当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
企業は株主・従業員・社会の三者の共有物である、というのがNOKグループの基本的考え方であります。これに顧客・仕入先・金融機関等を加えた利害関係者、いわゆるステイクホルダーの方々が誇りを持てる企業、それがNOKグループの目指すべき姿と考えております。そのためには、「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」ことにより高い収益力を持つ強い企業集団をつくりあげることが重要と考え、この考えに基づき事業経営を展開しております。
(2)目標とする経営指標
中長期的にはROA5%以上、自己資本比率50%以上を目標としております。しかし現在は収益力が落ち込んでいるため、自己資本比率以外は短期的な目標たりえず、まずは各セグメントでの売上高利益率の回復に専念したいと考えております。
(3)経営環境及び対処すべき課題等
今後の当社グループを取り巻く経営環境につきましては、新型コロナウイルスの影響による行動制限から経済活動が回復に向かう一方で、原材料価格・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ紛争をはじめとする地政学リスクや、一部で継続する半導体等の部品供給不足などにより、先行き不透明な状況となっております。
シール事業では、自動車向けについては、半導体等の部品供給不足は徐々に緩和され、国内外の生産も徐々に回復し、販売は増加する見込みです。一般産業機械向けについても、中国でのロックダウンが解除され、建設機械や農業機械向けを中心とした需要が堅調に推移すること等から、販売は増加する見込みです。一方で、原材料価格・エネルギー価格の高騰、地政学リスクによる影響等、外部環境の不透明感が強い状況が続くと見込まれているため、これらの懸念に対し継続して対処してまいります。また、安定した品質・安定した製品供給体制を維持するとともに、自動車の電動化等の中長期的な事業環境の変化に対応するべく、新事業・新商品の開拓にも取り組んでまいります。
電子部品事業では、自動車向けについては、シール事業と同様に中国のロックダウンからの回復や半導体等の部品供給不足が解消に向かい、需要が回復する見込みです。また、国内外での電動化の加速もあり、販売は増加する見込みです。スマートフォン向けは、買い替えサイクルの長期化により販売は横ばいとなる見込みです。ハードディスクドライブ向けについては、市場は縮小傾向にあるものの、データセンター向けの需要は回復する見込みです。引き続き、電動車向け製品のさらなる拡販等、需要変動の少ない事業領域を拡大することで変動の影響を受けにくい体質作りを進めるとともに、世界各地で拡大していく電動車需要に対しては地産地消の考え方をもとにした最適地生産を推進してまいります。
その他事業では、特殊潤滑剤は、自動車の減産等により一時的に販売が落ち込んでおりますが、徐々に回復する見込みです。事務機向け製品は、事務機市場の成長鈍化による需要減少に対応することが課題となっております。引き続き、生産性の改善や品質・コスト面での競争力、および収益の向上に取り組んでまいります。
また、当社グループを取り巻く中長期的な環境は、電動自動車をはじめとするテクノロジーの進化、環境規制の強化等、スピードを増して大きく変化しています。こうした中、自らも変革することで中長期にわたる持続的な成長と企業価値の向上を実現できる事業基盤を構築するため、本年度から2025年度までの3カ年を対象とした中期経営計画(2023年度から2025年度まで)を策定いたしました。計画は、「変革基盤の構築」を基本方針として、新たな成長ドライバーの創出を含む4つの重点取り組み項目を設定し、グローバルでの成長を目指します。
中期経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)
■基本方針
「変革基盤の構築」
本中期経営計画では、「変革基盤の構築」を基本方針とし、絶えず変革し続け、計画を達成します。
■重点取り組み項目
1.新たな成長ドライバーの創出
EV向け製品の機能別開発・拡販、グリーンエネルギー関連の製品開発・拡販、半導体装置向け製品の拡販
2.グローバル成長への事業運営体制の整備
監査等委員会設置会社への移行検討、取締役会のダイバーシティ拡充等、データ利活用の拡大・迅速化、ESG項目への着実な取り組み
3.多様な人財を活かす基盤の構築
新人事制度導入、人材育成への投資、DE&Iへの取り組み
4.経営資源の最適運用
適正価格による受注の徹底、資本政策の実行(①自己株式の取得、②配当方針をDOE(株主資本配当率) 2.5%以上に変更、③政策保有株式の売却)
[NOKグループ サステナビリティ基本方針]
NOKグループは、私たちのステークホルダーに経済的な利益をもたらすだけではなく、誇りを感じてもらえるような企業でありたいと願い、創業時から事業と共に社会への貢献に取り組んできました。
“可能性を技術で「カタチ」に”というパーパスには、まだ見ぬ可能性や多様性を、研究開発にもとづく独自技術で生み出される製品によって「カタチ」にし、人々の安全で快適な暮らしの土台を支えたいという、私たちの志が込められています。
地球環境や社会の課題に真摯に向き合い、自社の有する価値を活用し、サステナブルな社会の実現を目指していきます。
(1)サステナビリティ推進体制・ガバナンス
当社では、中長期的な視点から、様々な経営に関する方針を策定する組織として、取締役会の下に「ESG委員会」を設置しています。ESG委員会は、社長執行役員を委員長として、ESGそれぞれを主管する各本部長・室長で構成されております。委員会では、NOKグループの環境、社会、ガバナンスに関連する方針・目標設定や、目標に対する進捗状況の確認など、ESGを織り込んだ経営推進を行っています。
また、ESG委員会には、ESG施策の実践を推進するために、必要に応じて専門的に取り扱う分科会を設置しております。カーボンニュートラルに向けて全社的に取り組む「カーボンニュートラル分科会」、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、事業活動へのリスクや機会の把握、事業活動に反映させるための「気候変動シナリオ分析実践分科会」があります。
ESG委員会で審議された取り組みは、取締役会によるレビューを受ける仕組みとなっています。
(2)リスク管理
当社では、グループ全体に関わるリスク管理の基本方針や管理体制について「リスク管理規程」で定めています。その規程に基づき、社長執行役員をリスクマネジメント責任者とした管理体制を構築し、グループのリスク管理を推進しています。
気候変動関連のリスク・機会の評価・管理については、ESG委員会にて実施しています。下位組織の「気候変動シナリオ分析実践分科会」が社内関連組織と連携し、気候変動リスクや機会を抽出、事業影響への大きさや影響機関からそれらリスク・機会を選別します。選別した結果はESG委員会に上程され、評価・審議の後、対応策の検討および事業戦略に反映されます。重要なリスク・機会は、定期的に取締役会で報告されます。
(3)戦略と指標及び目標
当社では、気候変動が重要な課題と認識し、2022年4月に、金融安定理事会により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動が及ぼす事業活動へのリスクや機会を把握し、事業活動に反映させていくとともに、積極的な情報開示を行い、企業価値の向上に努めます。さらに、TCFDへの賛同を踏まえ、今後より一層の取り組み強化を図る考えです。
①戦略
気候変動は将来にわたって当社の財務に影響を及ぼす重要な経営課題と認識しています。その影響を評価し、気候変動対策を経営戦略に反映させるためにTCFD提言に則ってシナリオ分析を実施しました。気候変動が及ぼす事業への影響は、国際エネルギー機関(IEA)などのデータをもとに、4℃シナリオと2℃シナリオの2つで評価しました。
シナリオ分析の結果を踏まえ、NOKグループとして抽出されたリスク、機会への対応策を以下の通り検討し、推進していきます。また、引き続きシナリオ分析を拡充し、その分析結果を事業戦略や経営計画に反映させることで、当社経営戦略のレジリエンス向上を図っていきます。
②目標
当社では、気候変動への対策として「NOK Twin Green Plan2030」を策定し、CO2排出量削減と次世代エコ技術の開発を進めてきております。気候変動への対策を強化するため、2050年カーボンニュートラル達成を目指し、取り組みを進めていくとともに、今後も社会情勢を踏まえ、具体的な目標値の策定を進めてまいります。
(4)人的資本に関する取り組み
当社では、2023年度からの中期経営計画期間中に、「多様な人材を活かす基盤の構築」に取り組みます。重点取り組み項目として、新人事制度導入、人材育成への投資、DE&Iへの取り組みを推進します。
a. 新人事制度導入
一人ひとりが主体性やチャレンジ意欲を持ち会社への貢献と自身の成長を実感できること、貢献と処遇の連動の強化、多様な働き方の支援を柱とする新たな人事制度の2024年度導入に向けて検討を進めています。
また、今後増加が見込まれる再雇用従業員の更なる活躍推進を目的に再雇用制度の見直しを行います。
b. 人材育成への投資
それぞれの人材の資質・能力に応じた公平な育成機会を提供し、キャリア自律と多様性のある組織を構築するために、タレントマネジメントシステムの構築、選抜型の次世代リーダー育成制度、自由応募の研修制度の充実などの人材育成への投資にも取り組みます。
c. DE&Iへの取り組み
多様な人材が能力を発揮できる制度や組織風土への変革を行うために、女性をメンバーとするイニシアチブグループを立ち上げ、活動を開始しました。経営陣との直接対話を重ねて今後さまざまな施策を検討・推進します。
制度面では、フレックスタイム制度、在宅勤務制度の更なる拡充など、多様な人材が仕事と私生活の調和を図り更に能力を発揮できる環境整備に取り組みます。
d. 指標及び目標
当社がグローバルで成長していくには多様な視点や発想を持つ人材の活躍が不可欠ですが、特に日本国内において、女性管理職数が少ないという課題があります。また、キャリア志向に関する調査の結果、リーダーや専門職へのキャリアを志向する女性の割合が少ないという結果が出ています。女性従業員それぞれの能力・意欲に応じた職域の拡大・職掌の転換、キャリア形成に関する教育の実施、また、2024年度に導入する新人事制度では、複数のキャリアコースを設けて個々の強みを活かした自律的なキャリア形成を支援することで、これらの指標の目標達成を目指します。
また、2022年度にはエンゲージメントサーベイを実施しました。この中期経営計画期間中のエンゲージメントの目標スコアを定め、エンゲージメント向上に向けた取り組みを進めます。
|
|
2022年度末 |
2025年度末 |
2031年度末 |
|
女性管理職数 |
11名 |
20名 |
50名 |
※NOK単体及び主要な国内グループ会社
|
|
2022年度 調査時 |
2025年度 |
2031年度 |
|
リーダーや専門職へのキャリアを志向する女性の割合 |
20% |
30% |
50% |
|
エンゲージメントスコア |
65 |
72 |
- |
※NOK単体
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のものがあると考えております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社では、グループ全体に関わるリスク管理の基本方針や管理体制について「リスク管理規程」で定め、その規定に基づき、社長をリスクマネジメント責任者とした管理体制を構築し、グループのリスク管理を推進しています。当社の考える、会社経営に影響を及ぼす可能性がある事業等のリスクには、企業価値向上のためリスクとのバランスを図りつつリターンの最大化を図っていく「事業戦略リスク」と、企業価値の維持のためにその発生防止もしくは発生確率・損失の極小化を図るべき「損失発生リスク」があると考えています。更に前者の「事業戦略リスク」は、戦略リスク・投資リスク・市場リスクに区分し、後者の「損失発生リスク」は、法的リスク・カントリーリスク・災害リスク・信用リスクに区分してリスクマネジメントを実施しています。
「事業戦略リスク」については、グループの経営戦略を検討する会議にて、グループ会社における事業の推進、新規案件等でのリスクを把握し、最大のリターンが適時・適切に得られるよう審議を行なっています。「損失発生リスク」については、リスクマネジメント責任者を補佐する機関として、危機管理室長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、定期的にグループの当該リスクの洗い出し、分析、発生頻度(時期)や損失規模(損害額)を想定したリスクレベル評価による定量化を行ない、その重要性・緊急性を考慮し優先順位を付けて課題・対応策の検討を行なっています。
NOKグループ リスクマネジメント体制
(1)事業戦略リスク
①戦略リスク
a.顧客の業績への依存について
当社グループでは、シール製品及び電子機器部品の製造・販売が事業の大部分を占めており、これらの分野においては国内外の主要な自動車メーカー、建機メーカー、及び電子機器メーカー等を主な得意先としております。これらの顧客企業への売上は、その顧客企業の業績や予期しない契約の変更等、当社グループにて管理できない要因により影響を受ける可能性があります。このような顧客への売上減少により当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。当社グループではバランスの取れた顧客構成を志向し、当該顧客企業への売上減少のリスクが最小限となるよう努めております。
b.他企業との提携について
当社グループは、事業を展開する上で、他社と様々な提携活動を行っておりますが、提携先固有の事情による提携の解消等、当社グループで管理できない要因により業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
とりわけ、当社は1960年よりフロイデンベルグ社(以下同社)との間で、資本及び技術提携を行っており、当社グループの事業展開において、同社(グループ企業含む)は、パートナー企業として重要な位置付けを有しております。
現在同社は、投資会社であるフロイデンベルグ・エス・エーを通じて当社発行済株式の25.1%を保有する筆頭株主であり、1960年の提携以降、同社との関係は継続しております。今後においても、同社との提携関係は安定的に継続していくものと当社グループは認識しておりますが、同社との提携関係又は同社の事業戦略等に変化が生じた場合においては、当社グループの事業に対して影響を及ぼす可能性があります。
②投資リスク
a.需要動向の変化による影響について
当社グループの主要製品であるオイルシール等については、主に内燃機関(エンジン)に用いられるものでありますが、近年においては燃料電池自動車、及び電気自動車も市場投入されております。そのため当社グループでは将来の普及に備え、燃料電池自動車や電気自動車に搭載可能な新製品等に関する研究開発も進めております。しかしながら、現時点において将来、燃料電池自動車、及び電気自動車の普及が当社グループの業績及び財務状況に与える影響を見通すことは困難であります。
また、自動車、建機、電子機器製品、及び事務機のコモディティ化の流れの中で、新興国等での現地メーカーの台頭もあり、今後より一層の競争激化とそれに起因する価格下落が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③市場リスク
a.為替変動の影響について
当社グループの当期連結売上高に占める海外売上高比率は約7割であり、各地域における為替動向が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、当社グループの業績及び財務状況は為替変動の影響を受ける可能性があります。
b.金利変動の影響について
当社グループは、資金需要、調達手段、及び金融情勢を勘案し資金調達をしておりますが、金融情勢の変化により調達金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
c.株式市場の動向による影響について
国内外の株式市場の動向は、当社が保有する投資有価証券の評価額、及び当社グループの年金資産の運用状況に影響を及ぼします。株式市場が低迷した場合、投資有価証券の評価損が発生する可能性、及び年金資産が目減りし、会社負担が増大する可能性があります。
d.原材料の価格変動について
当社グループの製品の主要原材料である鋼板・合成ゴム・銅箔・樹脂フィルム・金等の価格は、需給動向等により変動しております。これら原材料価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、原材料価格の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。原材料価格変動の状況を鑑み、当社グループでは原材料を安定且つ継続的に供給いただける事業パートナーを国内に限らず広く世界中に求めております。
(2)損失発生リスク
「損失発生リスク」については、会社経営に重大な影響を及ぼす可能性のある危機の種類、及びそれを発生させる原因に基づき下記の通り区分を行なっております。
<会社経営に重大な影響を及ぼす可能性がある危機・リスク区分>
|
危機の種類 |
原因 |
リスク区分 |
|
操業停止 |
火災・爆発 |
・災害リスク ・カントリーリスク |
|
自然災害(地震・水害等) |
||
|
病気(新型コロナウイルス、新型インフルエンザ、SARS等) |
||
|
材料供給停止 |
||
|
不法な業務妨害 |
||
|
ライフライン途絶 |
||
|
法令違反等の発生 |
司法(犯罪・利益供与等) |
・法的リスク ・信用リスク |
|
税務(税法違反等) |
||
|
会社法・金融商品取引法(株主代表訴訟等) |
||
|
環境(汚染等) |
||
|
労働法(労基法違反・セクハラ等) |
||
|
従業員の死亡、重大な障害の発生、又はその恐れがある場合 |
労働災害 |
・災害リスク ・カントリーリスク |
|
交通事故 |
||
|
自然災害(地震・水害・火山噴火等) |
||
|
火災・爆発 |
||
|
海外での戦争・暴動・テロ・誘拐等 |
||
|
訴訟 |
・法的リスク |
|
|
その他会社に重大な影響を及ぼす事項 |
重要な機密情報の紛失・漏洩 |
・信用リスク |
|
重大な品質問題 |
・信用リスク |
|
|
その他 |
・各種リスク |
|
各本社機能部門(業務統括部門)は、想定される各リスクの評価について、予防対策を行なう前の素のリスクのことを「固有リスク」として、発生頻度を1年あたりの平均発生回数をもとに4段階で評点化し、それに損失規模を1回あたりの損害金額(直接の経済的損失額)をもとに5段階で評点化したものを乗じて算出しています。また、予防対策(ソフト面・ハード面)、保険・その他のヘッジについて有効性の評価(4段階にて評点化)を行ない、「固有リスク」からそれを除したものを対策後の「残余リスク」※1として定量評価を実施しています。この「固有リスク」と「残余リスク」の評点を踏まえ重要性・緊急性を考慮し、抑え込みたいリスク項目に優先順位付けを行ない、重要なリスクについては各部門にてリスク管理項目に掲げて対策を実施しています。また、定期的に各リスク項目の評価を行ない、管理項目および対策内容の見直しを実施し、継続的にリスク管理を行なっております。
(注)※1:残余リスク = 固有リスク(発生頻度×損失規模)- 対策の有効性
各区分における重要なリスクが現実化し損失が発生する可能性、ならびに現在実施している予防対策・リスクヘッジは以下の通りです。
①法的リスク
a.法的規制等の影響について
当社グループは、事業を展開する各国において様々な法規制の適用を受けております。法令に準じた社内規程やマニュアルの整備、各種教育によるコンプライアンス意識の醸成・周知徹底、外部専門家との連携体制の構築を図っておりますが、将来においてこれらの法規制が改正・強化された場合、新たな規制を遵守するために発生する追加コストの負担は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
b.訴訟その他の法的手続にかかわるリスクについて
当社グループが、各国で事業を遂行する上で、グループ内部統制の体制の整備、外部専門家との連携体制の構築、各種保険への加入等によるリスクヘッジを行なっておりますが、訴訟や規制当局による措置その他の法的手続の当事者となる可能性があります。これらの法的手続の結果、当社グループに対して金銭的な賦課や事業遂行に関する制約が課された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
c.知的財産権侵害の影響について
当社グループは、特許権その他の知的財産権の取得により自社の保有技術を保護すると共に、第三者の知的財産権に対する侵害の予防にも注意を払っております。しかし、国情の相違等から当社グループの知的財産権の保護が十分に得られず販売減少や訴訟費用が発生した場合や、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害したために販売中止や賠償金支払が必要となった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
d.環境規制が及ぼす影響について
当社グループは、各拠点における環境関連法令を遵守し、かつ顧客からの環境に関わる要請に対応するために必要な処置を講じておりますが、将来において法令や顧客要請が強化される、環境責任が発生する、事業活動が制約を受ける等の可能性があります。その対応の費用が多額となる場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
②カントリーリスク
a.政治経済情勢について
当社グループは、日本、北米、欧州、中国、その他アジア諸国等において事業を展開しております。そのため、当社グループが製品を製造・販売している国や地域の政治情勢や経済状況の変動により、当社グループの業績及び財務状況は影響を受ける可能性があります。
③災害リスク
a.自然災害等について
当社グループは、地震・台風・洪水・火山の噴火等の自然災害や火災等の事故の発生により、当社グループの生産活動や物流活動に支障をきたす事態に備えて、生産拠点の分散化や安全対策を行い事業継続のためにリスクの最小化に努めており、また各種保険の加入等によりリスクヘッジを行っております。しかしながら、これらの事態の発生を完全に防止または軽減することができない可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
b.感染症等について
当社グループは、感染症等のパンデミックによる生産活動や物流活動に支障をきたす事態に備えて、生産拠点の分散化や安全対策を行い事業継続のためにリスクの最小化に努めております。
その中でも、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大以降、対応マニュアルの策定、在宅勤務や時差出勤等の実施、リモートワークツール等の活用により業務を継続できる環境を確保する等、各種対策を講じて新型コロナウイルス感染症の影響の極小化を図っています。国での感染症法上の扱いが見直される等、徐々に収束に向かう兆候は見られますが、今後の状況により再び感染拡大または長期化した場合は、当社グループを取 巻く経済環境または事業環境が悪化することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④信用リスク
a.情報流出の影響について
当社グループは、事業を遂行する上で、技術情報や個人情報等の機密情報を有しております。これらの情報の外部流出防止のため社内体制・手続を構築しておりますが、予期せぬ事態により情報が外部に流出した場合、社会的信用の低下や賠償金支払等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
b.サイバー攻撃等の影響について
当社グループは、悪意のあるサイバー攻撃等による、操業停止、重要データの喪失、情報漏洩に対して、外部機関等を活用した調査・予防措置を実施しておりますが、未知の方法のサイバー攻撃により操業に影響を及ぼす可能性があります。
c.製品の品質問題が及ぼす影響について
当社グループは、各生産拠点において世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しておりますが、予測できない原因による製品の品質不具合の発生を皆無にすることは困難であります。万が一大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の不具合が発生した場合、多大な対応コストや社会的信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各リスクに対する上記の予防対策にもかかわらず、顕在化された「損失発生リスク」が会社経営に重大な影響を及ぼす緊急事態が発生した場合は、直ちに緊急対策本部を設置しグループ全体で迅速に対応を行うことにより、可能な限り事業継続を図り、顧客等のステークホルダーへの影響を最小化することに努めています。
また、当社グループの事業の継続に障害となる事象(災害リスク)が発生した場合に、事業継続を確実にすると共に事業継続活動を継続的、かつ効果的に推進するための「事業継続マネジメントシステム」を構築し、その推進機関である「NOKグループBCM委員会」を設置して、事業継続計画(BCP)の立案、及び事業継続マネジメント(BCM)活動を推進しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国を取り巻く経済環境は、新型コロナウイルス感染拡大による中国でのロックダウンや半導体等の部品供給不足の影響で経済活動が一時収縮するも、段階的に持ち直しの動きがみられました。しかしながら、原材料価格・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクや、一部で継続する半導体等の部品供給不足等により、先行き不透明な状況が続いております。
自動車業界は、中国のロックダウン、半導体等の部品供給不足の影響により国内外の生産が一時落ち込んだものの、足元では緩やかな回復基調にあります。しかしながら、未だ半導体等の部品供給不足の影響は継続しており、先行き不透明な状況となっております。
電子機器業界は、中国での二度に及ぶロックダウンにより、スマートフォンの需要は減少しました。また、ハードディスクドライブについても需要は減少しました。
このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、862,750百万円となり、前連結会計年度末対比で5,426百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金と受取手形及び売掛金が減少したものの、棚卸資産、有形固定資産と退職給付に係る資産が増加したことによるものです。
負債合計は、285,404百万円となり、前連結会計年度末対比17,564百万円の減少となりました。これは主に、繰延税金負債が増加したものの、買掛金、未払法人税等と退職給付に係る負債が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末対比22,991百万円増の577,346百万円となり、自己資本比率は60.6%となりました。これは主に、配当の支払はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等で利益剰余金が増加したことや為替相場の変動に伴い為替換算調整勘定が増加したこと、割引率の上昇に伴い退職給付に係る調整累計額が増加したことによるものです。
b.経営成績
当社の経営成績は以下のとおりであります。
シール事業におきましては、自動車向けは、中国のロックダウン、半導体等の部品供給不足の影響はあったものの、為替変動や原材料価格・エネルギー価格の高騰に伴う売価転嫁の影響が大きく、販売は増加しました。一般産業機械向けにおきましては、建設機械向けを中心に中国のロックダウンの影響があったものの、国内の工作装置向け等の需要は堅調に推移しました。また、為替変動や原材料価格・エネルギー価格の高騰に伴う売価転嫁の影響により、販売は増加しました。しかしながら、全体を通して、為替影響と売価転嫁の影響を除くと、実質の売上高は減少しました。
その結果、売上高は347,066百万円(前年同期比3.2%の増収)となりました。営業利益は、売価転嫁を上回る原材料価格並びにエネルギー価格の高騰等により、17,885百万円(前年同期比49.6%の減益)となりました。
電子部品事業におきましては、自動車向けは、中国のロックダウン、ロシア・ウクライナ情勢の影響、半導体等の部品供給不足の影響はあったものの、需要は増加しました。スマートフォン向けは、中国の一部都市における新たなロックダウンの影響で、需要は減少しました。 また、ハードディスクドライブ向けの需要についても減少しました。全体を通して販売は増加したものの、為替変動の影響が大きく、実質の売上高は減少しました。
その結果、売上高は、334,523百万円(前年同期比4.2%の増収)となりました。営業損失は、人件費の削減、為替変動の影響により、3,712百万円(前年同期は5,040百万円の営業損失)となりました。
その他事業におきましては、自動車の減産に伴い特殊潤滑剤の需要は減少したものの、事務機向け製品の需要回復、および為替変動の影響が大きく、販売は増加しました。
その結果、売上高は28,366百万円(前年同期比11.8%の増収)となりました。営業利益は1,200百万円(前年同期比34.3%の増益)となりました。
以上の結果、当社グループの経営成績は、売上高は709,956百万円(前年同期比4.0%の増収)、営業利益は15,378百万円(前年同期比50.9%の減益)、経常利益は26,557百万円(前年同期比42.5%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は13,320百万円(前年同期比48.4%の減益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ7,130百万円減少し104,117百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動の結果、得られた資金は、46,030百万円(前年同期比16.3%の減少)となりました。これは、運転資金の増加があったものの、非資金取引である減価償却費と税金等調整前当期純利益を計上したことが主たる要因です。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動の結果、使用した資金は、35,159百万円(前年同期比7.4%の減少)となりました。これは、保有株式の売却があったものの、コロナ禍の影響を鑑み圧縮していた投資を徐々に緩和したことが主たる要因です。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動の結果、使用した資金は、21,441百万円(前年同期比33.1%の減少)となりました。これは、自己株式の取得と配当金の支払が主たる原因です。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール事業 |
347,746 |
99.9 |
|
電子部品事業 |
336,864 |
103.9 |
|
その他事業 |
28,100 |
110.1 |
|
合計 |
712,712 |
102.1 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。
b.受注実績
当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール事業 |
347,066 |
103.2 |
|
電子部品事業 |
334,523 |
104.2 |
|
その他事業 |
28,366 |
111.8 |
|
合計 |
709,956 |
104.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
Apple Inc. |
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
102,233 |
15.0 |
108,397 |
15.3 |
|
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの状況は、新型コロナウイルス感染拡大による中国でのロックダウンや半導体等の部品供給不足の影響で経済活動が一時収縮しましたが、段階的に持ち直しの動きがみられ、売上高は前年比増収となりました。しかしながら、シール事業、電子部品事業共に為替変動の影響を除く実質は前年同期比で減収になります。また、原材料価格・エネルギー価格の高騰の影響を受け、営業利益は前年対比で減益となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
シール事業におきましては、自動車向け製品は、中国のロックダウン、半導体等の部品供給不足の影響はあったものの、為替変動や原材料価格・エネルギー価格の高騰に伴う売価転嫁の影響が大きく、前年同期比で増収となりました。営業利益は、売価転嫁を上回る原材料価格並びにエネルギー価格の高騰等により、前年同期比で減益となりました。販売増と適正価格の受注徹底による収益性向上を推進します。
電子部品事業におきましては、スマートフォン向け製品は、中国の一部都市における新たなロックダウンの影響で需要は減少したものの、為替変動や自動車向け製品の需要の増加を受け、売上高は前年同期比で増収となりました。営業損失については、人件費の削減、為替変動の影響により、前年同期比で赤字幅は縮小しました。構造改革を引き続き進めるとともに、電動車向け製品の販売増により、黒字転換を目指します。
また、当社では引き続き新商品・新事業創出について力を入れております。当期は、複合材料を使用した放熱材を主力製品とするFJコンポジット株式会社への出資を実行いたしました。今回の出資により、E-mobility、通信設備など幅広い分野での事業展開が期待されるFJコンポジット社とのシナジーを生み、将来的にはNOKのE-mobilityや熱マネジメント領域の製品開発などにつなげて参ります。自社独自開発に加えて外部協業を進めることで今後も引き続き新商品・新事業創出に注力していきます。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」で述べましたとおり、以下が主なものとなります。
a. 顧客の業績への依存
b. 他企業との提携
c. 需要動向の変化による影響
d. 為替変動の影響
e. 金利変動の影響
f. 株式市場の動向による影響
g. 原材料の価格変動
h. 法的規制等の影響
i. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク
j. 知的財産権侵害の影響
k. 環境規制が及ぼす影響
l. 政治経済情勢による影響
m. 自然災害等による影響
n. 感染症等による影響
o. 情報流出の影響
p. サイバー攻撃等の影響
q. 製品の品質問題が及ぼす影響
当社グループでは、ますます拡大する海外事業の適切な管理や新商品開発による販売強化、品質力のさらなる向上、自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の運用、業務の効率化、デジタル化の推進、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、取り組んでおります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループを取り巻く中長期的な環境は、電動自動車をはじめとするテクノロジーの進化、環境規制の強化等、スピードを増して大きく変化しています。こうした中、自らも変革することで中長期にわたる持続的な成長と企業価値の向上を実現できる事業基盤を構築するため、当社は、社会における存在意義を表すパーパス(Our Purpose)と社員の信条や行動指針となる4つのバリュー(Our Values)を定めました。
パーパス・バリューは、従来の「経営理念」を現在の社会環境と照らし合わせて再考し、策定しました。これを、日本をはじめグローバルの全社員と共有し、よりよい企業風土を醸成していきます。グループ全体として共通の価値観を持ち、社会に拓かれた未来のために、NOKは変革を推進します。
また、当社グループでは、2023-2025 NOKグループ中期経営計画を策定しております。最終年度の目標として、収益性を表す指標としてROIC6.5%、ROA4.6%、ROE8.0%、経営の安全性を表す指標として自己資本比率57.6%を目標としております。
■主要計数項目
|
項目 |
2023年3月期 |
2026年3月期目標 |
|
売上高 |
7,100億円 |
8,450億円 |
|
営業利益 |
154億円 |
575億円 |
|
営業利益率 |
2.2% |
6.8% |
|
ROIC |
1.9% |
6.5% |
|
ROA |
1.5% |
4.6% |
|
自己資本比率 |
60.6% |
57.6% |
|
ROE |
2.6% |
8.0% |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.契約債務
2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
|
年度別要支払額(百万円) |
||||
|
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
54,329 |
54,329 |
- |
- |
- |
|
長期借入金 |
17,526 |
- |
10,575 |
6,950 |
- |
|
リース債務 |
2,362 |
623 |
830 |
280 |
628 |
c.財務政策
財務政策としては、良好な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために経営資源を配分することを基本方針としており、具体的な指標としてROA5%以上、自己資本比率50%以上の水準を中長期的な目標としております。
経営資源の配分については、安定的な経営に必要な手元現預金水準を維持しつつ、設備投資等、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
設備投資等は、将来にわたり長期安定的な利益を生み出すため、新商品・新事業創出への対応や、付加価値の内部取り込みといった目的の投資の他、品質向上及び省人化の投資、また計画的な設備の老朽化更新といった投資が主な内容となっております。
各年度の設備投資額はフリーキャッシュ・フロー黒字の範囲内を原則とし、十分な水準の手元流動性を確保するよう努めておりますが、不足する運転資金、設備投資資金については金融機関からの借入により調達しております。
株主還元については、中長期的な業績に対応して一定水準の安定した配当を継続することが大切であると考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)が締結している重要な契約は次のとおりであります。
提出会社
①技術提携契約
|
相手先 |
国名 |
内容 |
契約日 |
|
フロイデンベルグ社 |
ドイツ 連邦共和国 |
オイルシール、Oリング等のシール製品及びそれに関連する技術の共同開発 |
2017年12月21日 |
②合弁契約
|
相手先 |
国名 |
内容 |
合弁会社名 |
契約日 |
|
フロイデンベルグ社 |
ドイツ 連邦共和国 |
米国子会社(NOK Inc.)とフロイデンベルグ社の米国子会社によるオイルシール、Oリング等のシール製品並びに関連製品事業の合弁 |
フロイデンベルグ NOK GP |
1989年3月23日 |
当社グループは、当社及び連結子会社の各技術部門を中心に、相互連携を図りながら、担当分野に係る新技術・新製品等の開発活動を進めております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)シール事業
「環境」、「安全」及び「自動運転」対応を重点として、継続的に技術・製品開発を進めております。
環境関連では、低摩擦損失による省エネルギー効果に寄与する製品、電気自動車(EV)・ハイブリッド(HEV)・燃料電池自動車(FCV)に対応するクリーンな製品の開発を進めております。
安全や自動運転対応では、自動車制動関連の製品や電子部品との複合等による高付加価値製品の開発に取り組んでおります。
オイルシールは、サステナブル社会の実現に向け,環境負荷低減に向けた新商品開発や、低フリクション技術の応用によるネジ付きシールでの長寿命化など、e-Mobility・ロボット用減速機をはじめ、建機・農機用シールへ環境配慮設計の適用を進めております。
ラバーオンリー製品においては、バイオマス由来原料を使用したエチレンプロピレンゴムを開発し、Oリングカタログにシリーズ化致しました。また、CV/EV/HEV/FCVの各種ニーズにお応えし、低燃費、寿命向上、難燃性等、お客様の機能向上につながる製品開発を進め、カーボンニュートラルに対する貢献を目指しております。
自動車用自動変速機の回転軸用シールリングにおいては、アイドリングストップ車に対応した低リークシールリングCS-Ringを開発し、従来品対比で最大80%の低リーク効果がある製品を市場投入しております。低リークに加えて低トルクの仕様開発も進めており、更なる省燃費・省電費に貢献するシールの開発を進めております。
新商品関連では、EV/HEV/FCVに代表されるエコカーのニーズに対し、従来のシール製品群に加え、電子機器や電動ユニット向けにFPC一体シール部品、および放熱をサポートする熱伝導性部品の販売を開始しました。さらに、燃料電池の中核を成すスタック向けに低反力・省スペースのシール部品を開発し、一部顧客向けに量産しております。また、自動運転に代表される先進運転支援システム(ADAS)の中では、ドライバモニタリング技術も必要とされており、我々の開発した生体信号を測定できるゴム電極は心電、筋電位、脳波等のモニタリングが可能であり、運転者の疲労や眠気の検知への利用が期待されています。
自動車以外の分野においては、「環境・エネルギー」、「情報通信」及び「ライフサイエンス」市場に注目しており、ゴムや樹脂のモールド技術を用いて耐候性や耐衝撃性を向上させた物品管理用ICタグや、医療・バイオ分野に向けた解析評価用のデバイスなど、より付加価値の高い製品開発を進めております。
化学合成品関係では、環境負荷の低減に対応した素材の開発や、機能性化学製品の開発とそれらの新規製造法を検討するとともに、生産プロセス面からも資源・省エネルギーや環境に配慮した商品開発を推進しております。
なお、当事業に係る研究開発費は
(2)電子部品事業
成長電子市場である、自動車・小型携帯電子機器・GX・ヘルスケアの各分野に向けたフレキシブル配線板(FPC)の新商品開発を推進しております。
自動車向けには、拡大する電動車両向けの商品開発を推進しております。BEV、HEVに搭載されます駆動用バッテリー向けに、電圧監視FPCおよびそのモジュール製品の商品化を行い、欧州、アジアに次いで国内でも量産を開始しました。今後、バッテリーの大型化や急激な需要増に対応するため生産設備の改良も行ってまいります。
また、BEV向けにエンジン熱源の代わりとして低消費電力の薄型FPC製ヒーターの量産を開始し、自動運転に使われますLiDAR向けには耐油性、低湿度透過、電磁波シールドの機能を付与したガスケット一体FPCの量産を開始しました。どちらも、今後の拡大が期待されており、横展開を進めております。
新しい取り組みとしては、電動車両には不可欠なパワーデバイス向けのFPCを開発しております。従来、FPCは信号レベルの伝達のため低電圧、小電流での使用でしたが、パワーデバイスに接続される配線は、高電圧・大電流の要求があり、従来のFPC材料は使用不可能でした。弊社は、高電圧、大電流用のFPC材料の開発を進め、パワーデバイスユニットの開発に寄与してまいります。
小型携帯電子機器については、5Gにより高速・大容量通信が開始されたことから高速伝送FPCを商品化しております。これは、5G用チップセットメーカーからサプライヤー認定を受け、アンテナと回路間の接続用アンテナケーブルを商品化しました。
また、お客様の要望に応じFPC材料としてMPI(モディファイドポリイミド)、LCP(液晶ポリマー)をラインナップ化し、5Gのボリュームゾーンである「SUB-6」から「ミリ波帯」の製品を提供しております。さらに50GHz以上の「超高周波帯」においては、上記材料では達成できない低損失や小型電子機器の省エネルギー化要求に対して、フッ素系材料を適用したFPCを提案しております。これら設計が難しい超高周波帯のFPCに対しては、弊社で蓄積したノウハウを活用した材料技術・電磁界解析技術により、効率的で競争力ある設計提案を行っていきます。これらの材料は、高速化が進むUSB・カメラ・ディスプレイなどのデジタル信号伝送用途への展開により、アンテナケーブル以外でも適用を広げていくことができる見込みです。
GX分野においては、廃温水や廃熱などを熱源とした熱電発電向けに、配管に沿う耐熱性を兼ね備えた熱伝導性の高いFPCを開発しております。本開発品には、独自材料により熱源の熱を熱電変換素子に効率よく伝えられる高熱伝導素材が使用されており、お客様製品の性能向上に寄与しております。
ヘルスケア分野については、当社が世界に先駆けて量産実現した伸縮FPCによる脳波取得用センサシートの高付加価値化として、人体への装着性の改善や新規生体導通材料である導電性粘着剤の適用に向けた開発に取り組んでおり、販売規模の拡大を目指しております。
また、この伸縮FPCを応用したEMS(電気筋肉刺激)用の電極シートについても昨年度から開発が進展し、本年度中の量産化に向けて準備を進めております。
上記伸縮FPCとは別に、要介護者のオムツ内で排尿を検知するセンサデバイスの開発も進めており、これまでに介護現場の実態を踏まえた実証試験や開発へのフィードバックを行ってまいりました。現在、商品の完成度を高めているとともに、ビジネスモデルの構築について検討しております。
なお、当事業に係る研究開発費は、
(3)その他事業
事務機業界では、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が徐々に緩和した影響で、一時的に需要は増加しましたが、働き方改革によるリモートワーク、ペーパーレス化が定着し、今後の需要は徐々に減少する見通しです。事務機の開発トレンドは、高速化・高画質化・高耐久化・省エネ化を目的とした機構変更や原価低減の他、近い将来の環境規制強化に対応した製品開発を推進しています。弊社は高機能部品に特化した製品群に焦点を絞り、新製品開発、顧客との協業開発に注力いたします。併せて、品質向上、開発工期の短縮等、より安定した開発・生産体制の構築に努めてまいります。
潤滑剤関係では、電動車・軸受・半導体分野向けと、環境対応型特殊潤滑剤(生分解性、バイオ素材、VOCフリー等)の製品化に加えて、次世代エネルギー関連分野向けを含め、持続可能な社会に貢献するための製品・新技術の研究開発に取り組んでいます。
なお、当事業に係る研究開発費は