第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1) 会社の経営方針

当社は、自立した個人を重んじ、和を尊び、協力を旨とする“人間尊重”、失敗を恐れず困難な道を選択する “チャレンジ精神”、“環境・地域社会、株主・従業員との共生”を基本理念としており、優れた技術力に基づく優良な品質の製品を適正な価格で提供することに努めております。こうした企業活動を推進することで、「わたしたちは世界的視野に立ち、高い志と誠をもって価値を創造し、国家社会に貢献すると共に豊かな未来を築く事に全力を尽くす。」との社是を実践し、世界中の得意先からの顧客満足度No.1の評価を得るとともに、一般社会からのその存在を期待される企業となるよう努めております。

 

 (2) 中長期的な会社の経営戦略

第15次中期経営計画では全社方針を「稼ぐ力を向上させ持続的に成長し社会に貢献する」と定めました。エフテックファミリー全体で「Back to Basics」「Challenge for New」を土台に事業基盤をしっかり固め、将来の持続的成長に向けた活動に取り組んでいきます。具体的な取り組みは以下のとおりとなります。

 

<Back to Basics> 

① 稼ぐ力の強化

モノづくりの本質追求から稼ぐ力を強化し、収益の向上へと繋げていきます。

② 財務体質の健全化

第14次中期経営計画投資による成果の創出やモニタリング機能、分析力の強化により財務体質を健全化していきます。

 

<Challenge for New> 

① 戦略的な成長ビジネス機会の追求

北米新子会社設立により、北米地域におけるEV自動車メーカーに対する営業活動及びこれらに関連する業務を強化していきます。

② サステナビリティ経営の構築

ESG経営の取り組みを通じて企業価値を向上させていきます。方針を策定し、サステナビリティの具現化に向けて組織的に推進していきます。

 


 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

① 短期的な課題

過去3年間コロナ禍における事業活動は多くの困難を伴うものでした。コロナ禍の長いトンネルを抜けた今、事業基盤の再構築と盤石化が最優先事項となります。当社グループはモノづくりの企業集団であり、モノづくりで成果を生み出さなければなりません。「高品質な製品を安全に、高効率、最小エネルギーで生産し、企業努力をしっかり反映させたコストレベルでお客様にオンタイムで供給する」との当社グループが定義する「モノづくりの本質追求」を徹底してまいります。
 そこから稼ぐ力の強化と財務体質の健全化に注力してまいります。特に、

・新中期経営計画のブレークダウン
・北米事業地域セグメントの黒字化
・前中期経営計画における投資効果の創出
・モニタリング体制の強化による収支、投資の一元管理
・従業員エンゲージメント向上施策の実行

に取り組んでまいります。

 

② 中長期的な課題

[自動車産業の変化の予測]

日本においては少子高齢化、人口減少に伴い国内自動車市場が縮小し、新車販売台数の減少が予想されています。一方、海外では、成長が鈍化しつつあるものの引き続き世界No.1市場である中国、成熟市場ではあるものの高い需要が見込める北米、そして今後更なる市場の成長が期待されるインドがあります。

また、カーボンフリーなサステナブル社会の実現という世界的な潮流の中で、自動車の動力源がガソリンから電気へ、駆動源がエンジンからモーターへと変化しつつあり、この流れは今後ますます加速することが予想されます。

[当社グループの取り組み]

こうした環境下、当社グループは、「モノづくりの本質追求」をベースに、「稼ぐ力を向上させ持続的に成長し社会に貢献する」を方針に掲げ、第15次中期経営計画を本年4月よりスタートしており、成長機会の獲得とサステナビリティ経営の構築を主眼に取り組んでまいります。

・EVシフトが進む北米・中国での対応力強化
・インド事業への経営リソース投入強化
・新開発手法の確立と実践
・ESG経営の実践と企業価値向上

[当社の長期ビジョン]

当社グループは、世界中のお客様が求める価値を提供し、「足廻り機能領域の専門メーカーとして世界No.1を目指す」ことを目標に掲げています。足廻り機能領域とは、当社が得意とする「サブフレーム」、「サスペンション」、「ペダル」の3つのコア領域のことを指し、まさに当社グループのアイデンティティーを表しています。そして「世界No.1」とは、売上規模ではなく「モノづくりの本質」を誰にも負けないと自信を持って言えるまで全員が追求することであり、最終的にはお客様の評価によって決まると考えています。

当社グループは、「モノづくりの本質」を追求することで、お客様の評価「世界No.1」を目指すべく、以下の5項目を徹底的に追求してまいります。

 

1.

お客様から最高評価獲得

品質、コスト、納期、マネージメントのすべての領域においてお客様から最高の評価を獲得します。

2.

新価値提供

お客様が求める以上の価値を他社にはない形で提供します。

3.

新技術開発

新たな発想、新たなアプローチから生まれるアイデアを駆使し、独自の技術を世界に展開します。

4.

ネットワーク構築

他専門メーカー様と知見を共有する協業ネットワークを拡充し、互いの専門性を融合させることで、新たな価値提案を行います。

5.

収益力強化

「モノづくりの本質追求」で既存事業の盤石化を図り、新たな成長機会への投資を的確に実行できるよう収益力を高めてまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンスとリスク管理

当社グループでは、リスク管理を内部統制のための重要な手段として認識しており、経営判断の重要なファクターとしております。環境・気候変動問題、有利子負債依存度等、3[事業等のリスク]に掲げたリスクを最小化するべく、当社コーポレート・ガバナンスや内部統制の一環として全社の諸問題の洗い出し、対応のフォロー、改善、未然防止をグループ全体に展開する体制を構築しております。

このような取り組みは全社CSR委員会のもと、各主管部門や環境会議、リスク管理委員会等の専門委員会と連携を図り課題把握に努め最適な目標設定のもとグループ全体でのCSRの活動推進に繋げております。また、毎年年度末に当社グループによる自己検証結果から今後対処すべき課題を抽出し、取締役会に報告することで、その監督を受けております。

なお、取締役会は気候変動に大きな影響を及ぼすカーボンニュートラルを含む経営上の重要事項、その他法定の事項について審議し決定を行うとともに、取締役及び執行役員の業務執行状況の監督も行っています。

当社は、持続可能な社会の実現と持続的な企業の成長の両立に向けて、2023年4月1日より「サステナビリティ推進部」を設置しております。サステナビリティ及びカーボンニュートラルに係る施策の立案・推進、活動に関する情報開示の拡充を実施していくことで、サステナビリティ経営をさらに強化してまいります。

 

(2) 人的資本多様性にかかる戦略

① 人材の多様性の確保を含む育成方針

当社は企業理念の1つに「人間尊重」を掲げており、性別、国籍、人種等の垣根を越えて従業員同士が互いの価値観を認め、多様な視点で新たな価値を創造することが企業の成長に不可欠であると考え、積極的に多様性の確保に努めてまいります。そのうえで、「チャレンジ精神」「利益確保」を合わせた3つの企業理念を具現化できるような人材を育成するために、社員個々のやる気と個性を最大限に伸ばすように取り組んでまいります。

 

・公募制度による駐在員選定

当社は、人材育成を目的として、社員が自らキャリアを希望することができるように、特定の職務に対して社内で公募する制度を2021年度に導入しました。これまでに海外駐在員を募集し、累計で8名合格しました。今後は、海外駐在員以外の職務についても公募を実施していく予定です。

 

② 社内環境整備の方針

当社は各社員が持つ多様な視点や経験を企業の成長に活かすために働き方改革を推進し、安全・安心かつ生活との調和をとることができる職場となるよう常に改善に取り組んでいます。

 

・女性社員の活躍推進

当社では、男女を問わずすべての人が個性と能力を発揮できる職場を目指しています。作業の性格上、男性が中心だった製造・エンジニアリング・開発・購買部門では、作業環境が大きく改善され、女性の配置が積極的に進められる等、全社的に様々な分野で女性が働くことができるように取り組んでいます。今後は女性活躍推進法に基づき、更なる女性の進出拡大を目指し、採用・登用及び指導者の育成の取り組みを進めていきます。仕事とプライベートのバランスが図られ、男女ともに充実した社会生活を送ることができるよう環境整備に取り組みます。

 

・高年齢層(シニア世代)の活躍推進

60歳の定年を迎える従業員を対象に、定年後も継続して働くことができる環境を提供するとともに、定年後の働き方を考えるためのライフプランセミナー等の情報提供も行っています。また、20197月からは、定年再雇用者の新たな働き方として、モチベーション向上と技術継承を目的とした「匠制度」を始めました。これは、高度な技術を持つ熟練者を「匠」(たくみ)として認定し、後継者へ技術を伝承する指導者として重要な役割を担っていただく制度であり、役割・責任に応じた報酬制度としています。

 

・年次有給休暇の取得促進

当社では、時効で消滅する年次有給休暇を全社員「0」とする目標を掲げており、一般従業員は目標を23年連続達成しています。また、取得促進を図るために半日有給休暇は制度の範囲内で年20回取得可能としており、育児・介護等個人の状況に合わせ柔軟に対応できるようにしています。

 

・育児・介護両立支援

育児や介護について、上司と部下が相互に理解し合える協力的な職場環境づくりを目指し、以下の取り組みを推進しています。

(ⅰ) 「仕事と育児・介護の両立支援ガイドブック」を社内ポータルサイトで発信

(ⅱ) 管理職を対象とした育児・介護休業法改正説明会の開催

(ⅲ) 男性向け育休取得促進のための周知文書の掲示

 

(3) 人的資本多様性にかかる指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 人的資本多様性にかかる戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む育成方針及び社内環境整備の方針に係る指標については、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。従いまして、次の指標に関する目標及び実績につきましても、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

指標・目標

・女性管理職

当社は、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「くるみんマーク」を取得する等、女性社員が活躍できる環境の整備に積極的に取り組んでおり、2019年4月には初めて女性が部長職に就きました。また、女性社員の意見を事業運営に活かすべく、社長による女性社員とのタウンミーティングを実施しています。経営陣を支える管理職層における多様性を確保するために、女性管理職数を2025年度には2020年度比で2倍以上、2030年度には全管理職のうち女性管理職が占める割合を10%以上とすることを目指しています。(2023年3月末時点の女性管理職比率:1.1%)

 

・外国人管理職

当社では、グループ売上高の約9割を海外売上高が占めており、事業におけるグローバル化の推進と合わせて人材のグローバル化にも積極的に取り組んでいます。外国人等グローバル人材を採用するために、海外における採用活動に加えて、国内においては2023年度新卒採用活動より採用計画にグローバル人材の目標数を明示しています。2023年3月末時点におけるグループ全体の外国人管理職は100名以上おりますが、当社における外国人管理職は1名です。2025年度には外国人管理職数及び外国人社員数を現状より増加させる予定です。

 

・中途採用管理職

当社では即戦力となる人材を中途採用しており、管理職における中途採用社員の比率は2022年度末時点で27.1%となっており、2025年度においても現状を維持する予定です。

 

(4) 気候変動に係るリスク及び戦略

当社は、自動車の足廻り機能部品の製造会社として、設計・開発及び塑性加工、溶接、塗装、組立まで、安全性に配慮した一貫加工体制を構築し、技術を培ってきました。 昨今、自動車産業では、ハイブリッド車や電気自動車等、バッテリーを搭載した自動車の生産・販売が主流になりつつあります。今後も自動車の足廻り機能部品のメーカーとして各自動車メーカーから選ばれ続けるために、当社は自動車の低燃費性能に貢献する軽量な製品を、安全に、かつ地球環境に配慮しながら量産していかなければなりません。 一方で自動車は、多くの企業による多くの生産プロセスを経て製造され、一般消費者に販売されます。そして一定期間使用された後、廃棄されます。自動車のライフサイクルにおいては大量の環境資源が使用されています。 当社は、当社の事業活動がこうしたライフサイクルの中で行われていることを自覚したうえで、環境負荷低減へ積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

当社グループでは、気候変動リスクへの対応を経営上の重要課題として位置付けており、2050年度カーボンニュートラル実現を目指しております。まずは自社領域(Scope1/2)におけるCO2排出量を2030年度までに2017年度基準で39%以上削減する中間目標を設定し、その達成に向けた取り組みを進めております。具体的には、省エネルギー活動の徹底、高効率生産設備への更新、生産ラインの再編及び再生可能エネルギーの導入を加速させてまいります。

 

(5) 温室効果ガス(GHG)排出量

・温室効果ガス排出量(Scope1/2/3、範囲:連結)

対象

単位

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

Scope1排出量

t-CO2

30,045

30,404

27,925

24,191

25,038

25,064

Scope2排出量

90,666

89,748

80,271

63,150

61,865

61,198

Scope1/2排出量

(①+②)

120,711

120,152

108,196

87,341

86,903

86,262

Scope3排出量

Category9

9,471

8,748

8,179

5,799

5,491

4,455

排出量合計

(①+②+③)

130,182

128,900

116,375

93,140

92,349

90,717

 

 

・気候変動リスク・機会の管理に用いる排出量目標及び実績(Scope1/2、範囲:連結)

Scope12

単位

2017年度

2022年度

2030年度

2050年度

温室効果ガス
排出量

t-CO2

120,711

86,262

73,633

0

削減量
 (2017年比)

△34,449

△47,078

△120,711

排出削減目標

0

△15

△39以上

△100

排出削減割合
 (実績)

△28.5

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループが連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

リスクの項目

リスクの説明

リスクの対策

市場環境

当社グループは、グローバルな規模で自動車部品の製造、販売事業を展開しております。当社グループが事業展開しているこれら国々の市場において経済の低迷や物価等の動向により、消費者の自動車に対する購買意欲が低下し、主要得意先の生産が減少した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、事業展開をしている世界各国の市場の動向を注視し、生産ライン設置、設備投資の判断や適正な要員配置・経費管理等の面で迅速かつ的確な対応が取れるように努めております。

得意先の集中

当社グループの主要得意先である本田技研工業株式会社及び同社関係会社への売上高シェアは60.4%となっており、同社グループの売上が減少する場合は、当社グループの事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、受注計画が計画どおり進捗せず想定外の失注が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本田技研工業株式会社及び同社関係会社との取引の維持拡大に努めるとともに、同社以外の得意先との取引拡大に向けた営業活動を積極的に推進しております。

為替相場の変動

当社グループの海外における売上高シェアは91%(北米65%、アジア26%)であるため、外国為替相場の変動の影響を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、外貨建取引における為替相場の変動リスクに対して先物為替等を用いてリスクを縮小することに努めております。

特定の原材料及び部品の外部事業者への依存

当社グループは、多数の外部の取引先から原材料及び部品を購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。これらの取引先に操業の停止やサプライチェーンの寸断等、予期せぬ事態が生じた場合は、当社グループの生産に影響を与え、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、事業、業績への影響を最小化するため、サプライチェーンの見直し及び強化を継続的に行っています。また、部品の供給状況についてモニタリングを行い、当社グループの生産等の事業活動に悪影響を与える可能性がある事象が発生した場合には、取引先と連携し速やかな対応を実施しています。

有利子負債依存及び金利上昇

当社グループは、これまで事業拡大に必要な資金の多くを金融機関からの借入等により調達しており、有利子負債は比較的高い水準(2023年3月期73,925百万円  総資産比率42.0%)にあります。当社グループが事業活動を行う国、地域の金融市場に変化が生じ、金利が大きく上昇した場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、社内各部門及びグループ子会社の事業計画、投資計画及び資金計画を横断的にモニタリングするとともに、当社の借入及び当社グループ子会社の債務保証(当社によるグループ子会社の借入の親会社保証)にあたっては、当社取締役会の承認を得ることを前提条件としています。

 

 

 

リスクの項目

リスクの説明

リスクの対策

設備停止による影響

当社グループは、自然災害、停電又はその他の予期せぬ中断事象が生じ生産能力回復に長期間を要する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害等の予期せぬ中断事象が生じた場合の製造ラインの中断リスクを最小化できるよう、設備の定期的な検査と予防保全点検を行っております。

製品の品質

当社グループは、予期せぬ事情で品質問題が発生した場合で、問題の重大性により法的責任やそれに起因する補償負担が生じたときは、当社グループの業績や企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グローバルで厳正な品質管理基準に基づいた品質管理体制を敷いて製品を製造しております。万一品質問題が発生した場合に備え、当社グループが事業を行う国、地域の基準や得意先との協議により決定されたプロセスに基づき、すみやかに対処できる体制を整備しています。

法規制等の影響

当社グループは、グローバルに事業展開をしていることから、労働法、独占禁止法、環境諸法令等、さまざまな法規制等の適用を受けておりますが、これらの法規制等に違反した場合は、法的責任を負う可能性があります。

当社グループは、事業活動を行う国、地域の法律を調査し、それぞれの法制度を遵守して、事業を適正に行っております。

知的財産権

当社グループは、独自開発技術等に関する知的財産権の取得を進める一方、第三者の所有する知的財産権の侵害防止に取り組んでいますが、見解や解釈の相違等により第三者が知的財産権に関する訴訟等を当社グループに提起したり、第三者が当社グループの知的財産権を侵害したりする可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう、製品の設計開発及び新技術の研究開発に際しては先行調査を実施する等、十分な注意を払っております。また、継続的な他社製品の分析及び情報収集等によって第三者による模倣品や技術の模倣を監視し、当社グループの知的財産権の侵害抑止を図っております。さらに、営業秘密管理に関する従業員への社内教育や、退職者及び技術援助先と守秘義務にかかる契約を締結すること等により秘密情報管理を強化しております。

自然災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響

当社グループは、グローバルな規模で事業を展開しておりますが、予期せぬ自然災害、戦争、テロ、ストライキ、紛争等の事象が発生した場合、原材料や部品の調達、生産、供給、販売等に遅延や停止が生じる可能性があります。同時に、自動車販売市場が縮小し、製品需要が減少に転じる可能性があります。こうした事象が起こり、長引く場合は、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害、戦争、テロ、ストライキ、紛争等の事象が発生した場合に備え、当該事象の把握、対策の実施、当社事業への影響の最小化及び事業の早期復旧に向けた具体的な取り組みを定める「事業継続計画(BCP)」の整備を進めております。

固定資産の減損に係るリスク

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下し、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、中期経営計画の当社の長期ビジョンとして「収益力強化」を掲げ、当社及びグループ子会社の業績を向上させるほか、各社の定期的なモニタリングによりリスクの早期把握に努めております。

 

 

 

リスクの項目

リスクの説明

リスクの対策

世界的な半導体不足による影響

自動車業界における制御機能等の半導体を使用する部品の重要性が高まる中、世界的な半導体不足により自動車メーカーの生産は一部工場の停止、生産数減少等の影響が生じております。現時点で半導体供給不足の解消時期を正確に予測することは困難な状況にありますが、今後、半導体不足の影響が継続、拡大した場合は、当社グループの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクを低減することは困難であると認識していますが、半導体不足の影響の少ない機種への部品供給先を分散する等して、グループでの営業力を高めることで当該リスクを少しでも低減できるよう努めてまいります。

環境・気候変動に関するリスク

近年、気候変動により発生頻度及び影響度が増大している自然災害は、調達、物流及びエネルギー供給網等を寸断し、当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。現在、日本をはじめ世界各国が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明しており、社会・経済の脱炭素化への流れが加速していますが、当社グループがこれらの脱炭素社会への移行リスクに適切に対応できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、気候変動リスクへの対応を経営上の重要課題として位置づけており、2050年度カーボンニュートラル実現を目指し、CO2排出量を2030年度までに2017年度基準で39%以上削減する中間目標を設定し、その達成に向けた取り組みを進めております。具体的には、省エネ活動の徹底、高効率生産設備への更新、生産ラインの再編及び再生可能エネルギーの導入を加速させてまいります。

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において判断しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化、資源・原材料価格の高騰、中国のコロナ政策を巡る混乱、急速な金利上昇に伴う欧米金融不安や円安進行等、様々な出来事が起き、先行きが不透明な情勢が続きました

自動車業界においては、半導体等の不足や中国のコロナ政策を巡る混乱による生産調整が解消せず、原材料価格や輸送費の上昇、米国の労働需給逼迫等も加わり、依然として厳しい経営環境が続いております。

こうした事業環境下、当社グループは、「限界突破!世界中のお客様にこだわりのBest Oneを」との全社グローバル方針のもと、「Back to Basics」「Challenge for New」を基礎として、お客様に対して新たな価値を提供すべく、モノづくりの本質を追求してまいりました。当事業年度においては、メキシコ拠点を筆頭に2021年度に受注した多くの新機種を安定的に立ち上げるとともに、インドビジネスの強化、北米営業拠点の新設、サステナビリティ推進部の設置等、今後の持続的な成長に向けた土台作りを進めました

これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は261,156百万円(前期比36.1%増)、営業利益は2,038百万円(前期比78.4%増)、経常利益は1,921百万円(前期比48.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,734百万円(前期比728.1%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

(日本)

新規得意先からの受注製品の量産本格化等により、売上高は23,355百万円(前期比14.7%増)となりました。損益は、商品売上の減少や機種ミックスの影響等により、営業利益は417百万円(前期比65.3%減)となりました。

(北米)

新規受注製品の量産本格化や円安等による影響により、売上高は169,650百万円(前期比52.1%増)となりました。損益は、新規受注製品の増収効果はありましたが、主要得意先の生産調整が続いており営業損失は1,040百万円(前期は営業損失2,802百万円)となりました。

(アジア)

中国のコロナ政策を巡る混乱や半導体不足等の影響により、主要得意先の生産台数は減少しましたが、インディア・スチール・サミット・プライベート・リミテッドの子会社化や円安による為替換算の影響もあり、売上高は68,149百万円(前期比13.6%増)となりました。損益は、中国の減産による影響により営業利益は2,340百万円(前期比28.9%減)となりました。

 

b. 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、商品及び製品、建設仮勘定は減少しましたが、現金及び預金、売掛金、機械装置及び運搬具の増加により、前連結会計年度末に比べ15,205百万円増加し、176,137百万円となりました。

負債は、短期借入金は減少しましたが、長期借入金の増加により、前連結会計年度末に比べ11,027百万円増加し、111,380百万円となりました。

純資産は、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加により、前連結会計年度末に比べ4,178百万円増加し、64,756百万円となりました。

 

 

② 生産、受注及び販売実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

25,864

99.2

北米

177,034

147.1

アジア

71,335

108.5

合計

274,234

129.2

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、北米セグメントにおいて、新規製品の量産本格化及び円安を背景とした販売増加によるものであります。

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

22,552

106.4

7,414

90.2

北米

175,118

136.1

40,398

136.6

アジア

69,337

112.8

14,090

131.1

合計

267,008

126.4

61,904

127.5

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは北米セグメントにおいて、新規製品の量産本格化によるものであります。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

23,355

114.7

北米

169,650

152.1

アジア

68,149

113.6

合計

261,156

136.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、北米セグメントにおいて、新規製品の量産本格化及び円安による為替換算の影響によるものであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ホンダディベロップメントアンドマニュファクチュアリングオブアメリカ・エル・エル・シー

43,242

22.5

62,808

24.1

東風本田汽車有限公司

22,926

11.9

22,553

8.6

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、5,491百万円(前期比177.2%増)となり、前連結会計年度末と比べ3,510百万円増加しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの前連結会計年度に対する増減要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、17,433百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,300百万円、減価償却費13,112百万円、棚卸資産の減少5,253百万円、利息の支払額1,730百万円、法人税等の支払額2,227百万円によるものであります。

なお、前連結会計年度との比較では、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,794百万円の収入から17,433百万円の収入となりました。これは主に、棚卸資産の減少、減価償却費の増加、売上債権の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、16,342百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15,651百万円によるものであります。

なお、前連結会計年度との比較では、投資活動によるキャッシュ・フローは、15,641百万円の支出から16,342百万円の支出となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,340百万円の収入となりました。これは主に、短期借入金の純減額11,830百万円、長期借入れによる収入26,721百万円、長期借入金の返済による支出11,465百万円によるものであります。

なお、前連結会計年度との比較では、財務活動によるキャッシュ・フローは、11,566百万円の収入から2,340百万円の収入となりました。これは主に、短期借入金の減少、長期借入れによる収入の増加によるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

 

① 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の第14次中期経営計画(2020年4月1日~2023年3月31日)では、連結売上高、連結営業利益及び連結売上高営業利益率を経営指標とし、最終年度となる当連結会計年度においては連結売上高2,150億円、連結営業利益75億円(売上高営業利益率3.5%)を計画しておりました。しかしながら、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症や世界的な半導体不足による自動車メーカーの減産、原材料価格や輸送費の上昇等、事業環境が大きく変化し、連結営業利益、連結営業利益率ともに計画を下回りました。連結売上高については、新たに受注した機種の量産本格化、円安による為替換算の影響及び支給材料価格の上昇の影響等により2,611億円となり計画を上回ることができました。

第15次中期経営計画(2023年4月1日~2026年3月31日)では、外部環境の良化や前中期経営計画期間に実施した投資効果による当社事業の平常化と収益力の向上、増加した有利子負債残高の減少による財務体質の健全化を目指し、経営指標は、連結売上高、連結営業利益、連結営業利益率、NetDebt/EBITDA((連結有利子負債残高-連結現預金)/(連結営業利益+連結減価償却費))、EPS(1株当たりの親会社株主に帰属する当期純利益)としております。第15次中期経営計画初年度となる翌連結会計年度においては、連結売上高2,870億円、連結営業利益56億円、売上高営業利益率2.0%、NetDebt/EBITDA3.6倍以下、EPS80円以上を予想しております。なお、第15次中期経営計画の最終年度の経営指標については、連結売上高3,000億円、連結営業利益80億円、連結売上高営業利益率2.7%、NetDebt/EBITDA3.1倍以下、EPS175円以上としています。

 

実績

(2022年3月期)

実績

(2023年3月期)

予想

(2024年3月期)

連結売上高

1,918億円

2,611億円

2,870億円

連結営業利益

(売上高営業利益率)

11.4億円

(0.6%)

20.3億円

(0.8%)

56.0億円

(2.0%)

 

 

② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症や半導体供給不足等による得意先の生産減少の影響を大きく受け、想定とは全く異なる環境下での事業展開となりました。第14次中期経営計画における全社方針「限界突破!世界中のお客様にこだわりのBest Oneを」のもと、グループ全拠点が黒字化を目指し、経費削減の徹底や生産効率の改善等、新たな利益創出活動に注力してきた結果、全拠点の黒字化については計画未達成となりましたが、厳しい事業環境による影響を最小限に抑え、連結営業利益は、前連結会計年度に対し増益となり、2,038百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、市場金利の上昇による支払利息の大幅増加はありましたが、円安による為替差益880百万円やインディア・スチール・サミット・プライベート・リミテッドの子会社化による負ののれん発生益1,237百万円の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,734百万円となりました。

持続的な企業価値の向上を実現するためには、モノづくりの本質追求によるお客様からの信頼獲得、お客様の要請に応えられる設計開発力及び成長市場の開拓が必要となります。当社は、当連結会計年度において、生産・品質面で多くのお客様から表彰をいただくとともに、当社の強みであるCAE解析技術を進化させた最適化設計で、軽量化や低コスト化、生産性向上を実現し、新たな受注を獲得いたしました。また、更なる販路拡大に向け将来性豊かなインド市場において新たな子会社を取得し、今後の成長に向けた土台作りを進めるとともに、多くの自動車メーカーが集積する米国における営業活動を一層活性化するため、北米営業拠点を新設しました。今後、ガソリン車から電気自動車へのシフトが急速に進むことが予想される中、将来の更なる事業拡大への礎を築きました。

財政状態については、連結子会社エフアンドピー・マニュファクチャリング・デ・メキシコ・ソシエダアノニマ・デ・カピタルバリアブレにおいて生産能力拡充のための大型投資を行いましたが、当該資金を銀行からの借入金で調達したことから、連結有利子負債残高は73,925百万円となり、有利子負債依存度は42.0%となりました。当社は、外部環境が徐々に正常化する中、生産効率の改善、経費削減、投資効果の発揮により収益力を高め、財務体質の健全化を進めてまいります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローが前連結会計年度末と比べて15,639百万円増加した要因につきましては、減価償却費や親会社株主に帰属する当期純利益が増加したほか、メキシコ拠点を筆頭に数多くの新機種の量産が始まり棚卸資産として滞留していた金型設備の資金回収が進んだことによります。

当社グループの資本の財源については、主として営業活動から得られた資金により対応し、必要に応じて銀行等からの借入により調達をしております。主な使途は新規受注への対応や生産能力維持・増強等に伴う設備投資、部品の量産のための諸費用、研究開発費等であります。また、資金の流動性については、一昨年度、親会社において新型コロナウイルス感染症の影響に備えて増額した未使用の借入枠を維持・継続しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、会計上の見積りを行う必要があります。貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、退職給付に係る負債の算定等につきましては、過去の実績や将来の事業計画を基礎として、一定の仮定を用いて会計上の見積りを行っております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」)に記載しておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術援助等に関する契約

当社が締結している技術援助等に関する契約は、次のとおりであります。

 

相手先

国名

契約品目

契約の内容

契約期間

プログレッシブ・ツールズアンド・コンポーネンツ・リミテッド

インド

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自1996年11月29日

以降出資する間は
継続

エスエムシー・カンパニー・リミテッド

大韓民国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2006年4月4日

至2011年4月3日

以降1年ごとの自動更新

ヴィージー・インダストリアル・エンタープライゼス・プライベート・リミテッド

インド

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2014年11月25日

至2019年11月24日

又は対象製品の継続期間

上海匯集汽車製造有限公司(SHAC)

中国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2014年11月25日

至2019年11月24日

又は対象製品の継続期間

エレクト・エンジニアリング・プレスワークス・センドリアン・ベルハッド

マレーシア

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2015年9月14日

至2020年9月13日

又は対象製品の継続期間

ポス・オーステム・イェンタイ・オートモーティブ・カンパニー・リミテッド

中国

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2018年2月5日

至2023年2月4日

又は対象製品の継続期間

ゲスタンプ・ブラジル・インダストリア・デ・オート・ペサス・ソシエダヂ・アノニマ

ブラジル

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2017年11月1日

至2028年6月24日

又は対象製品の継続期間

ポス・オーステム・ウーハン・オートモーティブ・カンパニー・リミテッド

中国

自動車部品

製造販売に関する

技術設計及び開発委託契約

自2016年9月8日

至次機種向け製品の継続期間

ヴィージー・オート・コンポーネンツ・プライベート・リミテッド

インド

自動車部品

製造販売に関する技術援助契約

自2018年9月1日

至2023年9月30日

又は対象製品の継続期間

ジェイヴィー・オズオート・オーステム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー

ウズベキスタン

自動車部品

製造販売に関する

技術援助及び技術役務提供契約

自2020年7月31日

至2025年7月30日

又は対象製品の継続期間

 

(注) ロイヤリティ又は技術委託料として、技術援助先の売上高に一定の料率を乗じた額を受け取っております。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発部門は、顧客である自動車メーカーが求めるサスペンションやサブフレーム、ペダルの先進設計や先進技術を先駆けて提案し、厳しい競争の中でも確実に受注が実現できるよう日々強力に推進しております。

当連結会計年度においては、当社の強みであるCAE技術を進化させた最適化設計で、ホンダ「Acuraインテグラ、CR-V、アコード、ZR-V」、トヨタ「GRカローラ」のサブフレームやサスペンション等で大幅な軽量化や低コスト化、生産性向上を実現しました。また、日本をはじめ、北米、中国、フィリピンの研究開発部門が連携することにより、欧米系の自動車メーカーからの受注や、新たな開発案件も順調に増加しており、ゼネラルモーターズへの本格参入から、より進化した受注活動を展開、大幅軽量化、確実な機能や性能の見極め、スピード感を持った仕様提案を展開、さらに安定立ち上げに向け開発を推進しております。

開発本部基本方針として「グローバルR&Dの英知の連鎖で新たなモビリティー社会のシャーシシステム開発メーカーになり、競合他社に圧倒的な軽量化とCostで差別化する」ことを推進しております。従来の単体部品の開発のみならずシステムとして最適な開発を目指し、更なる軽量化とコスト低減を目標に、グローバルな開発拠点で連携し、広い視野で開発に取り組んでおります。ピュアEV時代に向けた更なる軽量化対応として、独自な視点で関連サプライヤー及び協力メーカーと連携し、高ハイテン化・モジュール領域での最適構造化や新たな技術要素へも取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は、一般管理費に計上した2,241百万円であり、地域別セグメントでは日本731百万円、北米1,285百万円、アジア225百万円となりました。