(1)業績
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)を取り巻く経済情勢は、米国や欧州など先進国では個人消費を中心に緩やかな景気回復が続きましたが、中国をはじめとした新興国では経済成長の鈍化や通貨安などの影響により先行き不透明な状況が継続しました。一方、国内では、個人消費は伸び悩んだものの、雇用環境の安定を通じ、景気は回復基調で推移しました。
自動車業界においては、グローバルな市場拡大が継続する中、環境及び安全への意識の高まりを受け、技術開発への取組みが活発化してきました。
当社グループは、このような環境変化をチャンスと捉え、グローバル生産体制の拡充、最適なオペレーションの構築、そして新規商品開発に注力いたしました。
まず、生産面においては、2015年10月、世界最大の市場である中国において2拠点目となる武蔵精密汽車零部件(南通)有限公司で量産を開始いたしました。また、販売好調な北米市場においては、メキシコのムサシオートパーツメキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイにおいて生産能力拡大に着手しました。
商品開発面においては、小型・軽量化により低燃費を実現するデファレンシャル※1、変速機構の変化により重要性を増すプラネタリィ※2などのユニット商品をグローバル市場に投入し、お客様からの高い評価を頂いております。
また、長期ビジョン「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」の具現化の加速及び更なる競争力強化に向けて、各事業でグローバル戦略を立案・推進する事業部別組織体制としました。既存の二輪事業部に加え「PT事業部※3」、「L&S事業部※4」を新設いたしました。
お客様ニーズに対して、事業単位で各機能を集約し、高い質やスピードを持った体制の構築をしていきます。
※1=自動車走行のコーナリング時に左右輪に発生する回転差を吸収し、トルク配分を行う機構部品
※2=エンジンの高速回転を自動車が走りやすい回転数に変換する機構部品
※3=Power Train:パワートレイン(自動車の駆動系部品事業)
※4=Linkage & Suspension:リンケージ&サスペンション(自動車のフレーム連結部・足回り部品の事業)
このような状況の中、当連結会計年度における連結売上高は164,397百万円(前連結会計年度比3.9%増)、連結営業利益は13,398百万円(同15.6%増)となりました。
セグメント別の状況につきまして、日本地域は国内需要の停滞により、売上高は27,717百万円(同11.0%減)、セグメント利益は2,517百万円(同109.1%増)となりました。
北米地域は、好調な市場環境により、売上高は46,925百万円(同28.1%増)、セグメント利益は2,944百万円(同25.8%増)となりました。
欧州地域は、安定した需要を背景として、売上高は6,645百万円(同9.7%増)、セグメント利益は942百万円(同6.3%増)となりました。
アジア地域は、成長鈍化は見られたものの、売上高は73,772百万円(同3.4%増)、セグメント利益は7,725百万円(同9.6%増)となりました。
南米地域は、経済の失速及び通貨安の影響が大きく、売上高は9,336百万円(同28.4%減)、セグメント損失は1,132百万円(前連結会計年度は9百万円の利益)となりました。なお、南米地域の連結子会社において、固定資産の減損損失1,455百万円を計上しております。
連結経常利益は11,449百万円(前連結会計年度比3.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は6,809百万円(同6.7%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,127百万円増加し、当連結会計年度末には14,253百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変化要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、22,968百万円(前連結会計年度比30.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益と減価償却費によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、10,211百万円(同49.7%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、7,585百万円(前連結会計年度337百万円の獲得)となりました。これは主に借入金返済によるものです。
(1)生産実績
当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
27,690 |
89.9 |
|
北米 |
47,835 |
127.1 |
|
欧州 |
6,477 |
108.0 |
|
アジア |
73,096 |
100.7 |
|
南米 |
9,315 |
73.4 |
|
合計 |
164,414 |
102.9 |
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。
(2)受注状況
当連結会計年度におけるセグメント別の受注状況を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
27,648 |
89.0 |
562 |
89.0 |
|
北米 |
47,153 |
128.0 |
1,049 |
127.7 |
|
欧州 |
6,655 |
109.6 |
130 |
108.0 |
|
アジア |
73,725 |
103.4 |
2,634 |
98.3 |
|
南米 |
8,959 |
69.2 |
1,052 |
73.7 |
|
合計 |
164,142 |
103.7 |
5,429 |
95.5 |
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。
(3)販売実績
当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
27,717 |
89.0 |
|
北米 |
46,925 |
128.1 |
|
欧州 |
6,645 |
109.7 |
|
アジア |
73,772 |
103.4 |
|
南米 |
9,336 |
71.6 |
|
合計 |
164,397 |
103.9 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する
割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
本田技研工業株式会社 |
23,105 |
14.6 |
20,721 |
12.6 |
3.金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。
グローバルの自動車市場は、長期的には二輪・四輪ともに拡大が見込まれる一方で、環境規制の強化、電動化の加速、自動運転に関する技術の進化など、当社グループを取り巻く事業環境は激しく移り変わっています。当社グループは、この環境変化をチャンスと捉え、継続的に成長するために、以下の課題を認識しております。
①事業領域においては、
・環境負荷の低減とモビリティの進化に貢献する、次世代のムサシブランド商品開発の強化
・拡大が見込まれる市場での事業基盤の強化
②しくみの領域においては、
・当社グループの総合力を最大化するためのグローバル最適オペレーションの実現
・高品質な商品を継続的に提供できる体質の確立
③人の領域においては、
・ムサシフィロソフィーを基軸とした、世界中の人財を育て、活用するマネジメントの強化
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
市場環境の変化
長期にわたる経済の低迷、消費者の購買意欲低下は、四輪車・二輪車の需要低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、これらの市場の経済低迷も、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
特定の販売先等への依存
当社グループは、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築するため、海外10カ国11社で生産を行っております。海外での生産拠点拡大と共に販売先も拡大してまいりましたが、平成28年3月期における本田技研工業株式会社及び同社子会社への売上高の連結売上高に占める販売割合は70.4%(本田技研工業株式会社への割合 12.6%)となっております。
従って、当社グループの業績は本田技研工業株式会社及び同社子会社の生産動向に影響を受け、その生産高が減少するような場合には業績が悪化する可能性があります。
為替変動
当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。
為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク
全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。
環境及びその他の規制
当社グループの属する自動車部品工業は、製造工場からの汚染物質排出レベル等に関して、広範に規制されております。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合、規制は強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。
特定の原材料等の外部業者への依存
当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。効率的に、かつ安いコストで供給を受け続けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。
合弁事業
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上及びその他の要件により合弁で事業を行っております。これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
地震等の自然災害
当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。製品の欠陥への対応
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
自動車部品業界の競争
当社グループは、当社グループが属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。
当社グループは、常に技術革新を目指し、高品質で付加価値の高い自動車用エンジン部品・サスペンション部品・ステアリング部品等の開発、競争力の向上に努めておりますが、今後も市場シェアを維持・拡大できる保証はありません。
知的財産権保護
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に第三者の知的財産権を侵害している可能性があります。
法的手続きへの対応
当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされた場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
技術援助契約
当社が締結している主な技術援助契約は次のとおりであります。
|
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
|
ムサシオートパーツミシガン・インコーポレーテッド |
アメリカ |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
1994年2月1日から 1999年1月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツカンパニー・リミテッド |
タイ |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
1987年12月28日から 1992年12月27日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ピーティー・ムサシオートパーツインドネシア |
インドネシア |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
1996年5月8日から 2001年5月7日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツカナダ・インコーポレーテッド |
カナダ |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
1998年1月1日から 2002年12月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシハンガリーマニュファクチャリング・リミテッド |
ハンガリー |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
2001年1月1日から 2005年12月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツインディア・プライベートリミテッド |
インド |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
2003年4月1日から 2004年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司 |
中国 |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
2006年1月1日から 2015年12月31日まで 10年間 |
|
ムサシオートパーツベトナムカンパニー・リミテッド |
ベトナム |
二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
2012年12月15日から 無期限(但し一定の終了事由あり) |
|
ムサシオートパーツメキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイ |
メキシコ |
四輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
2012年4月1日から 無期限(但し一定の終了事由あり) |
|
武蔵精密汽車零部件(南通)有限公司 |
中国 |
四輪自動車・二輪自動車及び汎用製品で随時決定される特定部品 |
①「特定部品」の製造・組立・販売に関する技術援助 ②工業所有権の提供 |
2015年12月1日から 2025年11月30日まで 10年間 |
(注) 上記についてはロイヤリティとして一定率を受け取っております。また、技術者を派遣した場合などには、別途技術援助収入を受け取っております。
ビジネス・プラットフォーム使用契約
当社が締結しているビジネス・プラットフォーム使用契約は次のとおりであります。
|
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
ムサシオートパーツミシガン・インコーポレーテッド |
アメリカ |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツカンパニー・リミテッド |
タイ |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ピーティー・ムサシオートパーツインドネシア |
インドネシア |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツカナダ・インコーポレーテッド |
カナダ |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシハンガリーマニュファクチャリング・リミテッド |
ハンガリー |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツインディア・プライベートリミテッド |
インド |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツベトナムカンパニー・リミテッド |
ベトナム |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ムサシオートパーツメキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイ |
メキシコ |
顧客からの受注を確保する ためのノウハウの使用許諾 |
2015年4月1日から 2018年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
(注) 上記についてはロイヤリティとして一定率を受け取っております。
株式譲渡契約
当社は、平成28年5月9日開催の取締役会において、特定目的会社(SPC)を通じ、Hay Holding GmbH(本社所在地:ドイツ)の全株式を取得し、同社およびその傘下にある事業会社を子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。
当社グループは、世界に信頼されるムサシブランド商品の創造と提供を、長期ビジョン「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」の主題として掲げ、独創的な商品開発と技術開発に取り組み、各四輪車メーカー、二輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、PT事業、L&S事業、二輪事業において、ニーズを先取り出来る提案型の開発とスピードを重視し推進しております。
研究開発活動は、当社および国内子会社の九州武蔵精密㈱が推進し、当連結会計年度における研究開発費は2,373百万円であり、主な成果は次のとおりであります。
6-1.商品開発
当連結会計年度においては、顧客の安全、省燃費化ニーズがますます高まり、要求機能、機構が変化する中、当社が誇る小型・軽量化技術と高い商品品質を活用したオリジナル商品を国内主要メーカーはもとより海外メーカーへも拡販し、新規顧客獲得に向けた提案力強化を図ってまいりました。また、これらを構成する材料や構成部品をグローバルに調達することで、顧客のニーズに合った地域で競争力の高い商品を提供する最適生産体制構築に注力し、今後も、更なるユニークな自社開発商品を、グローバルで拡大し続ける市場へ積極的に提案してまいります。
①PT事業 商品開発
デファレンシャルにおいては、当社の小型・高精度ベベルギヤを適用し、従来比10%ウェイトダウンとなる軽量デファレンシャルアッセンブリィの量産開発および適用拡大を図っております。更に、自動車排気量ごとに量産開発を行っておりました軽量デファレンシャルアッセンブリィの全シリーズ化を完了しております。また、海外顧客向けについても提案・拡販活動を強化し、着実に受注へと繋げております。今後も軽量化開発および現地調達化開発を継続的に行い、新規受注に向けた拡販活動を継続してまいります。
プラネタリィギヤにおいては、日本で培ったノウハウを各海外拠点へ水平展開し、日本同等の品質を確保した競争力の高いプラネタリィアッセンブリィの量産を開始し、今後は当社の生産技術力を活かした拡販活動を展開してまいります。
エンジン系に関しては、品質工学や最新のシミュレーション技術を積極的に取り入れ、効率的な商品開発を行っております。環境ニーズの高まりに合わせて進化する製品仕様に無駄なく追従可能な次世代ラインを開発し、新規顧客の獲得、事業の拡大を行ってまいります。
②L&S事業 商品開発
高まる環境ニーズに対応するため、高精度シミュレーションを活用した最適設計による小型・軽量のボールジョイントが顧客に採用されております。自社設計・一貫加工の強みを活かし、今後も軽量化商品を世界中の顧客に広く使用して頂ける様に、現地のリソースを最大限活用しながらグローバル展開を推進してまいります。
③二輪事業 商品開発
世界シェア№1の生産量を背景に蓄積した設計・加工技術を活かし、特に近年重要課題となっている環境規制対応も視野に入れ、最大市場である新興国向けのスクーター、モーターサイクルに適用できる新商品開発を強力に推進し、今後の新規受注に向けて展開してまいります。
6-2.先進技術研究
環境にやさしいモビリティ社会に貢献するため、電気自動車向け新機構商品、電動パーソナルモビリティ向け独自電動ユニットの研究を推進しております。また、要素技術研究の部分では、産学共同でトライボロジーをベースとした表面改質の研究開発を継続するとともに、モデルベース開発を基本にシミュレーション技術の基礎研究、実験設備の充実から、研究開発レベルの向上と効率化を実施しております。
6-3.生産技術開発
①加工技術開発
加工領域においては、自社ブランド商品の現地調達化に向けた最適工程設計の確立を図り、デファレンシャルにおいては、現地の特性を生かした工程設計や現地設備の活用を強力に推し進めております。プラネタリィアッセンブリィにおいても特殊表面処理の現地立上げ等を行い、グローバル供給体制を確立、各極で量産を開始しております。
②塑型技術開発
塑型領域においては、ロボット化を積極的に取り入れ、搬送時のダコン撲滅等品質改善及び省人によるコスト低減に取り組んでいます。更に異形部品の自動化にも挑戦しています。開発領域では武蔵鍛造独自の解析技術に取り組み、開発設計のリードタイムを大幅に短縮しています。
③二輪生産技術開発
二輪・汎用領域においても四輪と同様、一貫生産技術の更なる進化による生産効率化と、より付加価値の高いモジュール受注に向けた生産技術開発を推進しております。大量、廉価に加え、排ガスのクリーン化・燃費向上のために部品機能・性能への要求が高度化する中、当社では、精密鍛造技術による仕上げ加工の極小化や工程集約などのコスト低減活動により、一例としてボトムブリッジ異形鍛造製法を確立し、原価低減を達成することができました。また、新しい加工方案や四輪生産技術とのシナジー効果を最大限活用した技術進化にも挑戦しております。拡大する二輪コミューター市場を背景に、冷間及び熱間鍛造技術を更に進化させ、シェービング工程廃止、レース工程削減、歯面仕上げ工程削減等を進めております。今後も四輪生産技術とのシナジー効果を最大限活用し、二輪部品生産技術の更なる進化を追及してまいります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。
重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。
次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。
連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。
○退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは退職給付債務に関する会計上の見積りを「重要な会計上の見積り」と認識しております。それは仮定の変化が、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるためであります。仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。
○有形固定資産
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは各社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、各社単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額に基づいて行っております。
当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
○繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存する為、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経済情勢は、米国や欧州など先進国では個人消費を中心に緩やかな景気回復が続きましたが、中国をはじめとした新興国では経済成長の鈍化や通貨安などの影響により先行き不透明な状況が継続しました。一方、国内では、個人消費は伸び悩んだものの、雇用環境の安定を通じ、景気は回復基調で推移しました。
このような環境の中、当連結会計年度における連結売上高は164,397百万円(前連結会計年度比3.9%増)、連結営業利益は13,398百万円(同15.6%増)となりました。
(3)財務状態及び流動性
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持及び健全なバランスシートの維持を財務方針としております。当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は22,968百万円となりました。投資活動の結果使用した資金は10,211百万円となりました。財務活動の結果使用した資金は7,585百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は14,253百万円となりました。
(4)経営戦略と見通し
当社は、お客様や社会のニーズ、またビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応すべく、長期ビジョン「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」ならびに、長期ビジョンに基づく中期経営計画「(DIG-Change)MS-Innovationで未来への基盤を創る」を設定し、競争の激化する世界市場で継続的な成長を目指してまいります。
・第12次中期計画 決意「(DIG-Change)MS-Innovationで未来への基盤を創る」
「MS-Innovation」は、「Musashi Structure・System・Smile-Innovation」を表し、当社の事業における「事業構造」、「しくみ」、「人」の3領域について、戦略的に改革していくことを示しています。
・第12次中期計画 グループ経営方針
Structure(事業)“ものづくり”の探求で商品競争力を強化し、世界で最適・最強の事業構造を目指す。
System(しくみ) グループ総合力を最大化するしくみを構築し、グローバル最適オペレーションを目指す。
Smile(人) 世界のムサシマンを育てるしくみ、活かすマネジメントで、フィロソフィーで繋がる“One Musashi"を目指す。
・第12次中期計画 戦略テーマ
Structure(事業)
① 次世代ムサシブランドの創出
環境負荷の低減とモビリティの進化に貢献することを目指して、より高い付加価値を提供できるものづくり体制への転換を図り、未来のムサシブランドを生み出す新しい商品・技術の開発を強化してまいります。
② 二輪事業の再構築
二輪パワートレインのトップランナーとして成長市場で圧倒的な価値を提供する為に、マザーの戦略策定力と主戦場であるアジアでの戦略実行力を強化し、二輪ものづくりの革新に努めてまいります。
③ 四輪事業の再構築
四輪機能部品の専門メーカーとして違いを生み出せる技術と商品でグローバル市場をリードする為に、商品単位で最適な経営資源の配分を行い海外の安価なインフラの活用やパートナーとの協業も視野に入れた戦略的な取り組みを展開してまいります。
System(しくみ)
④ グローバルプラットフォームの構築
グローバルオペレーションのベースとなる会計と生産管理の基幹システムを刷新し、グローバルでしくみを統一し、見える化し、効率化することで、連結経営の基盤強化を進めてまいります。
⑤ M-FLO(注1)・M-QCD(注2)の融合と進化
仕事のしくみの本流であるM-FLOをグローバルで展開すると共に、M-QCD活動を発展させ自立した高い生産体質現場を構築することで、新機種立ち上げの度に進化するものづくり会社を確立してまいります。
(注1)当社の受注展開から量産立ち上げに至る一連の業務フローを標準化したしくみ。
(注2)当社の生産拠点の体質を品質システム、生産システム、工程管理の3領域から評価・改善するしくみ。
Smile(人)
⑥ グローバル人財活用の基盤構築
国を越えて人々が交流し活躍できる人事制度を導入すると共に、多様性を受け入れ活かすためのマネジメント力・コミュニケーション能力を高める育成制度を整備し、ムサシフィロソフィーを基軸に世界の舞台でリーダーシップを発揮できる人財の創出に努めてまいります。