当連結会計年度における世界経済は、米国については雇用改善や個人消費の拡大を背景に堅調に推移し、欧州も緩やかな回復基調にありましたが、中国は過剰投資が重しとなり景気減速が続き、東南アジアやインドなどの新興国は中国経済の減速や資源価格の下落などの影響を受け、成長が鈍化しました。
一方、国内経済は、政府による成長戦略や日銀による金融緩和を背景に、企業収益や雇用環境は緩やかな回復基調が継続しました。
当社グループの属する自動車業界につきましては、国内は軽自動車を中心に需要は低水準となりましたが、北米及び中国を中心とした好調な海外需要が国内需要を補い総じて堅調に推移しました。
このような市場環境の中、当社グループは、2020年を目標年度とする長期ビジョン※「Global 10」の実現に向けて、積極的に海外展開を推進し、海外の生産拠点を活用して海外需要の増加に対応してまいりました。
これにより、売上高は17,503百万円(前期比600百万円増)、営業利益は1,392百万円(前期比379百万円増)、経常利益は1,571百万円(前期比6百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,257百万円(前期比318百万円増)となりました。
また、三菱重工工作機械株式会社と自動車用エンジンバルブ事業を統合することにより、同社と当社との間でそれぞれが持つ自動車用エンジンバルブに関するノウハウや強みを共有し、相乗効果を追求することにより、今後、大幅な拡大が見込まれない国内市場におけるシェアの確保や更なる海外需要の拡大を図ることといたしました。
なお、当社グループは、従来「自動車部品製造」、「流通」の2事業を事業セグメントとしておりましたが、当連結会計年度より、「自動車部品製造」の単一セグメントに変更しております。
流通事業の規模縮小により、流通事業の重要性が低下したこと、及び、当社グループの事業展開、経営資源の配分、経営管理体制の実態等の観点から、「自動車部品製造」及び「流通」は一体的な事業と捉えることが合理的であり、事業セグメントは「自動車部品製造」の単一のセグメントが適切であると判断したことによるものであります。
この変更により、当社グループは単一セグメントとなることから、セグメント情報の記載を省略しております。
※当社グループによる自動車用エンジンバルブ世界シェア10%獲得を「Global 10」と称しています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末とほぼ同額の8,042百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、1,785百万円(前期比22.9%減)となりました。
収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益2,072百万円及び減価償却費1,250百万円であり、支出の主な要因は、持分法による投資利益231百万円、関係会社株式売却益502百万円、たな卸資産の増加523百万円、法人税等の支払249百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は934百万円(前期比68.1%減)となりました。
収入の主な要因は、関係会社株式の売却による収入1,666百万円であり、支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,470百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は668百万円(前期比226.6%増)となりました。
これは、主に連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出457百万円及び配当金の支払額205百万円によるものであります。
当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
自動車部品製造 | 17,522,711 | 113.4 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
自動車部品製造 | 925,782 | 328.1 |
(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
自動車部品製造 | 17,675,658 | 104.3 | 1,498,338 | 113.0 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
自動車部品製造 | 17,503,179 | 103.5 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
日産自動車㈱ | 2,667,725 | 15.8 | 3,210,056 | 18.3 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
今後の当社グループを取り巻く経営環境は、国内需要の伸び悩みと海外現地生産の進展という厳しい状況が継続していくと予想されます。
このような経営課題に対処するため、2020年を目標年度とする長期ビジョン「Global 10」を設定し、平成28年度は以下の2点を重点課題として取組む所存です。
[重点課題1]事業統合におけるシナジーの発現
三菱重工工作機械株式会社と当社グループとの間でそれぞれが持つ自動車用エンジンバルブに関するノウハウや強みを共有した相乗効果の追求。
[重点課題2]積極的なグローバル展開
中国の富士气門(広東)有限公司、及びインドネシア共和国のPT. FUJI OOZX INDONESIAの生産能力増強とメキシコ合衆国のFUJI OOZX MEXICO, S.A. DE C.V.の円滑な立上げ。
また、徹底したコスト改善に向けた抜本的構造改革を推進するとともに、企業の社会的責任を果たし、世界のなかで存在価値のある会社として認められるよう、常に高い目標をもち、理想を追求していくことができる体質を目指します。
当社では、平成28年度のスローガンと基本方針を以下のように定め、経営課題への取り組みの具体化による中長期目標の実現を目指してまいります。
スローガン
『会社と共に良くなろう!』~個人が成長し、会社も成長する~
基本方針
①事業統合のシナジー実現
パートナーと力を合わせ、素早く・円滑に統合を進める
②グローバル化の自力展開
海外3拠点の支援強化とビジネス連携の更なる進化
③職場改革を自ら始める
グループの安全風土構築とOJK全力展開&質的向上
(注)OJKは当社における自主管理活動の総称となります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①世界市場について
現在の自動車産業は海外での販売が大きなウエイトを占めていることから世界不況等のあおりで自動車産業に影響が出た場合には生産台数が落ち込み、これに比例し大きく当社グループの売上高も減少する可能性があります。
②国内市場への依存について
自動車メーカー各社は海外での現地生産・現地調達を進めており、国内での生産は将来的に漸減するとの予測もあります。これに伴い当社グループの国内顧客への売上高が同じような傾向で漸減するのと併せて、生産設備の余剰等が発生する可能性があります。
③競合について
当社グループが事業を展開する自動車メーカーのエンジン市場は、メーカーのグローバル調達が拡大し、国内の競合ばかりでなく全世界の規模で競合状態となっております。これに加えて、自動車メーカーの合従連衡に伴い同一エンジンが大量に作られることになり、ひとつの受注を失することが生産面・販売面へ深刻な圧力となって作用しており、当社グループの販売量や収益力を悪化させる可能性があります。
④原材料等の調達について
当社グループ製品の原材料は、国際市場価格に大きく左右される金属元素を多く含んでおり、これらの金属元素価格が高騰することにより入手する原材料価格が上昇し、製品価格へ転嫁できない部分で業績が悪化する可能性があります。
⑤為替のリスクについて
当社グループの製品事業において一部外貨建て取引があり、急激な円高は売上高・収益に悪影響を与える可能性があります。
⑥地震等のリスクについて
当社グループの主要な事業であるエンジン用小型バルブ・コッタ・リテーナの生産拠点は静岡県西部を拠点としております。
静岡県西部はマグニチュード8クラスの巨大地震である東海地震の防災対策強化地域となっております。
当社グループは将来予測される大地震の発生に備え人的安全を第一に考え、なおかつ建物、生産設備、仕掛品、製品などの資産が地震により損傷・損失しないよう対策を講じるなど充分配慮しておりますが、その対応には限界があります。また大地震発生後は一時的に生産活動が停止する可能性があります。
このように、当社グループの主要な事業拠点である静岡県西部において大地震等の自然災害や火災等の事故等、重大な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループが受ける影響は甚大なものになる恐れがあります。
⑦法的規制等について
当社グループは国内、海外において事業活動を行っており、その遂行にあたっては、法令その他社会的規範を遵守し、公正で健全な企業活動を展開しております。しかしながら、将来における法令、規範の変更や社会の諸要求の厳格化による解釈の変更などによって発生する事態が、業績に影響を与える可能性があります。
⑧製品の欠陥によるリスクについて
当社グループでは、製品の製造にあたって、品質安定化の追求と、厳格な検査・保証管理体制を構築するとともに、損害保険加入等の対策をとるなど、品質不適合リスクその他事業活動に伴う種々のリスクについて対策を講じております。しかしながら、大規模な製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、その結果によっては、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)技術供与契約(提出会社)
提携先 | 国籍 | 契約品目 | 契約の内容 | 契約期間 | 対価の算定 |
新韓バルブ工業 株式会社 | 韓国 | エンジンバルブ | 製造、販売の独占的実施権の許諾 | 自平成28年1月1日 至平成28年12月31日 | 契約品目の純売上高につき一定の比率 |
Shriram Pistons & Rings Limited | インド | エンジンバルブ | 製造、販売、使用の非独占的実施権の許諾 | 自平成24年12月5日 至平成31年12月4日 | 契約品目の純売上高につき一定の比率 |
富士气門(広東) 有限公司 | 中国 | エンジンバルブ、コッタ、リテーナ | 製造、販売、使用の非独占的実施権の許諾 | 自平成26年9月30日 至平成29年9月29日 | 契約品目の純売上高につき一定の比率 |
PT.FUJI OOZX INDONESIA | インド | エンジンバルブ、コッタ、リテーナ他 | 製造、販売、使用の非独占的実施権の許諾 | 自平成25年9月26日 至平成28年9月25日 | 契約品目の純売上高につき一定の比率 |
FUJI OOZX MEXICO, S.A. DE C.V. | メキシコ | エンジンバルブ、コッタ、リテーナ他 | 製造、販売、使用の非独占的実施権の許諾 | 自平成26年10月24日 至平成29年10月23日 | 契約品目の純売上高につき一定の比率 |
(2)子会社の設立及び事業譲渡契約について
当社は、平成28年1月28日開催の取締役会において、当社及び三菱重工工作機械株式会社(以下「三菱重工工作機械」といいます。)の自動車用エンジンバルブ事業を統合(以下「本事業統合」といいます。)することに関して、三菱重工工作機械との間で中空バルブ(下記(注1)及び(注2)参照)事業に係る株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結のうえ、本株主間契約に基づき、当社が子会社(会社名:フジホローバルブ株式会社)(以下「本子会社」といいます。)を設立し、本子会社において、当社の軸中空バルブ(注1)事業及び三菱重工工作機械の傘中空バルブ(注2)事業における中空製造工程の製造事業に係る各権利義務を会社分割により承継することを決議いたしました。
併せて、本事業統合のうち中実バルブ(注3)事業について、三菱重工工作機械における同事業を当社が譲り受けることについても決議し、同日事業譲渡契約を締結いたしました。
(注1)エンジンバルブのうち、軸内部を空洞にした製品をいいます。
(注2)エンジンバルブのうち、軸内部及びヘッド(一般に「傘」といわれます。)内部を空洞にした製品をいいます。
(注3)エンジンバルブのうち、内部に空洞のない製品をいいます。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご参照下さい。
当社グループは、自動車部品製造の単一セグメントであるため、研究開発活動は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、自動車用、汎用を主とし、陸用、舶用を含む動弁系部品専門メーカーとして、新製品、新技術の研究開発を通じてエンジンの進歩発展に寄与する事により社会に貢献すべく活動を続けております。
特に自動車産業界は近年の車社会における環境にやさしく、エネルギー消費の少ないエンジン開発を強力に進めており、当社もこれに応えるべく、積極的にエンジンバルブを主体とした動弁系部品の軽量化、高温強度及び耐摩耗性の向上と言った内容に関し、お客様のニーズに対し迅速的確に信頼性の高い製品を提供すべく、各種の研究開発に努力しております。
この様な背景を踏まえつつ当連結会計年度は研究体制の強化とともに、各種シミュレーション解析技術の向上と、その信頼性評価や燃料多様化にも対応出来るエンジン試験センターの建設準備を図り、更なる燃費改善効果を狙った軽量化と高耐熱性を有するエンジンバルブの設計開発、製造技術確立を進めております。
当連結会計年度における研究開発費は245百万円であります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、賞与引当金等の各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。ただし、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
当連結会計年度の売上高は17,503百万円と前期に比べ600百万円の増収となりました。
損益面については営業利益1,392百万円(前期比37.5%増)、経常利益1,571百万円(前期比0.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,257百万円(前期比33.8%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は28,678百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,197百万円増加しております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、15,387百万円と前連結会計年度末に比べ960百万円増加しております。
主な要因は次のとおりであります。
・関係会社株式の売却等により現金及び預金が938百万円増加しております。
・売上高の増加等により受取手形及び売掛金が228百万円増加しております。
・商品及び製品等のたな卸資産が503百万円増加しております。
・流動資産(その他)に含まれている関係会社預け金が939百万円減少しております。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は13,291百万円と前連結会計年度末に比べ238百万円増加しております。
主な要因は次のとおりであります。
・設備購入により有形固定資産は、1,357百万円増加しております。
・投資その他の資産(その他)に含まれる関係会社株式は、株式売却により1,104百万円減少しております。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は4,464百万円と前連結会計年度末に比べ1,255百万円増加しております。
主な要因は次のとおりであります。
・支払手形及び買掛金が394百万円増加しております。
・関係会社株式売却益の発生等により未払法人税等が599百万円増加しております。
・流動負債(その他)に含まれる未払金が、設備購入の増加等により393百万円増加しております。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は135百万円と前連結会計年度末に比べ108百万円減少しております。
・繰延税金負債が121百万円減少しております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産の残高は24,079百万円と前連結会計年度末に比べ50百万円増加しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 1「業績等の概要」(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。