当社は、他社の追随を許すことのない究極のプレス技術を求めつづける企業として、「プレスを究めて、プレスを越える」を企業理念としております。
これは、常にその時代をリードするプレスの最先端技術を低コスト・高品質かつ安定して生産できる量産技術の域まで高めながら(究めて)、さらに高い次元での機能・価値の創造にチャレンジし続けて新たなプレス製品を生み出す(越える)ということを意味しております。
このような企業理念のもと、当社は、①『卓越したプレス技術を通じて、環境に優しく、より安全な社会の実現』、②『公正で誠実な事業活動により、ステークホルダーとの信頼関係を構築』、③『その結果として、「経済的価値」と「社会的価値」の同時創出により、社会とユニプレスグループ、相互の持続的な発展を実現』の3つを目指すべき姿とした『サステナビリティ経営の実現』を経営理念と定め、事業活動に取り組んでおります。
世界経済は、回復基調にあったものの、トランプ政策を巡る不確実性が拡大してきており、特に当社が置かれている自動車業界は、米国関税リスクの影響で、先行き不透明感が増してきております。
一方、同業界は、自動運転、コネクテッドカーの開発等による技術革新が進行しており、異業種との融合や系列部品メーカーの解体・再編が進展しております。
足元では、地域特性や嗜好に合わせた製品の多様化と新興国市場モデルの拡大による低価格化が進む一方で、グローバルレベルでの自動車メーカーの提携等の進展により、グローバルモデルや多極同時立上げモデルが増加してきております。
他方、米国EV政策の転換やEU等のCO2排出規制緩和の動き等で、電気自動車動向の先行き不透明感は増してきているものの、燃費向上や安全性・快適性へのニーズの高まりに対応するため、車体の軽量化と高強度化の両立や、電気自動車等に伴うパワートレイン革新への技術面での対応はこれまで以上に求められております。
また、IoTを核とした大幅な生産性の向上、デジタル解析・設計等のAIによる高度化、3Dプリンターや協働ロボット進化等による新たな開発・生産プロセスの変革へも波及してきており、それによる生産効率の向上が求められています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
このような環境下において、当社は、車体事業、精密事業、樹脂事業、それぞれの特性を掛け合わせた、顧客の「何とかしたい」を叶える『解決型ビジネス風土』と「任せて良かった」に応える『付加価値提案力』といった強みを活かし、「さらなる成長への基盤づくり」を中期経営方針として掲げ、以下の4つに取り組んでまいります。
1)変化に強い収益体質の実現
2)モノづくりの完成度を高め、質を高める
3)カーボンニュートラル時代に対応した取り組みに挑戦する
4)学習する組織(職場)への変革
上記の中期経営方針実現のために対処すべき経営の重要課題は以下の通りです。
①電動化への対応加速
a.新製品・新技術の開発
電動化等の進展により、更なる車体の軽量化と高強度化を実現するための技術開発が重要となってまいります。当社は「安全性」と「環境性能」の両立に貢献できるよう、超ハイテン材やホットスタンプ、アルミ化対応技術等の技術開発を推進しております。本業を通じた社会課題の解決を目指すことがユニプレスグループのCSR活動の軸であると考えており、ユニプレスの強みである高度なプレス技術を駆使して、これからも安全性と環境性能を兼ね備えた次世代のクルマづくりを支えていきます。
b.ビジネスの拡大
販売においても、車体プレスで培ったプレス成形技術に加え、精密プレス、組立技術の融合による総合力で、車体事業、精密事業、樹脂事業において、既存技術・既存製品の拡販にとどまらず、得意先の電動化戦略に対応した新たな市場・製品の開拓を目指すと共に、新たなカーメーカーとの取引拡大に向け、積極的な拡販活動を展開してまいります。
②業界トップレベルの収益力実現
a.コスト競争力強化
グローバルでの安定供給能力の更なる向上、新興国市場モデルへの対応を図りつつ、高い収益力を実現するために、コスト競争力を強化することが大きな課題です。高いコスト競争力を身に付けるために、当社では、UPS活動の強化、15KPIの達成による効率的な工場の運営を推進しています。一方で、グローバルでの安定供給のためには、コスト競争力だけではなく、得意先から信頼される、品質の向上が鍵となることから、UPS活動を軸に、グローバルベースでの品質向上・強化に取り組んでいます。
b.工場のスマート化推進
新たな情報・デジタル技術革新による開発・生産現場の変革に対応するため、生産変動に柔軟に対応でき、安定した収益確保ができる工場を目指し、情報を活用したロスのミニマム化、生産性向上に向けた省人化・無人化を図る、工場のスマート化構想の実現を推進してまいります。
③サステナビリティ経営の推進
本業を通じた社会課題への取り組み
当社が、持続可能な企業として成長・発展するためには、日々の事業活動を通じて、社会的責任を果たし、企 業価値を高めていく必要があるものと考えております。それを実現するために、当社の強みである高度なプレス 技術を駆使して、これからも安全性と環境性能を兼ね備えた次世代のクルマ作りを支えていくとともに、ESGの取り組み推進による「SDGs等グローバル課題への対応強化」、ライフサイクルアセスメントの実行による「カーボンニュートラル時代への対応」、企業価値向上のための、企業に関わる全ての人の幸せを目指す「Well-being経営戦略の構築と実現」等、サステナビリティの実現に向けた取り組みを行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する方針および取組内容については、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
ユニプレスグループは、企業が目指すべき姿として「サステナビリティ経営の実現」を経営理念に掲げております。
また、「ユニプレスグループ サステナビリティ基本方針」に基づき、事業活動を通じて社会課題の解決を図ることで、「経済的価値」と「社会的価値」の同時創出により、社会とユニプレスグループ、相互の持続的な発展を実現します。
当社では、サステナビリティ経営を支えるガバナンス体制として、サステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、取締役会の監督のもと、マテリアリティおよび課題解決に向けた中長期目標を審議し、内部統制をはじめとするサステナビリティに関わる方針や目標、活動計画、進捗および実績等について、適宜、取締役会に報告・提案を行います。また、サステナビリティ委員会の下に、ESG課題解決の推進機関として5つの専門委員会を設置しております。
サステナビリティ委員会は、社長執行役員を委員長とし、執行役員の中から取締役会が選任したメンバーにより構成されます。
なお、当社は、役員報酬における長期業績連動報酬(譲渡制限付株式報酬)を決定する指標として「ESG評価(外部機関評価・従業員エンゲージメント)」を組み入れています。役員報酬制度の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等 ① 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項 4. 業績連動報酬等並びに非金銭報酬等に関する事項」をご覧ください。

当社グループが持続的な成長を遂げるとともに、SDGs等のグローバルな社会課題の解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、経営上の課題としてマテリアリティを特定しています。
マテリアリティ特定にあたっては、当社の事業内容とこれまでのステークホルダーとの対話や関わりを踏まえて、「ステークホルダーにとっての重要度」および「ユニプレスグループにとっての重要度」の両視点から分析しています。また、社会の状況の変化やステークホルダーの意見等を反映させるため、毎年見直し、必要に応じて変更することとしています。
<ユニプレスグループのマテリアリティ>

③リスク管理
当社ではリスクマネジメント委員会を中心に、リスク・機会の洗い出しと評価、対応策の決定、リスク対策の実行と有効性評価を行い、取締役会へ報告しております。
このリスク・機会の洗い出しと評価の過程には、気候変動関連をはじめとしたビジネスリスクや情報セキュリティ、コンプライアンスに関連するリスクも含めております。

当社では、マテリアリティに関する中長期目標及び年度目標を設定し、具体的な活動として取り組んでおります。また、サステナビリティ委員会および取締役会にて、定期的な進捗報告と達成度合い評価を行い、PDCAを回しております。
<マテリアリティ・中長期目標>
※対象範囲の記載がないものはグローバル

(2025年4月11日 取締役会にて決定)
上記7つのマテリアリティの中でも、特に「気候変動対策」は、自動車業界に属する当社にとって非常に重要な課題であります。
当社は2021年6月に、TCFDによる提言への賛同を表明し、気候変動対策に積極的に取り組む企業・団体の緩やかなネットワークである気候変動イニシアティブ(JCI)に参加しております。また、日本自動車部品工業会の環境自主行動計画を参考として、温室効果ガス削減の目標値の設定等を行っております。
取締役会の監督下にあるサステナビリティ委員会にて、気候変動対策を含む環境に関する方針や目標、活動計画等を審議・決定し、サステナビリティ委員会の下に設置した環境委員会にて取り組みの推進および四半期毎に定期的な進捗フォローを行っています。
環境委員会は、基本的に年4回開催され、構成メンバーは各地区の執行役員、環境管理責任者です。委員長は、総務担当執行役員が務めています。同委員会は、リスクマネジメント委員会と連携し、気候変動に関連するリスクと機会の評価結果および対応策を定期的にサステナビリティ委員会へ報告します。
また、環境委員会の下にカーボンニュートラル分科会、環境ISO分科会を設けています。カーボンニュートラル分科会では、カーボンニュートラル実現に向けた社内の実態把握、エネルギー転換の検討、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みの検討等をしています。環境ISO分科会では、環境マネジメントシステムの維持・運用、環境課題解決に向けた取り組みを推進しています。
当社は、脱炭素社会への移行に伴い不確実性の高い将来を見据えて、どのようなビジネス上の課題が顕在しうるか、1.5℃シナリオと4℃シナリオのそれぞれにおいてTCFDが提言するシナリオ分析を行っております。
シナリオ分析は、海外拠点を含むすべての事業を対象に、当社のカーボンニュートラル目標に合わせて2030年、2050年を分析期間としております。また、これらの分析には、直接操業だけでなく、原材料調達、輸送を含めたサプライチェーン全体及び顧客を含めております。

<リスクと機会>

※1.発現時期:カーボンニュートラル実現に向けた温室効果ガス排出量削減目標の2030年度、2050年度を
基準とし、短期を現在~2026年、中期を2027年~2030年、長期を2031年~2050年と設定。
※2.財務影響:大(100億円以上)、中(10億円~100億円程度)、小(10億円以下)
気候変動に関する主なリスクは、上述のサステナビリティ・マネジメントのリスクに含めて管理しております。詳細については「(1)サステナビリティ・マネジメント ③リスク管理」を参照ください。
当社グループは、カーボンニュートラルの実現に向け、事業活動から直接排出される温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2)を2018年度比で2030年度までに50%削減、2050年度にはカーボンニュートラル(実質ゼロ)にすることを目指し、徹底した省エネ活動や太陽光発電の活用・再生可能エネルギー由来の電力への切り替え等の再エネの積極的な利活用を推進しております。
また2050年チャレンジとしてサプライヤーとともにGHG排出量(Scope3)実質ゼロに取り組みます。
なお、当社ではGHG排出量を仮想的に費用換算し、環境負荷の低減を目指す仕組みである「インターナルカーボンプライシング制度(ICP)」を導入しております。価格は18,000円/t-CO₂とし、GHG排出量の増減を伴う設備投資計画において、ICP制度を投資判断の参考として活用し、GHG排出量削減の推進に努めます。
<カーボンニュートラルに向けたロードマップ>

<GHG排出量実績(Scope1,2)>
単位(t-CO₂)
★ SGSジャパン株式会社による第三者検証を取得済み (対象範囲:2021年度 ユニプレス、2022年度、2023年度
ユニプレスおよび国内連結子会社)
※1 2024年度実績は第三者検証前の暫定値です。
※2 バウンダリー :ユニプレス及び連結子会社
<GHG排出量実績(Scope3)>
単位(t-CO₂)
★ SGSジャパン株式会社による第三者検証を取得済み (対象範囲:2023年度ユニプレスおよび国内連結子会社)
※1 2024年度実績は第三者検証前の暫定値です。
※2 2024年度バウンダリー カテゴリ1,2,3,6,7,15:ユニプレス及び連結子会社
カテゴリ4:ユニプレス及びユニプレス九州
カテゴリ5:ユニプレス及び国内連結子会社
カテゴリ8,9,10,11,12,13,14:対象外
※3 カテゴリ3は、算定条件の見直しに伴い、2024年度実績より排出量が増加しています。
※4 カテゴリ15は、2024年度実績から新たに集計対象項目として追加しました。
※5 年度により算定のバウンダリーが異なるため単純な比較はできません。
※6 今後も状況に応じて算定条件を見直し、より最適な数値把握に努めていきます。
詳細については2025年9月発行予定の
https://www.unipres.co.jp/csr/report
当社は、「サステナビリティ経営の実現」を経営理念とし、「電動化への対応加速」「業界トップレベルの収益力実現」「サステナビリティ経営の推進」の3つを重要な経営課題に掲げ、「モノづくりの心をひとつに」の下、常に高い水準にチャレンジし続け、100年に一度といわれる自動車産業の大変革期にも求められる革新的メーカーになるべく、人的資本経営を進めています。
人事戦略に関しては、経営層を委員とする「人事委員会」にて具体的な課題や施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免、人員・人件費に関する計画や人事制度の新設・改廃等)に関する議論を行ったうえで、規程に定める付議事項に従い、取締役会及び経営会議にて審議、決議を行っております。
また、人財マネジメント・育成の強化等を図るために、人事人財情報システムを導入し、当社のみならずグループ会社への展開を進めています。
なお、日本においてはグループ会社人事部門と定期的に人事制度及び人財育成に関する会議を開催し、グループ各社の活動状況等について共有・議論しています。
当社グループにとって人財は経営の基盤であり、経営課題達成のために、経済的価値を創り出す、「トータルプレスエンジニアリングの本業に貢献する人財」、社会的価値を創り出す、「ESGの社会的課題の解決に貢献できる人財」の両方を満たす人財が必要となりますが、これらの人財創出のために、「学習し、成長し続ける組織・人財づくり」を人事戦略として位置付けています。
人事戦略実現のために、人的資本である従業員個々人が持つ知識やスキル、能力を充分に発揮する必要があります。従業員の能力を最大限引き出すためには、「生きがいがあり、幸せだ」と感じられる「Well-being」(良い状態)であることが必要であると考えています。
キャリアの充実や良好な人間関係をはじめ、心身の健康等、様々な面での働く環境を整えることで、従業員一人ひとりの仕事への意欲やエンゲージメントを高めていく「Well-being経営」を推進することで、個人の成長を促し、会社も成長するという好循環を生み出し、企業価値向上につなげてまいります。
<当社の成長に向けた人事戦略>

a.キャリア:人財育成と多様な人財創出及びキャリア形成の推進
会社の成長を支える個人の成長を促すためには、高度な専門技術に精通した人財、経営のマネジメント能力に優れた人財を計画的に育成することに加え、技能を伝承できる人財を確保することが重要であると考えております。特に近年、グローバルな事業活動を一層進めるなかで、それらの環境で活躍できる人財の育成、確保が急務であり、次期経営幹部候補の選抜型教育、計画的な配置転換による業務知識の幅の拡大、海外拠点と日本との相互交流をベースにしたグローバル人財育成制度、GMTC(グローバル・モノづくり・トレーニング・センター)を活用した国内外拠点技能員の技術力・力量の向上等を実施しております。
また、当社では、年齢・経験・属性等に関わらず、従業員一人ひとりが活躍する組織風土を醸成し続けています。取締役会の監督下にあるサステナビリティ委員会にて、ダイバーシティに関する方針や目標、活動計画等を審議・決定し、四半期ごとに定期的な進捗フォローを行っています。
従業員個々人が様々な背景や状況を抱える中においても、全ての従業員が仕事との両立し、公私双方のキャリアの充実が図れるよう支援制度を整えると共に、多様な考え方を持った従業員が働きやすい職場となるよう環境整備を進めております。
具体的な主な施策は次のとおりです。
・将来の女性管理職の増加を目指した女性従業員の積極的な採用
・海外拠点における現地従業員の経営層への積極的な登用
・多様性の尊重、ハラスメント防止等の知識向上を目的とした研修の実施
・在宅勤務制度やコアタイムのないフレックスタイム制度の活用
・男性従業員の育児休暇取得推進
・LGBTに関する制度の整備、理解向上のための研修や情報発信
・従業員のライフサポート(私傷病、育児・介護、感染症、罹災時、ボランティア等)のための有給休暇制度の
導入
・副業や兼業の容認
・社内公募制度の実施
b.人間関係
職場での良好な人間関係の構築のためには、心理的に安全な職場であることが健全に意見を衝突させることができ、従業員自らが提案、行動できる状態となり、「学習し、成長する組織」への変革につながると考えています。
そのために、毎年組織診断サーベイを実施し、従業員のエンゲージメントや組織の状態について定点観測を行っています。組織診断サーベイの結果に基づき各職場で振り返りを行い、改善に向けたアクションプランを作成し取り組みを実施しています。
また、心理的安全性を高める取り組みとして、グループ会社を含めた全役員、管理職を対象とした心理的安全性の向上に関する講演会や役員、部長層への研修会を開催し、当社グループにおける共通認識の形成を図っています。更に、従業員同士がお互いの行動を称賛する制度を導入しています。良い行動への称賛が新たな挑戦・改善の行動につながるとともに、称賛を組織全体で共有できる仕組みとなっており、健全な組織風土の醸成につなげています。
c.経済的納得性
従業員の仕事ぶりや仕事の能力を把握し評価する人事考課制度のもと、その結果を昇給、賞与、昇格、能力開発等に反映する公正な処遇を行っています。人事賃金制度については職務の特性、役割に基づく制度かつ、より成果を重視した処遇制度へと改定を行い、従業員のモチベーション向上へとつなげています。
また、人事考課は、単なる査定ではなく、従業員の仕事に対する意欲や能力を高め、より良い仕事が行われるように活かしていくことを目的としています。そのため、人事考課の結果については、直属の上司によるフィードバック面談を行うことにより、必要な考課要素を本人に開示し率直な会話の場を設ける仕組みを構築しています。
d.心身の健康:安全
当社グループでは、働くすべての人の安全を守り、労働災害のない働きやすい職場の実現に向け、「ユニプレス安全衛生基本方針」に基づき活動を推進しています。
推進体制としてサステナビリティ委員会の下にある安全衛生委員会にて、労働安全衛生に関する目標や活動の報告等を月次で行い、各地区の従業員の安全衛生に関する対策等を共有しています。また、グローバルにおいても災害が発生した際にはその発生状況及び対策等を共有し、同種の災害を発生させない体制を整備しております。
さらに、安全に関する役割に特化した安全係長がグローバルの各拠点に赴き、社内の設備安全基準に基づくチェックシートによる設備の安全装置機能確認や安全点検等を行う、安全監査を定期的に実施しております。
e.心身の健康:健康
当社グループでは、「ユニプレスグループ健康宣言」に基づき、従業員が心身ともに健康に働ける環境づくりを推進しています。
推進体制としてサステナビリティ委員会の下にある安全衛生委員会にて、健康経営に関する目標や活動の報告等を月次で行い、各地区の従業員の健康管理に関する対策等を共有しています。
従業員が心身の健康を実感し、活き活きと働くためには、従業員のヘルスリテラシーが向上し自ら積極的に健康行動がとれることが重要であると考えています。従業員が日々パフォーマンスを発揮できるよう健康保持・増進を支援する取り組みとして、カフェテリアプランによる予防接種費用補助や健康用品購入費用等の補助を行っています。また、健康管理アプリを活用した従業員の健康意識を高める取り組みを進めています。
メンタルヘルス支援としては、ストレスチェックの集団分析結果を受けた職場環境改善への取り組みや、管理監督者を始めとした従業員向けメンタルヘルス研修の実施、産業医や保健師との面談機会に加え外部健康相談窓口を設置しております。
さらに、受動喫煙の無い職場環境づくりとして、禁煙推進ロードマップを作成し、喫煙率低下に向けた取り組みを行っています。具体的には全従業員に喫煙の健康リスクに関する動画配信による普及啓発や、卒煙を希望する従業員を対象とした卒煙チャレンジにて禁煙補助薬の活用、禁煙外来の紹介等、保健師による禁煙支援を行っています。
f.地域社会
当社は、「社会貢献方針」のもと、社会の一員として、社会課題の解決に努めるとともに、従業員の自主的な社会貢献活動の参画を支援しています。
「社会貢献方針」で定めている3つの重点活動分野(環境保全・次世代育成・地域活動)を中心に、従業員参加型の活動を実施することで、社会とのつながりや充実感を得られるような機会を提供し、Well-beingの向上を図ります。
当社グループの人財育成、確保、適材適所の配置等が計画通り進まないことや、ダイバーシティ推進の停滞は当社グループの競争力が失われてしまうため対策が必要なリスクと判断しており、上述のサステナビリティ・マネジメントのリスクに含めて管理しております。詳細については、「(1)サステナビリティ・マネジメント ③リスク管理」を参照ください。
当社グループでは、上記②戦略において記載した人事戦略に基づき取り組みを推進しております。人事戦略に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、次の指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。
(※1)当社は㈱パソナが提供する「パソナエンゲージメント」をツールとしており、「働く幸せ」「組織風土」「職場環境」等に関する設問についての平均スコア(偏差値)を指標として用いております。
(※2)体調が良い時に達成できる仕事のパフォーマンスを100%とした場合の、本人が考える直近のパフォーマンスを表し全社員の平均値を指標としており、毎年のストレスチェック時に調査しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、日本、米州、欧州、中国及びその他のアジア地域と、世界各国において事業を展開し、現地の完成車メーカー及び関連部品メーカーに対し、製品を供給しております。これらの市場における経済の後退による消費の低迷や税制による消費者の購買意欲の低下は、自動車の販売低下につながり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 」「(2) 気候変動への対応(TCFD提言への取組)」に記載したとおり、当社は気候変動対策としてリスクと機会の分析に基づき種々の対応を行っており、今後も継続して検討を行ってまいりますが、気候変動が想定したシナリオを超えて進行する場合や、新たな規制や想定を上回る市場・顧客の要求によっては、更なる対策のための追加コストが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの属する自動車業界の価格競争は大変厳しいものとなっております。合理化による原価低減ならびに製品の高付加価値化等により、製品価格引き下げが収益性低下につながらないよう努力いたしておりますが、競合先との競争上、収益性を低下させる製品価格の引き下げを実施せざるを得ない可能性があります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、自動車業界の変革期を迎えている現在、自動車の電動化等により更なる軽量化が求められており、この要請は当社グループにとって新たなビジネスチャンスとなっています。一方で、トランスミッションの需要については減退する可能性があります。当社グループは、車体プレス技術、精密プレス技術、樹脂プレス技術のコア技術を組み合わせることで、バッテリーケース等のEV向け製品の開発に注力しておりますが、自動車の電動化が想定以上に進展した場合、精密部品事業の売上減少により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自動車の車体骨格部品、精密部品、樹脂部品を、複数の自動車メーカー等に販売しておりますが、その最大の販売先は日産グループ(日産自動車株式会社及びその関連会社)であり、当社グループの販売実績の約8割を占めております。当社グループは、同グループからの受注獲得に努めると同時に、ホンダ、ルノー、マツダ、三菱自動車といった他の自動車メーカーとの取引拡大にも注力しておりますが、同グループの販売が減少した場合や、経営戦略や購買方針の変更が行われた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、自動車業界におきましては、取引先のグローバルな生産展開や車種及び仕様の世界共通化等の変化に対応して、グローバルな供給拠点を有することが取引の必要条件となる場合も出てきております。当社グループは早くから海外における競争力のある生産拠点の進出を進めておりますが、事業または地域によっては、需要変動への対応が遅れること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グローバルな規模での品質保証体制を構築し、品質の保持、向上に努めておりますが、製品の欠陥や、製造物賠償責任、リコールにより損害が発生する可能性があります。また、製造物賠償責任及びリコールに対しては保険を付しておりますが、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストにつながり当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外事業展開
当社グループは、米州、欧州、中国及びその他のアジア地域と、世界各国において事業活動を行っており、これらの海外市場の事業展開において、以下に挙げるいくつかのリスクを内在しております。
・政治・経済の不安定、大きな変更
・国際的な税務問題(移転価格税制等)
・法律または規制の変更
・保護貿易諸規制の発動
・為替の大幅な変動
・ストライキ等の労働争議
・人財の採用難と確保問題
・テロ・戦争、その他の要因による社会的混乱
これらに対応するため、主要国におけるAPA(Advance Pricing Agreement、事前確認制度)の活用や為替予約、現地法令の精査によるグローバルな法務基盤の構築等を実施しておりますが、これらのリスクが、当社グループの想定を超えた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主要な部分品・購入製品の調達について、当社グループ内外の特定の仕入先に依存しております。当該仕入先とは、取引基本契約を結び、定期的な工程監査や財務状況の確認等を行うことで安定的な取引を実現しておりますが、これら仕入先における操業の停止やサプライチェーンの寸断などによって当社グループに対する部分品・購入製品の供給に支障が生じた場合は、当社グループの生産に影響を与える等によって、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外に多くの事業拠点を有しております。地震、台風、洪水等の自然災害や新たな感染症などの流行により操業停止をせざるを得ない様な事態の発生に備え、事業継続計画(BCP)を策定の上、事業継続マネジメント(BCM)体制を構築しており、更なる拡充を進めております。しかし、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損、ライフライン・輸送ルート・情報インフラの寸断、人的資源への重大な影響などによる生産の中断といった事態が生じた場合、当社グループの事業活動の一部または全体に大きな支障をきたす可能性があります。また、損害を被った建物、設備等の修復のために多額の費用が発生したり、顧客への部品供給が遅れたりすること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「プレスを究めて、プレスを越える。」の企業理念のもと、車体プレス・精密プレス・樹脂プレスなどのプレス技術の可能性を徹底的に追求し、軽さと安全性を兼ね備えた自動車用プレス部品を開発することで顧客ニーズにこたえる取り組みを行っております。しかし、顧客のニーズや業界の技術の変化等に対応した新技術・新製品の開発をタイムリーに行えない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、経営理念に掲げる「サステナビリティ経営の実現」に向けて、人財育成を重要な課題と位置付けております。当社グループにとって人財は経営の基盤であり、会社の風土「学習し、成長し続ける組織・人財づくり」を推進するとともに、従業員がWell-beingであることが企業価値の向上につながると考え、諸施策に取り組んでおります。
また、人財確保においては、電動化への対応、軽量化、IT分野の強化等、新たな専門分野の人財確保を積極的に行っております。
しかし、労働市場のひっ迫、異業種も含めた人財獲得競争の激化等により人財の育成・確保ができない場合、当社グループの事業活動や経営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自動車用プレス部品の開発・生産活動をはじめとする事業活動全般において、様々な情報技術、ネットワーク、システム等を活用しています。これらの情報資産を守るため、当社では「情報セキュリティ基本方針」を定め、サイバー攻撃からの防御の強化、インシデント発生時のシステム復旧対応訓練、社員教育に力を入れています。
しかし、日々、巧妙化・高度化しているサイバー攻撃を回避できない可能性もあり、その攻撃によるインシデント発生時には、個人情報等の秘密情報の漏えいによる社会的信用の低下、損害賠償責任の発生、サーバダウン等による事業停止によるサプライチェーン全体を巻き込んだ損害の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要につきましては、以下のとおりです。
当連結会計年度末の総資産は2,972億円となり、前連結会計年度末に比べ394億円(11.7%)の減少となりました。一方、負債は1,437億円となり、前連結会計年度末に比べ183億円(11.3%)の減少となりました。その結果、当連結会計年度末の純資産は1,535億円となり、前連結会計年度末に比べ211億円(12.1%)の減少となりました。
これに伴い、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末比0.9ポイントマイナスの44.8%となり、1株当たり純資産額は同442円27銭減の3,008円52銭となりました。
当連結会計年度の連結業績は、売上高が3,300億円となり、前連結会計年度に比べ50億円(1.5%)の減少となりました。営業費用につきましては、売上原価が2,906億円となり、前連結会計年度に比べ60億円(2.1%)の減少、販売費及び一般管理費が272億円となり、前連結会計年度に比べ2億円(0.8%)の減少となりました。その結果、営業利益は121億円となり、前連結会計年度に比べ12億円(11.6%)の増加となりました。
営業外損益につきましては、営業外収益が48億円となり、前連結会計年度に比べ4億円(7.6%)減少し、営業外費用は33億円となり、前連結会計年度に比べ2億円(6.5%)の減少となりました。その結果、経常利益は136億円となり、前連結会計年度に比べ11億円(8.8%)の増加となりました。
特別損益につきましては、特別利益が3億円、特別損失が286億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ2億円の増加、257億円の増加となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は146億円の損失となり、前連結会計年度(97億円の利益)に比べ243億円の減少となりました。
税金費用につきましては、法人税、住民税及び事業税が19億円、法人税等調整額が15億円の合計34億円となり、前連結会計年度に比べ10億円(45.3%)の増加となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は29億円の利益となり、前連結会計年度に比べ8億円(39.6%)の増加となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は210億円の損失となり、前連結会計年度(52億円の利益)に比べ263億円の減少となりました。
なお、総資産利益率(ROA)は4.3%となり、前連結会計年度に比べ0.4ポイント上がった一方、自己資本利益率(ROE)は△14.7%となり、前連結会計年度に比べ18.4ポイント下がっております。
各セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a. 日本
売上高は1,041億円となり、前連結会計年度に比べ95億円(8.4%)の減収となりました。また、セグメント利益(営業利益)は7億円となり、前連結会計年度に比べ28億円(80.0%)の減益となりました。
b. 米州
売上高は1,314億円となり、前連結会計年度に比べ145億円(12.4%)の増収となりました。また、セグメント利益は143億円となり、前連結会計年度に比べ45億円(46.9%)の増益となりました。
c. 欧州
売上高は453億円となり、前連結会計年度に比べ8億円(1.8%)の減収となりました。一方、セグメント利益は2億円となり、前連結会計年度(2億円の損失)に比べ4億円の増益となりました。
d. アジア
売上高は491億円となり、前連結会計年度に比べ91億円(15.8%)の減収となりました。また、セグメント利益は34億円の損失となり、前連結会計年度(26億円の損失)に比べ7億円の減益となりました。
3.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は484億円となり、前連結会計年度末に比べ34億円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは286億円の収入となり、前連結会計年度(287億円の収入)に比べ収入が8千万円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは125億円の支出となり、前連結会計年度(123億円の支出)に比べ支出が1億円増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは182億円の支出となり、前連結会計年度(185億円の支出)に比べ支出が2億円減少しました。
4.生産・受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の実績につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11.7%減(394億円減)の2,972億円となりました。これは、為替影響を含め現金及び預金が32億円、減損損失等の計上により有形固定資産が279億円、繰延税金資産が34億円それぞれ減少したこと等が主な要因であります。
他方、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ11.3%減(183億円減)の1,437億円となりました。これは、為替影響を含め長短借入金が117億円、繰延税金負債が12億円、退職給付に係る負債が20億円それぞれ減少したこと等が主な要因であります。
これに伴い、当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ12.1%減(211億円減)の1,535億円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純損失が計上されたこと等により、利益剰余金が248億円減少した一方で、自己株式が42億円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度の売上高は3,300億円となり、前連結会計年度に比べ50億円(1.5%)の減少となりました。これは得意先の減産影響によるものであります。
営業利益につきましては、合理化活動等により、前連結会計年度に比べ12億円(11.6%)増加し、121億円の利益となりました。
また、営業外損益につきましては、受取利息の増加と借入金返済による支払利息の減少等により14億円の利益となりました。その結果、経常利益は136億円の利益となり、前連結会計年度に比べ11億円(8.8%)の増加となりました。
当連結会計年度では、特別利益の額は3億円、特別損失の額は事業整理損や減損損失の計上により286億円になりました。その結果、税金等調整前当期純利益は146億円の損失(前連結会計年度は97億円の利益)となりました。
さらに、非支配株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度におきましては、21億円の利益(当社にとっては損失)となっておりましたが、当連結会計年度におきましては29億円の利益(当社にとっては損失)となり、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は210億円の損失(前連結会計年度は52億円の利益)となりました。
各セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
a. 日本
日本におきましては、得意先の減産影響等により、売上高は前連結会計年度比8.4%減の1,041億円となりました。また、セグメント利益(営業利益)は前連結会計年度比80.0%減の7億円となりました。
b. 米州
米州におきましては、得意先の減産影響はあったものの為替影響等により、売上高は前連結会計年度比12.4%増の1,314億円となりました。また、セグメント利益につきましては、合理化効果等もあり、前連結会計年度比46.9%増の143億円となりました。
c. 欧州
欧州におきましては、為替影響等はあったものの、得意先の減産影響等により、売上高は前連結会計年度比1.8%減の453億円となりました。セグメント利益につきましては、2億円(前連結会計年度は2億円の損失)となりました。
d. アジア
アジアにおきましては、為替影響はあったものの、得意先の減産影響等により、売上高は前連結会計年度比15.8%減の491億円となりました。また、セグメント利益につきましては、34億円の損失(前連結会計年度は26億円の損失)となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、286億円の収入となりました。前連結会計年度に比べて8千万円の収入減少となり、これは税金等調整前当期純利益は大きく減少したものの、非現金支出である減損損失及び事業整理損も大きかったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、125億円の支出となりました。前連結会計年度に比べて1億円の支出増加となり、これは定期預金が減少した一方で、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、182億円の支出となりました。前連結会計年度は185億円の支出であり、2億円の支出減少となりました。これは配当金の支払額が増加した一方で、長短借入金の返済が減少したことによるものであります。
これらに為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ34億円減の484億円となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び効率的な資金の確保を最優先としております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めると共に、自己資金を効率的に活用しております。
当社グループの運転資金需要の主な内訳は、自動車部品製造、プレス用金型製作のための材料及び部品の購入のほか、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等であります。また、設備資金需要の主な内訳は、得意先のモデルチェンジに対応するための自動車用部品の生産用設備及び生産性向上、品質向上のための設備投資であります。
こうした資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入等でまかなっております。また、グループファイナンスを活用しており、国内においては資金余剰となっている子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。
当社は、当連結会計年度末現在、資金の短期流動性を確保するため、シンジケーション方式のコミットメントライン契約による銀行融資枠及び当座貸越契約による銀行融資枠を449億円設定しており、その未使用枠は224億円となっております。
当連結会計年度末において、流動資産は1,578億円(前連結会計年度末比42億円減)、流動負債は1,115億円(同149億円減)となり、その結果、流動比率は141.6%と前連結会計年度末に比べ13.5ポイントプラスとなっております。
上記の状況及び今後の営業活動から得られるキャッシュ・フローに基づき、当社グループは、将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えております。
また、当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(R&I)から信用格付を取得しております。当連結会計年度末現在、当社の発行体格付けは、㈱格付投資情報センター(R&I):BBB+(長期)、a-2(短期)となっております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積りや仮定の前提となる状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち重要なものは、「第5 経理の状況」「1 連結財務諸表等」「(1) 連結財務諸表」「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
上記のほかに、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性のある事象につきましては、「第2 事業の状況」「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、金型・治工具等の基盤技術に、車体プレス・精密プレス・樹脂プレスのコア技術を組み合わせ、「安全」と「環境」を重視した製品の開発と生産を推進しております。プレス技術を軸とするコア領域の深化と新工法・新製品等、新たな領域への取り組みを強力に進めております。
研究開発においては、日本の開発部門が中心となり新技術・新製品の開発を行うとともに、自動車メーカー、鉄鋼メーカー及び大学との共同研究を推進しております。
加えて近年では衝突・燃費規制強化や電動化が急速に進展しており、それに伴い超ハイテン材やホットスタンプ材、他素材による部品開発の検討が加速しております。このため、それらの適用開発強化に加え、業界トップレベルの競争力を目指して、DXによる生産技術革新にも取り組んでおります。
研究開発に携わる人員は当連結会計年度末で605人であり、当連結会計年度の研究開発費は
なお、当連結会計年度において、当社の連結子会社であった株式会社ユニプレス技術研究所を吸収合併したことにより、当該子会社の技術開発業務につきましては当社に引き継がれております。
当連結会計年度における、主な研究開発課題は次のとおりであります。
・車体骨格部品統合
・軽量バッテリーケースの開発
・スチール部品の更なる高強度化
・異強度一体化部品の開発
・アルミ部品対応力の強化
・樹脂部品の多機能化
・鋳造、鍛造部品のプレス化
・スマート化の推進(スマート工場、スマート開発)