第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におきましては、欧州では英国のEU離脱に伴う悲観論が台頭したものの、個人消費が引き続き好調に推移した外、輸出が復調しつつあることから緩やかな景気回復を辿りました。米国では、雇用環境の安定的な改善を背景に個人消費が堅調に推移したことにより緩やかな景気回復が続きました。

一方、国内では、個人消費の伸び悩みに加え、為替の影響などもあり景気は力強さを欠きました。

このような状況のもと、当社グループは、「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を使命に、健康志向や環境保全意識の高まりといった追い風の中、こころ躍る製品づくりを通じ、より豊かな自転車ライフ・フィッシングライフのご提案をしてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は322,998百万円前年同期比14.7%減)となりました。また、利益面につきましては、営業利益は64,546百万円前年同期比24.1%減)、経常利益は70,002百万円前年同期比30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は50,964百万円前年同期比33.1%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①  自転車部品

欧州市場では、春先の悪天候の影響で店頭販売に大きくブレーキがかかり完成車在庫が高留まりしていましたが、7月以降の好天により販売が好調に推移した結果、市場在庫は適正なレベルに調整されました。

北米市場では、完成車の店頭販売は前年をやや下回りました。一方で年初から高めで推移した市場在庫は昨年より低いレベルにまで調整されました。

中国市場では、景気失速と豪雨等悪天候の影響で、昨年来のスポーツタイプ自転車の店頭販売の不振は継続し、更に前年を下回る結果に終わりました。一方で高いレベルが続いた市場在庫は落ち着きを取り戻しつつあります。

他の有力新興国市場では、これまで堅調だった東南アジアのスポーツタイプ自転車の店頭販売が前年を下回りました。南米においては景気減速や通貨安の影響を受け依然として低調な状況が続いています。

日本市場では、昨年まで好調を維持してきたスポーツタイプ自転車の店頭販売は前年を下回り市場在庫はやや高めとなっています。軽快車の店頭販売は昨年に引き続き低調に終わりました。

この結果、当セグメントの売上高は259,455百万円前年同期比17.4%減)、営業利益は57,874百万円前年同期比27.5%減)となりました。

 

②  釣具

日本市場では、年初からお盆にかけて、天候が比較的に安定したこともあり、市場は堅調に推移しました。熊本地震や台風が釣り場環境・消費動向に一時的に影響を及ぼしましたが、販売準備が整い一部前倒しで市場に投入した当社の2017年モデルが市場より評価され、売上は前年を上回る結果となりました。

海外市場においてアジア市場では、小売店での在庫調整が続く一方、円安基調の中で東アジア市場を中心に受注が増加したこともあり、売上は前年同期を上回る結果となりました。豪州市場での売上は前年同期比微増で終わったものの、北米・欧州市場での売上は市況の低迷の影響を受けたこともあり前年を下回る結果となりました。

この結果、当セグメントの売上高は63,143百万円前年同期比1.7%減)、営業利益は6,842百万円前年同期比27.4%増)となりました。

 

③  その他

当セグメントの売上高は399百万円前年同期比2.4%増)、営業損失は170百万円(前年同期は営業損失135百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,584百万円増加し、当連結会計年度末には196,453百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は64,034百万円となりました(前連結会計年度は81,309百万円の増加)。資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益68,402百万円、減価償却費15,534百万円等によるものです。また資金の主な減少要因は法人税等の支払額23,643百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は34,054百万円となりました(前連結会計年度は26,259百万円の減少)。資金の主な減少要因は有形固定資産の取得による支出29,381百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3,367百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は15,536百万円となりました(前連結会計年度は14,508百万円の減少)。資金の主な減少要因は配当金の支払額14,365百万円等によるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)  生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

257,686

△14.1

釣具

52,827

+13.7

その他

238

△0.4

合計

310,753

△10.4

 

(注) 1  金額は販売価格による概算値であります。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)  受注状況

当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分見込生産によっており、冷間鍛造品については受注生産をおこなっておりますが、受注生産の金額は僅少であるため記載を省略いたします。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

259,455

△17.4

釣具

63,143

△1.7

その他

399

+2.4

合計

322,998

△14.7

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の見通しにつきましては、欧州では引き続き個人消費を牽引役とする内需主導の景気回復が緩やかに続く見通しの中、英国がEU離脱交渉に入るほか、フランス、ドイツ等で大統領選挙や総選挙が予定されており、選挙結果によっては景気回復のペースが鈍化する可能性も考えられます。米国では、雇用環境の改善持続を背景に個人消費は回復傾向が続くと見込まれる一方、新政権による具体的な政策や実現性が景気動向を左右する懸念があります。
 国内では、円安による企業収益の押し上げが景況感を下支えするものの、世界経済の行方次第では景気への影響は無視できないものと思われます。
 このような経営環境の中、当社グループは、国内外の経済動向に注視しつつ、経営効率のさらなる向上を図り、より豊かで、新たな自転車文化、釣り文化の創造を促進してまいります。

 

株式会社の支配に関する基本方針

(1)基本方針の内容

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。

当社は、当社株式の大量買付であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

特に、当社グループの企業価値の源泉は、①お客様のニーズを迅速に察知することを可能にする、全世界に広がる販売拠点・ネットワーク、②お客様のニーズを具現化する、創造性のある高い企画開発力・技術力、③製造拠点各所在国の強みを活かしたコスト競争力のある生産体制及び全世界の需要に対応する供給力、④グローバルなサービス体制、並びに⑤グループ各社の調和のとれたオペレーション等にあり、これらの根幹には、(ⅰ)お客様、お取引先及び従業員等との堅い信頼関係、(ⅱ)個々の従業員の技術開発能力・ノウハウ等、及び(ⅲ)個々の従業員がその能力を存分に発揮することのできる企業風土等があります。当社株式の大量買付を行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解した上で、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。また、外部者である買収者からの大量買付の提案を受けた際に、株主の皆様が最善の選択を行うためには、当社の企業価値を構成する有形無形の要素を適切に把握するとともに、買収者や買付についての情報も把握した上で、買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があり、かかる情報が明らかにされないまま大量買付が強行される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益が毀損される可能性があります。

当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。

 

(2)基本方針実現のための取組みの内容の概要 

(A)基本方針の実現に資する特別な取組み

(ⅰ)企業価値向上のための取組み

当社は、上記の企業価値の源泉をさらに維持・強化するためには、お客様に信頼され、満足いただけるサービス及び製品を提供し続けることとともに、今後は、お客様の環境・健康等に対する関心の高まりに応えた製品の開発・製造が求められるものと考えております。また、近年、中国、南米等の新興市場での当社の主力製品である自転車部品及び釣具に対する需要が増加してきております。これら新興市場においてもお客様の信頼を得られるよう様々な施策を講じてまいりたいと考えております。そのような背景の中、当社は、①コア・コンピタンスの強化、②自転車文化・釣り文化の創造とブランドの強化を基本方針として、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化、株主還元等

当社においては、独立性を有する社外取締役1名による取締役の業務執行の監視及び独立性を有する社外監査役2名を含む監査役会による取締役の業務執行の監視が行われております。また、当社は、内部監査室を設置し、内部監査部門としてコンプライアンスやリスク管理の状況等を定期的に監査するとともに、グローバルな内部統制システムの整備・充実を行っております。

また、当社は、株主還元を経営上の重要課題と捉えており、安定的な配当の維持・継続とともに、業績の進展に応じた成果の配分を行うことを基本方針としております。配当につきましては、昭和47年の上場以来安定的な配当を継続し、さらに業績の向上に沿った増配を行ってまいりました。また、積極的な自己株式取得も行ってきております。

さらに、当社グループは、社会的責任への取組みとして、過去より地域社会における文化活動、ボランティア活動への参加やイベントへの協賛等に積極的に取り組み、お取引先・地元住民等との信頼関係を構築してまいりました。

 

(B)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要

当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適切な情報の開示に努めるなど、その時点において適切な対応をしてまいります。

 

(3)具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

  基本方針の実現に資する特別な取組みについて

上記(2)(A)に記載した当社の企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。従って、これらの各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市況変動によるリスク

当社グループの製品に対する需要は、その販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動によるリスク

外貨建てで取引されている当社グループの国際取引、海外での製品価格、また連結財務諸表作成のために海外連結子会社の財務諸表は円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループは先物予約でリスクヘッジ又は軽減させていますが、急激な為替相場変動があった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競争によるリスク

当社グループ製品は、国内外の市場において激しい競争にさらされています。競争力向上のために新技術・新製品の研究開発活動を積極的に行っていますが、製品価格の下落が当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外での事業活動に関するリスク

当社グループは海外に生産、販売拠点を有しており、グループ内外で多くの海外取引を展開しています。従いまして、現地での政治的要因及び経済的要因の悪化並びに法律又は規制の変更など外的要因によるリスクが当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製品の欠陥に関するリスク

当社グループでは、ISOによる品質管理体制を構築していますが、将来全ての製品について欠陥が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険で補償されない賠償責任を負担する可能性があります。大規模な品質問題が発生した場合、製品の回収及び交換等による多額のコストが発生し、当社グループ製品の品質に対する評価に重大な影響を与えることにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 貸倒れに関するリスク

当社グループでは、貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して引当金を計上しております。しかしながら、予測していない貸倒れのリスクは常に存在しており、追加的な損失や引当金の計上が必要となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 災害等に関するリスク

当社グループは、製造・販売拠点を世界中に展開しています。地震及び洪水等の自然災害、火災や停電及びコンピューターウイルスによる障害等があった場合、当社グループ設備の一部又は全部の稼動が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。その場合、設備復旧のための費用や生産高・売上高の減少などにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは「人と自然と道具の美しい調和」を目指し、基礎的な研究開発から製品化および生産技術分野まで幅広く研究開発活動を行っております。また、海外におきましても、Shimano(Singapore)Pte. Ltd.を核として、製品化および生産技術分野の研究開発活動を積極的に行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は 13,188百万円(消費税等は含まず。以下同じ)であり、各セグメント別の主要な成果は以下のとおりであります。

 

(1) 自転車部品

当セグメントにおける研究開発の目的は、自転車に乗る人の喜びを追求する事であります。

自転車の走行性能の向上を図ることは勿論、操作性の向上によって乗り手を精神的・肉体的ストレスから解放する「ストレスフリーコンセプト」を追求し続けています。

また、自転車市場の拡大と活性化の為に、人と自転車の関係に新しい価値を創造する提案活動を展開しています。各国で自転車道の整備が進む現状からも見ることが出来るように自転車を取り巻く環境は追い風と言えます。健康志向と相まって、移動手段としての見直しや、都市交通整備計画にも自転車の利用が過去にもまして重要視されています。市場の変化を鑑みながら、新たな市場価値を提供し続けています。

なお、当セグメントに係わる研究開発費は10,048百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

① MTB分野においては、昨シーズンにフルモデルチェンジしたクロスカントリー用コンポーネンツ「DEORE XT」に最上級グレード「XTR」に搭載している電子制御変速「Di2」機構を盛り込みました。欧州市場で絶大な人気のトレッキングバイク用の仕様も新たにフルモデルで展開しました。

また「DEORE XT」の下位モデル「SLX」もフルモデルチェンジを行い、上位モデル譲りの最新技術を投入して中上級ライダーのニーズに応えています。

加えてエントリーグレードの「TOURNEY」シリーズも3シリーズに拡大展開し、高いスポーツ性能を普及価格帯にまで展開する事でMTBの魅力をさらにアピールし、市場の拡大を図っています。

② ロードバイク分野においては、最上級グレードの「DURA ACE」のフルモデルチェンジを行い、油圧ディスクブレーキ、電子制御変速「Di2」機構をラインアップに含めています。

ミドルグレードでは上級グレードへの登竜門モデルとなる「SORA」をフルモデルチェンジし、様々なアマチュアレースや乗り方の進化をサポートしています。

③ 世界的に需要が増加しているE-BIKE(電動アシスト自転車)市場ではこれまでのシティーユースに加えてMTB市場に対応するために「SHIMANO STEPS」テクノロジーをフィーチャーした「DEORE XT」グレードのコンポーネンツを投入しています。走行時での人力に対してモーターのスムースなアシストや、特にMTBで求められる登り坂、向かい風でのスムースな変速のための電子制御システムの開発と投入は、この分野でも乗り手に対するストレスフリーを提案しています。

④ 新たな自転車のカテゴリーとしてアーバンスポーツを提案し、新モデル「METREA」を展開しています。ニューヨークやベルリンで主要完成車メーカーに対してコンセプトのプレゼンテーションと実走会を実施し、一般ユーザー向けには世界最大規模の自転車ショーでありドイツで毎年開催されるユーロバイクで公開し、製品コンセプトと製品デザインは圧倒的な支持を受けました。単なる移動手段だけではなくアーバンでの自転車のある生活の提案をおこなっています。

 

(2) 釣具

当セグメントにおける研究開発は、基本性能の向上と新機能の実現を目指すと共に、感性を具現化するテクノロジーを追求しております。
 なお、当セグメントに係わる研究開発費は3,109百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

 

リール

① 「HAGANEギア」の展開

「HAGANEギア」とはシマノ最新技術の精密冷間鍛造で造られたスピニングリールのドライブギアの商標です。「HAGANEギア」はドライブギアで最も強度と耐久性が高くマシンカットギアの約1.8倍(*1)、ダイカストギアの約2.4倍(*1)の強度・耐久性を誇っています。冷間鍛造のみで精密なドライブギアを作るのは通常難しいですが、シマノは自転車部品で培った技術力と最新鋭の高精度マシンの投入で、冷間鍛造のみでドライブギアを製造する事に成功しています。

「HAGANEギア」はこれまで高級機種の「ステラ」「ヴァンキッシュ」「ツインパワー」のみに搭載されていましたが、ギア製法の改良や新技術開発で今までは亜鉛ダイカストギアを使っていた下位機種にも展開を進め、2017年に発売する「アルテグラ」「サハラ」「セドナ」を含めるとシマノスピニングリールの90%以上の機種が「HAGANEギア」を搭載する事になります。この「HAGANEギア」の搭載でユーザーの方が『シマノのスピニングリールはギアが強い』と実感していただけると思います。(*1:当社テストデータ計測値による。)

 

② 「X-PROTECT」の開発

「X-PROTECT」とは中小型スピニングリールの最新防水構造です。

従来の中小型スピニングリールは「COREPROTECT」という防水構造を採用しています。この防水構造は防水パッキンを採用せず撥水構造で防水するという新発想の防水機構です。防水パッキンを使用していないのでリール回転部の摩擦抵抗が全く無く、リールのスムースな回転を阻害しない防水構造なのです。

今回、開発した「X-PROTECT」はこの「COREPROTECT」をより進化させた防水構造です。従来の「COREPROTECT」は撥水処理のみの防水構造であり、雨や波しぶきなどには十分対応できますが、水圧が加わると浸水する恐れがありました。そこで今回の「X-PROTECT」は撥水処理にプラスしてラビリンス構造という特殊な迷路構造を採用する事で、非接触の防水構造でありながらある程度の水圧にも耐えられる防水構造となりました。これによりリール回転の軽さを損なわずに水圧にも強い防水機構が完成しました。

2017年に発売する「ツインパワーXD」「NEWエクスセンス」にこの「X-PROTECT」が採用されています。

 

ロッド

① バスルアーロッド「ポイズングロリアス」

二代目となる「ポイズングロリアス」が前作をはるかにしのぐ性能を携えて登場しました。フルモデルチェンジした「グロリアス」は、前作に比べ最大30%以上の軽量化を達成。さらにグリップ部にカーボンモノコックを採用することにより、更なる感度アップが実現しました。「スパイラルX」と「ハイパワーX」をまとったブランクスは軽量化にありがちなパワーダウンを解消し、フラグシップロッド「アルティマ」に迫る軽さと感度、操作性、そしてパワーを身に付けました。ベイトフィネスからビッグベイトまで、特化型ロッドからバーサタイルロッドまでコンセプトを具現化した数々のモデル、そのどれにも共通するのが軽さとパワーの両立です。さらに感度と操作性も兼ね備えており、まさに次世代の本格派ロッドとして、トップアングラーの高い評価を得ています。

② 磯竿「鱗海SPECIAL」

黒鯛をフカセ釣りで狙う専用ロッドである鱗海シリーズに4代目となる「鱗海SPECIAL」を発売しました。

一般的な磯竿と比べ、非常に柔軟な調子は掛けた黒鯛を無理に怒らせず、いなしながら手元まで寄せることのできるブランクス性能を持ちます。また「鱗海SPECIAL」特有のこの柔軟な調子は遠投時においてつけエサを飛ばさずに、遠くのポイントまで投げることを容易にします。またシマノオリジナルガイドであります「Xガイド」が#1~#2の玉口まで配置されており、軽くて小さなガイドが配置されることにより、穂先のブレを極限まで押さえ、魚の微小な前アタリから、仕掛けが潮に乗っているモタレ感までを感知する能力に優れ、釣果アップにつながる機能であると釣り人より高い評価を得ています。また細く柔らかいブランクスは一般的にはネジレやすいことから、ぶれると言われていますが、オリジナル構造である「スパイラルX」を採用し、ネジレを追放することにより、強風が吹き、自然環境の激しい磯釣り場においても、竿がぶれにくく、ブランクスの性能を最大限に発揮できます。今回のシリーズより新規採用した各節の剛性差を排除した「パラボラチューンR」はきれいな曲がりを実現して、魚の引きに対しても違和感なく曲がりこむので、釣り人にとってストレスの少ない竿に仕上がっております。

 

フィッシングギア

① 船釣り用品の要ともいえるロッドホルダー「Vホルダー」は、2本の足がワンタッチで開閉する画期的な万力構造により、スピーディーな着脱や角度調整を実現。1本足タイプ並みにコンパクトに収納できるにも関わらず、2本足タイプに迫る取り付け強度を実現しました。「Vホルダー」にワンタッチで装着可能なシステムボードやバッテリーケースを使用していただくことで、探見丸を始めとする船べりの小物類をシステマチックに収納できます。

② 昨年立ち上げたバスルアーの「バンタム」シリーズでは、待望のパブロシャッドをはじめテストで好結果であった4機種を追加展開し、市場でのプレゼンスを高めます。販売域が西日本だけでなく関東にまで拡大傾向にある鯛カブラでは、ハイスペックな廉価版の「タイガーバクバク」を投入。競合各社の新製品がほとんど見られなかった今上期で、炎月シリーズの強力な巻き返しを図ります。さらに市場拡大中のショアジギングやショア青物、堅調なシーバス、オフショアジギングなどへも継続的に新製品を展開します。

③ 昨今の真夏の猛暑やレジャー層の釣用クーラーの購入が増え、クーラー市場全体は堅調ですが、シマノではラインアップの少なかった低価格帯に、「インフィックス27L」と「ホリデークール20L/26L」の3シリーズを投入し、より広いお客様層に、商品展開をしてまいります。また「インフィックス」シリーズは、弊社では初の海外(中国)生産のクーラーで、日本と同等以上に大きなクーラー市場がある中国国内への拡販も期待しています。

 

④ 釣り人の動きを実釣と科学の視点で徹底的に測定・分析し、釣り人のパフォーマンスを最大化する事をめざした新設計「COREACT」を搭載したモデルを、磯釣種に特化した「NEXUS」シリーズの最高峰「LIMITED PRO」シリーズのレインウェア「RA-112Q」とライフジャケット「VF-113Q」より展開いたします。科学的に分析し辿り着いた新形状と適材適所の素材選定で、今までのモデルよりも磯釣りでのパフォーマンスが向上し、動きやすさが改善しております。今年のフィッシングショーでも、コアな磯釣りアングラーから高い評価を得る事が出来ました。

⑤ ルアー釣種に特化した「XEFO」シリーズでは、ルアーアングラーの機動性にこだわった3次元立体設計を施した、「RA-22JQ」「RA-22PQ」の2シリーズを発売します。素材にも拘り、GORE-TEX 2.5層の軽量の透湿防水素材を採用する事で、軽快な機動力と快適な着心地が実現しました。

⑥  シマノシリーズでは、“塗るから着るへ”というコンセプトで、「SUN PROTECTION」シリーズを発売し、日焼け対策アイテムを充実させております。ジャケット・インナー・アクセサリー・グローブなど、合計10品番をラインナップいたしております。快適な釣行をサポートする為に、日差しから肌を保護するUPF50+素材を採用し、暑い時期でも快適に過ごせる吸水速乾の加工も施しております。

⑦  船釣りなどで使いやすい「バッカン」シリーズをリニューアルして発売します。中でもインナートレーの付いた「BK-001Q」(タックルボートバッグ)は、しっかり収納でき、バッカン内部でキッチリ固定できるインナートレーと、水しぶきや波などが掛かっても水が入りにくくした深さのある上蓋の2点を大幅リニューアルし、今まで以上に釣行時に使いやすい仕様になっています。また、楽しく釣りがしたくなるようなカラフルなカラーリングやデザインも採用し、フィッシングショーでも手に取るお客様が多く、高い評価を得ています。

⑧  シマノシリーズより防水透湿機能を搭載したシューズ「FS-081Q」を発売します。ドライシールド防水透湿機能素材を採用しておりますので、水しぶきや波などが掛かっても水が入らず、また中で蒸れにくい仕様になっています。さらに、着脱がスピーディーで自在なフィット感を得られるようにBoa®Ghilliesを搭載し、アングラーの快適な釣行をサポートいたします。

 

(3) その他

当セグメントでは主にロウイング関連用品等の開発を行っております。

なお、当セグメントに係わる研究開発費は31百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末における資産は443,954百万円前年同期比14,873百万円増)となりました。これは、建物及び構築物が15,839百万円、現金及び預金が9,562百万円それぞれ増加し、建設仮勘定が6,455百万円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における負債は52,572百万円前年同期比5,209百万円減)となりました。これは、退職給付に係る負債が1,293百万円増加し、未払法人税等が6,396百万円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における純資産は391,381百万円前年同期比20,083百万円増)となりました。これは、利益剰余金が36,595百万円増加し、為替換算調整勘定が16,085百万円減少したこと等によるものです。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は322,998百万円前年同期比14.7%減)となりました。セグメント別の分析につきましては、「第2 事業の状況 1業績等の概要  (1)業績」に記載しております。

当連結会計年度の売上総利益は131,537百万円前年同期比14.9%減)となりました。売上高の減少等により売上総利益率は前連結会計年度より0.1ポイント下降し40.7%となりました。

当連結会計年度の営業利益は64,546百万円前年同期比24.1%減)となりました。売上減少に伴う運送費の減少等により販売費及び一般管理費が66,991百万円前年同期比3.6%減)となりましたが、営業利益率は前連結会計年度より2.5ポイント下降し20.0%となりました。

当連結会計年度の経常利益は70,002百万円前年同期比30.8%減)となりました。営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、為替差益等により5,456百万円(前年同期は16,057百万円)となりました。

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は減損損失等により68,402百万円前年同期比31.9%減)となりました。

 

(4) 資金の流動性についての分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は前連結会計年度末に比べて8,584百万円増加し当連結会計年度末には、196,453百万円となりました。

営業活動による資金の増加は64,034百万円となりました。

投資活動による資金の減少は34,054百万円となりました。

財務活動による資金の減少は15,536百万円となりました。

 

なお、詳細は「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(5) 資金需要

当社の運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めています。

 

(6) 財務政策

当社グループは現在、運転資金および設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金により資金調達することとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。