当社グループは、理念の共有化・浸透を図り、行動のベクトルをあわせることを基本方針とし、経営や商品・サービスの品質向上により、選ばれる企業集団を目指し、積極的な事業展開による企業価値の増大を図ります。
また、事業展開にあたっては「技術」をドライビングフォースとし、新たな価値を生み出し、市場の創造に挑戦し続けます。そして一人ひとりの社員が、企業革新の担い手となることによって成長し、人と企業が共に生かされる経営を目指します。
当社グループは、原材料高騰や賃金上昇、自動車業界の電動化に向けた商品変化、等の厳しい経営環境がある一方、当社のコア技術が活かせる電動化ニーズの高まりを機会と捉え、2023年度より新たな中期経営計画をスタートしました。その中期経営計画では、「モビリティ社会の期待に応え持続的成長企業へ」をスローガンとして、①モビリティ進化への対応、②経営基盤の強化、③財務体質の健全化を柱とする3つの経営方針を定め、ミツバビジョン2030の実現に向けグループ一丸となり推し進めております。
① モビリティ進化への対応
技術の進化、ライフスタイルの変化に対応しモビリティに求められる要求も高度化されてきています。特に電動化分野においては従来にはなかったニーズがあり、新規のビジネスチャンスが拡がっております。一方、国別に見ると新たなプレイヤーが出現していることで、当社シェアが減少している国もありますが、インド等の成長国においては、シェア拡大を図ってまいります。また、CASE対応は国別での時間軸の差が顕著になっておりますが、将来的には着実に進む領域と捉え、当社のコア技術であるモーター技術と制御技術の進化・融合によりこれらの期待に対応してまいります。
② 経営基盤の強化
これまで収益管理の高度化や構造改革による企業体質の強化を進めた結果、自己資本比率の回復や有利子負債の削減等、一定の成果が出てまいりました。引き続き、グローバル品質コストの最適化やPSI(生産、販売、在庫)管理の高度化といった基本的な管理体制の強化や、グローバルでの生産供給体制の再構築により、強固な経営基盤を築いてまいります。
③ 財務体質の健全化
中期経営計画の前半2年間は、モビリティ進化への対応や製品競争力の向上、経営基盤の強化によりキャッシュフロー改善を図り、財務の健全化に取り組んでまいりました。中期経営計画の後半3年間は、財務規律を維持しながら、成長分野への経営資源シフトにより、安定した事業ポートフォリオの確立を進めるとともに、将来の事業を支える強い財務基盤の構築を進めてまいります。
世界のモビリティ進化やモーター需要は益々拡大・複雑化し、当社にとってはビジネスチャンスに繋がる新たなテーマも増えてまいりました。一方、モビリティ進化のスピードや求められる製品は各国の取り巻く環境により変化が生じております。今後も「世界の人々に喜びと安心を提供する」という当社理念のもと、脱炭素社会への貢献を掲げたミツバビジョン2030の達成に向け、コンプライアンスの徹底とコーポレート・ガバナンスの強化により、社会の期待に応え、信頼される企業となるよう努めてまいります。
当社は、次のとおり「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」及び「指標及び目標」の観点からサステナビリティに関する考え方を整理し、取り組んでおります。
なお、文中に記載の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在(2025年6月25日)において当社が判断したものであります。
当社はサステナビリティに関する重点課題を確認し、適切な運用を推進・統制するため、取締役会及び経営会議の下、代表取締役 副社長執行役員を議長とするESG会議を年4回開催し、当社グループにおいて発生し得るリスク及び機会に対する分析・評価を行い、サステナビリティ経営の方針、戦略及び推進計画策定のための議論を行っております。また、推進計画の進捗状況をモニタリングし、改善を指示しております。また、ESG会議の下部会議体として、各領域別に課題解決のための委員会を設置し、各分野のエキスパートが活動しております。特に気候変動問題は最重要課題の1つと考え、サプライチェーン全体で取り組むべく、執行役員を委員とするカーボンニュートラル委員会(年4回)を設置し、脱炭素社会への貢献に積極的に取り組んでおります。

コーポレート・ガバナンス体制図については、「
(2) 戦略
<ミツバビジョン2030とマテリアリティ(重要課題)>
当社グループは、「ミツバは、ミツバを愛しささえる人々とともに、社会と環境に調和した技術の創造を通して、世界の人々に喜びと安心を提供する」を企業理念として掲げ、数多くの車載電装品を開発・製造・販売し、モビリティ社会の発展とともに、世界の人々に喜びと安心を提供してきました。
この理念に基づき、「ミツバビジョン2030」を策定し、電動化への最適ソリューションで、脱炭素社会の実現に貢献し、共に成長し続ける企業グループを目指しています。

また、サステナビリティに関する課題は、社会や企業のリスクを減少するだけでなく、収益向上の機会につながる重要な経営課題であると認識しております。そのため当社グループの事業及びステークホルダーの双方の観点から様々な社会課題の重要度を検討し、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。
このマテリアリティに基づき、着実に取り組みを推進し、企業としての持続的な成長と、社会課題の解決・社会的責任を果たすことを両立させてまいります。
詳細は、当社グループのウェブサイトをご確認ください。
・マテリアリティ特定プロセス
<STEP1>
GRIスタンダード等が重視する項目のうち、当社グループに関わる社会課題及び自主的に取り組んできた社会課題を抽出
<STEP2>
ステークホルダーの重要度及び当社グループの重要度から、マテリアリティを特定

<STEP3>
副社長執行役員を議長とするESG会議にて特定したマテリアリティを決裁
① 気候変動
当社グループでは、気候変動対策を最も重要な社会課題と認識しており、マテリアリティにも特定しております。当社グループが将来にわたって持続的に発展していくためには、気候変動の視点を取り入れた経営の更なる推進が必要になると考え、「ミツバ環境ビジョン2046」におけるCO2排出量の削減をさらに発展させた「ミツバカーボンニュートラル方針」を制定しております。

さらに、気候変動の視点を取り入れた経営のさらなる推進を目的として、TCFD提言に基づく分析を実施しました。
・シナリオ分析の前提
・気候変動に関するリスクと機会の特定、影響度の評価
当社グループにとって、特に「四輪車や二輪車市場の電動化の進展」については、リスク・機会両面において事業への影響が大きいものと認識しています。このリスク・機会への対応方針としては、短・中期では、電動化への移行期に重要となるICEの低燃費化、CO2排出量削減ニーズに着実に対応して、事業環境の変化に耐え得る財務基盤を強化するとともに、電動車向け新製品の開発投資を積極化し、顧客の多様化など拡販戦略を実行します。
長期では、電動車向け製品ポートフォリオを売上・収益の中核に育てる等の取り組みを進めていきます。
「脱炭素社会への移行に向けた政策及び法規制(カーボンプライシング及びエネルギー)」と「異常気象等の物理リスク」については、下表のとおりいずれもサプライチェーン全体を意識した対応を進めていきます。
・対応策
② 人的資本
当社グループでは、「人を活かし、人に生かされる企業となる」を経営理念の一つとして掲げています。組織は人によって成り立ち、個人の成長なくして組織の成長はありません。「ミツバビジョン2030」で目指す新たな価値や喜びを創出するためには、多様な属性や価値観を受け入れ、尊重し、立場や組織にとらわれない闊達な交流を含む多様性(ダイバーシティ)の実現が不可欠であると考えています。これら考えのもと、当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針として、ミツバグループ人権労働方針を制定しております。
・ミツバグループ人権労働方針
当方針を受け、安全衛生や健康経営については安全衛生・防災委員会及び健康経営推進委員会を通じて、職場環境の整備に取り組み、人材育成や多様性等については人事機能が戦略や計画を議論しております。
詳細は、当社ウェブサイトをご確認ください。
当社グループは、大規模地震をはじめとした自然災害や感染症の拡大、気候変動に関連するリスクなど、多様化するリスクを最小化するために、総合的なリスク管理の充実・強化に取り組んでおります。
サステナビリティに関する課題を含む事業のリスクについて、ESG会議にて定期的(年1回)に発生可能性、さまざまな影響度及びその対策状況から評価しております。特に重点となるリスクを洗い出し、責任部門や会議体を明確にし、軽減措置の立案及び取り組みを進めております。
また、経営に大きな影響を及ぼすリスクは「事業に関するリスク」「サステナビリティに関するリスク」「経営基盤に関するリスク」に分けて管理しております。詳細は、「
(4) 指標及び目標
当社は、サステナビリティに関するマテリアリティの課題解決に向けて、単年度の目標を設定しております。目標達成に向けた施策を関係部門・委員会で立案し、具体的な計画へ落とし込むとともに、その進捗をESG会議でモニタリングし、着実な取り組みの推進と改善へつなげております。
① 気候変動
脱炭素社会の実現に貢献するために、カーボンニュートラル方針で掲げた2030年にScope1,2グループCO2排出量を50%削減の達成に向けて意欲的に推進しております。
② 人的資本
当社では、上記(2)戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する主な目標及び実績は、次のとおりであります。
③ その他
当社は、当社グループ標準である「グループコンプライアンス・リスクマネジメント規定」に基づき、業務上のリスクの予見、評価、回避又は軽減等に関する措置を講じると共に、当社「ESG会議」において、定期的(年1回)に発生可能性、さまざまな影響度及びその対策状況から各リスクの重要度を評価しております。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。なお、文中に記載の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在(2025年6月25日)において当社グループが判断したものであります。
発生可能性のレベル選択の目安
影響度のレベル選択の目安
当連結会計年度における世界経済は、緩やかな回復基調を維持しているものの、ロシア・ウクライナ戦争を機とした欧州での経済停滞の長期化、中国経済の減速や、米国新政権の誕生、地政学的なリスクやエネルギー価格の変動が影響を及ぼしました。国内においては、材料・エネルギー価格の上昇や円安に伴う物価上昇が続き、一時的な停滞感を強めたものの、年央以降は個人消費の復調や好調なインバウンド需要により回復基調を維持しました。
自動車業界におきましては、2024年のグローバル四輪車販売が暦年で88,637千台(前年比1.6%減)となりました。米国は、追加関税前の駆け込み需要により、暦年で15,977千台(前年比2.4%増)と2年連続で前年を上回りました。欧州は、暦年で12,964千台(前年比0.9%増)と2年連続で前年を上回りました。中国は、政府の買い替え補助金政策により、暦年で31,436千台(前年比4.5%増)と4年連続で前年を上回りました。日本においては、2024年度は4,576千台(前年度比1.1%増)と3年連続で前年を上回りました。登録車は2,948千台(前年度比1.5%増)と3年連続で増加、軽自動車は1,627千台(前年度比0.1%増)と2年ぶりに増加となりました。
また、グローバル二輪車販売は、最大市場であるインドが堅調な需要やインフラ投資などにより、暦年で19,543千台(前年比14.5%増)と4年連続で前年を上回りました。インドネシアは、暦年で6,333千台(前年比1.5%増)と4年連続で前年を上回りました。
日本は、原付第二種と軽二輪車の減少により、2024年度で320千台(前年度比15.1%減)と2年連続で前年を下回りました。
このような状況の下、当社グループにおきましては、中期経営計画(2023年度-2027年度)の2年目となり、重点施策である「モビリティ進化への対応」「経営基盤の強化」「財務体質の健全化」を、計画達成に向け引続き推進しております。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、日本・中国エリアの四輪販売が低迷する一方、インド・インドネシアを中心とした二輪販売は堅調に推移したため、連結売上高は349,353百万円(前期比1.5%増)、連結営業利益は20,930百万円(前期比1.1%減)、連結経常利益は19,788百万円(前期比11.4%減)となりました。また、中国・トルコ拠点等で減損損失1,607百万円の計上があったため、税金等調整前当期純利益は18,091百万円(前期比2.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,864百万円(前期比13.7%減)となりました。
事業の種類別セグメント業績は次のとおりであります。
輸送用機器関連事業は、前述のとおり、売上高は323,344百万円(前期比0.0%増)、セグメント利益は18,160百万円(前期比2.4%減)となりました。
情報サービス事業は、車載系組込ソフトウエア開発支援業務、製造業向けAMOサービス※ などのITエンジニアリングサービスや警察向け及びガス事業者向けシステムの販売が堅調に推移したことから、売上高は22,486百万円(前期比23.7%増)となり、セグメント利益は2,165百万円(前期比18.1%増)となりました。
その他事業は、主に公共事業の売上増加により、売上高は7,660百万円(前期比18.9%増)となりましたが、セグメント利益は587百万円(前期比15.7%減)となりました。
※ AMO(Application Management Outsourcing)サービス:お客さまの業務システムを企画・設計から運用・保守までのシステム
ライフサイクルを通してサポートするサービス
当社は、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の基本的な方針とし、連結営業利益計画の達成と、営業キャッシュ・フローの確保を優先に活動しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,348百万円減少し、当連結会計年度末は97,142百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、31,141百万円のプラス(前期は36,267百万円のプラス)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、38,023百万円(前期比8.4%減)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益18,091百万円及び売上債権の減少1,428百万円、棚卸資産の減少3,684百万円、仕入債務の増加4,745百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、6,881百万円(前期は5,241百万円)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が8,785百万円となった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が1,168百万円あったものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、33,924百万円(前期は13,793百万円)となりました。この主な要因は、短期借入金及び長期借入金の返済による支出12,893百万円、自己株式の取得による支出20,096百万円によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債及び収益、費用等の額の算定に際して、過去の実績や状況を分析し、様々な要因を考慮して、その時点で最も合理的であると考えられる基準に基づいて見積りや判断を行っておりますが、実際の結果は、見積りに内在する不確実性があるため、これら見積り時の計上金額と大幅に異なる結果となる可能性があります。
連結財務諸表に関して、当社グループが認識している特に重要な会計方針は、以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産は、主として将来の課税所得の見込みに基づき、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には、適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
(製品保証引当金)
製品保証引当金は、販売された製品のうち、返品による交換費用や再生産出来なくなった場合に発生する廃棄費用、さらに取引先において当社製品取り付け後に不具合が生じた場合に発生する取り外し工賃等に備えるため、過去3年間の製品保証費及び売上高から計算される平均返品率に基づき計上しております。また、発生額を個別に見積ることができる費用については、販売台数や販売単価、回収可能率に基づき見積額を試算し、計上しております。
当社及び連結子会社は、製品保証引当金が適切な金額かどうかを常に確認しており、発生が見込まれる製品保証関連費用について、必要かつ十分な金額を計上していると考えております。
実際に発生する製品保証関連費用は、それらの見積りと異なることがあり、製品保証引当金の計上が大きく修正される可能性があります。
(事業構造改善引当金)
事業構造改善引当金は、事業構造の改善に伴い発生することが見込まれる損失に備えるため、当連結会計年度末で合理的に見積ることが可能なものについて、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を計上しております。当該見積りには、事業構造改革に基づき実施する拠点統廃合により発生する設備移設等の業務移管関連費用及び割増退職金等の人件費見込みなどの仮定を用いております。
当社及び連結子会社は、発生が見込まれる事業構造改善費用について、必要かつ十分な金額を計上していると考えておりますが、当該見積り及び当該仮定について、事業戦略の見直しや外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する事業構造改善引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産グループに関連する営業損益、営業キャッシュ・フローの水準を基に減損の兆候の検討を行い、減損の兆候が認められる場合、減損損失を認識するかどうかの判定を行っております。判定の結果、当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。
(2) 財政状態の分析
(資産・負債・純資産)
当連結会計年度における資産の合計は、333,534百万円(前連結会計年度は357,492百万円)となり、23,958百万円減少しました。流動資産は210,648百万円となり10,333百万円減少し、固定資産は122,886百万円となり13,624百万円減少しました。
流動資産の減少は、現金及び預金が4,332百万円、売掛金が3,365百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
固定資産の減少は、機械装置及び運搬具が7,735百万円、保有株式の時価評価等により投資有価証券が2,097百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
当連結会計年度における負債の合計は222,648百万円(前連結会計年度は234,911百万円)となり、12,263百万円減少しました。流動負債は152,281百万円となり16,293百万円減少し、固定負債は70,366百万円となり4,030百万円増加しました。
流動負債の減少は短期借入金が15,515百万円減少したことによるもので、固定負債の増加は長期借入金が3,015百万円増加したことによるものであり、これらは、金融機関への短期借入金返済及びシンジケートローン組成による短期借入金の長期借入金への借り換えが主な要因です。
当連結会計年度における純資産の合計は、110,886百万円(前連結会計年度は122,581百万円)となり、11,695百万円減少しました。これは利益剰余金が10,995百万円増加した一方、A種種類株式及びC種種類株式の買入消却等により資本剰余金が11,640百万円減少したことが主な要因です。
(3) 経営成績の分析
(売上高・営業利益)
当連結会計年度における連結業績は、日本・中国エリアの四輪販売が低迷する一方、インド・インドネシアを中心とした二輪販売は堅調に推移したため、売上高は349,353百万円(前連結会計年度は344,154百万円)となり、5,198百万円増加し、営業利益は20,930百万円(前連結会計年度は21,152百万円)となり、222百万円減少しました。
(経常利益)
当連結会計年度は、営業外収益が4,801百万円となり、506百万円減少しました。主なものは受取利息1,954百万円、受取配当金550百万円、持分法による投資利益535百万円になります。営業外費用は5,944百万円となり、1,827百万円増加しました。主なものは支払利息2,363百万円、為替差損1,224百万円、支払手数料586百万円、外国源泉税501百万円になります。経常利益は19,788百万円で、前期比2,556百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、中国・トルコ拠点等で減損損失1,607百万円を計上した結果、2,913百万円の特別損失を計上しております。一方、子会社株式売却益419百万円等の計上もあり、税金等調整前当期純利益は18,091百万円(前連結会計年度は18,516百万円)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は11,864百万円(前連結会計年度は13,741百万円)となり、前期比1,877百万円の減少となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に製品を生産するための原材料や部品調達の支出と、製造費用や販売費及び一般管理費に計上する費用に資金を消費しております。また、設備投資資金は、生産設備を取得し生産体制の構築や情報システムの整備等に支出しております。これらの必要資金は、利益と減価償却費の内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、2024年6月28日に第三者割当の方法によるD種種類株式発行により、総額100億円の出資を受けている他、2024年9月30日に取引金融機関との間のコミットメントライン契約150億円のコミットメント期間の期日更新をおこなっており、直近の資金繰りに支障は生じておりません。当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度の101,490百万円から4,348百万円減少し、97,142百万円となりました。また、流動比率は138.3%となり前連結会計年度に比べ7.2ポイント増加しました。
(注) 1.財務上の特約の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しております。
2.2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
(2) 企業・株主間のガバナンスに関する合意に関する契約
(株式会社日本政策投資銀行、株式会社横浜銀行との間で締結された第三者割当増資の株式引受契約における当該株主の事前の承諾を要する旨の合意)
当社は、2024年5月10日付けで、株式会社日本政策投資銀行(以下、「日本政策投資銀行」。)及び株式会社横浜銀行(以下、「横浜銀行」。日本政策投資銀行と併せて「割当先」と総称)との間で、引受契約書(以下、「本引受契約」。)を締結し、割当先に対して、第三者割当の方法により、総額10,000,000,000 円のD種種類株式を発行する旨の契約を締結し、2024年6月28日付けで当該D種種類株式に対し払込手続が完了いたしました。本引受契約において、当該提出会社の株主総会又は取締役会において決議すべき事項等について割当先の事前の承諾を要する旨の合意が含まれており、当該合意に係る内容は以下のとおりであります。
当該契約を締結した年月日 2024年5月10日
当該契約の相手方の氏名又は名称及び住所
日本政策投資銀行 東京都千代田区大手町一丁目9番6号 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー
横浜銀行 神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目1番1号
① 当該合意の内容
a. 当社株主総会における特別決議が必要とされている事項、事業の全部若しくは重要な一部の中止若しくは廃止、重要な不動産の譲渡等、事業全部の賃貸、事業全部の経営の委任、定款変更、組織再編行為、解散、倒産手続開始の申立等、株式の分割、併合、無償割当て、自己株式の取得、一定の剰余金の配当、資本金の減少等、一定の債務負担行為、一定のスワップ取引等を行う場合に、割当先の事前の承諾を得ること(但し、割当先は、当社の判断を最大限尊重し、かかる承諾を不合理に拒絶又は留保してはならないものとされています。)。
b. その他の合意の内容に関しては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1) 株式の総数等 ② 発行済株式」をご参照願います。
② 当該合意の目的
株主総会又は取締役会において決議すべき事項等について割当先の事前の承諾を要する旨の合意
本引受契約の実行に重大な悪影響を与える事態その他本引受契約の目的の達成が困難となる事態が生じることを回避することを目的としております。
③ 取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程及び当該合意が当該提出会社の企業統治に及ぼす影響
当社は、2024年5月10日開催の取締役会において、本引受契約の締結に関する当社のリーガル・アドバイザー、及びフィナンシャル・アドバイザーから提供された専門的知見を踏まえ、慎重に協議・検討を重ねた結果、本引受契約の締結が当社及びその株主の利益に資するものと判断し、当該合意を含む本引受契約の締結を決定いたしました。
これらの合意は、本引受契約に基づく企業価値向上を図るためのガバナンス強化の一環として合理的に位置付けられるものであり、当社の企業統治に与える影響は限定的かつ軽微であると判断しております。
(3) 株式交換契約
当社は、2024年11月13日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社とし、当社の連結子会社である株式会社タツミを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付で株式交換契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当社グループは、「社会と環境に調和した技術の創造を通して世界の人々に喜びと安心を提供する」という企業理念に基づき、輸送用機器関連事業及び情報サービス事業を中心に、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
輸送用機器関連事業では、マーケットインをベースに事業拡大を図る為、「オリジナリティのある開発型企業」を目指して、将来における商品及び技術の動向を予測した開発戦略に基づき、研究開発テーマを推進しております。
当社の強みとするモーター技術、制御技術、機構技術を相互に融合したトップランナー商品の開発を強化し、お客様に信頼される製品の研究開発に取り組んでおります。多様化していくモビリティ社会や、国際的に関心の高まっている環境・安全問題への技術的課題に対し、社会のニーズを先取りした独自性や優位性のある魅力的で新しい価値の商品を提供していきたいと考えており、四輪事業・二輪事業・電動化ソリューション事業の三事業制で、研究開発を推進しております。また、社内のリソースを成長領域に優先的にシフトする等の施策も講じております。
四輪事業においては、払拭耐久性と生産性を高めたフラットタイプの新型ワイパーブレードと従来仕様に比べて静音化、小型・軽量化を実現した新型ブラシレスサンルーフモーターを開発し、量産を開始しました。また、既に量産しているブラシレス制御ワイパーモーターを搭載した新ワイパーシステムを含め、お客様の多様なニーズに応えてまいります。
二輪事業においては、既にブラジルで実績のあるバイオエタノール対応可能な高品質燃料ポンプについて、今後の主力地域となるインド市場への参入へ向け開発を推進しております。ハイブリッド車用ACGスターターの量産や、LEDシグナルランプ・リレーなど、内燃機関車でのカーボンニュートラルの実現にも貢献しており、ライダーの利便快適安全性に寄与する電子制御クラッチ用アクチュエーターの上市により、顧客からも高い評価を得ております。EV化への対応としましては、駆動モーターについてはインド拠点への生産準備を進めており、コントローラーについては、小型軽量化を売りに商品競争力を強化した製品の開発完了へ向け推進中です。更に特定小型領域を狙ったACGスターターを改良した駆動システムの開発にも注力しております。
電動化ソリューション事業においては、BEV用ブラシレスファンモーターの量産準備と並行で、拡販活動を推進、その成果が出始めており、複数のお客様と開発を推進中です。また、新規のお客様向けに電動パワーステアリングモーターの量産準備を推進中です。多種多様な車両への搭載に向けモーター出力のラインナップ充実を図り、拡販を目指しております。
今後も自動車を取り巻く環境変化への対応、サステナブルな進化に適応する製品開発を通じて、社会のニーズに対応した商品のラインナップの充実を図り、自動車やバイク以外の新たな分野へも拡販を目指してまいります。
一方、生産技術分野においては、自社で設備、金型を開発している強みを活かし、製品設計へ造りの技術を反映しながら、高効率で高品質な生産システムの開発を推進しております。
信頼性の高い生産システムを短期間で開発できるよう、デジタルエンジニアリングを活用した開発プロセスの効率化に取り組み、ロボット、AI、IoTなどの先端技術を駆使したフレキシブルで合理的な設備開発を行っております。
社会と環境に調和した技術の進化を目指し、カーボンニュートラル実現に向けた生産設備の省電力化、原材料や副資材の歩留まり向上、サステナブル/リサイクル材の活用など、CO2排出量削減を推進しております。
また、海外拠点における設備・金型製作の自前化を推し進めることにより、グローバルでの生産技術力向上に取り組むとともに、職業訓練校での基礎教育、技能五輪への挑戦など、技術者の育成にも努めております。
今後も、安心・安全をお届けするため、日々生産システムの進化を目指した研究・開発を進めてまいります。