以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
<経営理念>
社是
・人間性尊重
・技術革新
・堅実経営
行動指針
・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう
・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう
・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう
<経営ビジョン>
先進技術と良質廉価技術の融合で低炭素社会に貢献し、世界中のお客様に満足される企業
(2)経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ることを目指しています。
健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では資本利益率(ROE)は8%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループが属する自動車産業は、「CASE & MaaS」という大変革期を迎えております。当社は、「情熱と革新を融合させ、人とクルマのより良い未来をかたちづくる」をビジョンに掲げ、開発から量産までを担う車体専門メーカーとなり環境と安全性で車づくりをリードする企業を目指しています。
CASE & MaaSの進展による当社の事業環境認識は、EV化とシェアリング拡大を通じて、自動車の価格の2極化が進むこと、カーメーカーのCASE対応の開発負担が増加しサプライヤーの活用の機会が増えること、環境規制が軽量化ニーズを一段と高めることなどです。当社は、これを受けて次の4項目を重点施策として推進しています。
① 企業体質の向上
企業体質の向上のために生産性と品質の信頼性を向上してまいります。
製造現場の生産性は、プレス工程、溶接工程、物流の自動化を進めていきます。また、間接部門も含めデジタル情報技術を活用した業務効率の向上を図ります。また、品質は顧客との信頼関係の基礎であり、カメラ映像や画像分析技術を活用した品質保証を進め、生産ライン内部での精度測定・品質検査の実現により、品質の信頼性を高めてまいります。
② 売上・利益の拡大
製造業の持続的な成長には、技術開発が不可欠であり、車体一台開発の加速と既存技術の更なる進化を進めてまいります。車体一台開発には、車体一台の複合解析能力の向上が必要です。さらに、先進的で高付加価値の車づくりのため、ジーテクト東京ラボ“GTL”で世界の拠点情報や欧州エンジニアリングサービス会社の技術を集約し、新たなコア技術を獲得してまいります。先進技術を集めた高付加価値の高級車の開発競争への参画、EV化に伴う軽量化技術の進化を狙います。既存技術である冷間超高張力鋼板(超ハイテン材)加工技術や熱間プレス(ホットスタンプ)の生産効率向上とレーザー加工の最小化、マルチマテリアル化やバッテリーケース開発などにさらに磨きをかけます。生産性向上による原価低減と合わせ、普及モデルの売上原単位拡大や新規受注を目指します。
また、「生産性/信頼性向上プロジェクト」を推進し、デジタル技術や映像解析技術を活用した省人化、無人化等による原価低減を進めてまいります。
③ 人財
当社の成長の基盤を担う各階層の人財育成・確保に努めます。次世代経営を担う幹部候補には、外部研修や社内のエキスパートによる経営の継承を図る育成プログラムを推進します。若手からミドルまで階層別に能力・スキルを補完するため、ハードタスクや海外子会社経営などを通じ実践教育を行います。新たな成長分野を開拓するため、外部登用も含めエキスパート人材を確保します。
④ 社会貢献
企業の持続的な成長のため、気候変動問題への対応、再生エネルギーの活用や企業価値向上の指針としてのSDGsを実践してまいります。
新型コロナウイルス感染症への当面の対策と今後の対応
2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、世界経済に甚大な影響を与えております。世界の自動車産業にも需要と供給の両面で影響を与えており、人々の価値観や行動様式の変化とともに、長期的な影響が懸念されています。
今回の危機に際し、当面の対応として、当社は従業員の安全確保、手元流動性の確保、サプライチェーンの維持に努めております。国内外の操業中の工場では、入構時の検温・体調確認、マスク着用・手洗いの励行、帰国者の自主的隔離、構内の社会的距離の維持などの感染防止を徹底しています。
工場の操業を停止している拠点においては、労務費等の固定費の支出が継続します。日本・米国などで金融機関からの資金調達を行っており、すべてのグループ会社の資金繰りに問題は生じておりません。また、4月20日に株式会社格付投資情報センター(R&I)から信用格付A-を取得し、将来の資金調達の多様化も検討していきます。
日本及び海外の生産拠点とは、経営トップが定期的にテレビ会議による工場及び地域の状況確認・情報収集、生産継続のための要員・設備の維持管理等を行っており、一部を除き、工場操業を再開しております。経費削減や設備投資の見直しを図り、従業員・家族の感染防止を徹底し、また、サプライチェーンの維持のため、取引先の経営状況の把握と支援、オンライン調達の推進などを行っています。
中長期的には、全グループ会社の財務体質の強化を図るため、収益性の改善や経営指導などを推進し、各社の自己資本比率と手元流動性確保に努めてまいります。
また、生産領域の自動化による感染リスクの低減を図るとともに、リモートワークの導入を機に間接部門の働き方を再構築し、営業・購買・技術・管理分野の労働生産性の向上に取り組んでまいります。
この新型コロナウイルス感染症によって人々の価値観や行動様式の変化がもたらされる新しい時代に向けて、財務体質の更なる強化による市場からの信頼と安定した経営基盤、デジタル技術を活用した生産性向上の加速、働き方の新しいスタイル構築によるワーキングイノベーションで、持続的な成長に繋げてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあることを認識しております。
なお、以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
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リスクの分類 |
リスクの項目 |
リスクの説明 |
リスクの対策 |
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事業環境 |
経済環境の変化 |
当社グループは、日本、北米、中国及びその他のアジア地域、南米、欧州と、世界各国において事業を展開し、現地の完成車メーカー及び関連部品メーカーに対し製品を供給しております。これらの市場における経済の後退による消費の低迷や税制による消費者の購買意欲の低下は、自動車の販売低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
当社グループは、事業展開をしている世界各国の市場の動向を注視しており、迅速かつ的確な対応が取れるように努めております。 |
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自動車市場の変化 |
自動車業界は、「CASE」をキーワードとする100年に一度の大変革期にあります。シェアリングの領域では、「MaaS」が自動車会社の根底を揺るがしており、今後の自動車需要動向に大きな影響を与えることが予想されています。また、世界的な環境規制強化により、電動車の需要が増え、車体部品についても、これまで以上の軽量・高剛性化が求められています。 当社グループには、事業展開にあたり、多くの競合他社との競合・価格競争にさらされていますが、他業種からの新規参入が増加している状況下にあって、今後も市場シェアを維持・獲得できる保証はなく、シェアの変動に当社が適切に対応できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
当社グループは、顧客ニーズを的確にとらえ、価格競争力のある開発提案を行い、常に顧客に必要とされる製品を提供することで、競争力の向上に努めております。具体的には、生産ラインの自動化を加速し、デジタル技術を活用した業務効率アップを行って、生産性向上による原価低減を図り、普及モデルの売上原単位拡大や新規受注を目指しております。 また、「生産性/信頼性向上プロジェクト」を推進し、デジタル技術や映像開設技術を活用した自動化等による原価低減を進めております。 さらに、電動車のバッテリーケース開発を欧州ESPとの協業で進めているほか、競争力のある次世代の軽量で高剛性な車体のための車体一台開発に挑戦しています。 |
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事業運営 |
技術 |
研究開発中の技術について他者が当社グループに先行して知的財産権を取得するなど、技術の権利化に劣後した場合には、製品化することができない、又は追加の費用が発生する可能性があります。また、顧客ニーズの変化を予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や適時に提供できない場合、想定よりも需要が伸びなかった場合には、将来の成長と収益性を低下させ、投資負担が当社グループの財政状態又は業績に影響を与える可能性があります。 当社グループの取扱分野において新素材の普及が進んだ場合には、当社グループの製品と競合することとなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
当社グループは、知的財産の管理に特化した専門の部署を設置し、知財戦略に基づいた知的財産の管理を行っています。 また北米・欧州・中国に所在する開発・リサーチ拠点が収集した情報を、当社グループの研究開発の中核拠点であるジーテクト東京ラボに集約することで、市場ニーズの把握に努めています。 さらには、ジーテクト東京ラボを中心としてマルチマテリアルの研究を推進しており、すでにアルミ素材についての生産技術を確立し、スロバキアの生産拠点で量産段階に移行するなど、一定の成果を上げています。 |
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リスクの分類 |
リスクの項目 |
リスクの説明 |
リスクの対策 |
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事業運営 |
リスクマネジメント |
当社グループは、海外において積極的な事業展開を図っております。これらの国、地域においては、予期することのできない法律又は諸規制の決定又は変更、知的財産をはじめとする各国間の制度・法令の相違、政府による外貨規制・投資政策・関税政策など諸政策の発動、政治経済情勢の変化、賃金水準上昇等の社会・労働環境の変化等による人材確保の困難などの様々なリスクがあります。これらのリスクに対して当社グループが適切に対処できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
当社グループでは、当社グループ全体でのリスク管理の重要性に鑑み、当社グループが進出している国ごとにリスクマップを作成しており、これに基づいて各子会社が最優先対応リスクを選定し、対策を推進しております。 |
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特定の販売先への依存 |
当社グループは、本田技研工業株式会社が総議決権の30%以上を所有しており、同社は当社のその他の関係会社に該当している他、連結売上高の概ね6割強を本田技研工業株式会社及びそのグループ会社が占めております。同社とは、資本的関係及び継続的かつ安定した取引上の関係にあり、同社グループの国内外における生産及び販売の動向、事業戦略や購買方針等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 なお、本田技研工業株式会社が、英国のスウィンドン工場での生産を2021年に停止する計画です。当社は、1997年に英国に進出して以来、同社との間で英国での継続的な取引関係にあり、同社の撤退により、当社の英国ビジネスに少なからず影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、得意先グループとの長期にわたる緊密な取引関係を通じ、生産及び販売の見通し、事業戦略や購買方針に関する将来の方向性を共有し、自社グループの投資・事業戦略の判断に活用しています。 また、既存の取引先以外の取引先との取引を拡大するため、価格競争力のある開発提案による営業戦略を展開しており、これによって、特定の販売先への依存リスクの低減を図っております。 本田技研工業株式会社の英国工場閉鎖に対しては、同社以外への販路拡大を推進しており、今後もさらに拡大が見込まれることから、引き続き英国での生産活動を継続してまいります。 |
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品質 |
当社グループの製品について、予期できない品質問題が発生した場合には、コストの発生や当社グループ評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループは、関連法規を遵守し、国際的な品質管理基準に従って設計・製造を行い、品質ガバナンスを徹底することで品質向上に努めております。また、カメラ映像や画像分析技術を活用した品質保証を進め、生産ライン内部での制度・品質検査の実現により、質の信頼性向上に取り組んでおります。 |
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サプライチェーン |
当社グループは、主要な部分品・購入品の調達について、当社グループ内外の調達先から供給を受けております。このため、感染症の拡大あるいは洪水等の天災等により、調達先の操業が停止することで、調達ができない状況が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
製品の原材料である鋼材は高炉メーカーより供給されております。サプライチェーンの途絶について、金型の制作を金型メーカーにも委託しておりますが、今般の中国・武漢市の都市封鎖のような状況に対しましては、金型製作のリードタイム短縮、工程分散をはかり、万一の際の物流確保などによるリスク低減・早期復旧を図っております。また、量産外注品については、協力メーカーに加工を委託しておりますが、ハザードマップを確認し、代替先を確保することなどにより、リスクに備えております。 |
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リスクの分類 |
リスクの項目 |
リスクの説明 |
リスクの対策 |
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事業運営 |
為替 |
当社グループは、国際的な事業展開の結果、本邦通貨に対する外貨の価値変動が当社グループの業績に影響します。当社グループの連結売上高の8割は海外子会社による現地生産であり、為替変動は本邦通貨への換算差額として、財政状態及び業績に影響があります。 また、海外の販売先に対し金型・治工具等の生産設備を販売するなど、一部の製品及び部品等を輸出しております。急激又は大幅な為替変動により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
当社グループでは、製品及び部品の輸出に関して、為替予約等の手段で為替変動による影響の軽減を図っており、為替リスクに対する対策を行っております。 |
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コンプライアンス |
当社グループは国内外の広範な法令に従って事業活動を展開しており、万が一、役職員による法令等の違反があった場合には、各種の訴訟や規制当局の訴追により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、コンプライアンスオフィサーを委員長とするコンプライアンス小委員会が主導して、自己検証、コンプライアンスに関する研修、社内啓発、企業倫理改善提案内容のレビューなどを行っており、例えば不正競争防止や腐敗防止などに関するグループ共通の基本方針を策定し、従業員への周知展開を行うなど、法令及び社内規程の遵守する体制を構築しております。 |
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感染症・自然災害等 |
新型コロナウイルス感染症等の新たな感染症の発生 |
当社グループは、世界各国において事業を展開し、現地の完成車メーカーに対し製品を供給しております。新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は、世界の自動車産業に需要と供給の両面で影響を与え、得意先の生産休止等により、現地の生産施設が操業を一時停止する事態となりました。今後も第2波により需要の減退に伴う減産に加え、気候変動やグローバリゼーションの影響による新たな感染症の流行も懸念されることから、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。 |
当社グループの今後の感染症対応は次の4点です。 ・財務体質の更なる強化 ・事業継続計画(BCP)の定期的なドリルを行うことによる、現場の危機対応能力の向上 ・人との接触制限に対する、リモートワークの定着、サプライチェーンのオンライン調達 ・マスク等の感染症対策に必要な物資の備蓄 |
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自然災害等 |
当社グループは、国内外において工場を設け、プレス、溶接加工等の生産設備を活用し、現地で従業員を採用し、自動車部品の生産、販売を行っております。大地震、洪水、津波、竜巻などの自然災害、感染症などの疾病の流行、戦争及びテロ、大衆運動、現地従業員のストライキ等の労働問題、電力やエネルギーの使用制限などに影響される可能性があります。これらが発生した場合には、原材料や部品の調達、生産、販売に遅延や停止を生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 |
当社グループでは、リスクマネジメントオフィサーを委員長とするリスクマネジメント小委員会が主導して、リスクの把握・対策の実施・被害の最小化に向けた取り組みを継続的に行っています。具体的には、有事の際の代替取引先の検討などのサプライヤーマネージメントに取り組んでおります。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦など保護主義の拡大が世界貿易に影響し、経済が減速入りした局面で、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大しました。各国は感染拡大阻止のため入国制限や厳しい外出規制等を行い、世界的な景気後退の恐れが強まりました。日本経済は、堅調な雇用環境の一方で、製造業の減速や消費増税により景気が減速し、四半期GDPはマイナスとなりました。
自動車市場は、米中貿易摩擦、新興国の減速などにより、世界の販売台数が前年割れとなりました。さらに1月からの新型コロナウイルスの感染拡大により、中国を皮切りに工場が操業停止となり、欧米では、3月下旬に操業停止となりました。アジア各国の自動車生産も3月下旬から一部操業停止となりました。日本は、新機種の立上り遅れや、海外部品の調達遅れなどのため、生産台数は前年を下回りました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末より6,891百万円増加し、232,188百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加によるものです。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末より8,773百万円増加し、100,589百万円となりました。これは主に、短期借入金及び長期借入金の増加によるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末より1,881百万円減少し、131,598百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定の減少によるものです。
b.経営成績
当期業績は、得意先の生産台数の減少や新機種立上げの遅れにより、量産売上、型設備売上共に減少しました。売上高は228,253百万円(前年同期比10.7%減)となりました。利益につきましては、売上減少の影響及び労務費高騰などの固定費負担等により、営業利益は8,677百万円(前年同期比48.4%減)となりました。経常利益は8,744百万円(前年同期比49.8%減)となりました。親会社株主に属する当期純利益は、5,633百万円(前年同期比46.2%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
1)日本
売上高は、得意先の新機種の立上り遅れにより量産売上が減少し、新機種の減少による型設備売上の減少もあり、51,780百万円(前年同期比11.7%減)となりました。営業利益は、減収影響や労務費の増加等により146百万円(前年同期比91.9%減)となりました。
2)北米
売上高は、得意先の生産台数減少や売上構成差、新機種の立上げ減少や遅れにより、量産・型設備とも売上が減少し、80,608百万円(前年同期比10.6%減)となりました。営業利益は、売上減少の影響に加え、労務費増加、工場経費増等により、△1,533百万円(前年同期は1,529百万円の利益)となりました。
3)欧州
売上高は、得意先の大幅減産の一方、他社新機種の売上原単位・台数の増加やスロバキア工場稼働、金型売上等により、20,689百万円(前年同期比0.8%増)となりました。営業利益は、増量による労務費増加や新工場立上げコスト等により、2,590百万円(前年同期比14.3%減)となりました。
4)アジア
売上高は、アジア各国の自動車販売の不振を受けて、生産台数が減少したこと等により、34,729百万円(前年同期比17.4%減)となりました。営業利益は、減収の影響が大きく、製造費用や販管費の削減が追い付かなかったこと等により、2,608百万円(前年同期比46.7%減)となりました。
5)中国
売上高は、第3四半期までは日系OEMの販売好調を受け、売上高が拡大しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための政府の操業停止命令を受け、工場が操業停止に陥ったこと等により、44,283百万円(前年同期比10.5%減)となりました。営業利益は、減収影響が大きく、4,725百万円(前年同期比10.8%減)となりましたが、政府による操業停止期間の製造費用を特別損失として814百万円計上し、573百万円の減益に留まりました。
6)南米
売上高は、トヨタカローラの売上原単位の増加や型設備売上が寄与したこと等により、8,124百万円(前年同期比11.8%増)となりました。営業利益は、要員増や解雇費用などの労務費負担の増加等により226百万円(前年同期比25.2%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、13,699百万円増加し、31,841百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ、10,610百万円減少し、22,933百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の6,110百万円減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、615百万円減少し、25,004百万円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出の2,199百万円増加の一方、有形固定資産の売却による収入の1,074百万円増加、及び定期預金の1,452百万円の減少などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ、20,507百万円増加し、13,532百万円となりました。これは、長期借入金の12,337百万円純増加、及び短期借入金の6,672百万円増加などによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
48,428 |
△6.4 |
|
北米 |
79,912 |
△8.2 |
|
欧州 |
15,718 |
△4.9 |
|
アジア |
30,513 |
△9.7 |
|
中国 |
38,379 |
△9.9 |
|
南米 |
7,373 |
15.2 |
|
合計 |
220,326 |
△7.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
40,425 |
△17.4 |
8,375 |
△25.2 |
|
北米 |
60,210 |
△33.5 |
3,632 |
△84.5 |
|
欧州 |
17,192 |
△21.3 |
1,622 |
△66.7 |
|
アジア |
28,375 |
△31.7 |
2,673 |
△70.2 |
|
中国 |
44,183 |
△6.5 |
12,431 |
24.7 |
|
南米 |
6,375 |
△11.9 |
91 |
△95.0 |
|
合計 |
196,762 |
△23.6 |
28,826 |
△52.2 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
43,249 |
△11.1 |
|
北米 |
80,045 |
△10.7 |
|
欧州 |
20,438 |
1.0 |
|
アジア |
34,675 |
△17.2 |
|
中国 |
41,719 |
△13.1 |
|
南米 |
8,124 |
11.8 |
|
合計 |
228,253 |
△10.7 |
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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本田技研工業㈱ |
28,476 |
11.1 |
24,919 |
10.9 |
|
Honda of America Mfg.,Inc. |
25,879 |
10.1 |
21,555 |
9.4 |
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度双方について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来事業計画等の見込み数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報に基づいて検証等を行っております。
a.繰延税金資産
繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減産一時差異について繰延税金資産を計上しております。マネジメントは、将来の利益計画に基づく課税所得の見積りは合理的に行われたものと考えておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しております。マネジメントは、前提や検討は妥当なものと考えておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.退職給付に係る負債及び退職給付費用
退職給付に係る負債及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付に係る負債の割引率、年金資産の期待運用収益率等の仮定に基づいて算出しております。割引率は、確定給付制度債務と概ね同じ支払期日を有する優良社債の報告期間の期末日時点における市場利回りに基づいて決定し、年金資産の期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等に基づいて決定しております。マネジメントは割引率、年金資産の期待運用収益率に使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、割引率及び期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
コロナウイルス感染症の拡大に伴う操業停止などにより発生する労務費・工場維持費などの現金流失に備え、日本及び米国において短期及び長期の銀行借入を行い、現金及び預金残高は38,804百万円となり手元流動性を一時的に高めました。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末より6,891百万円増加し、232,188百万円となりました。また、負債合計は前連結会計年度末より8,773百万円増加し、100,589百万円となりました。
当期末は、円貨がアジア通貨、ブラジルレアル及び英国ポンドなどに対して、円高となったことから、海外子会社の資本金及び利益剰余金の為替評価が円高により目減りしたため、純資産合計は、前連結会計年度末より1,881百万円減少し、131,598百万円となりました。
b.経営成績の分析
当期の営業の状況は、得意先の次期グローバル機種の受注原単位の拡大、新型車や新興国向け車種を受注しました。他社販売では、新型SUVや電動車の受注があり、欧州完成車メーカーからの現地受注車種を拡大しました。
当社は、成長加速と売上利益の拡大のため「車体一台開発の加速と既存技術の更なる進化」を掲げております。得意先のモデルチェンジに際しては、ホットスタンプ技術や超ハイテン材を多用し、シミュレーション技術を駆使した軽量高剛性の車体提案を行い、受注獲得に結び付いています。また、他社販売では、完成車メーカーの外製化に対応するため、こうした技術に加え、全世界の生産拠点の供給能力を生かして、得意とする大型部品の獲得に結び付いています。また、車体部品の領域拡大にも積極的に取り組み新規部品を受注しています。欧州完成車メーカーに対しては、英国・スロバキアの生産拠点を活用するとともに、日系初のアルミの車体の大量生産に挑戦するなど積極姿勢が評価されています。
当期の生産動向は、全世界の自動車生産台数が、9,100万台と前年割れとなりました。世界的な自動車販売の鈍化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による生産・販売の停止が大きな打撃となりました。当社の受注台数も、日本では新機種立ち上げの遅れ、北米のセダン系乗用車の不振、アジア自動車市場の飽和感などが影響しました。中国は、好調を維持していましたが、2月以降、新型コロナウイルスの感染防止のため、都市封鎖となった武漢、外出制限のあった広州の生産停止が打撃となりました。
受注生産台数(千台)
当連結会計年度の本田技研工業株式会社グループから受注した生産台数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
増減率(%) |
|
合計 |
4,943 |
4,413 |
△530 |
△10.7 |
|
日本 |
912 |
807 |
△106 |
△11.6 |
|
北米 |
1,647 |
1,556 |
△91 |
△5.5 |
|
欧州 |
146 |
96 |
△50 |
△34.0 |
|
アジア |
584 |
452 |
△132 |
△22.7 |
|
中国 |
1,504 |
1,369 |
△134 |
△8.9 |
|
南米 |
149 |
132 |
△17 |
△11.3 |
(注)上記数値は千台未満を四捨五入して表示しています。増減率は一円単位まで計算しています。
当第4四半期は、新型コロナウイルス感染症の影響が、中国地域の業績に大きな影響を与えました。中国春節(1月25日~30日)明け以降、武漢・広州の生産拠点が操業停止となり、3月中旬以降は徐々に生産が再開し、正常に稼働していますが、第4四半期の売上高は半減し、営業利益は、前第4四半期比72.0%減となりました。なお、政府による操業停止期間の製造費用を特別損失として814百万円計上しました。
当連結会計年度の業績は、生産台数の減少や新機種立ち上りの遅れなどから量産売上が減少し、型設備売上の減少により、売上高全体が減少しました。営業利益は、利益率の高い型設備や試作など非量産売上が減少した影響や量産売上の構成の変化やスクラップ価格の下落が減益の大きな要因です。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響額は、1,190百万円で、武漢の都市封鎖の影響額814百万円と合わせ、2,004百万円になりました。
地域別業績では、日本は、売上減少の影響に加え、ロイヤルティなど海外投資収益も減少する中で、労務費の上昇や開発費の負担が大きくなっております。
北米は、得意先の生産台数減少や売上構成差、新機種の立上げ減少や遅れにより、量産・型設備とも売上が減少しました。労働市場では熟練労働者の減少による労務費増加や移民労働者の増加による研修・品質維持費用の高止まりなど、内部要因により利益が圧迫されております。
欧州では、英国での得意先の撤退を控え大幅減産となる一方、英国・スロバキアでの他社販売を拡大しました。新機種の売上原単位拡大や生産台数の増加に加え、スロバキア新工場稼働、金型売上等により増収となりました。営業利益は、増量による労務費増加や新工場立上げコスト等により、減益となりました。アジアは、自動車市場が停滞する中で、域内輸出拠点のタイに対し、インドネシアなど各国の生産が立ち上り、加えて、大型車種の不振も売上に影響を与えています。金型の定額償却に対し売上回収が先行しており、新機種の投入が少ないこともあり、営業利益の減少要因になっています。
南米は、他社販売を拡大し、カローラのモデルチェンジに際し売上原単位が増加し型設備売上が寄与しました。営業利益は、要員増や解雇費用などの労務費負担の増加等により減益となりました。
当連結会計年度の連結売上高及び営業利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
|
前第4 四半期 |
当第4 四半期 |
増減額 |
増減率(%) |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
連結売上高 |
67,381 |
51,958 |
△15,422 |
△22.9 |
255,637 |
228,253 |
△27,384 |
△10.7 |
|
日本 |
13,790 |
12,381 |
△1,408 |
△10.2 |
58,666 |
51,780 |
△6,886 |
△11.7 |
|
北米 |
23,280 |
19,539 |
△3,740 |
△16.1 |
90,202 |
80,608 |
△9,593 |
△10.6 |
|
欧州 |
6,499 |
5,452 |
△1,047 |
△16.1 |
20,523 |
20,689 |
166 |
0.8 |
|
アジア |
11,348 |
8,563 |
△2,785 |
△24.5 |
42,061 |
34,729 |
△7,331 |
△17.4 |
|
中国 |
13,625 |
6,157 |
△7,467 |
△54.8 |
49,481 |
44,283 |
△5,197 |
△10.5 |
|
南米 |
1,732 |
1,713 |
△19 |
△1.1 |
7,264 |
8,124 |
860 |
11.8 |
|
|
前第4 四半期 |
当第4 四半期 |
増減額 |
増減率(%) |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
連結営業利益 |
4,696 |
1,205 |
△3,490 |
△74.3 |
16,813 |
8,677 |
△8,136 |
△48.4 |
|
日本 |
169 |
△16 |
△186 |
- |
1,795 |
146 |
△1,649 |
△91.9 |
|
北米 |
231 |
△461 |
△693 |
- |
1,529 |
△1,533 |
△3,062 |
- |
|
欧州 |
1,385 |
349 |
△1,035 |
△74.8 |
3,022 |
2,590 |
△432 |
△14.3 |
|
アジア |
1,288 |
729 |
△558 |
△43.4 |
4,897 |
2,608 |
△2,288 |
△46.7 |
|
中国 |
1,538 |
431 |
△1,107 |
△72.0 |
5,298 |
4,725 |
△573 |
△10.8 |
|
南米 |
21 |
15 |
△6 |
△30.8 |
303 |
226 |
△76 |
△25.2 |
(注) 上記数値は百万円未満を切り捨て表示しています。増減率は一台単位まで計算しています。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、13,699百万円増加し、31,841百万円となりました。
現金及び現金同等物の期末残高増減には、中国・タイ・ブラジルの連結子会社の決算期変更に伴う影響額2,909百万円が含まれています。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ、10,610百万円減少し、22,933百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の6,110百万円減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ、615百万円減少し、25,004百万円にとどまりました。海外拠点の工場建設及び能力拡大投資に伴う有形固定資産の取得による支出が2,199百万円増加しました。他方、遊休資産の売却を進め、有形固定資産の売却による収入が1,074百万円増加したこと、コロナ危機に際して及び定期預金は一部解約したため1,452百万円の減少となったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ、20,507百万円増加し、13,532百万円となりました。コロナ危機に対し、手元流動性を確保するため、日本及び北米において金融機関からの借入を行い、長期借入金の12,337百万円純増、及び短期借入金の6,672百万円増加などによるものです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
a.資本政策
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、成長投資とリスクを許容できる株主資本の水準を維持すること、及び安定的・継続的な株主還元を実施することを基本方針としております。
事業活動によって得られた資金は、まず、成長投資及び研究開発費に向けられます。敏速な投資実行と危機対応を可能にする自己資本の水準を維持するため、内部留保に充てられます。こうした良好な財務基盤の上で、株主還元としての増配を安定的・継続的に行うこととしています。
b.資金調達の状況
当社グループは、運転資金及び設備投資資金を、内部資金又は借入により資金調達することとしています。
運転資金需要は、新規車種開発に伴い得意先に売却予定の金型・専用設備等の制作費用、量産部品製造のための原材料、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などによるものです。
また、設備投資需要は、量産部品生産用汎用設備の取得や生産能力増強、あるいは新規生産拠点設立にかかる出資及び設備投資などによるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、設備投資に関しては、将来の資金創出能力を見積もり、当該能力の範囲内で設備投資を行うことを基本としております。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としております。長期運転資金や設備投資資金は、金融機関からの長期借入を基本としています。
また、海外子会社については、自己資金及び子会社が取引通貨、通貨の安定性等を勘案して最も適切な通貨で金融機関からの資金調達を基本としております。調達通貨の金利・為替の状況、子会社の財務状態等を勘案して、当社からの資金貸出を行うこともあります。
2020年4月に株式会社格付投資情報センター(R&I)から、信用格付A-(Aマイナス)を取得しました。社債・CPなど調達の多様化を図ってまいります。
新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、工場の操業停止・減産が相次ぎましたが、手元流動性を確保するべく、日本及び米国での銀行借入を拡大し、当面の資金繰りに問題はありません。
主要な借入先の状況(百万円)
|
借入先 |
前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
増減額 |
|
㈱三菱UFJ銀行 |
14,548 |
21,724 |
7,176 |
|
㈱三井住友銀行 |
8,674 |
11,342 |
2,668 |
|
㈱みずほ銀行 |
6,547 |
10,308 |
3,761 |
|
三井住友信託銀行㈱ |
4,450 |
4,575 |
125 |
|
㈱埼玉りそな銀行 |
3,429 |
3,892 |
463 |
(1)当社が技術援助等を与えている契約
|
相手先 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
Jefferson Industries Corporation |
米国 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2013年2月1日 至2016年1月31日 以降1年毎に自動延長 |
|
Jefferson Elora Corporation |
カナダ |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自1997年3月31日 至2002年3月30日 以降5年毎に自動延長 |
|
Jefferson Southern Corporation |
米国 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2013年3月31日 至2016年3月30日 以降1年毎に自動延長 |
|
G-TEKT MEXICO CORP. S.A. DE C.V. |
メキシコ |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2017年1月1日 至2019年12月31日 以後1年毎に自動延長 |
|
G-ONE AUTO PARTS DE MEXICO S.A. DE C.V. |
メキシコ |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2013年4月1日 至2015年3月31日 以後1年毎に自動延長 |
|
Austin Tri-Hawk Automotive, Inc. |
米国 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2015年1月1日 至2017年12月31日 以降1年毎に自動延長 |
|
G-KT do Brasil Ltda. |
ブラジル |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2016年4月22日 至2021年4月21日 |
|
Auto Parts Alliance (China) Ltd. |
中国 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2016年6月30日 至2021年6月29日 以降1年毎に自動延長 |
|
Wuhan Auto Parts Alliance Co., Ltd. |
中国 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2017年4月1日 至2022年3月31日 以降1年毎に自動延長 |
|
相手先 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
G-TEKT Europe Manufacturing Ltd. |
イギリス |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2000年2月1日 至2004年1月31日 以降4年毎に自動延長 |
|
G-TEKT (Thailand) Co., Ltd. |
タイ |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自1997年4月1日 至2002年3月31日 以降1年毎に自動延長 |
|
G-TEKT Eastern Co., Ltd. |
タイ |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自1996年5月1日 至2001年4月30日 以降1年毎に自動延長 |
|
G-TEKT India Private Ltd. |
インド |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2014年6月1日 至2017年5月31日 以降1年毎に自動延長 |
|
PT.G-TEKT Indonesia Manufacturing |
インド ネシア |
自動車用部品、プレス金型及び治工具 |
自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約 |
自2013年9月1日 至2016年8月31日 以降1年毎に自動延長 |
(注) 上記については、ロイヤルティとして売上高の一定率を受け取っております。
(2)研究開発基本契約
|
相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
G-TEKT North America Corporation |
G-TEKT North America Corporationが当社に対して当社が北米で製造・販売する製品についての研究開発支援を行う旨の契約 |
自2013年10月1日 至2018年9月30日 以降5年毎に自動延長 |
(3)業務委託契約
|
相手先 |
契約内容 |
契約締結日 |
|
G-TEKT (Deutschland) GmbH. |
自動車開発・生産における最新技術の情報、テーマ、及びニーズの調査を委託する契約 |
2016年1月26日 |
当社グループは、環境負荷が少なく、安全性の高い自動車づくりを実現するため、軽量・高剛性な車体部品の開発・製造に関わる研究開発活動を推進しております。
この中で、環境規制、安全、車両電動化に関する先行技術や新製品の研究開発は、2018年4月から稼働している日本のジーテクト東京ラボにおいて当社の開発本部開発部がその役割を担っています。当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)先進技術開発
既存のお客様のニーズに応えながら、新しいお客様にも選んでいただけるように車体のマルチマテリアル化のための新素材の加工、接合技術の開発に取り組んでいます。従来の鉄を主体とした車体骨格を軽量化するために、CAE等による解析手法を用いた最適化で、軽量化と性能を両立させた車体構造の開発を進めております。さらに次世代に向けた軽量素材と従来技術を複合的に適用したマルチアテリアル・ボディの実現に向けての成形技術、接合技術の開発も進めております。具体的には、以下のテーマに取り組んでおります。
・マルチマテリアル化に向けた高強度軽量素材の成形技術開発(鉄/アルミ/複合材)
・低歪の高速連続接合
・異種材料接合技術
・接着接合
・テーラードプロパティ
(2)電動化対応
電動車は、特に欧州、中国においては戦略的に拡大させたいニーズが存在していますが、メーカーの旗艦車種に向けては高性能で最軽量の仕様に対するニーズ、普及促進の車種には価格と軽量化のバランスの良い仕様に対するニーズと2極が混在するようになると予想しており、車両としてこれらのニーズを満たすためにはバッテリーケースも同様に最軽量化と最廉価化の2つの方向性が考えられます。これらの2つの方向性に対して最軽量の仕様を成立させるためには、先進の軽量化素材を高効率かつ高精度に組み合わせる設計能力と接合技術が必要となり、普及仕様についてはコスト低減と生産性の向上が望まれます。
また、車両電動化において、バッテリーケースは車体構造の一部として機能するための複合的な機能をもつ非常に重要な部品となっていくことが求められるため、仕様構築には高度な設計検討能力が必要となります。この課題に対しては軽量化提案活動により獲得した車体一台解析技術を駆使することで、EV車の2極化のニーズに向けて、バッテリーケースの開発を進めてまいります。主な開発内容は以下のとおりです。
・多くの顧客向けの仕様を容易に構成できるフレキシブル性
・ボリュームゾーンに対応できる高い生産性を持った工法の選択
・鉄主体とした価格と軽量化の両立
また、生産技術開発の領域では、技術本部プレス技術部、溶接技術部、精密部及び営業本部商品開発部が、各々で蓄積した技術基盤や専門の知見をもって、お客様と連携しながら、新規車種の生産準備である機種開発に従事するとともに、既存技術の進化に取り組み、コスト低減・開発期間の短縮・品質の信頼性向上を図り、企業競争力の強化に努めております。
(1)冷間ウルトラハイテンの加工技術開発
車体軽量化に伴う高強度部材の適用拡大が進む中、金型構造・型材・表面処理進化による耐荷重・摩耗性の向上、成型ひずみ予測技術進化による精度熟成工数の削減、新工法による成型課題の克服に取り組んでおります。
(2)ホットスタンプの加工技術開発
新冷却構造の開発、レーザーレスの実現に向けた取り組みを進めており、高効率の部品提供を目指しております。
(3)溶接ラインにおける生産性・品質の信頼性向上の取り組み
ビジョンシステムを活用した部品投入・払い出しの要員削減、レーザースキャン・非破壊検査機器を組み合わせた部品精度・溶着強度保証のインライン化に取り組んでおり、生産性・品質の信頼性向上に努めています。
また、グループ内で確立された生産ラインシステムを武器に社外への拡販活動を展開してまいります。
(4)トランスミッション部品の開発
トランスミッションメーカーのHEV・EVモーター一体形変速システム開発に追従した新規部品開発に取り組んでおり、電動化拡大による新たな価値創造を目指しております。