第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

当社グループは、Origin(創業の精神)、Purpose(使命)、Way(行動指針)で構成されるムサシフィロソフィーを基軸に事業を運営しております。

 

ムサシフィロソフィー

 

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激変する事業環境の中、当社は2023年に創業85周年の節目を迎えました。長い歴史の中で培った挑戦のDNAを受け継ぎ、長期ビジョン「Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を実現することで、新たな価値の創出と更なる成長を目指します。

 

・ムサシ100年ビジョン Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~

 

-人:自らの限界を壊し、ワクワクする仕事をしよう!

-しくみ:組織・風土の壁を壊し、常に変革を起こそう!

-事業:常識・既成概念を壊し、世界をあっと驚かせよう!

 

(2)中長期的な経営戦略

当社においては、ムサシ100年ビジョンの実現に向け、人・しくみ・事業の各視点で以下の方針を定め、既存事業(コア事業)の深化と、新規事業の創出による更なる成長を目指しています。

 

・人:ムサシフィロソフィーの体現、ビジョンへの挑戦

ムサシ100年ビジョンのグローバルでの実践に向けて、将来を担う、高いスキルを持ったプロ人財や、新しい働き方で価値を生み出す自律人財の育成を目指しています。

全ての活動の基軸であるムサシフィロソフィーについて、階層別の期待行動を具体化し、実践のための教育プログラムの整備やそれに連動した人事評価制度のしくみを導入することで、各個人が能力を高め、発揮し、活躍できる環境・企業文化づくりを進めてまいります。

 

・しくみ:Musashi DXの実現

デジタル技術を活用した業務の標準化、自動化、最適化により業務プロセスを高効率化し、さらにデジタル化されたプロセスの中で蓄積されるデータの利活用により、新たな価値の創出にも挑戦します。

また、デジタルトランスフォーメーション実現のため、進化したツールを使いこなし、価値を生み出すことができるデジタル人財の育成にも取り組んでいます。デジタル技術に対するリテラシー向上や、クラウドツールを活用した業務改善アプリの製作といった実践スキルを学ぶプログラムを整備し、新たな時代の成長基盤となるデジタル前提の企業文化を構築してまいります。

 

・事業:強いコア事業の確立、新規事業の創出

電動化の機会をとらえた、コア事業の拡大と収益性の向上に取り組みます。QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の観点で最適なものづくりを追求していくとともに、将来を担う新技術の仕込みや、オープンイノベーションによる新規事業の創出にも取り組みます。

当社の得意技術を活かした電動車向け商品の競争力強化・ラインナップの拡充に加え、既存商品の稼ぐ力を継続的に高めることで、電動化時代のキーデバイスサプライヤーとしての成長を目指します。また新規事業領域においては、主要4分野(Mobility、Energy、Industry、Well-being)において、社会課題の解決に貢献できる事業の創出に取り組んでいます。

 

・Musashi GX(グリーン戦略の推進)

当社は、2021年5月にカーボンニュートラルの実現に向けた中長期目標を発表いたしました。当社が創業100周年を迎える2038年までに事業活動(*1)でのカーボンニュートラル(グリーンオペレーション100)、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指します。全ての事業活動を対象に、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大などの取り組みを価値に変えるグリーン戦略を策定・実行してまいります。

製造工程においては、CO2の見える化と徹底的な省エネ化、再エネ活用を進め、CO2排出を抑えた低炭素商品の実現を目指しています。また、自動車のCO2排出低減に貢献できる技術・商品の開発や、一人ひとりの意識・行動を変えていくことによる事業活動全般における低炭素化を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

(*1) GHGプロトコルのScope1,2を対象

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループでは、収益性の向上を経営上の重要課題の一つとして捉えています。競争力の高い商品開発や生産プロセスの効率化、財務規律の確保に向けた諸施策により、売上高に対する利益率や資本効率性(ROA・ROE・ROIC)を高め、長期的な企業価値向上を目指しています。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題等

自動車産業においては、加速度的にEV化が進んでいます。従来のエンジン部品、トランスミッション部品は減少が予想される一方、EV向け商品の市場拡大が見込まれます。当社は、ものづくりの技に磨きをかけEV化に適応するとともに、社会課題の解決に寄与できる新事業の創出によって、サステナブルで豊かな地球社会の実現に貢献してまいります。ムサシフィロソフィーを基軸とした経営戦略の実行において、以下を重点課題として取り組んでまいります。

 

1.変化に強い収益基盤の構築

・生産変動を前提とした短サイクルでのコスト管理により、リーンな生産体質を実現します。

・デジタル技術を活用した生産体質の見える化と、データの利活用によるプロセスの改善を推進します。

・強靭な品質体質の構築により、業容が転換する中でお客様との強固な信頼関係を構築してまいります。

 

2.EV戦略のスピード3展開(*2)

・これまで培った商品開発力、技術開発力を活かし、EV化時代の「提案力」を強化します。

・量産立上げプロセスの最適化により、EVの開発サイクルに適応した「スピード」を実現します。

・得意技術の追求、サプライチェーンの最適化により、高い「コスト競争力」を実現します。

(*2)スピード3展開:「すぐやる・はやくやる・やりきる」をキーワードに取り組みを加速

 

3.DX(Digital Transformation)によるものづくりの革新

・AIやデジタルツールの積極的な導入により、ものづくりの高効率化や品質の向上を実現します。

・進化したデジタルツールを活用する教育プログラムを展開し、成果創出をリードする人財を育成します。

・プロセスから生まれるデータを活用し、高速PDCA(*3)を実現する経営ダッシュボードを構築します。

(*3)PDCA:計画、実行、測定・評価、対策・改善のサイクル

 

4.新規事業のアウトプット拡大

・Eモビリティ:インド、アフリカ地域において、スタートアップとの協業により自社開発の2輪EV駆動ユニットの市場展開を目指します。

 

・インダストリー:日本、北米の事業会社とイスラエルのパートナー企業との連携により、AI技術を活用した自動検査、搬送ソリューション事業を拡大します。

・エネルギーソリューション:リチウムイオンキャパシタ(LIC)の特性を活かし、効率的なエネルギーの利用や再生可能エネルギーの導入拡大に貢献できるソリューションの開発、事業展開を目指します。

・ウェルビーイング:当社の本社所在地である愛知県東三河産の植物の力と最先端のバイオテクノロジーを組み合わせ、人の健康と豊かな地球社会の実現に貢献する事業の創出を目指します。

 

5.事業活動を通じたサステナビリティの実現

・ムサシフィロソフィーを実践し、ビジョンの実現に挑戦する自律型プロ人財の育成に向け、学びの組織風土の醸成と、階層別・領域別の体系的な教育プログラムを展開します。

・着実な省エネ施策の展開と戦略的な再エネ導入により、カーボンニュートラルの実現に向けたマイルストーンの達成を目指すとともに、グリーンの価値を新たな成長機会につなげる戦略を具体化、実行します。

・適切な情報開示と社会との対話を通じ、ガバナンス、コンプライアンス、リスク管理のしくみを強化し、将来にわたる継続的な成長と企業価値の向上を目指します。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

~ムサシフィロソフィーを基軸とした事業展開を通じて、持続的な成長とサステナブルな社会の実現に貢献~

「ムサシフィロソフィー」は、当社グループで働く全ての従業員共通の価値観であり、企業活動や個々の行動の基軸として根付いています。当社グループは、事業活動を通じて持続的な成長とサステナブルな社会の実現に貢献することを使命としてOur Purposeを制定し、その実現に向かう旗印としてムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!」を掲げました。既存の枠組みを壊し、社会から存在を必要とされる「エッセンシャルカンパニー」となることを目指しています。

事業展開においては、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて認識した期待・要請や社会課題をVision, Purposeと照らし合わせ、当社グループが果たすべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。「コア事業の深堀り」と「新事業の創出」によって新たな価値を創出することでマテリアリティに取り組む。すなわち事業活動そのものを通じて社会課題の解決に貢献することが、当社グループのサステナビリティへの取組み姿勢です。

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(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティを巡る社会課題に適切に取り組むべく、最高経営責任者を議長とする「サステナビリティ戦略会議」をコーポレートガバナンス体制の中に組み込みました(2021年12月~)。ステークホルダーとの対話などから認識した期待・要請や社会課題を当社のVision・Purposeと照らし合わせサステナビリティの実現にむけた議論を行っています。社会課題を経営に取り込むことで実効性をあげ、確実な達成を目指しています。

「サステナビリティ戦略会議」の運用につきましては、有価証券報告書P41をご参照下さい。

(2)戦略

Musashi GX(グリーン戦略の推進)

当社グループは、気候変動への対応をサステナビリティ経営の重要な課題と捉えています。これまでの環境対応というレベルでは到底追いつかない状況である今、Purposeでも示しているように、「テクノロジーでイノベーションを起こし、人と環境が “調和”した豊かな地球社会の実現」に貢献するグリーン戦略を展開します。

グリーン戦略では、グリーンを価値にすべく3つのコンセプトに基づき活動を進めています。

「創る」商品・サービスを通じてCO2削減に貢献

「使う」徹底的な省エネや生産の効率化、自家発電の導入など再生可能エネルギーへの転換

「繫ぐ」地域・社会とのコミットメント

当社は、ステークホルダーとのコミュニケーションを図るため、2021年8月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言へ賛同を表明しております。

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人財育成の基本コンセプト

当社グループは2038年に向けて、「Go Far Beyond!」のビジョンを新たに掲げ、ムサシフィロソフィーを基軸に「地球と人が豊かに共存できる世界」を目指し、一人ひとりが冒険者となりまだ見ぬ未来へ歩み始めました。時代や事業環境の変化に適応し、イノベーションを生み出し続ける組織を実現するために、「自律的に変革に挑戦し、常に自己研鑽に励むことができる志の高い人財(=自律したプロ人財)」の育成を目指しています。

「自律したプロ人財」を新たな育成方針に掲げ、“主体性・自立性をベースに、個々人が能力を開発していく組織風土を醸成”し、“ムサシフィロソフィー、経営方針(ビジョン)を正しく理解し、展開することを担い得る人財の輩出”に向けて、教育体系の刷新等様々な取り組みを行っています。当社グループはフィロソフィーに掲げているOur Wayを人財育成の要であるコアコンピテンシーとして位置づける一方、ビジョンを達成するための重点育成テーマとして、イノベーションやデジタル領域での能力開発機会の提供やグローバルリーダーの育成に向けて積極的な取組みを進めています。

人財育成体系や「フィロソフィー・ビジョンの浸透」を始め「イノベーション人財育成」「デジタル人財育成」

などの取組みについては、統合報告書2022 P33,P34,P35をご参照下さい。

(3)リスク管理

当社グループでは、企業活動・行動に関わる全てのリスクを対象とした全社横断的なリスクマネジメントを行う体制を整えており、サステナビリティ関連も含めたリスクの抽出・評価・モニタリングを行っています。抽出された重要リスクについては、「サステナビリティ戦略会議」での議論は勿論のこと、役員の中から選任されたリスクマネジメントオフィサーの監督のもと取組みを進めています。特に、気候変動関連リスク(物理的リスク)は、事業継続上の重大なリスクとして選定しており「BCP委員会」にて事業継続計画を策定し、教育や訓練を定期的に実施しています。変化の激しいリスクの観点については、社会課題を積極的に取入れ、ステークホルダーや社外取締役からの意見を反映し、リスクの最小化を図るよう努めています。

(4)指標及び目標

当社グループは、CO2排出量削減を目標として設定しています。定期的にモニタリングし対応策を講じています。グリーンオペレーション100(2038年(*1)までに事業活動(*2)でのカーボンニュートラル)を目標として設定し、この達成にむけてマイルストーン2030(2030年までに事業活動(*2)でのCO2排出量を50%削減)を設定しています。

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人的資本(人材の多様性を含む)に関する内容については、統合報告書2022 P33,P34,P35をご参照下さい。

(*1)当社創業100周年(*2)GHGプロトコルのScope1,2を対象

3【事業等のリスク】

当社では、経営におけるリスク、およびそのリスクが及ぼす影響を的確に把握し、事業への影響を回避・低減するリスクマネジメント活動を通じて、事業の競争力を維持し、継続的な企業価値の向上を目指しています。

具体的には、共通の評価ツールによってグローバルのビジネスリスクを体系的に把握し、取締役会やサステナビリティ戦略会議における共有・議論を通じてリスクマネジメントの実効性向上やしくみの改善に取り組んでいます。電動化が加速し、自動車産業の構造が大きく変化している現在、事業のリスクは更なる成長の機会と表裏一体のものととらえ、中長期的な観点での取り組みを継続しております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、事業や投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、合理的に予見することが困難である場合、記載を省略しております。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。

 

・市場環境の変化

景気変動や経済危機などは、4輪車、2輪車ユーザーの購買力、購入意欲低下につながり、その部品を製造している当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは世界各国で事業展開をしており、地理的要因、各種規制、政治不安、商習慣の違いなど様々な潜在的リスクが存在します。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界経済に長期にわたる影響を及ぼしたように、突如とした感染の拡大などにより人の移動や経済活動に対する制約が長期化し、4輪車、2輪車の需要低下や当社の事業活動そのものの停滞するリスクが存在します。

これらのリスクに対応できない場合は売上高の減少や減損損失の発生等当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、想定される生産変動への適応力強化に向けて、生産の柔軟性向上や、サプライチェーンの最適化、強靭な品質体質の構築などを進めております。

 

・電動化の進展による自動車部品業界の構造変化、競争の激化

自動車の電動化の加速は、当社の既存商品の販売が低迷、縮小する可能性があります。当社は技術動向、市場の変化を注視し、年度毎の事業戦略のローリングによって環境変化に適応した事業展開を進めておりますが、市場ニーズを捉えた電動化への対応が遅れる場合、売上高が減少する等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、CASEの変化は“自動車の所有”から“移動サービスの利用”という形に社会のニーズを変化させ、それを背景に新たなプレイヤーの参入や、系列の枠組みを越えたサプライチェーンの再編などが現実のものとなっています。当社はこのような変化を更なる飛躍のチャンスと捉え、小型・軽量・高精度を強みとするデファレンシャルアッセンブリィや減速機ギヤ、電動車向けの駆動ユニット開発など、商品の高付加価値化と事業の拡大に取り組んでおりますが、メガサプライヤーなどとの競争環境も激化しており、当社グループの商品開発、受注活動が順調に進展しない場合、売上高が減少する等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・特定の取引先等への依存

当社グループは、自動車産業や2輪車産業向けを中心として、世界の主要自動車メーカー・2輪車メーカーを取引先とし、顧客のニーズに対応したグローバル供給体制を構築する為、全世界の5地域14カ国36拠点で生産を行っております。

当社グループの業績は、今後の自動車産業や2輪車産業の動向によって影響を受ける可能性があります。全世界での新規取引先拡大の結果、2023年3月期は、主要な取引先であるホンダグループへの売上高比率は約47%でした。今後のホンダグループの事業戦略や購買政策等により、当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。

当該リスクを軽減するため、当社グループは、これまでに培ってきた高い技術力を活かし、全地域で取引先拡大とグローバル生産体制の整備に取り組み、変化の中で更なる成長を実現できる企業体質の構築に取り組んでまいります。

 

・特定の原材料等の外部業者への依存

当社グループは、多数の外部の取引先から原材料などを購入しておりますが、製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料については、一部の取引先に依存しております。安定したコストで継続的に供給を受けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含め多くの要因に影響を受けます。それらの要因の中には、取引先が継続的に原材料及び部品を確保できるかどうか、また、供給を受けるにあたって、当社グループがその他の需要者に対してどれだけ競争力があるか等が含まれます。とりわけ、主要な取引先を失うことは、当社グループの生産に影響を与え、コストを増加させる可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、発注数量の最適化や新たな取引先の開拓、従来のサプライチェーンの見直しなどにより、競争力のある、安定した価格で原材料等を調達するための取り組みを進めております。

 

・製品の欠陥への対応

当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、開発から量産に至るプロセスを通じて商品の品質を評価、保証する仕組みを構築することで、お客様の信頼を頂ける生産・供給体制を維持しております。

 

・新規事業展開に関するリスク

当社は、将来にわたる事業の継続的成長と、持続可能な社会の実現を目指し、既存事業の枠組みに捉われない新規事業の創出に取り組んでおります。これらの活動の中では、新たな技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発なども行っております。対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合などには、減損損失の発生などによって当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

当社グループは事業拡大のため積極的な投資を行っていることから当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。当社グループは当該リスクを軽減するため、経営会議における投資可否の厳格な検証に加え、リスク顕在化の早期確認や対応を可能とするため、投資会社の事業計画の進捗を継続的にモニタリングしております。

 

・固定資産の減損に係るリスク

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下した場合には、減損損失が発生し当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・為替変動

当社は、当社グループの海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。また、当社グループの海外拠点からも、それらの製品を複数の国へ輸出しております。為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績、また競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響いたします。当社は、日本国内において多くの製造活動を行っており、日本以外の通貨による売上があるため、当社の業績は、円が他の通貨に対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。

 

・為替変動のリスクをヘッジしていることが引き起こす別のリスク

全ての為替リスクをヘッジすることは不可能ですが、当社グループは、為替変動リスクの影響を軽減するために、為替予約契約等を締結しております。あらゆるヘッジ契約と同様に、為替予約契約等の利用にはリスクが伴います。このようなヘッジ契約の利用は、為替の変動によるリスクをある程度軽減する一方、為替が逆方向へ変動することから生じたかもしれない利益を逸失している可能性があります。当社グループが締結してきた、また、これからも締結するであろうヘッジ契約は、取引相手を大手の国際金融機関に限定することにより、取引相手の信用リスクにさらされるリスクを最小限に抑える努力をしております。しかしながら、そのような取引相手の債務不履行があれば、当社に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、必要に応じて経営会議において契約内容を慎重に検討しております。

 

・合弁事業

当社グループは、成長戦略の一環として、グローバル展開並びに新技術や新製品の開発強化のため、直接投資を行うほか外部企業との間で資本提携・業務提携等を推進しております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営会議や取締役会での審議の上で意思決定を行っております。

これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあり、そのことが、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは、投資実行後においては、事業の進捗を定期的にモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるよう、しくみの構築・改善に取り組んでおります。

 

・情報セキュリティ

当社グループは、事業活動の管理・支援、及び当社製品の製造・研究開発において、第三者に委託しているものも含め、様々な情報システムや情報ネットワークサービスを利用しております。これらの情報システム・ネットワークサービスの利用においては、当社グループが保有する機密情報を保護し、外部への流出を防止するために、規程・管理体制を整備し、ハード及びソフトの両面においてセキュリティ対策を実施しております。しかし、ハッカーやコンピュータウィルスなど外部からのサイバー攻撃、当社グループが利用する情報システムや情報ネットワークサービスにアクセスすることができる者による不正使用や管理上の不備、また、自然災害に伴うインフラ障害などによって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。その場合、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生など、当社グループの事業・財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・知的財産権保護

当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、これらの技術とノウハウの一部は、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあり、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、意図せず第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造した場合の売上の減少、あるいは当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合の損害賠償請求による損失の計上により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクを軽減するため、当社製品に採用される技術は特許出願により確実に保護すること等により、他社による権利侵害が継続しないように対処しております。また技術開発、製品設計プロセスの複数段階で調査を実施し第三者の知的財産を侵害しないよう努めております。

 

・法的手続きへの対応

当社グループは、訴訟、関連法規に基づく調査、手続きを受ける可能性があります。法的手続きで不利な判断がなされ、和解金及び罰金等の費用が発生する場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を与えます。

当社グループは当該リスクを軽減するため、コンプライアンス教育の推進や、内部統制委員会の設置等により、法令が遵守される体制を維持しております。

 

・環境及びその他の規制

気候変動や環境汚染が地球規模で解決すべき課題となっています。世界の主要国において様々な規制の適用やカーボンニュートラル実現の目標が示され、当社グループにおいては、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのためには、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大のための設備投資などが必要になるほか、管理コストの上昇も見込まれ、当社の事業活動に対して影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの取組みを競争力の源泉とすべく、排出CO2や廃棄物、水資源の使用料の削減に具体的目標値を定めて適切に管理するとともに、製造過程でCO2の排出が少ない商品や、利用時にCO2排出が少ない(またはそれに貢献できる)低炭素商品を追求しています。

 

・地震等の自然災害

当社グループは、地震等の自然災害の発生時に人的・物的被害を最小限に抑えるための管理体制の確立に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動に支障が生じたり、復旧に要する費用等の発生が財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは当該リスクに適切に対処し、発生時の影響を最小限にするため、災害対応能力の向上を目的とした初動対応訓練を定期的に行っております。また大規模自然災害や感染症等の発生を想定した事業継続計画を策定・運用しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度は世界的な半導体の供給不足や新型コロナウイルス影響等による物流網の混乱の影響を受け、自動車業界においては厳しい状況が継続しました。当社グループにおいても客先の減産など大幅な生産変動に対する柔軟な対応を余儀なくされました。

こうした中、コア事業領域では外部環境が大きく変化するなかでも利益が創出できるよう、体質管理や改善活動など、ものづくりのしくみの統一による収益体質の強化に加えて、DXによる開発活動やオペレーションの効率改善を推進してまいりました。また、EV化をはじめとする自動車業界の急速な変化をチャンスととらえ、グローバルでの生産・販売体制の強化を行っています。このうち中国地域では、受注が好調となっているEV用部品の生産拡大に対応するため、同地域で4カ所目の生産拠点となる武蔵精密汽車零部件(中山)有限公司の第2工場を2023年3月に竣工しました。さらに、2輪車・3輪車向けEV駆動ユニットの受注活動を世界各地で積極的に展開しており、アフリカ、インド、東南アジア地域を中心にユニット供給のみにとどまらずハードを軸としたソフトウェアサービス展開も視野に入れたEモビリティ事業展開を加速しています。

新規事業領域では、インダストリー、エネルギーソリューション、ウエルビーイングの各事業領域において、北米やイスラエルなど世界中のスタートアップ企業等とのオープンイノベーションによるシナジーの創出と事業展開を進め、社会へのインパクト創出を目指しています。このうちAI事業では、 AI外観検査の対象をEV向けに使用される大型部品や複雑な形状の部品へ拡大するための独自アルゴリズム研究の進化とともに、AI外観自動検査機の社外販売を推進しています。また、今年度にはカナダにMusashi AIノースアメリカ・インコーポレーテッドを設立し、北米での開発や事業展開に着手しました。戦略的パートナーシップを結んでいるイスラエルのSIXAI社とともに、今後も日本・北米・イスラエルの世界三極体制でAIの開発と事業展開を推進します。

サステナビリティ領域では、創業100年に当たる2038年までの事業活動(GHGプロトコルのScope1,2を対象)でのカーボンニュートラル達成に向けて、新たに中間目標「マイルストーン2030」を設定しました。2030年に事業活動におけるCO2排出量の50%削減を目指します。

当社グループでは、ムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!枠を壊し冒険へ出かけよう!」の下、今後も環境変化を先取りした人・しくみ・事業の変革とカーボンニュートラルの実現に向けた施策を加速してまいります。

このような状況において、当連結会計年度の業績は、連結売上高は301,500百万円(前連結会計年度比24.6%増)と増収となりました。

利益面では、体質改善の取り組みはあったものの、急激な生産変動や物価上昇により連結営業利益は7,677百万円(同8.7%減)と減益、連結経常利益は7,030百万円(同25.5%減)と減益、親会社株主に帰属する当期純利益は2,436百万円(同55.1%減)と減益となりました。

セグメント別の状況は次の通りです。

(日本)

半導体不足の影響による主要得意先の生産変動はありましたが、材料費高騰分の売価反映などもあり、売上高は36,172百万円(前年同期比5.5%増)、費用削減の継続はしたものの、急激な生産変動への対応やインフレの影響もあり、セグメント利益は835百万円(同69.3%減)となりました。

(米州)

半導体不足の影響により主要得意先の生産台数は伸び悩んだものの、材料費高騰分の売価反映や円安の影響などもあり、売上高は73,779百万円(同43.7%増)、インフレによる高騰分の回収や費用削減の継続などにより、セグメント利益は2,359百万円(同430.8%増)となりました。

(アジア)

2輪車販売の増加に加え、材料費高騰分の売価反映や円安の影響などもあり、売上高は71,847百万円(同27.6%増)、売上増による効果や費用削減の継続などにより、セグメント利益は6,616百万円(同40.0%増)となりました。

(中国)

上海ロックダウンおよびゼロコロナ政策廃止後の急速な感染拡大による生産変動の影響が大きく、売上高は32,244百万円(同2.8%減)、費用削減の継続はしたものの、急激な生産変動へ対応の影響もあり、セグメント利益は865百万円(同74.0%減)となりました。

(欧州)

材料費高騰分の売価反映や円安影響もあり、売上高は87,456百万円(同31.0%増)、電力料などの大幅な物価上昇の影響や半導体不足による生産変動へ対応の影響もあり、セグメント損失は3,401百万円(前連結会計年度は2,764百万円の損失)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、26,753百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,572百万円の減少となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、19,409百万円となり、前連結会計年度の5,805百万円と比べ、13,603百万円の増加となりました。これは主に、仕入債務の増加額3,105百万円(前期は1,138百万円の減少)などの資金の増加要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、17,931百万円となり、前連結会計年度の20,131百万円の減少と比べ、2,200百万円の増加となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が2,517百万円減少したことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、4,508百万円となり、前連結会計年度の14,758百万円の増加と比べ、19,266百万円の減少となりました。これは主に短期借入による収入が10,492百万円増加した一方で、長期借入による収入が25,903百万円減少したことなどによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

35,874

101.6

米州

74,009

140.3

アジア

72,925

127.5

中国

31,940

90.0

欧州

88,765

130.1

合計

303,516

121.9

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

36,212

105.4

764

105.5

米州

74,905

144.7

2,568

178.2

アジア

72,977

124.3

5,540

125.6

中国

32,268

97.5

569

104.4

欧州

87,882

131.0

1,800

131.0

合計

304,245

124.2

11,244

132.3

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

36,172

105.5

米州

73,779

143.7

アジア

71,847

127.6

中国

32,244

97.2

欧州

87,456

131.0

合計

301,500

124.6

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。

なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。

指標

2022年度

(計画)

2022年度

(実績)

2022年度

(計画比)

連結売上高

290,000百万円

301,500百万円

11,500百万円増  (4.0%増)

連結営業利益

6,000百万円

7,677百万円

1,677百万円増 (28.0%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益

2,100百万円

2,436百万円

336百万円増 (16.0%増)

1株当たり当期純利益

32.18円

37.32円

5.14円増

当連結会計年度における連結売上高は計画比11,500百万円増(4.0%増)となりました。連結営業利益は計画比1,677百万円増(28.0%増)となりました。これらは、米州とアジアにおいて想定よりも販売が好調であったためです。また親会社株主に帰属する当期純利益は計画比336百万円増(16.0%増)、1株当たり当期純利益は計画比5.14円増となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(ⅰ)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(ⅱ)借入金等の状況

2023年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。

区分

年度別要支払額(百万円)

1年以内

1年超5年以内

5年超

合計

短期借入金

57,306

57,306

長期借入金

12,073

29,628

153

41,855

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

(ⅲ)財務政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。

重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。

次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。

連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。

○退職給付費用及び退職給付債務

当社グループは退職給付債務に関する割引率等の仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は、発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

○固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会  平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号  平成15年10月31日)を適用しています。当社グループが減損を判定する際のグルーピングは欧州地域を除き原則として会社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、減損テストを実施し、その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。

当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

特に新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は現在も続いており、各国の経済活動や世界の景気変動への影響も不確定であります。当社グループにおいても主要な得意先である自動車メーカー各社の動向について予測が困難な状況です。引き続き、取引先及び外部の情報を踏まえながら、翌連結会計年度の一定期間にわたり当感染症の影響が継続するという仮定に基づいて、固定資産に関する減損損失の認識要否の判断等の会計上の見積りを実施しております。

○投資有価証券の減損判定

当社グループは、時価のある株式については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。

また、市場価格のない株式等については、取得時に想定した期間内に実質価額が著しく低下している状態から回復しないと判断した場合には減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振等、現在の見積り及び仮定に反映されていない事象が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損が発生する可能性があります。

○繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!」を主題として掲げ、テクノロジーへの“情熱”と、イノベーションを生み出す“知恵”をあわせて、「地球と人が豊かに共存できる世界」を目指して、さらに加速する電動化社会を見据え、独創的な商品開発と技術開発、電動化商品開発に取り組んでおります。各4輪車メーカー、2輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、PT事業、L&S事業、2輪事業、さらに電動化事業構築に向けて世界No.1を目標にニーズを先取り出来る提案型の開発をスピード重視で推進しております。

 研究開発活動は、主に当社および国内子会社の九州武蔵精密株式会社が推進し、当連結会計年度における研究開発費は6,435百万円であり、主な成果は次のとおりであります。

 

 

(1) 商品開発

車両の電動化に伴い、当社の供給する動力伝達部品、足回り部品等には、従来にも増して高い静粛性・回生モードの付加による入力荷重の変化や車両重量の増加に耐える強度が求められます。当社はこれまで培った技術を活かして、4輪事業においては電動化ニーズに適合したオリジナルの小型・軽量デファレンシャルアッセンブリィや低フリクション、高応答の小型ボールジョイント、さらにEV向けのオリジナル減速機ユニットの開発を進めております。2輪事業においてはモーターやパワーコントロールユニットを含めた2輪EV向けe-Axleの開発、さらにコスト低減に向けた現調化の開発に取り組んでおります。

 

①PT事業 商品開発

ラインナップ化したデファレンシャルアッセンブリィにおいてはオリジナル設計ソフト開発、デジタルツールの最大活用を行い、急速な電動化をチャンスに受注・拡大へと繋げております。

EV化による高い耐久性、静音性、スペース効率および廉価を実現する次世代DIFFの開発に取り組んでおります。

 

②L&S事業 商品開発

電動化や自動運転に伴う顧客要求の変化に対して、長年蓄積したノウハウと最新の解析技術を融合した最適開発でL&S製品の小型軽量化、静粛性や乗り心地に寄与する低フリクション・高応答性化に取り組んでおります。これらの技術を使った商品は、日本だけではなく海外顧客からも大変ご好評をいただき、拡販、新規受注につながっております。またカーボンニュートラルの実現に関しては、原材料リサイクルによる廃棄物の削減、再生可能エネルギーを利用した生産だけではなく、バイオマス由来の原料置換などにも積極的に取り組んでまいります。

 

③2輪事業 商品開発

2輪車用トランスミッションシェア世界No.1サプライヤーとして長年培って来たものづくりの技術力と、トランスミッションに要求される機能と仕様を熟知した設計力との融合により、合理性に優れ、且つ魅力溢れる商品提案・拡販活動を継続的に推進し、国内及び海外顧客において更なる受注拡大を展開してまいります。

 

(2) 先進技術研究

EV拡大に向け、独自の4輪減速機ユニット、2輪e-Axleの研究・開発を推進しており、当社の強みであるギヤ技術、デフ技術を軸に、最新のコンピュータ設計支援によるシミュレーションを駆使し、仕様の最適化、開発期間の短縮に取り組み、お客様の要求に見合う電動用減速機ユニットの技術開発を進めております。さらに、バッテリーシステムの研究開発に取り組み、独自のバッテリーセル技術、制御技術をもって性能向上の研究を進めております。また、カーボンニュートラルに向けて、工場のエネルギーマネジメントシステム研究に取り組んでおり、その技術を軸に地域マイクログリッド構築を進めております。

 

(3) 生産技術開発

①加工技術開発

自動車の電動モーターに付帯する減速装置においては独自の加工・組立技術を継続的に進化させることで付加価値の向上を図っております。又、複雑化する市場のニーズに迅速に対応できる新たな加工技術の追求をしております。デファレンシャル部品ではEV時代に向け、高静音性・低コストを可能にする技術開発を進めております。

 

②塑型技術開発

塑型領域ではEV化、価格高騰を受けて地産地消化を進め、各拠点のインフラ設備を最大限活用したモノづくりの提供を進めております。シミュレーション技術と3Dスキャンを融合させた豊富なデータを基に製作時間短縮、最適金型形状にて最強のQ.C.D達成を目指し、モノづくりのスピードを上げ、コスト低減に取り組んでおります。

開発領域では電動化部品に追従した当社グループの独自技術を融合した最廉価シャフトを国内外に展開しております。更にGX領域では廃熱を利用した発電にもチャレンジし、環境に配慮した作りを進めております。

 

③2輪生産技術開発

2輪・汎用領域においては、当社の得意分野である精密鍛造技術をコアとし、加工の極小化や一体化、工程集約などの実施、デジタルやAIによる検査など更なる効率化を目指し強力に推進しております。機械加工の領域におきましても、今までの固定概念にとらわれない新しい発想を基に、超高速化の新規設備と加工技術を確立し海外拠点にて量産適用しております。今後も4輪技術及び塑型加工技術、鋳造技術とのシナジー効果を最大限活用し、2輪部品生産技術の更なる進化を追求してまいります。

 

(4) AI研究

Musashi AIのブランドスローガンである 「人にはもっと人らしい仕事を」を理念にAIを製造現場に実装し、ものづくりのイノベーションに取り組んでおります。当社が注力して進めている搬送、および目視検査工程の自動化の開発・販売を加速するべく、イスラエルに拠点を置くパートナー会社634AI・リミテッドと共に活動を進めております。搬送工程の自動化を提供する634AI・リミテッドはMAESTRO/AMRs(Autonomous Mobile Robot)の商品開発を進めております。AI検査事業は日本をベースとしたMusashi AIにてトヨタ自動車様への実装実績を生かし販売拡大を急速に推進しております。更にグローバル展開を進めるべく、北米にMusashi AIノースアメリカ・インコーポレーテッドを設置し、世界のモノづくり現場に幅広く技術提供すると共に、事業拡大を進めてまいります。