第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の当社グループを取り巻く世界経済は、中国や米国での金利政策の転換、原油価格の下落などを背景に不安定な動きとなりました。米国では雇用環境の改善や個人消費の堅調な推移により緩やかな景気回復を維持する一方、中国では成長のテンポが緩やかに、その他アジア地域では総じて景気回復が鈍い展開となりました。日本は、設備投資は堅調に推移したものの個人消費の伸び悩みにより景気は弱い回復となりました。

自動車業界においては、北米では新車販売の伸びが続き、中国は減速しつつも新車販売は引き続き拡大しましたが、その他アジア地域では総じて低調な展開となりました。日本では消費税や軽自動車の増税の影響から年間の販売実績が前年を下回る結果となりました。

このような状況において、当社グループは、平成26年4月から開始した第12次中期事業計画において「圧倒的競争力を持つシャーシシステムメーカーになる」ことを全社方針として揚げ、世界の自動車メーカーとの取引拡大を図りつつ、シャーシシステム体質への変革と環境対応技術強化を図り、真のグローバル化を進めております。

研究開発では、日本、北米、アジア各地域の研究開発拠点における連携を高めグローバルでの研究開発力を向上させるとともに、高度なシミュレーション技術によって強度、耐久性、開発コストの試作前評価を行うなど効率的開発に取り組み、コスト競争力の向上と開発のスピードアップを図っております。

生産面では、グローバルでの販売拡大に対応すべく、新興国市場での生産体制を整備するとともに、インド、ブラジル、中国の未展開地域等、現地企業とのアライアンスによる最適供給体制の確立に引き続き取り組みました。国内では、構造改革で構築した高効率な生産体制のもと、生産量の変化や小型車化に伴う付加価値減少に対応できるよう一層の生産体質の強化に取り組んでおります。

その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、北米での堅調な販売、中国、タイでの好調な販売、為替の円安影響等を反映し、売上高は196,343百万円(前期比11.8%増)、営業利益6,821百万円(前期比22.6%増)、経常利益6,182百万円(前期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,704百万円(前期比52.6%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

(日本)

当社の主要得意先の生産台数減少に伴って受注量が減少し、売上高は22,016百万円(前期比13.9%減)、営業利益381百万円(前期比12.0%減)となりました

(北米)

北米市場は堅調な自動車販売が継続し、為替影響も相まって、売上高124,953百万円(前期比13.4%増)、営業利益4,675百万円(前期比0.9%増)となりました

(アジア)

中国での新規得意先向けの量産立上及びタイでの主要得意先の生産台数の回復及び拡販等に伴い、売上高は49,372百万円(前期比24.0%増)、営業利益は2,069百万円(前期比172.7%増)となりました

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、6,831百万円(前期比24.0%減)となり、前連結会計年度末と比べ2,151百万円減少しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの前連結会計年度に対する増減要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、12,140百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,953百万円、減価償却費10,081百万円、売上債権の増加3,224百万円、仕入債務の増加3,213百万円、法人税等の支払額3,032百万円によるものであります。

なお、前連結会計年度との比較では、営業活動によるキャッシュ・フローは、8,518百万円の収入から12,140百万円の収入となりました。これは主に、仕入債務の増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、17,810百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出19,318百万円によるものであります。

なお、前連結会計年度との比較では、投資活動によるキャッシュ・フローは、14,712百万円の支出から17,810百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは3,792百万円の収入となりました。これは、主に長期借入れによる収入10,010百万円、長期借入金の返済による支出11,703百万円によるものであります。

なお、前連結会計年度との比較では、財務活動によるキャッシュ・フローは、7,052百万円の収入から3,792百万円の収入となりました。これは主に、社債の発行による収入の減少によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
 至 平成28年3月31日)

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

30,130

94.8

北米

134,797

112.3

アジア

52,823

123.9

合計

217,751

112.0

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

21,970

89.4

6,154

99.3

北米

125,182

110.6

15,575

100.0

アジア

51,459

129.5

10,282

138.4

合計

198,613

111.9

32,011

109.6

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
 至 平成28年3月31日)

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

22,016

86.1

北米

124,953

113.4

アジア

49,372

124.0

合計

196,343

111.8

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 平成26年4月1日
 至 平成27年3月31日)

当連結会計年度
(自 平成27年4月1日
 至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ホンダオブアメリカマニュファクチュアリング・インコーポレーテッド

31,639

18.0

39,328

20.0

ホンダマニュファクチュアリングオブアラバマ・エル・エル・シー

27,909

15.9

26,087

13.3

ホンダカナダ・インコーポレーテッド

21,667

12.3

25,424

12.9

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

当社グループを取り巻く経営環境は、自動車需要の大幅な拡大が見込めない国内市場と、中長期的な拡大が見込める世界市場の中で、グローバルなメガサプライヤーも含め、激しい競争が予測されます。したがって、当社グループは第12次中期事業計画で掲げた「圧倒的競争力を持つシャーシシステムメーカーになる」との方針のもと、「シャーシシステム体質への変革」「グロバルオペレーションの進化」「環境対応技術強化」を積極的に進めています。

真のグローバル化に向け、拠点ごとに受注する体制からグローバル受注できる体制を目指し、各地域における営業、開発、技術など機能組織の適正化、自立化を図るとともに日本の各機能本部との連携を強化することにより競争力の向上に取り組んでおります。

また、「シャーシシステム体質への変革」を具現化するため、当社グループの主要製品を単体機能から複合機能としてとらえ、システム開発を行うことで圧倒的な競争力を発揮できるよう取り組んでおります。

 

(日本)

日本においては、販売の大幅な拡大は見込めませんが、環境・小型化・将来ニーズに対応した製品研究開発を進めることで、主要得意先からの受注を中心とし拡販活動を進めてまいります。また、販売が拡大傾向にある軽自動車に対しては、適応する製品開発、積極的な原価低減活動を進め、顧客ニーズを満足する提案を迅速に行い、積極的な受注活動を進めます。

また、グローバルマザーとしてシャーシシステム開発とその生産技術のノウハウをグループ各社へ水平展開し、シャーシシステムメーカーとしての地域体質強化を図ります。

(北米)

北米においては、緩やかな販売拡大が期待される市場の中で、今後メガサプライヤーを含む競合他社との激しい受注競争が続くことが予想されますが、主要得意先以外の拡販を積極的に進め、収益拡大を図るとともに、メキシコの新拠点を含むリソースの最大活用と合理化で、利益体質をさらに強化することに積極的に取り組みます。

(アジア)

中国では、経済環境変化によるリスクは考えられますが、主要得意先からの受注は今後も堅調に推移すると予測しております。また、偉福(広州)汽車技術開発有限公司では、現地車製品の開発、解析、現地車への積極的な提案により、主要得意先及びその他の得意先の販売拡大を進め、経済環境変化にフレキシブルに対応できる事業体制を構築します。

さらに高騰する人件費の対応として、自動化、機械化を進め、現地のコスト競争力強化に積極的に取り組み、利益体質強化を図ります。

タイでは、政情不安は継続するものの自動車生産は微増が予測されております。また、高い品質管理と生産能力により主要得意先以外への拡販を積極的に進めております。また、東南アジア地域での各主要得意先から、各地域での現地生産化が強力に要求されており、フィリピン、タイ、インドネシア3拠点のリソースを最大限に活用した生産アロケーションで競争力を保ちつつ、顧客ニーズに対応していきます。

また、フィリピン拠点は、ペダルアッセンブリーにおいて、現地開発(ペダル開発)と現地生産技術(アルミ鋳造加工、樹脂加工、ペダル生産)の協業体制で軽量化、機能化を積極的に進め、世界に発信できる製品づくりを展開します。

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、本文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月21日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)市場環境

当社グループは、グローバルな規模で自動車部品の製造、販売事業を展開しております。これらの市場における経済の低迷や、物価等の動向による消費者の購買意欲の低下は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

(2)取引先の集中

当社グループは主要取引先である本田技研工業株式会社及び同社関係会社に77.6%の販売を依存しており、その受注が減少することにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績は悪影響を受ける可能性があります。その対策として顧客基盤を多様化するよう努めておりますが、かかる拡販努力が計画通り進捗しない可能性があります。

(3)為替の変動

当社グループの事業は海外に88.8%(北米63.6%、アジア25.1%)依存しており、為替レートの変動は、当社グループの経営成績及び財政状態、また、競争力にも影響します。

当社の業績は、円が他の通貨、とりわけ米ドルに対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。

(4)特定の原材料及び部品の外部事業者への依存

当社グループは、多数の外部の取引先から原材料及び部品を購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。効率的に、かつ安いコストで供給を受け続けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因により影響を受け、コストを増加させる可能性があります。

(5)有利子負債依存

当社グループでは、これまで事業拡大の必要資金の多くを金融機関からの借入等により調達しており、有利子負債は高い水準(平成28年3月期57,644百万円 総資産比率41.8%)にあります。

当社グループは今後、有利子負債比率の削減による財務体質強化に努める方針であります。

また、かかる有利子負債依存度の高さにより、今後の財政状態及び経営成績は金利上昇時には悪影響を受ける可能性があるほか、既存借入金借換時等の資金調達についても金融システム懸念発生時には悪影響を受ける可能性があります。

(6)設備災害や停電等による影響

当社グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備の定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産設備で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響により、生産能力が著しく低下する可能性があります。

(7)自然災害・疾病・戦争・テロ・ストライキ等の影響

当社グループは、グローバルな規模で事業を展開しておりますが、予期せぬ自然災害、疾病、戦争、テロ、ストライキ等の事象が発生した場合、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流サービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、それが長引くようであれば、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術援助等を与えている契約

当社が契約している主な技術援助契約は次のとおりであります。

相手先

国名

契約品目

契約の内容

契約期間

成宇工業股分有限公司

中華民国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成6年12月21日

至平成11年12月20日

以降一年の自動更新

ゲスタンプ・タレント・リミテッド

英国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成23年7月18日

至平成28年7月17日

或いは対象製品の継続期間

プログレッシブ・ツールズアンド・コンポーネンツ・リミテッド

インド

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成8年11月29日

以降出資中継続契約

ワイピーエス・リミテッド

トルコ

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成22年9月30日

至平成27年9月29日

或いは対象製品の継続期間

ベントラー・コンポネンテス・オートモティヴォス・リミターダ

ブラジル

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成23年5月20日

至平成28年5月19日

或いは対象製品の継続期間

エスエムシー・カンパニー・リミテッド

大韓民国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成18年4月4日

至平成23年4月3日

以降一年の自動更新

コズマ・ド・ブラジル

ブラジル

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成27年1月30日

至平成32年12月31日

技術援助対象商品の生産が終了するまで契約は継続

ヴィージー・インダストリアル・エンタープライゼス・プライベート・リミテッド

インド

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成26年11月25日

至平成31年11月24日

或いは対象製品の継続期間

上海匯集汽車製造有限公司(SHAC)

中国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成26年11月25日

至平成31年11月24日

或いは対象製品の継続期間

ゲスタンプ・ブラジル・インダストリア・デ・オート・ペサス・ソシエダヂ・アノニマ

ブラジル

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成27年8月7日

至平成32年8月6日

或いは対象製品の継続期間

エレクト・エンジニアリング・プレスワークス・センドリアン・ベルハッド

マレーシア

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自平成27年9月14日

至平成32年9月13日

或いは対象製品の継続期間

 (注) ロイヤリティとして販売高の一定率を受け取っております。

 

(2)技術援助等を受けている契約

契約会社名

相手先

国名

契約品目

契約の内容

契約期間

㈱エフテック

(当社)

ティー・アイ・コーポレートサービス・リミテッド(バリフォーム・インコーポレーテッド)

英国

自動車部品

パイプ成形に

関する技術導入

自平成6年10月20日

至平成35年10月20日

エフアンドピー・マニュファクチャリング・インコーポレーテッド

(連結子会社)

エフアンドピーアメリカ・マニュファクチャリング・インコーポレーテッド

(連結子会社)

(注) ロイヤリティは各社の販売高の一定率を支払う契約となっております。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発部門は、顧客である自動車メーカーが求めるサスペンションやサブフレーム、ペダルの先進設計や先進技術を先駆けて提案し、厳しい競争の中でも確実に受注が実現できるよう日々強力に推進しております。

当連結会計年度においては、当社独自のCAE技術を進化させ最適化設計で、本田技研工業株式会社「シビック」のサブフレームやサスペンションで大幅な軽量化や低コスト化、生産性の向上を実現しました。また、欧米系の自動車メーカーからの受注や、新たな開発案件も著しく増加しており、ゼネラルモーターズへの本格参入からさらに進化した受注活動を展開、グローバルな開発拠点の連携の元、大幅軽量化、確実な機能の見極め、スピード感を持った仕様提案を展開、大型受注に大きく貢献いたしました。

当社の12次中期計画では、「圧倒的競争力を持つシャーシシステムメーカーになる」ことを推し進めております。従来の単体部品から周辺部品も含めた複合で開発し、さらなる軽量化とコスト低減を目指しており、北米の研究開発拠点にロードシミュレーターを導入し、サブフレームやサスペンション単体から、車のシャーシ全体で開発、解析、評価し、提案出来るよう、自動車メーカーやオハイオ州立大学と連携して研究を推進しております。

当連結会計年度における研究開発費は、一般管理費に計上した3,293百万円であり、地域別セグメントでは日本1,206百万円、北米1,540百万円、アジア546百万円となりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

(1)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、受取手形及び売掛金、機械装置及び運搬具、建設仮勘定等の増加により、前連結会計年度末に比べ、5,283百万円増加し137,980百万円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金の増加により、前連結会計年度末に比べ4,571百万円増加し、90,911百万円となりました。

純資産は、利益剰余金、非支配株主持分の増加等により711百万円増加し、47,068百万円となりました。

(2)経営成績

「1 業績等の概要(1)業績」をご参照ください。

(3)キャッシュ・フロー

「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。