第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「人と社会と共生し快適で豊かな生活空間を創造し続けることで人々を笑顔にする」をコーポレートビジョンとして掲げております。当社は、ビジョンの実現を通じてステークホルダーの要請・期待に応え、 持続可能な社会の実現に貢献することを目的に日々の活動に取り組んでおります。

当社のこれまでの歩みには、社是『互譲協調』があります。 『互譲協調』とは、「人と人との和」を大切にし、思いやり・助け合いの精神の下、何事にも使命感と自責心をもって臨み 組織の相乗作用による高い目標・目的を達成することで、社会や社業に貢献する姿勢を意味する当社創業以来脈々と受け継がれている基本的な価値観です。

当社はこの社是の精神に基づき、事業やステークホルダーが直面する諸課題の解決に取り組み、そこから得られる信頼をベースに『選ばれ続ける企業』となることを目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

今年度より取り組む「新中期経営計画TVE (Transformative Value Evolution) Wave2 2027」においては、基本方針として営業利益の更なる引き上げに最優先で取り組むと同時に資本効率の向上を進めてまいります。

2027年度財務指標及び株主還元方針は以下としております。

 

■財務目標

・営業利益率

4.5~5%レベル

・ROIC

  8%

・ROE

 10%

 

 

■株主還元方針

・103.8円/株の下限配当を導入(2025年3月期実績:DOE4%相当)

・機動的な自己株買いを検討

・総還元性向50%以上を目指す

 

 

なお、当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
 

(3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループが関連する自動車業界におきましては、100年に一度と言われる変革が進んでおります。中国系自動車メーカーの台頭が著しい新エネルギー車(BEV、PHEV、FCV)の成長は各国の政策変更等により足元では鈍化していますが、今後共伸長していくと予測されており、自動運転やSDV(Self Defined Vehicle)などの技術革新における競争は引き続き熾烈を極めております。この様な環境下、自動車メーカーは経営戦略の見直しや他社との提携に取り組み業界の再編が進みつつあります。

2021年に中期経営計画「Transformative Value Evolution(TVE)」と共に発表した2030年までの企業価値向上のロードマップでは、2021年〜2024年を再生・強化と位置づけ、収益構造と資産効率の改善を図る経営基盤の再構築の期間(Wave0、Wave1)とし、活動に取組んでまいりました。その結果、北米と中国を除く事業において持続的に営業利益を稼ぎ出せる構造への変革が見込める状態になりました。

当社グループは、2025年度から2030年度のWave2を飛躍の期間とし、継続的な収益改善と共に3つの“シンカ”「深化」、「進化」、「新化」において成長の実現を図ってまいります。Wave2開始にあたっては事業環境、リスク・機会の分析を行い、ステークホルダーの視点から改めて重要課題を抽出し、当社事業活動と重要課題の繋がりを捉え直し、3つのマテリアリティを特定し2030年ビジョンを策定いたしました。

 

<2030年ビジョン>

社是“互譲協調”に沿い、イノベーションにより提供価値を変革し競争力・収益力を高めると同時に社会課題への対応を通じサステイナブル社会の実現に貢献する

 

<マテリアリティ>

①イノベーションと事業を通じた社会課題への対応(価値の提供)

②サステイナブル社会の実現への貢献と信頼に基づき選ばれ続ける企業になるための真摯な事業運営

③価値創造に向け自律的に行動できる人財と風土の醸成

 

2030ビジョンと3つのマテリアリティを活動の基盤に置きTVE Wave2の目標達成にむけ活動を推進していく所存です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  ESGの考え方

当社グループは、「人と社会と共生し快適で豊かな生活空間を創造し続けることで人々を笑顔にする」をコーポレートビジョンとして掲げております。当社は、ビジョンの実現を通じてステークホルダーの要請・期待に応え、持続可能な社会の実現に貢献することを目的にESGに取り組んでいきます。そのために、当社は「モノづくりを通じた社会貢献」と「事業プロセスにおける社会的責任」をESGの根幹と位置づけ、ESGと事業活動を一体化した経営を目指します。「モノづくりを通じた社会貢献」では、人々を笑顔にする革新的な技術を礎に自動車用シートを中心とした安心・安全・快適な車室空間を創造し続け、当社の商品やサービスによる提供価値を通じ社会へ貢献していきます。また、「事業プロセスにおける社会的責任」では、法令・社会ルールの遵守はもとより、ダイバーシティの推進や地球温暖化防止など社会が抱える課題に取組み、よき企業市民として社会的責任を果たしていきます。当社はESGを常に経営戦略の中心に据え、企業の持続的な成長を図りながら、これらの活動を通じて当社ビジョンの実現に取り組んでいきます。

 

■ESG経営概念図

 


 

 

(2) ESG推進体制

当社は、2019年6月にCSR活動推進会議(責任者:CSR担当役員、メンバー:CSR関連部門、事務局:総務部、経営企画室)を設置し、CSRに関する社会要請の把握、情報開示にむけたCSRの活動実績の取りまとめなどの活動を開始しました。2022年度にはESG推進室を新設し、社会的評価・信頼の一層の向上と「社是・企業理念・経営理念」の実現にむけて、ESG活動の強化に取り組んでいます。

 

■ガバナンス及びリスク管理

 


 

① ガバナンス

当社は「“座る”を追求し人と地球を支える」を企業活動の軸とし、ESG課題に対し活動を継続的に実施しております。その取組みについては社長が議長を務めるESG推進会議において、活動方針の承認や四半期ごとの進捗フォローを実施しています。 ESG推進会議の内容は、定期的に取締役会へ報告され、取締役会の指示、監督のもと活動に反映しています。

 

② リスク管理

当社は、リスク発生時の「損害規模」と「発生頻度」でリスクの重要性を評価し、その内容はリスクマネジメント委員会でレビューされ、取締役会へ報告されています。そのリスク評価に応じて講じるべき対策とその目標値を関係する部会で設定し、リスクマネジメント活動を推進しています。ESG関連リスクについてはESG推進会議で特定し、リスクマネジメント委員会でその他リスクに包含されレビューされます。これらリスクについては1年に一度リスクマネジメント委員会でレビューし、必要に応じて見直しを行います。

 

 

 

(3) 戦略

① 気候変動に関する戦略

今世紀末の平均気温が産業革命前との比較で4℃上昇するシナリオと、1.5℃の上昇に抑えられるシナリオを検討し、事業に与える気候関連リスクと機会を抽出しています。リスクマネジメント委員会での評価におけるリスク評価が高い気候関連リスクは、以下のとおりです。

 

リスク

分類

要因

当社へのインパクト

影響時期

影響度

影響額

対応

移行

リスク

1.5℃

シナリオ

政策/

法規制

平均気温上昇を1.5℃程度に抑えるため、炭素税導入など厳しい法規制が実施される

・事業所エネルギー費用の増加

・材料調達費用の増加

・物流費用の増加

中期

炭素税導入による事業所エネルギー費用の増加

7.7億円(連結)

・省エネ活動の継続と拡大

・再生可能エネルギー利用拡大

・サプライチェーンの省エネと再エネ促進

・物流改善による輸送の効率化

市場/

技術

消費者に温室効果ガス削減意識が浸透する

ライフサイクルでCO2排出が多い製品の需要減少

中期

従来のシートフレーム製品の売上減少

77億円(連結)

・低炭素化に繋がる、従来技術の深化と新技術開発

物理

リスク4℃

シナリオ

急性

世界のCO2削減は現状レベルに留まり、平均気温が4℃上昇し、集中豪雨や異常な高温が頻発する

・工場浸水

・サプライチェーン寸断

短期

工場浸水による操業停止期間の売上減少

32億円(1拠点)

・BCP策定による早期復旧を実施する

機会1.5℃

シナリ

商品/

サービス

消費者に温室効果ガス削減意識が浸透する

・ライフサイクルでCO2排出が少ない製品の需要増加

中期

新型のシートフレーム製品の売上増加

157億円(連結)

・より小型で軽量な製品の開発

・リサイクル材や植物由来材料の適用

 

これら、シナリオ分析の結果から、新たに必要な対応を経営戦略に反映し、事業のレジリエンス強化に取り組み、情報開示に努めてまいります。

(注)1

参照したシナリオ

 

・4℃

:

RCP8.5 IEA STEPS公表政策シナリオ、CPS現行政策シナリオ

・1.5℃

:

RCP2.6 IEA SDS持続可能シナリオ、NZE2050実質ゼロシナリオ

 

(注)2

影響時期

:

短期→3年以内、中期→2030年前後、長期→2050年前後

 

影響度

:

発生可能性(5段階)×財務影響額(5段階)から算出

 

 

② 人的資本に関する戦略

当社では、グループのコーポレートビジョン(企業理念)として「人と社会と共生し、快適で豊かな生活空間を創造し続けることで人々を笑顔にする」を、企業を営む上での未来永劫普遍的な考えとして掲げ、企業として持続的な成長を遂げるべく取り組んでいます。とりわけ、人的資本への投資はその中核要素であるという位置づけのもと、当社は、従業員一人ひとりの自主自立の思想・行動を尊重するとともに、仕事を通じて成長の場を提供することが、企業の社会的責任であると考えています。そのため、従業員の人格・個性と多様性を尊重し、安全で働きやすい環境を確保することで、仕事と家庭・社会における責任をともに果たし、従業員と企業がともに成長できる、活力と働きがいのある職場づくりを進めていきます。これらの実現のための具体的な取組みは、以下のとおりであります。

 

(ア) ダイバーシティの取組み(多様性への対応)

多様な個性や能力を生かせる組織づくりは不可欠であると考えており、人財の多様化に対応すべく、以下のとおり、女性活躍推進とグローバル人財の採用に取り組んでおります。

 

● 女性役員及び女性管理職(日本)

国内での取り組みとして、政府が掲げる2030年における女性役員比率30%達成に向けて候補者を選出し、役員による職場環境改善に対するコミットメントと、個々の育成計画を策定し進捗を管理します。また、女性役員の候補となる女性管理職比率としては、2030年目標を15%に設定しております。

● 女性活躍促進にむけた行動計画(日本)

国内の母数形成を図るための環境整備として、不妊治療休暇、産前・産後面談の制度導入により、これまで退職を余儀なくされていた社員が安心して就業できる環境を実現します。

● グローバル人財の採用活動(日本)

グローバル人財の採用活動定着化を通じ、持続的に社内の多様性を高めていくため、2021年度より以下の活動を実施しております。

・外国人留学生に対象を絞った企業説明会の実施

・現地、海外学生とのオンライン採用面接の実施

(イ) 教育

全社教育(法令順守マインド醸成、自己啓発支援)、階層別教育(ヒューマンスキル)、部門別教育(テクニカルスキル)の三本柱を教育体系として各種教育を実施しております。2024年度については、中堅層を対象とした選抜制の次世代リーダー力強化研修を新たに実施しました。また、以下のとおり、変革を実現するための人財マネジメントとして、管理職層のマネジメント能力の向上(注1)、海外キーパーソンの育成(注2)に取り組んでおります。

(注) 1 部下の育成、チームマネジメント、メンバーのスキル・モチベーション向上にアプローチするための管理職向けアクションラーニング研修、リーダーシップ研修の実施。

2 将来の当グループを牽引する人財をグローバル全地域で発掘し、高い視野・視座をもつ変革人財の育成を実施。

 

(4) 指標及び目標

① 気候変動に関する指標

上記「(3)戦略 ①気候変動に関する戦略」に関し、2050年カーボンニュートラルを目指し、その指標と2030年目標は、以下のとおりであります。

指標

2023年実績

(注)1

スコープ1及びスコープ2

タチエスグループ連結

33,822t - CO2

 

スコープ3(カテゴリー1)

タチエスグループ連結

973,249t - CO2

 

スコープ1及びスコープ2

提出会社

7,066t - CO2

 

スコープ3(カテゴリー1)

提出会社

329,104t - CO2

(注)2

 

2030年度目標

・CO2排出量スコープ1、2削減(タチエスグループ連結):2019年度比△50%

(注)1 bsi社による第三者検証を受け独立保証声明書を取得しております。 

https://www.tachi-s.co.jp/sustainability/tcfd.html

2 スコープ3 「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースver3.2」より算出。提出会社のカテゴリー1~8を算出し、カテゴリー1が95%以上を占めるため、連結、単体ともカテゴリー1のみ記載しております。

 

② 人的資本に関する指標

上記「(3)戦略 ②人的資本に関する戦略」に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組み及び社内環境整備に関する取組みについて用いる指標は、以下のとおりであります。

項目

指標

目標

実績(当事業年度)

女性活躍促進に向けた行動計画

ダイバーシティの取組み

採用における女性比率

2024年度まで30

22.7%

女性管理職比率

2030年度まで15%

3.9%

グローバル人財の採用活動

学卒採用における外国人比率

10%以上/年

35.0%

教育

全社員向け教育の理解度

平均3以上 (注)1

平均3以上

 

(注)1 評価範囲「1~5」、理解度テストの難易度は教育実施者に一任

(注)2 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況  5  従業員の状況  (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 業績変動

当社グループの事業は自動車用座席及び座席部品の製造並びに販売であり、特定の自動車メーカーの系列に属さず、複数の自動車メーカーからの受注に基づいて生産・販売を行っております。従いまして、特定の自動車メーカーへの依存度は高くありませんが、販売先である自動車メーカー各社の市場での評価や支持、当社グループの製品を採用した車種の販売動向、あるいは新型車種投入時期により、業績に影響を受ける場合があり、また、売上高及び利益が上期、又は下期に偏る場合があります。さらに、自動車メーカーによる発注方針の変更、生産調整(原材料不足含む)、特定車種の生産工場移管、工場再編等により、業績に影響を受ける場合があります。加えて、当社グループはグローバルに事業活動を展開しております。これに伴い、各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなくても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 

(2) 新製品開発力

当社グループは、技術力とコスト競争力に裏打ちされた確固たる『グローバル・シート・システム・クリエーター』としての地位確立が急務であるとの認識から、業界標準たり得る差別化商品・新工法をユーザー及び自動車メーカーに提供するため、長期的視野に立ってシート技術の研究開発活動を展開しております。しかしながら、ユーザーと自動車メーカーの変化を充分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合やタイムリーに提供できない場合、将来の成長と収益性を低下させ、更には投下資金の負担が業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) グローバル展開

当社グループは、特定のメーカーの系列に属さず、複数の自動車メーカーとの取引を行っていることは前述のとおりです。自動車メーカー各社は各様のグローバル展開を実践し、当社グループは、この施策に追従する必要性が出てきております。生産拠点を設けるにあたっては、予期しない法規又は税制の変更、あるいはテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。

 

(4) リスク評価により選定された対策優先リスク

当社では前述のリスクに加え、事業環境の変化を踏まえて予測されるリスクを抽出し、「損害規模」と「発生頻度」の観点から評価を実施しております。評価されたリスクについては、社内のリスクマネジメント委員会においてリスクの大きさだけではなく、「当社が重視する価値観」や「ステークホルダーの社会的な関心が高いリスク」といった観点を加味して協議し、当社の対策優先リスクを選定しております。また、各リスクについては、その対策状況を確認し、必要に応じて改善状況のフォローアップを実施しております。なお、対策優先リスクは、当社グループ会社間で共有し、グループ全体でリスクの最小化に努めております。選定された対策優先リスクは、以下のとおりです。

 

① 火災・爆発

火災・爆発については、法定に基づいた消防設備の維持及び建屋の管理、危険物や可燃物等の管理、消防訓練の実施、火災保険の付保等の対策を推進しております。しかしながら、工場等で火災が発生し建屋、設備等が焼損するとともに、従業員が死傷した場合、また、復旧までの長期間にわたり、工場の操業を停止せざる得なくなった場合は、当社グループの生産及び社会的信用に影響が生じ、影響の規模によっては、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。

 

② 自然災害(地震)

自然災害については、法令に基づいた消防設備の維持及び建屋の管理、BCP規程の策定及び訓練の実施、ハザードマップの周知等の対策を進めております。しかしながら、生産拠点を含む地域で災害が発生し、建屋や生産設備・機械、出荷前の製品等が損傷するとともに、従業員が死傷した場合、また、治具等の関係上、他工場で代替生産ができず、工場が復旧するまで操業が停止した場合は、当社グループの生産及び社会的信用に影響が生じ、影響の規模によっては、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。

 

 

サイバー攻撃

サイバー攻撃については、情報セキュリティの必要性・重要性について教育を通して従業員の認識を高めながら、常に従業員と連携し対応しています。また、セキュリティ対策システムは、次々に発生する情報セキュリティリスクに対応するために、常日頃から対策と監視を強化し、従業員が安全にIT環境を利用できるように、総合的な情報セキュリティ対策を行っています。しかしながら、高度化されたサイバー攻撃により当社の情報が万一漏洩、流出した場合、当社グループの生産及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 海外現地法人・拠点の管理不備

海外現地法人・拠点の管理不備については、組織的又は個人による不正・違法・反倫理的行為、行動規範や社内ルール違反などについて相談・通報を受け付ける「内部通報制度」を、全てのグループ会社で整備しています。また、業務執行部門の業務の妥当性、準拠性、有効性を確認する「業務監査」を定期的に実施しており、その中で倫理・法令遵守状況等の確認も行っています。しかしながら、海外現地法人・拠点の管理が不十分であることにより、不正・不祥事が発生した場合、当社グループの業績と財務状況及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

品質問題

品質問題については、予防体制・危機管理体制を構築し、月次での報告会の実施、市場クレームの分析、対策を行っており、社内での品質概要教育、製造物責任賠償についての保険の付保等も推進しております。しかしながら、当社製品の欠陥により事故等が発生、又は当該製品の回収が行われた場合、当社グループの生産及び社会的信用に影響が生じ、影響の規模によっては、事業の遂行に問題が生じる可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復傾向が続いており、企業は堅調な業績を背景にデジタル変革・省人化対応・脱炭素関連・サプライチェーンの強靭化など、将来に向けた投資を進めています。2025年の春闘の賃上げ率は2023年、2024年に続き高い伸びとなる見込みではあるものの、足元で進む物価上昇により内需の中心である個人消費は力強さを欠いています。主要リスクとしましては、米国トランプ政権の主要政策見直しによるグローバル経済への影響と低迷が続く中国経済などが挙げられます。

当社グループが関連する自動車業界におきましては、新エネルギー車が著しい伸びを示している中国を除き、グローバル市場全体としては新エネルギー車への移行が当初見込みより遅れるなか、自動車メーカー各社は車種戦略・投資計画の見直しを図っています。自動車業界は100年に1度と言われる技術革新を通じたクルマに求められる付加価値の変革に対応するための投資を進める一方で、インフレ・米国トランプ政権の政策変更影響や地政学的リスクなどへの対応が求められています。このような環境のもと、当社を含めたサプライヤーには、主体的でスピーディーな変化への対応が従来にも増して重要になっております。

当連結会計年度は、2021年度に開始した中期経営計画「Transformative Value Evolution(TVE)」のWave0とWave1の最終年度にあたります。事業環境の変化を受け、2023年度からは収益改善に向けた3つの追加施策に取り組んでまいりました。1つ目は事業縮小や工場集約などの不採算事業の収益改善。2つ目は材料費や物流費の自社による更なる低減に加え、インフレに伴うコスト上昇分の販売価格への反映を通じた限界利益の向上。3つ目は開発・管理体制の見直しなどによる固定費の最適化です。この結果、日本・北米・中南米において収益構造改革が進み、北米と中国を除く地域で持続的な営業利益を稼ぎ出せる構造への変革が見込める状態になってまいりました。その他の主な事業活動成果としては、日本国内では本田技研工業株式会社向けN-BOX JOYとN-VAN e、トヨタ自動車株式会社向けランドクルーザー250のシート生産を立ち上げ、メキシコでは、メキシコ日産自動車会社向けに当社新型標準フロントシート用フレームTTK-X並びに新型KICKSのシート生産を立ち上げております。品質面では、これまでの地道な取組みが評価され、各地域においてお客様より多くの品質賞を受賞しております。

このような経営環境のもと、当連結会計年度における業績は、売上高は2,853億9千4百万円と前年同期比2.6%減となりましたが、営業利益は96億2千5百万円(前年同期比33.6%増)、経常利益は107億6千8百万円(前年同期比23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は113億1千万円(前年同期比108.6%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

日      本

売上高は1,155億2百万円(前年同期比7.7%減)、営業利益は67億9千7百万円(前年同期比97.2%増)となりました。

 

北      米

売上高は438億4千9百万円(前年同期比19.7%減)、営業損失は6千5百万円(前年同期は営業損失10億2千3百万円)となりました。

 

中  南  米

売上高は1,037億1千1百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益は30億1千8百万円(前年同期比24.3%減)となりました。

 

欧      州

売上高は1千4百万円(前年同期は売上高0百万円)、営業損失は6千1百万円(前年同期は営業利益1億7千4百万円)となりました。

 

中      国

売上高は182億1千4百万円(前年同期比4.5%減)、営業損失は6億2百万円(前年同期は営業利益6億1百万円)となりました。

 

東南アジア

売上高は41億1百万円(前年同期比35.6%増)、営業利益は5億7千7百万円(前年同期は営業利益3千8百万円)となりました。

 

セグメントごとの生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日      本

115,135

△8.1

北      米

43,559

△20.3

中  南  米

104,032

14.3

欧      州

14

中      国

18,100

△5.5

東南アジア

4,087

34.4

合計

284,930

△2.8

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  金額は販売価格によっております。

 

②受注実績

当社グループは主に自動車座席及び座席部品を製造・販売しており、主要な顧客である自動車メーカー各社に対する納品までの期間が極めて短期間であるため、受注高及び受注残高の記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日      本

115,502

△7.7

北      米

43,849

△19.7

中  南  米

103,711

13.7

欧      州

14

中      国

18,214

△4.5

東南アジア

4,101

35.6

合計

285,394

△2.6

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

メキシコ日産自動車会社

43,681

14.9

48,378

17.0

三菱自動車工業株式会社

37,385

12.8

39,399

13.8

本田技研工業株式会社

39,536

13.5

28,663

10.0

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、1,719億5千7百万円と前連結会計年度末に比べ88億4千8百万円減少しております。これは主に、関連会社株式の売却等により投資有価証券が59億5千6百万円、関連会社出資金の減少等により投資その他の資産のその他が14億7百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

 

日      本

総資産は1,235億1千8百万円と前連結会計年度末に比べ31億6千8百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が増加したこと等によるものであります。

 

北      米

総資産は372億5千8百万円と前連結会計年度末に比べ65億8千3百万円の減少となりました。これは主に、売掛金が減少したこと等によるものであります。

 

中  南  米

総資産は516億5千8百万円と前連結会計年度末に比べ17億6千4百万円の増加となりました。これは主に、売掛金並びに原材料及び貯蔵品がそれぞれ増加したこと等によるものであります。

 

欧      州

TACHI-S Engineering Europe S.A.R.L.の清算結了により総資産はありません。(前連結会計年度末に比べ33億3千5百万円の減少

 

中      国

総資産は222億1千2百万円と前連結会計年度末に比べ43億2千7百万円の減少となりました。これは主に、売掛金の減少並びに関連会社出資金の売却に伴なう投資有価証券の減少によるものであります。

 

東南アジア

総資産は58億7千4百万円と前連結会計年度末に比べ9億2千6百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金並びに売掛金の増加によるものであります。

 

負債合計は、737億7千2百万円と前連結会計年度末に比べ107億3千5百万円減少しております。これは主に、支払手形及び買掛金が64億2千4百万円、未払費用が20億2千1百万円それぞれ減少したことによるものであります。

純資産合計は、981億8千5百万円と前連結会計年度末に比べ18億8千6百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が79億8百万円増加した一方、有価証券評価差額金が12億8千7百万円、非支配株主持分が46億1千6百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、435億9千3百万円と前連結会計年度末に比べ44億6千5百万円11.4%)増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、97億6千4百万円であり、前連結会計年度と比べ86億8千2百万円47.1%)減少しました。これは主に、収益力の改善により営業利益が20億1千9百万円増加した一方で、運転資本の増減額が33億9百万円、未払費用の減少等により営業活動によるキャッシュ・フローその他が62億9千2百万円それぞれ減少したことによるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により得られた資金は、39億6千2百万円であり、前連結会計年度と比べ60億4千5百万円前連結会計年度は20億8千3百万円の使用)増加しました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が39億2千1百万円、関係会社株式の売却による収入が35億5千8百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、92億9千4百万円であり、前連結会計年度と比べ40億7千6百万円30.5%)減少しました。これは主に、短期借入金の返済が前連結会計年度と比べ減少したことから、短期借入金の純増減額が93億3千5百万円の増加となった一方で、非支配株主への払戻による支出が38億5千万円増加したことによるものです。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 

当社グループは営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び自己資金に加えて、金融機関との間で締結したコミットメントラインを含む短期借入枠により資金の流動性を十分に確保しております。

また、設備投資資金についてはグループの投資計画に基づき外部借入も機動的に活用することにより、全体で資本コストの適正化と財務の健全性の確保に努めております。

株主還元については経営における重要課題の一つと考えております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

(5) 経営上の目標の達成状況

2021年度から取り組み、2024年度が最終年度となる中期経営計画「Transformative Value Evolution(TVE)」では、策定時からの3つの事業環境変化(①コロナ禍や半導体不足によるグローバル生産台数の減少、②中国での大幅な生産台数の低下、③グローバルでの物価上昇)による収益低下に対処するため、当初2022年度末までを予定していた収益確保を主眼とするWave0期間を延長し、収益改善に向けた以下の追加施策を実施してまいりました。

 

1)    不採算事業の収益改善

2)    限界利益の向上

3)    固定費の最適化

 

この結果、TVE Wave0/1の2024年度の経営目標(売上高、営業利益、ROE、DOE)は全項目において達成いたしました。また、全ての事業を対象にゼロベースで収益性や事業将来性を再評価した結果、グローバル拠点数は2020年度末の14カ国/69拠点から2024年度末には9カ国/53拠点へとリーンな事業構造となりました。損益分岐点売上高は、2020年度末の2,500億円から2024年度末時点で2,200億円に引き下げることができました。Wave0/1フェーズで計画した収益構造基盤の再構築はほぼ完了し、2024年度に赤字となった北米と中国の収益改善及び中南米での収益向上が継続課題となります。

Wave2フェーズでは、継続的な収益向上と共に「飛躍」に向けた成長の実現に取り組んでまいります。

 

 

5 【重要な契約等】

(第三者割当による新株予約権及び無担保転換社債型新株予約権付社債の発行)

当社は、2025年2月27日開催の取締役会において、下記のとおり第三者割当により発行される第1回新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)及び第2回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下「本 新株予約権付社債」といい、その社債部分を「本社債」、その新株予約権部分を「本転換社債型新株予約権」 といいます。)の募集について決議し、2025年3月19日に払込みが完了いたしました。

 

第1回新株予約権

新株予約権の総数

33,112個

新株予約権の目的である株式の種類

普通株式

新株予約権の目的である株式の数

本新株予約権1個の行使請求により交付する普通株式の数は、181,200円(払込価額)を行使時において有効な行使価額で除した最大整数とし、行使により生じる1株未満の端数は切り捨て、現金による調整は行わない。(注)

新株予約権の発行価額

本新株予約権1個当たり 185円

新株予約権の払込価額

本新株予約権1個当たり 181,200円

当初行使価額

1株当たり 1,812円

新株予約権の行使期間

2025年3月21日から2030年3月18日まで

新株予約権の行使の条件

各本新株予約権の一部行使はできないものとする。

新株予約権の割当先

AAGS S12, L.P.

 

(注)本新株予約権の目的である株式の総数の上限は、本新株予約権の総数に払込価額を乗じた金額を行使価額で除して得られる最大整数とし、行使価額が調整された場合は、本新株予約権の目的である株式の総数は変更されます。

 

第2回無担保転換社債型新株予約権付社債

新株予約権の総数

40個

新株予約権の目的である株式の種類と数

普通株式

新株予約権の目的である株式の数

本社債の金額の総額を行使時において有効な転換価額で除して得られる数とし、行使により生ずる単元未満株式は現金により精算し、1単元未満の株式は切り捨てる。

新株予約権の払込金額

本新株予約権と引換えに払込みは要しない。

当初転換価額

1株当たり 1,812円

新株予約権の行使期間

2025年3月21日から2030年3月18日まで

新株予約権の行使の条件

各本新株予約権の一部行使はできないものとする。

新株予約権付社債の残高

4,011百万円

新株予約権の割当先

AAGS S12, L.P.

 

 

(固定資産の譲渡)

当社の連結子会社であるTACHI-S Engineering U.S.A., Inc.は、同社が保有する固定資産の譲渡に関するする契約を2024年12月17日に締結し、2025年3月28日に引き渡しが完了しております。

 

1.譲渡の理由

当社は、2021年5月に発表した中期経営計画に基づき、工場及び事業所の再編、物流効率化を含む収益構造の改善に取り組んでおり、その一環として以下の資産を譲渡するものであります。

 

2.譲渡資産の内容

所在地

米国テネシー州

資産の種類

土地、建物

譲渡前の用途

工場

 

 

3.損益に与える影響

当該固定資産の譲渡に伴う売却益は、当連結会計年度において固定資産売却益として特別利益に計上しております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、社会・経済環境が大きく変化していく中、長期的視点に立ち、シートに関連する技術のトレンドを的確にとらえ、ユーザー及び自動車メーカー(関連メーカー)各社のニーズに積極的に応えるため、競争力ある商品の開発、基盤技術・先行技術の研究開発活動を展開しております。
   新製品の開発及び新技術の基礎研究は、主に国内の開発拠点を中心に海外の開発拠点とグローバルでの相互補完体制を構築し、『グローバル・シート・システム・クリエーター』として、世界的レベルで研究開発活動を進めております。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は3,689百万円であり、主として日本で発生したものであります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

日      本

技術・モノづくりセンターを中心として、コア技術を日本で確立・標準化し、世界に展開することにより、開発業務の効率化を図るとともに、世界同一品質の実現と低コスト化を推進しております。

主たる成果は以下のとおりであります。

 

①シート及びオリジナル機構部品開発

自動車用シート、シートのリクライニングデバイス、スライドレール、リフター装置、パワーシートデバイス、シートの付属機構や装備等を含めた開発をシートシステムとして行い、得意先各社へ提案し採用されております。

 

②標準フレーム

グローバルに、多様な車種で共通して使うことができる、汎用性が高く、軽量・低コストの標準フレームを開発し、得意先各社へ提案し採用されております。地域別では、日本・中国・メキシコにて採用されております。

 

③環境対応技術開発

各種環境負荷物質の全廃に向けた製品・技術の開発、自動車のライフサイクルCO2削減のためのシートの軽量化技術の開発を行い、得意先各社へ提案し採用されております。また、リサイクル材料の提案に向けた開発に取り組んでおります。

 

④安全性向上技術開発

サイドエアバック組込シート、スマートエアバックに対応した乗員検知・識別式シート、前面・後面・側面衝突時の荷重入力に対応した安全シート構造、頸部傷害軽減構造等の開発をシートシステムとして行い、得意先各社へ提案し、採用されております。

 

⑤生産技術開発

シートの接着成形技術、ヘッドレスト・アームレストの一体発泡成形技術、トリムカバー縫製に関わる技術、シートフレーム溶接技術、シート組立に関わる技術についての省力化・自働化に取り組み、労働人口減少という社会問題への対応を図り、高品質な製品の安定供給に向け取り組んでおります。

 

⑥シートの研究分野

シートの基本性能である「座り心地」や「人の快適感」の要因について継続的な研究を行い、自動車乗員のより快適な移動のためのシート構造や装備等の開発を行っております。さらに、CAE解析によるバーチャル試験技術の開発により、開発期間短縮、コストダウン等に貢献しております。

 

 

将来シート商品の開発

EVシフトやADAS技術の進化に伴いニーズが高まってくる乗員快適性に対応するため、熱マネジメント技術などの付加価値技術の開発を推進しております。また、「移動マイルーム」コンセプトで移動空間における付加価値を提案し、スマートシートでシートに係る体験価値を創出、具現化してきており、さらに、シートにおける体験を新たな価値とする商品の具現化に向け、感性領域の付加価値開発も推進しております。

※ADAS:Advanced Driver-Assistance System

 

北      米

米国ミシガン州にTACHI-S Engineering U.S.A., Inc.を構え、主に、米国内での各自動車メーカーの新製品開発に独自に対応し、米国国内の量産化に貢献しております。

 

中  南  米

メキシコ アグアスカリエンテス州にTACHI-S Engineering Latin America, S.A. de C.V.を構え、開発拠点として、主に米国やメキシコでの量産化に貢献しております。

 

中      国

中国広東省広州市に泰極愛思(中国)投資有限公司、同河南省鄭州市に泰極愛思(鄭州)汽車座椅研発有限公司を構え、現地で開発し得意先へ提案できるよう体制の強化を図っており、中国生産車種のマイナーチェンジへの対応や、今後の中国国内の自動車メーカーからのご要望にお応えしております。

 

東南アジア

ベトナム ホーチミン市に開発拠点としてTACHI-S Engineering Vietnam Co., Ltd.を構え、設計開発とCAE解析力の強化を進めております。