電動化に合わせた商品開発を推進しております。主要部品となるバッテリーの電圧監視用FPCおよびモジュール製品では、電池モジュールの大型化に合わせた製品の開発、インバーター用途では、ユニットの小型化・高効率化・高出力化に対応可能な耐熱・大電流対応のFPC開発を推進しております。また、従来からの商品群であるガスケット一体FPCにおいても、車載への展開を進めており、耐熱・耐油性を付与したゴム材料の開発とその商品化を推進しております。
医療用装置においては、CTスキャナ・超音波診断装置等、医療分野で扱う動画・静止画が4K/8K対応へ高画質化が進んでいます。これに伴い、センサを実装するFPCには高精細配線が必要となり、セミアディティブ工法の技術検討を行い商品化いたしました。セミアディティブ工法は、カメラ用FPC、インクジェット用FPCへの展開を進めていきます。
医療・ヘルスケア分野に向けては、伸縮性のある基材と配線を組み合わせたストレッチャブルFPCを商品化しています。現在、脳波信号を取得するセンサシートとして量産を継続しています。今後、ニューロマーケティングへの展開も検討していきます。また、ストレッチャブルFPCのEMS(電気筋肉刺激)への適用検討も進んでいます。新たな用途として、自動車用シートに埋め込んだセンサからの信号引出しケーブルとしての評価も進んでいます。今後も新用途への適用検討を進めてまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は、
(3)ロール事業
事務機業界では、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、働き方改革によるリモートワークの進展、ペーパーレス化の加速等々、需要が減少しました。
事務機の開発トレンドは、高機能機種の更なるセキュリティー強化・ネットワーク機能拡充・高速化・高画質化・高耐久化・省エネ化を目指し機構変更やVE/VAを推進しています。
弊社は高機能部品に特化した製品群に焦点を絞り、新製品開発、顧客との協業開発に注力いたします。
併せて、品質向上、開発工期の短縮等、より安定した開発・生産体制の構築に努めてまいります。
なお、当事業に係る研究開発費は
(4)その他事業
潤滑剤関係では、自動車の電動化への対応に加え、半導体分野向け高機能フッ素グリースの製品開発を進めます。また、環境負荷の小さい溶剤を用いたコーティング剤や、生分解性原料を用いた新製品・新技術の研究開発に取り組んでいます。
なお、当事業に係る研究開発費は