文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
① 経営の基本方針
当社グループは、経営理念に「世界に貢献する企業に向かって『尊重 信頼 挑戦』そこから生まれる夢の実現」を掲げ“多様な文化や価値観を持つ国際社会と協調・協力しながら社会ニーズに応えられる企業として発展していくこと”“先進的な加工技術への挑戦と技術の蓄積によって、期待を超える魅力あふれる自動車フレームを素早く提供し、世界中から信頼される企業となること”を目指しております。
このような、経営の基本方針のもと、株主、顧客、従業員、社会など全てのステークホルダーから信頼される企業であり続けられるよう企業活動に取り組んでまいります。
② 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
今後の世界経済動向として、世界的な金融政策引締めによるインフレ抑制等の動きから景気減速リスクが残ると予測されるものの、コロナ禍の収束や社会活動への規制緩和を受けた経済回復および新興国を中心とした力強い経済成長が見込まれております。
自動車業界においては、車載用途の半導体の供給制約の緩和が進むとみられており、市場の旺盛な需要を背景とした各自動車メーカーの増産対応が本格化すると考えられます。また、中国や欧米を中心とした電動車(EV)シフトが想定以上のペースで進展していることや、新興EVメーカー台頭への危機感を受け、日本の自動車メーカーの世界戦略見直しの動きが続いている状況です。
環境規制の強化を踏まえた急速な電動化の進展、CASE※1やMaaS※2の拡大とそれに伴う異業種の参入といった業界変革期のなか、当社グループへの期待として、車の燃費性能向上のための軽量化と衝突安全性能の向上といった従来からの製品ニーズに加えて、車体設計や解析・シミュレーションなど新車開発の上流段階への参画、環境に寄与する製品開発への参画、LCA※3を取り入れたモノづくりへの進化といった、新しい顧客ニーズが生まれております。
これらの環境は、当社グループにとりまして、強みとする研究から量産までの一貫開発体制による開発力及び生産力(自動車フレームの性能解析や金型技術、超ハイテン材のプレス・溶接加工技術)や、グローバル展開による効率的な供給ネットワークをもって国内外の新規顧客への参入機会の拡大が見込め、新たな成長ドライバーの創出にもつながる期待ができる一方、自動車メーカーの部品調達戦略に変化が生じるなかで受注競争がさらに厳しさを増していく状況でもあります。
以上のような経営環境にあって、当社グループでは、急速な変化にも即応しながらゆるぎない成長を遂げていくための戦略基盤となる、2030年を最終年とする長期ビジョン「2030年VISION」を策定し、2023年度を初年度とする第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)とともに、当社グループの中長期経営方針として掲げ、企業としての持続的成長の実現とともに、持続的に成長する社会の実現へ貢献してまいります。
※1 CASE … Connectivity:つながること、Autonomous driving:自動運転、Sharing:共有・シェアリング、Electric drive systems:電動化
※2 MaaS … Mobility as a Service:様々な形式の交通手段を需要に応じて1つのサービスに統合する、次世代の交通サービスのこと
※3 LCA … Life Cycle Assessment:原材料採取から製品の製造・使用・廃棄までの一連の過程における環境影響を評価すること
◇2030年VISION
2030年VISION:「Be a Value Creator(価値創造者になる)」
コーポレートスローガン:「Exceed expectations(期待を超える)」
※ なお、2030年VISIONに関して、当社グループのコア・コンピタンス(強み・魅力)を、「テクノロジー(お客様のニーズを具現化するものづくり技術)」と「ホスピタリティ(お客様のニーズをお客様と一緒になって実現する)」と定義しております。
2030年VISIONに向けて当社グループは、ESGの取組みと価値創造文化の醸成を基盤に、既存事業の強化と新商品の開発を進めてまいります。そして、当社グループのコア・コンピタンスとESGを礎としつつこれに全員の「Think Value」を加え、新たな価値を生み出してまいります。そのプロセスでは、自動車業界で存在感を示すとともに、社会に必要とされそして社会に役立つ価値を創出し、これらを通じて期待を超える「Value Creator」を目指しております。
◇第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)
経営方針:事業基盤を再構築し、価値創造思考で確かな成長を実現する
重点施策:
経営指標:
売上収益、税引前利益額/率及びROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を経営指標(KPI)とし、目標値は以下のとおりであります。
第7次中期最終年度(2026年3月期):
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(収益力の強化)
技術価値に見合った適正な製品価格設定に努めるとともに、省人化等の原価低減策を推進し収益力を強化してまいります。特に重要地域である北米及び中国地域拠点の収益力強化に注力してまいります。
(主力得意先向け売上の確保と拡販に向けた取り組み)
主力得意先の新車種開発の早期から技術提案営業を進め新規部品の受注獲得を目指すとともに、既生産部品の継続受注を図ります。拡販においても技術提案営業のほか当社グループの供給体制を活かし、国内外で受注活動を積極的に進めてまいります。また、金型や鋳物についても受注拡大とこれまでに培ってきた技術や知見を活かした自動車フレームの受注活動を進めてまいります。
(新技術及び新商品の開発推進)
自動車フレームの製造で培った優れた技術とアイデアで夢のある技術開発や商品開発を進め、より多くのお客様に新たな価値を提供し売上収益の拡大を図ってまいります。
(サステナビリティの強化)
環境やLCAに配慮した生産活動や環境に配慮した活動に積極的に取り組み、脱炭素社会の実現を目指し、地球環境保全へ貢献してまいります。
また、女性の新規採用者における比率の向上や管理職への登用をはじめとした、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、男性の育児休業取得を推進するワークライフバランスへの取組み、安全で働きやすい職場環境づくり、健康経営、人権に関する取組、ガバナンス強化などESG各領域の施策を推進し、サステナビリティを強化してまいります。
(人材開発)
グローバルに活躍できる人材の採用、育成、選抜に向けた諸施策を国内外で進めてまいります。
(品質高位安定化)
お客様の期待を超える品質水準の達成、安定化に取り組んでまいります。
(ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドにおける経理体制強化)
米連結子会社である、ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドの決算業務の適正化にむけて、体制及びシステム環境の整備運用に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え
当社は、経営理念に立脚し、ESG(環境・社会・ガバナンス)各領域の諸施策を推進することを通じて「世界に貢献する企業になる」ことをサステナビリティの基本方針としています。
具体的には、ESGの取組み強化と人材開発とを当社グループの持続的発展の基盤と位置づけ、各領域の取組みをグローバルに加速させています。
また、第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)の重点施策に「サステナビリティの強化」を掲げております。当社組織の最上位階層にあたる4本部3室(生産本部、開発営業本部、購買本部、管理本部、経営企画室、品質保証室、監査室)は、年度事業計画において、自己の事業活動と連鎖してサステナビリティの取組みを展開するとともに、その実績を取締役会や経営会議等が監督しております。
当社は、管理本部長をサステナビリティ領域の責任者と定め、当社グループのサステナビリティ機能を統括する役割を担っております。
また、当社グループにおけるサステナビリティ推進の専任部署としてサステナビリティ推進部を設置し、環境・ガバナンス・法務・リスクマネジメント・IR・人権問題など、多岐にわたるサステナビリティ施策の立案及び推進に係る機能を担っております。サステナビリティに係る諸活動については、専門委員会や担当部門が実行し、グローバルに展開しております。
さらに、2021年4月からは、サステナビリティの施策推進に関して経営層との連携を強化することを目的に、ESG委員会を設置しております。ESG委員会は管理本部長を委員長とし、当社組織の最上位階層にあたる4本部3室(生産本部、開発営業本部、購買本部、管理本部、経営企画室、品質保証室、監査室)の長により構成されております。ESG委員会は、ESG全般の統括・諮問機関として、ESGに係る目標設定や活動推進について、主管部門に対して経営者の視点から助言を行っております。また、必要に応じて、ESG委員会における活動内容は、取締役会に報告されます。なお、2023年3月期における開催数は9回であります。
このような体制を基にして、当社はサステナビリティに係るリスク及び機会を識別し、管理しております。
(3)サステナビリティに係るリスク及び機会への対応(戦略)
当社は、当社グループにおけるサステナビリティの強化にあたり、事業課題及びステークホルダーとの関係性等を考慮して、サステナビリティ重要課題を以下のとおり認識しております。
① E領域:環境に貢献する技術・製品の開発、気候変動対策を考慮した生産活動
② S領域:多様な働き方実現、多様な人材の雇用
③ G領域:持続的成長につながる事業基盤の確立
この認識に立ち、ESG各領域の施策を通じて、持続的な企業価値の向上に努めています。
a. 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を踏まえた取組み
当社は2022年3月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、気候変動によるリスクと機会が当社の事業に与える影響を、TCFDが提唱するフレームワークに沿って分析いたしました。
(a)ガバナンス/リスク管理
気候変動を含む環境領域は、ISO14001に基づく環境マネジメントシステム(EMS)が全社の活動を統括するとともに、ISO14001:2015に基づくリスク・機会の特定、影響の分析や対応策の実施等を行っております。EMSは管理本部長をその責任者とするとともに、事業所でそれぞれ環境マネジメント組織を整備し、CO2削減に向けた取組みと、省エネ、省資源、廃棄物の削減に向けた環境活動を推進しております。
このようなEMSの体制と、「(2)サステナビリティへの対応体制(ガバナンス/リスク管理)」に記載の体制を基にして、TCFDが提唱するフレームワークに沿って特定した気候関連のリスク及び機会についても、環境活動と連動させた施策を行うことで、リスク低減及び機会の確保につなげております。
(b)戦略
当社は、TCFD提言に基づき、産業革命前に比べて、世界の気温が3.2℃~5.4℃上昇する「4℃シナリオ」、厳しい対策により0.9℃~2.3℃上昇に抑えられる「2.0℃シナリオ」および抜本的な対策により1.5℃未満に抑えられる「1.5℃シナリオ」の各々のシナリオについて、リスク及び機会の検討等を行っております。
なお、リスク及び機会の検討にあたっては、以下に示す政府機関及び研究機関が開示するシナリオを参照しました。
(参照した文献/シナリオ例)
・ IEA「World Energy Outlook」
公表政策シナリオ(STEPS)、持続可能な開発シナリオ(SDS)、ネットゼロシナリオ(NZE)
・ IPCC「AR5」「AR6」
RCP8.5、RCP2.6、RCP1.9
リスク及び機会の検討の結果は、統合報告書及び当社ウェブサイトにて開示しております。
URL:
(c)指標及び目標
当社は、中長期的な環境目標として、2030年度に2013年度比 CO2排出量46%削減、2050年度にカーボンニュートラルという目標を設定しております。目標に対する実績は、統合報告書及び当社ウェブサイトにて開示しております。
URL:
b.多様な働き方実現、多様な人材の確保(人的資本経営への取組み)
(a)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針(戦略)
(人材育成方針)
当社は尊重、信頼、挑戦の経営理念に基づき、人材こそが価値を生み出す資本であるとの認識に立ち、企業の価値創造力の向上及び持続的成長のため、社会課題解決の視点で自ら考え行動を起こし、周囲を巻き込んで新たな価値を生み出す多様な人材を採用し、育成します。
(社内環境整備方針)
性別・年齢・出身国等に関わらず、すべての個人が能力、キャリア開発できるように、上司・先輩からの日常業務を通じた指導やOJTを基本として、新価値創造に向け、主体性・思考力・行動力等の向上研修や社内外交流を促進します。また、管理監督者のマネジメント力向上、多様な働き方の導入、健康経営の推進など、各個人が活き活きと働ける環境整備を推進します。
これらの方針に基づき、当社は、従業員の能力開発のための教育・研修機会を充実させることはもとより、外国出身者の日本語学習支援制度、女性社員向けのキャリアデザイン研修、管理職向けのダイバーシティ・マネジメント教育などの取組みを積極的に推進しています。
多様な働き方の導入事例として、従来から年次有給休暇取得の促進に努めており、一般職の年間付与日数(最大20日)の100%取得を継続しております。また、新型コロナ感染防止対策で始まった在宅勤務を制度として恒久化や、フレックスタイム制度の適用職場拡大も図っております。さらには、不妊治療を行う従業員への配慮や女性の健康管理に関する管理監督者教育、LGBTQへの配慮を含むハラスメント防止教育等を実施しております。
こうした結果、女性活躍推進法に基づく優良企業として厚生労働省より3段階の認定のうち最高位の「えるぼし」(3つ星)認定、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業として「くるみん」認定を取得しております。また、障害者雇用に関しても積極的に取り組んでおり、2022年5月には「埼玉県障害者雇用優良事業所」認証を取得しております。さらには、人権に対する社会的な意識の高まりと企業の社会的責任を踏まえ、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、2023年3月にエイチワン人権方針を策定致しました。同方針をもとに、人権尊重の取組みをグループ全体でより強力に推進し、社会的責務を果たしてまいります。
(b)方針に関する指標の内容、目標及び実績(指標及び目標)
「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。
c. 持続的成長につながる事業基盤の確立
当社は、今後の自動車業界の変革、顧客における事業戦略の変化という課題に対して、これまで以上に監督機能が働くガバナンス体制の構築に努めております。
ガバナンスについては、「
有価証券報告書に記載した事業の内容、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 依存度の高い販売先
当連結会計年度末日現在、本田技研工業株式会社は当社の発行済株式の20%以上を保有しており、同社は当社のその他の関係会社に該当しております。
当社グループは、主に自動車の車体フレームを製造し、複数の自動車メーカー等に販売しておりますが、その最大の販売先はホンダグループ(本田技研工業株式会社、同社の連結子会社及び持分法適用会社)であります。当連結会計年度の連結売上収益における同グループ向けの販売実績は約90%を占めていることから、今後、同グループからの受注量が低下した場合、売上収益の減少を通じて当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主に前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題(主力得意先向け売上の確保と拡販に向けた取り組み)」のとおりホンダグループからの受注獲得に努めると同時に、他の自動車メーカーとの取引拡大にも注力しております。
(2) 新技術の開発
自動車業界は、電動化の進展並びにCASEやMaaSの拡大といった変革期にあり、技術開発に対する顧客ニーズも多様化してきております。そのような中で、当社グループの既存の製品や製造方法に取って代わる新素材を用いた製品や新しい製造技術が市場や得意先に受け入れられた場合には、シェアの低下を通じて当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「開発/生産技術の競争力強化」並びに「事業領域の拡大」を据え、より高性能な自動車フレーム並びにその製造技術の研究開発に経営資源を積極的に投入するとともに、中長期で顧客の多彩なニーズにお応えするため新たな技術開発や商品開発を通じた新価値創造を図っております。
(3) 製品の品質
当社グループは、国際的な品質管理基準に基づいた品質保証体制を構築し、製品の品質の維持と向上に努めております。しかしながら、当社グループの製品に重要な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の責任に問われた場合、多額の対策費用の発生や当社グループの評価の低下による受注の減少を通じて当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「品質高位安定化」を据え、品質向上にたゆまず取り組んでいるほか、不測の事態に備えリスクの一部を生産物賠償責任保険でカバーしております。
(4) 財務会計上の見積り
当社グループの財政状態及び経営成績は、以下の財務会計的な要因を含む資産及び負債への財務会計上の評価、会計基準の変更及び新たな適用により影響を受ける可能性があります。
① 有形固定資産及び無形資産
事業に供する有形固定資産及び無形資産は事業環境の変化等によって、帳簿価額の回収が見込めなくなった場合には、対象資産に対する減損損失の計上により当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「収益基盤の強化」を据え、当社、連結子会社及び持分法適用会社の業績向上を図るほか、各社の事業計画の月次モニタリングを通じてリスクの早期把握に努めております。
② 退職給付関係
退職給付に係る負債は、退職給付債務と年金資産の動向によって変動しますが、数理計算上の仮定に変動が生じた場合、又は運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績等が影響を受ける可能性があります。
なお、数理計算上の仮定の影響については、後記 「第5 経理の状況 Ⅰ 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22.従業員給付」に記載しております。
③ 繰延税金資産
繰延税金資産は、将来減算一時差異等に対して、将来の課税所得に関する予想等に基づく回収可能性を評価することにより計上されておりますが、経営状況の悪化により回収できないと判断された場合や、税率変更を含む税制改正等があった場合には、繰延税金資産の額が減額され、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」のとおり第7次中期事業計画の重点施策に「収益基盤の強化」を据え、当社、連結子会社及び持分法適用会社の業績向上を図るほか、各社の事業計画の月次モニタリングを通じてリスクの早期把握に努めております。
当連結会計年度(以下、「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
当期末の流動資産は、前連結会計年度(以下、「前期」という。)末に比べ現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権の増加などの増加があった一方、棚卸資産の減少などから850億78百万円(前期末比9億30百万円減)となりました。
現金及び現金同等物の増加は、当期末にかけて売上債権の回収が進んだことや設備投資に伴う借入金の増加などによるものであります。棚卸資産の減少及び営業債権及びその他の債権の増加は主に北米セグメントにおいて、前期末に計上した在庫が当期末にかけて減少したことに起因しております。
当期末の非流動資産は、前期末に比べ有形固定資産が減少したことなどから1,022億37百万円(前期末比57億34百万円減)となりました。
有形固定資産の減少は、主として北米セグメントにおいて減損損失を計上したことに伴うものであります。
当期末の負債合計は、退職給付に係る負債の減少などがありましたが、営業債務、その他の流動負債、繰延税金負債などの増加により1,183億95百万円(前期末比22百万円増)となりました。
当期末の資本合計は、為替相場の円安によるその他の資本の構成要素が良化しましたが、当期損失の計上による利益剰余金の減少などから689億19百万円(前期末比66億86百万円減)となりました。
当社グループはIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており、セグメント情報に財政状態を記載しておりませんので、該当事項はございません。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、世界各国における活動制限の緩和により、経済が緩やかに回復する一方で、急速なインフレーションの進行を背景とした各国での政策金利の引き上げや、ウクライナ紛争の長期化といった地政学的リスクの影響など、経済回復への腰折れリスクが危惧されている状況です。日本経済においてもその傾向は顕著であり、エネルギー価格の高騰や急激な物価高から先行きが見通しにくい状況であります。
自動車業界においては、長引く半導体不足などの影響により、各自動車メーカーは不安定な稼働状態を強いられており、当社グループにおいても得意先に合わせた生産調整をせざるを得ない環境下にありました。また、脱炭素社会の実現に向けた動きと呼応するように、電動化や自動運転の技術開発が予想を上回るスピードで進められており、当社グループも強みである軽量化技術を駆使し、自動車電動化へのさらなる技術貢献を模索しております。
このような環境下、当社グループは、第6次中期事業計画の経営方針である「H-oneグループ全員のホスピタリティと「Think Value」で価値ある商品・サービスを追求し、すべてのステークホルダーの期待と喜びにつなげる」に沿って、これまでに培った技術力やグローバル展開を活かし、取引先開拓をはじめとする受注拡大に努めてまいりました。
当連結会計年度における主な実績といたしまして、国内事業においては、中津工場(大分県中津市)の生産機能を豊後高田工場(大分県豊後高田市)に移管し、九州地区を中心とした顧客ニーズに応えるべく、プレスから溶接までの一貫生産体制を整備いたしました。また、超小型EVの試験研究を目的とする、超小型EV技術研究組合(METAx)を当社含む4社で設立し、脱炭素社会実現に向けた「車両の電動化」に加え、「ラストワンマイルの配送やデリバリーサービスにおける新たなソリューション」として、軽自動車未満の手軽な超小型EVの開発を開始しました。海外事業においては、中国湖北省武漢市に武漢愛機新能源汽車有限公司(WN-Hapii)を設立し、主力得意先のEV専用工場新設への追従と現地EVメーカーをターゲットとした部品供給体制の強化、販路拡大を図りました。
そのような中での当連結会計年度の経営成績は、主力得意先向けの自動車フレームの生産台数が前期に比べて約6%減少したものの、為替相場が前年同期に比べ円安水準にあったことなどにより売上収益は2,255億11百万円(前期比32.2%増)となりました。利益面では、製造固定費の負担による利益率の低下などがありましたが、売上総利益は156億24百万円(同13.8%増)となりました。一方、販売費及び一般管理費の増加や北米連結子会社における減損損失の計上により、営業損失は92億70百万円(前期は営業損失40億46百万円)となりました。また、支払利息の増加などによる金融損益の悪化により、税引前損失は97億42百万円(前期は税引前損失37億14百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は69億93百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期損失13億90百万円)となりました。
主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期に比べて増加したことや、専用設備回収が増加したことから売上収益は469億79百万円(前期比8.5%増)となりました。損益面では、材料費率の上昇、製造コストの増加、前第1四半期連結会計期間における土地売却益の剥落などから税引前損失は8億91百万円(前期は税引前利益28億92百万円)となりました。
主力得意先向けの自動車フレームの生産量は前期と同水準となりましたが、円安効果から売上収益は994億34百万円(前期比72.5%増)となりました。損益面では、親会社によるロイヤリティの減免などがあったものの、連結子会社における減損損失の計上により税引前損失は84億93百万円(前期は税引前損失83億22百万円)となりました。
主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期に比べて減少しましたが、円安効果から売上収益は568億19百万円(前期比0.8%増)、損益面では、生産機種ミックスや競争激化による利益幅の減少などにより税引前利益は1億34百万円(同95.9%減)となりました。
なお、第2四半期連結会計期間から武漢愛機新能源汽車有限公司を連結子会社に含めております。
主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前年比増加したことや円安効果から、売上収益は285億7百万円(前期比25.7%増)、税引前利益は4億21百万円(同95.4%増)となりました。
当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(1) 経営方針・経営戦略等、② 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、第7次中期事業計画(2023年4月~2026年3月)における目標とする経営指標(KPI)は以下のとおりであります。
第6次中期事業計画(2020年4月~2023年3月)の最終年度に当たる2023年3月期の実績につきましては、売上収益税引前利益率が△4.3%(前期比2.1ポイント減)となりました。
当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり経営戦略の推進及び課題への対処を通じて、第7次中期事業計画においての目標値の達成に鋭意取り組んでまいります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税引前損失の計上、有形固定資産の取得による支出、長期借入金の返済による支出などによる資金の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費、棚卸資産の減少などによる資金の増加要因によって104億20百万円(前期比32億32百万円増)となりました。
営業活動の結果得られた資金は、前期に比べて162億48百万円(284.4%)増加の219億62百万円となりました。これは税引前損失の計上や営業債務の増減の減少があった一方、営業債権及びその他の債権の増減や棚卸資産の増減などが増加したことによるものであります。
投資活動の結果支出した資金は、前期に比べて40億75百万円(21.2%)減少の151億93百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
財務活動の結果支出した資金は、35億8百万円(前期は148億89百万円の稼得)となりました。これは短期借入金の純増減額の減少、長期借入れによる収入の減少、長期借入金の返済による支出の増加によるものであります。
当期のフリー・キャッシュ・フローは67億68百万円のプラスとなりました。これは、税引前損失の計上があった一方、棚卸資産の減少や設備投資を抑制したことによるものであります。財務活動では借入金の返済をすすめた結果、35億8百万円の資金を支出しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、上記「(4)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
翌連結会計年度は、生産関連設備の更新など一定の設備投資(後記 「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください)を予定しております。
(キャッシュ・フローに関する補足情報)
該当事項はありません。
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、グローバル展開を視野におき、卓越した技術と製品開発を目指し、積極的に研究開発活動を推進しております。
研究開発は、当社の開発営業本部を中心とし、ホンダグループを始めとした多くの研究開発機関と密接な連携をとり、効果的かつ効率的に進めております。
当連結会計年度における、セグメント別の主要課題及び内容は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は