第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

当社グループは、Origin(創業の精神)、Purpose(使命)、Way(行動指針)で構成されるムサシフィロソフィーを基軸に事業を運営しております。

 

ムサシフィロソフィー

 

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激変する事業環境の中、当社は長い歴史の中で培った挑戦のDNAを受け継ぎ、長期ビジョン「Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~」を実現することで、新たな価値の創出と更なる成長を目指します。

 

・ムサシ100年ビジョン Go Far Beyond! ~枠を壊し冒険へ出かけよう!~

 

-人:自らの限界を壊し、ワクワクする仕事をしよう!

-しくみ:組織・風土の壁を壊し、常に変革を起こそう!

-事業:常識・既成概念を壊し、世界をあっと驚かせよう!

 

(2)中長期的な経営戦略

当社グループにおいては、ムサシ100年ビジョンの実現に向け、人・しくみ・事業の各視点で以下の方針を定め、既存事業(コア事業)の深化と、新規事業の創出による更なる成長を目指しています。

 

・人:ムサシフィロソフィーの体現、ビジョンへの挑戦

ムサシ100年ビジョンのグローバルでの実践に向けて、将来を担う、高いスキルを持ったプロ人財や、新しい働き方で価値を生み出す自律人財の育成を目指しています。

全ての活動の基軸であるムサシフィロソフィーについて、階層別の期待行動を具体化し、実践のための教育プログラムの整備やそれに連動した人事評価制度のしくみを導入することで、各個人が能力を高め、発揮し、活躍できる環境・企業文化づくりを進めてまいります。

 

・しくみ:Musashi DXの実現

デジタル技術を活用した業務の標準化、自動化、最適化により業務プロセスを高効率化し、さらにデジタル化されたプロセスの中で蓄積されるデータの利活用により、新たな価値の創出にも挑戦します。

また、デジタルトランスフォーメーション実現のため、進化したツールを使いこなし、価値を生み出すことができるデジタル人財の育成にも取り組んでいます。デジタル技術に対するリテラシー向上や、クラウドツールを活用した業務改善アプリの製作といった実践スキルを学ぶプログラムを整備し、新たな時代の成長基盤となるデジタル前提の企業文化を構築してまいります。

 

・事業:強いコア事業の確立、新規事業の創出

電動化の機会をとらえた、コア事業の拡大と収益性の向上に取り組みます。QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の観点で最適なものづくりを追求していくとともに、将来を担う新技術の仕込みや、オープンイノベーションによる新規事業の創出にも取り組みます。

当社グループの得意技術を活かした電動車向け商品の競争力強化・ラインナップの拡充に加え、既存商品の稼ぐ力を継続的に高めることで、電動化時代のキーデバイスサプライヤーとしての成長を目指します。また新規事業領域においては、主要4分野(e-Mobility、Energy Solution、Smart Industry、Well-being)において、社会課題の解決に貢献できる事業の創出に取り組んでいます。

 

・Musashi GX(グリーン戦略の推進)

当社は、2021年5月にカーボンニュートラルの実現に向けた中長期目標を発表いたしました。当社が創業100周年を迎える2038年までに事業活動(*1)でのカーボンニュートラル(グリーンオペレーション100)、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラルの実現を目指します。全ての事業活動を対象に、省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大などの取り組みを価値に変えるグリーン戦略を策定・実行してまいります。

製造工程においては、CO2の見える化と徹底的な省エネ化、再エネ活用を進め、CO2排出を抑えた低炭素商品の実現を目指しています。また、自動車のCO2排出低減に貢献できる技術・商品の開発や、一人ひとりの意識・行動を変えていくことによる事業活動全般における低炭素化を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

(*1) GHGプロトコルのScope1,2を対象

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループでは、収益性の向上を経営上の重要課題の一つとして捉えています。競争力の高い商品開発や生産プロセスの効率化、財務規律の確保に向けた諸施策により、売上高に対する利益率や資本効率性(ROA・ROE・ROIC)を高め、長期的な企業価値向上を目指しています。このほか、自己資本比率や借入金依存度などの指標により財務の安全性や健全性にも配慮しております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題等

自動車業界では、米国による新たな関税政策の導入など、事業環境が急激に変化しています。これまで進んできたEVシフトについても、中国ではEV比率が50%近くまで上昇し現地メーカーの躍進が著しい一方、欧州では補助金政策見直しにより市場成長が鈍化しています。米国ではハイブリッド車のシェアが増加するなど、地域ごとでばらつきが見られてきています。当社グループでは、これらの外部環境変化を踏まえ、自動車部品事業の競争力を維持しつつ、テクノロジーを活かした新規事業展開を加速するため、以下を重要課題として取り組んでいます。

 

1.グローバルオペレーションの強化+マネジメント体質の向上による"稼ぐ力"の最大化

今後の成長につなげる原資を確実に確保するため、既存のインフラを最大限に活用します。生産現場では、デジタル技術をフル活用した工場自動化に取り組んでいます。生産体質の改善を進めることにより、収益力の向上につなげます。

 

2.EV時代をリードする事業構造への転換

当社グループは、EV、ハイブリッド車、内燃機関車、それぞれの機構変化に柔軟に対処できる多様な戦略オプションを構築しています。特に、EV化の進展に伴い必要とされるデファレンシャルアッセンブリィのコンパクト化、減速ギヤ/シャフトの高精度化・静音、リンケージ&サスペンション部品の軽量化・低フリクション化を通じ、顧客に選ばれる付加価値の高い商品を提供します。

 

3.新規事業の1→10フェーズの加速

新規事業領域では、Energy Solution事業が成長期に入っています。ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)は、高い出力密度とエネルギー密度を高度に両立する特性を持ち、大規模データセンター向けのニーズが高まっています。旺盛な需要にお応えするため 、急ピッチで生産体制の整備を進めています。既存工場の生産能力拡張に加え、山梨県南アルプス市に年間生産能力500万セルの新工場を建設しています。e-Mobility事業では、インドで2輪EV向けe-Axleの量産を開始しました。アフリカではケニアやエチオピアの政府や現地パートナーと連携し市場開拓を進めています。Smart Industry事業では、北米でAI外観検査機の受注が拡大しました。物流分野での効率化ソリューションの提供も目指しています。

 

 

4.事業活動を通じたサステナビリティの実現

当社の事業活動は、ムサシフィロソフィーを基軸にしています。ムサシ100年ビジョン"Go far beyond!"の実現を目指し、事業活動そのものを通じて社会課題の解決に貢献することで、持続的な成長とサステナブルな社会の実現に取り組みます。

 

5.貿易環境の変化に対応する強靭なサプライチェーンの構築

当社グループでは貿易環境の変化に迅速かつ戦略的に対応するため、各市場の特性に合わせた現地生産体制の強化や、国・地域間の部品供給ネットワークの最適化を進めています。生産体制の最適化だけでなく、調達の見直しも含めた包括的な対応策を講じることにより、関税政策の変化に柔軟に対応できる強靭なサプライチェーンの構築を目指します。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

~ムサシフィロソフィーを基軸とした事業展開を通じて、持続的な成長とサステナブルな社会の実現に貢献~

「ムサシフィロソフィー」は、当社グループで働く全ての従業員共通の価値観であり、企業活動や個々の行動の基軸として根付いています。当社グループは、事業活動を通じて持続的な成長とサステナブルな社会の実現に貢献することを使命としてOur Purposeを制定し、その実現に向かう旗印としてムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!」を掲げています。既存の枠組みを壊し、社会から存在を必要とされる「エッセンシャルカンパニー」となることを目指しています。

事業展開においては、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて認識した期待・要請や社会課題をVision, Purposeと照らし合わせ、当社グループが果たすべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。「コア事業の深掘り」と「新事業の創出」によって新たな価値を創出することでマテリアリティに取り組む。すなわち事業活動そのものを通じて社会課題の解決に貢献することが、当社グループのサステナビリティへの取組み姿勢です。

昨年度には、当社コーポレートサイトに「ESGポリシー/データ」ページを開設致しました。最新の取組み

状況や成果をご覧いただけますよう、今後もESG情報の開示に努めてまいります。

「ESGポリシー/データ」  https://www.musashi.co.jp/sustainability/esg/

 

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(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティを巡る社会課題に適切に取り組むべく、最高経営責任者を議長とする「サステナビリティ戦略会議」をコーポレート・ガバナンス体制の中に組み込んでいます。ステークホルダーとの対話などから認識した期待・要請や社会課題を当社グループのVision・Purposeと照らし合わせサステナビリティの実現にむけた議論を行っています。社会課題を経営に取り込むことで実効性をあげ、確実な達成を目指しています。

「サステナビリティ戦略会議」の運用につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照下さい。

 

 

(2)リスク管理

当社グループでは、企業活動・行動に関わる全てのリスクを対象とした全社横断的なリスクマネジメントを行うBCM体制を整えており、サステナビリティ関連も含めたリスクの抽出・評価・モニタリングを行っています。抽出された重要リスクについては、「サステナビリティ戦略会議」での議論は勿論のこと、役員の中から選任されたリスクマネジメントオフィサーの監督のもと取組みを進めています。特に、気候変動関連リスク(物理的リスク)は、事業継続上の重大なリスクとして選定しており「BCP委員会」にて事業継続計画を策定し、教育や訓練を定期的に実施しています。更に平時における経営被害(移行リスク)の未然防止としてBCM活動の強化に取り組んでいます。変化の激しいリスクの観点については、社会課題を積極的に取入れ、ステークホルダーや社外取締役からの意見を反映し、リスクの最小化を図るよう努めています。

 

 

(3)戦略

1.Musashi GX(グリーン戦略の推進)

当社グループは、気候変動への対応をサステナビリティ経営の重要な課題と捉えています。これまでの環境対応というレベルでは到底追いつかない状況である今、Purposeでも示しているように、「テクノロジーでイノベーションを起こし、人と環境が “調和”した豊かな地球社会の実現」に貢献するグリーン戦略を展開しています。

 

グリーン戦略では、グリーンを価値にすべく3つのコンセプトに基づき活動を進めています。

「創る」商品・サービスを通じてCO2削減に貢献

「使う」徹底的な省エネや生産の効率化、自家発電の導入など再生可能エネルギーへの転換

「繫ぐ」地域・社会とのコミットメント

当社は、ステークホルダーとのコミュニケーションを図るため、2021年8月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言へ賛同を表明しております。

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 気候変動が事業に与える影響を把握し、リスクと機会を分析することでリスクの最小化や新たな価値の創出を図り事業の持続的な成長へ繋げる取り組みを推進しています。想定されるリスクと機会や活動状況につきましては、当社コーポレートサイト「ESGポリシー/データ」に掲載しております「TCFDの分類に基づくGX全体構造の整理」をご覧ください。https://www.musashi.co.jp/sustainability/esg/assets/pdf/1d0cc78f6adcfe9e40b03ca7f73cbb0aa6202c85.pdf

 

2.人的資本

① 人財育成の基本コンセプト

 当社グループは2038年に向けて、「Go Far Beyond!」のビジョンを新たに掲げ、ムサシフィロソフィーを基軸に「地球と人が豊かに共存できる世界」を目指し、一人ひとりが冒険者となりまだ見ぬ未来へ歩み始めました。時代や事業環境の変化に適応し、イノベーションを生み出し続ける組織を実現するために、「自律的に変革に挑戦し、常に自己研鑽に励むことができる志の高い人財(=自律したプロ人財)」の育成を目指しています。

「自律したプロ人財」を育成方針に掲げ、“主体性・自立性をベースに、個々人が能力を開発していく組織風土を醸成”し、“ムサシフィロソフィー、経営方針(ビジョン)を正しく理解し、展開することを担い得る人財の輩出”に向けて、教育体系の刷新等様々な取り組みを行っています。当社グループはフィロソフィーに掲げているOur Wayを人財育成の要であるコアコンピテンシーとして位置づける一方、ビジョンを達成するための重点育成テーマとして、イノベーションやデジタル領域での能力開発機会の提供やグローバルリーダーの育成に向けて積極的な取組みを進めています。

 人財育成体系や「フィロソフィー・ビジョンの浸透」を始め「イノベーション人財育成」「デジタル人財育成」などの取組みについては、当社コーポレートサイト「ESGポリシー/データ」に掲載しております、下記サイトよりご覧ください。

 

「人財育成の基本コンセプト」 https://www.musashi.co.jp/sustainability/esg/assets/pdf/657adf14002492e88b276cd06e14ec1848050878.pdf

「人財育成プログラム」https://www.musashi.co.jp/sustainability/esg/assets/pdf/71612d63c55db6bf08d80368b7590d82f92d8ce9.pdf

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②働き続けたいと思える環境の整備

 当社グループは、Our Purposeとして「人と環境が調和した豊かな地球社会の実現へ貢献」することを定め、100年企業を目指した新たな挑戦を進めています。その実現には、従業員が健康でいきいき働くことができる環境の維持継続と主体的な健康増進を促す取組みが不可欠です。一人ひとりが個性を発揮し、挑戦を続け、新たな価値を創造できる職場環境づくりを目指し「健康経営」に積極的に取り組んでいます。

 

 

(4)指標及び目標

1.Musashi GX(グリーン戦略の推進)

 当社グループは、CO2排出量削減を目標として設定しています。定期的にモニタリングし対応策を講じています。グリーンオペレーション100(2038年(*1)までに事業活動(*2)でのカーボンニュートラル)を目標として設定し、この達成にむけてマイルストーン2030(2030年までに事業活動(*2)でのCO2排出量を50%削減)を設定しています。

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(*1)当社創業100周年(*2)GHGプロトコルのScope1,2を対象

 

目標達成に向けて、当社ではCO2削減目標 だけでなくそれに起因する省エネ目標も設定し、生産変動などの外部要因による影響を受ける中でも着実な削減活動を評価できるよう体質指標を設定し、グローバルでの進捗管理を行っています。活動事例や実績については、当社コーポレートサイト「ESGポリシー/データ」に掲載しております、下記サイトよりご覧ください。

 

「GX戦略」

https://www.musashi.co.jp/sustainability/esg/assets/pdf/28ad3dabdd4dfad93a5d28cd6c95a18deb7d126c.pdf

「GXの目標と実績」

https://www.musashi.co.jp/sustainability/esg/assets/pdf/9a01519d31b65824a3697df648eaf4e350033751.pdf

 

 

 

 

2.人的資本

 人的資本(人材の多様性を含む)について、当社は、多様性を尊重し、性別、年齢、国籍、障がいなどにかかわらず、公正・公平な人材採用・登用の推進に取り組んでおります。今後は個社の企業運営に留まらず、地域全体/グループ全体を俯瞰し、リーダーシップを発揮できるグローバルリーダーの育成に向けた取り組みを強化していきます。現時点ではグローバルリーダーに求められる経営層コンピテンシーを育成目標として設定し、経営の中核となるグローバルキーポジションの後継者計画を策定し人財育成に取り組んでいます。

 外国人・女性の管理職への登用につきましては、候補となる人材の全従業員に占める比率が小さいため、現時点では測定可能な数値目標を定めるには至っておりません。引き続き、母集団となる候補人材確保に向けた採用強化を通じて、母集団の形成を図るとともに、人材育成に取り組み、活動の推進を図っていきます。

なお、ムサシグループ全体では、日本以外にも世界13の国に仲間がおり、現地での登用や採用を通じて、多様な人材を確保しております。

 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

3【事業等のリスク】

当社グループでは、経営におけるリスク、およびそのリスクが及ぼす影響を的確に把握し、事業への影響を回避・低減するリスクマネジメント活動を通じて、事業の競争力を維持し、継続的な企業価値の向上を目指しています。

経営におけるリスクは、国内/海外拠点共通の指標にて評価しており、結果を取締役会での報告/検証をすることで、リスクマネジメントの実効性を保証しています。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、事業に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において当社グループが判断したものです。記載されたリスクが当社グループの全てではありません。

 

1)市場環境の変化

景気後退や経済危機により、当社グループ商品の売上高が減少する可能性があります。

 

(対応策)

市場・顧客の需要動向を監視し、ニーズに合わせた柔軟な生産体制の構築を行うことでリスクの影響を低減します。

 

2)電動化の進展による自動車業界の構造変化、競争の激化

自動車の電動化進展により必要部品点数が減少した場合、当社グループの売上高に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

EV、ハイブリッド車、内燃機関車いずれの需要に対しても対応できる変化に強い事業構造の構築、付加価値の高い商品の開発、製造を通じてリスクの影響を低減します。

 

3)地域的要因によるリスク

当社グループは世界各国で事業展開をしているため、政情不安、規制の強化等により、素材確保、生産活動、商品の供給に問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

海外子会社を通じて、情報の現地の情報収集に努めるとともに、グループ間での相互補完ができる生産体制、サプライチェーンの構築を通じてリスクの影響を低減します。

 

4)地震等の自然災害

大規模な自然災害が発生した場合、生産活動の停止、復旧に要する費用の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

災害発生時の体制、対応を文書に定め、被害の最小化と早期解決を図る仕組みを構築することにより、リスクの影響を低減します。

 

5)環境及びその他の規制

当社グループでは、2050年までにバリューチェーン全体のカーボンニュートラル実現を目指しています。省エネ化や再生可能エネルギーの利用拡大のための設備投資や管理コストの上昇が見込まれ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

段階ごとの目標値を適切に管理することで、効果的な環境対策に取り組むことで、リスクの影響を低減します。

 

6)特定の取引先への依存

当社グループの業績は、ホンダグループの事業戦略や購買政策等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。2025年3月期では、主要な取引先であるホンダグループへの売上高比率は約50%でした。

 

 

(対応策)

培ってきた高い技術力とグローバル生産体制を活かし、積極的な顧客提案を進めます。また、新規事業の成長により、特定事業に依存するリスクの影響を低減します。

 

 

7)特定のサプライヤーへの依存

当社グループは、多数のサプライヤーから部品・原材料等を購入しております。製品の製造において使用するいくつかの部品・原材料等については、一部の取引先に依存しております。

購入品の入手困難、価格高騰により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

主要サプライヤーとの関係維持に加え、新たなサプライチェーンの開拓、見直しを進めることで、競争力のある価格で原材料等を調達することでリスクの影響を低減します。

 

8)製品の欠陥のリスク

大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の不具合が起きた場合、多額の対応コストが必要となります。また当社グループの評価に重大な影響を与えることで、売上が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

開発から量産に至るプロセス中に複数の確認ゲートを設け、商品品質を評価、保証する仕組みを通じて、お客様に信頼頂ける生産・供給体制を実現し、リスクの影響を低減します。

 

9)新規事業展開に関するリスク

新規事業の創出にあたって、新技術の獲得や、事業開発のスピード向上のために、M&Aやスタートアップ企業への出資を伴う共同開発を行っております。

対象企業の事業活動が想定通りに推移しない場合、また対象企業に想定しなかった問題点が発見された場合等には、減損損失の発生によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

経営会議における投資判断の厳格な検証に加え、出資先の事業計画の進捗を継続的にモニタリングすることで、リスクの影響を低減します。

 

10)合弁事業のリスク

当社グループはグローバル展開並びに新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で資本提携・業務提携等を推進しております。これらの合弁事業は、合弁先の経営方針、経営環境の変化により影響を受けることがあります。それにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

経営会議における投資判断の厳格な検証に加え、合弁会社の事業計画の進捗を継続的にモニタリングすることで、リスクの影響を低減します。

 

 

11)固定資産の減損に係るリスク

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により収益性が低下した場合には、減損損失が発生し当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(対応策)

経営会議における投資判断の厳格な検証に加え、事業計画の進捗を継続的にモニタリングすることで、リスクの影響を低減します。

 

12)為替変動リスク

当社グループではグループ間の海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。

為替レートの変動は、当社グループの財政状態、経営成績、競争力にも影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

当社グループは当該リスクを軽減するため、為替予約契約等を締結しております。

 

13)関税変動リスク

当社グループではグループ間の海外拠点に対し、製品・半製品を輸出しております。

関税政策の変動は、当社グループの財政状態、経営成績、競争力にも影響し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

海外子会社を通じ、現地の情報収集に努めております。状況に応じて、取引先との交渉、サプライチェーンの見直しを通じてリスクの影響を低減します。

 

14)情報セキュリティリスク

外部からのサイバー攻撃や当社グループが利用する情報システムにアクセスすることができる者による不正使用等によって、機密情報等の改ざん・流出、あるいは重要な業務・サービスの停止等が発生する可能性があります。

その結果、社会的信用の低下、影響を受けた関係者に対する損害賠償責任の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(対応策)

リスク発生時の体制、対応を定め、被害の最小化と早期解決を図る仕組みを構築しリスクの影響を低減します。

 

15)人権に関するリスク

昨今、グローバル社会でビジネスにおける人権尊重への取り組みの重要性が高まる中、差別やハラスメントによるコンプライアンス違反が発生した場合、社会的信頼が失墜し、連結会社の業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(対応策)

2025年2月に新たに「Musashi 人権方針」を定義し、人権の尊重、強制労働や差別の禁止を明文化し、グループで共有し、徹底を図っています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の世界経済は、全体では緩やかな拡大基調を維持しましたが、地域ごとに成長格差が見られました。米国では底堅い個人消費に支えられ、主要先進国の中で相対的に高い成長を実現しました。欧州ではインフレ基調が続き、回復は緩慢なペースにとどまりました。アジアにおいては、中国で不動産開発投資の落ち込みにより成長が鈍化している一方、インドは引き続き堅調な内需に支えられて高い成長率を維持し、地域経済の牽引役となっています。また直近では、地政学的リスクの高まりや米国による新たな関税政策の導入が、世界経済の混乱要因となっています。当社は各国のお客様との連携を深めつつ、地域ごとの状況に対応した最適な生産・供給体制の構築を迅速に進め、経営の安定性と成長力の強化に取り組んでおります。

自動車業界においては、EV市場の動向が変化し、地域ごとの特性が鮮明になっています。中国ではEV比率が50%近くまで上昇し、現地メーカーの躍進が顕著となる一方、日系メーカーが苦戦しています。欧州では補助金政策の見直しにより、自動車市場の成長が鈍化しています。米国ではハイブリッド車のシェアが増加しており、各社はEV戦略を再考しています。このような環境下で、複数のモデルを地域特性に合わせて展開する傾向が強まっています。

このような事業環境の中、当社はEV、ハイブリッド車、内燃機関車それぞれの事業基盤を強化してまいりました。リンケージ&サスペンション事業では、車体重量が重いEVに対応した高耐久・低フリクションといった特長を持つボールジョイントが評価されています。特に中国地域では現地メーカーからの需要が拡大しています。パワートレイン事業では、新たなお客様よりEV向けのデファレンシャルアッセンブリィの受注を獲得し、顧客基盤の拡大を実現しました。製造現場においてはDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めています。遠隔環境から製造現場の状況把握を可能にするMAC(Musashi Active Connection)の活用によりリアルタイムでの生産管理と迅速な意思決定を実現し、収益力向上に貢献しています。

新規事業領域では、Energy Solution事業において、ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)の生成AI向け大規模データセンター向けのニーズが高まっています。現在、旺盛な需要にお応えするため、急ピッチで生産体制の整備を進めています。既存工場の生産能力拡張に加え、山梨県南アルプス市において年間生産能力500万セルの新工場を建設しています。e-Mobility事業では、インドにおいて2輪EV向けe-Axleの量産を開始しました。アフリカではケニアやエチオピアの政府や現地パートナーと連携し市場開拓を進めています。Smart Industry事業では北米でのAI外観検査機の受注が拡大しました。物流分野での効率化ソリューション開発の提供も目指しています。

このような状況において、当連結会計年度の業績は、連結売上高は347,196百万円(前連結会計年度比0.8%減)と減収となりました。

利益面では、連結営業利益は19,720百万円(同7.3%増)の増益、連結経常利益は17,981百万円(同15.6%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,782百万円(同1.7%減)の減益となりました。

セグメント別の状況は次の通りです。

(日本)

海外向け部品の販売減少などにより、売上高は39,913百万円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益は4,387百万円(同9.6%減)となりました。

(米州)

好調な客先需要の継続と円安の影響により、売上高は104,566百万円(同3.0%増)、セグメント利益は6,331百万円(同9.6%増)となりました。

(アジア)

2輪販売の増加と円安の影響により、売上高は81,903百万円(同7.7%増)、セグメント利益は9,163百万円(同39.4%増)となりました。

(中国)

日系の自動車販売低迷が継続しており、売上高は31,539百万円(同6.9%減)、セグメント利益は542百万円(同41.0%減)となりました。

(欧州)

客先需要の減少が継続し、売上高は89,274百万円(同7.1%減)、セグメント損失は740百万円(前連結会計年度は145百万円の利益)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、34,157百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,409百万円の増加となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの増減状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、31,918百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益15,348百万円(前期は13,714百万円)、減価償却費18,710百万円(前期は19,569百万円)などの資金の増加要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、16,096百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出15,055百万円(前期は12,642百万円)、投資有価証券の取得による支出1,825百万円(前期は2,767百万円)などによる資金の減少要因によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、7,743百万円となりました。これは主に借入の返済2,432百万円(前期は4,398百万円)、配当金の支払による支出3,275百万円(前期は1,633百万円)などによる資金の減少要因によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度におけるセグメント別の生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

40,375

93.9

米州

105,082

101.9

アジア

81,345

105.2

中国

31,432

95.6

欧州

87,806

90.4

合計

346,042

97.9

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度におけるセグメント別の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

39,487

91.2

1,301

75.4

米州

104,610

102.2

3,465

101.3

アジア

82,134

107.6

6,050

104.0

中国

31,505

92.9

573

94.5

欧州

89,046

92.5

1,756

88.5

合計

346,783

98.5

13,147

97.0

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度におけるセグメント別の販売実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

39,913

94.2

米州

104,566

103.0

アジア

81,903

107.7

中国

31,539

93.1

欧州

89,274

92.9

合計

347,196

99.2

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。

なお、本項に記載した予想、見込み、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの計画の達成状況は以下のとおりです。

指標

2024年度

(計画)

2024年度

(実績)

2024年度

(計画比)

連結売上高

335,000百万円

347,196百万円

12,196百万円増(3.6%増)

連結営業利益

18,500百万円

19,720百万円

1,220百万円増(6.6%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益

9,500百万円

7,782百万円

1,718百万円減(18.1%減)

1株当たり当期純利益

145.41円

118.80円

26.61円減

当連結会計年度における連結売上高は計画比12,196百万円増(3.6%増)となりました。連結営業利益は計画比1,220百万円増(6.6%増)となりました。これらは、米州及びアジアで想定よりも販売が好調であったためです。また、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比1,718百万円減(18.1%減)となりました。これは、保有する投資有価証券の評価損を計上したためです。その結果1株当たり当期純利益は計画比26.61円減となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(ⅰ)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(ⅱ)借入金等の状況

2025年3月31日現在の借入金等の概要は以下のとおりであります。

区分

年度別要支払額(百万円)

1年以内

1年超5年以内

5年超

合計

短期借入金

35,940

35,940

長期借入金

10,852

48,717

1,276

60,845

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

(ⅲ)財務政策

当社グループは、運転資金につきましては、内部資金及び短期借入金で調達しております。また設備資金につきましては、内部資金及び長期借入金で調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、重要な見積りや仮定を行う必要があります。

重要な見積りを伴う会計方針とは、本質的に不確実性があり、次年度以降に変更する可能性がある事項、または当連結会計年度において合理的に用いうる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。

次に挙げるものは、当社グループのすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。

連結財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりです。

○退職給付費用及び退職給付債務

当社グループは退職給付債務に関する割引率等の仮定の変化による実際の退職給付債務の差額は、発生した連結会計年度に債務認識し、翌連結会計年度から費用処理しております。経営者は、現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

○固定資産の減損

当社グループが減損を判定する際のグルーピングは欧州地域を除き原則として会社単位で行い、減損の兆候が認められる場合は、減損テストを実施し、その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。

当社グループは、将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

なお、重要なものについては、第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

○投資有価証券の減損判定

当社グループは、市場価格のない株式等以外のものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合は減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性を考慮して減損処理を行っております。

また、市場価格のない株式等については、第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

○繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産を計上する際には将来の課税所得を合理的に見積もっており、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合は、評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産の減額又は評価性引当額を計上することにより税金費用が増額する可能性があります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ムサシ100年ビジョン「Go Far Beyond!」を主題として掲げ、テクノロジーへの“情熱”と、イノベーションを生み出す“知恵”をあわせて、「地球と人が豊かに共存できる世界」を目指して、さらに加速する電動化社会を見据え、独創的な商品開発と技術開発、電動化商品開発に取り組んでおります。特に、アジア地域における2輪車の電動化の加速が予測され、また4輪車では各国規制強化でBEV化計画が発表されており、電動化開発の本格化を迎えています。各4輪車メーカー、2輪車メーカー、汎用機メーカーと緊密に連携し、PT事業、L&S事業、2輪事業、さらに電動化事業構築に向けて世界No.1を目標にニーズを先取り出来る提案型の開発をスピード重視で推進しております。

 研究開発活動は、主に当社および国内子会社の九州武蔵精密株式会社が推進し、当連結会計年度における研究開発費は5,392百万円であり、主な成果は次のとおりであります。

 

①PT事業 商品開発

PT(パワートレイン)事業では、当社グループの強みであるギヤ技術による静音化を軸とした独自の研究開発を推進しています。EV化の拡大に伴い、e-Axleには高い性能が求められますが、当社は高強度で静音性に優れ、省電費に貢献するスムーズなギヤやディファレンシャルの製品ラインナップを拡充しています。また、地域ごとのニーズに応じて見直されているHEV向け製品についても、さらなる低燃費化を実現しています。

当社の技術力を活かし、4輪だけでなく3輪のEV化にも対応できる開発・生産技術を構築。高い静音性、エネルギー効率、耐久性を兼ね備えた減速機ユニットの開発により、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献しています。

 

②L&S事業 商品開発

L&S(リンケージ&サスペンション)事業では、電動化や自動運転に伴う新しい顧客要求の変化に対し、長年蓄積した設計ノウハウと最新の解析技術を融合した製品開発を推進しています。省電費・省燃費に寄与できる小型・軽量と車体の静粛性、安定性、乗り心地に寄与する低フリクション高応答性に取り組んでいます。

 

③2輪事業 商品開発

2輪事業では、2輪車用トランスミッションシェア世界No.1メーカーとして長年培ってきた技術力とトランスミッションに要求される機能を熟知した設計力の融合をした製品開発を推進しています。低燃費に寄与し、耐久性、静音性が高く、信頼性の高い商品の開発・提案・拡販活動に継続的に取り組んでいます。

 

④e-Mobility事業 商品開発

e-Mobility事業では、インド・アフリカを中心とした新興国での小型電動モビリティ普及への貢献をミッションに掲げ、2輪EV駆動ユニット(e-Axle)を軸としたビジネスを展開しています。昨年度よりインドで本ユニットを量産・上市し、アフリカでも現地パートナーとの協業を開始しました。今後はEVシステム・サービスへ事業領域を拡げ、更なる事業成長を目指してまいります。

 

⑤Energy Solution事業 商品開発

Energy Solution事業では、AIデータセンター向けの高出力・高耐久型ハイブリッドスーパーキャパシタシステムの開発を完了し、ピークシェービングソリューションとして市場投入を実現しました。また、バックアップ電源用途として「ESS400」の開発を完了し、北米市場展開に必須となるUL1973認証を取得しました。さらに、高容量化・低抵抗化を目指した第4世代ハイブリッドスーパーキャパシタの研究開発が着実に進ちょくしており、量産化技術の確立を進めています。

これらの開発成果により、需要の急拡大が見込まれる次世代社会インフラであるデータセンター市場および大型商用モビリティ市場において、当社の競争力を一層強化し、事業基盤の拡充に大きく寄与してまいります。