第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「独創的なアイデアと技術でお客様に喜ばれる製品・サービスを供給することで社会へ貢献する」ことを企業理念の基本方針としております。

そのために、「安全と環境に配慮した企業活動を行う」「独創性を生かして積極的に活動する」「常に自己研鑽に励み、改革・改善を行う」「スピーディーかつタイムリーに行動する」「人の和を大切にし、明るい職場をつくる」ことを当社グループの役職員の行動指針としております。

 

(2) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題等

今後の経営環境は、ワクチン開発や接種の広がりにより新型コロナウイルス感染症の収束が期待される一方で、変異種による感染症の再拡大や都市封鎖の再開、半導体の供給不足等のリスクに留意する必要があり、先行きは依然として不透明な状況にあります。

新型コロナウイルス感染症により、人々の生活様式は大きく変容し、デジタル化の進展やカーボンニュートラル実現に向けた機運の高まりなど、新しい社会的価値観や産業構造の変化が急速に進んでおります。

また、自動車業界ではコネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化といった「CASE」や「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」などの技術革新が加速しており、自動車業界のみならず、他業界を含めた大きな構造変化の時代を迎えております。

このような経営環境の中で、当社グループは第11次中期経営計画を確実に実行し、コア事業の価値向上と新事業での価値創出に努めてまいります。

 

第11次中期経営計画(2020年度~2022年度)

中身の進化Ⅱ Go! Reach Beyond Evolution Ⅱ

~開発力・現場力強化 デジタル進化 新事業~

方針

開発力・現場力強化による 持続的な競争力の確立

デジタル進化による モノづくりと仕事の変革

新事業開発の強化による 将来成長確保と意識変革

業績目標(2022年度)

売上収益 1,760億円

営業利益  150億円

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) クラッチ製品に特化した事業展開について

現状、当社グループの事業展開はクラッチ製品に特化しております。クラッチ製品は、内燃機関を動力とする自動車や二輪車等の動力伝達機構を構成する重要な機能部品の一つでありますが、今後、内燃機関を動力としない自動車や二輪車等の普及により、クラッチ製品が不要となる可能性があります。

自動車業界は現在、大きな構造変化の時代を迎えております。電動化の普及スピードについては様々な見解があるところですが、二輪車用クラッチ、四輪車用クラッチともに当面の成長は見込まれますので、既存事業を確実に進化させて対応してまいります。また、新事業につきましては、現在開発を進めているペーパー応用製品やEV製品に加え、それ以外の事業領域を含めて、当社の技術やノウハウを活かしつつ、アライアンスやM&Aも視野に入れながら積極的に進めてまいります。

(2) 特定の産業や取引先への依存について

当社グループが製造販売しているクラッチ製品の大半は自動車産業や二輪車産業向けであり、当社グループの業績は、今後の自動車産業や二輪車産業の動向により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの売上収益に占めるホンダグループに対する売上収益の割合は当連結会計年度において約41%を占めており、当社グループの業績は、今後のホンダグループの事業戦略や購買政策等により影響を受ける可能性があります。

当社グループは、ホンダグループ向けの販売に加え、拡販による新規顧客の獲得に注力し、受注につなげてまいりましたが、引き続き積極的な顧客提案を進めてまいります。

(3) 海外展開について

当社グループは、日本、米国、アジアを中心にグローバルな事業を展開しております。このため、当社グループの業績は、各国の政治や経済の動向、為替相場の動向、予期しない法律または規則の変更、移転価格税制等の国際税務リスク、災害の発生等により影響を受ける可能性があります。

当社グループは、カントリーリスクを的確に把握し低減しながら事業を遂行していくため、海外子会社等を通じて現地の情報収集に努めるとともに、グループ間の相互補完体制を活用しながら適切に対処しております。

(4) 競合について

世界の自動車産業や二輪車産業における競合環境は非常に厳しくなっております。当社グループは、製品開発から製造、品質保証に至るまで競争力の維持、強化に努めておりますが、今後、何らかの理由により競争力の維持、強化が困難となった場合、市場シェアや収益力が低下する可能性があります。

当社グループは、品質、コスト、デリバリーをはじめとする製品競争力の向上によりグローバルシェアの更なる拡大に努めております。

(5) 製品の欠陥に対する補償

当社グループは、製品の品質には万全を期しておりますが、全ての製品に不具合、欠陥等が発生しないという保証はありません。当社グループが納入した製品の欠陥等に起因して完成車メーカーが大規模なリコール等を行うような事態が発生した場合、多額のコストの発生や、当社グループの評価が重大な影響を受けることにより、当社グループの業績と財政状態に深刻な影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは、事業活動全体を通じて更なる品質向上を目指し、品質保証体制の強化に取り組んでおります。

(6) 災害や地震等による影響

当社グループは、大規模災害等により製造ラインが中断するといった潜在的なリスクを最小化するため、各種の対策を講じておりますが、それらによって全ての影響を防止または軽減できる保証はありません。特に、国内においては当社グループの主要施設は静岡県西部地域に集中しているため、将来、想定されている東海地震・東南海地震が発生した場合、生産設備に甚大な影響を受け、生産能力が著しく低下する可能性があります。

当社グループは、大規模災害等の非常時に事業継続を図るべく、リスク対応マニュアル等を整備し、事業継続計画(BCP)を構築するなどの対応を行っております。新型コロナウイルス対応としては、従業員およびその家族、関係者の安全確保を最優先に感染症の拡大防止に取り組むとともに、各国政府や地方自治体の要請等を踏まえ、事業への影響を最小限に抑えるべく対応を行ってまいりました。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済状況を概観しますと、新型コロナウイルス感染症の影響によりグローバルで経済活動が大幅に抑制されましたが、第1四半期を底に総じて持ち直しの動きが見られました。日本では、個人消費や輸出を中心に景気は回復傾向にあったものの、1月に緊急事態宣言が再発令されるなど、期末にかけて不透明な状況となりました。海外では、米国の景気は経済対策の効果等もあり回復が続きました。アジアでは、早期に経済活動が再開した中国は年間を通じて回復基調で推移し、インドやアセアン地域も回復しました。

自動車業界におきましては、国内外における二輪車、四輪車の販売の減少や生産活動の停止等もあり大変厳しい状況となりましたが、第2四半期以降は回復傾向が続きました。四輪車市場は、日本の新車販売は年間では2年連続の減少となりましたが、10月以降は前年比プラスで推移しました。海外では、米国は、ライトトラックを中心に販売は回復しました。中国では、新車販売は総じて堅調に推移しました。また、二輪車市場は、インドでは第2四半期以降需要が急回復し、アセアン地域も緩やかに回復しました。

このような状況の中、当社グループは、感染予防策を講じながら製品供給体制の維持に努め、生産変動に対するコストコントロールの徹底や業務の効率化などに取り組み、事業への影響を最小限に抑えるべく対応を行ってまいりました。また、第11次中期経営計画の初年度として開発力と現場力の強化、生産工程や開発プロセスのデジタル化を進め、競争力向上に努めるとともに、ペーパー応用製品やEV製品等の新事業開発を積極的に進めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、二輪車用クラッチ、四輪車用クラッチの販売が減少し、売上収益は146,157百万円(前期比14.6%減)となりました。営業利益は、前期に計上した補償費用や減損損失の影響が無くなったものの、減収に伴う利益の減少により6,966百万円(前期比11.8%減)となりました。税引前当期利益は、金融費用の減少により8,313百万円(前期比25.0%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は4,462百万円(前期比13.8%増)となりました。

 

各セグメントの業績は次のとおりであります。

(二輪車用クラッチ)

インドネシアやインドの二輪車用クラッチの販売が減少したこともあり、売上収益は65,197百万円(前期比18.6%減)、営業利益は5,904百万円(前期比40.7%減)となりました。

(四輪車用クラッチ)

中国の四輪車用クラッチの販売は堅調に推移したものの、米国の販売が減少したこともあり、売上収益は80,959百万円(前期比11.0%減)となりました。営業利益は、前期に計上した補償費用や減損損失の影響が無くなったものの、減収に伴う利益の減少により2,177百万円(前期は1,096百万円の営業損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は39,607百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は12,971百万円となりました。主な増加の要因は、税引前当期利益8,313百万円、減価償却費及び償却費13,557百万円、営業債務及びその他の債務の増加額3,247百万円によるものであります。主な減少の要因は、営業債権及びその他の債権の増加額5,989百万円、法人所得税の支払額3,999百万円、引当金の減少額2,880百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は8,522百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出5,488百万円、定期預金の預入による支出2,456百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は3,175百万円となりました。これは主に配当金の支払額2,434百万円によるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

二輪車用クラッチ(百万円)

63,862

84.3

四輪車用クラッチ(百万円)

78,374

89.5

合計(百万円)

142,236

87.1

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

二輪車用クラッチ

69,559

92.0

6,552

299.1

四輪車用クラッチ

87,693

103.6

8,811

424.1

合計

157,252

98.1

15,364

359.9

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度において、受注残高に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により受注残高が大幅に減少した前年同期に比べ、足元の受注が大幅に増加したことによるものであります。

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

二輪車用クラッチ(百万円)

65,197

81.4

四輪車用クラッチ(百万円)

80,959

89.0

合計(百万円)

146,157

85.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Ford Motor Company

29,926

17.5

23,916

16.4

本田技研工業㈱

10,078

5.9

9,574

6.6

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上収益)

当連結会計年度の売上収益は146,157百万円(前期比14.6%減)となりました。

中国の四輪車用クラッチの販売は堅調に推移したものの、インドネシアやインドの二輪車用クラッチの販売が減少したことに加え、米国の四輪車用クラッチの販売が減少しました。

国内外における二輪車、四輪車の販売の減少や生産活動の停止等もあり、第1四半期は大変厳しい状況になりました。第2四半期以降は回復傾向が続きましたが、第1四半期の大幅な減収をカバーできず減収となりました。

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は6,966百万円(前期比11.8%減)となりました。

営業利益が減少した主な要因は、前期に計上した補償費用や減損損失の影響が無くなったものの、減収に伴う利益の減少、為替影響等によるものであります。

(税引前当期利益)

当連結会計年度の税引前当期利益は8,313百万円(前期比25.0%増)となりました。

前期に計上した為替差損による金融費用が減少したことによるものであります。

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は4,462百万円(前期比13.8%増)となりました。

 

財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は99,548百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,789百万円増加しました。これは主に営業債権及びその他の債権が7,481百万円、現金及び現金同等物が4,257百万円、その他の金融資産が2,379百万円増加したことによるものであります。

(非流動資産)

当連結会計年度末の非流動資産は76,096百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,872百万円減少しました。これは主にその他の金融資産が1,702百万円増加したものの、有形固定資産が3,921百万円減少したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は33,336百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,691百万円増加しました。これは主に引当金が2,880百万円減少したものの、営業債務及びその他の債務が4,801百万円、その他の流動負債が1,537百万円増加したことによるものであります。

(非流動負債)

当連結会計年度末の非流動負債は10,311百万円となり、前連結会計年度末に比べ715百万円増加しました。これは主に繰延税金負債が706百万円増加したことによるものであります。

(資本)

当連結会計年度末の資本は131,996百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,509百万円増加しました。これは主にその他の資本の構成要素が7,007百万円、利益剰余金が2,363百万円増加したことによるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動のための資金を確保する上で、適切な流動性等を勘案しつつ健全なバランスシートを維持することを財務方針としております。運転資金、設備投資、研究開発投資につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金および銀行借入により調達しており、現在必要とされる資金水準を十分確保していると判断しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 重要な会計上の見積り及び判断 3.重要な会計方針」に記載しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、輸送機器の機能部品メーカーとして顧客ニーズを捉え、独創的なアイデアと技術で性能の優れた製品を供給することを基本方針に、二輪車・四輪車用クラッチおよび汎用機用クラッチの摩擦材に関する基礎研究から生産技術を含むコンポーネントとしてのクラッチの研究開発を進めております。

また、既存製品の改良および摩擦材を含めたクラッチの製造で蓄積された技術を活かし、多孔質ファイバー触媒シート(ペーパー触媒)の研究とその応用としてエンジンの排ガス浄化用ペーパー触媒の研究開発を行ってまいりましたが、クラッチ以外の事業分野への展開を目指し、ペーパー応用製品やEV製品などの新事業開発にも取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費の総額(開発資産として資産計上したものを含む)は4,885百万円となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は次のとおりであります。

 

(二輪車用クラッチ)

モーターサイクル用湿式摩擦材、スクーター用乾式摩擦材の研究開発を骨格に、クラッチの操作性を含む商品性向上およびコスト低減のための研究開発を行っております。

二輪車用クラッチセグメントに係る研究開発費は2,616百万円となりました。

 

(四輪車用クラッチ)

オートマチックトランスミッション、CVT用の湿式摩擦材およびマニュアルトランスミッション用乾式摩擦材の研究開発を骨格に、小型軽量化、低コスト化及び燃費向上に寄与するクラッチの研究開発を行っております。

四輪車用クラッチセグメントに係る研究開発費は2,269百万円となりました。