(1)経営方針
当社グループは、「わたしたちは独創的なものづくりを探究し、世界の人々に信頼される魅力的な商品の提供を通じて、地球社会の発展に貢献します」との社是のもと、グローバルでの持続可能な成長と、新たなテクノロジーを活用した社会課題解決への貢献を目指しております。
(2)中長期的な経営戦略
当社グループは中長期的な事業成長を実現するため、Structure(事業)、System(仕組み)、Smile(人)の各領域で以下の施策に取り組んでおります。
①Structure(事業)領域
・グループ全体の総力を挙げて、戦略商品の競争力を強化します。
・常に顧客のことを考え、高品質かつ最廉価を両立するものづくりを探求します。
・先端テクノロジーを素早く取り入れ、社会課題の解決に資する新規事業を創出します。
②System(仕組み)領域
・ITシステムを徹底的に活用し、最適なグローバルオペレーションを実現します。
・業務の標準化とシステム化を通じ、事業活動を効率化します。
・顧客ニーズの変化を捉え、研究開発を一段とスピードアップします。
③Smile(人)領域
・本社機能の進化とともに、世界の各地域のオペレーションを強化します。
・チャレンジ精神にあふれた人財の育成と企業風土を醸成します。
・社会から信頼されるサステナビリティの強化に取り組みます。
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、事業の成長を通じた収益の拡大による企業価値の向上を経営目標としております。また、売上高の拡大に注力する一方、コスト削減による利益体質の向上を図ってまいります。その経営結果の指標としては、連結営業利益、EBITDAならびにROICを重視しております。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。
(4)経営環境及び対処すべき課題等
新型コロナウイルス感染症の影響により世界経済は大きく減速し、回復には相応の時間を要することが予想されております。また、自動車業界においては、電動化、自動運転、コネクテッド等の技術革新が加速度的に進展し、大きな変革の波が押し寄せています。このような状況下におきましても、当社グループでは以下の取り組みを進めてまいります。
①スリムで筋肉質な企業体質の構築
世界の自動車市場の低迷を想定し、売上が減少しても利益を創出できるスリムで筋肉質な企業体質の構築に取り組みます。具体的には徹底的なコストの見直しによる総費用削減や技術力を活かした投資の効率化、世界各地での改善活動を推進します。特に欧州地域では、生産の集約ならびに生産体制の再構築で稼働率を高め、課題となっている収益力の向上につなげます。
②電動化時代に対応した新商品開発
車両の電動化に伴い、当社の供給する動力伝達部品、足回り部品等には、従来に増して小型化・軽量化、高精度化が求められます。これまで培った技術を活かして、オリジナルの小型・軽量デファレンシャルアッセンブリィや減速機向けの高精度ギヤの事業拡大に注力してまいります。厳しい事業環境においても、電動車向けのオリジナル減速機ユニットなどの開発を加速します。
③社会課題の解決に資する新規事業の創出
ものづくりの技と先進テクノロジーの融合によるイノベーションを通じ、事業活動を通じた社会課題解決への貢献を目指します。AIを活用した製造業向けソリューションサービスや、海外のスタートアップ企業との協業によるスマートモビリティ関連事業、フレキシブルな電力供給、電力利用の効率化に寄与するエネルギーソリューション事業など、既存事業の枠組みを越えた新規事業の創出に取り組んでまいります。
④グローバルプラットフォームの徹底活用による業務効率の向上
グローバルの拠点で導入を進めてきた共通のプラットフォームを徹底的に活用し、業務効率の飛躍的な向上につなげます。リモートワークやバーチャルでの技術支援の導入をはじめ、テクノロジーの進化に対応した新しい働き方を通じて成果の最大化を目指します。
⑤社会から信頼されるサステナビリティへの取り組み
サステナビリティへの取り組みを重要な企業課題として引き続き捉え、社会課題の解決を目的とした事業活動や地域社会との共生によりSDGs※の達成に貢献し、世界中のステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指します。
※=Sustainable Development Goals:2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発のための国際目標
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難である場合、記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変化に関するリスク
・市場環境の変化
長期にわたる経済の低迷は、四輪車、二輪車ユーザーの購買力、購入意欲低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、地理的要因、各種規制、政治不安、商習慣の違いなど様々な潜在的リスクが存在します。
また、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は今後も続くことが予想されております。今後、更なる感染の拡大などにより人の移動や経済活動に対する制約が長期化する場合、四輪車・二輪車の需要低下や当社の事業活動そのものの停滞するリスクが存在します。
これらのリスクに対応できない場合は売上高が減少する等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
コロナリスクに対する取り組みとしては、想定される変化に追従できる「スリムで筋肉質な企業体質」を構築するため、総費用の削減、リモートワークの推進、業務プロセスの徹底的な効率化等の施策を推進しております。
(2)既存事業展開に関するリスク
・自動車部品業界の構造変化、競争の激化
CASEに代表される技術革新が進むことで自動車の機構変化が進み、当社の既存商品の販売が低迷、縮小する可能性があります。当社は技術動向、市場の変化を注視し、年度毎の事業戦略のローリングによって環境変化に適応した事業展開を進めておりますが、想定を超える変化が起こる場合、売上高が減少する等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、CASEの変化は“自動車の所有”から“移動サービスの利用”という形に社会のニーズを変化させ、それを背景に新たなプレイヤーの参入や、系列の枠組みを越えたサプライチェーンの再編などが現実のものとなっています。当社はこのような変化を更なる飛躍のチャンスと捉え、小型・軽量・高精度を強みとするデファレンシャルアッセンブリィや減速機ギヤ、電動車両向けの駆動ユニット開発など、商品の高付加価値化と事業の拡大に取り組んでおりますが、メガサプライヤ―などとの競争環境も激化しており、当社グループの商品開発、受注活動が順調に進展しない場合、売上高が減少する等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・特定の販売先等への依存
当社グループは、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築するため、14カ国34拠点で生産を行っております。海外での生産拠点拡大と共に販売先も拡大してまいりましたが、2020年3月期における本田技研工業株式会社及び同社子会社への売上高の連結売上高に占める販売割合は約52%(本田技研工業株式会社への割合8.2%)となっております。
従って、当社グループの業績は本田技研工業株式会社及び同社子会社の生産動向に影響を受け、その生産高が減少するような場合には経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは当該のリスクを軽減するため、想定される変化に追従できる企業体質の構築に取り組んでおります。
・特定の原材料等の外部業者への依存
当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。効率的に、かつ安いコストで供給を受け続けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、発注数量の最適化や新たな取引先の開拓などにより、競争力のある、安定した価格で原材料等を調達するための取り組みを進めております。
・製品の欠陥への対応
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、開発から量産に至るプロセスを通じて商品の品質を評価、保証する仕組みを構築することで、お客様の信頼を頂ける生産・供給体制を維持しております。
(3)新規事業展開に関するリスク
当社は、将来にわたる事業の継続的成長と、持続可能な社会の実現を目指し、既存事業の枠組みに捉われない新規事業の創出に取り組んでおります。これらの活動の中では、新たな技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発なども行っております。対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合などには、減損損失の発生などによって当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは事業拡大のため積極的な投資を行っていることから当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。当社グループは当該リスクを軽減するため、経営会議における投資計画の厳格な検証、投資会社の事業計画の達成状況のモニタリングを適宜行っております。
(4)その他
・為替変動
当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。
・為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク
全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、必要に応じて経営会議において契約内容を慎重に検討しております。
・合弁事業
当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上及びその他の要件により合弁で事業を行っております。これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
・情報セキュリティ
当社グループは、事業活動の管理・支援、及び当社製品の製造・研究開発において、第三者に委託しているものも含め、様々な情報システムや情報ネットワークサービスを利用しております。これらの情報システム・ネットワークサービスの利用においては、当社グループが保有する機密情報を保護し、外部への流出を防止するために、規程・管理体制を整備し、ハード及びソフトの両面においてセキュリティ対策を実施しております。しかし、ハッカーやコンピュータウィルスなど外部からのサイバー攻撃、当社グループが利用する情報システムや情報ネットワークサービスにアクセスすることができる者による不正使用や管理上の不備、また、自然災害に伴うインフラ障害などによって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その場合、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生など、当社グループの事業・財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・知的財産権保護
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、意図せず第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造した場合の売上の減少、あるいは当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合の損害賠償請求による損失の計上により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、当社製品に採用される技術は特許出願により確実に保護すること等により、他社による権利侵害が継続しないように対処しております。また技術開発、製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。
・法的手続きへの対応
当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされた場合、和解金及び罰金等の費用が発生し当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、コンプライアンス教育の推進や、内部統制委員会の設置等により、法令が遵守される体制を維持しております。
・環境及びその他の規制
当社グループの属する自動車部品工業は、製造工場からの汚染物質排出レベル等に関して、広範に規制されております。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合、規制は強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、CO2排出量や廃棄物の削減に具体的目標値を定めることで、環境負荷の低減活動に経常的に取り組んでおります。
・地震等の自然災害
当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、災害対応能力の向上のため定期的に初動対応訓練を行っております。また大規模自然災害や感染症等の発生を想定した事業継続計画を策定・運用しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦等の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響が世界的に拡大したことにより、急激な減速に転じました。自動車業界におきましても世界的な消費者マインドの低下等の影響を受け需要が低迷し、新型コロナウイルス感染症により更に生産台数の減少に追い打ちをかけました。
当社グループとしてはこうした状況のなか、当連結会計年度も既存事業の一層の強化と先端技術の開発、新事業の開拓を進めました。
事業面では、2018年に買収した株式会社浅田可鍛鋳鉄所の社名を武蔵キャスティング株式会社に変更いたしました。会社名に「武蔵」を冠してブランド名を統一することによりムサシブランドの一層の浸透と統合の強化を図るとともに、商品開発力の更なる向上と生産体制の拡充に向けた取組を継続します。また、成長が期待されるインド市場ではバワル工業団地内の新工場の稼働を開始いたしました。
研究開発面では、ハイブリッド車や電動自動車、電動二輪車に不可欠な独自電動用減速機ユニットの研究・開発を推進しております。更に最新のコンピュータ設計支援によるシミュレーションを駆使し、仕様の最適化や開発期間の短縮にも取り組んでおります。
営業面では、主力製品であるデファレンシャルや、需要が拡大する電動車の商品性の向上に寄与する高精度ギヤなどの受注が好調に推移しました。トランスミッション部品世界トップシェアの二輪事業では、新興国を中心に海外メーカーからの受注が着実に増加しています。
そのような中、当連結会計年度の業績は、連結売上高は236,355百万円(前連結会計年度比7.6%減)と減収となりました。利益面では、連結営業利益は7,285百万円(同48.4%減)となりました。連結経常利益は7,113百万円(同51.9%減)、そして欧州子会社における固定資産の減損損失の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純損失は6,902百万円(前連結会計年度は9,885百万円の利益)となりました。
セグメント別の状況は次の通りです。
(日本)
売上高は35,316百万円(同4.8%増)と増収、セグメント利益は2,793百万円(同2.2%増)と増益となりました。
(米州)
売上高は55,924百万円(同0.0%増)と増収、機種構成の変化等により、セグメント利益は1,761百万円(同12.7%減)と減益となりました。
(アジア)
売上高は61,678百万円(同5.0%減)と減収、インドでの需要低迷等により、セグメント利益は4,309百万円(同23.1%減)と減益となりました。
(中国)
新型コロナウイルス感染症の影響により売上高は、22,003百万円(同6.8%減)と減収、またセグメント利益は北米向け輸出減少の影響も加わり、1,732百万円(同44.0%減)と大幅な減益となりました。
(欧州)
売上高は、61,433百万円(同21.0%減)と減収、乗用車及び商用車の需要の低迷により、セグメント損失は
3,603百万円(前連結会計年度は315百万円の利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、23,246百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,823百万円の減少となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、26,359百万円となり、前連結会計年度が26,714百万円であったことに比べ、355百万円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、18,673百万円となり、前連結会計年度が19,847百万円であったことに比べ、1,174百万円の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、10,878百万円となり、前連結会計年度が6,616百万円であったことに比べ、4,261百万円の増加となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
35,813 |
105.4 |
|
米州 |
55,618 |
98.5 |
|
アジア |
61,370 |
93.4 |
|
中国 |
21,092 |
87.8 |
|
欧州 |
59,094 |
76.5 |
|
合計 |
232,989 |
90.5 |
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。
(ⅱ)受注実績
当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
35,348 |
104.6 |
715 |
104.8 |
|
米州 |
54,977 |
97.9 |
1,243 |
56.8 |
|
アジア |
61,609 |
94.7 |
2,699 |
97.5 |
|
中国 |
22,000 |
93.0 |
476 |
99.4 |
|
欧州 |
61,147 |
78.0 |
1,329 |
82.3 |
|
合計 |
253,082 |
91.6 |
6,463 |
83.5 |
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
35,316 |
104.8 |
|
米州 |
55,924 |
100.0 |
|
アジア |
61,678 |
95.0 |
|
中国 |
22,003 |
93.2 |
|
欧州 |
61,433 |
79.0 |
|
合計 |
236,355 |
92.4 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。
|
指標 |
2019年度 (計画) |
2019年度 (実績) |
2019年度 (計画比) |
|
連結売上高 |
238,500百万円 |
236,355百万円 |
2,145百万円減 (0.9%減) |
|
連結営業利益 |
10,400百万円 |
7,285百万円 |
3,115百万円減 (30.0%減) |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
7,000百万円 |
△6,902百万円 |
13,902百万円減 (-) |
|
1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△) |
107.47円 |
△105.95円 |
213.42円減 (-) |
当連結会計年度における連結売上高は計画比2,145百万円減(0.9%減)となりました。これは、米州、欧州での現地通貨安の影響と、コロナウイルス影響によるものです。連結営業利益は計画比3,115百万円減(30.0%減)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失は計画比13,902百万円減、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失は計画比213.42円減となりました。これは、欧州地域での減損損失と訴訟関連損失によるものです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(ⅱ)借入金等の状況
2020年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。
|
区分 |
年度別要支払額(百万円) |
|||
|
1年以内 |
1年超5年以内 |
5年超 |
合計 |
|
|
短期借入金 |
31,803 |
- |
- |
31,803 |
|
長期借入金 |
19,345 |
27,354 |
604 |
47,304 |
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(ⅲ)財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。
重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。
次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。
連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。
○退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは退職給付債務に関する会計上の見積りを「重要な会計上の見積り」と認識しております。それは仮定の変化が、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるためであります。仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。
○固定資産
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは各社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、各社単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額に基づいて行っております。
当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、各国の経済活動は停滞し、深刻な景気後退に陥りつつあります。当社グループにおいても主要な得意先である自動車メーカー各社が新車需要の低迷に伴い稼動調整を行ったため、製品売上高の減少が生じております。新型コロナウイルス感染症の影響に関して、今後の拡大や収束時期等の予測が困難であることから外部の情報源を踏まえ、翌連結会計年度の一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという仮定に基づいて、固定資産に関する減損損失の認識要否の判断等の会計上の見積もりを実施しております。
○繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、世界に信頼されるムサシブランド商品の創造と提供を長期ビジョン「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」を主題として掲げ、独創的な商品開発と技術開発に取り組んでおります。各四輪車メーカー、二輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、PT事業、L&S事業、二輪事業において世界No.1を目標にニーズを先取り出来る提案型の開発をスピード重視で推進しております。
研究開発活動は、主に当社および国内子会社の九州武蔵精密株式会社が推進し、当連結会計年度における研究開発費は
(1) 商品開発
当連結会計年度においては、顧客の安全、省燃費化に加え、車両の電動化が加速しています。車両の電動化に伴い、当社の供給する動力伝達部品、足回り部品等には、従来に増して高い静粛性・回生モードの付加による入力荷重の変化や車両重量の増加に耐える強度が求められます。このように要求機能、機構が変化する中、当社が誇る小型・軽量化技術と高い商品品質を活用したオリジナル商品を国内主要メーカーはもとより海外メーカーへも拡販し、新規顧客獲得に向けた提案力強化を図ってまいりました。また、これらを構成する材料や構成部品をグローバルに調達することで、顧客のニーズに合った地域で競争力の高い商品を提供する最適生産体制構築に注力し、今後も、更なるユニークな自社開発商品を、グローバルで拡大し続ける市場へ積極的に提案してまいります。
①PT事業 商品開発
デファレンシャルにおいては、当社の小型・高精度ベベルギヤを適用し、従来比10%ウェイトダウンとなる軽量デファレンシャルアッセンブリィの量産開発および適用拡大を図っております。自動車排気量ごとにラインナップ化しました軽量デファレンシャルアッセンブリィは日本国内の顧客はもちろんのこと、海外顧客向けについても提案・拡販活動を強化し、着実に受注へと繋げております。電動化の流れが進む中で、EV,HV用の新規引き合い、受注も増えており、電動化における要求機能の変化を捉え、その特性に適したデファレンシャル開発を進めています。今後もファイナルギヤ一体構造等を適用した更なる軽量化開発および現地調達化開発を継続的に行い、新規受注に向けた拡販活動を継続してまいります。
さらに車両の電動化に伴い、軽量、コンパクトな電動ユニットの減速機ASSYの開発をおこない、車両メーカー、モーターメーカーへの提案活動を行っていきます。
②L&S事業 商品開発
サスペンション・ステアリング部品を手掛けるL&S事業部は、電動化に伴う顧客要求の変化も念頭に置き、最適設計による部品の小型化やアルミの適用による軽量化、低フリクション化などによる乗り心地向上への貢献を技術軸として商品開発に取り組んでおり、日本のみならず海外の新規顧客からもご評価をいただき新規受注に繋がってきています。また造りの領域では工程改善はもとより、設備およびツーリングの内製開発を推進、さらに購買領域では廉価材料の開発を行うことも合わせて、魅力的な商品の提供をしてまいります。
③二輪事業 商品開発
二輪車用トランスミッションシェアー世界No.1サプライヤーとして長年培って来たものづくりの技術力と、T/Mに要求される機能と仕様を熟知した設計力との融合により、合理性に優れ、且つ魅力溢れる新商品開発を強力に推進すると共に、二輪用トランスミッションの受託設計に於いても、お客様からの絶対的な信頼性確保を目指し、強力に展開してまいります。
(2) 先進技術研究
ハイブリッド車や電動自動車&電動二輪車に不可欠な独自電動ユニットの研究・開発を推進しております。武蔵の強みであるギヤ技術を軸に、 4輪はさらにデフ技術をもって減速機ユニットへ拡大、2輪においては電動ユニット全体の開発をおこなっており、その開発においては、最新のコンピュータ設計支援によるシミュレーションを駆使し、仕様の最適化や開発期間の短縮にも取り組んでおり、お客様の要求に見合う電動ユニットの商品化を目指してまいります。
(3) 生産技術開発
①加工技術開発
自社ブランド商品の現地調達化に向けた最適工程設計の確立を図っております。デファレンシャルにおいては、小型軽量化への追求にて他社が追従できない差別化技術の構築を進め、地域の特性を生かした最適設計と現地設備の活用を強力に推し進めております。また、武蔵キャスティング株式会社とのシナジー効果を発揮し、素材工程から加工工程までの工程の最小化と効率化を加速させる予定です。自動車の電動モーターに付帯する減速装置内の高精度ギヤにおいて、独自の加工によるコストの削減、新たな付加価値を提案する加工技術を追求しております。さらに、複雑化する市場ニーズに対応すべく、多様なギヤを成形試作できる試作設備の導入を行い、顧客と環境の変化に柔軟に対応できる生産技術を探求しております。
②塑型技術開発
塑型領域においては鋼材から見直した工程改革を実現、シミュレーション技術から得たデーターを基に最適金型形状を見つけ量産に結び付けコスト削減を成功させております。開発領域では昨年着手した電動化部品をムサシグループの独自技術を融合した最廉価SHAFTを鍛造共同開発から量産化に結び付けております。更なる電動化部品に対応する鍛造手法や工程設計に独自性を入れた高付加価値のある廉価な作りを進めています。
③二輪生産技術開発
二輪・汎用領域においては、当社の得意分野である精密鍛造技術をコアとし、加工の極小化や一体化、工程集約などの実施に依り、更なる高効率化を目指し強力に推進しております。又、機械加工の領域におきましても、今までの固定概念にとらわれない新しい発想を基に、超高速化の新規設備と加工技術を確立し、来期よりベトナムでの量産適用目指し推進中です。今後も四輪技術及び塑型加工技術、鋳造技術とのシナジー効果を最大限活用し、二輪部品生産技術の更なる進化を追求してまいります。
(4) AI研究
2019年7月にMusashi AI㈱を設立しました。「人にはもっと人らしい仕事を」を理念にAIを製造現場に実装し、ものづくりのイノベーションに取り組んでいます。自動車部品は、搬送、加工、検査の工程を経てお客様のもとへ出荷されていますが、このうち、加工はものづくりの中核であり、人の技術や判断が付加価値を生むのに対し、搬送や目視検査は、決められたことを繰り返す作業で、長時間にわたる高負荷作業となっています。当社はこの搬送、目視検査の工程の自動化にフォーカスしており、AI inspection, SDV(Self Driving Vehicle)の開発を進めています。既に武蔵精密の製造現場へAI外観検査機を導入しAIの実装を具現化しております。また社外のお客様へのサービス提供も開始しており、今後より一層、武蔵精密の生産拠点をはじめ世界のものづくりの現場に幅広く技術を提供することを目指します。