第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業の理想「この仕事を通じて社会に貢献する。」、「この仕事を通じて立派な人を創る。」を経営の基本理念・企業文化とし、守り育ててまいりました。創業の理想を実現するための両輪として、経営信条「良品・安価・即納」を定めて社会貢献への道を示し、社訓「信義誠実」「和衷協力」「不撓不屈」「業務奉仕」を定めて人間形成の道を示しております。

 この創業の理想の実践・実現に向けて努力し続けることが、企業価値の向上につながるものと考えております。

 

(2)経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、中国・欧州地域を先頭に急加速するEV化によるコントロールケーブル用途の減少、世界的原材料価格の上昇、国内外競合メーカーとの価格競争激化、コロナ禍・半導体不足にともなう中長期展望の見直し、為替変動及び各国通商政策の自動車業界への影響等、大きな変化に直面しており、経営環境が厳しいものになっております。そのような経営環境の中で、当社グループの強みであります世界16ヶ国に展開した拠点が相互に協力・連携しながら、お客様の要望に即応することでシェアを拡大していくことやお客様の期待を上回る新製品開発・拡販が、重要な経営課題となっております。

 当社グループは、創業時の経営理念を一貫して追求し、「安心基盤をリノベーション」の方針の下、次の3つの経営課題に取り組んでまいります。

 

[Ⅰ] 競争力の強化

▪グローバル価格

 世界的原材料価格の上昇および自動車メーカーの生産販売のボーダレス化に対応すべく、当社グループの強みであります世界16ヶ国に展開した拠点が相互に協力・連携し、どの地域であっても当社グループの有する安心品質・高付加価値・競争力のある製品を供給し、お客様の多様なニーズを先取りし、お客様の立場に立って、要望に即応してまいります。

▪安心品質

 当社の品質方針である「4つの安心」(図面を鍛えて安心・4S(整理、整頓、清掃、整備)で安心・設備で安心・作業で安心)を全社で徹底し、仕事の質を高めることで、世界中の各拠点でお客様に安心を与える強固な基盤を築いてまいります。

 

[Ⅱ] 経営基盤の強化

▪事業基盤の強化

 欧州自動車メーカーをはじめ中国・インド市場の各自動車メーカーから新規受注を獲得し、新生産拠点の構築と生産能力の拡充を行い、新市場での拡販を進めてまいりました。これら新拠点の事業の経営安定化を早期に実現させてまいります。またグローバル全体の拠点では、当社ならではの新たな価値を持つ中核製品の拡充・拡販に取り組み、市場でのシェア拡大を図ってまいります。

 また、非自動車分野における新市場の開拓を積極的に推進してまいります。

▪開発強化

 素材と設計の最適化を進めることで、製品の高付加価値化を図ってまいります。電子制御技術の強化と製品のインテリジェント化を推進し、当社グループが蓄積して来たノウハウと融合させることで、お客様の期待を上回る新たな価値を持った製品を提案し、世界中のお客様に安心と喜びを届けてまいります。

 また、パワーリフトゲート、電動アクチュエータ等のシステム製品の開発および医療機器、福祉関連機器、住宅関連機器等の非自動車分野の新製品開発に注力してまいります。

 

[Ⅲ] 人材育成

▪グローバル人材

 世界中のどこでもプロの技術で教え導くことのできるスキルと国際適応力を持ち、課題に対して粘り強く対処し続ける人材を育て、世界各国のグループ会社に派遣することによって、グローバル人材を育成してまいります。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響と対策について

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による需要の減退から回復する中で、同感染症の感染再拡大による影響はあったものの、主要顧客の販売が前年比で伸長し、連結での売上高は前年同期に比べ、増加となりました。

 しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響長期化に伴い、同感染症の世界各地域セグメントにおける拡大動向、行政府による規制及び顧客の操業状況の変動等の未確定要素は、今後の当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

 これらの課題につきまして、当社グループは、上述①~⑤の対策に加え、各拠点において人員削減、資材コストダウン及び経費削減等の施策を着実に実行することで今後の利益確保に努めると同時に、資金面においても金融機関との借入枠の見直し等、手元流動性の確保に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは以下の指標の安定的な確保と拡大を重視しております。

 ①社業の健全性を示す自己資本と営業利益

 ②株主の皆様にとっての収益性を示すROE(自己資本利益率)と配当の原資となる親会社株主に帰属する当期純利益

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)市場環境の変化

 当社グループは、主として自動車部品業界で活動し、取引先であります国内及び海外の主要自動車関連メーカーの生産ラインに同調して、製品の製造並びに販売を行っております。自動車関連メーカーは製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、日本はもとより、主要な市場である北米、中国並びにアジアにおける景気及びそれに伴う中長期的な需要の変動、あるいは、当社グループ製品の装着率によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらのリスクを最小化するため、顧客の要望を先取りし、安全性や軽量化等の付加価値を高めた製品開発や、非自動車分野での拡販に取り組んでおります。

 

(2)為替変動の影響

 当社グループは、全世界で幅広く生産、販売活動を行っていることから、当社グループの業績及び財務状況は為替相場の変動によって大きな影響を受けてきております。このため、短期的には一部先物為替予約や通貨スワップ取引等による、為替リスクヘッジを実施するとともに、中長期的には、世界各地域での原材料、部品の調達体制の整備を進めておりますが、現在のところ、リスクを完全に回避することは困難であり、為替相場の急激な変動は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料の価格変動

 当社グループの製品の主要原材料である鋼材及び樹脂の購入価格は、国内及び海外の市況並びに為替相場の変動の影響を受けます。それにより予期せぬ異常な変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。近年では世界的な原材料価格の高騰や半導体の供給不足に伴う調達コストの増加等が新たな課題となっておりますが、これらに対する取り組みとして、代替材の採用や調達活動におけるグループ企業間での連携等により、リスクの最小化を図っております。

 

(4)技術革新

 自動車業界ではEV等の進展によるバイワイヤ化が進む方向にあり、今後中長期的には、自動車機能の変革、進化が予想されます。当社グループでは、このようなバイワイヤ化の動きに対応した新製品の開発・商品化に取組んでおりますが、今後の技術革新が急速に進展した場合、当社グループが新製品の分野でもコントロールケーブルと同様の高い競争力を維持できるかについては、不確実であります。

(5)知的財産

 当社グループは、自社が製造並びに販売する製品に関する特許及び意匠・商標を保有し、もしくは権利を取得しております。これらの知的財産は、当社の事業拡大において過去・現在・将来にわたり重要性は変わりません。この様な知的財産が広範囲にわたって保護できないこと、また違法に侵害されることにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)品質保証

 当社グループは品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかしながら、全ての製品に欠陥が無く将来に損失が発生しないという保証はありません。欠陥の内容によっては多額の追加コストの発生や当社グループの評価に影響を与え、それにより当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらに対する取り組みとして、品質方針を世界各国の拠点に展開し、各グループ会社の品質管理のレベル向上に努めております。

 

(7)海外進出に存在するリスク

 当社グループは海外(主に北米及びアジア)においても事業活動を行っており、その重要性は高まる傾向にあります。当社グループの海外展開は今後も継続していくことから、中長期的には以下のようなリスクが考えられます。

①予期しない法律または規制の変更

②不利な政治または経済要因

③人材の採用と確保の難しさ

④ストライキ等の労働争議

⑤テロ、戦争及びその他の要因による社会的混乱

これらに対する取り組みとして、カントリーリスクの検討を徹底し、事情に通じた現地人材の育成や適切な内部管理体制の構築を進めることで、リスクの顕在化に対応するようにしております。

 

(8)地震等の自然災害に係わる影響

 当社グループでは、生産を維持するため、計画的に工場はじめ各施設の保守、点検に努めておりますが、地震、風水害などで予想を超える災害が発生した場合には、これら施設に甚大な損害が生じ、それにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)投資有価証券の時価変動

 当社グループは、主として営業上の取引関係維持・強化のため、取引先の株式を中心に当連結会計年度末において投資有価証券を保有しておりますが、子会社株式及び関連会社株式以外の市場性を有するものについては全て時価にて評価されており、株式相場等の時価変動の影響を受けております。なお、その他有価証券について、時価又は実質価額が取得原価に比べて著しく下落した場合、回復の可能性を考慮のうえ減損処理を行うこととしております。それにより当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新型コロナウイルス感染症によるリスク

 新型コロナウイルス感染症の拡大については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 新型コロナウイルス感染症の影響と対策について」に記載のとおりであります。このような状況下において、同感染症の感染再拡大は今後の当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がありますが、その影響額について、合理的な予想を行うことは困難であります。また、当社グループの従業員が同感染症に感染し、それが拡大した場合、一時的な操業停止が発生する等のリスクがあります。これらに対する取り組みとして、当社グループにおきましては、検温・体調チェック、在宅勤務の実施、出張・集会の抑制及びWEB会議システムの活用等を実施することで、感染拡大の防止と感染リスクの低減を図っております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米中間の通商問題を巡る緊張、エネルギー資源の高騰、新型コロナウイルス感染症の影響及び世界的な半導体供給不足の長期化懸念等、先行きが不透明な状況で推移いたしました。また、ロシアによるウクライナ侵攻により、先行きの成長下振れとインフレへの懸念が強まっております。

 各地域別での世界経済は、同感染症による深刻な影響が緩和されるなかで持ち直しの動きがみられるものの、新たな変異ウイルスによる感染状況の動向や、世界的な資源価格の上昇による景気下振れリスク等、依然として予断を許さない状況となっております。

 米国では同感染症による経済への影響は限定的となっているものの、自動車産業においては半導体不足、資源や材料価格の上昇等によりインフレの急拡大と景気への影響が懸念されます。

 中国では同感染症の感染再拡大による主要都市でのロックダウンや半導体の供給不足、電力需給の逼迫等の影響により、自動車メーカーの減産が断続的に発生しており、景気の減速が懸念されます。

 アジアでは同感染症の変異株の拡大による影響や、半導体を中心とした部品供給の停滞によるサプライチェーンへの影響等により、自動車メーカーの減産拡大が懸念されます。

 欧州では同感染症対策が進んだことで経済活動は回復傾向となっているものの、自動車業界においては半導体の供給不足に加え、ウクライナ紛争による部材の供給不安やサプライチェーンの混乱もあり、今後の生産活動への影響が懸念されます。

 日本経済におきましては、同感染症による影響が長引く一方で、世界的な半導体の供給不足の長期化や、エネルギー資源価格の上昇の影響等もあり、先行きが不透明な状況が続くものと予測されます。

 自動車業界におきましては、日本国内の自動車生産台数は前年同期比6.1%減の763万台となりました。海外では、米国の自動車生産台数は前年同期比5.3%増の990万台、中国の自動車生産台数は前年同期比3.7%増の2,745万台となりました。

 このような状況のなか、当社グループでは、従業員および関係者の健康と安全を最優先事項とし、時差出勤やリモートワーク等の実施による同感染症防止策を徹底しつつ、生産性の向上や経費削減といった合理化による収益の確保に全社を挙げて努めてまいりました。

 当連結会計年度の経営成績は、主に半導体供給不足による各国自動車メーカーの減産及び欧州で予定していた新規受注案件の量産立ち上げが遅れたことによる影響はあったものの、北米、アジア及び欧州を中心に顧客への販売が前年比で伸長し、また円安による邦貨換算額の増加影響もあり、売上高は2,556億1千6百万円(前年同期比378億6千2百万円増、17.4%増)となりました。

 営業損益については、資源・素材の高騰に伴い材料コストが上昇したこと、半導体供給不足による調達コストの急増、世界的なコンテナ不足等による輸送コストの高止まり、主に米国を中心とした雇用逼迫、顧客の休業・減産対応に伴う生産効率低下の影響等により、48億5千6百万円の営業損失(前年同期は6億8千5百万円の営業利益)となりました。

 経常損益は、主に受取配当金6億7千9百万円、為替差益5億4千2百万円、受取利息5億9百万円並びに助成金収入3億3千9百万円等を収益に計上した一方で、支払利息2億8百万円及び持分法による投資損失5千1百万円等を費用に計上したことにより、24億7千4百万円の経常損失(前年同期は30億3千2百万円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、主に特別利益において投資有価証券売却益6億9千万円、貸倒引当金戻入額1億6千2百万円を計上し、特別損失で減損損失27億1千7百万円、退職特別加算金8億8千6百万円及び関係会社株式評価損2億3千3百万円を計上したことから、71億2千万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は48億9千6百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 設備投資は、当社の新生産管理システムの構築及び生産設備増強、米国・韓国・中国子会社の生産設備増強を中心に、総額110億8千7百万円を実施いたしました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

ア.日本

 日本におきましては、半導体供給不足による顧客の減産影響はあったものの、新規量産立ち上げによる増加等もあり、売上高は505億2百万円(前年同期比8億8千2百万円増、1.8%増)となりました。営業利益は、原価低減と生産性向上、経費削減等の合理化による収益の確保に努める一方で、生産及び販売台数の減少並びに半導体の供給不足、鋼材・樹脂材等の価格上昇に伴うコスト高、輸送コストの上昇等の影響により、3億2千8百万円(前年同期比21億2千万円減、86.6%減)となりました。

イ.北米

 北米におきましては、米国を中心に堅調に推移し、また円安による邦貨換算額の増加影響もあり、売上高は850億7千6百万円(前年同期比196億1千3百万円増、30.0%増)となりました。営業損益は、原価低減と生産性改善に取り組んだものの、鋼材・樹脂材等の価格上昇に伴うコスト高、米国での労働力不足による労務費増加、世界的な物流コスト高止まり等の影響もあり、28億7千1百万円の営業損失(前年同期は6億9百万円の営業損失)となりました。

ウ.中国

 中国におきましては、半導体供給不足による顧客の減産影響やロックダウンによる操業停止影響はあったものの、円安による為替影響等もあり、売上高は490億7千5百万円(前年同期比61億8千9百万円増、14.4%増)となりました。営業利益は、原価低減と生産性改善に取り組んだものの、原材料価格の高騰、賃金上昇による労務費増加等の影響により、6億4千8百万円(前年同期比10億6百万円減、60.8%減)となりました。

エ.アジア

 アジアにおきましては、韓国子会社を中心に半導体供給不足による顧客の減産影響はあったものの、インドネシア・インド子会社を中心に持ち直しの動きが見られ、また円安による為替影響等もあり、売上高は656億4千7百万円(前年同期比72億2千4百万円増、12.4%増)となりました。営業利益については、原価低減と生産性改善に取り組む一方で、インド・ベトナム子会社を中心に材料コスト削減が十分に進まず高止まりとなったこともあり、10億1千万円(前年同期比7億1千万円減、41.3%減)となりました。

オ.欧州

 欧州におきましては、半導体供給不足による顧客の減産及びウクライナ紛争によるロシア事業における生産停滞の影響があったものの、ハンガリー・イタリア・ドイツ子会社における販売が堅調に推移し、売上高は196億4千6百万円(前年同期比28億3千1百万円増、16.8%増)となりました。営業損益は、原価低減と生産性改善に取り組んだものの、主にチェコ・ハンガリー・スペイン・ロシア子会社での材料および輸送コスト等の増加影響もあり、19億2千2百万円の営業損失(前年同期は21億4千9百万円の営業損失)となりました。

カ.南米

 南米におきましては、新規車種の量産が立ち上げとなったことから売上高は、16億3千9百万円(前年同期比8億6千8百万円増、112.6%増)となりました。営業損益は、生産拡大に伴う操業度上昇による改善効果があったものの、外貨建て購入部材の為替影響によるコストアップ等の影響もあり、2億6千9百万円の営業損失(前年同期は4億7千9百万円の営業損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入が4億8千9百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が84億6千6百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの収入が12億4千万円となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額43億3千万円を調整した結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度に比べ24億5百万円減少し、390億5千6百万円(前年同期比5.8%減)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べ17億2千5百万円(同77.9%)減少し、4億8千9百万円となりました。これは主に、減価償却費94億3千6百万円による増加、仕入債務の増加56億5千1百万円による増加及び減損損失27億1千7百万円による増加に加え、売上債権の増加83億3千7百万円による減少、税金等調整前当期純損失56億8千7百万円による減少及び法人税等の支払額29億9千万円による減少等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、前年同期に比べ76億7千7百万円(同974.1%)増加し、84億6千6百万円となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入18億円、定期預金の払戻による収入73億9千4百万円及び投資有価証券の売却による収入9億1千4百万円に加え、有形固定資産の取得による支出90億1千7百万円、定期預金の預入による支出78億6千7百万円、無形固定資産の取得による支出5億3千8百万円及び投資有価証券の取得による支出5億3千7百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、12億4千万円の収入(前年同期は53億7千6百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の増加39億8千6百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年11月1日

至 2022年10月31日)

前年同期比(%)

日本 (百万円)

45,380

103.3

北米 (百万円)

78,431

132.1

中国 (百万円)

46,012

114.0

アジア(百万円)

62,669

112.2

欧州 (百万円)

19,115

117.1

南米 (百万円)

1,317

217.0

合計(百万円)

252,928

116.8

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は主として自動車部品業界で活動し、取引先である自動車業界、大手の自動車メーカーの生産ラインに同調して、製品の製造・販売を行っております。大手自動車メーカーより約3ヶ月前後の予約的発注指示を受け、その発注量の確定指示は、平均すると1ヶ月であります。また、グループでの生産効率を高めるため、長期受注予測に基づき一部見込み生産を行っております。

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

45,815

103.0

4,884

109.7

北米

86,097

130.5

5,929

123.9

中国

47,551

117.3

7,898

126.2

アジア

58,877

112.1

3,836

113.0

欧州

19,315

115.0

1,696

101.7

南米

1,745

246.6

200

213.9

合計

259,403

117.4

24,445

118.3

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年11月1日

至 2022年10月31日)

前年同期比(%)

日本 (百万円)

45,384

103.3

北米 (百万円)

84,954

130.0

中国 (百万円)

45,913

117.3

アジア(百万円)

58,437

112.2

欧州 (百万円)

19,286

117.3

南米 (百万円)

1,639

212.6

合計(百万円)

255,616

117.4

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

当連結会計年度

(自 2021年11月1日

至 2022年10月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業株式会社

24,756

11.4

Stellantis N.V.(USA)

24,551

11.3

Stellantis N.V.

33,637

13.2

起亜株式会社

22,730

10.4

26,671

10.4

現代自動車株式会社

21,789

10.0

26,590

10.4

(注) Stellantis N.V.は2021年1月にFiat Chrysler Automobiles NVとGroupe PSAが合併した企業であります。

前連結会計年度は旧FCA US LLCに対する販売を表示しており、当連結会計年度は旧FCA US LLC、旧FCA Italy SpA及び旧Groupe PSAに対する販売を表示しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ア.財政状態の分析

資産

 当連結会計年度末における流動資産は1,432億5千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ209億9千6百万円増加いたしました。これは主に売掛金が138億5千6百万円、原材料及び貯蔵品が40億7千万円、仕掛品が16億8千4百万円及び受取手形が5億9千9百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は1,270億4千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億8千6百万円増加いたしました。これは主に機械装置及び運搬具が40億3千2百万円増加した一方で、投資有価証券が55億5千1百万円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は、2,703億1千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ222億8千万円増加いたしました。

負債

 当連結会計年度末における流動負債は672億6千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ165億2千1百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が101億1千万円、短期借入金が51億8百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は142億6千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億7千2百万円減少いたしました。これは主に繰延税金負債が15億5千5百万円、固定負債のその他が6億2千5百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、815億3千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ140億4千8百万円増加いたしました。

純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は1,887億7千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億3千1百万円増加いたしました。これは主に為替換算調整勘定が178億5千9百万円増加した一方で、利益剰余金が83億9千6百万円、その他有価証券評価差額金が38億9千9百万円減少したことによるものであります。

イ.経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高が前連結会計年度に比べ17.4%増加の2,556億1千6百万円、経常損益は24億7千4百万円の経常損失(前年同期は30億3千2百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は71億2千万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年同期は48億9千6百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

売上高

 当連結会計年度の売上高は2,556億1千6百万円でありますが、グループ全体の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。これを事業の部門別に見ますと、コントロールケーブルはイギリス子会社の操業終了に伴う若干の減少はあったものの、中国・アジア及び北米を中心に増加し、前連結会計年度に比べ8.7%増加の724億4千6百万円となりました。ウインドレギュレータの販売は、北米・中国・欧州など総じて増加し、21.6%増加の695億1千6百万円となり、ドアモジュールは北米・アジア・欧州・中国地域など総じて増加したことにより22.4%増加の916億8千万円となりました。パワーリフトゲートの販売は、日本及び中国において増加し、21.5%増加の92億6千6百万円となり、その他部門は、北米地域での若干の減少はあったものの、中国・アジア・日本・欧州地域など総じて増加したことにより11.5%増加の127億6百万円となりました。

営業損益

 当連結会計年度の営業損益は、原価低減と生産性改善、経費削減等の合理化による収益の確保に努めたものの、材料コスト及び調達コストの上昇、輸送コストの高止まり、生産能力増強に伴う設備償却費の増加等の影響等により、48億5千6百万円の営業損失(前連結会計年度は6億8千5百万円の営業利益)となりました。

営業外損益

 当連結会計年度の営業外損益は、主として受取配当金6億7千9百万円(前連結会計年度は6億4百万円の受取配当金)が発生した一方で、前連結会計年度で3億8千万円の持分法による投資利益が発生したのに対して、当連結会計年度では5千1百万円の持分法による投資損失となり、また、前連結会計年度で2億2千5百万円の為替差益が発生したのに対して、当連結会計年度では5億4千2百万円の為替差益となったことにより、前連結会計年度(23億4千7百万円の利益(純額))に比べ増加し23億8千2百万円の利益(純額)となりました。

特別損益

 当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度では45億4千2百万円の投資有価証券売却益が発生したのに対して、当連結会計年度では6億9千万円の投資有価証券売却益となり、また、減損損失27億1千7百万円が発生したことにより、前連結会計年度の50億3千6百万円の利益(純額)に対し、32億1千2百万円の損失(純額)となりました。

ウ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

 当社グループにおける経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、社業の健全性を示す「自己資本」並びに「営業利益」、株主の皆様にとっての収益性を示す「ROE(自己資本利益率)」と配当の原資となる「親会社株主に帰属する当期純利益」を定めております。

 当連結会計年度において、「ROE(自己資本利益率)」は、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移(2)提出会社の経営指標等」に記載しておりませんが(前連結会計年度は3.0%)、引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 その他の指標等についての分析・検討内容は、「自己資本」については前項「ア.財政状態の分析 純資産」に記載のとおりであり、「営業利益」並びに「親会社株主に帰属する当期純利益」については、前項「イ.経営成績の分析」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金及び設備投資資金は、主に自己資金を充当しております。資金については、当社においては金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、また一部の海外子会社については、資金需要への機動的な対応を目的とし、当社による債務保証を実施した上で、金融機関からの借入を行っております。これらの方策により、必要とされる資金水準を満たす十分な流動性を保持していると考えております。今後の重要な資本的支出の予定及びその資金の調達につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、エンジニアリング会社としてさらに研究開発体制の強化拡充を図り、環境、安全をキーワードに多様なユーザーニーズに対応し、自動車分野のみならず医療・住宅関連機器等の非自動車分野に永年にわたって培った技術を応用すべく活動しております。

 当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発は、主に日本、北米、中国、アジア、欧州の研究開発拠点において、新素材、新技術、新製品の開発を中心に行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費は、総額で3,975百万円であります。

 

ア.日本

 日本における製品開発活動は、システム製品開発統括グループ、電子制御センター、宇都宮技術センター、ドアシステム開発グループ、ケーブル・システム設計グループが担当し、グローバル車種を含めた自動車関連製品の先行開発および量産開発を行なっております。また、新素材・新工法の開発につきましては、研究開発室が継続的に研究を進めております。医療関連製品・機器におきましては、医療機器事業部が担当し、同様の開発を行なっております。さらに産業機器、住宅関連ならびに福祉関連などの製品につきましては、産業機器事業部が開発担当しております。

 ケーブルにつきましては、新たな市場ニーズ/要求品質の変化に対応するため、加工技術変革および新素材の適用等による基礎研究と要素技術開発を進めております。また、自動車分野以外への用途拡大のため、極細ケーブル・高耐久ケーブルなどの新たな素材開発を継続的に行っており、今後、医療・福祉・マリン・ロボット等への適用を拡大していきます。

 ウィンドレギュレータにつきましては、クルマのデザイントレンドが変化している中、それに適合した新構造・新素材の開発を進めております。

 さらにクルマの電動化や自動運転化に対応すべく、省電力で小型のアクチュエータの開発、ならびにそれらの作動を制御するコントローラを組み合わせた新製品開発にも取り組んでおります。安全/安心で利便性の高いシステム製品をクルマに搭載すべく開発を進めてまいります。

 医療機器開発におきましては、コントロールケーブル技術を基盤とした医療用極細ケーブル・ワイヤ、コーティング技術を開発、主力製品であるマイクロカテーテル等の性能を向上させております。更にこれらの技術を応用展開し、他領域の医療機器やその機構、また環境・資源にやさしい製品や製造工程の開発を進めております。

 素材機能の向上で差別化を図るための新素材開発におきまして、引き続きJST(科学技術振興機構)補助金事業の支援を加え、工業用途のみならずメディカル用途にも適用できるよう、高強度かつ高靭性チタン素材の開発を進めております。

 株式会社サンメディカル技術研究所の補助人工心臓におきましては、米国治験安全性確認の15症例を良好な成績で完了し、本格的な治験に移行しました。新型ポンプ開発は合併症の改善とより小柄な方への適用を拡げるコンセプトで開発を進めております。

 日本における研究開発費は853百万円であります。

 

 

イ.北米

 北米におきましては、HI-LEX CONTROLS INC.のオートモーティブセンターが担当し、主に北米の自動車関連業界の顧客を対象として、新技術、新製品の開発を行っております。

 北米における研究開発費は542百万円であります。

 

ウ.中国

 中国におきましては、重慶海徳世拉索系統集団有限公司が、主に中国の自動車関連業界の顧客を対象として、新技術、新製品の開発を行っております。

 中国における研究開発費は1,218百万円であります。

 

エ.アジア

 アジアにおきましては、大同ハイレックス株式会社及び大同ドア株式会社が、主に自動車関連のドアモジュール製品を中心としたシステム製品の新技術、新製品の開発を行っております。

 アジアにおける研究開発費は993百万円であります。

 

オ.欧州

 欧州におきましては、HI-LEX EUROPE GMBHが、主に欧州の自動車関連業界の顧客を対象として、新技術、新製品の開発を行っております。

 欧州における研究開発費は366百万円であります。