文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、Origin(創業の精神)、Purpose(使命)、Way(行動指針)で構成されるムサシフィロソフィーを基軸に事業運営を行っております。
ムサシフィロソフィー
2021年4月からは、当社が創業100周年を迎える2038年に向けた長期ビジョン「Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を新たに掲げ、既存のコア事業の競争力を更に高めるとともに、社会課題の解決に貢献できる新たな事業の創出により、サステナブルで豊かな地球社会の実現に貢献していくことを目指しております。
・ムサシ100年ビジョン Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~
-人:自らの限界を壊し、ワクワクする仕事をしよう!
-しくみ:組織・風土の壁を壊し、常に変革を起こそう!
-事業:常識・既成概念を壊し、世界をあっと驚かせよう!
(2)中長期的な経営戦略
新型コロナウイルス収束に向けた期待感が高まる中、With/Afterコロナの新しい時代が動き出そうとしています。地球環境への意識の高まりや、個人の価値観の変化なども背景に、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。
当社においては、ムサシ100年ビジョンの実現に向け、人・しくみ・事業の各視点で以下の方針を定め、既存事業(コア事業)の深化と、新規事業の創出による更なる成長を目指しています。
・人:ムサシフィロソフィーの体現、ビジョンへの挑戦
ムサシフィロソフィー、ムサシ100年ビジョンのグローバルでの浸透・実践を通じて、将来を担う、高いスキルを持ったプロ人財や、新しい働き方で価値を生み出す自律人財の育成につなげてまいります。
ムサシフィロソフィーを体現するための期待行動をコンピテンシーとして具体化し、実践のための教育プログラムの整備やそれに連動した人事評価制度のしくみを導入することで、各個人が能力を高め、発揮し、活躍できる企業文化づくりを進めてまいります。
・しくみ:Musashi DXの実現
デジタル技術の活用による業務プロセスの全体最適化を進めます。データを軸に業務プロセスをデジタル化・標準化することで実行スピードを高め、コア事業の競争優位性を高めるとともに、蓄積されたビッグデータの利活用による新たな価値の創造にも挑戦します。
また、デジタルトランスフォーメーション実現のため、進化したツールを使いこなし価値を生み出すことのできるデジタル人財の育成にも取り組んでいます。デジタル技術に対するリテラシー向上や、クラウドツールを活用した業務改善アプリの製作といったスキルを学べるプログラムを整備し、新たな時代を生き抜くデジタル前提の企業文化を構築してまいります。
・事業:強いコア事業の確立、新規事業の創出
電動化の機会をとらえた、コア事業の拡大と収益性の向上に取り組みます。QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の観点で最適なものづくりを追求していくとともに、将来を担う新技術の仕込みや、オープンイノベーションによる新規事業の創出にも取り組みます。
具体的には、加速する電動化に対して、当社の得意技術を活かした電動者向け商品の競争力強化・ラインナップの拡充に加え、既存商品の稼ぐ力を継続的に高めることで、電動化時代のキーデバイスサプライヤーとしての成長を目指します。また新規事業領域においては、主要4分野(Mobility、Energy、Industry、Well-being)において、社会課題の解決に貢献できる価値の創出を目指します。
・Musashi GX(グリーン戦略の推進)
当社は、2021年5月にカーボンニュートラルの実現に向けた中長期目標を発表いたしました。当社が創業100周年を迎える2038年までに事業活動*1でのカーボンニュートラル(グリーンオペレーション100)、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指します。全ての事業活動を対象に、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大などの取り組みを価値に変えるグリーン戦略を策定・実行してまいります。
製造工程におけるCO2排出を抑えた低炭素商品の提供や、電動車両などのCO2排出低減に貢献できる商品の開発、一人ひとりの意識・行動を変えていくことによる事業活動全般における低炭素化を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
(*1) GHGプロトコルのScope1, 2を対象
(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、事業の成長を通じた収益の拡大による企業価値の向上を経営目標としております。また、売上高の拡大に注力する一方、コスト削減による利益体質の向上を図ってまいります。その経営結果の指標としては、連結営業利益、EBITDAならびにROICを重視しております。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。
(4)経営環境及び対処すべき課題等
With/Afterコロナの時代が新しく動き出そうとしている中、サプライチェーン安定化への見通しは依然不透明です。自動車産業においては電動化が加速度的に進展し、ESG/SDGsを軸としたサステナビリティ向上への要請・期待も高まっています。
このような環境の中、想定される事業リスクに適切に備え、今後の更なる成長と企業価値の向上を実現するため、以下の課題に取り組んでまいります。
①変化適応力の強化
・急激な生産変動に対する柔軟性の向上
・サプライチェーンの最適化
・強靭な品質体質の構築とガバナンスの強化
②電動化戦略の具現化
・電動化で生まれる新たなニーズを捉えた提案力の強化
・電動化時代にマッチした新商品の拡充と商品開発力の強化
・生産性の向上と調達コストの低減による競争力の強化
③新規事業のアウトプット創出
主要4分野(Mobility、Energy、Industry、Well-being)における事業展開の加速、プロダクト/サービスの売上拡大
④GX(Green Transformation)の取り組み加速
・グローバルのCO2の見える化とカーボンニュートラル実現に向けたマネジメントの実践
・徹底的な省エネ化とグリーンエネルギーの活用による低炭素商品の追求
⑤DX(Digital Transformation)によるプロセスの革新
・データ収集と利活用を支えるデータプラットフォームの構築
・業務プロセスの全体最適化による業務スピードの向上、コストの低減
⑥人財育成とオペレーションの進化
・進化したテクノロジーを使いこなし新しい価値を創出できる人財の育成
・ムサシ100年ビジョンの実現に向け、柔軟かつスピーディな戦略展開を担う体制・しくみの定着化
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難である場合、記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
・市場環境の変化
長期にわたる経済の低迷は、四輪車、二輪車ユーザーの購買力、購入意欲低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、地理的要因、各種規制、政治不安、商習慣の違いなど様々な潜在的リスクが存在します。
また、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は現在も続いており、この影響がどのように推移するかは不透明です。今後、更なる感染の拡大などにより人の移動や経済活動に対する制約が長期化する場合、四輪車・二輪車の需要低下や当社の事業活動そのものの停滞するリスクが存在します。
これらのリスクに対応できない場合は売上高の減少や固定資産の減損損失の計上の可能性が生じる等当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
With/Afterコロナの時代の変化に対する取り組みとしては、想定される生産変動への適応力強化に向けて、生産の柔軟性向上や、サプライチェーンの最適化、強靭な品質体質の構築などを進めております。また、総費用の削減、リモートワークの活用、業務プロセスの徹底的な効率化等の施策を継続的に推進しております。
・自動車部品業界の構造変化、競争の激化
CASEに代表される技術革新、特に電動化の進展によって自動車の機構変化が進み、当社の既存商品の販売が低迷、縮小する可能性があります。当社は技術動向、市場の変化を注視し、年度毎の事業戦略のローリングによって環境変化に適応した事業展開を進めておりますが、想定を超える変化が起こる場合、売上高が減少する等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、CASEの変化は“自動車の所有”から“移動サービスの利用”という形に社会のニーズを変化させ、それを背景に新たなプレイヤーの参入や、系列の枠組みを越えたサプライチェーンの再編などが現実のものとなっています。当社はこのような変化を更なる飛躍のチャンスと捉え、小型・軽量・高精度を強みとするデファレンシャルアッセンブリィや減速機ギヤ、電動車向けの駆動ユニット開発など、商品の高付加価値化と事業の拡大に取り組んでおりますが、メガサプライヤーなどとの競争環境も激化しており、当社グループの商品開発、受注活動が順調に進展しない場合、売上高が減少する等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・特定の取引先等への依存
当社グループは、自動車産業や二輪車産業向けを中心として、世界の主要自動車メーカー・二輪車メーカーを取引先とし、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築する為、全世界の5地域14カ国35拠点で生産を行っております。
当社グループの業績は、今後の自動車産業や二輪車産業の動向によって影響を受ける可能性があります。全世界での新規取引先拡大の結果、2022年3月期は、連結売上高に占めるホンダグループへの売上高比率は約50%となりました。今後のホンダグループの事業戦略や購買政策等により影響を受ける可能性があります。
当社グループは、これまでに培ってきた高い技術力を活かして、ホンダグループ向け販売に加え、全地域で取引先拡大とグローバル生産体制の整備に取り組み、新規事業開拓を含め、今後も引き続き、変化に追従できる企業体質の構築に取り組んでまいります。
・特定の原材料等の外部業者への依存
当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。安定したコストで継続的に供給を受けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、発注数量の最適化や新たな取引先の開拓、従来のサプライチェーンの見直しなどにより、競争力のある、安定した価格で原材料等を調達するための取り組みを進めております。
・製品の欠陥への対応
当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、開発から量産に至るプロセスを通じて商品の品質を評価、保証する仕組みを構築することで、お客様の信頼を頂ける生産・供給体制を維持しております。
・新規事業展開に関するリスク
当社は、将来にわたる事業の継続的成長と、持続可能な社会の実現を目指し、既存事業の枠組みに捉われない新規事業の創出に取り組んでおります。これらの活動の中では、新たな技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発なども行っております。対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合などには、減損損失の発生などによって当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは事業拡大のため積極的な投資を行っていることから当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。当社グループは当該リスクを軽減するため、経営会議における投資可否の厳格な検証に加え、リスク顕在化の早期確認や対応を可能とするため、投資会社の事業計画の進捗を継続的にモニタリングしております。
・固定資産の減損に係るリスク
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下した場合には、減損損失が発生し当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
・為替変動
当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。
・為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク
全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、必要に応じて経営会議において契約内容を慎重に検討しております。
・合弁事業
当社グループは、成長戦略の一環として、グローバル展開並びに新技術や新製品の開発強化のため、直接投資を行うほか外部企業との間で資本提携・業務提携等を推進しております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営戦略会議や取締役会での審議の上で意思決定を行っております。
これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、実行後においては、シナジー創出の進捗確認や定期的なフォローアップによる提携や協業の進捗をモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、早期に経営陣にも報告することにより、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるように取り組んでおります。
・情報セキュリティ
当社グループは、事業活動の管理・支援、及び当社製品の製造・研究開発において、第三者に委託しているものも含め、様々な情報システムや情報ネットワークサービスを利用しております。これらの情報システム・ネットワークサービスの利用においては、当社グループが保有する機密情報を保護し、外部への流出を防止するために、規程・管理体制を整備し、ハード及びソフトの両面においてセキュリティ対策を実施しております。しかし、ハッカーやコンピュータウィルスなど外部からのサイバー攻撃、当社グループが利用する情報システムや情報ネットワークサービスにアクセスすることができる者による不正使用や管理上の不備、また、自然災害に伴うインフラ障害などによって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その場合、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生など、当社グループの事業・財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・知的財産権保護
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、意図せず第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造した場合の売上の減少、あるいは当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合の損害賠償請求による損失の計上により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクを軽減するため、当社製品に採用される技術は特許出願により確実に保護すること等により、他社による権利侵害が継続しないように対処しております。また技術開発、製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。
・法的手続きへの対応
当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされ、和解金及び罰金等の費用が発生する場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与えます。
当社グループは当該リスクを軽減するため、コンプライアンス教育の推進や、内部統制委員会の設置等により、法令が遵守される体制を維持しております。
・環境及びその他の規制
気候変動や環境汚染が地球規模で解決すべき課題となっています。世界の主要国において様々な規制の適用やカーボンニュートラル実現の目標が示され、当社グループにおいては、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのためには、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大のための設備投資などが必要になるほか、管理コストの上昇も見込まれ、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これらの取組みを競争力の源泉とすべく、排出CO2や廃棄物、水資源の使用料の削減に具体的目標値を定めて適切に管理するとともに、製造過程でCO2の排出が少ない商品や、利用時にCO2排出が少ない(またはそれに貢献できる)低炭素商品を追求しています。
・地震等の自然災害
当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクに適切に対処し、発生時の影響を最小限にするため、災害対応能力の向上を目的とした初動対応訓練を定期的に行っております。また大規模自然災害や感染症等の発生を想定した事業継続計画を策定・運用しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大や半導体不足、物流の問題によるサプライチェーンの影響を受け、大幅な生産変動への柔軟な対応を余儀なくされました。さらに、 鋼材・エネルギー・運賃等の継続的な物価上昇に加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響もあり、先行きについても不透明な状況となっております。
当社グループでは、自動車業界の急速な変化の中でEV化に向けたさらなる事業成長を実現するため、コア事業であるモビリティ事業の強化に注力しています。加えて、製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、体質管理や改善活動などものづくりのしくみを統一して、収益体質を高め、環境変化に強い体制の構築にも着手しています。
また、AI、エネルギーソリューション、植物バイオといった各領域における事業展開とともに、北米やイスラエル、アフリカなど世界各地においてスタートアップ企業等とのオープンイノベーション展開による新規事業創出を通じた社会課題の解決を目指しています。
サステナビリティの推進に向けては、2021年5月に発表した「ムサシカーボンニュートラル宣言」に基づき、2050年にバリューチェーン全体でCO2排出量実質ゼロを実現するための施策を進めています。
当社グループでは、ムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!枠を壊し冒険へ出かけよう!」の下、今後も環境変化を先取りした人・しくみ・事業の変革を加速してまいります。
こうした中、当連結会計年度の業績は、連結売上高は241,896百万円(前連結会計年度比18.2%増)の増収となりました。
利益面では、体質改善の取り組みにより、連結営業利益は8,413百万円(同12.1%増)の増益、連結経常利益は9,435百万円(同14.0%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は5,429百万円(同26.4%減)の減益となりました。
セグメント別の状況は次の通りです。
(日本)
売上高は34,277百万円(前年同期比5.3%増)、利益面では大幅な生産変動への対応強化による効果などでセグメント利益は2,716百万円(同69.7%増)となりました。
(米州)
売上高は、為替影響などにより51,352百万円(同13.4%増)、利益面では海外輸送コンテナ不足による物流費用増加などの影響によりセグメント利益は444百万円(同63.4%減)となりました。
(アジア)
売上高は、主要顧客からの受注台数の増加等により56,322百万円(同27.2%増)、セグメント利益は4,726百万円(同84.9%増)となりました。
(中国)
売上高は、為替影響などにより33,160百万円(同10.6%増)、利益面では生産台数減少や海外輸送コンテナ不足による物流費増加などの影響によりセグメント利益は3,323百万円(同23.1%減)となりました。
(欧州)
売上高は、原材料高騰に伴う売価反映などにより66,783百万円(同26.9%増)、利益面ではエネルギーコスト高騰などによりセグメント損失は2,764百万円(前連結会計年度は2,326百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、28,325百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,434百万円の増加となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、5,805百万円となり、前連結会計年度の18,259百万円と比べ、12,453百万円の減少となりました。これは主に棚卸資産の増加額5,849百万円(前期は871百万円の増加)などの資金の減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、20,131百万円となり、前連結会計年度の12,198百万円と比べ、7,933百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が4,286百万円増加した一方で、前期は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が1,176百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、14,758百万円となり、前連結会計年度の6,886百万円の使用と比べ、21,644百万円の増加となりました。これは主に長期借入による収入が16,068百万円増加した一方で、長期借入金の返済による支出が10,121百万円減少したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(ⅰ)生産実績
当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
35,304 |
106.2 |
|
米州 |
52,749 |
111.9 |
|
アジア |
57,207 |
128.6 |
|
中国 |
35,482 |
117.5 |
|
欧州 |
68,228 |
128.2 |
|
合計 |
248,971 |
119.5 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ⅱ)受注実績
当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
34,350 |
105.8 |
724 |
111.1 |
|
米州 |
51,767 |
114.8 |
1,441 |
140.4 |
|
アジア |
58,702 |
134.7 |
4,411 |
217.2 |
|
中国 |
33,111 |
110.0 |
546 |
91.8 |
|
欧州 |
67,061 |
128.0 |
1,374 |
125.3 |
|
合計 |
244,992 |
120.3 |
8,498 |
157.3 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ⅲ)販売実績
当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
34,277 |
105.3 |
|
米州 |
51,352 |
113.4 |
|
アジア |
56,322 |
127.2 |
|
中国 |
33,160 |
110.6 |
|
欧州 |
66,783 |
126.9 |
|
合計 |
241,896 |
118.2 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。
|
指標 |
2021年度 (計画) |
2021年度 (実績) |
2021年度 (計画比) |
|
連結売上高 |
230,000百万円 |
241,896百万円 |
11,896百万円増 (5.2%増) |
|
連結営業利益 |
9,000百万円 |
8,413百万円 |
587百万円減 (6.5%減) |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
5,600百万円 |
5,429百万円 |
171百万円減 (3.1%減) |
|
1株当たり当期純利益 |
85.83円 |
83.20円 |
2.63円減 |
当連結会計年度における連結売上高は計画比11,896百万円増(5.2%増)となりました。これは、米州、アジア中国などの為替の影響によるものです。連結営業利益は計画比587百万円減(6.5%減)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は計画比171百万円減(3.1%減)、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失は計画比2.63円減となりました。これは、インフレによる物流費やエネルギー関係のコスト増によるものです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(ⅱ)借入金等の状況
2022年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。
|
区分 |
年度別要支払額(百万円) |
|||
|
1年以内 |
1年超5年以内 |
5年超 |
合計 |
|
|
短期借入金 |
42,380 |
- |
- |
42,380 |
|
長期借入金 |
12,287 |
41,389 |
524 |
54,202 |
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(ⅲ)財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。
重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。
次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。
連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。
○退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは退職給付債務に関する割引率等の仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は、発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。
○固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは欧州地域を除き原則として会社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、減損テストを実施し、その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。
当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
特に新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は現在も続いており、各国の経済活動や世界の景気変動への影響も不確定であります。当社グループにおいても主要な得意先である自動車メーカー各社の動向について予測が困難な状況です。引き続き、取引先及び外部の情報を踏まえながら、翌連結会計年度の一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという仮定に基づいて、固定資産に関する減損損失の認識要否の判断等の会計上の見積りを実施しております。
○投資有価証券の減損判定
当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。
また、市場価格のない株式等については、取得時に想定した期間内に実質価額が著しく低下している状態から回復しないと判断した場合には減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。
○繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、「ムサシ100年ビジョン Go Far Beyond !」を主題として掲げ、テクノロジーへの”情熱”と、イノベーションを生み出す”知恵”をあわせて、「地球と人が豊かに共存できる世界」を目指して、独創的な商品開発と技術開発、電動化戦略の具現化に取り組んでおります。各四輪車メーカー、二輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、PT事業、L&S事業、二輪事業において世界No.1を目標にニーズを先取り出来る提案型の開発をスピード重視で推進しております。
研究開発活動は、主に当社および国内子会社の九州武蔵精密株式会社が推進し、当連結会計年度における研究開発費は
(1) 商品開発
車両の電動化に伴い、当社の供給する動力伝達部品、足回り部品等には、従来にも増して高い静粛性・回生モードの付加による入力荷重の変化や車両重量の増加に耐える強度が求められます。当社はこれまで培った技術を活かして、四輪事業においては電動化ニーズに適合したオリジナルの小型・軽量デファレンシャルアッセンブリィや低フリクションの小型ボールジョイント、電動車向けのオリジナル減速機ユニットなどの開発に注力してまいります。二輪事業においてはモーターやパワーコントロールユニットを含めた電動用減速ユニットの開発に注力してまいります。
①PT事業 商品開発
デファレンシャル事業においては、xEV特有の課題を解決する技術を従来の軽量・小型・高精度のデファレンシャルアッセンブリィに合わせ、電動化車両においても優位性の向上を図っております。ラインナップ化しました軽量デファレンシャルアッセンブリィを、日本国内および、海外顧客向けのxEV車を中心に提案・拡販活動を強化し、着実に受注・拡大へと繋げております。
また、EVモーターの減速機構である、減速機ユニットおよびそれに搭載されるギヤ部品において、市場ニーズに基づいた付加価値の高い製品の設計開発・生産技術開発をおこない、車両メーカー、ユニットメーカーへの受注活動を展開していきます。
②L&S事業 商品開発
サスペンション・ステアリング部品を手掛けるL&S事業部は電動化に伴う顧客要求の変化も念頭に置き、解析技術を駆使した最適設計による部品の小型軽量化、乗り心地向上、応答性へ寄与するボールジョイントの低フリクション化を技術軸として商品開発に取り組み、日本のみならず海外の新規顧客からもご評価をいただき新規受注に繋がっています。またCO2低排出型商品の開発、原材料のリサイクルによる廃棄物削減、再生可能エネルギーを利用した工程整備などカーボンニュートラル達成に向けても継続して取り組んでまいります。
③二輪事業 商品開発
二輪車用トランスミッションシェア世界No.1サプライヤーとして長年培って来たものづくりの技術力と、トランスミッションに要求される機能と仕様を熟知した設計力との融合により、合理性に優れ、且つ魅力溢れる新商品開発を強力に推進すると共に、二輪用トランスミッションの受託設計においても、お客様からの絶対的な信頼性確保を目指し、強力に展開してまいります。
(2) 先進技術研究
電動自動車や電動二輪車に不可欠な独自電動用減速機ユニットの研究・開発を推進しております。武蔵の強みであるギヤ技術を軸に、 四輪は更にデフ技術をもって減速機ユニットへ拡大、二輪においては電動用減速機ユニット全体の開発を行っており、その開発においては、最新のコンピュータ設計支援によるシミュレーションを駆使し、仕様の最適化、開発期間の短縮に取り組んでおり、お客様の要求に見合う電動用減速機ユニットの商品化を目指してまいります。
また、カーボンニュートラルへの取り組みとして、工場のエネルギーマネージメントシステムを研究テーマとして推進を始めています。
(3) 生産技術開発
①加工技術開発
自社ブランド商品の最適工法の開発、および現地生産への拡大を図っております。デファレンシャル部品においては、フレキシビリティの高い加工技術の開発により、様々なニーズに可能な工程の準備を推進しております。また、次世代のデファレンシャルに求められる技術の構築を行っております。減速機部品においては、AI検査機による省人化、独自加工技術を通じコストの低減、付加価値の向上を図っております。
②塑型技術開発
塑型領域では廉価な部品を提供する為、シミュレーション技術と3Dスキャンを融合させたデータを基に最適金型形状にて最強のQ.C.D達成を目指し、日々コスト低減に取り組んでおります。
開発領域では電動化部品に追従したムサシグループの独自技術を融合した最廉価シャフトを国内外に展開しています。更にGX領域ではリターン材の再利用にもチャレンジし、環境に配慮した作りを進めています。
③二輪生産技術開発
二輪・汎用領域においては、当社の得意分野である精密鍛造技術をコアとし、加工の極小化や一体化、工程集約などの実施により、更なる高効率化を目指し強力に推進しております。また、機械加工の領域におきましても、今までの固定概念にとらわれない新しい発想を基に、超高速化の新規設備と加工技術を確立し、ベトナムにおいて量産適用しております。今後も四輪技術及び塑型加工技術、鋳造技術とのシナジー効果を最大限活用し、二輪部品生産技術の更なる進化を追求してまいります。
(4) AI研究
Musashi AIのブランドスローガンである 「人にはもっと人らしい仕事を」を理念にAIを製造現場に実装し、ものづくりのイノベーションに取り組んでいます。当社が注力して進めている搬送、および目視検査工程の自動化の開発・販売を加速するべく、イスラエルに拠点を置く634AI リミテッドにて搬送工程の自動化を提供する為のMAESTRO/AMRs(Autonomous Mobile Robot)の商品開発を進めています。AI検査事業は日本をベースとしたMusashi AIにてトヨタ自動車様への実装実績を生かし外販活動を加速しております。当社の最大の強みであるAI×モノづくりをより一層高め、世界のモノづくり現場に幅広く技術提供すると共に、事業拡大を進めて参ります。