文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、本報告書提出日現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測であります。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
市場競争の激化や市場構造の変化、原材料市況や為替の変動等、かつてないスピードで起こる変革の時代において、社会や顧客の要望はますます複雑化・多様化しており、その変化への対応が強く要求されております。さらに、事業がグローバルに拡大し、さまざまな分野で変革が進む中、事業環境を取り巻くリスクにも対応していく必要があります。このような中、当社グループは、以下のような課題に対し適切に対処してまいります。
当社グループの主要関連産業であります自動車産業においては、半導体供給不足による生産調整は縮小してきているものの、中国においては自動車市場構造の急激な変化に伴う日系顧客での販売不振・減産の影響が進行しております。加えて、世界的なインフレ、各国での金利上昇などに伴う景気後退の懸念や急激な為替変動など、事業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しております。
セキュリティ機器事業の主力市場である住宅市場においては、従来からの人口減少や低い経済成長率、住宅資材高騰により長期的な住宅着工戸数のダウントレンドは変わらないものの、リフォーム市場では住宅ストックの省エネ化の推進を図るために国や地方自治体からの支援事業が制度化されております。また、新たな住宅のニーズとしてスマートハウス化が顕在化し、住宅設備のIoT化により居住者へのサービス向上と新たな価値提供が求められてきております。一方、電子部品や原材料の供給不足と価格高騰、原油・エネルギーコスト・輸送コスト、為替の影響によるコストの上昇が、当社及びサプライチェーンに引き続き影響を及ぼしております。
当社グループは、「個々の質を高め、お客様に喜ばれる価値を創造・提供します」の経営理念のもと、「Innovation for Access」を企業メッセージとして掲げております。
当社グループは、さらなる企業価値の向上を測る尺度として、2023年度~2026年度の中期経営計画において、成長・安定・持続をキーワードに「新事業・新商品開発」、「収益基盤の強化」、そして「サステナビリティ経営の推進」を3つの基本方針に掲げ、計画目標を達成させるべく推進してまいります。
以下の目標、経営指標を採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。
・2026年度中期経営計画 目標値
(業績目標)
・売上高 850億円
・営業利益額(率) 55億円(6.5%)
(目標とする経営指標)
・新商品売上高比率 30.0%以上
・自己資本比率 50.0%
・ROIC 8.0%以上
当社グループは、2023年度~2026年度の中期経営計画を遂行中です。ALPHA WAYに掲げる経営理念「個々の質を高め、お客様に喜ばれる価値を創造・提供します」をグループ全員で共有し実践してまいります。また、当社グループに携わるすべての関係者のコンプライアンス意識を向上させることに努め、企業としての社会的責任を果たしてまいります。さらに、人の暮らしに関わるアクセスをもっと安心で便利にという意味を込めた企業メッセージ「Innovation for Access」を実現すべく、また、中長期経営構想『アルファビジョン2030』に向けグループ一丸となってさらなる努力と精進を重ね、お客様から信頼される『アルファブランド』の確立を目指します。
当社グループとしては、あらゆるロス削減や徹底した合理化活動等を通じて事業への影響を極小化していくとともに、中長期経営構想『アルファビジョン2030』に向け、戦略的な投資の実行と成長戦略の具現化に全力を挙げてまいります。
当社の住設機器部門では、上記の状況・サプライチェーンの問題による影響を極小化していくとともに、居住者へのサービス、付加価値を向上させた電気錠の新商品開発を継続し、電気錠市場において国内シェアを拡大させてまいります。また、タイの製造拠点においては、引き続き自動化を推進し、生産能力の増強に取り組んでまいります。
ロッカーシステム部門では、ターミナルロッカーのさらなるキャッシュレス対応機器の導入、及び利用時間に応じた課金運用の拡大等によるお客様の利便性向上を一層進めてまいります。同時に、コロナ禍を経て、外出機会の増加やインバウンドの回復に伴う荷物預かり需要の急拡大に対応すべく、新たな製品やサービスの開発を行ってまいります。また、持続可能な社会に向けた取り組みとして、特にCO2削減、フードロス削減に適応した製品やサービスの開発も積極的に行ってまいります。
当社グループの主な資金需要には、営業活動上の運転資金に加え、投資及び有形固定資産の取得等があります。当社グループの資金に対する基本的な考え方は、新規投資の資金を、営業取引収入、資産の売却・回収、及び財務健全性を維持しながら借入金や社債等により調達することで賄うというものであります。
当連結会計年度は、財務健全性を担保しつつ、必要な投資案件には機動的に対応できる「攻めの財務」への転換を推進いたしました。翌連結会計年度以降も、同様の施策を進めてまいります。
アルファビジョン2030 『Smart Access Lifeを創造する ~暮らしのそばに、いつも・・・アルファ~』を実現するために、2023年度より新中期経営計画MP2026にて「サステナビリティ経営の推進」を基本方針に掲げ、グループ全体でサステナビリティ活動に取り組んでおります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
アルファグループでは、サステナビリティ委員会を設立し、当社グループ全体のサステナビリティ経営を推進する役割を担い、社会と事業の持続的な発展に向けて、サステナビリティ推進の立案・推進を行っております。
サステナビリティ委員会は代表取締役を委員長とし、毎月1回定例で委員会を開催しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する全社方針や目標の策定、それらを実践するための体制の構築・整備、及びISO14001やコンプライアンスの管理体制と連携した各種施策のモニタリングを行っております。
また、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)のリーダーを執行役員が務めるチーム編成を行っており、3事業を横断する形で活動をしています。サステナビリティ委員会では、毎月の活動報告や年度ごとの目標値の決定等を行い、適宜取締役会に報告を行っております。
教育活動として、管理職向けに外部の専門家を講師とした研修を実施し、サステナビリティに関する知見を深める機会を設けております。

アルファグループでは、グループ全体でサステナビリティ活動に取り組んでおります。足元の不透明な経営環境に対する不確実性の高まりを背景としたサステナビリティへの取組要請が高まる中で、ESGに関する課題に適切に対応するサステナビリティ経営を推進することでレジリエント企業を目指し、事業リスクの最小化と事業機会の拡大を実践し、持続的な企業価値の向上と社会のサステナビリティへの貢献を実現してまいります。

① 戦略
a.マテリアリティ特定のSTEP
アルファグループが持続可能な成長を遂げるとともに、グローバルな社会課題の解決を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、2021年に経営上の課題としてESG重要課題(マテリアリティ)を特定しました。ここでは、マテリアリティ特定までのプロセスについてご紹介します。
STEP1:検討すべき社会課題の抽出
外部機関の評価軸としてISO26000(7つの中核主題)とアルファグループ行動ガイドラインに関連する現状の活動、取り組みを整理し、課題を抽出しました。
STEP2:課題の特定と重要性を評価
STEP1で洗い出した課題についてE・S・Gに分類するとともに、重複する課題等を整理した項目を“ステークホルダーにとっての重要度”と“アルファグループにとっての重要度”の2軸で評価を行い、その結果をマトリクスにマッピングして「アルファグループの重要課題項目(マテリアリティ)」を特定しました。重要度の評価の際には、中長期的な当社の取組み・方針及び業界動向等(企業視点)も考慮し、様々なステークホルダーからの期待(社会視点)を反映することに努めました。
STEP3:マテリアリティの特定
マテリアリティマップにおいて、重要性の高い取り組みテーマよりE・S・Gのマテリアリティと特定しました。4つのマテリアリティと取組みテーマは、サステナビリティ委員会での審議を経て、最終的に取締役会の承認を得て、決定しました。
マテリアリティと取組みテーマについては、E・S・G各タスクチームにて目標設定し、サステナビリティ委員会又はその他関連委員会にて具体的活動の定期的な進捗確認、振り返りを行うことによりPDCAを回します。

b.気候変動に対する戦略
当社グループは、環境マネジメントシステムの取り組みとして、環境基本方針を基に、法令順守、地球環境保全への貢献を積極的に行っております。具体的には、「低炭素化社会」へ向けた取り組みとして、当社の主要事業領域において、製品の軽量化やリサイクル等、継続的に取り組んでおります。また、当社資産を有効活用し、太陽光発電事業も、2014年山梨地区、2016年群馬地区、2019年タイ アユタヤ地区、そして2021年中国広州市と清遠市の5地域で開始いたしました。
当社グループは、地球環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、企業活動のあらゆる面で環境に与える影響を配慮し、地球環境の保全に取り組み、再生可能エネルギーの活用と自然との調和を図り、SDGs及びカーボンニュートラルへ貢献して行きます。
② 指標及び目標
※特に事業への影響が大きいと想定している気候変動については、2030年を目標年とする中期目標と、2050年を目標年とする長期ビジョン『2050年 カーボンニュートラル(CN)を目指す』を定め取組みを進めております。
アルファグループでは、人材理念 『自主自立の精神をもって自ら考え、行動し、仕事を通じて自己成長し続けます』を策定しております。さらに、この人材理念を実践するための求める人材像「CREATOR」を掲げております。ここで重視しているのは、単に高パフォーマンスを上げる人材よりも、アルファのグローバルタレントとして、アルファの価値観を理解し、自発的に成長に向けて行動するということです。人材戦略を取り巻く環境は、社内外で大きく変化しており、当社グループの人材戦略も大きな転換期を迎えております。多様な人材が集い、社員一人ひとりが持つ無限の可能性を引き出し、大きな活力を生み出すとともに、その活力を組織として最大限に生かすための環境づくりを推進しております。つまり、社員が自発的に成長に向けて行動するように仕向けるための多彩な仕組みを導入することで、人材理念の実践につなげることを目指しております。
CREATOR(求める人材像)とは?
“チャレンジ精神”をもって“法令遵守”し“自己成長”する。
そして、それを“次世代”に継承し“多様化の中のチームワーク(一体感)”をもって
アルファブランドを世界に認知させる強い“想い”を持つ人材です。
Challenge
自ら率先して動き、困難な事にも果敢に挑戦する人材
Rule
社会のルールを守り、高い倫理観を持つ人材
Expertise
専門知識やスキルを取得しようとする高い志を持つ人材
Advice
相手の身になって、人に教えたり、教えられたり、情報共有することに喜びを感じられる人材
Together
一体感をもってアルファの仲間と共に働けることを喜べる人材
Opportunity
チャンスを確実につかみ、それを仲間と共に拡大できる人材
Reputation
愛社精神をもって「アルファをNo.1にする」という強い信念(想い)をもつ人材
具体的な取組み
① 「基盤強化」の土台となる制度構築
アルファグループでは、人事制度や研修制度等を通じ、将来を担う社員の育成に努めております。当社(単体)の人事制度においては、社員が経営を担う事業基盤の整備として、変化の激しい時代に対応する、レジリエンスな組織構築に向けた新人事制度改革を進めており、2024年度より順次運用を開始します。新制度では、職能型と職務型のハイブリッド型=アルファ版ジョブ型とするとともに、プロフェッショナル人材創出を目指した専門職コースを新設する等、社員のモチベーションとエンゲージメントの向上を目指した仕組みとしております。
② 多様な人材の活躍支援
アルファグループでは、従業員の多様性を活かすことで、一人ひとりの意欲やパフォーマンスを最大限発揮することを目指しております。特に、国内においては女性の活躍推進に注力する一方、女性活躍が相対的に進んでいる海外拠点では、それぞれの拠点で採用された人材の活躍推進に注力しております。2022年より取り組んでいる戦略人事では、グローバル人材の発掘・育成 (グループ間人材交流)を推進し、グローバルタレントマネジメントの取組みを加速していきます。
③ 女性活躍支援
戦略的な人事制度改革の実践にあたり、当社(単体)では、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく自主行動計画を実行しております。女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを目的とし、目標達成に向けた各種施策を展開しております。
なお、当社グループでは、戦略的な人事制度改革の実践にあたり、同法に基づく自主行動計画を実行しておりますが、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、当社(単体)を対象に記載しております。
・実施策
④ 働き方の多様性
社員が生き生きと働ける「働きがいのある職場つくり」を目指し、さまざまな労務管理の改善強化策を実施しております。在宅勤務等、柔軟な働き方に関わる制度の再整備と拡充及び積極活用の促進をはじめ、業務効率化のためのDX戦略の推進等、社員のワークライフバランスを推進するための取組みを多面的に行っております。
当社グループでは、サステナビリティGovernanceのもと、リスク低減と事業機会創出を確実にするため、リスク管理を強化しています。コンプライアンス委員会が中心となり、リスク発生の未然防止並びにリスク管理に取り組む体制を構築し、「コンプライアンス委員会規程」に基づき、委員会を原則四半期に1回開催しております。コンプライアンス委員会は、当社グループ社員が取るべき行動規範の全社員への浸透を図り、コンプライアンスの状況を取締役会へ定期的に報告しております。また、アルファグループ全体を対象としたコンプライアンス教育体制を監督し、毎年、教育結果を分析し、当該分析結果を取締役会に報告しております。
当社グループの事業及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりです。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスクを十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。下記事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
当社グループは、総合ロックメーカーとして、グローバルな事業展開を行っております。各事業セグメントにおけるリスクは以下のとおりです。
当社グループ連結売上高に占める自動車部品事業の比率は、前連結会計年度で75.2%、当連結会計年度で76.4%となっております。また、連結売上高に占める日産自動車株式会社グループに対する販売比率は、前連結会計年度で31.3%、当連結会計年度で34.7%となっております。
今後は、同社グループ以外の自動車メーカーとの取引や自動車部品事業以外の売上高も拡大していく方針ですが、主要販売先をはじめとした自動車メーカーの生産動向、当社グループ製品の装着率及び製品納入価格等によっては、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、製品の不具合の発生防止には万全を期しておりますが、リコールやサービスキャンペーン等の重大不具合が発生した場合には、当社グループの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。
住宅用ロックについては、住宅の新築着工の動向により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。当社グループは、住宅の新築着工の動向をモニタリングし、取締役会を含む各種会議体において、生産・販売計画の修正等の検討を適時に行っております。
ロッカーシステムは、国内外の旅行者の増減による駅・空港関連施設の利用状況、レジャー関連施設の新設数やレジャー・観光市場の動向などにより、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、市場動向をモニタリングし、取締役会を含む各種会議体において、生産・販売計画の修正等の検討を適時に行っております。
当社グループでは、主要な事業分野であります自動車部品関連の製品をグローバルに供給していることから、世界的な景気の変動に強く影響されます。日本、アジア、北米及び欧州等世界の主要市場での予測を超える急激な景気後退と需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、世界経済全般のみならず、海外の特定地域に固有の経済動向に加え、近年の急速な技術革新等による産業構造等の変化が当社グループにおける既存のビジネスモデルや将来の財政状態、業績にどのように影響するかをモニタリングし、取締役会を含む各種会議体において検討を行っております。
当社グループの連結売上高に占める海外拠点売上高は、前連結会計年度で67.7%、当連結会計年度で68.6%となっております。
従いまして、当社グループの収益は、外国為替相場変動の影響を受けます。当社の連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクと取引リスクという形で為替変動の影響を受けます。当社グループは、為替相場及び金利の変動リスクを軽減するために、現地調達や現地生産を拡大し為替リスクの低減を図るとともに、円建契約の推進やタイムリーな為替予約の実施等によるリスクヘッジに取り組んでおります。
当社グループは、製品製造に使用する原材料、部品等を外部より調達しております。市況の変化による原材料価格の大幅な変動については、購入部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に転嫁できない、あるいは仕入先がこれらのコストを十分に吸収できない結果、将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、市況動向をモニタリングし、取締役会を含む各種会議体において、その影響度の確認を適時に行っております。
当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、様々なカントリーリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、事故などによるインフラの障害や、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断等があげられます。当社グループが製品を製造するための材料・部品・資材等を調達し、又は当社グループの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合は、事業運営に障害又は遅延をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、世界各国の動向について各拠点から情報を入手しモニタリングしたうえで、適時に必要な措置を取れる体制を整えております。
当社グループは国内外において、各種法令・規制に則り事業活動を行っております。グループ全体として法令遵守の徹底を図っておりますが、新たな法規制の導入や法規制の想定外の変更により、事業活動に対する制約、コストの増加等を通じ、当社グループ業績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分、訴訟等の対象となり、当社グループの社会的評価が低下し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、知的財産を重要な経営資源と位置づけ、第三者の知的財産権に対する侵害の予防と当社グループが保有する知的財産権の保護に努めております。しかし、見解の相違等の理由により、第三者からの特許等への抵触を理由として差止訴訟、損害賠償等を提起された場合、第三者による知的財産権侵害により当社グループの競争優位性が侵害を受けた場合等には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外において、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、省エネルギー・地球温暖化対策等に関し、様々な環境関連法規制の適用を受け、これに対応しております。将来、新たな環境に関する規制が導入された場合や既存の規制が厳格化された場合、当社グループがこれらの法規制に抵触したと当局が判断した場合等には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
ロシアによるウクライナ侵攻による情勢については、金融市場への影響、エネルギー価格の上昇等、グローバルな政治的・経済的不確実性があります。この軍事的対立がさらに激化、長期化した場合にはエネルギー価格の高止まりだけでなく、地政学的リスクの高まりや世界的インフレーションの加速といったリスクが顕在化し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが保有する有形固定資産、のれん及び無形資産等の固定資産は、減損リスクにさらされております。現時点において必要な減損等の処理を実施し、適時適切な各拠点の業績管理及び経営指導・助言を行っておりますが、今後、各種市況の悪化、需要の減退及び開発計画の変更等に伴い保有固定資産の経済価値が低下した場合には、さらに必要な減損処理を実施することになります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における国内外の経済情勢は、米国では個人消費や雇用情勢が下支えとなり堅調に推移しましたが、その他の地域は欧州での金利の高止まりや中国経済の減速を受けて低調に推移しました。日本では新型コロナウィルス感染症による行動制限が解除され、人流の回復やインバウンド需要が増加し、経済活動の正常化が進みました。また、好調な企業業績を背景に設備投資が底堅く推移したこと等により、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、地政学リスクの長期化や各国の政策金利の引き上げ・高止まりとこれに伴う為替変動等の影響から、先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループの主要関連産業であります自動車産業におきましては、半導体供給制約の状況が緩和され、生産台数は世界的には回復基調にあるものの、中国においては自動車市場構造の急激な変化に伴う日系車での販売不振・減産が引き続き進行しております。セキュリティ機器事業の関連産業であります住宅産業におきましては、新築住宅着工戸数は資材高騰の影響等により、戸建ての注文住宅・分譲住宅及びマンションは減少、賃貸住宅は前年度とほぼ同水準に推移しております。
このような経営環境の中、当社は2023年4月14日に創業100周年を迎えました。2023年度からの4年間を対象とする中期経営計画MP2026を策定し、基本方針である「新事業・新商品開発」「収益基盤の強化」「サステナビリティ経営の実践」を、当社グループ一丸となって着実に取り組みました。
「新事業・新商品開発」については、自動車部品事業では、国内大手自動車メーカー向けに電動格納式ドアハンドルの納入を開始いたしました。ドアハンドルを格納させることで、車両デザイン性を高めると共に、インテリジェントキーを持って車に近づくと、自動的にドアハンドルが出現しユーザーをお迎えする演出を行います。セキュリティ機器事業では、「ed ロックPLUS」を初めとする様々なスマートロック/電気錠ラインナップを、「PREMIUM SMART LOCK」の名称にリニューアルすることを発表しました。なお、現在2024年度にリリースする新商品の開発を進行中です。ロッカーシステム部門では、食品ロス削減とさらなる利便性を目的とし、電子マネー・クレジット・コード決済が可能なロッカー型自販機を開発し、行政との連携を行い市場導入いたしました。このように当社グループは、環境、利便性を重視した新商品開発を進めてまいります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,308百万円増加し、67,948百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、短期借入金が1,642百万円増加、社債が860百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,752百万円増加し、32,723百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,556百万円増加し、35,225百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は74,544百万円と前年同期に比べ11,661百万円(18.5%)の増収となりました。利益につきましては、営業利益は2,438百万円と前年同期に比べ1,837百万円(305.6%)の増益となりました。経常利益は3,088百万円と前年同期に比べ1,740百万円(129.0%)の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は1,802百万円と前年同期に比べ1,278百万円(244.0%)の増益となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
自動車部品事業(日本)におきましては、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の増加などにより、売上高は10,540百万円と前年同期に比べ、1,539百万円(17.1%)の増収となりました。増収効果や合理化活動の進展などにより、セグメント利益は562百万円(前年同期はセグメント損失5百万円)となりました。
自動車部品事業(北米)におきましては、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の増加に加えて、為替換算の影響等から、売上高は16,988百万円と前年同期に比べ、4,733百万円(38.6%)の増収となりました。インフレに伴うコストの高止まりはあるものの増収効果や合理化活動の進展などにより、セグメント利益は378百万円(前年同期はセグメント損失543百万円)となりました。
自動車部品事業(アジア)におきましては、中国での日系車の販売不振・減産影響を大きく受け続けていること、タイでの金利上昇影響による下期販売減速などにより、売上高は17,179百万円と前年同期に比べ、836百万円(△4.6%)の減収となりました。固定費管理や経費削減の徹底を図ったものの中国での減収影響が大きく、セグメント損失は651百万円(前年同期はセグメント損失2百万円)となりました。
自動車部品事業(欧州)におきましては、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の増加に加えて、為替換算の影響等から、売上高は16,157百万円と前年同期に比べ、4,743百万円(41.6%)の増収となりました。増収効果や合理化活動の進展などにより、セグメント利益は60百万円(前年同期はセグメント損失345百万円)となりました。
セキュリティ機器事業(日本)におきましては、建築資材の高騰を背景とした新築住宅着工戸数減少の影響を受けているものの、大手賃貸住宅事業会社のプロジェクトによる受注が有り、住宅関連製品の売上は前年同期を上回りました。ロッカーシステム事業については、インバウンドの急速な回復でレジャー・観光客が増加しコインロッカーの利用機会と設備投資としてのマインドが上がったことで、ロッカー販売及びオペレーション事業が好調に推移し、売上は前年同期を上回りました。
なお、売上高は15,177百万円と前年同期に比べ、1,422百万円(10.3%)の増収、セグメント利益は1,924百万円と前年同期に比べ、86百万円(4.7%)の増益となりました。
セキュリティ機器事業(海外)におきましては、日本向け製品(電気錠)の生産増及びタイ国内の樹脂成形部品の受注増により、売上高は11,190百万円と前年同期に比べ、2,874百万円(34.6%)の増収、セグメント利益は1,144百万円と前年同期に比べ、606百万円(112.6%)の増益となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,699百万円(前期比44.4%増)となり、前連結会計年度末に比べ2,984百万円増加しました。また、当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」との差額であるフリー・キャッシュ・フローは3,851百万円の収入となり、前年同期の127百万円の収入に対して3,724百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは7,111百万円の収入(前期と比べて4,200百万円収入が増加)となりました。主な収入要因は、減価償却費です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは3,260百万円の支出(前期と比べて475百万円支出が増加)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,094百万円の支出(前期は62百万円の収入)となりました。主な支出要因は、長期借入金の返済による支出です。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
※ 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めておりますが、近年のビジネス環境の変化に鑑みるに、国内外の企業とのグローバル競争が今後も予想されることから、当社グループを取り巻く環境は厳しい状況で推移するものと認識しております。こうした中、当社グループは、グローバル市場の急激な変化に的確に対応するため、安定した収益基盤の確立とお客さまの価値観とニーズに対応した新事業・新商品開発により、競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めてまいります。今後、当社グループの想定を超えてグローバル市場が悪化した場合や、お客さまのニーズに対応する製品を開発・提供できない場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
1) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、67,948百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,308百万円増加しました。また、有利子負債は前連結会計年度末に比べ249百万円減少し、17,588百万円となりました。
各項目別の主な要因は次のとおりであります。
(資産の部)
流動資産は、現金及び預金が2,854百万円増加、売掛金が1,132百万円増加、商品及び製品が319百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ4,561百万円増加し、39,933百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券が1,106百万円増加、建設仮勘定が786百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ1,739百万円増加し、28,002百万円となりました。
流動負債は、短期借入金が1,642百万円増加、支払手形及び買掛金が628百万円増加、事業構造改善引当金が363百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ2,821百万円増加し、23,897百万円となりました。
固定負債は、社債が860百万円増加した一方、長期借入金が1,837百万円減少したこと等により前連結会計年度末に比べ1,068百万円減少し、8,825百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が1,419百万円増加したことや、為替換算調整勘定が2,324百万円増加したことにより前連結会計年度末に比べ4,556百万円増加し、35,225百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の48.0%から2.4ポイント改善し50.4%となりました。
2) 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の回復基調や為替換算等の影響により、前連結会計年度に比べ11,661百万円増加し、74,544百万円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、原材料費等の増加により、前連結会計年度に比べ8,799百万円増加し、63,120百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,025百万円増加し、8,986百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1,837百万円増加し、2,438百万円となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、為替相場が円安傾向に進んだことから為替差益726百万円を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ15百万円増加し、1,082百万円となりました。
当連結会計年度の営業外費用は、支払利息を302百万円計上したこと等により、前連結会計年度に比べ112百万円増加し、432百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ1,740百万円増加し、3,088百万円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度において投資有価証券売却益37百万円が計上されたこと等により、前連結会計年度に比べ26百万円減少し、29百万円となりました。
当連結会計年度の特別損失は、中国所在の子会社において、事業構造改善引当金繰入額363百万円を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ300百万円増加し、915百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,278百万円増加し、1,802百万円となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
自動車部品事業(日本)におきましては、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の増加などにより、売上高は10,540百万円と前年同期に比べ、1,539百万円(17.1%)の増収となりました。増収効果や合理化活動の進展などにより、セグメント利益は562百万円(前年同期はセグメント損失5百万円)となりました。
自動車部品事業(北米)におきましては、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の増加に加えて、為替換算の影響等から、売上高は16,988百万円と前年同期に比べ、4,733百万円(38.6%)の増収となりました。インフレに伴うコストの高止まりはあるものの増収効果や合理化活動の進展などにより、セグメント利益は378百万円(前年同期はセグメント損失543百万円)となりました。
自動車部品事業(アジア)におきましては、中国での日系車の販売不振・減産影響を大きく受け続けていること、タイでの金利上昇影響による下期販売減速などにより、売上高は17,179百万円と前年同期に比べ、836百万円(△4.6%)の減収となりました。固定費管理や経費削減の徹底を図ったものの中国での減収影響が大きく、セグメント損失は651百万円(前年同期はセグメント損失2百万円)となりました。
自動車部品事業(欧州)におきましては、半導体供給不足の緩和に伴う得意先での生産台数の増加に加えて、為替換算の影響等から、売上高は16,157百万円と前年同期に比べ、4,743百万円(41.6%)の増収となりました。増収効果や合理化活動の進展などにより、セグメント利益は60百万円(前年同期はセグメント損失345百万円)となりました。
セキュリティ機器事業(日本)におきましては、建築資材の高騰を背景とした新築住宅着工戸数減少の影響を受けているものの、大手賃貸住宅事業会社のプロジェクトによる受注が有り、住宅関連製品の売上は前年同期を上回りました。ロッカーシステム事業については、インバウンドの急速な回復でレジャー・観光客が増加しコインロッカーの利用機会と設備投資としてのマインドが上がったことで、ロッカー販売及びオペレーション事業が好調に推移し、売上は前年同期を上回りました。
なお、売上高は15,177百万円と前年同期に比べ、1,422百万円(10.3%)の増収、セグメント利益は1,924百万円と前年同期に比べ、86百万円(4.7%)の増益となりました。
セキュリティ機器事業(海外)におきましては、日本向け製品(電気錠)の生産増及びタイ国内の樹脂成形部品の受注増により、売上高は11,190百万円と前年同期に比べ、2,874百万円(34.6%)の増収、セグメント利益は1,144百万円と前年同期に比べ、606百万円(112.6%)の増益となりました。
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
・資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの自動車部品事業とセキュリティ機器事業に係わる製造原価、販売費及び一般管理費になります。また、設備資金需要としては、生産能力増強の為の新規設備購入、既存設備の償却に伴う更新に加え、情報処理に使用されるソフトウェアを始めとする無形固定資産投資等があります。
・財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保する為、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。
当社グループでは、当社グループ全体での有利子負債の削減を図り財務安定性を高め、また、資金調達コストの低減に努める一方、資金効率化の見地からコミットメントラインの弾力的な利用による機動的な資金調達での流動性確保も行っております。当期末の有利子負債残高は17,588百万円となりました。また、グローバルな事業展開による為替変動リスクの影響を極小化すべく、地産地消型ビジネスの推進や外貨建資産・負債に対し、必要に応じて為替予約の活用も行っております。
・Cash(手元流動性)の確保
当社グループでは、連結ベースにおける年間売上高の概ね1.5ヶ月分に相当する金額を手元資金として保有する方針の下で、2024年3月期末時点において約98億円(1.6ヶ月分)の現預金を保有しております。また、単体では複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン契約15億円を未使用額としている他、短期借入枠として147億円、合計で162億円を備え、手元流動性を確保しております。
2023年度~2026年度の中期経営計画においては、連結売上高、同営業利益率、新商品売上高比率、自己資本比率、ROICを重要な指標と位置付け、基本方針である「新事業・新商品開発」 「収益基盤の強化」 「サステナビリティ経営の推進」を強力に推進してまいります。
当連結会計年度における各指標はそれぞれ「連結売上高」は74,544百万円、「同営業利益率」は3.3%、「新商品売上高比率」は32.5%、「自己資本比率」は50.4%、「ROIC」は5.7%となりました。
当社グループは、事業環境の不透明な見通しやグローバル競争が激化する中、外部環境に影響されにくい体質強化を優先課題として、基本方針を、国内拠点及び拡充した海外拠点の生産、間接業務の効率化等の諸施策を通じて、引き続き強力に推進してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産及び負債の報告数値及び報告期間の収益・費用の報告数値に影響を与える見積り、仮定及び判断を使用することが必要となります。当社の経営陣は、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、仮定及び判断を、過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。ただし、これらの見積り、仮定及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。この差異は、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
・有形固定資産、のれん、無形資産に係る減損判定において測定される回収可能価額
有形固定資産、のれん、無形資産に係る減損判定において、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位における売却費用控除後の正味売却価額と使用価値のいずれか高いほうを回収可能価額として測定しております。当該売却費用控除後の正味売却価額算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、のれん、無形資産に係る減損損失額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・引当金の測定
各引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれる支出の期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれる支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・法人税等の見積り
法人税等の算定に際しては、税法規定の解釈や過去の税務調査の経緯等、様々な要因について見積り及び判断が必要となります。そのため、各期末において見積った法人税等と、実際に納付する法人税等の金額とが異なる可能性があり、その場合、翌年度以降の法人税等の計上額に重要な影響を与える可能性があります。また、繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しておりますが、当該回収可能性の判断は、当社及び子会社の事業計画に基づいて決定した各将来事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来事業年度の課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
自動車部品事業
合弁契約
当社グループは、経営理念にある「お客様に喜ばれる価値を創造・提供します」を中心に考え、製品開発・技術開発・工法開発を促進しております。そして、お客様価値は「良品廉価」にあると受け止め、これを実現する新事業・新商品を開発するため、研究開発活動に注力しております。
具体的には、メカニカルな認証技術を深耕するのみならず、生体認証技術を含む非接触認証技術を用いた新商品開発を行うとともに、新しいビジネスモデルの創出活動を行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、
当社の長期ビジョンである「Smart Access Lifeを創造する」の実現に向け、製品開発はグローバルで迅速に対応するとともに、コア技術を基盤とした継続的な新製品開発に取り組んでおります。
製品開発では、日本においては電動フラッシュハンドルを国内大手自動車メーカー様向けに量産を開始いたしました。また、欧州拠点では欧州で開発/生産した大手自動車メーカー様向けアウトサイドハンドルの量産も開始しております。本製品は、ハンドルビジネスにおける日本と欧州のR&D拠点の協業による取り組みの成果であり、今後、順次アウトサイドハンドルの生産拡大を予定しております。
先行開発、実用化研究の取組みとしては、自動車メーカー各社の車両電動化動向を見据え、EV車向けの関連部品先行開発を継続して取り組んでおります。又、今後ドア周辺部品の電動化の加速が見込まれており、これに対応するドアハンドルを含むアクセスパーツの開発も開始しております。これは機構部品/電気部品開発力を活かした取り組みであります。今後も必要となる認証技術・加飾技術・電動化技術・環境対応素材技術における世間の技術レベル進化を監視すると共に、必要な要素技術は自社内開発による深耕を図る一方で、企業連携による社外技術の導入や共同開発を積極的に行ってまいります。
開発体制面では、中国において現地顧客様向けのフラッシュハンドルを受注し、日本と中国R&Dの協業での取り組みが開始しております。今後も継続してグローバル開発体制の定着におけるシナジー効果の創出を目指し、開発5拠点(日本、アメリカ、中国、タイ、チェコ)の成長を図ると共に、その専門性を生かすことでより高いロバスト性とコスト競争力に加え、安定した高品質な製品の提供と新たな付加価値の創造をグローバルに実践してまいります。
今後も、上述した新製品の市場投入に向けて、多様なアクセス製品を開発し、“Innovation for Access”を具現化してまいります。
なお、自動車部品事業の当連結会計年度研究開発費は、1,743百万円となっております。
従来からの「鍵=識別」の基本コンセプトに、新たに“つながる”を加え、技術をさらに進化させ識別・通信技術を組み込んだメカトロニクス製品の開発を継続しております。
2023年度は 次年度に市場投入する新製品の開発に注力致しました。また「edロックPLUS」を初めとする様々なスマートロック/電気錠ラインナップを、「PREMIUM SMART LOCK」の名称にリニューアルすることを発表し他社との差別化を明確にしました。2024年8月には新製品「edロックConnect-1」を発売する予定です。本新製品は、既築住宅の多種多様なドア・ハンドルに取付けすることが可能です。そして当社のECサイトでも販売し、より多くの方々にスマートロックのメリットを体感していただくことが、当社のビジョンであるSmart Access Lifeの創造につながると考えております。
今後も、E(環境) S(社会) G(ガバナンス)をベースに、多様化するライフスタイルに合わせたスマートロックの開発に重点を置き、日本中の「家」にワンランク上のプレミアムな安心と快適さをお届けしてまいります。
「人とモノと情報をつなぐ安心快適空間を創造する」を基本コンセプトにロッカー製品に求められる安全・安心と利便性を「鍵」で培った技術を生かし、メカニカルなコア要素とエレクトロニクス・ネットワーク技術の相乗効果を用いて認証技術、ロック制御とアクセス技術を応用し、ロッカー製品の開発を展開しております。
2023年度の取り組みは、中期経営計画(2023~2026)初年度の対応として、「くらしの預かる・渡すをデザインする」ことを目指して活動を行いました。生活スタイルが日常に戻ったことで、コインロッカーのキャッシュレス化対応の効果が得られるようになり、さらなる市場拡大と新たな付加価値を追求する新たな製品開発が期待される年度活動となりました。
持続可能な社会の取り組みとして、食品ロス削減を目的に、新たに電子マネー・クレジット・コード決済が可能な「ロッカー型自販機」の開発を行い市場展開を図りました。ロッカーの特徴である収納スペースを利用して、不定形品の販売を簡単に行えることで即時販売や効率化にも寄与し、効果が期待できます。引き続き、当社の強みであるロッカー技術をベースに、社会的な課題やお客様の様々な困りごとを解決できるソリューション提案が実現できる製品開発を実現してまいります。
なお、セキュリティ機器事業の当連結会計年度研究開発費は、434百万円となっております。