第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは、創業の精神「質実剛健 至誠一貫」を原点としたムサシフィロソフィーを基軸に事業運営を行っております。2021年4月からは、当社が創業100周年を迎える2038年に向けた新長期ビジョン「Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を新たに掲げ、既存のコア事業の競争力を更に高めるとともに、社会課題の解決に貢献できる新たな事業の創出により、サステナブルで豊かな地球社会の実現に貢献していくことを目指しております。

 

ムサシ100年ビジョン:Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~

・人:自らの限界を壊し、ワクワクする仕事をしよう!

しくみ:組織・風土の壁を壊し、常に変革を起こそう!

事業:常識・既成概念を壊し、世界をあっと驚かせよう!

 

(2)中長期的な経営戦略

2021~2023年は、ムサシ100年ビジョンの実現に向けた最初の中期に位置付けられます。人/しくみ/事業の各領域で以下の方針を定め、コア事業の深化と、新規事業の創出によるさらなる成長を目指します。

 

①2021~2023中期方針

・人:ムサシフィロソフィーの体現、ビジョンへの挑戦

ムサシフィロソフィー、ムサシ100年ビジョンのグローバルでの浸透・実践を通じて、将来を担う、高いスキルを持ったプロ人財や、新しい働き方で価値を生み出す自律人財の育成につなげてまいります。

・しくみ:Musashi DXの実現

デジタル技術の活用による業務プロセスの全体最適化を進めます。データを軸に業務プロセスを効率化し、コア事業の競争優位性を確立するとともに、蓄積されたビッグデータの利活用による新たな価値の創造にも挑戦します。

・事業:強いコア事業の確立、新規事業の創出

電動化の機会をとらえた、コア事業の拡大と収益性の向上に取り組みます。QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の観点で最適なものづくりを追求していくとともに、将来を担う新技術の仕込みや、オープンイノベーションによる新規事業の創出にも取り組みます。

・Musashi GX(グリーン戦略の推進)

全ての事業活動を対象に、環境活動を価値に変えるグリーン戦略を実行してまいります。製造工程におけるCO2排出を抑えた低炭素商品の提供や、電動車両などのCO2排出低減に貢献できる商品の開発、一人ひとりの意識・行動を変えていくことによる事業活動全般における低炭素化を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、事業の成長を通じた収益の拡大による企業価値の向上を経営目標としております。また、売上高の拡大に注力する一方、コスト削減による利益体質の向上を図ってまいります。その経営結果の指標としては、連結営業利益、EBITDAならびにROICを重視しております。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題等

新型コロナウイルス感染症の拡大、SDGs・ESGへの意識の高まり、カーボンニュートラル達成を目指す世界の動向など、ニューノーマル社会への転換が加速度的に進んでいます。自動車産業においても、CASEに代表されるテクノロジーの進化を背景に、産業構造が大きく変化しようとしています。

当社グループはこの変化をチャンスと捉え、従来の自動車部品メーカーの枠を壊して、社会になくてはならない価値を提供する「エッセンシャルカンパニー」となることを目指してまいります。ムサシフィロソフィーを基軸に、2021年4月より新たに掲げた「ムサシ100年ビジョン」の実現に向けて、以下の課題に取り組んでまいります。

 

コア事業の深化

・電動化のチャンスを捉えた新商品の受注拡大と収益性の向上。

・商品機能の高度化に対応した技術の進化と品質の安定化。

 

②新規事業の創出

・テクノロジーの力で社会課題の解決に貢献できる新規事業の創出。

・オープンイノベーションによる技術シナジーの創出。

 

DX(Digital Transformation)によるプロセスの革新

・デジタル化による業務プロセスの全体最適化、競争優位性の確立。

・データの利活用による新たな価値の創造。

 

GX(Green Transformation)の取り組み加速

・事業活動でのカーボンニュートラルを実現する「グリーンオペレーション100」の具現化。

・省エネ化、再エネ活用の拡大に向けた戦略の具体化と実行。

 

人財育成とオペレーションの進化

・ムサシ100年ビジョンの実現に向け、多様な人財が育ち・活躍できるしくみ、環境、企業文化づくり。

・スピードとガバナンスを両立したグローバルオペレーションの実現。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難である場合、記載を省略しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境の変化に関するリスク

・市場環境の変化

長期にわたる経済の低迷は、四輪車、二輪車ユーザーの購買力、購入意欲低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、地理的要因、各種規制、政治不安、商習慣の違いなど様々な潜在的リスクが存在します。

また、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は今後も続くことが予想されております。今後、更なる感染の拡大などにより人の移動や経済活動に対する制約が長期化する場合、四輪車・二輪車の需要低下や当社の事業活動そのものの停滞するリスクが存在します。

これらのリスクに対応できない場合は売上高の減少や固定資産の減損損失の計上の可能性が生じる等当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

コロナリスクに対する取り組みとしては、想定される変化に追従できる「スリムで筋肉質な企業体質」を構築するため、総費用の削減、リモートワークの推進、業務プロセスの徹底的な効率化等の施策を推進しております。

 

(2)既存事業展開に関するリスク

・自動車部品業界の構造変化、競争の激化

CASEに代表される技術革新が進むことで自動車の機構変化が進み、当社の既存商品の販売が低迷、縮小する可能性があります。当社は技術動向、市場の変化を注視し、年度毎の事業戦略のローリングによって環境変化に適応した事業展開を進めておりますが、想定を超える変化が起こる場合、売上高が減少する等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、CASEの変化は“自動車の所有”から“移動サービスの利用”という形に社会のニーズを変化させ、それを背景に新たなプレイヤーの参入や、系列の枠組みを越えたサプライチェーンの再編などが現実のものとなっています。当社はこのような変化を更なる飛躍のチャンスと捉え、小型・軽量・高精度を強みとするデファレンシャルアッセンブリィや減速機ギヤ、電動車両向けの駆動ユニット開発など、商品の高付加価値化と事業の拡大に取り組んでおりますが、メガサプライヤ―などとの競争環境も激化しており、当社グループの商品開発、受注活動が順調に進展しない場合、売上高が減少する等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・特定の取引先等への依存

当社グループは、自動車産業や二輪車産業向けを中心として、世界の主要自動車メーカー・二輪車メーカーを取引先とし、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築する為、全世界の5地域14カ国35拠点で生産を行っております。

当社グループの業績は、今後の自動車産業や二輪車産業の動向によって影響を受ける可能性があります。また、全世界での新規取引先拡大により、2021年3月期は、連結売上高に占めるホンダグループへの売上高比率は約51%へと低減してまいりましたが、今後のホンダグループの事業戦略や購買政策等により影響を受ける可能性があります。

当社グループは、これまでに培ってきた高い技術力を活かして、ホンダグループ向け販売に加え、全地域で取引先拡大とグローバル生産体制の整備に取り組み、新規事業開拓を含め、今後も引き続き、変化に追従できる企業体質の構築に取り組んでまいります。

 

・特定の原材料等の外部業者への依存

当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。効率的に、かつ安いコストで供給を受け続けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、発注数量の最適化や新たな取引先の開拓などにより、競争力のある、安定した価格で原材料等を調達するための取り組みを進めております。

 

・製品の欠陥への対応

当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、開発から量産に至るプロセスを通じて商品の品質を評価、保証する仕組みを構築することで、お客様の信頼を頂ける生産・供給体制を維持しております。

 

(3)新規事業展開に関するリスク

当社は、将来にわたる事業の継続的成長と、持続可能な社会の実現を目指し、既存事業の枠組みに捉われない新規事業の創出に取り組んでおります。これらの活動の中では、新たな技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発なども行っております。対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合などには、減損損失の発生などによって当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは事業拡大のため積極的な投資を行っていることから当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。当社グループは当該リスクを軽減するため、経営会議における投資計画の厳格な検証、投資会社の事業計画の達成状況のモニタリングを適宜行っております。

 

(4)その他

・固定資産の減損に係るリスク

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下し、減損損失が発生した場合、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・為替変動

当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。

 

・為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク

全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、必要に応じて経営会議において契約内容を慎重に検討しております。

 

・合弁事業

当社グループは、成長戦略の一環として、グローバル展開並びに新技術や新製品の開発強化のため、直接投資を行うほか外部企業との間で資本提携・業務提携等を推進しております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営戦略会議や取締役会での審議の上で意思決定を行っております。

これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは、実行後においては、シナジー創出の進捗確認や定期的なフォローアップによる提携や協業の進捗をモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、早期に経営陣にも報告することにより、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるように取り組んでおります。

 

・情報セキュリティ

当社グループは、事業活動の管理・支援、及び当社製品の製造・研究開発において、第三者に委託しているものも含め、様々な情報システムや情報ネットワークサービスを利用しております。これらの情報システム・ネットワークサービスの利用においては、当社グループが保有する機密情報を保護し、外部への流出を防止するために、規程・管理体制を整備し、ハード及びソフトの両面においてセキュリティ対策を実施しております。しかし、ハッカーやコンピュータウィルスなど外部からのサイバー攻撃、当社グループが利用する情報システムや情報ネットワークサービスにアクセスすることができる者による不正使用や管理上の不備、また、自然災害に伴うインフラ障害などによって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その場合、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生など、当社グループの事業・財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・知的財産権保護

当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、意図せず第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造した場合の売上の減少、あるいは当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合の損害賠償請求による損失の計上により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、当社製品に採用される技術は特許出願により確実に保護すること等により、他社による権利侵害が継続しないように対処しております。また技術開発、製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。

 

・法的手続きへの対応

当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされた場合、和解金及び罰金等の費用が発生し当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、コンプライアンス教育の推進や、内部統制委員会の設置等により、法令が遵守される体制を維持しております。

 

・環境及びその他の規制

当社グループの属する自動車部品工業は、製造工場からの汚染物質排出レベル等に関して、広範に規制されております。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合、規制は強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、CO2排出量や廃棄物の削減に具体的目標値を定めることで、環境負荷の低減活動に経常的に取り組んでおります。

 

・地震等の自然災害

当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、災害対応能力の向上のため定期的に初動対応訓練を行っております。また大規模自然災害や感染症等の発生を想定した事業継続計画を策定・運用しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界規模での断続的な発生により、大きく打撃を受けました。自動車業界におきましても、特に期初においては中国を除く全地域で生産停止や減産を余儀なくされました。期末に向けては米国や、欧州で回復基調に転じましたが、一方で半導体の不足といった新たな問題も発生し、柔軟な生産対応が求められた一年でした。

当社グループとしてはこうした状況のなか、徹底した変動費・固定費の管理を通じ、厳しい事業環境でも利益が創出できる体質改善に注力した一方で、将来に向けた経営基盤の構築にも積極的に取り組んでまいりました。特に、電動自動車に搭載されるデファレンシャルや減速機ユニット開発のデジタル化を進めることで、その開発を一層加速させたほか、高精度、高強度ギア技術を核にした電動2輪車用ギヤボックス一体型モータユニットを新たに開発しました。その結果、営業面においてもこれら四輪電動車向け商品を中心に受注が好調に推移しました。

サステナビリティの推進にむけては、SDGsにおける当社のマテリアリティー(重要課題)を明確にし、持続可能な社会の実現を目指したAIソリューション事業や、エナジーソリューション事業、さらには植物バイオ事業といった新規事業領域の拡大も進めてまいりました。

こうした中、外部環境の影響もあり、当連結会計年度の業績は連結売上高は204,714百万円(前連結会計年度比13.4%減)の減収となりました。

一方で利益面では、体質改善の取り組みにより、連結営業利益は7,507百万円(同3.1%増)の増益、連結経常利益は8,277百万円(同16.4%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,378百万円(前連結会計年度は6,902百万円の損失)の増益となりました。

セグメント別の状況は次の通りです。

(日本)

売上高は32,543百万円(前年同期比7.9%減)、セグメント利益は1,600百万円(同42.7%減)となりました。

(米州)

売上高は45,296百万円(同19.0%減)、セグメント利益は1,215百万円(同31.0%減)となりました。

(アジア)

売上高は44,262百万円(同28.2%減)、セグメント利益は2,556百万円(同40.7%減)となりました。

(中国)

売上高は、29,987百万円(同36.3%増)、セグメント利益は4,321百万円(同149.4%増)となりました。

(欧州)

売上高は、52,624百万円(同14.3%減)、セグメント損失は2,326百万円(前連結会計年度は3,603百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、24,891百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,644百万円の増加となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、18,259百万円となり、前連結会計年度の26,359百万円と比べ、8,100百万円の減少となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、12,198百万円となり、前連結会計年度の18,673百万円と比べ、6,474百万円の減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、6,886百万円となり、前連結会計年度の10,878百万円と比べ、3,992百万円の減少となりました。

③生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

33,251

92.8

米州

47,124

84.7

アジア

44,499

72.5

中国

30,186

143.1

欧州

53,212

90.0

合計

208,275

89.4

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。

 

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

32,481

91.9

652

91.3

米州

45,079

82.0

1,026

82.6

アジア

43,593

70.8

2,031

75.2

中国

30,106

136.8

594

124.8

欧州

52,392

85.7

1,097

82.6

合計

203,653

86.6

5,402

83.6

(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。

 

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

32,543

92.1

米州

45,296

81.0

アジア

44,262

71.8

中国

29,987

136.3

欧州

52,624

85.7

合計

204,714

86.6

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっており、消費税等は含んでおりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。

なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。

指標

2020年度

(計画)

2020年度

(実績)

2020年度

(計画比)

連結売上高

200,000百万円

204,714百万円

4,714百万円増  (2.4%増)

連結営業利益

5,000百万円

7,507百万円

2,507百万円増 (50.2%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益

4,200百万円

7,378百万円

3,178百万円増 (75.7%増)

1株当たり当期純利益

64.41円

113.14円

48.73円増

当連結会計年度における連結売上高は計画比4,174百万円増(2.4%増)となりました。これは、米州、アジアでの現地通貨安の影響によるものです。連結営業利益は計画比2,507百万円増(50.2%増)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は計画比3,178百万円増(75.7%増)、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失は計画比48.73円増となりました。これは、徹底した変動費・固定費の管理を通じた体質改善によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(ⅰ)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(ⅱ)借入金等の状況

2021年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。

区分

年度別要支払額(百万円)

1年以内

1年超5年以内

5年超

合計

短期借入金

38,932

38,932

長期借入金

11,410

27,038

113

38,561

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

(ⅲ)財務政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。

重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。

次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。

連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。

○退職給付費用及び退職給付債務

当社グループは退職給付債務に関する仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は、発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

○固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会  平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号  平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは原則として会社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、資産グループから生じる将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価額に基づいて行っております。

当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

特に新型コロナウイルス感染症は、依然、世界的な拡大が続いており、各国の経済活動や世界の景気変動への影響も不確定であります。当社グループにおいても主要な得意先である自動車メーカー各社の動向について予測が困難な状況です。引き続き、取引先及び外部の情報を踏まえながら、翌連結会計年度の一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという仮定に基づいて、固定資産に関する減損損失の認識要否の判断等の会計上の見積もりを実施しております。

○投資有価証券の減損判定

当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。

また、時価のない株式等については、超過収益力を反映した実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。

○繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、長期ビジョン「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」に、“世界に信頼されるムサシブランド商品の創造と提供”を主題として掲げ、独創的な商品開発と技術開発に取り組んでまいりました。2021年4月からは、新長期ビジョン「Go Far Beyond ! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を掲げ、電動化の機会をとらえたコア事業の拡大とQCD(品質・コスト・デリバリー)に環境の観点を加え、最適なものづくりを追及するとともにサステナブルで豊かな地球社会の実現に貢献してまいります。

PT事業・L&S事業・二輪事業において四輪車メーカー、二輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、世界No.1を目標にニーズを先取りできる提案型の開発をスピード重視で推進してまいります。

研究開発活動は、主に当社および国内子会社の九州武蔵精密株式会社が推進し、当連結会計年度における研究開発費は4,353百万円であり、主な成果は次のとおりであります。

 

(1) 商品開発

車両の電動化に伴い、当社の供給する動力伝達部品・足回り部品等には、従来にも増して高い静粛性と、回生モードの付加による入力荷重の変化や車両重量の増加に耐える強度が求められます。当社はこれまでに培った技術を活かし、電動化ニーズに適合したオリジナルの小型・軽量デファレンシャルアッセンブリィや減速機向けの高精度ギヤの事業拡大とともに、電動車向けのオリジナル減速機ユニットなどの開発に注力してまいります。

 

PT事業 商品開発

PT事業部では、従来の軽量・小型・高精度のデファレンシャルアッセンブリィに加え、EV・HV車特有の設計要件の知見を蓄える事で、電動化の中でも優位性を保つための差別化を図っております。日本国内および海外顧客向けのEV・HV車を中心に、ラインナップ化した軽量デファレンシャルアッセンブリィの提案・拡販活動を強化し、着実に受注・拡大へと繋げております。また、EVモーターの減速機構である減速機ユニットにおいて、市場ニーズに基づいた付加価値の高い製品の設計開発・生産技術開発を行い、車両メーカー・モーターメーカーへの受注活動を展開してまいります。

 

L&S事業 商品開発

L&S事業では、サスペンション・ステアリング部品をてがけ、電動化、自動運転に伴う顧客要求の変化も念頭に置き、解析技術を駆使した最適設計による部品の小型軽量化、乗り心地向上・応答性へ寄与するボールジョイントの低フリクション化を技術軸として、商品開発に取り組んでおります。日本のみならず海外の新規顧客からも評価を得、新規受注に繋がっております。また、つくりの領域では、さらなる工程改善はもとより、GX観点で工程の最適化を進め、魅力的な商品の提供をしてまいります。

 

③二輪事業 商品開発

二輪事業では、二輪車用トランスミッションシェアー世界No.1サプライヤーとして、長年培って来たものづくりの技術力と、トランスミッションに要求される機能と仕様を熟知した設計力との融合により、合理性に優れ、かつ魅力溢れる新商品開発を強力に推進しております。さらに、二輪用トランスミッションの受託設計においても、お客様からの絶対的な信頼性確保を目指し、強力に展開してまいります。

 

(2) 先進技術研究

電動自動車や電動二輪車に不可欠な独自電動用減速機ユニットの研究・開発を推進しております。武蔵の強みであるギヤ技術を軸に、四輪はさらにデフ技術をもって減速機ユニットへ拡大、二輪においては電動用減速機ユニット全体の開発を行っております。その開発においては、最新のコンピュータ設計支援によるシミュレーションを駆使し、仕様の最適化、開発期間の短縮に取り組んでおり、お客様の要求に見合う電動用減速機ユニットの商品化を目指してまいります。

 

(3) 生産技術開発

①加工技術開発

加工技術領域では、自社ブランド商品の最適工程を確立し、現地生産への拡大を図っております。デファレンシャルにおいては、高効率加工の追求にて高い競争力を生みだすと同時に、EV化による新しいタイプのデファレンシャルに対応できる工程の準備を推進しております。また、武蔵キャスティング株式会社とのシナジー効果を発揮し、素材から加工までの工程の最短化と効率化ラインの実現を計画しております。今後さらに、グループ各社の地域特性を生かしたデファレンシャルの最適工程設計と現地設備の活用を強力に推し進めております。自動車の電動モーターに付帯する減速装置内の高精度ギヤにおいて、独自の加工によるコストの削減、新たな付加価値を提案する加工技術・管理方案を追求してまいります。

 

②塑型技術開発

塑型技術領域では、廉価な部品を提供するため、シミュレーション技術と3Dスキャンを融合させたデータを基に、最適金型形状にて最強のQCD達成を目指し、日々コスト低減に取り組んでおります。塑型開発領域では、電動化部品に追従したムサシグループの独自技術を融合した最廉価シャフト海外展開しております。更なる電動化部品に対応する鍛造手法や工程設計を材料から見直し、独自性を入れた高付加価値のある廉価なつくりを進めてまいります。

 

③二輪生産技術開発

二輪・汎用領域では、当社の得意分野である精密鍛造技術をコアとし、加工の極小化や一体化、工程集約などの実施により、更なる高効率化を目指し強力に推進しております。また、機械加工の領域では、今までの固定概念にとらわれない新しい発想を基に、超高速化の新規設備と加工技術を確立し、来期よりベトナムでの量産適用を目指し推進しております。今後も四輪技術及び塑型加工技術、鋳造技術とのシナジー効果を最大限活用し、二輪部品生産技術の更なる進化を追求してまいります。

 

(4) AI研究

2019年7月にMusashi AI㈱を設立以降、「人にはもっと人らしい仕事を」を理念にAIを製造現場に実装し、ものづくりのイノベーションに取り組んでおります。

自動車部品は、搬送・加工・検査の工程を経てお客様のもとへ出荷されておりますが、このうち、加工はものづくりの中核であり、人の技術や判断が付加価値を生むのに対し、搬送や目視検査は決められたことを繰り返す作業で、長時間にわたる高負荷作業となっております。当社はこの搬送・目視検査の工程の自動化にフォーカスしており、AI inspection, SDV(Self Driving Vehicle)の開発を進めております。コア事業の一つであるAI外観検査機においては、当社内への導入だけで無く、トヨタ自動車株式会社の生産ラインへも導入いただき、外販活動も加速をしております。当社の最大の強みであるAI×モノづくりをより一層高め、世界のモノづくり現場に幅広く技術提供するとともに、事業拡大を進めてまいります。