第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におきましては、欧州では長期化する原油安を背景に消費者マインドは上向き緩やかな景気回復基調を辿りました。米国では、ドル高、新興国景気の減速の影響などから輸出が伸び悩んだものの、労働市場の改善が進み個人消費は堅調に推移しました。

一方、国内では、年初には円安による景気浮揚効果が期待されていましたが、新興国景気の失速により個人消費、輸出、生産とも総じて弱含んだために景気は踊り場局面に入りました。

このような状況のもと、当社グループは、「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を使命に、健康志向や環境保全意識の高まりといった追い風の中、こころ躍る製品づくりを通じ、より豊かな自転車ライフ・フィッシングライフのご提案をしてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は378,645百万円前年同期比13.7%増)となりました。また、利益面につきましては、営業利益は85,053百万円前年同期比29.2%増)、経常利益は101,110百万円前年同期比42.4%増)、当期純利益は76,190百万円前年同期比48.7%増)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①  自転車部品

欧州市場では、天候に恵まれ非常に好調であった昨年に比べ小売店での完成車の販売台数は劣ったものの、E-Bikeを中心とした高価格帯モデルの好調な販売を軸に店頭販売金額は昨年を上回る結果となりました。北米市場では、天候による需要への大きな影響はなく、小売店販売は堅調に推移しました。欧州市場在庫はほぼ適正レベルを維持した一方、北米市場在庫はやや高いレベルに留まりました。

国内市場では、スポーツタイプ自転車の店頭販売台数は昨年を上回る結果になったものの、軽快車の店頭販売台数は円安による値上げの影響を大きく受けて低調なまま終わりました。スポーツタイプ自転車の市場在庫は適正レベルを維持した一方で、軽快車の市場在庫は依然としてやや高いレベルに留まりました。

中国市場については、景気の鈍化を受けてスポーツタイプ自転車の店頭販売台数は昨年を下回る結果で終わり、市場在庫もやや高いレベルに留まっています。一方で他の有力新興国市場である東南アジアと南米におけるスポーツタイプ自転車は引き続き堅調な成長を見せました。

このような市況のもと、上半期に投入したマウンテンバイクコンポーネントの「DEORE XT」、「ACERA」、ロードバイクコンポーネントの「Tiagra」のフルモデルチェンジに市場から多くのご支持をいただき、加えて、継続する円安による当社製品に対する割安感の追い風もあり、当期も多くのご注文をいただきました。

この結果、当セグメントの売上高は314,010百万円前年同期比14.6%増)、営業利益は79,816百万円前年同期比28.7%増)となりました。

 

②  釣具

国内市場は、年初から荒天の影響や消費税増税前の需要増加の反動で低調な出足となりましたが、ゴールデンウィーク前後から天候が安定するとともに市場に動きが出始めました。夏場から秋口にかけては台風の影響を受けた時期もありましたが、秋以降は比較的安定した天候により釣行機会に恵まれ、ファミリー層を中心に市場全般の動きも良くなった結果、売上も堅調に推移して前年を上回る結果となりました。

一方、海外市場では、東欧においてはロシアでの景気後退により販売が低調な時期がありましたが、米国、環太平洋地域における活況なフィッシングコンディションが後押ししたこともあり、全体では前年を上回る結果を残すことができました。

この結果、当セグメントの売上高は64,245百万円前年同期比9.2%増)、営業利益は5,372百万円前年同期比36.2%増)となりました。

 

③  その他

当セグメントの売上高は390百万円前年同期比0.8%増)、営業損失は135百万円(前年同期は営業損失160百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34,935百万円増加し、当連結会計年度末には187,869百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は81,309百万円となりました(前連結会計年度は55,937百万円の増加)。資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益100,399百万円、減価償却費15,565百万円等によるものです。また資金の主な減少要因は法人税等の支払額22,623百万円、為替差損益11,616百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は26,259百万円となりました(前連結会計年度は34,705百万円の減少)。資金の主な減少要因は有形固定資産の取得による支出26,905百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は14,508百万円となりました(前連結会計年度は7,239百万円の減少)。資金の主な減少要因は配当金の支払額12,046百万円等によるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)  生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

300,020

+8.4

釣具

46,481

△4.9

その他

239

+4.4

合計

346,741

+6.4

 

(注) 1  金額は販売価格による概算値であります。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)  受注状況

当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分見込生産によっており、冷間鍛造品については受注生産をおこなっておりますが、受注生産の金額は僅少であるため記載を省略いたします。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

314,010

+14.6

釣具

64,245

+9.2

その他

390

+0.8

合計

378,645

+13.7

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の見通しにつきましては、欧州では足許堅調な個人消費により緩やかな景気回復基調が続くことが見込まれるものの、難民流入問題や中国をはじめとする新興国経済の減速が景況感の悪化に繋がることが懸念されます。米国では、労働市場の改善と秋の大統領選挙を睨んだ景気浮揚策を受けて個人消費の一層の伸びが期待される一方、金融政策の転換が新興国通貨安と株価の不安定要因になるリスクもあります。
 国内では、雇用環境・所得環境の改善による個人消費の回復が期待されるものの、中国経済の行方次第では景気への影響は無視できないものと思われます。
 このような経営環境の中、当社グループは、国内外の経済動向に注視しつつ、経営効率のさらなる向上を図り、より豊かで、新たな自転車文化、釣り文化の創造を促進してまいります。

 

株式会社の支配に関する基本方針

(1)基本方針の内容

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。

当社は、当社株式の大量買付であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

特に、当社グループの企業価値の源泉は、①お客様のニーズを迅速に察知することを可能にする、全世界に広がる販売拠点・ネットワーク、②お客様のニーズを具現化する、創造性のある高い企画開発力・技術力、③製造拠点各所在国の強みを活かしたコスト競争力のある生産体制及び全世界の需要に対応する供給力、④グローバルなサービス体制、並びに⑤グループ各社の調和のとれたオペレーション等にあり、これらの根幹には、(ⅰ)お客様、お取引先及び従業員等との堅い信頼関係、(ⅱ)個々の従業員の技術開発能力・ノウハウ等、及び(ⅲ)個々の従業員がその能力を存分に発揮することのできる企業風土等があります。当社株式の大量買付を行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解した上で、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。また、外部者である買収者からの大量買付の提案を受けた際に、株主の皆様が最善の選択を行うためには、当社の企業価値を構成する有形無形の要素を適切に把握するとともに、買収者や買付についての情報も把握した上で、買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があり、かかる情報が明らかにされないまま大量買付が強行される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益が毀損される可能性があります。

当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。

 

(2)基本方針実現のための取組みの内容の概要 

(A)基本方針の実現に資する特別な取組み

(ⅰ)企業価値向上のための取組み

当社は、上記の企業価値の源泉をさらに維持・強化するためには、お客様に信頼され、満足いただけるサービス及び製品を提供し続けることとともに、今後は、お客様の環境・健康等に対する関心の高まりに応えた製品の開発・製造が求められるものと考えております。また、近年、中国、南米等の新興市場での当社の主力製品である自転車部品及び釣具に対する需要が増加してきております。これら新興市場においてもお客様の信頼を得られるよう様々な施策を講じてまいりたいと考えております。そのような背景の中、当社は、①コア・コンピタンスの強化、②自転車文化・釣り文化の創造とブランドの強化を基本方針として、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化、株主還元等

当社においては、独立性を有する社外取締役1名による取締役の業務執行の監視及び独立性を有する社外監査役2名を含む監査役会による取締役の業務執行の監視が行われております。また、当社は、内部統制推進室を設置し、内部監査部門としてコンプライアンスやリスク管理の状況等を定期的に監査するとともに、グローバルな内部統制システムの整備・充実を行っております。

また、当社は、株主還元を経営上の重要課題と捉えており、安定的な配当の維持・継続とともに、業績の進展に応じた成果の配分を行うことを基本方針としております。配当につきましては、昭和47年の上場以来安定的な配当を継続し、さらに業績の向上に沿った増配を行ってまいりました。また、積極的な自己株式取得も行ってきております。

さらに、当社グループは、社会的責任への取組みとして、過去より地域社会における文化活動、ボランティア活動への参加やイベントへの協賛等に積極的に取り組み、お取引先・地元住民等との信頼関係を構築してまいりました。

 

(B)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要

当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適切な情報の開示に努めるなど、その時点において適切な対応をしてまいります。

 

(3)具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

  基本方針の実現に資する特別な取組みについて

上記(2)(A)に記載した当社の企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。従って、これらの各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市況変動によるリスク

当社グループの製品に対する需要は、その販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動によるリスク

外貨建てで取引されている当社グループの国際取引、海外での製品価格、また連結財務諸表作成のために海外連結子会社の財務諸表は円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループは先物予約でリスクヘッジ又は軽減させていますが、急激な為替相場変動があった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競争によるリスク

当社グループ製品は、国内外の市場において激しい競争にさらされています。競争力向上のために新技術・新製品の研究開発活動を積極的に行っていますが、製品価格の下落が当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外での事業活動に関するリスク

当社グループは海外に生産、販売拠点を有しており、グループ内外で多くの海外取引を展開しています。従いまして、現地での政治的要因及び経済的要因の悪化並びに法律又は規制の変更など外的要因によるリスクが当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製品の欠陥に関するリスク

当社グループでは、ISOによる品質管理体制を構築していますが、将来全ての製品について欠陥が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険で補償されない賠償責任を負担する可能性があります。大規模な品質問題が発生した場合、製品の回収及び交換等による多額のコストが発生し、当社グループ製品の品質に対する評価に重大な影響を与えることにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 貸倒れに関するリスク

当社グループでは、貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して引当金を計上しております。しかしながら、予測していない貸倒れのリスクは常に存在しており、追加的な損失や引当金の計上が必要となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 災害等に関するリスク

当社グループは、製造・販売拠点を世界中に展開しています。地震及び洪水等の自然災害、火災や停電及びコンピューターウイルスによる障害等があった場合、当社グループ設備の一部又は全部の稼動が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。その場合、設備復旧のための費用や生産高・売上高の減少などにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは「人と自然と道具の美しい調和」を目指し、基礎的な研究開発から製品化および生産技術分野まで幅広く研究開発活動を行っております。また、海外におきましても、Shimano(Singapore)Pte. Ltd.を核として、製品化および生産技術分野の研究開発活動を積極的に行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は 11,793百万円(消費税等は含まず。以下同じ)であり、各セグメント別の主要な成果は以下のとおりであります。

 

(1) 自転車部品

当セグメントにおける研究開発の目的は、自転車に乗る人の喜びを追求する事であります。

自転車の走行性能の向上を図ることは勿論、操作性の向上によって乗り手を精神的・肉体的ストレスから解放する「ストレスフリーコンセプト」を追求し続けています。

また、自転車市場の拡大と活性化の為に、人と自転車の関係に新しい価値を創造する提案活動を展開しています。各国で自転車道の整備が進む現状からも見ることが出来るように自転車を取り巻く環境は追い風と言えます。健康志向と相まって、移動手段としての見直しや、都市交通整備計画にも自転車の利用が過去にもまして重要視されています。市場の変化を鑑みながら、新たな市場価値を提供し続けています。

なお、当セグメントに係わる研究開発費は8,777百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

① MTB分野においては、クロスカントリー用コンポーネンツ「DEORE XT」シリーズのフルモデルチェンジを行いました。リアドライブ系統は11段のワイドギアに、フロントドライブ系統も変速機の仕組みを変更することで、より軽く素早い変速とリズミカルなペダリングが可能となりました。

ミドルグレード「ACERA」シリーズのフルモデルチェンジを行い、上位モデル譲りの最新技術を投入して幅広い市場のニーズに応えながら市場の活性化に貢献しております。欧州市場で絶大な人気のトレッキングバイク用の仕様も新たにフルモデルで展開しました。

また、エントリーグレードの「TOURNEY」シリーズではクランクセット及び前後変速機に新モデルを投入し、高いスポーツ性能を普及価格帯にまで展開する事で、MTBの魅力をさらにアピールし市場の拡大を図ってまいります。

② ロードバイク分野においては、ミドルグレード「Tiagra」のフルモデルチェンジを行い、上級グレードへの登竜門モデルとして様々なアマチュアレースや乗り方の進化をサポートしています。

加えて急成長しているロードバイク市場の油圧ディスクブレーキの展開でも市場を積極的にリードしています。

③ シティーライド分野においては、世界的に需要が増加しているE-Bike(電動アシスト自転車)に対応するための「SHIMANO STEPS」を最大の市場であるヨーロッパに続き、北米にも投入しています。走行時での人力に対してモーターのスムーズなアシストに加え、特に登り坂、向かい風で求められるスムーズな変速のための電子制御システムの開発と投入は、この分野でも乗り手に対するストレスフリーを提案しています。

 

(2) 釣具

当セグメントにおける研究開発は、基本性能の向上と新機能の実現を目指すと共に、感性を具現化するテクノロジーを追求しております。
 なお、当セグメントに係わる研究開発費は2,983百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

 

リール

① 磯釣用レバーブレーキリールの最高峰「BB-Xテクニウム」シリーズを開発しました。

開発コンセプトは「異次元の逆転フィーリングをもつレバーブレーキリール」です。

磯釣用のレバーブレーキリールは大きな魚が掛かった時に素早くレバーを引いてローターを逆転させてラインを出しますが、従来はこの逆回転時にローターと共にハンドルも同時に逆回転してしまい、ライン抵抗やリールのブレは避けられないという課題がありました。新しい「BB-Xテクニウム」はこの課題を解決するために「SUTブレーキ」機構を採用し、ローターの逆転時にハンドルが回らない理想的な逆転性能を有する事が可能になりました。また、ドライブギアには冷間鍛造の「HAGANEギア」、ボディにはマグネシウムの「HAGANEボディ」を採用し強度や剛性においても大幅アップを達成しています。もちろん「コアプロテクト」の防水構造も装備しています。

 

② 高級スピニングリールとして「ヴァンキッシュ」シリーズを開発しました。

開発コンセプトは「軽さと剛性を極めた高級スピニングリール」です。

第一の特徴は軽量、低慣性、高剛性の新開発「NEWマグナムライトローター」の採用です。従来ローターの部品配置を一から見直し非常に軽量かつ高剛性のローターを開発しました。この「NEWマグナムライトローター」の採用でローターの慣性力は従来製品と比較して14%軽減し剛性は最大30%アップしています。第二の特徴は2014ステラに採用され大きな話題となった「マイクロモジュールギア」の採用です。これらの採用でリールを巻くフィーリングは従来のリールでは考えられないくらい軽くシルキーにすることに成功しました。

また、ボディにはマグネシウムの「HAGANEボディ」を採用する事で剛性が非常に高くなっています。更に、新開発のカーボンハンドルや防水構造の「コアプロテクト」など多くの新機構をふんだんに採用しています。

③ バス用ベイトリールとして「NEWアンタレスDC」を開発しました。

アンタレスシリーズはシマノバスベイトリールの最高峰機種で、今回の開発コンセプトは「最高の遠投性能を持つ最高のバスベイトリール」です。

遠投性能の面ではまず「デジタルコントロール(DC)ブレーキ」システムの大きな進化が上げられます。「DCブレーキ」はマグネットブレーキや遠心力ブレーキと違い必要な時にだけブレーキを掛ける事が出来る唯一のブレーキシステムです。1/1000秒単位でスプール回転を計測し最適なブレーキを掛ける事が可能となる「NEW4X8DCブレーキ」を採用することにより今までにない遠投性能をバックラッシュなしで達成する事に成功しました。また、飛距離と大きな関係があるスプールには新開発「NEWマグナムライトスプール」を採用しました。このスプールは従来技術的に不可能と言われていたスプールの側面にブランキングする(穴をあける)ことに成功したことにより従来製品より慣性力を12%軽減することができました。「DCブレーキ」と「NEWマグナムライトスプール」の採用で実投テストにおいては過去最高の109mを記録しています。

  もちろん、ギアシステムには「マイクロモジュールギア」、ボディにはマグネシウムの「HAGANEボディ」を採用し、回転フィーリングや剛性においても最高の性能となっています。

 

ロッド

① シマノで初めての開発となるオリジナルガイド「X GUIDE」を搭載した磯竿を発表しました。

調子及び糸絡みなどの機能に大きな影響を与える先端から5ヶ所のガイドに「X GUIDE」を搭載しました。トップガイドはチタンの鍛造で、それ以降のフリーガイドは軽量カーボン素材CI4+の射出成型によって製造されています。鍛造技術及び射出成型技術を採用することによる一体成型品は造形の自由度が高まり、従来のガイドよりも体積が小さく、また軽量化が可能になりました。メリットは竿との段差が極力少なくなる造形ができたことと、ガイド自体が角のない丸みを帯びた形になっているので、道糸のガイド絡みを極限まで押さえることです。

また、軽量でコンパクトにすることにより穂先が軽量になるので、振り感の向上及び低慣性による穂先のブレ低減にもつながっています。

最近のトレンドである遠投釣法では、穂先のブレを抑えることは魚のアタリをより明確に出せることにつながるので、釣果アップに結びつく機能として、市場から高い評価を得ています。

② 近年釣り味に重きを置いたラインナップを展開している中で、久しぶりに機能性を重視したへら竿「皆空」を開発しました。

開発コンセプトはへらの活性の高いハイシーズンに「釣り込める竿」です。

「変則的な継数」すなわち継数を増やすことにより、キレ感とリフティングパワーを向上させ、強引に魚を浮かせることができる理想の調子を追求しました。また穂先に無垢材を使用することにより、硬いながら振り込める調子を実現させ、競技会などの手返し重視の釣りで非常に高い評価を得ています。握りの組みひもが後端まで回り込んだ形状で尻栓部のエッジから手のひらを守る「しっとり綾織握りⅡ」を新開発しグローブなしでもしっかり握れ、すでに各トーナメントで優勝竿としての実績を着実に積み上げ、コンセプト通りの竿に仕上がっていると市場から高い評価を得ています。

 

フィッシングギア

① 磯釣種に特化したネクサスシリーズから、秋冬モデル最高峰の防寒着「RB-111N」を発売しました。STRV+10の最高の保温力でありながら、前モデルの「RB-111L」より10%の軽量化を両立し、ハードな使用環境にも耐える高い耐久性、動きに追随する機動性、更に力強い高級感のあるデザインを兼ね揃え、コアな磯アングラーから高い評価を得ています。

② ルアー釣種に特化したXEFOシリーズでは、これまでにないベンチレーションを配置したレインジャケット「RA-22JN」やパンツ「RA-22PN」を春に発売しました。大きく開放するベンチレーションは風抜けが良く、効果的に内部のムレを解放します。それに加えて、軽量コンパクトになるゴアテックス®パックライト2.5レイヤーを採用した素材面やパンツに内蔵している膝つき時の痛みを軽減する膝パッドを採用した機能面がルアーマンから好評を得ています。

③ 幅広いアングラーに向けたシマノシリーズでは、秋冬モデルの防寒着「RB-025M」で新鮮なデザインを提案し、魚を取り込む際の情景をイメージしたプリント柄のブレイルアクア、ブレイルフォレストカラーが人気を得ています。また、新開発した生地を採用したジャケット「JA-091N」やパンツ「PA-096N」は、釣りならではの汚れを拭き取りやすい素材への評価が高く、へら釣り師から好評を得ています。

 

④ 磯のフラッグシップモデルであるLIMITED PROシリーズのロッドケース「RC-111N」と磯クール「BA-112N」を秋冬に発売しました。キズつきにくいタフな防水素材を採用した高い耐久性、担ぎやすい特殊滑り止めを採用したショルダーパッドや手入れしやすい防水ベルトを採用した機能性、また力強い高級感のあるデザイン性を兼ね備え、コアな磯アングラーから高い評価を得ています。

⑤ 鮎用では、フィットウェーダー「WA-034N」を発売しました。パターンの見直し、無縫製製法の採用、ストレッチ性の高い材料を選定し、従来品よりも動きやすくなっています。また、防水性能を確保する為に、従来、厚み3mm以上の材料を使用していましたが、2mmの厚みでも防水性を確保することを実現し、真夏使用でも蒸れ感が軽減したことで、鮎釣り師から好評を得ています。

磯用では、高価格帯の磯用シューズ「FS-175N」を発売しました。擦り減ったソールをスピーディーに交換できるジオロックソール、透湿防水性能に優れたゴアテックス®ブーティーと着脱がスピーディーで自在なフィット感を得られるBoa®Ghilliesを採用し製品化したことで、コアな磯アングラーから磯場での求められる機能を網羅した製品として認知されました。

⑥  進化の限界と思われていた鮎ダモですが、ハンドル部分にアルミパイプを採用することにより、流水抵抗を約30%カットという新たな提案ができました。その「鮎ダモLIMITED PRO」は見た目のインパクトだけではなく、見た目から分かる機能が両立した商品として非常に注目されています。複合ラインにおいては、日釣工線径基準を遵守した「メタゲームⅡ」、「メタマグナムⅡ」、「メタキング」をリリースしました。その中でも「メタキング」は驚くほどの細さと強さが市場で評判になっています。また、完全仕掛けにおいては、2015年シマノジャパンカップで優勝した小澤剛氏モデルである「LIMITED PRO完全仕掛けMETAMAGNUM TYPE-T」をリリースします。トーナメントだけでなく実用面においても良く考えられており、トラブルが起きてもすぐに元通りにできるなどアイデア抜群の仕掛けでこれからの主流になると思われます。更には気の利いた小物「引舟アンカーX」です。これは休憩の際に引舟が河原に流されないよう岩や草木に引っ掛ける小物で、釣っている時には腰にぶら下げています。よって、邪魔にならずここぞと言うときにしっかりと機能を発揮し且つ壊れない必要がありますが、この「引舟アンカーX」は全てにおいて合格点を得ておりイベント会場でも人気の商品となっています。

⑦  ルアー市場で最も大きなバスカテゴリーに「Bantam」シリーズのルアーをロッドとともに上市しました。年末より精力的な販促活動を行い、フィッシングショーでも大きな話題になった新製品6機種を皮切りに、今後も継続的に新製品を追加します。バスルアー開発のために新たに導入したルアー工房(ルアーのためだけの試作、開発および塗装の設備)をフル活用し、ソルトルアーでは基礎開発による付加価値の提案ができました。その一つ目は優れた遠投性と軽快な泳ぎの「XAR-C」システム搭載のシーバスプラグです。二つ目は昨年上市したタングステンコンポジット構造のメタルルアーで、鯛カブラの「炎月」シリーズとメタルジグに広く展開し、根がかりしやすいため価格競争になりがちなメタルルアー市場において、中~高級モデルの市場拡大に成功しつつあります。

⑧  今期は2種類のクーラーアイテムを投入しました。

一つ目は「FIXCEL LIGHT GAMESPⅡ」です。発売から7年目にして主力のFIXCELシリーズを昨年モデルチェンジし、ハンドルと肩ベルトが同時に付くように改良しました。アクセサリー付クーラーは、ネジを打たずに装着できる共通ベースで継続展開し、特にルアーマンに今年も好評をいただいています。

もう一つは「SPA-ZA25Lキャスター」です。「SPA-ZA25L」の中型サイズにキャスター付きを全グレードに展開し、関東の電車釣行、駐車場まで遠い港での運搬や長い防波堤での釣りで支持を得ています。

 

(3) その他

当セグメントでは主にロウイング関連用品等の開発を行っております。

なお、当セグメントに係わる研究開発費は32百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末における資産は429,080百万円前年同期比32,112百万円増)となりました。これは、現金及び預金が32,368百万円増加したこと等によるものです。

当連結会計年度末における負債は57,782百万円前年同期比7,990百万円減)となりました。これは、買掛金が5,153百万円、短期借入金が1,842百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における純資産は371,298百万円前年同期比40,103百万円増)となりました。これは、利益剰余金が64,518百万円増加したこと等によるものです。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は378,645百万円前年同期比13.7%増)となりました。セグメント別の分析につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要  (1)業績」に記載しております。

当連結会計年度の売上総利益は154,514百万円前年同期比19.5%増)となりました。売上高の増加等により売上総利益率は前連結会計年度より2.0ポイント上昇し40.8%となりました。

当連結会計年度の営業利益は85,053百万円前年同期比29.2%増)となりました。人件費及び減価償却費の増加等により販売費及び一般管理費が69,461百万円前年同期比9.3%増)となりましたが、営業利益率は前連結会計年度より2.7ポイント上昇し22.5%となりました。

当連結会計年度の経常利益は101,110百万円前年同期比42.4%増)となりました。営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、為替差益の増加等により16,057百万円(前年同期は5,203百万円)となりました。

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は減損損失等があったものの100,399百万円前年同期比46.5%増)となりました。

 

(4) 資金の流動性についての分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は前連結会計年度末に比べて34,935百万円増加し当連結会計年度末には、187,869百万円となりました。

営業活動による資金の増加は81,309百万円となりました。

投資活動による資金の減少は26,259百万円となりました。

財務活動による資金の減少は14,508百万円となりました。

 

なお、詳細は「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(5) 資金需要

当社の運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めています。

 

(6) 財務政策

当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金により資金調達することとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。