第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、1937年の創業以来、常にお客様第一を考え、最適な製品を提供し、競争力ある提案型企業を目指した経営活動を推進しております。創業の精神であります「常に今よりも高きものに」のもと、駆動系製品の専門メーカーとして「魅力ある商品」を創造し、お客様の期待を超えるパートナーを目指すとともに、企業理念である「わたくしたちは、人間尊重をもとに、たえまない革新を通じ、人々の幸せづくりに貢献します」を常に心がけ、事業活動を通じて社会課題を解決することで、産業界の発展と国際社会に貢献できることを経営の基本としております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 中期経営戦略につきましては、持続的な成長と中期的な企業価値の向上のためにVision2030として『ものつくりを通じたことつくりで社会に貢献する』を目指し、激化する事業環境で勝ち残るために、挑戦と失敗からの学びを得て成長し、1.「既存事業領域での競争力向上と事業の拡大」、2.「新規事業の創造」3.「企業基盤の強化」に取り組んでまいります。

 これらの施策を推進するために顧客価値向上、市場ニーズへの適合、競争相手に対し差別化した商品・技術開発の強化、ものつくり力の強化を行い、顧客重視の提案型ビジネスの確立を推進してまいります。また、激しく早く変化する経済環境、事業環境に追従していくため、経営判断と執行のスピードアップを図り、効果的・効率的な企業運営を推進してまいります。

 今後も、中・長期を見据えたグローバル経営としての将来に向けた更なる「経営革新」を図り、当社グループ一丸による企業価値向上に取り組んでまいります。

 

 

(3)優先的に対処すべき課題

 企業の持続的な成長と中期的な企業価値向上のため、気候変動リスクへの対応や労働環境の改善及び地域社会への貢献など、事業を通じた社会課題解決への貢献が求められています。とりわけ気候変動リスクについては、各国・各地域で脱炭素社会の実現に向け取り組みを強化していますが、環境規制の方針転換は企業に与える影響が大きく、社会情勢を注視していく必要があります。

 自動車部品業界においては、カーボンニュートラルの達成に向けて車両の電動化など様々な技術開発が行われ、市場のニーズは多様化しています。また、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の削減にも取り組んでおり、事業環境が大きく変化しています。

 直近の経済状況については、ウクライナおよび中東情勢は収束の目処は立たず、世界的な物価高・賃金上昇は継続し、中国経済の減速傾向も続くものと予測されます。加えて米国通商政策の実施により、世界経済の不透明感はこれまでになく高まっており、今後も続くものと予測されます。

 当社グループは、このような事業環境の変化を成長機会と捉え、持続的な成長と継続的な企業価値向上のために、創業の精神である『常に今よりも高きものに』と共に、Vision2030として『ものつくりを通じたことつくりで社会に貢献する』を挑戦と失敗からの学びを得て成長しながら目指し、環境・社会・ガバナンスに配慮し、企業継続の障害となる潜在リスクの対応から企業価値創造への発展を図るため以下の3点の課題に継続して取り組んでまいります。

 

1.既存事業領域での競争力向上と事業の拡大

既存資産の有効活用と生産拠点に適したプロセス設計による『ものつくり競争力の向上』と『各生産拠点における自律的な経営』により既存商品の競争力と収益力の向上に取り組み、お客様ニーズに対して、商品、技術開発力(ソリューション)による『お客様への提案型アプローチ』により、隣接市場を含めて既存事業のさらなる成長に取り組んでおります。

2.新規事業の創造

『市場の困り事を技術と発想で解決する』ことにより、新たな提供価値の事業化を目指してまいります。この活動は社内精鋭チームにより推進し、挑戦する企業文化を醸成いたします。また、『1.既存事業領域での競争力向上と事業の拡大』と合わせて事業ポートフォリオの転換に取り組んでおります。

3.企業基盤の強化

当グループ全体のカーボンニュートラル、データドリブン経営を実現するためのAI活用と業務変革、外部環境や顧客ニーズの変化に対応できる人事戦略の推進により、ステークホルダーからの期待や要請に事業を通じて応えるためのサステナビリティ経営に取組んでまいります。

 

 なお、推進にあたっては経営判断と執行のスピードアップにより効果的な企業運営を図るとともに、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、透明性、健全性を更に高める活動の推進に努めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、会社経営の基本方針として企業理念である「わたくしたちは、人間尊重をもとに、たえまない革新を通じ、人々の幸せづくりに貢献します」の基、事業活動を通じて社会課題を解決していくことが持続的な成長と中期的な企業価値の向上につながるものと考え、2030年に向けての進むべき方向としてVision2030を策定して取り組んでまいります。Vision2030において、サステナビリティに関し気候変動リスク及び人的資本について以下の取組みを実施してまいります。

 

(1)気候変動リスクについて

 当社グループは、「環境理念」並びに「環境方針」を定め、経営活動と一体となった環境活動目標・実行計画を策定して取り組んでいます。

「環境理念」 株式会社ユニバンスは、環境保全が人類共通の最重要課題の一つであると認識し、企業活動のあらゆる面で地球環境の保全に配慮して行動します。

「環境方針」 当社グループは、 将来世代へより良い地球環境を引き継ぐため、環境に優しい「ものつくり」を追求し、企業活動と地球環境の調和を図っていきます。

1 ルールを守り、地球環境に配慮した企業活動を行います。

2 資源、エネルギー等の使用を最小限にします。

3 環境リスクを抽出し、未然防止を継続的に行います。

①ガバナンス

 環境活動推進体制は環境管理責任者を中心とした環境会議にてグローバルに推進し、活動内容については、環境マネジメントシステムに基づいて、社長によるトップマネジメントレビューの他、認証機関による外部レビューを定期的に行い、進捗と管理を行っております。

②戦略

 当社グループは、「環境方針」に基づき、良き企業市民として安全に、安心して、安定的に地域雇用の創出と共生を推進していきたいと考えています。「自然と環境に配慮したきれいなまち KOSAI」として、事業活動に適用される環境法規制を遵守するために、常に適切な監視と未然防止を意識した環境活動を推進しております。なお、環境法規制の遵守、環境改善活動、技術による環境への貢献、地域活動への取り組みの各活動内容につきましては、当社ウェブサイトの環境報告書(URL https://www.uvc.co.jp/)に記載しております。

③リスク管理

 環境関連の活動について環境マネジメントシステムに基づいたガバナンス体制でリスク管理を行っております。気候変動リスクと機会に関する活動として、〇省エネ推進、〇ライフサイクルアセスメントの推進、〇再エネ導入推進、〇サプライチェーンにおけるCO₂削減推進 を着実に取り組んでおります。

④指標及び目標

・2030年度 カーボンハーフ達成(グループ全体 2012年度比 CO排出量50%削減)

・2050年度 カーボンニュートラル達成(グループ全体)

⑤活動実績

 CO排出量削減率: 2012年度比 ▲52% (計画達成率158%)

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(2)人的資本について

 当社グループは、Vision2030の実現に向けて、「価値創造」を軸とした商売つくりへの転換を図っています。こうした変革を支えるには、社員一人ひとりが企業の目的に共感し、自らの能力を発揮し、納得感ある処遇を得られる仕組みが不可欠と考えます。

①戦略

・「目的と能力」の適合を基にした人材マネジメントの強化

社員一人ひとりの意思や意欲と企業の目的との適合を重視し、個々の能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進します。

・性別・ライフステージに関わらない両立支援

仕事と育児・介護等の両立が可能な柔軟な働き方や福利厚生制度を整備し、あらゆる社員が安心して働ける職場環境を構築します。

・多様性を活かした採用・登用の推進

価値創造に資する多様な人材の採用を強化し、女性・外国人・キャリア人材の積極登用に取り組みます。

②指標及び目標

指標

目標

(実績)

「目的と能力」の適合を実現するための施策の実施

随時実施

仕事と育児や介護との両立を支援するための施策の実施および福利厚生制度の見直し

随時実施

新卒採用における女性比率

15以上を継続

(実績:2024年度 21.1%)

新卒採用における外国人比率

15以上を継続

(実績:2024年度 47.4%)

キャリア採用強化のための施策の実施

随時実施

③2024年度活動実績

・管理職層を対象として、個々人の経験・スキルの見える化に向けた取り組みを開始

・60歳定年以降もより活躍を促すため、「定年後の一律的な賃金見直し」から、定年時評価および個々人のキャリア志向を考慮した柔軟な再雇用制度へと転換

・キャリア採用の強化にあたり現行の制度や運用に捉われず、個々人の事情に応じた柔軟な雇用条件や契約形態を導入

(注)連結グループで人材育成・社内環境整備の取組みを行っていますが、指標の目標化、管理を行っているのは提出会社のみであり、記載された指標と目標及び実績は提出会社によるものです。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)自動車部品業界の構造変化、電動化技術の革新について

当社グループは、自動車部品の製造・販売を主な事業としております。全世界的な気候変動リスク対応として自動車業界は電動化に向けさまざまな技術開発が推進され、また市場のニーズも多様化していることから、自動車業界の構造変化が進み、当社グループの既存商品の販売が低迷、縮小する可能性があります。

当社は技術動向、市場のニーズをキャッチし、中期経営戦略Vision2030の推進として、顧客へのソリューションとなる商品開発、技術開発によって環境変化に適応した事業展開を推進してまいります。

 

(2)経済情勢について

当社グループの製品は、主に北米、日本、アセアン、欧州向けであります。世界的な物価・賃金上昇、中国経済の減速傾向の継続、加えて米国の通商政策の実施から世界経済は先行き不透明な状況も続くものと懸念しております。そのため各国および地域の政治・経済動向並びに為替の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは市場動向によって想定される生産変動に対し、適応力の強化として生産とサプライチェーンの柔軟性の向上に取り組み、かつ万が一の資金確保としてコミットメントライン契約を締結しています。

なお、米国通商政策が事業および業績に与える影響については、先行き不透明であり現時点で適切に見積もることが困難であるため、当社グループの業績予想には織り込んでおりませんが、必要に応じて対応などを検討してまいります。

 

(3)製品の品質について

当社グループは、品質マネジメントシステムに基づき、製品品質の安定と向上に取り組むとともに、第三者審査を受けることにより、品質管理体制を整備しております。しかし、万一市場においてリコールが発生した場合や品質不祥事が発生した場合、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは常に品質の保持が第一と考え、品質マネジメントシステムの継続的な改善を行い、顧客の満足と信頼を得ることを推進してまいります。

 

(4)原材料・部品等の購入について

当社グループの製品は、その原材料や部品の多くをグループ外のお取引先様から購入しており、定期的な信用調査とお取引先様と基本取引契約を締結し、安定的、公平的な取引を行っております。エネルギー価格の高騰はピークアウトしたとみられるものの、世界的な賃金上昇および原材料価格の高騰は続くものと懸念しております。また、自動車部品業界の再編も含めて取引先の業績の悪化、企業不祥事の発生、自然災害および事故によりお取引先様からの継続的な供給を確保できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは当該リスクの軽減のために、お取引先様との信頼関係を構築する活動を推進し、市場に対するサプライチェーンの競争力向上に取り組んでまいります。

 

(5)コンプライアンスについて

当社グループは、法令・規制を遵守するため、コンプライアンス委員会、安全衛生委員会、環境責任者会議等の各会議体及び内部通報制度を設けリスクマネジメントに取り組んでおりますが、意図せず法令等に抵触する事態が発生した場合、損害補償や信頼失墜につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは企業継続に大きな影響を与えるリスクの抽出と改善を行い、ステークホルダーの信頼を得ることを推進してまいります。

 

 

(6)情報セキュリティについて

当社グループの多くの業務は情報システムに依存しており、情報セキュリティの強化に努めておりますが、サイバー攻撃やウイルス等への感染が発生した場合、システムダウンによる業務の停止、重要なデータの消失、機密情報の漏えいにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは情報セキュリティ、インシデントへの対応力の強化およびITリテラシーの向上により、リスク低減を推進してまいります。

 

(7)自然災害について

東海地区に本拠地が所在している当社グループにとって地震は大きなリスクの一つであり、人命尊重に加え、事業継続、早期生産復旧に向けた活動を推進しております。しかし、大規模な地震により、操業が中断するような場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、広域な範囲に甚大な被害をもたらし、自動車産業全体に影響を及ぼすような大規模な自然災害については、日本経済、自動車メーカー及び自動車部品業界全体の生産動向が当社グループの業績と財務状況に大きく影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクの対応のために、防災委員会を通じて初動対応を行うとともに、事業継続計画を策定し適時見直しを行います。

 

なお、上記以外にもさまざまなリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要及び分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境につきましては、米国では堅調な雇用状況を背景に底堅い成長が続きましたが、依然として原材料価格やエネルギー価格は高止まりしており、中国の景気減速も長引く様相を見せる中、米国の関税政策の動向も加わり世界経済は先行き不透明な状況にありました。

 このような環境の中、当社グループの当連結会計年度における売上高は、日本拠点において中国市場における日系自動車メーカーの販売不振、一部取引先の在庫調整に伴う生産調整の影響はあったものの、主にアジア拠点において取引先における半導体供給不足による生産調整が解消したことや、円安に伴う為替換算影響等により539億15百万円となり、前年同期に比べ11億44百万円(2.2%)の増加となりました。

 利益面におきましては、海外拠点における売上増加はあったものの、日本拠点における売上減少影響、並びに賃上げによる更なる労務費の増加やエネルギー価格高騰分の値上げによる仕入コスト増加等により、営業利益は40億31百万円(前年同期比7.8%の減少)、経常利益は43億91百万円(前年同期比3.2%の減少)となりました。また、連結子会社である遠州クロムの工場敷地内における土壌および地下水汚染への対応(注)に関し、恒久的な土壌修復のための掘削工事について工事の安全性を高めるための見直しを行ったこと等により環境対策引当金繰入額3億69百万円を特別損失に計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は29億48百万円(前年同期比66.2%の増加)となりました。なお、対前期比での増加には、前期において前述の土壌および地下水汚染への対応に関し環境対策費53百万円および環境対策引当金繰入額20億37百万円を特別損失に計上した影響が含まれております。

 

(注) 前連結会計年度において、当社連結子会社である株式会社遠州クロム(浜松市)の工場敷地内で地下水汚染の自主調査を行った結果、環境省令に定める基準値を超える特定有害物質(六価クロム)が検出されました。当該調査の結果については浜松市に報告し、2023年12月2日付けで公表されております。当連結会計年度においては、行政当局および専門家の指導の下、汚染地下水の流出防止対策を行い、2025年2月13日浜松市に「措置完了届」を提出し、受領されました。今後も引き続き近隣住民・事業者の安心安全を最優先とし、昨今頻発する自然災害への対策についても検討を重ね、行政当局および専門家の指導を仰ぎながら恒久的な土壌修復を行ってまいります。

 なお、当社は2025年5月23日開催の取締役会において、株式会社遠州クロムの敷地土壌修復の早期化を目的として同社の工場移転を伴う全面修復とする方針変更を決議いたしました。

 また、欧州を中心とした環境負荷物質の利用規制の高まりから、六価クロムの代替となるめっき技術開発を行い、移転先では六価クロムを使用しない方針も合わせて決議いたしました。

 全面修復を実施するための費用については、現在適切な工法や工期を調査・検討しているところであり、現時点で合理的に見積もることが困難であります。本方針による連結業績への影響につきましては、精査の上、開示すべき事項が発生した場合には速やかに開示いたします。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

<ユニット事業>

 売上高は、日本拠点において一部取引先の在庫調整に伴う生産調整により減少しましたが、アジア拠点においては、北米市場向け製品の販売が、半導体供給不足による取引先の生産調整の解消により増加したことや、円安に伴う為替換算影響等により354億99百万円(前年同期比4.1%の増加)となりました。セグメント利益につきましては、日本拠点における売上減少影響、並びに賃上げによる更なる労務費の増加やエネルギー価格高騰分の値上げによる仕入コスト増加があったものの、海外拠点における売上増加、円安影響により41億95百万円(前年同期比20.2%の増加)となりました。

<部品事業>

 売上高は、主に米国拠点において半導体供給不足による取引先の生産調整が解消したものの、日本拠点において取引先の中国市場向け部品の需要が急速に鈍化したことにより183億84百万円(前年同期比1.3%の減少)となりました。セグメント利益につきましては、売上減少に加え、主に日本拠点における賃上げによる労務費の増加や、エネルギー価格高騰分の値上げによる仕入コスト増加により、1億79百万円の損失(前年同期は8億58百万円の利益)となりました。

<その他>

 セグメント利益につきましては、8百万円の利益(前年同期比54.9%の減少)となりました。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

ユニット事業(千円)

35,581,646

104.7

部品事業(千円)

18,376,376

98.8

報告セグメント計(千円)

53,958,022

102.6

その他(千円)

32,022

80.5

合計(千円)

53,990,044

102.6

 (注)金額は販売価格並びに製品原価によっております。

 

②受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ユニット事業(千円)

35,100,282

100.2

2,328,089

85.4

部品事業(千円)

18,277,129

96.7

1,497,683

93.3

合計(千円)

53,377,411

99.0

3,825,773

88.3

 (注)金額は販売価格によっております。

 

③販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

ユニット事業(千円)

35,499,682

104.1

部品事業(千円)

18,384,202

98.7

報告セグメント計(千円)

53,883,884

102.2

その他(千円)

32,022

80.5

合計(千円)

53,915,906

102.2

 

 

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日産自動車

13,596,078

25.8

14,965,944

27.8

Ford Motor Company

10,251,875

19.4

14,051,348

26.1

本田技研工業㈱

9,863,815

18.7

10,007,895

18.6

CNH Industrial

7,869,242

14.9

4,796,471

8.9

 

(3)財政状態の概要及び分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ14億69百万円減少し、448億92百万円となりました。これは主に、売掛金が13億70百万円、有形固定資産が13億16百万円、投資有価証券が10億66百万円減少したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ34億48百万円減少し、182億49百万円となりました。これは主に、借入金が17億93百万円、製品保証引当金が5億74百万円、支払手形及び買掛金が5億22百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ19億78百万円増加し、266億43百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が7億73百万円減少したものの、利益剰余金が26億77百万円増加したことによるものです。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高(以下「資金」という。)は79億78百万円となり、前連結会計年度末と比べ27億82百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は71億77百万円(前年同期比9.4%の増加)となりました。

 資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利39億35百万円、減価償却費33億20百万円、および売上債権の減少18億40百万円です。資金の主な減少要因は、法人税等の支払額7億96百万円、および仕入債務の減少7億41百万円です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は22億85百万円(前年同期比8.1%の増加)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出21億81百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は20億99百万円(前年同期比30.6%の減少)となりました。

 これは主に、長期借入金の返済17億93百万円によるものです。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、増産対応及び新規製品受注対応のための設備投資によるものであります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は5億73百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は79億78百万円となっております。

 

(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高営業利益率を経営指標とし、当社グループ一丸によるグローバルな企業価値向上に取り組んでおります。当連結会計年度における売上高営業利益率は、前年同期に対して0.8ポイント悪化し、7.5%となりました。

 

(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。

 連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、下記の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、当社については事業の種類別セグメントを基準に、連結子会社は会社別に資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び税金費用が変動する可能性があります。

 

(製品保証引当金)

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(環境対策引当金)

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

 

5【重要な契約等】

合弁事業契約

契約会社名

相手方の名称

国名

合弁会社名称

当社の議決権比率

契約日

株式会社ユニバンス

(当社)

PTインドモービル サクセス インターナショナル ティービーケー

インドネシア

PT.ユニバンスインドネシア

94.9%

1996年2月1日

 

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、自動車駆動用の変・減速機、四輪駆動装置、産業機械用駆動系コンポーネント、及び自動車用の駆動系部品を中心にした製品の研究開発活動を行っておりますが、高性能・軽量・コンパクトで環境にやさしい製品の開発を積極的に推進しております。

現在の研究開発は、商品開発部及び部品・要素開発部を中心に推進しており、研究開発スタッフは総勢80名(総従業員の約5.3%)であります。当連結会計年度における研究開発費は1,346百万円(売上高比2.5%)を支出しておりますが、各セグメント別の研究開発費につきましては、いずれも互いに技術を共有しており、特定のセグメントに区分することが困難なため、記載しておりません。

当連結会計年度における各セグメント別の研究開発内容、製品化状況は以下のとおりであります。

 

1)地域別に最適な製品とものつくりの追求、2)環境性能と耐久性を両立するモデルベース開発の推進、3)異業種技術交流によるイノベーションの創出、を柱として、環境にやさしくコスト競争力の高い製品群に加え、高度な制御技術を活用した高付加価値の新商品の具現化を加速させてまいります。

 

(1)ユニット事業

①電動駆動装置

e-Axleを中心とした電動自動車用製品の研究開発において、動力伝達技術に磨きをかけ、小型化・軽量化・高効率化を追求しております。また、蓄積してきた制御技術を活用し、制御も含めた最適なシステムを提案してまいります。これにより、電動化社会の進展とカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

②四輪駆動装置

ピックアップトラック、SUV(Sports Utility Vehicle)用製品の研究開発に重点を置き、グローバル市場向けの燃費性能に優れた製品を開発しております。また、これを実現するため、小型・軽量・高効率など製品競争力を高める技術開発に取り組んでおります。

 

 

③産業機械用駆動系コンポーネント

農業トラクター用パワーシフトトランスミッションを中心に、幅広いニーズに応えるべく、次期型の大型・中型トランスミッションおよびPTO(Power Take Off unit)の研究開発に取り組んでおります。

 

(2)部品事業

当社グループの製造技術面での強み、およびユニット事業において培われた設計・評価/解析技術を活かし、自動車用駆動系部品の適用開発に取り組んでおります。

また、製品競争力の向上に加え、環境負荷低減を図るべく、材料・工法・設計技術の研究開発を推進するとともに、エネルギー効率に優れた生産手法の開発にも取り組んでおります。これらを通じ、環境配慮型ものづくりの高度化を進めてまいります。