第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

自動車業界においては、自動運転技術の進化や急激なEVシフトなど、100年に一度と言われる大きな変革の波が押し寄せています。一方で、昨今ではメーカーによる品質不正が社会問題化し、コンプライアンス、企業ガバナンスの重要性が改めて問われています。このような状況下、当社グループでは、グローバルでの持続可能な成長と、進化するテクノロジーを活用した社会課題解決への貢献をめざし、以下の取組みを進めてまいります

(1) 環境変化をチャンスとして捉えた事業の創出とより良い企業風土づくり

旧HAYグループ、株式会社浅田可鍛鋳鉄所との統合シナジーにより、高品質で廉価なものづくりに磨きをかけるとともに、テクノロジーの進化を先取りした先進的な商品・技術・サービスの開発と事業化に取り組んでまいります。また、品質については、真にお客様のためになる商品、サービスの提供を第一に考え、不正を未然に防ぐ、オープンで風通しの良い企業風土づくりを進めてまいります。

(2) 共通システムを活用したグローバルオペレーションの効率化

グローバルの拠点で導入を進める共通のプラットフォームを活用し、管理・間接業務を始めとしたオペレーションを効率化してまいります。人が人らしく創造性を活かせる領域で力を発揮できるよう、働き方の改革も視野に、しくみづくりと継続的な改善に取り組んでまいります。

(3) 人材育成とサステナビリティの実現に向けた継続的な取り組み

新しい技術開発・事業化を担う人材の育成に継続的に取り組んでまいります。また、サステナビリティへの取り組みを企業経営の重要課題として捉え、事業活動を通じたSDGs達成への貢献などにより、世界中のステークホルダーの皆さまから信頼される企業グループを目指します。

 

※=Sustainable Development Goals:2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発のための国際目標

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

市場環境の変化

長期にわたる経済の低迷、消費者の購買意欲低下は、四輪車・二輪車の需要低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、これらの市場の経済低迷も、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

特定の販売先等への依存

当社グループは、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築するため、14カ国33拠点で生産を行っております。海外での生産拠点拡大と共に販売先も拡大してまいりましたが、2019年3月期における本田技研工業株式会社及び同社子会社への売上高の連結売上高に占める販売割合は50.2%(本田技研工業株式会社への割合8.6%)となっております。

従って、当社グループの業績は本田技研工業株式会社及び同社子会社の生産動向に影響を受け、その生産高が減少するような場合には業績が悪化する可能性があります。

為替変動

当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。

為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク

全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。

環境及びその他の規制

当社グループの属する自動車部品工業は、製造工場からの汚染物質排出レベル等に関して、広範に規制されております。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合、規制は強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。

特定の原材料等の外部業者への依存

当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。効率的に、かつ安いコストで供給を受け続けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。

合弁事業

当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上及びその他の要件により合弁で事業を行っております。これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

地震等の自然災害

当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

製品の欠陥への対応

当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

情報セキュリティ

当社グループは、事業活動の管理・支援、及び当社製品の製造・研究開発において、第三者に委託しているものも含め、様々な情報システムや情報ネットワークサービスを利用しています。これらの情報システム・ネットワークサービスの利用においては、当社グループが保有する機密情報を保護し、外部への流出を防止するために、規程・管理体制を整備し、ハード及びソフトの両面においてセキュリティ対策を実施しています。しかし、ハッカーやコンピュータウィルスなど外部からのサイバー攻撃、当社グループが利用する情報システムや情報ネットワークサービスにアクセスすることができる者による不正使用や管理上の不備、また、自然災害に伴うインフラ障害などによって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その場合、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生など、当社グループの事業・財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

自動車部品業界の競争

当社グループは、当社グループが属している各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面すると予想されます。当社グループは、常に技術革新を目指し、高品質で付加価値の高い自動車用エンジン部品・サスペンション部品・ステアリング部品等の開発、競争力の向上に努めておりますが、今後も市場シェアを維持・拡大できる保証はありません。

知的財産権保護

当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に第三者の知的財産権を侵害している可能性があります。

法的手続きへの対応

当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされた場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は前半においては緩やかな回復基調となったものの、後半にかけては米中貿易摩擦や英国のEU離脱などの懸念材料を背景に鈍化が見られました。自動車業界におきましては、世界最大市場の中国での需要に鈍化が見られたものの、「CASE」=Connectivity(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared(共有)、Electric(電動化)に代表される100年に一度の大変革期を迎えており、新しい製品・サービスが続々と生まれています。当社グループはこの環境変化をグローバルサプライヤーとしてのポジションを確立するチャンスと捉え、当期も既存事業の一層の強化と先端技術の開発、新事業の開拓を進めてまいりました。

事業面では、ムサシの強みである一貫加工技術の進化、事業基盤の強化のため、株式会社浅田可鍛鋳鉄所の全株式を取得し、子会社化しました。パワートレイン事業における商品開発力の更なる向上および生産体制の拡充に向けた取り組みを進めております。欧州では、2016年に買収した旧HAYグループ会社の商号を変更して全拠点の会社名に”Musashi”を冠してブランド名を統一し、ムサシブランドの一層の浸透とムサシヨーロッパ各社との統合の強化を図って参りました。世界最大の中国市場強化の一環としては南通拠点の生産能力を拡張し、量産を開始致しました。

研究開発面では、Industry 4.0に向けてイスラエルのSix Eye社とのパートナーシップ提携を行いました。設備間ならびに設備と人間とのリアルタイムでのコミュニケーションと協働を可能にするスマートファクトリーの実現を目指して工場用自動搬送車(SDV : Self Driving Vehicle)や、自動画像検査装置用AIアルゴリズムなどの共同開発に取り組んでおり、企業競争力の強化につなげます。

営業面では、当社の主力製品であるデファレンシャルの受注が引き続き好調に推移しました。またEV時代において需要が拡大する高性能ギアなどの次世代部品については新規顧客からの引き合いも増加しています。トランスミッション部品世界トップシェアの二輪事業は海外メーカーからの受注が増加しています。

そのような中、当連結会計年度の業績は、アジア、南米での現地通貨安の影響はあったものの全地域で売上増加となり、連結売上高は255,934百万円(前連結会計年度比7.6%増)と増収となりました。利益面では、連結営業利益は14,107百万円(同10.5%減)、連結経常利益は14,791百万円(同7.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,885百万円(同4.5%減)と減益となりました。

セグメント別の状況は次の通りです。

(日本)

売上高は33,699百万円(同17.1%増)と増収、セグメント利益は2,733百万円(同26.3%増)と増益となりました。

(米州)

売上高は55,922百万円(同7.3%増)と増収、機種構成の変化等により、セグメント利益は2,017百万円(同2.7%減)と減益となりました。

(アジア)

売上高は64,955百万円(同2.0%増)と増収、品質費用の引当等により、セグメント利益は5,600百万円(同11.1%減)と減益となりました。

(中国)

売上高は23,597百万円(同14.3%増)と増収、開発費用の増加及び北米向け輸出の減少等によりセグメント利益は3,091百万円(同3.7%減)と減益となりました。

(欧州)

売上高は、鋼材価格上昇の売価反映等により77,759百万円(同7.0%増)と増収、乗用車市場の低迷及び好調な商用車需要に対応するためのコスト増等によりセグメント利益は315百万円(同78.4%減)と減益となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、26,714百万円となりました。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益14,669百万円、減価償却費18,178百万円です。資金の主な減少要因は、仕入債務の減少4,658百万円です。

投資活動の結果使用した資金は、19,847百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得15,340百万円です。

財務活動の結果使用した資金は、6,616百万円となりました。主な要因は、借入金の減少及び社債の償還3,086百万円です。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金等同等物は27,069百万円となりました。

③生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

33,986

117.5

米州

56,421

109.0

アジア

65,722

103.8

中国

24,004

113.7

欧州

77,233

103.9

合計

257,368

107.5

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。

 

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

33,799

117.3

682

117.1

米州

56,129

107.5

2,190

110.5

アジア

65,083

101.7

2,768

104.8

中国

23,658

113.7

479

114.6

欧州

77,866

107.2

1,615

107.1

合計

256,537

107.6

7,736

108.5

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。

 

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

33,699

117.1

米州

55,922

107.3

アジア

64,955

102.0

中国

23,597

114.3

欧州

77,759

107.0

合計

255,934

107.6

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する

割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業株式会社

21,556

9.1

21,937

8.6

3.金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。

なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。

重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。

次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。

連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。

○退職給付費用及び退職給付債務

当社グループは退職給付債務に関する会計上の見積りを「重要な会計上の見積り」と認識しております。それは仮定の変化が、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるためであります。仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

○固定資産

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会  平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号  平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは各社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、各社単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額に基づいて行っております。

当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

○繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存する為、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。

指標

2018年度

(計画)

2018年度

(実績)

2018年度

(計画比)

連結売上高

249,000百万円

255,934百万円

6,934百万円増 (2.8%増)

連結営業利益

17,000百万円

14,107百万円

2,893百万円減(17.0%減)

親会社株主に帰属する当期純利益

10,400百万円

9,885百万円

 515百万円減 (5.0%減)

1株当たり当期純利益

166.59円

155.55円

11.04円減

当連結会計年度における連結売上高は計画比6,934百万円増(2.8%増)となりました。これは、アジア、南米での現地通貨安の影響はあったものの、全地域で売上が増加したことによるものです。連結営業利益は計画比2,893百万円減(17.0%減)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は計画比515百万円減(5.0%減)、1株当たり当期純利益は計画比11.04円減となりました。これは、品質費用の引当と、インド、北米での販売が減少したこと等によるものです。

 

③資本の財源及び資金の流動性

(ⅰ)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(ⅱ)借入金等の状況

2019年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。

 

区分

年度別要支払額(百万円)

1年以内

1年超5年以内

5年超

合計

短期借入金

25,140

25,140

長期借入金

14,515

47,652

1,521

63,688

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

(ⅲ)財務政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金並びに社債で調達しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、世界に信頼されるムサシブランド商品の創造と提供を長期ビジョン「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」の主題として掲げ、独創的な商品開発と技術開発に取り組んでおります。各四輪車メーカー、二輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、PT事業、L&S事業、二輪事業において世界No.1を目標にニーズを先取り出来る提案型の開発をスピード重視で推進しております。また、昨年度よりAIによる製品検査装置の開発にも着手し、スマートファクトリーの具現化に向けた活動も積極的に進めております。研究開発活動は、主に当社および国内子会社の九州武蔵精密株式会社が推進し、当連結会計年度における研究開発費は3,587百万円であり、主な成果は次のとおりであります。

(1) 商品開発

当連結会計年度においては、顧客の安全、省燃費化、電動化ニーズが高まり、要求機能、機構が変化する中、当社が誇る小型・軽量化技術と高い商品品質を活用したオリジナル商品を国内主要メーカーはもとより海外メーカーへも拡販し、新規顧客獲得に向けた提案力強化を図ってまいりました。また、これらを構成する材料や構成部品をグローバルに調達することで、顧客のニーズに合った地域で競争力の高い商品を提供する最適生産体制構築に注力し、今後も、更なるユニークな自社開発商品を、グローバルで拡大し続ける市場へ積極的に提案してまいります。

①PT事業 商品開発

デファレンシャルにおいては、当社の小型・高精度ベベルギヤを適用し、従来比10%ウェイトダウンとなる軽量デファレンシャルアッセンブリィの量産開発および適用拡大を図っております。自動車排気量ごとにラインナップ化しました軽量デファレンシャルアッセンブリィは日本国内の顧客はもちろんのこと、海外顧客向けについても提案・拡販活動を強化し、着実に受注へと繋げております。電動化の流れが進む中で、新規顧客からの引き合い、受注も増えており、電動化における要求機能の変化を捉え、開発の効率化を行い積極的な活動を進めています。今後もファイナルギヤ一体構造等を適用した更なる軽量化開発および現地調達化開発を継続的に行い、新規受注に向けた拡販活動を継続してまいります。

プラネタリィギヤにおいては、日本で培ったノウハウを各海外拠点へ水平展開し、日本同等の品質を確保した競争力の高いプラネタリィアッセンブリィの量産を開始し、今後は当社の生産技術力を活かした拡販活動を展開してまいります。

②L&S事業 商品開発

サスペンション、ステアリングの部品を手掛けるL&S事業部は最適設計による部品の小型化とアルミの適用による軽量化を技術軸として、日本はもとより海外の新規顧客からご評価頂き新規受注へと繋がっております。また電動化に伴う顧客要求の変化に対応した製品開発を行うとともに、製造領域での新工法の開発、購買領域での廉価材料の開拓など原価低減を継続的に行うことで、魅力的な商品の開発を展開してまいります。

③二輪事業 商品開発

二輪車用トランスミッションシェアー世界No.1サプライヤーとして培ったものづくりのノウハウや設計・加工技術の融合により、合理性に富み商品魅力に優れるスクーター、モーターサイクル用新商品開発を強力に推進すると共に、二輪用トランスミッションの受託設計へも積極的に展開してまいります。

 

(2) 先進技術研究

ハイブリッド車や電動自動車&二輪車に不可欠な独自電動ユニットの研究・開発を推進しております。電動ユニットそのものの開発、電動ユニットに必要な要素技術の開発を並行して推進しており、その開発においては、最新のCAE(コンピュータ設計支援)によるシミュレーションを駆使し、仕様最適化、開発の加速を実施し、お客様の要求に見合う電動ユニットの商品化を目指してまいります。

(3) 生産技術開発

①加工技術開発

加工領域においては、自社ブランド商品の更なるコスト競争力を高める為の地域別モデル工程の確立を図り、地域の特性を生かした最適設計と現地設備の活用を強力に推し進めております。デファレンシャルにおいては、株式会社浅田可鍛鋳鉄所とのシナジー効果を発揮し、素材工程から加工工程までの工程の最小化と効率化を加速させる予定です。また、自動車の電動モーターに付帯する減速装置内の高精度ギヤの独自の加工によるコストの削減、新たな付加価値を提案する加工技術を追求しております。さらに、複雑化する市場ニーズに対応すべく、多様なギヤを成形試作できる試作設備の導入を行い、顧客と環境の変化に柔軟に対応できる生産技術を探求しております。

②塑型技術開発

塑型領域においては固有技術の水平展開を加速させ、bevel gearの金型寿命向上、歩留まり改善を量産に結び付けてコスト削減を成功させております。開発領域では電動化部品に対応する設備開発から鍛造手法も独自性を入れた廉価な作りを進めています。武蔵鍛造技術とグループ会社であるムサシヨーロッパの独自技術を融合した「世界で戦える最廉価SHAFT」の鍛造共同開発に着手しております。

③二輪生産技術開発

二輪・汎用領域においては、一貫生産技術の更なる進化による生産効率化と、より付加価値の高いモジュール受注に向けた技術開発を推進しております。大量、廉価に加え、各国の環境規制強化による部品機能・性能への要求が高度化する中、当社では、精密鍛造技術による仕上げ加工の極小化や工程集約などのコスト低減活動を推進しております。一例として多機能部品の一体化および加工レスを軸とした技術開発テーマを事業プロジェクトとして推進しております。また、ムサシ初のハテバ社製の最速熱間フォーマーを今期インドネシアに導入し、更なる競争力強化に尽力しております。拡大する二輪コミューター市場を背景に、冷間及び熱間鍛造技術を更に進化させ、シェービング工程廃止、レース工程削減、歯面仕上げ工程削減等を進めております。今後も四輪技術とのシナジー効果を最大限活用し、二輪部品生産技術の更なる進化を追求してまいります。

(4) AI研究

「人にはもっと人らしい仕事を」を理念にAIを製造現場に実装し、ものづくりのイノベーションに取り組んでいます。当社の製品は、搬送、加工、検査の工程を経てお客様のもとへ出荷されています。このうち、加工はものづくりの中核であり、人の技術や判断が付加価値を生むのに対し、搬送や目視検査は、決められたことを繰り返す作業で、長時間にわたる高負荷作業となっています。当社のAIプロジェクトはこの搬送、目視検査の工程にフォーカスしており、AI inspection, SDV(Self Driving Vehcle)の開発を進めています。繰り返し作業の仕事は自動化をすることで、人間は未来に向けて新しいものを生み出したり、仕事を変革していったりする、働きがいのある人間らしい仕事ができる環境づくりに挑戦しています。今後も当社の生産拠点をはじめ世界のものづくりの現場に幅広く技術を提供することを目指します。