第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、長年にわたり樹脂成型品の分野でお客様に満足いただける素材製品の提供を目指してまいりました。今後も長年培った技術、経験を活かしながら、企業の社会的責任や安全性に十分配慮しつつ、お客様との信頼関係を深めて業績の向上を図るとともに、株主の皆様をはじめ地域社会、取引先、社員など多くのステークホルダーの方々に貢献し、企業価値を継続的に高めてゆくことを、企業の基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、将来にわたって安定的な収益を確保し、ステークホルダーの皆様から評価される企業を目指し、より厳しい経営環境にも耐え得る筋肉質な経営基盤の構築に取り組むことを経営戦略の基本としております。

当社グループの主力製品である自動車用樹脂成型品については、市場熟成分野であり需要の伸びが期待できず、厳しい業界内競争が続いております。このような事業環境のなかで中長期的視点に立ち、次の時代を切り拓く取り組みとして、以下の項目に経営資源を配分し、企業価値の増大に努めてまいります。

①品質管理、改善活動の順守徹底

②売上拡大に見合う利益・設備・外製先の確保及び海外事業の安定化

③新技術の創出、確立による受注拡大及び品質・生産性向上

④生産技術力の向上による量産性向上及び信頼確保

⑤人財育成による企業強化及び後継者の育成

⑥コンプライアンスの順守徹底

⑦SDGs活動の2030年度及び2050年度までの目標達成

 

(3)経営環境

当社グループの属する自動車業界においては、自動車メーカー各社において、CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)、AIによる次世代自動車の普及などに向け進んでおり、自動車業界は全体として大きな変革期を迎えています。

このような経営環境のなか、当社グループは持続的な事業規模拡大のため、あらゆる課題に迅速に対応した事業活動を展開してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループにおいては、環境規制の強化や原材料価格の変動など、事業活動に複合的かつ深刻な影響を及ぼす要因が山積しております。これらについて、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。影響額については、現時点において合理的に算定することが困難でありますが、グループ全体の生産性向上に向けた体制を着実に構築することにより、利益確保に努めてまいります。

このような環境のもと、当社グループが機動的かつ戦略的に対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

 

①品質管理の徹底

当社グループは、開発・設計段階から製造・出荷に至るまで、全工程での厳格な品質管理体制を構築・運用しており、継続的な改善活動や標準化の推進、品質教育の徹底を通じて、品質向上に取り組んでおります。全従業員が品質に対する意識をさらに高めることで、不具合ゼロ・クレームゼロを目指してまいります。

②顧客満足度の強化

当社グループは、顧客の声に迅速かつ的確に対応する体制の整備、品質・納期・コストの面での一層の競争力強化、ならびに技術的提案力の向上を通じて、顧客からの信頼と満足度の向上に努めてまいります。また、グローバル市場においても、各地域・各顧客の特性に応じた最適なソリューションを提供することにより、長期的かつ安定的な取引関係の構築を推進してまいります。

 

③改善活動の継続と生産性向上の強化

当社グループは、次世代自動車に対応した高機能部品の開発や環境負荷低減に資する製品・技術の創出に注力しており、研究開発体制の強化および外部との連携・共同開発の推進を図っております。市場ニーズの変化を的確に捉え、競争力のある新技術・新製品の創出を通じて、次なる成長路線への布石を着実に打ってまいります。

④海外事業の発展

当社グループは、グループ全体のさらなる発展に向けて、海外売上高の拡大が不可欠であると認識しております。第87期に買収した中国子会社を中心に、インドネシア子会社においても新工場が量産体制へと移行し、現在は安定稼働を実現しており、これらがグループ全体の売上拡大に寄与しています。今後も、アジア地域を中心とした海外事業の展開を一層強化し、売上および利益の拡大に努めてまいります。

⑤人財育成による企業強化

当社グループは、高付加価値製品の開発と安定的な製造・供給体制を維持するには、技術力を支える人材の確保と育成が不可欠です。若手技術者や中堅社員のスキルアップ、管理職の再教育、ダイバーシティ推進など、多様性と専門性を兼ね備えた人材基盤の構築を進めております。

⑥新事業の創出と成長分野への参入

当社グループは、既存事業の深化に加え、成長が見込まれる分野における新たな収益源の確保を目的として、戦略的なM&Aの活用を積極的に検討・推進してまいります。技術・人材・販売チャネルなどの外部資源を取り込み、電動化・軽量化・ICT連携などの先端分野や周辺産業への事業拡大を図るとともに、グローバル競争力の強化と企業グループ全体のシナジー創出を目指してまいります。

⑦コーポレート・ガバナンスの更なる強化

当社グループは、持続可能な企業経営と中長期的な企業価値の向上のため、経営の透明性と健全性の確保に引き続き注力します。社外役員の活用、リスクマネジメント体制の強化、コンプライアンスの徹底を通じて、経営の効率性と信頼性を両立させてまいります。

 

(5)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、継続的な成長を目指しており、安定した企業価値の増大を確保するため、重要視している経営指標は、売上高及び営業利益であります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティ全般に関する考え方及び取組は下記のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは「企業は世の中の幸福に貢献するために存在すべき」という信念のもと、「ステークホルダーの皆様や社会全体との共存共栄を図り、持続可能な社会の実現に積極的に取り組む」というサステナビリティ方針を定めております。

 (重点項目)

 1.事業活動や社会貢献活動を通じて、地域社会の活性化や豊かな生活環境づくりに努めてまいります。

 2.安全で高品質な製品の提供に努め、法令遵守を徹底し、誠実な企業活動を実践いたします。

 3.業務の効率化やシステム化、環境負荷の低減に取り組み循環型の企業活動に努めてまいります。

 4.働きがいと成長を感じられる職場環境を実現するため、一人ひとりがチャレンジでき能力を発揮できる風土

   づくりに努めてまいります。

 5.適切な対話と情報開示を通じて、公正で透明性の高い経営を推進し、社会の構成員としての責任を全うしま

   す。

 今後、サステナビリティに関する基本方針に基づき、様々な課題に適切に対応していくための体制整備に努めて

まいります。

 

(2)戦略

 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備

 若手人員を主な対象として採用活動を行ってきましたが、多様な価値観を受け入れ、新たな価値を生み出す風土を醸成するため、中途採用も含めた幅広い人材を対象とした採用活動に取り組んでおります。また、持続的企業価値の向上において、特に、人的資本への投資等が非常に重要であると認識しております。従業員の能力開発・研鑽のため、資格取得の推奨、社内教育、多角的な視点や考え方を取り入れております。

 

(3)リスク管理

当社グループはガバナンス及びリスク管理を通して識別された重要なサステナビリティ項目は以下の通りです。

①地球環境問題を重視した経営

・イノベーションによる企業体質の強化

・持続的成長に向けた既存事業の発展と新事業の創出

②美しい環境の持続

・地球環境に配慮した活動

・廃棄物削減と資源循環の推進

③顧客に対する責任

・お客様第一の追求(BCP、品質、コスト、顧客満足度の向上)

・お客様とのパートナーシップによる環境と社会への配慮

・サプライチェーンにおける社会からの信頼確立

④コーポレートガバナンスの充実

・コンプライアンス

・働き方改革の推進

・労働安全衛生の向上

・人財の確保と成長を支える環境整備

・経営の透明性

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。なお、当社グループの人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標は定めておりません。今後更なる人材育成及び社内環境の整備に努めてまいります。

 

指 標

目 標

実 績

(当連結会計年度)

エネルギー消費効率の低減

2030年までに2018年度比30%以上の削減

△11.4%

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①国内外の経済情勢及び社会情勢の影響について

当社グループは、主に国内での事業活動を行っておりますが、主要な市場である国内及び国外の景気変動や社会情勢等の影響を受けるため、当社グループの関連市場における国内外の景気後退は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

したがいまして、当社グループの取引先または取引先のエンド・ユーザーの所在する国または地域において、法制や税制の変更、政治・経済情勢の変化、インフラの未整備、人材確保の困難性、戦争・内乱・テロ等の非常事態、感染症の流行等といったリスクが内在しており、当該リスクが発生した場合には、当社グループの生産活動に支障を来し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②特定の取引先への依存について

当社グループは、自動車部品の製造及び販売を主な内容とした事業活動を行っております。当社グループの主要な販売先は、三菱自動車工業株式会社であります。同社は、当社グループの売上実績に対する依存度が約3割となっております。その他の完成車メーカーなど、製品の納入先を多様化するよう努めてまいりますが、同社への依存度が高いことから同社との取引が大幅に減少することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③製品の原価変動の影響について

当社グループは、国内外の複数の取引先から原材料、半製品等を購入しております。調達する原材料等の購入価格は市況変動の影響を受け、原油関連製品価格の上昇に伴い、仕入価格が上昇する可能性があります。これに対して、販売価格については、製造工程における原価低減に努めておりますが、これら原材料等の価格上昇を製品の販売価格に十分に反映出来ない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④自然災害、感染症、事故等の影響について

当社グループは、事業を展開する国または地域において、製造拠点等の設備を有しております。当該各地の生産・販売拠点における地域で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害、感染症の大流行、火災等の事故が発生した場合、事業活動が中断または停滞することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤人材の確保・育成について

当社グループは、今後の成長を実現していくためには、営業・技術・経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しております。しかしながら、これらの適切な人材が十分に確保・育成ができない場合、長期的な視点から、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥事業を取り巻く環境の変化について

当社グループは、事業の遂行にあたって景気等の経済状態による消費動向が大きく影響を及ぼす可能性があります。世界同時不況による消費不振や需要減退等が起こった場合は、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。また、日本国内の人口減少や少子高齢化の進行は、長期的には当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

⑦法規制等の影響について

当社グループは、事業活動を行う上で、環境法令の適用を受けております。法令または公的規制等の重要な変更等により多額の費用が生じる場合などは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧地政学に関するリスクについて

当社グループにおいては、予期しえない政治的または経済的なリスクによる、半導体不足などの影響による自動車メーカー各社の減産等により、製品売上高減少の影響を及ぼす可能性があります。この場合、当社グループの生産活動に支障を来し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調を維持し、3四半期連続でプラス成長を記録しました。しかし、米国の関税引き上げや中国経済の動向など、海外経済の不確実性が下押し圧力となる可能性が潜在しています。また近年の円安による物価上昇による原油価格をはじめとした原材料、エネルギー価格の高騰の影響等により、依然として先行き不透明な状況が続いています。

当社グループの関係する自動車業界では、引き続き日系メーカーの自動車生産は回復基調が続いておりますが、近年の円安によるコスト上昇について価格転嫁の動きも顕在化しています。

このような状況のなか、当社グループにおきましては、売上高も堅調に推移し、当初の予想値を若干上回る結果となりました。コスト増加による価格転嫁の動きや合理化による経費節減を行っておりますが、増加分を吸収できておらず、各利益ともに当初の予想値を下回っております。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における流動資産は8,152百万円となり、前連結会計年度に比べ1,583百万円増加しました。

主な内訳は、株式取得の為の手付金として前払金1,312百万円が増加したこと等によるものです。固定資産は8,102百万円となり、前連結会計年度に比べ810百万円減少しました。主な内訳は、工具器具及び備品654百万円が減少したこと等によるものです。投資その他の資産は454百万円となり、前連結会計年度に比べ5百万円減少しました。主な内訳は、その他4百万円が減少したこと等によるものです。

この結果、資産合計は16,254百万円となり、前連結会計年度に比べ773百万円増加しました。

当連結会計年度末における流動負債は6,948百万円となり、前連結会計年度に比べ259百万円増加しました。主な内訳は、短期借入金160百万円が増加、その他の流動負債80百万円が増加したこと等によるものです。固定負債は2,235百万円となり、前連結会計年度に比べ512百万円減少しました。主な内訳は、長期借入金430百万円が減少したこと等によるものです。

この結果、負債合計は9,184百万円となり、前連結会計年度に比べ252百万円減少しました。

当連結会計年度末における純資産は7,070百万円となり、前連結会計年度に比べ1,025百万円増加しました。主な内訳は新株予約権発行及び行使により資本金及び資本剰余金721百万円増加、為替換算調整勘定179百万円が増加したこと等によるものです。

b.経営成績

当連結会計年度における売上高は17,736百万円(前年同期比2.2%増加)、営業利益39百万円(前年同期比94.5%減少)、経常利益33百万円(前年同期比95.2%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益44百万円(前年同期比90.9%減少)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

自動車部品

 売上高は17,686百万円(前年同期比1.9%増加)、セグメント利益は43百万円(前年同期比93.9%減少)となりました。

その他

 売上高は50百万円、セグメント損失は4百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,496百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

営業活動による資金は761百万円の収入となりました(前連結会計年度は2,052百万円の収入)。主な要因としては、税金等調整前当期純利益49百万円、減価償却費2,074百万円、仕入債務の減少額1,364百万円によるものです。

投資活動による資金は1,083百万円の支出となりました(前連結会計年度は2,554百万円の支出)。主な要因としては、新規受注品の金型及び機械装置等有形固定資産の取得による支出1,615百万円、厚木工場土地売却に係る手付金収入1,850百万円、子会社株式取得に係る手付金支出1,312百万円によるものです。

財務活動による資金は129百万円の収入となりました(前連結会計年度は793百万円の収入)。主な要因としては、新株予約権の発行による収入155百万円、配当金の支払による支出45百万円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

自動車部品

12,281,121

4.9

その他

50,725

-

(注)1.金額は製造原価によっております。

 

(2)受注実績

当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比

(%)

受注残高(千円)

前年同期比

(%)

自動車部品

17,647,759

0.5

1,351,733

△2.8

その他

50,000

-

-

-

(注)1.数量については同一品目のなかでも種類が多く、かつ仕様も多岐にわたるため記載を省略しております。

2.金額は、販売価格で表示しております。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

金額(千円)

前年同期比(%)

自動車部品

17,686,188

1.9

その他

50,000

-

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

総販売実績に対する割合

(%)

金額(千円)

総販売実績に対する割合

(%)

三菱自動車工業㈱

4,876,071

28.1

4,699,684

26.5

いすゞ自動車㈱

2,333,992

13.5

2,578,319

14.5

三菱ふそうトラック・バス㈱

2,873,849

16.6

2,445,257

13.8

合計

10,083,913

58.1

9,723,261

54.8

2.数量については同一品目のなかでも種類が多く、かつ仕様も多岐にわたるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針等は、「第5  経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

(資産合計)

当連結会計年度末における資産の額は16,254百万円(前年同期比5.0%増加)となりました。資産の主な内訳は、現金及び預金1,496百万円(前年同期比10.4%減少)、売掛金3,077百万円(前年同期比3.6%増加)、建物及び構築物2,160百万円(前年同期比1.6%増加)、機械装置及び運搬具1,746百万円(前年同期比3.2%増加)等です。

(負債合計)

当連結会計年度末における負債の額は9,184百万円(前年同期比2.7%減少)となりました。負債の主な内訳は、支払手形及び買掛金2,326百万円(前年同期比36.6%減少)、長期借入金1,590百万円(前年同期比21.3%減少)等です。

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産の額は7,070百万円(前年同期比17.0%増加)となりました。純資産の主な内訳は、資本金2,658百万円(前年同期比15.7%増加)、資本剰余金384百万円(前年同期比1564.8%増加)、利益剰余金3,414百万円(前年同期比0.0%減少)等です。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は17,736百万円(前年同期比2.2%増加)となりました。そのうち、国内売上高は15,452百万円(前年同期比2.6%増加)、海外売上高は2,283百万円(前年同期比0.3%減少)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、15,732百万円(前年同期比5.3%増加)となり、売上総利益率は11.3%となりました。主な内訳は、材料費等の変動費によるものです。

販売費及び一般管理費は、1,964百万円(前年同期比16.0%増加)となりました。主な内訳は、運搬費によるものです。

(営業外収益、営業外費用)

営業外収益は、57百万円(前年同期比34.4%増加)となりました。主な内訳は、受取利息、受取配当金、受取保険金の計上によるものです。

営業外費用は、63百万円(前年同期比34.7%増加)となりました。主な内訳は、借入金に対する支払利息、支払手数料の計上によるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上のことにより、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は44百万円(前年同期比90.9%減少)となりました。

 

(c) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、金型投資及び機械設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は3,020百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,496百万円となっております。

当連結会計年度は、国内の各完成車メーカーでは、前年度からの回復基調や半導体不足の解消による生産安定化により、当社グループにおいて売上高は予想値を上回る結果となりました。この結果、売上高17,736百万円(計画比635百万円増加)、経常利益33百万円(計画比122百万円減少)、親会社株主に帰属する当期純利益44百万円(計画比98百万円減少)、ROE(自己資本利益率)は0.7%(計画比2.4ポイント減少)となりました。

主な内容として売上高については、国内完成車メーカー各社北米を中心に販売台数は好調もあり、生産台数において回復基調で推移しました。経常利益については、世界的なインフレや原材料高騰により合理化などによる原価低減を進めてはいるものの増加分を吸収出来ていない状況です。また、当連結会計年度における特殊要因として、補助金収入55百万円、減損損失37百万円を計上しております。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。

 

 

 

 

指標

2025年3月期

(計画)

2025年3月期

(実績)

2025年3月期(計画比)

売上高

17,101百万円

17,736百万円

635百万円(3.7%)

経常利益

167百万円

33百万円

△122百万円(△99.8%)

親会社株主に帰属する当期純利益

142百万円

44百万円

△98百万円(△99.6%)

ROE

(自己資本利益率)

3.1%

0.7%

△2.4ポイント

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

(1) 固定資産の譲渡

 当社は2025年1月16日付で、固定資産の譲渡契約及び一時使用賃貸借契約の締結を行いました。また、2025年4月7日付で、譲渡先への当該固定資産の引渡しが完了いたしました。

 

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

(2)財務上の特約が付された金銭消費貸借契約

 当社は2025年3月24日付で、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しております。主な契約内容は、以下のとおりであります。

契約締結日

2025年3月24日

相手方の属性

株式会社ゴードン・ブラザーズ・ジャパン

債務の期末残高

1,000百万円

弁済期限

2026年3月23日

担保の内容

売上債権、棚卸資産

特約の内容

ⅰ.毎月最終営業日時点において、手元流動性が一定金額を下回らないように維持すること

ⅱ.担保評価額が本件貸付金元本残高の合計額を下回らないようにすること

 

6【研究開発活動】

当社グループは、樹脂射出成形製品の総合メーカーとして、市場の動向やニーズを迅速かつ的確に捉え、タイムリーに製品価値を提供できる提案型企業を目指しています。そのため自動車、材料メーカー等との情報交換や学協会等との技術交流に力を入れております。また、スピーディな技術開発を進めるべく、社外ネットワークの構築と社内開発体制強化に取り組んでおります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費は67百万円であり、以下のような商品価値を高める、競争力の高い新技術開発に取り組んでおります。

 

1.軽量化への取組み

・樹脂成形技術の高度化による自動車内外装部品の軽量化

・金属部品の材料置換

 

2.高付加価値塗装技術への取組み

・メッキ代替塗装の開発

・高鮮鋭性塗料の開発

 

3.次世代商品への取組み

・CASE対応 機能性樹脂部材の開発

特にセンサー関連(C)、自動運転(A)関連