第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「安全と環境に配慮し独創的なアイデアと技術でお客様に喜ばれる製品を供給することで社会へ貢献する」ことを企業理念の基本方針としております。

そのために、「安全と環境に配慮した企業活動を行う」「独創性を生かして積極的に活動する」「常に自己研鑽に励み、改革・改善を行う」「スピーディーかつタイムリーに行動する」「人の和を大切にし、明るい職場をつくる」ことを当社グループの役職員の行動指針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

今後の経営環境としましては、世界の景気は緩やかに回復していくことが予想されますが、米国や中国の政治・経済動向、金融資本市場の変動に留意する必要があります。自動車業界では、中長期的には二輪車市場、四輪車市場ともに需要は拡大することが予想されますが、燃費規制への対応や電動化技術の進展に伴い、自動車業界のみならず、他業界を含めたグローバルな競争はますます激しくなっていくものと思われます。

このような経営環境の中で、当社グループは2017年度を初年度とする第10次中期経営計画を確実に実行し、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

 

第10次中期経営計画(2017年度~2019年度)

 Go! Reach beyond evolution.

 ~さらなる進化を達成しよう~

事業方針

 サステナビリティを推進し、企業価値を高めよう

 開発力強化と現場力強化の中身の進化で 圧倒的な競争力を持つ企業体質を構築しよう

業績目標(2019年度修正値)

 売上収益 1,850億円    ROE 9.2%

 営業利益  165億円    連結配当性向 30%

 

(3) 対処すべき課題

第10次中期経営計画に掲げる重点施策を確実に実行し、圧倒的な競争力を持つ企業体質の構築に努めてまいります。特に、米国における増産対応や収益性の向上に注力してまいります。

各セグメントの当面の主な課題は次のとおりであります。

(二輪車用クラッチ)

インドの生産能力拡充

(四輪車用クラッチ)

米国の増産対応と安定した量産体制の構築および収益性の向上

 

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) クラッチ製品に特化した事業展開について

現状、当社グループの事業展開は、クラッチ製品に特化しております。現在、当社グループが製造販売しているクラッチ製品は、内燃機関を動力とする自動車や二輪車等の動力伝達機構を構成する重要な機能部品の一つでありますが、今後、機能部品としてのクラッチ製品の代替製品が開発され普及しないという保証はありません。加えて、内燃機関を動力としない次世代の自動車や二輪車等では、動力伝達機構を構成する機能部品としてのクラッチ製品が不要となる可能性があります。

(2) 特定の産業や取引先への依存について

当社グループが製造販売しているクラッチ製品の大半は自動車産業や二輪車産業向けであり、当社グループの業績は、今後の自動車産業や二輪車産業の動向により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの売上収益に占めるホンダグループに対する売上収益の割合は当連結会計年度において約47%を占めており、当社グループの業績は、今後のホンダグループの事業戦略や購買政策等により影響を受ける可能性があります。

(3) 海外展開について

当社グループは、日本、米国、アジアを中心にグローバルな事業を展開しております。このため、当社グループの業績は、各国の政治や経済の動向、為替相場の動向、予期しない法律または規則の変更、移転価格税制等の国際税務リスク、災害の発生等により影響を受ける可能性があります。

(4) 競合について

世界の自動車産業や二輪車産業における競合環境は非常に厳しくなっております。当社グループは、製品開発から製造、品質保証に至るまで競争力の維持、強化に努めておりますが、今後、何らかの理由により競争力の維持、強化が困難となった場合、市場シェアや収益力が低下する可能性があります。

(5) 製品の欠陥に対する補償

当社グループは、製品の品質には万全を期しておりますが、全ての製品に不具合、欠陥等が発生しないという保証はありません。当社グループが納入した製品の欠陥等に起因して完成車メーカーが大規模なリコール等を行うような事態が発生した場合、多額のコストの発生や、当社グループの評価が重大な影響を受けることにより、当社グループの業績と財政状態に深刻な影響が及ぶ可能性があります。

(6) 災害や地震等による影響

当社グループは、大規模災害等により製造ラインが中断するといった潜在的なリスクを最小化するため、各種の対策を講じておりますが、それらによって全ての影響を防止または軽減できる保証はありません。特に、国内においては当社グループの主要施設は静岡県西部地域に集中しているため、将来、想定されている東海地震・東南海地震が発生した場合、生産設備に甚大な影響を受け、生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済状況を概観しますと、日本では、企業収益や雇用・所得環境の改善等を背景に景気は緩やかに回復しました。海外では、地政学的リスクによる不透明感があったものの、全体としては緩やかな回復が続きました。米国の景気は着実に回復が続きました。アジアでは、中国では持ち直しの動きが見られたほか、インドでは内需を中心に高い成長率を維持しました。

自動車業界におきましては、四輪車市場は、日本では登録車の販売は減少しましたが、軽自動車の販売の増加が牽引し、新車販売台数は2年連続で増加しました。海外では、米国は乗用車の販売は厳しい状況が見られたものの、ライトトラックの販売は堅調に推移しました。中国では、日系メーカー各社の販売は好調さを継続しました。二輪車市場は、インドでは前年度を大幅に上回る結果となり、アセアン諸国も回復傾向が見られました。

このような状況の中、当社グループは、第10次中期経営計画の初年度として開発力と現場力の強化に取り組んでまいりました。二輪事業では、拡大するインド市場において、アーメダバードに新工場を設立するなど、生産能力拡充や原価低減による収益性の向上を図るとともに、開発面では新技術の開発を進め、積極的な顧客提案を展開しました。四輪事業では、米国のライトトラックの販売が堅調に推移する中で、10速AT用クラッチの増産対応を進め、収益性の向上に努めてまいりました。開発面では摩擦材の開発や電動化技術への対応を進めました。また、クラッチ事業以外では、当社の有する抄紙技術や触媒技術をもとに燃料電池システムや薄紙・薄膜技術の開発を進めるなど、将来を見据えた対応を図ってまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、インドの二輪車用クラッチの販売が増加したことに加え、米国のフォード向けや中国の四輪車用クラッチの販売が増加したこともあり、売上収益は173,174百万円(前期比10.1%増)、営業利益は、14,052百万円(前期比25.1%増)となりました。税引前当期利益は、14,083百万円(前期比23.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,691百万円(前期比34.5%増)となりました。

 

各セグメントの業績は次のとおりであります。

(二輪車用クラッチ)

インドやベトナムの二輪車用クラッチの販売が増加したこともあり、売上収益は82,936百万円(前期比13.2%増)、営業利益は、11,256百万円(前期比35.1%増)となりました。

(四輪車用クラッチ)

米国においてフォード向けの四輪車用クラッチの販売が増加したことに加え、中国の四輪車用クラッチの販売が増加したこともあり、売上収益は90,238百万円(前期比7.5%増)となりました。営業利益は、国内四輪事業において減損損失を計上したことやメキシコの費用増加もあり2,796百万円(前期比3.7%減)となりました。

 

財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は170,302百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,593百万円増加しました。

当連結会計年度末の負債合計は51,402百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,848百万円増加しました。

当連結会計年度末の資本合計は118,900百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,745百万円増加しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は25,230百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は24,120百万円となりました。これは主に税引前当期利益14,083百万円、減価償却費及び償却費12,766百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は19,122百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出14,199百万円、定期預金の預入による支出3,887百万円よるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2,657百万円となりました。これは主に配当金の支払額2,058百万円、短期借入金の純増減額365百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前年同期比(%)

二輪車用クラッチ(百万円)

80,811

109.9

四輪車用クラッチ(百万円)

87,694

103.9

合計(百万円)

168,505

106.7

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

二輪車用クラッチ

84,400

115.7

7,224

125.4

四輪車用クラッチ

91,772

110.2

7,603

125.3

合計

176,173

112.7

14,828

125.4

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前年同期比(%)

二輪車用クラッチ(百万円)

82,936

113.2

四輪車用クラッチ(百万円)

90,238

107.5

合計(百万円)

173,174

110.1

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業㈱

9,110

5.8

10,436

6.0

Ford Motor Company

21,051

13.4

24,301

14.0

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は76,892百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,271百万円増加しました。これは主に営業債権及びその他の債権が1,869百万円、現金及び現金同等物が1,756百万円、その他の金融資産が1,044百万円増加したことによるものであります。

(非流動資産)

当連結会計年度末の非流動資産は93,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,322百万円増加しました。これは主に有形固定資産が1,578百万円減少したものの、その他の金融資産が3,171百万円、のれん及び無形資産が988百万円増加したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は41,143百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,491百万円増加しました。これは主に借入金が2,913百万円、営業債務及びその他の債務が1,670百万円増加したことによるものであります。

(非流動負債)

当連結会計年度末の非流動負債は10,258百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,643百万円減少しました。これは主に借入金が3,674百万円減少したことによるものであります。

(資本)

当連結会計年度末の資本は118,900百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,745百万円増加しました。これは主にその他の資本の構成要素が2,233百万円減少したものの、利益剰余金が7,920百万円増加したことによるものであります。

 

経営戦略の現状と見通し

第10次中期経営計画初年度である2017年度の進捗状況としましては、二輪車用クラッチ、四輪車用クラッチともに計画を上回る実績となりました。これらの実績や今後の需要動向等を勘案し、第10次中期経営計画の業績目標を上方修正いたしました。新しい業績目標につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動のための資金確保する上で、適切な流動性等を勘案しつつ健全なバランスシートを維持することを財務方針としております。運転資金及び設備資金につきましては、内部資金及び銀行借入により調達しており、現在必要とされる資金水準を十分確保していると考えております。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

前連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)

日本基準では、費用処理している一部の開発費についてIFRSにおいては資産計上を行っております。

この結果、連結財政状態計算書の「のれん及び無形資産」が2,420百万円増加しております。

また、連結損益計算書の「売上原価」が489百万円増加し、販売費及び一般管理費に含まれる「研究開発費」は1,153百万円減少しております。

 

当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)

日本基準では、費用処理している一部の開発費についてIFRSにおいては資産計上を行っております。

この結果、連結財政状態計算書の「のれん及び無形資産」が2,885百万円増加しております。

また、連結損益計算書の「売上原価」が603百万円増加し、販売費及び一般管理費に含まれる「研究開発費」は1,068百万円減少しております。

 

 

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、輸送機器の機能部品メーカーとして顧客ニーズを捉え、独創的なアイデアと技術で性能の優れた製品を供給することを基本方針に、二輪車・四輪車用クラッチ及び汎用機用クラッチの摩擦材に関する基礎研究から生産技術を含むコンポーネントとしてのクラッチの研究開発を進めております。

また、既存製品の改良及び摩擦材を含めたクラッチの製造で蓄積された技術を活かし、新製品の開発にも取組んでおり、環境に寄与する新分野の研究では、多孔質ファイバー触媒シート(ペーパー触媒)の研究とその応用としてエンジンの排ガス浄化用ペーパー触媒の研究開発を行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額(開発資産として資産計上したものを含む)は4,052百万円となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動は次のとおりであります。

 

(二輪車用クラッチ)

モーターサイクル用湿式摩擦材、スクーター用乾式摩擦材の研究開発を骨格に、クラッチの操作性を含む商品性向上及びコスト低減のための研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は、アセアン地域でグローバルに展開されるコミューター用のプーリーのアッセンブリー及びクラッチの量産化、当社の独自技術であるA&Sを搭載した大排気量スポーツモデル用クラッチの拡大展開、並びに商品性と耐久性向上を図った新摩擦材の開発等であります。

また、2011年3月より量産を開始した汎用機の排ガス浄化用ペーパー触媒の適用拡大に向け研究開発を展開しております。

二輪車用クラッチセグメントに係る研究開発費は1,852百万円となりました。

 

(四輪車用クラッチ)

AT/CVT等オートマチックトランスミッション用の湿式摩擦材及びマニュアルトランスミッション用乾式摩擦材を骨格に、小型軽量化、低コスト化及び燃費向上に寄与するクラッチの研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な成果は、当社の独自技術であるセグメント方式の摩擦板製造方案及び燃費性能向上と軽量化を実現する独自技術を活用したAT用クラッチアッセンブリーの量産化、また優れた減衰性能を有する新構造ダンパーを有したロックアップクラッチの量産化、並びに商品性と耐久性向上を図った新摩擦材の開発等であります。

四輪車用クラッチセグメントに係る研究開発費は2,200百万円となりました。