① 経営の基本方針
当社は、ものづくりを通して社会に貢献することが最大の使命と認識し、お客様をはじめとする全てのステークホルダーに信頼される会社を目指し、事業活動を行って参ります。
② 目標とする経営指標
当社は、その時々の環境に見合った利益を確保しつつグループの全体価値を高め、事業の巾を広げつつグローバル展開を進め、売上の拡大と適正利益の確保を目指します。原材料価格やエネルギーコスト等の高騰、客先の生産調整なども有り利益確保は厳しい状況ですが、中長期的には8%以上の営業利益率確保を目標に事業を進めて参ります。
③ 中長期的な会社の経営戦略
金属関連部品事業につきましては、既存客先へのさらなる浸透を基本戦略として展開して参ります。中でも、EVを含めた電動車等を中心とした製品分野への対応強化を重点課題として取り組むと共に、従来にも増して技術開発重視の「真にお客様に求められるものづくり」を目指し、問題解決型、提案型の事業展開を進めて参ります。
樹脂関連部品事業につきましては、当社の営業基盤を活用し、金属関連部品事業の既存客先や新規開拓先への提案を積極的に行い、樹脂部品単体のみならず樹脂+金属の複合部品の拡販を進め、新たな事業の柱として育てて参ります。
その他事業につきましては、既存品のグローバル市場での拡販を基本戦略として展開して参ります。ツールや新ラインナップの開発を重点課題とし、さらに次なる新商品の開発を進め、他社とのコラボレーションや産学協同事業も試行しつつ引き続き事業拡大を目指して参ります。
海外拠点につきましては、北米・アジア地域への直接販売をさらに強化するために全拠点のネットワークを活用してのさらなる拡販と企業体質強化のための活動を推進し、企業価値の向上を図って参ります。
現在、足下ではEV化の勢いが鈍化している様に思われますが、長期的には確実に進むものと考えます。当社としても、長期的には事業構成を変えて行かなければなりません。そのために、新規成長投資を積極的に進め、新規事業の創出を図って参ります。
当社グループの主要取引先であります自動車業界は、認証不正問題や中国販売低迷等により生産台数減となりました。これに伴い当社グループの売上も減少し、原材料費やエネルギーコスト、労務費等の増加、減産に伴う生産効率の悪化等により利益も減少しました。
この様な経営環境下における当社グループの対処すべき課題は、以下の通りであります。
① 事業領域の拡大と見直し
脱炭素の進展に伴い、将来的には輸送用機器のEV化は進んで行くと思われます。当社では超長期のEV化進展シナリオを策定し、ICE領域に過度に依存した売上構成を見直し、新規事業の種蒔きを行い、既存事業でも新規事業でも供給製品の販売先や供給可能な製品の巾を広げる取り組みを進めて行きます。基盤となる精密プレス部品と精密樹脂成形部品の領域において、持てるリソースを最大限に活用しつつグループのシナジーを十二分に発揮して参ります。新規事業につきましては、既存技術を活用した比較的短期で商品化するものの他に、研究開発を行い長期的に商品化するものも手掛けて研究開発力を上げ、当社グループの成長につなげて行きたいと考えております。
② 中国拠点収益改善
中国湖北省に設立しました「睦諾汽車部件(湖北)有限公司」は、コロナ禍からの船出から最近の日系各社の中国市場における販売低迷に伴う減産等も有り厳しい事業運営となっておりますが、中長期ではこれまでの損失を取り戻せる様に活動を進めて行きます。中国市場において、これまでに無かった事業領域も開拓しながら中国拠点を早期に黒字化し、収益改善を進めて参ります。
③ コスト競争力強化
ここ数年来重点を置いて取り組んで参りました安全と品質の強化につきましては、4年連続で品質目標を達成し、今年度は災害ゼロを達成しました。今後もさらに高い目標を設定して目標達成に取り組んで参りますが、それなりの成果も出せているので、これからは重点課題をコスト競争力の強化に変えて活動したいと考えます。生産数量減や経費増を受けて当社のコスト競争力は低下しており、利益的にも厳しい状態です。条件や環境が変わっているのに従来と同じつくり方をしていてはジリ貧になるので現在の状況に適したものづくりを行い、コスト競争力を向上させていく必要が有ります。そのための研究開発を積極的に行い、新しい技術や工法の開発により従来のやり方や考え方を見直し、変革に挑戦する活動を全社的に進めて参ります。
④ 人材確保の取り組みと働き方の見直し
労働人口が減少して働き方も多様化する時代となり、人材の確保が難しくなっています。当社グループの課題を解決して行くためには、現状の課題を引き継いで解決して行く人材が必要となります。この対応として、人材確保のために中長期的な視野で既存人員も含めた人への投資を厚くし、働き方の見直しを行い、改善を進めて行く必要が有ります。今後もグループ全体を通じて待遇改善と共に働き方の見直しを進め、生産性の向上を図って参ります。
⑤ 自動化・合理化投資の推進
人材確保の取り組みと裏表になりますが、工数確保が難しくなる環境下においては、付加価値の低い機械的な単純作業、高度な判断を必要としない仕事等は出来る限り自動化・合理化・IT化を進めて行く必要が有ります。当社グループはこれらの自動化・合理化・IT化投資を積極的に行い、人材が付加価値の高い仕事に従事できる環境づくりを進めて参ります。またこれからは、これらの取り組みを間接部門にも広げて参ります。
⑥ 変動に合わせた稼働対応
認証不正問題や中国での販売減等、自動車各社では様々な要因により生産調整が繰り返されており、当社でもこの変動に対応して行く必要が有ります。今期は一時帰休までの稼働調整は行っておりませんが、今後必要な事態も発生し得るものと考えます。その様な場合に備え、適正工数確保と平準化生産によりしっかりと対応して参りたいと考えます。
⑦ カーボンニュートラルへの対応
我国の2050年炭素排出量実質ゼロ目標を達成するため、当社でも事業活動におけるカーボンニュートラル実現のための取り組みを進めて行く必要が有ります。当社の主力事業では、大型プレス機や熱処理炉等の様々な設備を稼働させる必要が有るため、カーボンニュートラル実現のハードルは非常に高いと認識しておりますが、工場敷地内に太陽光発電設備の増設を進めると共にグリーンエネルギーの購入や客先との協業活動を行っており、今後も引き続き他社事例や技術動向等を参考に活動を推進して参ります。また、新規事業であるMGGP(ムログループグリーンプロジェクト)を通じ、脱炭素関連製品の開発・販売も積極的に進めており、今後も強化して行きたいと考えております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
■ガバナンス
当社グループでは、取締役及び管理本部がサステナビリティに関する各子会社や事業部門の取り組みについて確認を行い、取締役会に報告します。取締役会は、サステナビリティを巡る取り組みについての報告を受けて中長期的な企業価値向上の観点から対策を指示し、経営資源の配分や戦略の実行が当社の持続的な成長に資するよう課題の改善について検討し、監督を行います。
特に、昨今の社会情勢から持続可能な発展のために地球環境との共生が重要な課題であると認識し、温暖化対策にフォーカスした環境負荷低減活動を行っています。国のエネルギー政策とも相まって、生産活動に対するエネルギー効率最適化によるCO2削減の目標達成に向けて取り組んでおります。また、経営トップ及び環境担当役員、エネルギー管理統括者、監査室など経営層が参画する省エネ推進会議によるCO2削減活動及びISO14001に準拠した環境マネジメントシステム活動で各部門の活動を推進・管理監督する体制をとっております。
今後は、内部統制推進委員会においてもサステナビリティに関する取り組み状況を確認・監視して参ります。
■戦略
(1) 環境
・環境負荷を低減し、持続可能な社会を目指す
・法的及びその他の要求事項の順守
・化学物質による汚染の予防及び環境リスクの低減
・省資源・省エネルギー活動の推進
・環境保全活動の推進
(2) 人材育成
・各職場のOJTを基本とする
・新入社員から部門長クラスまでの階層別教育を実施
・自発的なスキルアップを促すため資格取得推奨のため費用サポート制度を採用
・スキルアップのためのeラーニング導入
(3) 社内環境整備
・男女ともに育児休業の取得を推進
・ワークライフバランスに配慮した時短勤務や働き方の見直しによる制度の改善を推進
・社内公募制度の導入、待遇改善、改善提案制度や各種表彰制度等のユニークなインセンティブ制度を設定
・社内レクレーション補助金制度やサークル活動の推進により部門間の垣根を超えたコミュニケーションの活性化を推進
・再雇用制度では意欲と能力のある社員は70歳まで継続雇用
■リスク管理
当社グループは、各本部にてサステナビリティに関するリスクの識別、評価、管理を行い、中長期方針説明会にてサステナビリティに関する方針や取り組みを含めた経営上重要な事項等について報告を行っています。リスク管理の体制については、内部統制システムの適切な運用の下、取締役会、決算経営会議及び内部統制推進委員会にてサステナビリティに関する事項を含むリスクの状況の監視や全社的なマネジメントを行っています。
■指標と目標
① 環境変動への取り組み
省エネ推進活動においては、省エネ法が規定する特定事業者に求められる省エネ目標の必達、環境マネジメントシステム活動においては以下の内容を2025年度の目標に掲げ、会社方針により環境負荷の低減を図る活動を推進しています。
1.カーボンニュートラル活動の推進(CO2削減)
全社Co2削減ロードマップ(Scope1,Scope2)による活動
目標値:2013年度比▲24%削減(▲604t-Co2削減)
2.省資源活動の推進
目標値:Co2換算効果排出量1,800t-Co2
(Scope1,2,3)
3.循環型社会に向けた活動
MGGP(Muro Group Green Project)商品開発・普及推進
MGGPはサステナブル製品群のブランドであり、循環型社会に適応した商品・サービスを提供しています。
② 人的資本に対する取り組み
当社では、人材の多様性の確保を含む人材育成と従業員が能力を最大限に発揮できる職場作りを方
針とし、次の目標を用いています。
当該指標に関する目標及び実績は次の通りです。
(注) なお、上記の取組みは当社グループ全社で共有されていますが、当社グループ海外子会社においては、本指標での数値管理を行っていないため、当該中長期目標及び実績は、当社のものを記載しております。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)海外での事業展開リスクについて
当社グループの生産及び販売活動につきましては、北米やアジア等、日本国外に占める割合が高まる傾向にあります。そのため当社グループが進出している国や地域において、予測不能な自然災害やテロ、戦争、その他の要因による社会的混乱、労働災害、ストライキ、疫病等の事象により事業の遂行に問題が生じる可能性があります。そのような場合には、海外事業の立上げや運営、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定産業への依存度が高いことへのリスクについて
当社グループは独立系の自動車部品メーカーであり、特定の顧客への依存度は高くはありませんが、自動車産業への依存度は高くなっています。したがいまして、当社グループの業績は国内及び海外の日系自動車メーカーの自動車生産台数の増減に影響を受けます。また、当社グループが供給している部品群は内燃機関と変速機を動力・伝達機構とする従来型(ハイブリッド車含む)の車両向けが主力であるため、動力・伝達機構が内燃機関を有さないモーターと、変速機を必要としない減速機のみによる駆動等に変更された場合、自動車の生産台数は減少せずとも部品構成の変更に伴う影響を受けます。この対応として、EV化が進んでも残る部品や自動車向け以外の部品の獲得、新規事業の立ち上げ等を進めております。また、樹脂部品事業につきましても主要な事業領域は自動車部品となりますが、こちらは動力・伝達系以外の部品が多く、医療等の異分野にも販売を行っているため、これらの売上を増やすことによって事業の多様化につなげていきたいと考えております。
(3)在庫リスクについて
当社グループは独立系自動車部品メーカーとして、国内完成車メーカー11社との直接取引をはじめ多くのユニットメーカーと取引を行っております。当社での生産におきましては、客先の生産計画に基づく、週・旬・月単位での内示情報と過去の流動傾向を基にした見込生産がかなりの部分を占めております。当社グループといたしましては、より正確な情報を得て見込みが大きく狂わないように努力いたしておりますが、見込生産量と実際の受注量に大きな差異が生じた場合には、過剰在庫となって業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)為替変動リスクについて
当社グループの業績及び財務状況は、為替の変動によって影響を受けます。為替変動は当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算に影響を与えます。また、為替変動は、外貨建で取引されている製品の価格及び売上高の日本円換算に影響を与えます。これにより、当社グループの競争力にも影響し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
現在歴史的な円安が続いていますが、円安による当社グループへの影響は基本的にプラス方向となります。しかしながら、為替が円安から円高へ急激に変化した場合には、外貨建て資産の換算損が発生します。当社では、最近の大幅な円安に伴い外貨資産の円資産への転換を進め大幅な円高に転じた場合の差損影響をヘッジしております。 今後も、為替相場を見ながら資産調整を行って参ります。
(5)品質リスクについて
当社グループは、客先からの厳しい品質要求に応えるべく品質保証体制を確立し、常に品質向上に努めております。しかしながら、それでも製造工程等で品質不具合が発生・流出して大きなクレーム等に発展した場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)市況変動リスクについて
当社グループの金属関連部品の主要材料である普通鋼・特殊鋼や非鉄材料、樹脂関連部品の主要材料である樹脂の調達価格は、市場の取引市況に大きく左右されます。生産に必要な消耗品類につきましても、原油やその他の原材料市況に影響を受けるものが多くあります。昨今の資源高と歴史的な円安、労働力不足や2024年問題等もあり、モノの値段は上昇する傾向にあります。市況変動により当社グループの調達価格が大きく変動した場合や鉄などのスクラップ価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
主要材料である鉄鋼・樹脂等の調達価格上昇に対しては、客先への売価反映交渉をして回収する様にしておりますが、客先各社の対応も様々であり、全額回収が難しい客先や回収期間が遅れる客先があります。主要材料以外でも、消耗品や副資材、電力・ガス、労務費等の価格上昇分の転嫁を客先各社と交渉し、一部は回収出来ております。客先によっては満額回収が難しいのが現状ですが、粘り強く交渉を行い、適正な費用回収が出来るように努めて参ります。
(7)自然災害その他のリスクについて
地震・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症等の蔓延によるサプライチェーンの寸断等の社会的混乱が発生した場合、事業活動の停止や機会損失、復旧のための費用負担等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクにつきましても日頃から出来る備えはしっかりと行い、出来得る限り発生時の影響を低減出来る様に努めて参ります。
当連結会計年度における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのパレスチナガザ地区への攻撃が長期化してますます不安定化する中、米国ではトランプ大統領が再選を果たして従来の枠組みを覆す行動を推し進め、世界的な景気低迷が懸念されるなどより一層不透明に推移しました。
国内につきましては、歴史的な円安が続いて常態的な物価高に見舞われ、米価も高騰するなど価格上昇が続きました。製造業は円安要因も有り比較的堅調に推移し、円安による海外からの観光客増加でサービス業など非製造業も好調に推移しましたが、米国トランプ大統領の関税見直し政策により先行き不透明な状態で年度末を迎えました。
当社が属する自動車業界では、認証不正問題の影響や中国市場での販売不振、国内での工場災害等で生産が上がらず、低調に推移しました。
この様な状況の中、当社グループの連結売上高は客先の生産減により22,590百万円(前年同期比4.5%減)、営業利益は売上減少を受けて755百万円(前年同期比47.8%減)、経常利益は期末のトランプショックで円高に振れたこともあり1,062百万円(前年同期比45.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は退職金制度移行に伴う特別損失162百万円の発生も有り486百万円(前年同期比63.1%減)と減収減益となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の業績は、次の通りであります。
① 金属関連部品事業
当連結会計年度の当事業の売上高は、19,944百万円(前年同期比3.1%減)となりました。認証不正問題の影響や中国市場での販売不振、国内での工場災害等による客先の生産減少により減少しました。
② 樹脂関連部品事業
当連結会計年度の当事業の売上高は、1,426百万円(前年同期比14.1%減)となりました。自動車減産の影響とタイ子会社旧イガリ インダストリー(タイランド)(現ムロ アジア パシフィック)の客先でも生産が減少したことにより減少しました。
③ その他事業
当連結会計年度の当事業の売上高は、1,219百万円(前年同期比14.0%減)となりました。国内はトラック市場やスチールハウス、建築市場等への新規販売により増加しましたが、海外は欧州及び米国、カナダの市場低迷により減少し、全体としても減少しました。
(2)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,938百万円減少し、30,492百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,328百万円減少し、8,423百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ390百万円増加し、22,069百万円となりました。
連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、1,261百万円減少し7,571百万円(前年同期比14.3%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、677百万円(前年同期比82.5%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益853百万円、減価償却費1,469百万円、売上債権の減少額118百万円、仕入債務の減少額1,438百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,392百万円(前年同期比35.9%減)となりました。これは主に有価証券の償還による収入322百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出1,203百万円、投資有価証券の取得による支出121百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、705百万円(前年同期は394百万円の獲得)となりました。これは主に配当金の支払額266百万円、短期借入金の純増減額391百万円の減少によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは受注より出荷までの期間が極めて短いため、得意先の生産計画に基づく週単位、旬単位、月単位での内示情報と、過去の流動傾向を基にした見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。そのため、実際の業績や財務状況は記載予想とは異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、会計上見積りが必要な費用につきましては、合理的な基準に基づき見積りをしております。
① 財政状態の分析
流動資産は、受取手形及び売掛金の増加232百万円がありましたが、現金及び預金の減少887百万円、電子記録債権の減少282百万円、有価証券の減少202百万円により前連結会計年度末と比較して1,124百万円減少し16,358百万円となりました。
固定資産は、退職給付に係る資産の減少595百万円により、前連結会計年度末と比較して813百万円減少し14,134百万円となりました。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末と比較して1,938百万円減少し30,492百万円となりました。
負債につきましては、1年以内返済予定の長期借入金の増加248百万円がありましたが、電子記録債務の減少1,396百万円、短期借入金の減少391百万円、未払法人税等の減少379百万円により前連結会計年度末と比較して2,328百万円減少し8,423百万円となりました。
純資産につきましては、22,069百万円と前連結会計年度末と比較して390百万円の増加となりました。これは退職給付に係る調整累計額209百万円の減少と配当金の支払265百万円がありましたが、為替換算調整勘定447百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上486百万円によるものです。
当社グループの当連結会計年度における売上高は22,590百万円(前連結会計年度比△1,065百万円・4.5%減)、営業利益は755百万円(前連結会計年度比△690百万円・47.8%減)、経常利益は1,062百万円(前連結会計年度比△887百万円・45.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は486百万円(前連結会計年度比△831百万円・63.1%減)となりました。
売上に関しましては、材料費や労務費、エネルギーコストやその他経費の価格転嫁を進めたものの、当社グループの主要取引先であります自動車業界の当連結会計年度における国内生産台数が8,468千台(前連結会計年度比△209千台・2.4%減)、1~12月の海外生産台数が16,477千台(前連結会計年度比△1,032千台・5.9%減)と共に減少し、これらを合算した全世界生産台数も24,946千台(前連結会計年度比△1,242千台・4.7%減)と減少したことにより4.5%減少しました。利益に関しましては、売上減少により営業利益は47.8%減少しました。期末に円高に振れたこともあり、経常利益は45.5%減少しました。結果、親会社株主に帰属する当期純利益は63.1%減少しました。
現金及び現金同等物の期末残高の推移
キャッシュ・フローの状況につきましては、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要)(3) キャッシュ・フローに記載の通りであります。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下の通りであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 1.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
2.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループでは、売上高の大半を車両関連部品が占めています。従いまして、当社グループの売上は自動車生産台数と生産される車種及びその生産地域の影響を強く受けます。
当社グループは鉄鋼材料を使用した製品を多く供給しており、鉄鋼市況や鉄スクラップ市況の影響を強く受けます。
近年では海外子会社の売上や利益が連結に占める割合が増加傾向にあり、為替変動による影響を受けます。
当社グループは様々な客先とお取引をさせていただいており、このことは個社事情による業績の変動を和らげて安定させる要素になり、強みであると考えております。この戦略については、今後も基本路線として堅持していくものでありますが、客先の多さが安定性をもたらす一方で、それ故に経営効率を落としている面もあります。このことについては、各々の客先との取引規模や将来性、全体像等を勘案しながら常に見直しをかけております。
当社グループの金属関連部品事業の競争力の源は、製品の具現化力と量産化力の高さにあると考えています。逆に言えば、簡単に形に出来てすぐに良品が量産出来るような製品では、当社グループの強みが十分に発揮出来ません。現状でも当社グループが競争力を有している製品は高難度部品、高付加価値部品でありますが、この戦略を踏襲しつつさらに深掘りし、現在手掛けていないような形状、加工、分野の製品にも挑戦していきたいと考えており、そのための研究開発についても引き続き注力していく所存であります。また、当社グループの金属関連部品事業の海外生産工場は、米国、ベトナム、インドネシア、中国の4拠点となります。当社グループといたしましては、海外拠点を最大限有効活用しつつグローバルでの生産・供給体制を武器にビジネスを拡大させて参る所存であります。
当社グループの樹脂関連部品事業につきましては、樹脂のみでなく樹脂+金属の複合的な部品の供給にも力を入れ、高付加価値部品戦略を展開していきたいと考えております。非自動車分野や高難度品、さらに樹脂+金属という複合部品も対応出来るようになれば、さらに付加価値の高い製品を開発、提案することが可能になると考えますので、シナジー効果をしっかり出せるように連携を密にして参ります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発は、高度化と低価格化という相反する顧客ニーズに対応するため、より技術水準の優れた製品を企画し、それらを開発し、顧客に提供していくことを基本方針としております。
現在の研究開発は、当社が単独で実施しております。主力加工分野である金属打抜(プレス)加工については、精密せん断の加工技術の開発や冷間鍛造加工技術の研究開発を行っております。また、金型部品の表面処理に関する研究や金属と樹脂の複合技術の開発を行っております。さらに、最近では環境保護や資源の有効利用を目的としての研究開発を実施しております。
その結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度の主な研究開発活動は以下のとおりであります。
① 金型表面処理及び加工油による型寿命向上技術開発
② CAEによる金型構造解析研究開発
③ 精密せん断加工技術の開発
④ 製品簡易測定技術開発
⑤ 自動化技術開発
⑥ 連続ねじ締め機の開発と新規格の高性能ねじの開発
⑦ 業務用の果物類皮むき機の開発
⑧ 連結ねじ製造技術の開発
⑨ 太陽光発電デバイス研究開発
⑩ 生分解性素材、バイオマス素材を使った製品の開発
⑪ EV,FCV等の次世代自動車部品の開発
⑫ 切削・研削加工技術開発
⑬ 電炉材活用技術開発
⑭ キッチン用品の開発