第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。

<経営理念>

社是

・人間性尊重

・技術革新

・堅実経営

 

行動指針

・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう

・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう

・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう

 

<経営ビジョン>

 先進技術と良質廉価技術の融合で低炭素社会に貢献し、世界中のお客様に満足される企業

 

(2)経営指標

 当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ることを目指しています。

 健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では資本利益率(ROE)は8%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。

 

(3)会社の対処すべき課題

 自動車業界の大変革や気候変動問題等、外部環境はこの数年で大きく変化しています。当社は今後に向けた新たな道筋を示すべく、2021年5月に新経営戦略を掲げました。EV領域の取り組みの加速と気候変動問題に積極的に取り組み、さらなる成長を図るため、以下の活動を加速させてまいります。

 

① EV関連事業の確立

 世界的なEV化の潮流を当社の事業拡大の機会と捉え、EVに用いられるバッテリーハウジングとモーターコアを主軸としたEV関連事業の確立に取り組んでまいります。

 バッテリーハウジングについては、当社がこれまで培ってきた車体一台解析技術を駆使して、車体とバッテリーハウジングの一括開発による、無駄のない最適プラットフォームの提案に向けた取り組みを進めています。

 モーターコアについては、試作金型を用いた量産技術の開発に着手するとともに、モーターコア技術開発及び得意先に対する品質・量産性の実証のためのラインを社内に構築する計画を推進しています。

 

② 人財の多様性向上

 変化の激しい事業環境に対応するために、多様な知識と経験を持つ人材の育成・確保に取り組んでまいります。

 従業員の一人一人の多様性向上の観点で社内人材の育成・登用に取り組むとともに、専門人材の確保が急務である新規事業領域等では、有能な社外人材の活用も強化しています。また、推進中である女性活躍促進の領域では、女性リーダーの創出に加え、国内工場の現場での女性採用を本格化するために、誰もが働きやすい工場づくりにも取り組んでいます。

 これらの活動を支えるため、人事制度の見直し・拡充によって、より魅力的な職場を作り、従業員が安心して働き続けることができる体制を構築してまいります。

③ 既存事業の変革

 社長直轄のDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトの下、主に品質保証領域と原価領域において、デジタル技術を活用した業務のあり方を含めた組織の変革に取り組んでまいります。

 品質保証領域については、2021年に東京にジーテクト品質保証センター(GQC)を設立し、グローバルでグループの品質情報を可視化し、モニタリングすることで、予知予防機能を強化した体制を構築します。また、新たな事業領域にふさわしい品質保証体制の確立に、早急に取り組んでまいります。

 原価領域については、原価企画の精度を高め、開発段階から収益性の高い製品設計を可能とするために、これまで以上に詳細かつリアルタイムに製造原価を把握することに取り組んでいます。

 

④ 気候変動問題への取り組み

 2050年度にCO排出量実質ゼロを目指す当社としては、製造と製品のライフサイクルに関連するCOの排出量を削減していくことが重要だと考え、戦略を立案し取り組んでおります。

 まず、当社の生産時(Scope 1+2)における温室効果ガス(GHG)排出量は、省エネ施策の実行と再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力への切り替えで削減を行ってまいります。再エネ由来電力への切り替えは、日本において、先行して2022年4月に東日本エリアの工場と自社所有事業所で完了しました。海外現地法人におきましては、地域特性を鑑みて順次切り替えを行っていきます。

 次に、製品のライフサイクル(Scope 1~3)におけるGHG排出量は、購入した鋼板が大部分を占めているため、製品を環境負荷の少ない方法で製造された鋼板への切り替えの検討や、リサイクル性に優れたアルミ製品の開発と生産技術を確立することで、GHG排出量削減に繋げていきます。

 

 

気候変動に関する情報開示

 当社は、環境マネジメントをマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、従来より環境経営に取り組んでまいりましたが、今後はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿って、投資家をはじめとする幅広いステークホルダーへ、より積極的に情報開示を進めてまいります。気候変動に伴う事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ盛り込む活動を推進してまいります。なお、今後もシナリオ分析や各リスクと機会の財務への影響等を検証するなど開示内容を充実してまいります。

 

 ガバナンス

 気候変動に係る重要事項に対して、代表取締役社長をトップとしたGX(グリーントランスフォーメーション)プロジェクトを立ち上げ推進してまいりました。また、GXプロジェクト内で、代表取締役社長は、リスクマネジメントオフィサーを兼任する執行役員(生産本部長)をグローバル環境統括責任者に任命しました。TCFDを含む気候変動に関する取り組みは、プロジェクトの事務局で管理・推進し、執行役員より重要事項や予実報告等の経営会議への上程を行っております。

 また、GXプロジェクトの事務局である経営企画部門で環境対応を重点取り組み項目として置きました。

 

 戦略

 当社の事業活動における環境戦略は、①省エネの取り組み、②再エネの活用(自家発電を含む)です。今後はグローバルで拠点ごとに戦略の優先順位を付け、積極的に取り組んでまいります。

 自社製品を通じた環境対応としては、①車体軽量化技術による自動車の燃費・電費性能向上への貢献、②EV関連部品事業への取り組みによるEV普及への貢献が挙げられます。

 なお、関係の深い自動車業界の状況、社会の状況と拠点のある地域の特性などを鑑みてリスクと機会を次の表のとおり抽出しております。

 

 

 

リスク

リスク種類

概要

対応必要性

財務影響度

移行リスク

政策・法規制

GHG排出量に関する規制の強化対応への追加投資

技術

EVシフトに伴う技術対応の遅れ

物理リスク

急性

洪水やハリケーン等の自然災害によるサプライチェーンの途絶

 

機会

種類

概要

リソースの効率性

DXに伴うエネルギー使用の効率化

製品及びサービス

EV関連製品技術の開発、販売による収益拡大

 

リスク管理

 当社は、気候変動によって当社の事業が受ける影響を把握し評価するため、GXプロジェクト、関連部署及び中央環境推進委員会が連携して気候変動リスク・機会に関するディスカッションを行いました。プロジェクト事務局は、ディスカッションを通して、列挙されたリスクと機会から財務影響度と発生可能性や時間軸を評価し、重要となるリスクと機会の特定と財務影響の算出を試みています。

 事業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、各社の環境施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施してまいります。

 

指標と目標

 気候変動のリスクと機会を管理する指標として、グローバルでのScope 1~3のCOの排出量削減目標を定めております。ジーテクトグローバルで排出されるScope 1+2のCO排出におきましては、2013年度比で2030年度には50%削減、2040年度には100%削減を掲げております。また、2050年度にはサプライチェーンでの協力を得ながら、Scope 1~3で排出量実質ゼロを目指しております。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあることを認識しております。

 なお、以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

リスクの分類

リスクの項目

リスクの説明

リスクの対策

事業環境

市場環境の変化

 当社グループは、日本、北米、中国及びその他のアジア地域、南米、欧州と、世界各国において事業を展開し、現地の完成車メーカー及び関連部品メーカーに対し製品を供給しております。これらの市場における景気後退による消費の低迷や税制変更による消費者の購買意欲の低下は、自動車の販売低下につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、事業展開をしている世界各国の市場の動向を注視し、設備投資の判断や適正な要員配置・経費管理等の面で迅速かつ的確な対応が取れるように努めております。

気候変動・環境規制への対応

 温室効果ガス排出等による温暖化の深刻な影響に対し、地球環境の保全を喫緊の課題として取り組むことが求められています。

 各国が強化する環境規制や、ステークホルダーが求める脱炭素への事業を通じた貢献の要請に適切に対応できない場合、社会的評価の低下等による機会損失により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、2050年度にCO排出量実質ゼロを目指し、生産時(Scope 1+2)における温室効果ガス排出量を省エネ施策の実行と再生可能エネルギー由来の電力への切り替えによって削減する取り組みを行っております。

製品のライフサイクル(Scope 1~3)における温室効果ガス排出量は、購入した鋼板が大部分を占めていることから、製品をより環境負荷の少ない方法で製造された鋼板への切り替えの検討に加えて、リサイクル性に優れたアルミ製品の開発と生産技術の確立に取り組んでまいります。

自動車のEV化

 自動車業界では、脱炭素の実現のため、内燃機関の自動車からEVへの転換が急速に進もうとしています。

 従来の自動車と駆動系等の構造を異にするEVの普及は、新規参入による事業拡大の機会となる一方で、従来の部品の需要や、工場のあり方そのものを大きく変える可能性があります。

 当社グループは、EV化対応に積極的に取り組んでおりますが、研究開発・工場改革の遅延や頓挫等により、当社が適切に対応できない場合、受注を失い、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社では、「EV関連事業の確立」を新経営戦略の一つとして掲げております。研究開発費・設備投資として今後10年間で700億円を投入するとともに、EV関連事業として売上高1,000億円以上、営業利益率8%以上を目指して研究開発活動を推進しており、将来的には、中国、欧州、北米を先行地域とした完成車メーカーへの販売提案と受注獲得を目指してまいります。

 また、将来のEV部品生産のため、工場設備の自動化やライン構成の見直しを行う等、スマート工場の実現に向けた活動に取り組んでまいります。

事業運営

市場ニーズに基づく技術開発

 市場ニーズの把握は、技術開発リソースの配分決定にとって重要な指標となるものですが、市場ニーズの変化を予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合や適時に提供できない場合、想定よりも需要が伸びなかった場合には、将来の成長と収益性を低下させ、投資負担が当社グループの財政状態又は業績に影響を与える可能性があります。

 

 2022年4月に、北米(デトロイト)・欧州(ミュンヘン)・中国(上海)に所在する開発・リサーチ拠点を営業・技術・開発機能が一体となった営業・エンジニアリング拠点として再編しました。当社グループの研究開発・知財管理の中核拠点であるジーテクト東京ラボは、これらの拠点との連携を強化することで、市場ニーズの把握に努めるとともに、欧州ESP(Engineering Service Provider)と協業して新たな技術の研究開発に取り組んでおります。

新素材の普及

 当社グループの取扱分野において新素材の普及が進んだ場合には、当社グループの製品と競合することとなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、従来の鋼板素材のみならず、カーボンファイバーや欧州の高級車を中心に採用が進んでいるアルミ等の新素材の研究開発にも取り組んでおります。

 なお、アルミのプレス加工については、量産技術を確立し、欧州拠点では既に生産を行っております。

知的財産権

 研究開発中の技術について他者が当社グループに先行して知的財産権を取得するなど、技術の権利化に劣後した場合には、製品化することができないことによる機会損失又は追加の費用の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、知的財産の管理に特化した専門の部署を設置し、知財戦略に基づいた知的財産権の調査・取得・管理を行っております。

人材の確保

 当社グループは、世界各国の拠点で従業員を採用して事業活動を行っておりますが、景気変動や少子化などの様々な要因による労働市場の逼迫や人事制度の構築・運用の失敗等により、優秀な人材の確保が困難となる恐れがあります。

 人材の採用難あるいは流出は、従業員の育成や能力向上の機会を損なうものであり、ひいては人材不足による事業活動全般の停滞を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、従業員の定着を図るため、人事制度の見直し・拡充による福利厚生・従業員待遇の改善や体力・集中力を要する現場労働の自動化(機械化)による従業員の負荷低減等の施策を積極的に推進、展開しています。従業員が安心して働き続けたいと思う環境を整備してまいります。

リスクマネジメント体制

 当社グループは、海外において積極的な事業展開を図っております。これらの国、地域においては、それぞれに様々なリスクが存在し、一様ではありません。これらのリスクに対して当社グループが適切に対処できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、当社グループ全体でのリスク管理の重要性に鑑み、当社グループが進出している国ごとにリスクマップを作成しており、これに基づいて各子会社が最優先対応リスクを選定し、対策を推進しております。対策状況については、日本本社が定期的なモニタリングを実施し、グループ全体でのリスクと対策の共有を行っております。

事業運営

特定の販売先への依存

 当社グループは、本田技研工業株式会社が総議決権の30%以上を所有しており、同社は当社のその他の関係会社に該当している他、連結売上高の概ね6割弱を本田技研工業株式会社及びそのグループ会社が占めております。同社グループの国内外における生産及び販売の動向、事業戦略や購買方針等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、本田技研工業株式会社との長期にわたる緊密な取引関係を通じ、生産及び販売の見通し、事業戦略や購買方針に関する将来の方向性を共有し、自社グループの投資・事業戦略の判断に活用しております。

 また、既存の取引先以外の取引先との取引を拡大するため、価格競争力のある開発提案による営業戦略を展開しており、これによって、特定の販売先への依存リスクの低減を図っております。

品質

 当社グループの製品について、予期できない品質問題が発生した場合には、コストの発生や当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、関連法規を遵守し、国際的な品質管理基準に従って設計・製造を行い、品質ガバナンスを徹底することで品質向上に努めるとともに、カメラ映像や画像解析技術を活用した品質保証を進め、生産ライン内部での精度・品質検査の実現により、質の信頼性向上に取り組んでおります。

 また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)プロジェクトを通じて、グローバルでグループの品質情報を可視化し、モニタリングすることで、予知予防による管理を目指します。さらには、新たな事業領域であるEV関連部品事業にふさわしい品質保証体制の確立にも取り組んでおります。

サプライチェーン

 当社グループは、主要な部分品・購入品の調達について、当社グループ内外の調達先から供給を受けております。このため、感染症の拡大あるいは洪水等の天災等により、調達先の操業が停止することで、調達ができない状況が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、主要サプライヤーの操業停止リスクについて、ハザードマップを基に調査を実施して各社の災害復旧体制を把握するとともに、災害発生・感染症の拡大に伴うサプライヤーの操業停止に備えた代替先確保に取り組んでいます。

 当社が金型の製作を委託する金型メーカーの中には、代替先の確保が困難な企業もありますが、金型製作のリードタイム短縮、工程分散をはかり、万一の際の物流確保などによるサプライチェーンの途絶リスクの低減・早期復旧を図っております。

為替

 当社グループは、国際的な事業展開の結果、本邦通貨に対する外貨の価値変動が当社グループの業績に影響します。当社グループの連結売上高の8割は海外子会社による現地生産であり、為替変動は本邦通貨への換算差額として、財政状態及び業績に影響があります。

 また、海外の販売先に対し金型・治工具等の生産設備を販売するなど、一部の製品及び部品等を輸出しております。急激又は大幅な為替変動により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、製品及び部品の輸出に関して、為替予約等の手段で為替変動による影響の軽減を図っており、為替リスクに対する対策を行っております。

事業運営

コンプライアンス

 当社グループは国内外の広範な法令に従って事業活動を展開しており、万が一、役職員による法令等の違反があった場合には、各種の訴訟や規制当局の訴追により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、コンプライアンスオフィサーを委員長とするコンプライアンス小委員会が主導して、自己検証、コンプライアンスに関する研修、社内啓発、企業倫理改善提案内容のレビューなどを行っており、例えば不正競争防止や腐敗防止などに関するグループ共通の基本方針を策定し、従業員への周知展開を行うなど、法令及び社内規程を遵守する体制を構築しております。

サイバーセキュリティ

 サイバー攻撃は日々巧妙化しており、エンドポイントの増加・多様化により防御範囲が拡大するとともに、攻撃者も変化していることから、侵入されることを前提とした新たな対策が必要となっております。万が一、当社が標的となった場合に、重要な業務の中断や機密データ等の流出等、当社の業績あるいは社会的イメージに影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、情報セキュリティ部門を中心として、サイバーセキュリティに関するルールの見直しや現場設備の棚卸を行っております。

 さらには、日本本社において不正操作監視システム(EDR)を導入し、同システムによる監視を通じて、侵入されたとしても、不正操作・動作を即座に検知・遮断する体制の構築に取り組んでいます。今後は、当社海外子会社への導入も進めてまいります。

感染症・自然災害、地政学リスク等

感染症の発生

 感染症の発生・世界的な拡大への対応として、各国政府等の行動制限要請がなされること等により、世界経済や当社あるいは得意先・取引先の事業活動が停滞することで、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、感染症の拡大に伴う操業停止中も支出が継続する労務費等の固定費に対して、日本本社等が金融機関からの資金調達を適宜行うことで、グループ全体の手元流動性を確保する体制を整えております。

 中長期的には、生産領域の自動化、工場・事務所のレイアウト見直しによる感染リスクの低減を図るとともに、リモートワーク導入を機に間接部門の働き方を再構築することで労働生産性の向上に取り組み、収益性の改善に努めてまいります。

自然災害

 当社グループは、国内外において工場を設け、プレス、溶接加工等の生産設備を活用し、現地で従業員を採用し、自動車部品の生産、販売を行っております。これらの生産、販売活動は大地震、洪水、津波、竜巻などの自然災害に影響される可能性があります。これらが発生した場合には、原材料や部品の調達、生産、販売に遅延や停止を生じる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、リスクマネジメントオフィサーを委員長とするリスクマネジメント小委員会が主導して、リスクの把握・対策の実施・被害の最小化に向けた取り組みを継続的に行っています。具体的には、拠点ごとの自然災害の被害想定と、想定に基づく初動対応体制の整備、復旧計画の検討を通じ有事への備えをしております。

地政学リスク

 当社グループが進出する国、地域あるいはその周辺において、政情不安、国家間の政治的な緊張、戦争、紛争あるいはテロなどの地政学リスクが発生した場合、当社の事業活動が制限、阻害され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、各地域の調達等の面での自律化を進め、また、収益面でのバランスを図ってまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種や財政支援策等により、グローバルに景気回復が進みました。一方で、ウクライナ侵攻の経済への影響や、インフレに対処する米国金融緩和の縮小など、先行き不透明な状況が続いています。

 自動車業界は、世界的な需要の回復により生産販売活動も持ち直していましたが、半導体等の部品供給不足によりサプライチェーン・リスクが顕在化し、主要得意先において一時生産停止や生産調整が発生しました。

 このような環境の中、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末より44,584百万円増加し、282,540百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末より25,712百万円増加し、118,615百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末より18,872百万円増加し、163,924百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は236,503百万円(前期比12.9%増)、営業利益は10,931百万円(前期比35.8%増)、経常利益は12,532百万円(前期比44.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,878百万円(前期比35.9%増)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、増減理由については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b. 経営成績の分析」のセグメントの業績をご参照ください。

1)日本

 売上高は、45,880百万円(前期比7.7%減)となり、営業損益は、936百万円の営業損失(前期は500百万円の損失)となりました。

2)北米

 売上高は、65,477百万円(前期比6.5%減)となり、営業損益は、2,250百万円の営業損失(前期は75百万円の損失)となりました。

3)欧州

 売上高は、21,778百万円(前期比23.2%増)となり、営業利益は、4,277百万円(前期比54.7%増)となりました。

4)アジア

 売上高は、31,827百万円(前期比34.9%増)となり、営業利益は、2,175百万円(前期は499百万円の損失)となりました。

5)中国

 売上高は、70,439百万円(前期比25.4%増)となり、営業利益は、5,926百万円(前期比6.5%減)となりました。

6)南米

 売上高は、10,892百万円(前期比111.9%増)となり、営業利益は、2,058百万円(前期は244百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、35,968百万円となり、前連結会計年度に比べ9,997百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは14,064百万円の資金増加、投資活動によるキャッシュ・フローは18,860百万円の資金減少、財務活動によるキャッシュ・フローは、12,546百万円の資金増加となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

44,059

1.5

北米

64,293

△3.6

欧州

11,659

3.3

アジア

27,881

17.8

中国

63,732

31.9

南米

8,483

81.1

合計

220,109

11.1

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

41,135

△12.3

14,268

18.8

北米

68,072

△29.5

23,139

15.1

欧州

22,178

△4.9

5,109

13.5

アジア

34,485

△9.5

8,778

43.9

中国

68,913

59.1

14,618

4.2

南米

12,022

22.2

2,934

62.7

合計

246,806

△4.3

68,848

17.6

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

38,873

△ 1.2

北米

65,034

△ 6.5

欧州

21,569

23.4

アジア

31,807

37.1

中国

68,326

24.9

南米

10,891

113.0

合計

236,503

12.9

(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Honda Development & Manufacturing

of America, LLC

22,770

10.9

31,700

13.4

本田技研工業㈱

26,559

12.7

21,375

9.0

(注)1.前連結会計年度及び当連結会計年度双方について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。

2.Honda Development & Manufacturing of America, LLCは、2021年4月1日付でHonda of America Mfg., Inc.及び他米国法人8社を統合し、設立された会社であります。前連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、Honda of America Mfg., Inc.のものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

 

a.繰延税金資産

 繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。マネジメントは、将来の利益計画に基づく課税所得の見積りは合理的に行われたものと考えておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

b.固定資産の減損

 固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しております。将来キャッシュ・フローは、計画策定時における合理的な情報等を基礎として策定された事業計画に基づいております。この事業計画は、各種経済予測、顧客の生産計画、グループ会社間での技術使用料などに関する経営者の判断に基づく過程により影響を受け、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足の影響によるサプライチェーンリスクが潜在する市場環境等、事業計画の前提とした条件や仮定には不確実性が含まれています。

 マネジメントは、前提や検討は妥当なものと考えておりますが、市場環境等の変化により、事業計画の変更が生じた場合、将来キャッシュ・フローが減少することによって、減損処理が必要となる可能性があります。

 

c.退職給付に係る負債及び退職給付費用

 退職給付に係る負債及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付に係る負債の割引率、年金資産の期待運用収益率等の仮定に基づいて算出しております。割引率は、確定給付制度債務と概ね同じ支払期日を有する優良社債の報告期間の期末日時点における市場利回りに基づいて決定し、年金資産の期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等に基づいて決定しております。マネジメントは割引率、年金資産の期待運用収益率に使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、割引率及び期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産合計)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ44,584百万円増加し、282,540百万円となりました。流動資産は、生産販売活動の持ち直しにより、主に現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加し、前連結会計年度と比べて45,885百万円増加の136,450百万円となりました。固定資産は、主に収益認識会計基準の適用により工具、器具及び備品が減少し、前連結会計年度と比べて1,300百万円減少の146,090百万円となりました。

(負債合計)

 当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末より25,712百万円増加し、118,615百万円となりました。流動負債は、前受金が減少した一方、買掛金、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金が増加し、前連結会計年度末と比べて18,903百万円増加の81,165百万円となりました。固定負債は、退職給付に係る負債、その他が減少した一方、長期借入金、繰延税金負債が増加し、前連結会計年度末と比べて6,808百万円増加の37,450百万円となりました。

(純資産合計)

 主に、為替換算調整勘定、利益剰余金、その他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末と比べて18,872百万円増加し、163,924百万円となりました。

 

b.経営成績の分析

 当連結会計年度の業績は、本田技研工業株式会社グループの受注生産台数は減少した一方、他社販売の新規受注が寄与したことに加え、材料単価の変更及び為替影響等により、売上高は236,503百万円(前期比12.9%増)となりました。利益につきましては、急激な生産変動に対応しつつ、原価低減に努めるとともに、経費抑制を継続し、営業利益は10,931百万円(前期比35.8%増)となりました。経常利益は、金利収支の改善や為替差益等により、12,532百万円(前期比44.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税負担の平常化により、8,878百万円(前期比35.9%増)となりました。

 

受注生産台数(千台)

 当連結会計年度の本田技研工業株式会社グループから受注した生産台数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

合計

4,240

3,810

△430

△10.1

日本

687

632

△55

△8.0

北米

1,268

1,120

△148

△11.7

欧州

70

30

△40

△56.8

アジア

266

323

57

21.6

中国

1,877

1,622

△256

△13.6

南米

72

83

11

15.0

(注)上記数値は千台未満を四捨五入して表示しています。増減率は一台単位まで計算しています。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

1)日本

 売上高は、半導体や部品不足の影響で得意先が減産となり、量産売上の減少に加え、非量産売上が減少し、45,880百万円(前期比7.7%減)となりました。営業損益は、減収の影響が大きく、936百万円の営業損失(前期は500百万円の損失)となりました。

2)北米

 売上高は、半導体等の部品供給不足により得意先が減産となり、量産売上の減少に加え、型設備売上の減少等により、65,477百万円(前期比6.5%減)となりました。営業損益は、減収に加え、米国労働市場の逼迫や物価上昇を受けた製造コストの増加等により、2,250百万円の営業損失(前期は75百万円の損失)となりました。

3)欧州

 売上高は、トヨタ自動車株式会社グループやBMWグループ向けの生産が堅調さを維持し、量産売上が増加したことに加え、型設備売上の増加及び為替影響等により、21,778百万円(前期比23.2%増)となりました。営業利益は、増収効果に加え、スロバキア拠点の本格稼働により、4,277百万円(前期比54.7%増)となりました。

4)アジア

 売上高は、ロックダウンが緩和され得意先の生産が回復し、量産売上が増加したことに加え、型設備売上が増加し、31,827百万円(前期比34.9%増)となりました。営業利益は、量産売上及び型設備売上の増加による増収効果等により、2,175百万円(前期は499百万円の損失)となりました。

5)中国

 売上高は、半導体等の部品供給不足の影響による得意先の減産により、生産台数が減少しましたが、他社販売の増加、為替影響及び材料単価の変更等により、70,439百万円(前期比25.4%増)となりました。営業利益は、前期の打切補償がなくなったことに加え、労務費が増加し、5,926百万円(前期比6.5%減)となりました。

6)南米

 売上高は、トヨタ自動車株式会社グループ向け新規車種の生産が好調で量産売上が増加し、10,892百万円(前期比111.9%増)となりました。営業利益は、量産売上の増加による増収効果等により、2,058百万円(前期は244百万円の損失)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ、9,997百万円増加し、35,968百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、14,064百万円の資金増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益12,570百万円、減価償却費15,173百万円です。主な減少要因は、売上債権の増加10,750百万円、棚卸資産の増加3,605百万円、前受金の減少3,110百万円です。

 前連結会計年度が25,120百万円の増加であったことに比べて、11,055百万円の減少となりました。主な要因は、減価償却費の減少、売上債権の増加、前受金の減少です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、18,860百万円の資金減少となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出17,419百万円、無形固定資産の取得による支出172百万円です。

 前連結会計年度が15,527百万円の資金減少であったことに比べて、3,333百万円の支出の増加となりました。主な要因は、定期預金の増加です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、12,546百万円の資金増加となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加5,426百万円、長期借入金の純増額9,627百万円です。主な減少要因は、配当金の支払額2,299百万円です。

 前連結会計年度が17,343百万円の減少であったことに比べて、29,890百万円の増加となりました。主な要因は、短期借入金の増加、長期借入れによる収入です。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

a.資本政策

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、成長投資とリスクを許容できる株主資本の水準を維持すること、及び安定的・継続的な株主還元を実施することを基本方針としております。

 事業活動によって得られた資金は、まず、成長投資及び研究開発費に向けられます。敏速な投資実行と危機対応を可能にする自己資本の水準を維持するため、内部留保に充てられます。

 

b.資金調達の状況

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金を、内部資金又は借入により資金調達することとしています。

運転資金需要は、新規車種開発に伴い得意先に売却予定の金型・専用設備等の制作費用、量産部品製造のための原材料、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などによるものです。

 また、設備投資需要は、量産部品生産用汎用設備の取得や生産能力増強、あるいは新規生産拠点設立にかかる出資及び設備投資などによるものです。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、設備投資に関しては、将来の資金創出能力を見積もり、当該能力の範囲内で設備投資を行うことを基本としております。

 短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としております。長期運転資金や設備投資資金は、金融機関からの長期借入を基本としています。2020年4月に株式会社格付投資情報センター(R&I)から信用格付「A-」を取得し、維持しております。今後、長短期の資金調達の多様化を図ってまいります。

 海外子会社については、自己資金及び子会社が取引通貨、通貨の安定性等を勘案して最も適切な通貨で金融機関からの資金調達を基本としております。調達通貨の金利・為替の状況、子会社の財務状態等を勘案して、当社からの資金貸出を行うこともあります。

 

主要な借入先の状況(百万円)

借入先

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

㈱三菱UFJ銀行

13,063

26,493

13,430

㈱三井住友銀行

10,535

12,673

2,138

㈱みずほ銀行

7,545

9,518

1,973

三井住友信託銀行㈱

4,014

4,260

246

日本生命保険相互会社

2,932

3,335

403

㈱埼玉りそな銀行

2,887

2,462

△425

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)当社が技術援助等を与えている契約

相手先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Jefferson Industries Corporation

米国

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2013年2月1日

至2016年1月31日

以降1年毎に自動延長

Jefferson Elora

Corporation

カナダ

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自1997年3月31日

至2002年3月30日

以降5年毎に自動延長

Jefferson Southern Corporation

米国

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2013年3月31日

至2016年3月30日

以降1年毎に自動延長

G-TEKT MEXICO CORP. S.A. DE C.V.

メキシコ

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2017年1月1日

至2019年12月31日

以後1年毎に自動延長

G-ONE AUTO PARTS DE MEXICO S.A. DE C.V.

メキシコ

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2013年4月1日

至2015年3月31日

以後1年毎に自動延長

Austin Tri-Hawk Automotive, Inc.

米国

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2015年1月1日

至2017年12月31日

以降1年毎に自動延長

G-KT do Brasil Ltda.

ブラジル

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2020年1月13日

至2025年1月12日

Auto Parts Alliance (China) Ltd.

中国

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2016年6月30日

至2021年6月29日

以降1年毎に自動延長

Wuhan Auto Parts Alliance Co., Ltd.

中国

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2017年4月1日

至2022年3月31日

以降1年毎に自動延長

 

 

相手先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

G-TEKT Europe Manufacturing Ltd.

イギリス

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2000年2月1日

至2004年1月31日

以降4年毎に自動延長

G-TEKT (Thailand) Co., Ltd.

タイ

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自1997年4月1日

至2002年3月31日

以降1年毎に自動延長

G-TEKT Eastern Co., Ltd.

タイ

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自1996年5月1日

至2001年4月30日

以降1年毎に自動延長

G-TEKT India Private Ltd.

インド

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2014年6月1日

至2017年5月31日

以降1年毎に自動延長

PT.G-TEKT Indonesia Manufacturing

インド

ネシア

自動車用部品、プレス金型及び治工具

自動車用部品、プレス金型及び治工具に関する技術及び製造ノウハウ供与につき、その製造権、使用権、販売権を非独占的に付与する契約

自2013年9月1日

至2016年8月31日

以降1年毎に自動延長

(注) 上記については、ロイヤルティとして売上高の一定率を受け取っております。

 

(2)研究開発基本契約

相手先

契約内容

契約期間

G-TEKT North America Corporation

G-TEKT North America Corporationが当社に対して当社が北米で製造・販売する製品についての研究開発支援を行う旨の契約

2022年3月31日解除

Jefferson Industries Corporation

Jefferson Industries Corporationが当社に対して当社が北米で製造・販売する製品についての研究開発支援を行う旨の契約

自2022年4月1日

至2027年3月31日

以降5年毎に自動延長

 

(3)業務委託契約

相手先

契約内容

契約期間

G-TEKT (Deutschland) GmbH.

自動車開発・生産における最新技術の情報、テーマ、及びニーズの調査を委託する契約

2015年6月29日から無期限

ただし、3ヶ月間の事前通知に解除可

G-TEKT (Shanghai) Technical & Trading Co., Ltd.

自動車開発・生産における最新技術の情報、テーマ、及びニーズの調査を委託する契約

2022年4月1日から無期限

ただし、3ヶ月間の事前通知にて解除可

G-TEKT North America Corporation

自動車開発・生産における最新技術の情報、テーマ、及びニーズの調査を委託する契約

2022年4月1日から無期限

ただし、3ヶ月間の事前通知にて解除可

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、環境負荷低減と脱炭素社会の実現、安全性の高い自動車づくりを実現するため、軽量・高強度な車体部品の開発・製造に関わる研究開発活動を推進しております。

 このなかで、環境規制、安全、車両電動化に関する先行技術や新製品の研究開発は、ジーテクト東京ラボにおいて当社の開発本部がその役割を担っています。当連結会計年度の開発本部の研究開発費の総額は1,173百万円であり、主な研究開発のテーマは、次のとおりであります。

 

<先進技術開発>

 環境対応要求とEV化の加速を受けて、従来の車体骨格部品向けの新素材の加工、接合技術の早期量産化に取り組んでおります。また、EV化によりさらに厳しくなる強度要件、軽量化要求に対応していくための要素技術開発にも着手しております。具体的には、以下のテーマに取り組んでおります。

 

・低歪の高速連続接合

・異種材料接合技術

・接着接合

・テーラードプロパティ

・重量増となるEVに対応する高強度軽量素材の成形技術開発(鉄/アルミ/複合材)

・EV化対応に必要となる工法の選定と実証ライン構築等

・LCA観点による将来技術の調査とCO排出量評価基準の策定

 

<電動(EV)化対応>

 EVの車体は、バッテリーハウジングや車体構造が複合的な機能をもつ非常に重要な部品群となっていくことが求められるため、仕様構築には高度な設計検討能力が必要となります。この課題に対しては軽量化提案活動により獲得した車体一台解析技術を活用することで、バッテリーハウジングを統合した次世代の軽量高剛性ボディの開発を進めてまいります。主な開発内容は以下のとおりです。

・多くの顧客向けの仕様を容易に構成できるフレキシブル性を持つ構造の構築

・ボリュームゾーンに対応できる高い生産性をもった環境負荷の低い工法の選択と仕様構築

・生産数増が見込まれるアルミ製バッテリーハウジングの提案

・ボディとパワートレインをつなぐシャーシ部品領域の性能評価能力の獲得

・EV車両としての衝突安全性と環境負荷低減に配慮した車一台分の最適仕様の構築

 

 電動パワートレイン関連部品は世界的なEV需要増加に伴いニーズが急拡大すると想定しており、当社グループでは新たな事業領域となる、駆動用モーターや駆動系減速装置関連部品など、ジーテクトの基盤技術を活かして貢献することができる領域についての量産技術の開発に着手しております。

 

<生産技術開発>

 生産技術開発の領域では、技術・営業領域で蓄積した技術基盤や専門の知見をもって、お客様と連携しながら、新規車種の生産準備である機種開発に従事するとともに、既存技術の進化に取り組み、コスト低減・開発期間の短縮・品質の信頼性向上を図り、企業競争力の強化に努めております。

 

(1)冷間ウルトラハイテンの加工技術開発

 車体軽量化に伴う高強度部材の適用拡大が進む中、金型構造・型材・表面処理進化による耐荷重・摩耗性の向上、成型ひずみ予測技術進化による精度熟成工数の削減、新工法による成型課題の克服に取り組んでおります。

(2)ホットスタンプの加工技術開発

 新冷却構造の開発、レーザーレスの実現に向けた取り組みを進め、部品1個あたりの電力使用量削減を目指しております。

(3)溶接ラインにおける生産性・品質の信頼性向上の取り組み

 ビジョンシステムを活用した部品投入・払い出しの要員の負担軽減、レーザースキャン・非破壊検査機器を組み合わせた部品精度・溶着強度保証のインライン化に取り組んでおり、生産性・品質の信頼性向上に努めております。

(4)トランスミッション部品の開発

 トランスミッションメーカーのHEV・EVモーター一体型変速システム開発に追従した新規部品開発に取り組んでおります。

 

 

<知的財産権の活用と管理>

 技術開発や生産活動の過程で生み出される知的財産権を積極的に保護管理・運用を行い、経営計画に基づく知財戦略を進めることにより、当社の企業価値向上に注力しております。

 グループ全体を取りまとめる知財管理体制を構築し、技術開発部門及び各生産拠点と、知財部門との円滑な連携のため、知財推進担当を置き、隠れた技術やアイデアを抽出し特許取得につなげております。

 また、将来の社会・顧客ニーズに応えるイノベーションの創出に向け、目指すべき開発の方向性を示すとともに開発の推進に資する知財情報を提供できるよう、体制の強化を進めております。