第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは新たに中長期経営計画を策定・推進するにあたり、経営理念・行動指針についても時代の流れにあったものに見直しするとともに、新たに合言葉を改定することで浸透を促進させ、全社員が一丸となって計画達成を目指します。

<経営理念体系と内容>

 社 是 :よい品をより安くより速く

 経営理念:「信頼される企業」、「挑戦し続ける企業」であることで「社会に選ばれる企業」になれ

 合言葉 :Trust & Challenge (信頼と挑戦)

 行動指針:「Trust」

       ・相互の関係を理解し相手の身になって考える

       ・他責ではなく自責で行動する

       ・感謝の気持ちを常に忘れない

 

      「Challenge」

       ・失敗を恐れず、困難を厭わず、高い目標に向かって挑戦する勇気を持ち続ける

       ※信頼関係を構築した上で新しいことに挑戦する(ひとりの力では成し得ない大きな成長のために)

(2)経営戦略等

 新しい経営理念のもと、以下のとおり中長期経営計画を策定し達成施策を確実に実行してまいります。

 持続的成長に向けた事業の変革

  ・量から質への転換(収益重視)

   「シート・電装事業」顧客との関係強化による事業基盤固め

  ・新たな事業基盤の創出

   「電子事業」持続的成長に向け資本を重点投入

   「新事業」第3の柱になる事業創造

  ・企業文化の進化

   「ESG経営の推進」

 

(3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後の当社グループを取り巻く環境につきましては、引き続きロシアのウクライナ侵攻や、世界的なインフレの長期化、半導体不足による自動車の減産、原材料価格の高騰など不確実性が大きく、依然不透明な状況が続くものと予想されます。一方で社会的なカーボンニュートラルへの取り組みの拡大に伴い、自動車の電動化への動きは今後も一層加速することが見込まれます。

 このような経営環境の中、当社グループにおきましては、2023年度は「中長期経営計画2029」フェーズ1(2021~2023年度)の最終年度であり、フェーズ2『新しい今仙の挑戦』の土台を着実に築き上げるための取り組みを実施してまいります。

 シート・電装事業は、「量から質への転換」としてテイ・エス テック株式会社とのシナジー創出活動の効果追求とともに、営業体制を強化し設計との密接な連携により、情報収集能力と技術面の理解を早期に融合し、市場や顧客のニーズの変化に敏感に対応することで新たな受注の拡大や競争力のある製品開発につなげてまいります。生産体制では引き続き、得意先のオーダー変動に追従し、ロスなく生産できる体制の構築や、先行開発品の企画段階から各部門で情報を共有し、問題の早期発見、修正等を図るコンカレントエンジニアリングの展開により、低コスト、高品質な魅力ある製品開発に取り組み、収益体質の改善を図ります。

 電子事業では、マツダ株式会社との合弁会社によるインバータを始めとした電気駆動システムの開発を進めるとともに将来の収益拡大に向け、開発体制の強化、高付加価値・高価格帯の製品への移行、業界最先端の高効率生産体制構築などの取り組みを推進し、フェーズ2の土台造りを行ってまいります。

 新規事業創出の取り組みとしては、ヘルスケアビジネスにおいてこれまでの研究段階から事業化に向け舵を切ってまいります。

 また、経営基盤の強化として、希望退職制度による構造改革に取り組んでいるほか、昨年より開始したDXプロジェクトを加速させ、IT環境の整備、次世代型セキュリティ基盤の構築を進めてまいります。

 ESG経営の推進では「ISP(IMASEN Sustainable Plan) 2030」に取り組む中で、TCFD提言への賛同表明しており、今後より一層環境への対応を強化し積極的にTCFD提言に沿った情報開示に努めます。

 株式市場に対しては、当社は、2022年4月より東京証券取引所のプライム市場を選択しておりましたが、上場維持基準である流通株式時価総額が不適合となっており、また現在取り組んでいる「中長期経営計画2029」の進捗状況を踏まえた結果、東京証券取引所が新たに公表した経過措置の適用期限である2025年3月末までにプライム市場の上場維持基準に適合、維持することは不透明な状況となっております。

 このような状況において株主の皆様にとっては、上場維持への不安を抱くことなく、安心して当社株式を保有いただける環境を整えること、当社にとっては、限られた経営資源を不安定な収益状況からの脱却、確実に利益が出せる体質づくりに集中させることが最善と考え、スタンダード市場を選択することを判断いたしました。

 なお、スタンダード市場への移行後も、引き続き電子事業の飛躍的成長を含めた「中長期経営計画2029」の実現を加速させるとともに、株主・投資家の皆様からの信頼をいただけるよう、積極的な情報発信、IR活動を継続し企業価値の向上に努め、将来的な「プライム市場」への変更上場を目指します。

 厳しい環境においても、経営目標である「持続的成長に向けた事業の変革」の達成のため、「攻め」と「守り」の両輪を回す取り組みを実施してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 中長期経営計画(2021年〜2029年)においてESG経営を推進し経営基盤の強化を図ることを目指しており、ISP2030(IMASEN Sustainable Plan 2030)を掲げてサステナビリティ活動を推進しています。SDGsをはじめとした様々な社会課題や当社特有の課題の中から重要課題(マテリアリティ)を特定し、経営に取り込むことでサステナブルな社会への貢献と事業の持続的成長に努めています。

 また、組織のガバナンスとして、会社全体におけるリスクについて審議・決定するリスクマネジメント委員会に加えて、サステナビリティ活動を推進するための専門委員会である『ISP2030委員会』を設置しています。この委員会は原則として年に3回開催され、社長が委員長を務め、常勤取締役が委員として構成されており、気候関連をはじめとするサステナビリティに関するリスクおよび機会について審議します。各委員会で審議された内容は取締役会に報告されることで、経営陣が監督する体制としています。

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(2)戦略

 気候変動の顕在化は、当社グループの事業展開のリスクとなると同時に脱炭素社会に対応する新たな事業を創出し、社会へ貢献する機会にもなります。気候変動への対応を検討するにあたり、当社グループの主要事業である自動車関連事業について、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)などのシナリオを考慮し、リスクと機会を特定しました。具体的には、2℃以下シナリオでの低炭素社会への移行におけるリスク・機会と4℃シナリオでの気候変動による物理的リスクを抽出し、それぞれについての対応を定めております。

 

 ・2℃以下シナリオ・・・持続可能な発展の下で気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ

 ・4℃シナリオ  ・・・化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない最大排出量シナリオ

 

2030年を想定したリスクと機会の抽出および当社の対応

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 また、当社グループは、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得るとの認識に立ち、社内における多様性の確保を推進しており、性別や国籍等の属性に関係なくその能力、識見、人格等を公正に評価するとともに、働きやすい環境作りに努める方針としております。

 

(3)リスク管理

 ESG経営を基盤とした事業運営により、社会課題の解決に貢献できるよう活動しております。気候変動については、サステナビリティ活動を推進するための専門委員会であるISP2030委員会においてリスク・機会の特定や活動の進捗を審議します。また、リスクマネジメント委員会では事業活動全体に関わる事項の審議・決定を行うとともに、主要リスクの対策内容や進捗状況のチェックなどを実施します。こうした委員会活動やグループ各社、各部門における統制によってリスク管理を行っています。

 

 

(4)指標及び目標

 ISP2030で掲げたありたい姿を達成するため、目標値を設定して活動しています。

 気候変動への対応については、2050年でのカーボンニュートラル達成を目指しており、中長期経営計画に沿ってフェーズ1(2021年〜2023年)、フェーズ2(2024年〜2026年)、フェーズ3(2027年〜2029年)におけるマイルストーンを設定し、2030年までにCO2排出量50%削減を達成する目標としています。(2013年度比 スコープ1、2)

CO2排出量削減

-施策-

・徹底したムダ取り改善等の省エネ活動

・再生可能エネルギーの積極的利用

・環境に配慮した製品の量産化

・高効率機器、設備の導入

 

CO2排出量削減

-目標-

フェーズ1 2023

フェーズ2 2026

フェーズ3 2029

10%

20%

50%

 

 また、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年3月31日時点

3.0%

1.3%

男性労働者の育児休業取得率

2030年12月31日時点

85.0%

57.0%

労働者の男女の賃金の差異

2026年3月31日時点

75.7%

正 規  71.9%

※当社グループのうち、各指標について法令に基づく開示を実施している当社単体について設定、開示しております。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済状況の変化について

 欧州における地政学的なリスクの高まりは、当社グループが製品を製造・販売している国や地域の経済情勢の変動を招いているとともに、石油・天然ガスなどの資源価格の高騰や、金融市場にも大きな影響を与えています。加えて、SDGsやTCFDなど、人権や環境に対する社会的な意識の高まりについても、今後の経済動向に大きな変化をもたらすとみられ、当社グループの経営成績、財政状態も影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、SDGsについては、今仙のサスティナビリティ活動施策である「ISP(Imasen Sustainable Plan)2030 ‐地球とIMASENを持続可能にする‐」を策定し、21年度から推進・展開しております。加えて、当社は気候関連問題も重要な社会課題のひとつとして認識しており、2023年3月にTCFD提言に賛同を表明しております。また、欧州における地政学的なリスクについては、そのリスクによって引き起こされる資源価格の高騰、金融市場の混乱等について、影響度合いを注視しながら、個別に対応を検討してまいります。

(2) 為替レートの変動について

 当社グループの主要基盤である自動車部品関連事業については、今後も海外展開の拡大により海外売上高の比率が高まってくるものと予想されます。他国の通貨に対する日本円の為替レートの変動は、販売価格面での競争力に影響を及ぼし、延いては経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

 また、当社の外貨建取引による外貨換算額及び連結財務諸表作成に用いる海外グループ会社の財務諸表は、決済、換算時の為替レートにより円換算の価値に影響を与えることから、当社グループの経営成績、財政状態が影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、為替変動に対しては社内基準に基づき為替予約を実施するとともに、外貨建取引については、その影響を抑えるべく、地産地消に向けた現地調達、現地生産の検討、実施を進めております。

 

 

(3) 特定得意先への依存について

 当社グループは自動車部品関連事業を主たる事業とし、グループ総売上高に占める当該事業の売上高の割合は、当連結会計年度において96.3%となっております。自動車部品関連事業の売上高のうち、本田技研工業㈱系列に対する売上高40.7%、㈱SUBARU系列に対する売上高18.0%、マツダ㈱系列に対する売上高11.0%、日産自動車㈱系列に対する売上高9.5%、三菱自動車工業㈱系列に対する売上高9.2%と高い割合になっており、各社の事業方針、経営施策、各社及び各社取引先における品質問題等が発生した場合の販売影響等により当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、2021年度に開示した「中長期経営計画2029 - Trust & Challenge -」において、シート事業の事業基盤の強化を推進し収益重視の事業体質へと転換を図るとともに、電子事業の拡大、新事業の採算事業化に取り組むことにより、シート、電子、新事業の3事業のバランス化を推進し、特定得意先への依存リスクの軽減を図ります。

(4) 製品の不具合が生じた場合の責任について

 自動車部品関連事業において、当社グループが製造・販売した製品に何らかの不具合が生じた場合、得意先自動車メーカーが実施する改修費用のうち、責任割合に対応する負担が発生することとなり、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

 当社グループは、法律上の損害賠償責任が発生した場合に備えて製造物賠償責任保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する補償額を十分カバーできる保証はないことから、世界に通用する品質保証体制を確立し、お客様に満足いただける製品を提供することを目的として、自動車産業における世界共通の品質管理・保証規格であるIATF16949:2016の認証を取得しており、品質管理・品質保証体制を構築して、製品不具合リスクの軽減を図っております。

(5) コンプライアンス違反について

 近年、モノ造り企業において品質に関連する不適切行為の報告が増加しております。当社グループにおいても、品質管理・保証規格であるIATF16949:2016の認証を取得し、品質保証体制を構築しておりますが、それだけでリスクを消し去るものではなく、ひとたびコンプライアンス違反が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を受けるばかりでなく、社会的信用も失墜する可能性があります。

 当社グループでは、コンプライアンス違反が発生しないよう、倫理綱領、行動規範の周知徹底や、コンプライアンス委員会からの啓発活動や、メールによる目安箱の設置など、風通しの良い企業風土の醸成に取り組んでおります。加えて、定期的な従業員満足度アンケートにより従業員の満足度、エンゲージメント数値を確認して、働きやすい職場を実現していくとともに、「信頼(Trust)と挑戦(Challenge)」を当社グループ経営理念の中心に据えて、当該リスクに対応してまいります。

(6) 原材料、部品の供給状況による影響について

 当社グループにて消費する原材料、部品の調達については、原材料や半導体などの世界的な供給不足や、市況変化、資源エネルギーの供給不安による価格高騰の影響を受けており、先行きが不透明な状況にあります。今後、事態がさらに悪化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、日頃より原価低減活動に取り組むとともに、世界的な供給状況の混乱を受けて、調達先の複数化や在庫日数の延長等、環境や調達先起因によるリスクを分析し、生産変動、供給維持に向けた対応を進めております。

(7) 自然災害、感染症等について

 当社グループの国内及び海外の生産拠点において、地震、洪水等の自然災害、感染症等が発生した場合、当社グループの操業に直接的又は間接的に影響を受ける可能性があります。新型コロナウィルス感染症においては、収束の見通となってきましたが、変異ウイルス発生による感染再拡大の可能性は拭いきれないものがあり、その場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、災害等の有事に備え、被害を最小限に抑え、事業の継続を図るべく、事業継続計画(BCP)を整備しその対応に努めるとともに、新型コロナウィルス感染症についても、引き続き感染防止に努めるとともに、これまでの経験を活かし、感染拡大に対する即応体制の整備に取り組んでおります。

(8) 固定資産の減損損失について

 当社グループが保有する有形固定資産、無形固定資産において、資産の価値が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、減損の兆候を捉えた場合、適時に減損損失額の把握を行い、業績及び財務状況に及ぼす影響を最小限とするよう、対応を行います。

(9) 情報漏洩、サイバー攻撃について

 当社グループが行う生産、販売活動および各種事業活動は、ITシステム及びシステム間を繋ぐ通信ネットワークを利用しており、通信ネットワークにおける障害や、ランサムウェアに代表されるサイバー攻撃、ハードウェアの故障等のリスクに晒されており、その影響を受けた場合は、事業活動に支障が出る可能性があるとともに、社会的信頼を損ない、多額の費用負担が発生する可能性があります。

 当社グループでは、様々なITリスクへの対応と、変革するデジタル社会に適応するために、「従業員が どこでも 安全に ストレスフリーに仕事ができるIT環境」を目指したロードマップを作成し、ビジネスツール、セキュリティ基盤の整備を推進しております。

(10) 人的資源の流失について

 当社グループの主力事業である自動車部品関連事業では、CASEに代表されるように百年に一度の大変革期を迎えており、業界各社がデジタル人材の獲得に動いています。加えてこれまでの年功序列型賃金は制度疲弊をしており、ジョブ型給与への移行が進むとみられ、ライフスタイルの変化とともに労働力の流動化が加速すると考えられます。今後、魅力的な仕事、ライフスタイルにマッチした賃金、福利厚生制度に対応出来なければ、人財が流出し、事業の継続に影響を及ぼす事態になる可能性があります。

 当社グループでは、マツダ株式会社との協業体制により、電動駆動ユニットの開発・生産に関する取り組みを強化していくことで、時代の最先端を行く魅力的な業務の推進や、人的資源の流失を最小限に抑えるために、年功序列型賃金からの移行検討などを進めることにより従業員とのエンゲージメントを高めて、当該リスクに対応してまいります。

(11) 国家間協定・条約等の影響について

 世界経済は、グローバル経済から、保護主義的な経済活動に移ってきており、資源エネルギーを取り巻く環境や、半導体製造やEV車などの電池製造などに係わる国家政策は、電機産業、自動車産業に留まらず、全ての経済活動に影響を及ぼしています。その結果がもたらす、各社及び各社取引先の事業方針、経営施策を含め、当社グループの事業計画が影響を受ける可能性があります。

 当社グループでは、国家間協定・条約等の影響を最小限に抑えるべく、各国、各地域の協定・条約の締結動向を注視するとともに、地産地消に向けた現地調達、現地生産の検討、実施を進めております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻による資源価格上昇、世界的な物価上昇に加え、中国のゼロコロナ政策見直しによる新型コロナウイルス感染症の再拡大などの影響により回復基調は鈍化し、引き続き厳しい状況となりました。

 当社グループが関連する自動車業界におきましては、世界的な半導体不足による自動車の減産、原材料価格の高騰、国際物流の混乱などもあり、不安定な状況が続きました。

 このような経営環境の中、当社グループにおきましては、2021年度に策定した「中長期経営計画2029」で掲げる目標達成に向けて、強力に取り組みを進めております。「持続的成長に向けた事業の変革」を経営目標とし、ESG経営推進による経営基盤強化の下、シート・電装事業の収益体質強化を図りつつ、電子事業及び新規事業を成長・拡大させ、2029年度にはバランスのとれた3本足の事業を展開することを目指し、その第一歩として、『新しい今仙への挑戦』をテーマとしたフェーズ1(2021~2023年度)を展開しております。

 シート・電装事業では、顧客ニーズを重視した開発の推進により新製品の採用や新規顧客の獲得に向けた受注活動を展開しております。また性能向上と低コストを両立したコア製品と次世代車両の室内空間に対応したデバイス開発にも注力しております。コスト低減と品質向上への取り組みとしては、北米拠点にシートアジャスタ自動組立設備を導入しており、タクトバランスと品質に優れた加工を実現しました。

 電子事業では、マツダ株式会社と、EV車の要となる動力ユニットe-Axleの基幹部品であるインバータ等の開発、及び基板の実装を含む生産技術の開発を担う合弁会社 Mazda Imasen Electric Drive 株式会社を設立しました。また、あわせてシリコンカーバイドパワー半導体を含むインバータの開発において、マツダ株式会社、ローム株式会社との間で3社共同開発契約を締結しました。これらの取り組みにより、各社の知見を投入し、小型・高性能・高効率の電気駆動システムの創出を目指しております。

 新規事業の創出に向けた取り組みとしては、一昨年開発した歩行測定システムの実用化を目指して、データを収集するとともにその妥当性証明を進めております。県内外の自治体やスポーツクラブで幅広い年齢層の方々を対象に歩行測定を行い、測定結果をフィードバックすることで、ユーザーの意見や満足度の確認を進め、それらを反映することでシステム改善に取り組みました。

 このような施策に取り組んでまいりましたが、半導体不足による急な生産変動や、資源価格上昇、中国ロックダウンの影響に加え、北米向け輸送コスト増加やタイにおける品質不具合への対応費用などの一過性のコストが発生した結果、当連結会計年度の売上高は99,730百万円(前期比17.1%増)、営業損失は770百万円(前期は70百万円の損失)、経常利益は28百万円(前期比95.4%減)、また当社において繰延税金資産を取崩したことなどにより親会社株主に帰属する当期純損失は2,053百万円(前期は1,210百万円の損失)となりました。

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

 (a) 日本

 半導体供給不足による影響が残るものの、得意先の受注増加により、売上高は39,817百万円(前期比13.9%増)、営業利益は458百万円(前期は987百万円の損失)となりました。

 

 (b) 北米

 為替影響により売上高は27,215百万円(前期比28.9%増)となりましたが、港湾問題による輸送コストの増加により営業損失は2,716百万円(前期は975百万円の損失)となりました。

 

 (c) アジア

 為替影響により売上高は32,697百万円(前期比12.4%増)となりましたが、タイにおける不具合対応費などにより営業利益は1,636百万円(前期比20.9%減)となりました。

 

②生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

39,446

12.3

北米

27,308

26.9

アジア

31,730

10.8

合  計

98,485

15.5

 (注) 上記の金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

日本

39,865

12.4

4,311

1.1

北米

27,733

36.6

2,100

32.7

アジア

32,417

11.9

2,265

△11.0

合  計

100,016

18.0

8,677

3.4

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

39,817

13.9

北米

27,215

28.9

アジア

32,697

12.4

合  計

99,730

17.1

 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(百万円)

割合(%)

販売高

(百万円)

割合(%)

日本発条㈱

10,705

12.6

12,760

12.8

NHK Seating of America,Inc.

10,522

10.6

広州提愛思汽車内飾系統有限公司

10,182

10.2

(注) 前連結会計年度のNHK Seating of America,Inc.、広州提愛思汽車内飾系統有限公司については、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容

財政状態の分析

a.流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は56,003百万円(前期比2,260百万円の増加)となりました。棚卸資産が2,352百万円、売掛金が879百万円、電子記録債権が839百万円増加したものの、現金及び預金が2,426百万円減少したことなどによるものであります。

b.固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は26,900百万円(前期比485百万円の増加)となりました。有形固定資産が221百万円減少したものの、無形固定資産が224百万円増加、投資その他の資産が482百万円増加したことなどによるものであります。

c.流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は26,180百万円(前期比3,326百万円の増加)となりました。支払手形及び買掛金が2,357百万円、短期借入金が1,763百万円増加したことなどによるものであります。

d.固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は7,835百万円(前期比310百万円の増加)となりました。繰延税金負債が1,022百万円増加したことなどによるものであります。

e.純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は、48,887百万円(前期比890百万円の減少)となりました。為替換算調整勘定が1,620百万円増加したものの、利益剰余金が2,346百万円減少したことなどによるものであります。

経営成績の分析

a.経営成績の概要

 当連結会計年度における売上高は99,730百万円(前期比17.1%増)となりました。セグメント別では、日本につきましては、半導体供給不足による影響が残るものの得意先の受注増加により、売上高は39,817百万円(前期比13.9%増)となりました。北米は、為替影響により、売上高は27,215百万円(前期比28.9%増)、アジアは、為替影響により、売上高は32,697百万円(前期比12.4%増)となりました。

 利益につきましては、特に北米において港湾問題による輸送コストが増加したことなどから営業損失は770百万円(前期は70百万円の損失)、経常利益は28百万円(前期比95.4%減)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は当社において繰延税金資産を取崩したことなどにより2,053百万円(前期は1,210百万円の損失)となりました。

b.売上原価及び販売費及び一般管理費

 当連結会計年度における売上原価は、半導体供給不足による売上減少に対し、固定費削減等に取り組んだものの、特に北米において港湾問題による輸送コスト増加により仕入コストが増加したことなどから、売上高に対する割合は93.7%(前期は91.8%)となりました。

 また、販売費及び一般管理費は、7,055百万円(前期比0.5%増)、売上高に対する割合は7.1%(前期は8.2%)となりました。

c.営業外損益

 当連結会計年度における営業外損益は、為替差益565百万円(前期は343百万円)、受取配当金186百万円(前期は168百万円)などがあったことから、798百万円(前期は687百万円)となりました。

d.特別損益

 当連結会計年度における特別損益は、投資有価証券売却益74百万円を計上したものの、メキシコ子会社における事業整理損122百万円を計上したことなどから、△29百万円(前期は△1,024百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は15,885百万円と前連結会計年度末に比べ2,570百万円の減少となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果減少した資金は、787百万円(前期は3,504百万円の増加)となりました。これは主として、棚卸資産の増加が1,520百万円であったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は、2,050百万円(前期比40.7%減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出が1,641百万円であったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は、30百万円(前期比97.7%減)となりました。これは主として、短期借入金が1,822百万円純増したものの、長期借入金の返済による支出が1,919百万円であったことによるものであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、税金の支払い、新製品立ち上がりに伴う生産設備や金型投資等です。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度において2,436百万円の設備投資を実施しており、資金の調達につきましては、自己資金及び借入金によっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

 なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、繰延税金資産の回収可能性の判断及び固定資産の減損に関する判断に関しては、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

a.製品保証引当金

 当社グループは、製品の品質保証期間内に発生する製品保証費の支払に備えるため、過去のクレームを基礎にして発生見込額を見積り計上しております。従いまして、実際の製品保証費は見積りと異なる場合があり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.退職給付に係る負債

 当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で使用される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率など、多くの見積りが存在しております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。

c.固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

d.繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産の将来の回収可能性を検討して、回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたって、将来の課税所得を合理的に見積もっております。この見積額の変動により、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を税金費用として計上します。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、研究開発を企業の競争力維持のための最重要経営課題であると認識し、これに取り組んでおります。「よい品を より安く より速く」顧客に提供するために、常に「世界的な視野に立ったハイエスト・クオリティー、ローエスト・コスト」を理念として、独創技術の開発に努め、新技術及び新製品を提案できる開発型の企業として、先端技術、現行技術の革新・改良と、それらを量産に結びつけるための研究開発を行っております。

 当連結会計年度における研究開発活動に係る費用の総額は2,017百万円であります。なお、当該金額には既存製品の改良、応用等に関する費用が含まれており、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定する「研究開発費」は191百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

なお、研究開発活動は主に日本国内において、自動車部品関連事業及び福祉機器関連事業の分野で行っております。

日本

(自動車部品関連事業)

(1) シート機構・電装製品

 主力製品であるシートアジャスタについては、「安全」「環境」「快適・利便」をキーワードとした製品開発を最重要テーマとして、『お客様のニーズにあった製品』の研究開発に取り組んでおります。

 「安全」については、衝突時の乗員保護をより高い次元で達成する製品や適正な姿勢を確保する製品の開発に取り組むと共に、各強度毎のバリエーションに適応した製品開発を行っております。

 「環境」については、低燃費及び将来のEV化を見据え部品の削減、新素材、新加工による小型・軽量製品の開発に取り組んでおります。

 「快適・利便」については、お客様の感性領域まで考慮し、心地よい操作・作動を提供できるシートアジャスタの開発に取り組んでおります。

 また、CAE解析技術を活用した製品開発期間の短縮とスライド、リクライニング、ハイトなどの基本機能向上、低コスト化を目指した研究開発活動を行っております。パワー作動時の挟み込み防止やカメラ画像信号から適正な姿勢に調整する技術などシートの動作を制御する電子ユニットとの融合開発を行い、自動車メーカー、シートメーカーへの提案と新製品の開発活動を行っております。

 ランプについては、市場ニーズに対応した機能性、意匠性、先進性、低価格化を重視した研究開発活動を実施し、LED光源の採用や導光レンズを活用したリアコンビネーションランプ、シーケンシャルタイプ方向指示器、レンズ技術と光源を組合せ効率よく発光させるランプなどの多種の新規ランプを開発しております。

(2) 電子製品

 電子製品領域については、以下を研究開発の重点テーマに位置付けております。

1. 高効率パワーエレクトロニクス技術開発:

DC-DCコンバータ、インバータ等の電力変換装置において、電力損失を最低限に抑えることで製品コスト低減とエネルギー損失の抑制を図る新技術開発を行っております。

2. モデルベース開発:

複雑で大規模・高度なソフトウエア開発を短納期で行うべく、最先端の開発プロセスを導入しております。

3. EMC開発:

車載電子機器が発生する電磁ノイズを抑制する為の製品コスト上昇と開発期間増加が問題になっています。これに対して社内での測定環境を整備して、技術ノウハウの蓄積と効率的な開発を行っております。

4. 電源システム開発:

車載電源は従来の鉛バッテリーのシステムから、リチウムイオン電源、キャパシター電源等の多彩なパワーソースの組み合わせへ変遷しています。これらは電動化の一環であることから重要なビジネスアイテムであると位置づけ独自の先行技術開発を行っております。

 (3) その他の製品

 その他の製品としましては、機構・電装技術に加え、IoT・画像技術を融合し、人々の豊かな暮らしに貢献するべく、「歩く」を科学することで健康寿命の長期化と生活の質を高める研究開発に取り組んでおります。

(福祉機器関連事業)

 福祉機器の電動車いすについては、暮らしを支えるかけがえのないパートナーとして、安全性・快適性を徹底的に追求し、使われる方の快適さはもとより、介助する方や周りの環境にも優しい製品とし、またデザインにまで心を配って開発しております。

重度障がい者を対象とした製品に加え、今後の超高齢化に向け、既存の移動機器のコア技術を使用した高齢者向け製品への研究開発も行っております。そして障がい者、高齢者の方にとって唯一の自力移動手段であることを踏まえ、使いやすさと安全性を重点に、一層の軽量化、小型化、高機能化を目指しております。

 義足については、「使う人の要求を、作る人の立場で考える」というコンセプトのもと、様々な日本の生活環境、体型、年齢などに合わせた最適な義足を提供するため、パーツ選択や交換、調整を容易に行えるモジュール化した義足部品の研究開発を行っております。膝継手では、国内のみではなく海外に向けた、安全性、快適性を追求した機能とともに、デザイン性を重視した製品を開発しており、国内外から高い評価をいただいております。

スポーツ用義足は、東京パラリンピックでは、2名のパラアスリートに使用していただきました。この技術をもとに、エントリー向けを発売開始しました。障がい者スポーツの普及にも積極的に取り組んでおり、パラアスリートの山下千絵選手とスポンサー契約し、更なる普及に取り組みます。