文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「常に誇り得る商品を作り 顧客に奉仕し 社会に寄与する」を経営理念として、創業以来自動車部品業界での事業活動に取り組んでまいりました。経営理念に加えて、2024年3月期より新たに、企業パーパスとして「プラスチックテクノロジーで安全・快適な未来をつくる」を定めています。この企業パーパスには、当社は創業来、プラスチック加工技術で自動車ユーザーの方々へ安全で快適な室内空間をお届けしてきたという自負と、未来に向けてはプラスチックテクノロジーを活用したリサイクル技術・循環型資源の活用等を環境配慮に役立てつつ、自動車部品以外の新規事業領域にもチャレンジし、より多くのお客様に「安全・快適な未来」をお届けすることこそが当社の使命であるとの思いを込めています。今後、企業環境はますます厳しくなることが予想され、企業としての的確な舵取りが従来にも増して不可欠となる中で、当社はこれら経営理念と企業パーパスを不変の方向性として常に念頭に置き、経営に取り組んでまいります。
また、2024年3月期より長期ビジョンを見直し、2048年を新たな目標年限とした「長期ビジョン2048」に刷新しています。2048年は当社の創業100周年にあたる年であり、長期ビジョン2048では創業100周年までに当社として到達を目指す、ありたき姿として、「すべてのステークホルダーから信頼・期待され、選ばれるオンリーワン企業へ」を掲げています。オンリーワン企業とは、競合他社と比較して突出した技術・独自の製品がある等、当社独自の強みをもって顧客にとって替えの効かない企業をイメージしたものです。長期ビジョン2048では、独自の強みで顧客から高い信頼・期待を勝ち取ることで、株主、取引先、金融機関、地域社会、従業員等、他のステークホルダーからも信頼・期待される魅力ある「オンリーワン企業」となることを当社の目指す方向性として定めており、またこれを念頭に2024年3月期から始まる第6次中期経営計画を策定しております。
(2) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
2024年3月期からの第6次中期経営計画では、前中期経営計画期間において新型コロナウイルス、半導体供給不足、ロシア・ウクライナ情勢に起因する世界的混乱等、さまざまな外的要因の影響により経営目標の多くが未達となる等、苦戦した結果を受け、そのような状況から脱却するため以下の目標を掲げ、取り組みを推進しております。
① 第6次中期経営計画
当社が身を置く自動車業界では、大きな変革期を迎え、利益創造構造の変化と、同業種に加え異業種からの参入による競争の激化が進み、さらに受注環境は厳しさを増しております。また、新型コロナウイルスや半導体供給不足等の外的要因による影響は緩和したものの、中国市場の構造変化による日系自動車メーカーの販売台数減少、米国新政権の関税政策による市場の不確実性の増大等、新たな課題も発生しており、2026年3月期も引き続き困難な経営環境が継続することが予想されます。
そのような中でも、安定して利益を生み成長できる企業体質の構築を目指すという第6次中期経営計画の基本方針に基づき、経営基盤の強化に引き続き力を入れて取り組んでまいります。
第6次中期経営計画 経営方針
a.基本方針
効率化推進・成長投資を通じて経営基盤(人財・技術・財務)を強化し、企業価値の最大化をはかる。
b.経営目標
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管理項目 |
目標値 |
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品質 |
ゼロディフェクトのやり切り |
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収益 |
営業利益率3% |
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SDGs |
CO2/廃材排出量削減 |
c.スローガン
Build-Up
d.重点施策
・品質保証体制・体質の強化
ゼロディフェクト品質の追求に向け、品質保証制度の厳格化・人に頼らない品質保証の強化等、体制・体質の両面での品質保証強化に取り組みます。
・技術開発力の強化
自動化技術を始めとした新技術の開発、CASE時代に対応する次世代商品の開発、コア技術を活用した新事業の推進等に向け、成長投資を通じてリソースを拡充し開発力の強化を目指します。
・収益体質の強化
製造ラインの自動化・省人化による生産ロスの削減、原価企画活動の強化による利益率の向上、有利子負債の削減等の活動を通じて、困難な状況下であっても確実に利益を確保できる体質への変革を目指します。
・人的資本の強化
多様な人材が高い意欲をもって働くことのできる労働環境の構築を目的として、従業員エンゲージメントの強化に取り組みます。
・社会的責任の追求
人命を守る事業を扱う企業として、また樹脂事業に携わる企業として、SDGsの目標達成に向け当社が取り組むべき課題を積極的に検討し、2030年の社会貢献領域での事業化を目指します。
② 主要な事業の経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
・安全部品部門
現在の自動車業界は、2極化の局面がさらに強まってきています。都市化が進む先進国ではぶつからない車、人が運転しない車、クリーンでエコな車が求められ、CASEに代表される次世代自動車の開発が加速度的に進んでいます。これに対し当社は、高度化する安全法規対応に加え、加速する“つながる車(コネクテッド)”化を受け、アラーム機能やセンシング機能を充実させ、外部からの情報を的確に“車から人へ”伝え、運転手の意思・判断を確実に“人から車へ”伝える情報伝達(HMI)デバイスとして、ハンドル、ドライバーエアバッグを中心に機能拡充をはかり、当社製品の必要性と重要性及び発展性を最大化した魅力ある商品を提案し続けます。
一方、市場拡大が期待されるアセアン・アフリカ諸国等の新興国では、インフラ上の問題から従来型自動車の需要が大半を占め、高度化よりも廉価化が求められています。これに対し共通化、シンプル化を追求し、安全・安心を確保しつつ、リーズナブルで受け入れられやすい部品(価格)を提案し、自動車市場拡大に寄与していきます。
・樹脂部品部門
自動車に対する要求は、単なる移動手段から、移動する居住空間へと大きく変化しています。ユーザーが求めるクオリティをいかに実現していくか、ニーズの変化をいち早くとらえタイムリーに提供していくか、更には市場のトレンドから次に来るニーズを予測し、新たなウェーブを作り出していくかを求められています。これに対し当社は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚に対し、人間が感じる“快適”を当社の独自技術で数値化し、保有するあらゆる技術(樹脂成型技術、マグネシウム鋳造・アルミニウム鋳造技術、塗装技術、加飾技術、組み立て技術等)により、これを具現化していきます。
また、両事業領域の融合により“安全で快適な居住空間”を提供し続けます。
③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
当社は資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、ROE向上と株主資本コスト低減に取り組んでいきます。ROEについては、第6~7次中期経営計画の経営目標達成に向けた取り組みによりROE向上を目指します。また、2026年3月期より配当基本方針を、「業績等を勘案し、連結配当性向30%(年間配当金の下限値10円)を目安として、安定的な配当を継続して行う」に変更し、株主還元を強化していきます。加えて、SDGsの経営目標達成に向けた取り組み、情報開示・IR活動の強化にも取り組んでいきます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
(1)基本方針
私たち日本プラストグループは、「常に誇り得る商品を作り 顧客に奉仕し 社会に寄与する」「常に明るく若々しい社風を作り 企業の繁栄 生活の向上をはかる」という経営理念のもと、全てのステークホルダーの声に耳を傾け、「安全で快適な、人と地球に優しい部品づくり」を通じて、持続可能な社会の発展に貢献することを目指します。また、私たちは、取引先がこの方針に賛同し、ともに行動するよう働きかけます。
(2)マテリアリティと長期ビジョン
日本プラストグループは、ISO26000をベースに、縦軸に「ステークホルダーにとっての重要度」、横軸に「日本プラストグループにとっての重要度」をそれぞれ「High/Middle/Basic」の優先順位をつけ、中核課題37項目をマッピングしました。本分析の結果に基づき、縦横の双方で優先順位の高い項目を、CSR優先課題として特定しました。マテリアリティと長期ビジョンの詳細は以下のとおりです。
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ESG |
SDGs |
No. |
マテリアリティ |
長期ビジョン |
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環境 |
11 12 13 15 |
1 |
事業を通じた地球環境への貢献 |
低炭素社会への貢献 |
2048年度 カーボンニュートラルを実現する |
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循環型社会への貢献 |
2048年度 廃棄物総排出量50%削減 (2019年度比) 社内再資源比率45%以上 (2012年度比) |
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環境保全と自然共生社会への貢献 |
地域社会、行政、NPO等と連携した自然共生、生態系保護活動を促進する |
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環境配慮製品の開発 |
軽量化仕様の採用 |
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社会 |
3 11 |
2 |
地域社会と共に発展、成長を実現 |
地域貢献活動の推進 |
地域社会に対する関係強化を促進する |
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5 8 10 |
3 |
多様な人材の活躍・ダイバーシティの推進 |
性別・年齢・国籍、障がいの有無、経験、価値観等、目に見えない違いも含め、多様な人材が活き活きと活躍できる環境・組織風土を実現する |
2030年度 女性管理職比率 10%以上 |
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2030年度 障がい者雇用比率 3%以上 |
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5 8 10 |
4 |
人権の尊重/差別の禁止 |
基本的人権を尊重し、個人の多様な価値観を認め、差別的な取り扱い等を行わない快適な働き甲斐のある職場づくりを実現する |
休業災害・通勤災害 0 |
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2030年度 男性育児休暇取得率 50%以上 |
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2030年度 有給取得率 85%以上 |
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2030年度 総労働時間1830時間/人・年以下 |
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2030年度 定年後再雇用率 85%以上 |
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2030年度 アブセンティーズム 1.0日以下 |
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2030年度 プレゼンティーズム 50以上(注) |
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2030年度 労働災害 度数率 1.000以下 |
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2030年度 労働災害 強度率 0.03以下 |
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9 17 |
5 |
サプライチェーンのCSRの推進 |
環境と人権に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築する |
2030年度 協働合意率100% |
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ESG |
SDGs |
No. |
マテリアリティ |
長期ビジョン |
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社会 |
16 |
6 |
汚職・贈収賄の禁止 |
全ての従業員が法令等を遵守し、高い倫理観に基づく適正な活動を行い、自らの生み出す付加価値こそを競争力の源泉として、公明正大かつ責任あるビジネスの展開を実現する |
汚職・贈収賄 0 |
|
ガバナンス |
16 |
7 |
有効性と透明性を重視 |
経営の公正・透明性確保、業務の適法性の確保、迅速な意思決定・業務執行を実現する |
重大ガバナンス違反 0 |
(注)株式会社ラフールの総合ラフールネス指数を使用。
(3)ガバナンス
日本プラストグループは、「常に誇り得る商品を作り、顧客に奉仕し、社会に寄与する」「常に明るく若々しい社風を作り、企業の繁栄 生活の向上をはかる」という経営理念に基づき、全てのステークホルダーの声に耳を傾け、「安全で快適な、人と地球に優しい部品づくり」を通じて、持続可能な社会の発展に貢献することを目指しています。サステナビリティに関する取り組みを加速させるために、長期的に取り組むテーマや方向性、マテリアリティ、また非財務分野に関わる方針、戦略、対外コミットメントを含む情報公開の確認、決定をする下記図の体制を整えており、各種委員会と連携し重要な案件については、半年に1回、サステナビリティ推進会議にて起案し評価しています。結果は取締役会へ報告し、経営層からの指示・管理に基づいて推進しています。また、取引先にもこの方針に賛同し、ともに行動するよう働きかけています。
日本プラストは、環境管理統括者をトップとする環境管理体制を築き、環境会議にて環境方針の整備やEMSのレビューを実施しています。各事業所では、環境管理責任者及び事務局を設置し、EMSの適切な運用と継続的な改善を確実にするために、定期的な内部環境監査を実施しています。
(4)戦略
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、女性、外国人、障がい者、様々な職歴をもつ中途採用者等、多様な人材の採用や起用をさらに進めています。また、労働力不足・働く価値観の変化・兼業や副業といった新たな労働スタイルの浸透と環境が大きく変わる中、当社で働く社員が高いモチベーションを持ち、多様なキャリアパスや働き方を実現できる取り組みを進めています。
2018年に女性活躍推進活動を行う「えるぼし」プロジェクトを発足、継続的な活動を行っており、2019年に「えるぼし(3段階目、最高位)」認定、2020年に「くるみん」、2022年に「プラチナくるみん」に認定されました。2022年に「イクメン」プロジェクトを発足、男性社員の仕事と育児の両立を支援する継続的な活動を行っています。
(5)リスク管理
当社では、コーポレート・ガバナンス委員会、働き方改革委員会、環境委員会、安全衛生委員会等の委員会やマネジメントシステムを通じて、サステナビリティに関するリスクを管理しています。各委員会はリスクと機会を検討、識別・評価を行い、サステナビリティ推進会議を通して重要度に応じて回避・軽減・移転・保有等の対策を決定、取締役会に報告しています。さらに、地球環境を考慮した経営方針に基づき、カーボンニュートラル達成、廃材実質ゼロ化、生物多様性等の課題に対し、計画と実施、そして評価までを組織的に行うために、サステナビリティ推進課を設置しています。
(6)指標及び目標
① 低炭素社会への貢献
日本プラストは経営方針の基、カーボンニュートラルな社会を目指し積極的に取り組んでおります。当社は2020年度にカーボンニュートラルに向けた具体的目標を設定しました。地球温暖化による水害・風害・干ばつ山林火災、地下資源の過剰汲み上げによる地盤沈下・資源の枯喝や貧富差の拡大、飢餓、若年強制労働等、さまざまな課題が山積されております。CO2の排出においては、政府の目標に賛同し2050年までに、『CO2排出量ゼロ化』を宣言し、公表しておりましたが、当社の創立100周年である2048年に合わせ、目標を当初計画より2年前倒しで達成する事としました。企業における脱炭素社会への貢献の重要性を再認識し、全社一丸となって目標達成に向けて活動してまいります。
カーボンニュートラル
2024年度までの温室効果ガス排出の実績は以下のとおりです。
2024年度は、カーボンニュートラル実現に向け、本社地区では太陽光発電の導入、九州工場ではグリーン電力導入を実施いたしました。しかし、重要施策の一つであるダイカスト工程における防燃ガスの代替化が、遅延いたしました。これは、代替ガスの最適な使用条件が季節毎に異なり、調整が非常に難航したためです。この影響により、富士工場及び九州工場での代替化が遅れ、温室効果ガス削減目標を達成することができませんでした。2025年度に代替ガスの最適運用体制を確立することを目指します。
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環境目標 |
目標(2024年度) |
実績(2024年度) |
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低炭素社会への貢献 |
CO2排出量削減 2013年度比62%削減(原単位) |
未達 2013年度比26.56%削減(原単位) |
(注)目標及び実績は、当社の目標及び実績としており、連結グループの指標及び目標については、策定中であります。
② 循環型社会への貢献
日本プラストは2020年度より具体的目標を設定し、2048年度までに『廃材実質ゼロ化』を掲げております。これは、国内2019年度比で、総排出量を50%削減し、残りの50%を社内活用を目的にした再生資源として活用する事を目標にしています。現時点でリサイクル業者経由で再生資源として活用しておりますが、社内活用の最大化を目指します。2024年度も排出量目標を達成しました。水資源の利用量においては、これまで総利用量の監視を行っておりましたが、2023年度を基準に原単位削減目標に変更し、2024年度目標を達成いたしました。
2024年度は以下の結果となりました。
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環境目標 |
目標(2024年度) |
実績(2024年度) |
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循環型社会への貢献 |
廃材排出量削減 2019年度比8.6%削減(原単位) |
達成 2019年度比26.3%削減(原単位) |
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水資源利用量削減 2023年度比1%削減(原単位) |
達成 2023年度比32.58%削減(原単位) |
(注)目標及び実績は、当社の目標及び実績としており、連結グループの指標及び目標については、策定中であります。
③ 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
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目標 |
目標( |
実績(2024年度) |
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(注)目標及び実績は、連結グループで従業員の規模や制度が大きく異なるため、各指標を連結ベースにまとめることが困難であることから、当社の目標及び実績としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予測することが困難であるため記載しておりません。
当社グループは、事業推進活動にあたり関係するさまざまな法令を遵守し、考えられる事業上のリスクに適切に対処できる健全な事業運営体制を構築することを目的として、代表取締役社長を委員長とするNCG(日本プラスト・コーポレートガバナンス)委員会を設置し、コンプライアンス及びリスクマネジメントの体制整備をはかるとともに、「NCGチェックリスト」により、実態の把握と評価を行い事業リスクの低減に取り組んでおります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 特定の産業、得意先への依存
当社グループは、自動車メーカー及び自動車関連部品メーカーに対し製品を供給しております。このため、各メーカーが製品を販売している日本、北米、欧州、アジアにおける経済情勢等の変化に伴う自動車需要の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その中でも、当社グループは、2025年3月期において日産自動車株式会社及び同社グループへの販売割合が67.2%、本田技研工業株式会社及び同社グループへの販売割合が27.9%となっております。これに対し、日系を中心とした他の自動車メーカー向けの受注拡大をはかるとともに、非自動車業界向けのビジネス展開も精力的に進め、リスク緩和をはかっております。しかしながら、これら得意先の販売が減少した場合や経営戦略や購買方針の変更が行われた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競争の激化
当社グループは、品質、コスト、供給、開発すべての領域において、お客様からの支持を得られるよう日々企業努力を重ねておりますが、グローバルでの自動車部品業界の競争はますます熾烈さを増してきております。第6次中期経営計画では、CASE時代に対応する次世代商品の開発等の技術開発力の強化、製造ラインの自動化・省人化による生産ロスの削減等の収益体質の強化に取り組みますが、当社グループが競合先に対して優位な品質競争力、価格競争力の維持ができない場合や魅力ある商品開発ができない場合には、将来の成長を阻害し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外事業進出
当社グループは、北米及び中国等に子会社を設立しており、海外生産の比率は近年高まる傾向にあります。そのため、これらの変化を早期にとらえ、柔軟に対応すべく、幅広く情報収集を行うとともに、海外拠点との連携を密にし、情報の一元化と判断及び対応の迅速化をはかっております。しかしながら、これら地域において、予期しない法律・規制等の制定及び変更、各国の政治情勢の変化、人件費の高騰等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、米国の関税措置が当社グループの経営成績及び財政状態に与える影響等については、現時点で見積ることは困難でありますが、最新情報を可能な限り細かく入手し、適切に対応してまいります。
④ 原材料市況の変動
ハンドル、エアバッグ、樹脂部品等の当社グループの製品に用いられる鋼材、樹脂原料、マグネシウム地金等の原材料及び部品は、世界規模での需給バランスや各生産地域における経済情勢等により価格が変動しております。当社グループでは、部品種類の統合化や仕入先の絞込みによるスケールメリットの追求等、仕入コスト増加の回避に努めておりますが、原材料価格の高騰が、販売価格に転嫁できない場合や製造方法改善によるコストダウン等により吸収できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替・金利変動
当社グループの海外事業における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、通貨の異なる国・地域間の仕入・販売取引に関して、為替動向によっては、為替予約等を実施することにより為替変動リスクのヘッジを行っております。しかしながら、為替変動リスクを完全に排除することは困難であり、大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、設備投資資金や運転資金等を金融機関からの借入により賄っております。固定金利借入による調達やデリバティブ等の活用により、金利変動リスクの低減をはかっておりますが、金利変動リスクを完全に排除することは困難であり、大幅な金利変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 法的規制
当社グループは、事業展開する各国において、安全基準、有害物質や生産工場からの汚染物質排出レベル等の様々な法的規制の適用を受け、これらの関連法規を遵守した事業活動を行っております。しかしながら、将来においてこれらの法的規制の強化や新たな規制の制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性や、これらの規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 人材の確保と育成
当社グループは、グローバル規模で事業の拡大をはかるためには、国内外での優秀な人材の確保と育成が必要不可欠と考えております。第6次中期経営計画では多様な人材が高い意欲をもって働くことのできる労働環境の構築を目的として、従業員エンゲージメントの強化に取り組みますが、日本では少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、また、海外では労働市場の急速な変動が予測されており、当社グループの人材の確保と育成が計画通り進まなかった場合、長期的視点から当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営に関するリスク
① 製品の品質
当社グループは、品質マネジメントシステムISO9001や自動車産業品質マネジメントシステムIATF16949:2016の認証を受け、当該規格下において各種製品の製造、品質管理を行い、品質の保持、向上に努めております。また、第6次中期経営計画では、ゼロディフェクト品質の追求に向け、品質保証制度の厳格化・人に頼らない品質保証の強化等、体制・体質の両面での品質保証強化に取り組みますが、万一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額のコスト発生や信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の原材料及び部品の外部事業者への依存
当社グループは、多数の外部の取引先から原材料及び部品を購入していますが、製品の製造において使用するいくつかの部品については、一部の取引先にその多くを依存しております。これに対し、代替品調査や複数購買化の推進及び特殊工程の内製取入れ等、問題発生時のリスク最小化施策を検討しております。しかしながら、これらの部品について、何らかの理由により主要な取引先から安定的な供給を受けられない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産保護
当社グループは、製造する製品に関する特許及び商標を保有し、もしくはその権利を取得することで当社グループが保有する技術等について保護をはかっております。また、他社の知的財産権に対する侵害のないようリスク管理に努めております。しかしながら、当社グループの知的財産権が違法に侵害されることによって、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性や損害賠償等の訴訟を起こされる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティ
当社グループは、事業活動において、情報技術やネットワーク、システムを利用しています。これらの情報技術やネットワーク、システムは、「日本プラスト・セキュリティ・ポリシー」に則り、機密情報漏洩防止等の情報管理の徹底に努めております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスによる攻撃等によって、当社グループで保有している機密情報、個人情報が漏洩した場合、社会的信用の低下や当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 会計制度に関するリスク
① 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。このため、固定資産の時価が著しく下落した場合や、事業の収益性が悪化した場合には、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 棚卸資産の破棄、評価損
当社グループは、在庫の適正化と滞留在庫の発生を防止するよう努めておりますが、市場の変化、顧客事情等により製品及び仕掛品の評価の見直しが必要となった場合には、棚卸資産の破棄及び評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 税務リスク
当社グループは、世界各国において事業を展開しているため、各国の税制による適用を受けており、予期しない税制の制定及び変更、外資企業に対する優遇税制の改正、移転価格税制等に基づく課税、税務当局との見解に相違が生じた場合は、大幅なコストの増加、事業活動の制限等が懸念されます。また、当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価する際、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。このような税務リスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 災害・戦争・テロ・ストライキ・疫病等のリスク
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、それらの事業は自然災害・戦争・テロ・ストライキ・疫病等の影響を受ける可能性があり、これらの事象が発生した地域においては、原材料や部品の購入、製品の生産・販売及び物流サービス等に遅延、混乱及び停止が生じる可能性があります。また、一つの地域でこれらの事象が発生した場合には、それ以外の地域へ影響する可能性もあり、これらの遅延、混乱及び停止が生じ、それが長引くようであれば、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、83,707百万円となり、1,773百万円増加いたしました。
流動資産の残高は、48,015百万円となり、1,668百万円増加いたしました。これは売掛金の減少3,407百万円、現金及び預金の増加2,538百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,666百万円が主な要因であります。
固定資産の残高は、35,692百万円となり、104百万円増加いたしました。これは建設仮勘定の増加401百万円が主な要因であります。
流動負債の残高は、39,237百万円となり、342百万円増加いたしました。これは短期借入金の増加1,681百万円、支払手形及び買掛金の減少1,295百万円が主な要因であります。
固定負債の残高は、9,932百万円となり、2,048百万円減少いたしました。これは長期借入金の減少776百万円、退職給付に係る負債の減少732百万円、繰延税金負債の減少486百万円が主な要因であります。
純資産の残高は、34,538百万円となり、3,480百万円増加いたしました。これは為替換算調整勘定の増加3,065百万円が主な要因であります。
なお、自己資本比率は、41.3%となっております。
(2) 経営成績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、中国では自動車市場のニーズが大きく変化していることや地政学的リスクの高まりによる不安定な世界情勢等の懸念は残存し、引き続き不透明な状況にあります。
このような状況の中、当連結会計年度における売上高は、為替換算による増収影響、販売価格転嫁の進展等はあるものの、得意先の減産影響等により前期比2.9%減の120,591百万円となりました。製品別の売上高は、安全部品のうち、ハンドルは前期比0.4%増の31,644百万円、エアバッグは前期比5.7%減の30,861百万円、樹脂部品は前期比2.2%減の58,057百万円、その他は前期比95.5%減の29百万円となりました。ハンドルは、為替影響等による増収が得意先の減産影響等で相殺され、概ね前期並みとなり、エアバッグ・樹脂部品は、減産影響等、その他は、自転車用エアバッグ販売先倒産影響等によりそれぞれ減少しました。損益面では、日本における販売価格転嫁の進展及び諸経費の抑制、東南アジアの車種構成差等による良化要因を北米・中国での減収影響等で相殺し、営業利益は、前期比1.4%減の2,772百万円となりました。経常利益は、前期比31.3%減の2,006百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上等により前期比97.7%減の56百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本
国内の売上高は、新規得意先の増加影響、当期の原材料価格・電力料の高騰、賃金上昇影響等の販売価格転嫁の進展はあるものの、得意先の減産、自転車用エアバッグの減少等により46,048百万円と前期に比べ1,785百万円(△3.7%)の減収となりました。セグメント利益は、減収影響、将来立ち上がる新車開発費の増加、取引先からの価格改定(値上げ)要請に応じた仕入価格の高騰等はあるものの、販売価格転嫁の進展、諸経費の抑制、前期に一過性の要因として貸倒引当金繰入額の計上があった影響等により1,711百万円と前期に比べ938百万円(121.6%)の増益となりました。
② 北米
北米の売上高は、為替換算による増収影響等を受け56,417百万円と前期に比べ158百万円(0.3%)の増収となりましたが、為替の影響を除くと得意先の減産影響等により減収となりました。セグメント利益は、減収影響、賃金上昇を受けた労務費の増加、将来立ち上がる新車開発費の増加等により537百万円と前期に比べ1,127百万円(△67.7%)の減益となりました。
③ 中国
中国の売上高は、日系自動車メーカーの販売苦戦の影響等により13,834百万円と前期に比べ2,092百万円(△13.1%)の減収となりました。セグメント損失は、795百万円(前期は301百万円のセグメント損失)となりました。前期に経費削減等の対策を講じた効果はあるものの、減収影響、生産台数に見合った人員体制の見直しにかかる費用の発生等により赤字幅は拡大しました。また、日系自動車メーカーの販売苦戦の影響等による市場環境の悪化により、固定資産の一部回収が困難と判断したため、固定資産1,607百万円を減損損失として、特別損失に計上しております。
④ 東南アジア
東南アジアの売上高は、為替換算による増収影響等を受け4,289百万円と前期に比べ56百万円(1.3%)の増収となりましたが、為替の影響を除くと得意先の減産影響等により減収となりました。セグメント利益は、減収影響はあるものの、車種構成差等により1,325百万円と前期に比べ534百万円(67.6%)の増益となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、2,538百万円(20.5%)増加し、当連結会計年度末は14,943百万円となりました。
営業活動の結果獲得した資金は6,151百万円(前年同期は11,483百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費4,863百万円をはじめ、売上債権の減少4,709百万円等の資金増加要因が、仕入債務の減少2,168百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は3,593百万円(前年同期は2,745百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,594百万円等によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は959百万円(前年同期は8,399百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,893百万円等の資金減少要因が、長期借入れによる収入2,000百万円等の資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
45,677 |
△4.6 |
|
北米(百万円) |
56,638 |
1.0 |
|
中国(百万円) |
13,643 |
△10.5 |
|
東南アジア(百万円) |
4,379 |
4.6 |
|
合計(百万円) |
120,338 |
△2.5 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比 (%) |
|
日本 |
45,822 |
△5.1 |
3,534 |
△6.0 |
|
北米 |
56,892 |
△0.1 |
5,020 |
10.4 |
|
中国 |
13,190 |
△20.3 |
845 |
△43.2 |
|
東南アジア |
4,152 |
△4.4 |
254 |
△35.1 |
|
合計 |
120,057 |
△4.8 |
9,654 |
△5.2 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
46,048 |
△3.7 |
|
北米(百万円) |
56,417 |
0.3 |
|
中国(百万円) |
13,834 |
△13.1 |
|
東南アジア(百万円) |
4,289 |
1.3 |
|
合計(百万円) |
120,591 |
△2.9 |
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高 (百万円) |
割合(%) |
販売高 (百万円) |
割合(%) |
|
|
日産自動車㈱ |
28,214 |
22.7 |
27,492 |
22.8 |
|
Nissan North America, Inc. |
18,557 |
14.9 |
16,310 |
13.5 |
3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要については、事業伸長・生産性向上・合理化等、企業競争力強化を目的とした投資及び事業遂行に関連した投資が主な内容であります。今後の重要な資本的支出の予定及びその調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金及び製品保証引当金の資金を効率的・安定的に確保するため、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により充当しており、当社グループの資金調達については本社で一元管理しております。
また、国内金融機関において流動性の補完に対応可能な40億円のコミットメントライン契約を締結し緊急時の対応資金を確保しております。
(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2024年3月期からの3年間を計画期間とする第6次中期経営計画を定め、「品質:ゼロディフェクトのやり切り」「収益:営業利益率3%」「SDGs:CO2/廃材排出量削減」を経営目標として掲げ、2025年3月期はその2年目として、諸活動を継続しております。
・品質:ゼロディフェクトのやり切り
2025年3月期は、機械・設備による品質保証、制度・仕組みによる品質保証を両軸として諸活動に取り組んでまいりました。これら活動の成果として、製品品質は一定の改善をはかることができております。第6次中期経営計画の最終目標であるゼロディフェクトの達成に向け、引き続き活動を継続してまいります。
・収益:営業利益率3%
第6次中期経営計画の最終目標値である営業利益率3%に対し、2025年3月期は営業利益率1.6%を目標に活動を推進してまいりました。前年度比での営業利益率目標値の下方修正は、2026年から2027年にかけて新車の立ち上げが多く集中する関係で、設計開発費用等が一時的に増大する一過性の要因を加味したものであり、修正後の目標値に対しては、得意先の販売苦戦による減収は前年度より引き続き影響したものの、原材料市況、電力料・輸送費高騰影響の製品価格への反映が進んだこと等により、達成しています。2026年3月期は、前述の一過性の要因が継続して発生することが見込まれる他、米国新政権の関税政策による市場の不確実性増大等の影響も懸念され、非常に厳しい状況が予想されますが、第6次中期経営計画の方針に基づき、経営基盤を強化しつつ、営業利益率3%の達成に向け引き続き活動を強化してまいります。
・SDGs:CO2/廃材排出量削減
当社の創立100周年である2048年目標の「CO2排出量ゼロ化」「社内廃材実質ゼロ化」達成に向け、活動を推進してまいりました。CO2排出量削減では、マグネシウム鋳造工程で使用する防燃ガスをより環境負荷の低いガスへ切り替えたものの、専用設備導入後に判明した課題により、一時的に従来の防燃ガスを再使用していることが要因で、年度目標に対しては未達となっています。同問題は2026年3月期中の解消を見込んでおり、長期的なCO2排出量削減計画に支障はない見込みです。廃材排出量削減については、製造現場における各種取り組みに加え、製品品質の改善による原材料・梱包資材のロス削減が進んだことから目標を上回り達成しています。2048年までの目標達成に向け、引き続き活動を推進してまいります。
該当事項はありません。
当社グループは自動車部品を主な事業とし安全部品、樹脂部品の専門メーカーとして材料技術や成形技術を基盤に、シミュレーション解析技術を駆使した性能開発や軽量化、低コスト化等、お客様に喜ばれる価値ある製品の創出に加え、SDGs優先課題として、特定化学物質等の環境対応、カーボンニュートラルと社内廃材実質ゼロ化等、社会の要請にも対応する開発を進めてまいります。
当社グループの開発活動は当社を主体として行っております。日本では当社テクニカルセンターの先行開発部、安全開発部、内外装開発部、開発実験部が主体となり、北米ではニートン・オート・プロダクツの開発センター、中国では中山富拉司特工業有限公司の開発センターにより魅力ある製品を提案してまいります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
自動車部品事業
(1) 安全部品部門
ハンドルでは、自動運転に関連した支援技術であるタッチセンサー付きハンドル(HoD: Hands on Detection)、軽量・制振構造による機能性と操作性の向上、感性品質の向上に向けた高触感ハンドルの開発を進めております。
エアバッグでは、自動車向けの新たな安全法規制に対応する乗員保護性能の実現とともに、独自の加工技術と生産・品質管理システムとの連携により、高品質、かつ競争力のある製品を開発しております。
当連結会計年度の研究開発費の金額は1,355百万円であります。
(2) 樹脂部品部門
内装部品では、感性品質の向上に向けた光と音と触感による室内演出、デザイン性と操作性を両立する次世代ベンチレーター、クラフトマンシップを追求したこだわりの加飾技術の開発を進めております。
外装部品では、超薄肉射出成型技術と高流動材料を用いたフェンダープロテクター、歩行者保護性能を兼ね備えたカウルトップカバーの開発、中空成形技術によるホイールレゾネーターの製品化を実現し、走行時のロードノイズ低減、また、急速に拡大基調である駆動用バッテリー冷却ダクトの生産を開始し、電費改善による温室効果ガス削減に寄与しております。
当連結会計年度の研究開発費の金額は727百万円であります。