第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は、「常に誇り得る商品をつくり 顧客に奉仕し 社会に寄与する」を経営理念として、創業以来自動車部品業界での事業活動に取り組んでまいりました。今後もこの経営理念を旗印に、日本プラストグループの企業価値を高めることが、株主、顧客をはじめとする企業の利害関係者の期待に応えることであると考えております。企業環境はますます厳しく、またグローバル展開における的確な舵取りが従来にも増して不可欠であり、当社は常に「顧客に奉仕」・「社会に寄与」を念頭に経営に取り組んでまいります。

(2) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題

① 新型コロナウイルス感染症への対応

当社グループを取り巻く環境は、先行きの不確実性が一層高まりを見せております。世界経済は、緩やかな拡大基調が続いていたものの、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により多数の尊い命を失うとともに、主要都市の経済は麻痺し、リーマンショックを超える大打撃を受けております。

これに対し、当社グループはお客様、お取引先様、従業員の安全を守ることを最重要課題とし、従業員一人一人ができる感染予防の徹底的な意識づけや、在宅勤務等の働き方改革を加速させ、感染リスクの低減に向けた諸施策を実施しております。また代表取締役社長を本部長とする緊急対策本部を設置し、グローバルで刻一刻と変化する状況にスピーディーに対処し、その影響を最小限に抑えつつ、終息時にはただちに下記の第5次中期経営計画の推進に向けて舵を切りなおします。

② 第5次中期経営計画

当社が身を置く自動車業界では、大きな変革期を迎え、利益創造構造の変化と、同業種に加え異業種からの参入による競争の激化が進み、さらに受注環境は厳しさを増しております。一方で地球に目を向けると、行き過ぎた経済至上主義の代償として、地球温暖化による水害・風害・干ばつ・山林火災、地下資源の過剰汲み上げによる地盤沈下・資源の枯渇や、貧富差の拡大、飢餓、若年強制労働等、早急に取り組むべき課題が乱発しております。

そのような中、当社は従来より取り組んできた経営基盤の強化に加え、国連で採択された国際目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」を踏まえ、長期的な展望で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速し、「顧客からの揺るぎない信頼と企業価値の最大化」を目指し、2020年度からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画を策定しました。スローガンには「INNOVATION~革新~」を掲げ、お得意先様・お取引先様への顧客価値、株主様・投資家様への顧客価値、地域社会・従業員への顧客価値という3つの視点から主要活動を捉え、以下の重点施策に取り組んでまいります。

・社会貢献領域での事業化

人命を守る事業を扱う企業として、また樹脂事業に携わる企業として、SDGsの目標達成に向け当社が取り組むべき課題を積極的に検討し、2030年の社会貢献領域での事業化を目指します。

・品質保証体制の強化

ゼロディフェクト品質を追求し、お客様品質評価No.1を目指します。

・働きがいのある職場づくり

当社グループの持続的な成長を支える重要な基盤は人財です。国内外において労働人口が減少していく中、テレワークの推進とIT活用による働き方改革や、女性活躍・シニア活用・海外拠点との人材交流等、多様性があり、働きがいを持って仕事ができる職場づくりを目指します。

・企業競争力の向上

原価企画活動の強化や固有技術をベースとした魅力ある商品の提案、国内外の生産アロケーションの最適化への取り組み等、QCDD(品質、コスト、納期、設計・開発)全領域の徹底的な強化を目指します。

・稼ぐ力の強化

利益追求の考え方から投資効率の重視へ考え方をシフトし、キャッシュ・フローの効率化や投下資本の適正化に取り組みます。

 

③ 主要な事業の経営環境、経営戦略及び対処すべき課題

・安全部品部門

現在の自動車業界は、2極化の局面がさらに強まってきています。都市化が進む先進国ではぶつからない車、人が運転しない車、クリーンでエコな車が求められ、CASEに代表される次世代自動車の開発が加速度的に進んでいます。これに対し当社は、高度化する安全法規対応に加え、加速する“つながる車(コネクテッド)”化を受け、アラーム機能やセンシング機能を充実させ、外部からの情報を的確に”車から人へ”伝え、運転手の意思・判断を確実に”人から車へ”伝える情報伝達(HMI)デバイスとして、ハンドル、ドライバーエアバッグを中心に機能拡充をはかり、当社製品の必要性と重要性及び発展性を最大化した魅力ある商品を提案し続けます。

一方、市場拡大が期待されるアセアン・アフリカ諸国等の新興国では、インフラ上の問題から従来型自動車の需要が大半を占め、高度化よりも廉価化が求められています。これに対し共通化、シンプル化を追求し、安全・安心を確保しつつ、リーズナブルで受け入れられやすい部品(価格)を提案し、自動車市場拡大に寄与していきます。

・樹脂部品部門

自動車に対する要求は、単なる移動手段から、移動する居住空間へと大きく変化しています。ユーザーが求めるクオリティをいかに実現していくか、ニーズの変化をいち早くとらえタイムリーに提供していくか、更には市場のトレンドから次に来るニーズを予測し、新たなウェーブを作り出していくかを求められています。これに対し当社は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚に対し、人間が感じる”快適”を当社の独自技術で数値化し、保有するあらゆる技術(樹脂成型技術、マグネシウム鋳造・アルミニウム鋳造技術、塗装技術、加飾技術、組み立て技術等)により、これを具現化していきます。

また、両事業領域の融合により”安全で快適な居住空間”を提供し続けます。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2019年度までの第4次中期経営計画では、品質目標を最重要経営目標に掲げ、加えて営業利益率を重要な経営指標としてまいりました。2020年度からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画では、品質目標、利益確保の効率化指標として投下資本利益率(ROIC)、地球環境・社会に寄与するSDGsの取り組み推進を重点指標といたしました。第4次中期経営計画の目標の達成状況、第5次中期経営計画の具体的な経営目標については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものであり、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予測することが困難であるため記載しておりません。

当社グループは、事業推進活動にあたり関係するさまざまな法令を遵守し、考えられる事業上のリスクに適切に対処できる健全な事業運営体制を構築することを目的として、代表取締役社長を委員長とするNCG(日本プラスト・コーポレートガバナンス)委員会を設置し、コンプライアンス及びリスクマネジメントの体制整備をはかるとともに、「NCGチェックリスト」により、実態の把握と評価を行い事業リスクの低減に取り組んでおります。

(1) 事業環境に関するリスク

① 特定の産業、得意先への依存

当社グループは、自動車メーカー及び自動車関連部品メーカーに対し製品を供給しております。このため、各メーカーが製品を販売している日本、北米、欧州、アジアにおける経済情勢等の変化に伴う自動車需要の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その中でも、当社グループは、2020年3月期において日産自動車株式会社及び同社グループへの販売割合が70.7%、本田技研工業株式会社及び同社グループへの販売割合が23.9%となっております。これに対し、日系を中心とした他の自動車メーカー向けの受注拡大をはかるとともに、自転車用エアバッグ等、非自動車業界向けのビジネス展開も精力的に進め、リスク緩和をはかっております。しかしながら、これら得意先の販売が減少した場合や経営戦略や購買方針の変更が行われた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 競争の激化

当社グループは、品質、コスト、供給、開発すべての領域において、お客様からの支持を得られるよう日々企業努力を重ねておりますが、グローバルでの自動車部品業界の競争はますます熾烈さを増してきております。第5次中期経営計画では、原価企画活動の強化や固有技術をベースとした魅力ある商品の提案、国内外の生産アロケーションの最適化への取り組み等、QCDD全領域の徹底的な強化を目指すことで、企業競争力の向上をはかってまいります。しかしながら、当社グループが競合先に対して優位な品質競争力、価格競争力の維持ができない場合や魅力ある商品開発ができない場合には、将来の成長を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 海外事業進出

当社グループは、北米及び中国等に子会社を設立しており、海外生産の比率は近年高まる傾向にあります。そのため、これらの変化を早期にとらえ、柔軟に対応すべく、幅広く情報収集を行うとともに、海外拠点との連携を密にし、情報の一元化と判断及び対応の迅速化をはかっております。しかしながら、これら地域において、予期しない法律・規制等の制定及び変更、各国の政治情勢の変化、人件費の高騰等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 原材料市況の変動

ハンドル、エアバッグ、樹脂部品等の当社グループの製品に用いられる鋼材、樹脂原料、マグネシウム地金等の原材料及び部品は、世界規模での需給バランスや各生産地域における経済情勢等により価格が変動しております。当社グループでは、部品種類の統合化や仕入先の絞込みによるスケールメリットの追求等、仕入コスト増加の回避に努めておりますが、原材料価格の高騰が、販売価格に転嫁できない場合や製造方法改善によるコストダウン等により吸収できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 為替・金利変動

当社グループの海外事業における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、通貨の異なる国・地域間の仕入・販売取引に関して、為替動向によっては、為替予約等を実施することにより為替変動リスクのヘッジを行っております。しかしながら、為替変動リスクを完全に排除することは困難であり、大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、設備投資資金や運転資金等を金融機関からの借入により賄っております。固定金利借入による調達やデリバティブ等の活用により、金利変動リスクの低減をはかっておりますが、金利変動リスクを完全に排除することは困難であり、大幅な金利変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 法的規制

当社グループは、事業展開する各国において、安全基準、有害物質や生産工場からの汚染物質排出レベル等の様々な法的規制の適用を受け、これらの関連法規を遵守した事業活動を行っております。しかしながら、将来においてこれらの法的規制の強化や新たな規制の制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性や、これらの規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 人材の確保と育成

当社グループは、グローバル規模で事業の拡大をはかるためには、国内外での優秀な人材の確保と育成が必要不可欠と考えております。第5次中期経営計画では、テレワークの推進とIT活用による働き方改革や、女性活躍・シニア活用・海外拠点との人材交流等、多様性があり、働きがいを持って仕事ができる職場づくりを目指していきますが、日本では少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、また、海外では労働市場の急速な変動が予測されており、当社グループの人材の確保と育成が計画通り進まなかった場合、長期的視点から当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業運営に関するリスク

① 製品の品質

当社グループは、品質マネジメントシステムISO9001や自動車産業品質マネジメントシステムIATF16949:2016の認証を受け、当該規格下において各種製品の製造、品質管理を行い、品質の保持、向上に努めております。また、第5次中期経営計画では、ゼロディフェクト品質を追求し、品質保証体制の強化をはかります。しかしながら、万一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額のコスト発生や信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 特定の原材料及び部品の外部事業者への依存

当社グループは、多数の外部の取引先から原材料及び部品を購入していますが、製品の製造において使用するいくつかの部品については、一部の取引先にその多くを依存しております。これに対し、代替品調査や複数購買化の推進及び特殊工程の内製取入れ等、問題発生時のリスク最小化施策を検討しております。しかしながら、これらの部品について、何らかの理由により主要な取引先から安定的な供給を受けられない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 知的財産保護

当社グループは、製造する製品に関する特許及び商標を保有し、もしくはその権利を取得することで当社グループが保有する技術等について保護をはかっております。また、他社の知的財産権に対する侵害のないようリスク管理に努めております。しかしながら、当社グループの知的財産権が違法に侵害されることによって、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性や損害賠償等の訴訟を起こされる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動において、情報技術やネットワーク、システムを利用しています。これらの情報技術やネットワーク、システムは、「日本プラスト・セキュリティ・ポリシー」に則り、機密情報漏洩防止等の情報管理の徹底に努めております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスによる攻撃等によって、当社グループで保有している機密情報、個人情報が漏洩した場合、社会的信用の低下や当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 会計制度に関するリスク

① 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。このため、固定資産の時価が著しく下落した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② たな卸資産の破棄、評価損

当社グループは、在庫の適正化と滞留在庫の発生を防止するよう努めておりますが、市場の変化、顧客事情等により製品及び仕掛品の評価の見直しが必要となった場合には、たな卸資産の破棄及び評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 税務リスク

当社グループは、世界各国において事業を展開しているため、各国の税制による適用を受けており、予期しない税制の制定及び変更、外資企業に対する優遇税制の改正、移転価格税制等に基づく課税、税務当局との見解に相違が生じた場合は、大幅なコストの増加、事業活動の制限等が懸念されます。また、当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価する際、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。このような税務リスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 災害・戦争・テロ・ストライキ・疫病等のリスク

当社グループは、世界各国において事業を展開しており、それらの事業は自然災害・戦争・テロ・ストライキ・疫病等の影響を受ける可能性があり、これらの事象が発生した地域においては、原材料や部品の購入、製品の生産・販売及び物流サービス等に遅延、混乱及び停止が生じる可能性があります。また、一つの地域でこれらの事象が発生した場合には、それ以外の地域へ影響する可能性もあり、これらの遅延、混乱及び停止が生じ、それが長引くようであれば、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループも各国政府の要請や得意先の生産停止に合わせて対象ラインの休業を実施する等の影響が及んでおり、今後の操業及び業績等にも影響を及ぼす可能性があります。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題 ①新型コロナウイルス感染症への対応」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症への対策を講じておりますが、感染拡大の規模や終息時期については依然として不透明であり、当社グループに与える影響を現時点において合理的に予測することは困難であります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、74,784百万円(前連結会計年度末は76,367百万円)となり、1,583百万円減少いたしました。

流動資産の残高は、39,029百万円(前連結会計年度末は40,584百万円)となり、1,554百万円減少いたしました。これは現金及び預金の減少1,415百万円が主な要因であります。

固定資産の残高は、35,754百万円(前連結会計年度末は35,783百万円)となり、28百万円減少いたしました。これは有形固定資産の増加1,354百万円、無形固定資産の減少893百万円及び投資有価証券の減少630百万円が主な要因であります。

流動負債の残高は、31,105百万円(前連結会計年度末は32,728百万円)となり、1,623百万円減少いたしました。これは支払手形及び買掛金の減少2,259百万円及び短期借入金の増加648百万円が主な要因であります。

固定負債の残高は、8,863百万円(前連結会計年度末は10,038百万円)となり、1,174百万円減少いたしました。これは長期借入金の減少1,427百万円が主な要因であります。

純資産の残高は、34,816百万円(前連結会計年度末は33,600百万円)となり、1,215百万円増加いたしました。これは利益剰余金の増加2,023百万円、為替換算調整勘定の減少360百万円及びその他有価証券評価差額金の減少346百万円が主な要因であります。

自己資本比率は、前連結会計年度末比で2.6%改善され、46.6%となっております。

(2) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で個人消費の持ち直し等を受け緩やかな回復基調が続いたものの、新型コロナウイルス感染症の影響による下押しを受けて急激に減速しました。一方、世界経済では、米国経済は良好な雇用・所得環境を背景に景気拡大を継続し、中国経済では政策の下支えにより景気の低迷に底入れの兆しが見えたものの、足下では米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界経済は急激に減速しており、先行きの不確実性は一層高まりを見せております。

このような状況の中、当連結会計年度における売上高は、主に日本での得意先の減産及び新型コロナウイルスの感染拡大影響等による減収、北米での得意先の減産影響及び中国でのフルモデルチェンジに伴う仕様差等により前期比8.2%減106,141百万円となりました。製品別の売上高は、ハンドルは前期比13.8減の26,339百万円、エアバッグは前期比9.1減の29,828百万円、樹脂部品は前期比5.2減の48,730百万円、その他は前期比60.0増の1,245百万円となりました。得意先の減産影響によりハンドル、エアバッグ、樹脂部品は一様に減少しました損益面では、減収影響等により営業利益は前期比17.7%減4,507百万円、経常利益は為替影響等により前期比26.1%減4,021百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比39.3%減2,356百万円となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 日本

国内の売上高は、得意先の減産及び新型コロナウイルスの感染拡大影響等により33,936百万円と前期に比べ2,179百万円(△6.0%)の減収となりました。セグメント利益は、材料合理化や諸経費削減を行ったものの、減収影響に加え、車種構成差、新規車種立ち上がりによる費用増加及び次期車開発費の増加等により596百万円と前期に比べ824百万円(△58.0%)の減益となりました。

② 北米

北米の売上高は、得意先の減産影響及びセダン系車種の販売不振等により42,575百万円と前期に比べ5,104百万円(△10.7%)の減収となりました。セグメント利益は、減収影響はあるものの、新車効果等により825百万円と前期に比べ379百万円(85.0%)の増益となりました。

③ 中国

中国の売上高は、フルモデルチェンジに伴う仕様差及び得意先の減産影響等により25,651百万円と前期に比べ2,819百万円(△9.9%)の減収となりました。セグメント利益は、減収影響等により2,625百万円と前期に比べ454百万円(△14.7%)の減益となりました。

 

④ 東南アジア

東南アジアの売上高は、前突系安全部品の新規立ち上がり等により3,977百万円と前期に比べ681百万円(20.7%)の増収となりました。セグメント利益は、増収影響はあるものの、ベトナム新拠点の立ち上がり費用の増加等によ549百万円と前期に比べ92百万円(△14.4%)の減益となりました。

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,415百万円(△13.1%)減少し、当連結会計年度末は9,403百万円となりました。

営業活動の結果獲得した資金は6,337百万円(前年同期は10,398百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費5,190百万円をはじめ、税金等調整前当期純利益3,845百万円等の資金増加要因が、仕入債務の減少2,145百万円及び法人税等の支払額1,492百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

投資活動の結果使用した資金は6,111百万円(前年同期は4,733百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,099百万円等によるものであります。

財務活動の結果使用した資金は1,516百万円(前年同期は2,492百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出4,826百万円等の資金減少要因が、長期借入れによる収入3,026百万円等の資金増加要因を上回ったことによるものであります。

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

33,838

△6.6

北米(百万円)

42,500

△11.2

中国(百万円)

25,964

△8.7

東南アジア(百万円)

3,865

19.4

合計(百万円)

106,168

△8.3

 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

      2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高(百万円)

前年同期比

(%)

日本

32,332

△10.4

1,178

△57.7

北米

41,300

△14.2

3,049

△29.5

中国

24,737

△12.5

1,628

△36.0

東南アジア

4,035

23.6

284

25.3

合計

102,406

△11.6

6,139

△37.8

 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

     2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

33,936

△6.0

北米(百万円)

42,575

△10.7

中国(百万円)

25,651

△9.9

東南アジア(百万円)

3,977

20.7

合計(百万円)

106,141

△8.2

 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。

     2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(百万円)

割合(%)

販売高

(百万円)

割合(%)

Nissan North America, Inc.

17,717

15.3

18,365

17.3

日産自動車㈱

15,261

13.2

16,075

15.2

東風汽車有限公司

13,584

11.8

13,196

12.4

 

     3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

     4.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

(5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

① 固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しています。当社グループは、原則として事業用資産については、管理会計上の区分に基づきグルーピングし、各グループの単位で割引前将来キャッシュ・フローを見積っております。割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能額まで減額しております。割引前将来キャッシュ・フロー及び回収可能額の見積りは合理的であると考えておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、割引前将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。

② 繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価する際、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響は、緊急事態宣言が解除され、徐々に企業活動が正常化していくものと見込まれるものの、2021年3月期の一定期間にわたり継続するという仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の会計上の見積りを行っております。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要については、事業伸長・生産性向上・合理化等、企業競争力強化を目的とした投資及び事業遂行に関連した投資が主な内容であります。

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を効率的・安定的に確保するため、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により充当しており、当社グループの資金調達については本社で一元管理しております。

また、国内金融機関において流動性の補完に対応可能な40億円のコミットメントライン契約を締結し緊急時の対応資金を確保しております。

なお、新型コロナウイルスの感染が世界全体で拡大しており、終息の目途がたっておらず、各国政府の要請や得意先の稼働状況等が不透明であることから、現時点では業績に与える不確定要素が多いため、今後の重要な資本的支出については、未定とさせていただきます。当面は手元資金の確保を最優先とし、終息後に将来の戦略を立て直します。

(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2019年3月期を最終年度とする第4次中期経営計画においては、「ものづくりの原点に立ち返り、固有技術の確立・進化を推進し、お客様の満足度と企業魅力度の向上をはかる。」を経営方針とし、以下の2つを経営目標に活動を推進しました。

・お客様品質評価No.1

従業員意識の向上により、リコールにつながる重大不具合は抑えられたものの、一部市場での不具合発生に加え、お得意先様での納入不良の発生を抑えきれず、一部のお客様において、お客様品質評価No.1は獲得できませんでした。

・営業利益率 5%

重点施策として付加価値の内製取入れ、生産ロス削減、生産性向上に取り組んだ結果、2020年3月期は4.2%となりました。2018年度前半から始まった北米セダンの不振、グローバルでの主要顧客の減産等の減収対応の遅れに加え、新車立上げ準備費用の増加、次期車開発費の増加等により、効率の良い生産活動が行われず、目標未達に終わりました。

以上を踏まえつつ、取り巻く環境変化を考慮し第5次中期経営計画では、「めまぐるしい環境変化に柔軟かつ迅速に対応しつつ、製品を通じて安全と快適を提供しているという自負の下に、全社員の意識を改革し、全てのお客様の信頼と満足を追求する。」を経営方針とし、すべてのお客様に対し「INNOVATION~革新~」をスローガンに以下を経営目標に活動を推進いたします。

・お客様品質評価No.1

第4次中期経営計画の振り返りから、「不具合を工程に入れない・作らない・流さない」を再徹底し、従業員意識をさらに一段上に引き上げ、お得意先及び市場のお客様から、No.1評価を頂けるよう精進してまいります。

・投下資本利益率 6.3%(2023年3月期)

利益確保の効率性を追求し、投下資本の最適化、最適生産体制の確立、新車利益の適正化をはかってまいります。

・SDGsへの取り組み

地球環境や国際・地域社会への貢献や企業責任の追及を目的に、SDGs17のゴールのうち、以下を当社の目標と定め、取り組みを推進してまいります。

(SDGs17のゴールのうち、当社が目標と定める9のゴール)

3.すべての人に健康と福祉を

5.ジェンダー平等を実現しよう

8.働きがいも経済成長も

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

10.人や国の不平等をなくそう

11.住み続けられるまちづくりを

12.つくる責任つかう責任

16.平和と公正をすべての人に

17.パートナーシップで目標を達成しよう

4【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は自動車部品を主な事業とし安全部品、樹脂部品の専門メーカーとして材料技術や成形技術を基盤に、シミュレーション解析技術を駆使した性能開発や軽量化、また特定化学物質等の環境対応等、社会の要請とお客様に喜ばれる価値ある製品の創出に努めております。

 当社グループの開発活動は当社を主体として行っております。日本では当社テクニカルセンターの先行開発部、安全開発部、内外装開発部、匠工房、実験部が主体となり、北米ではニートン・オート・プロダクツの開発センター、中国では中山富拉司特工業有限公司の開発センターにより魅力ある製品を提案してまいります。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は1,765百万円であり、各部門別の研究目的、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

自動車部品事業

(1) 安全部品部門

 ハンドルでは、自動運転に関連した支援技術であるタッチセンサー付きハンドル(HoD: Hands on Detection)、軽量・制振構造による機能性と操作性の向上、感性品質の向上に向けた高触感ハンドルの開発を進めております

 エアバッグでは、自動車向けの新たな安全法規制に対応する乗員保護性能の実現とともに、独自の加工技術と生産・品質管理システムとの連携により、高品質、かつ競争力のある製品を開発しており、また、サイクリストエアバッグの製品化により、新たな市場の開拓を進めております。

 当連結会計年度の研究開発費の金額は1,003百万円であります。

(2) 樹脂部品部門

 内装部品では、感性品質の向上に向けた光と音と触感による室内演出、デザイン性と操作性を両立する次世代ベンチレーター、クラフトマンシップを追求したこだわりの加飾技術の開発を進めております。

 外装部品では、超薄肉射出成型技術と高流動材料を用いたフェンダープロテクター、歩行者保護性能を兼ね備えたカウルトップカバーの開発を、また、中空成形技術によるホイールレゾネーターの製品化を実現し、走行時のロードノイズ低減に寄与しております。

 当連結会計年度の研究開発費の金額は761百万円であります。