第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループはチームシマノの基本理念の中に「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を使命として掲げております。自転車部品事業、釣具事業ともに、常に新しく、より優れた製品をお届けすることにたゆまぬ努力を続け、皆様の心身の健康に貢献していきたいと考えております。

 経営の方針としては次の4項目に重点を置いて運営してまいります。

・お客様に信頼され、満足していただけるサービスと製品を提供する。

・企業価値を高め、開かれた経営を約束する。

・達成感と、よろこびを分かち合える、公正でいきいきとした職場づくりに努める。

・社会の一員として環境を大切にし、共に繁栄することを目指す。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは「価値創造企業」を展望し、次の3点を長期的な経営戦略として事業を展開しております。

① コアコンピタンスの強化とマーケットの絞り込み: 卓越した発想力、デザイン力、技術力を磨き続け、そこから生まれる新しい製品アイディアを、現実の製品に造り上げる製造力の強化と明確なターゲットを定めたマーケティング。

② 自転車文化・釣り文化の創造とブランド強化: 自転車・釣りを趣味、スポーツといった娯楽目的の行為としてではなく、豊かなライフスタイルを提供する文化としてとらえ、自転車・釣りの社会的価値向上を志す。その結果として、当社のプレゼンスが高まり、ブランド価値向上につながる。

③ 企業価値の向上: こころ躍る製品の継続的な提供を通じて、株主の皆様、顧客、従業員等の全てのステークホルダーにとっての企業価値が高まり続ける「善の循環」を維持する。
 

 これら3点を基本方針とし、今後も、開発型製造業としての本分を忘れず、こころ躍る製品を提案し続ける価値創造企業としての成長を経営の基本に置き、当社の根幹となる競争力を高め、持続可能な事業活動を行ってまいります。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 予想される経営環境につきましては、米中通商問題や中東における地政学的リスクの高まり、また、新型コロナウィルスの感染拡大による世界的な景気への影響が懸念されることに加え、欧州ではイギリスのEU離脱にかかる混乱が景気を減速させるおそれがあります。米国では個人消費の拡大による景気回復の持続が見込まれるものの、大統領選挙の趨勢が景気を左右する可能性があります。日本では、消費増税の駆け込み需要に対する反動や雇用・所得の改善速度鈍化などを背景に景気回復のペースは非常に緩やかなものとなることが懸念されます。

 このような経営環境の中、当社グループは、日本発の開発型製造業として、多くの人々に感動していただける「こころ躍る製品」の開発・製造に邁進することはもとより、企業と社会の共有価値を創造し続ける「価値創造企業」として、一歩一歩、前進していくことが大切だと考えております。その実現に向けて、次の3点の強化に取り組んでまいります。

・技術開発力:開発型製造業として独自の機能を軸とした高性能部品を開発するための体制強化と意識改革などによ

 り強化してまいります。  

・コスト競争力:製造力を強化する目的で行ってきた投資設備を最大限に活用することは当然ながら、生産工程の改

 善と内在する無駄の刈り取りを着実に進めることでコスト競争力を強化してまいります。

・コーポレートガバナンス:経営の意思決定機能及び監督機能の強化のため、独立社外取締役の複数化を進めており

  ます。また、事業がグローバルに広がる中、当社グループが共有すべき価値観を改めて統一すべく、従業員一人一

  人が日々の事業活動で遵守すべき方針として「行動規範」を策定しております。当規範が当社グループに広く浸透

  し、コンプライアンスがより一層徹底されるよう進めてまいります。

 

 

株式会社の支配に関する基本方針

(1)基本方針の内容

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。

当社は、当社株式の大量買付であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

特に、当社グループの企業価値の源泉は、①お客様のニーズを迅速に察知することを可能にする、全世界に広がる販売拠点・ネットワーク、②お客様のニーズを具現化する、創造性のある高い企画開発力・技術力、③製造拠点各所在国の強みを活かしたコスト競争力のある生産体制及び全世界の需要に対応する供給力、④グローバルなサービス体制、並びに⑤グループ各社の調和のとれたオペレーション等にあり、これらの根幹には、(ⅰ)お客様、お取引先及び従業員等との堅い信頼関係、(ⅱ)個々の従業員の技術開発能力・ノウハウ等、及び(ⅲ)個々の従業員がその能力を存分に発揮することのできる企業風土等があります。当社株式の大量買付を行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解した上で、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。また、外部者である買収者からの大量買付の提案を受けた際に、株主の皆様が最善の選択を行うためには、当社の企業価値を構成する有形無形の要素を適切に把握するとともに、買収者や買付についての情報も把握した上で、買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があり、かかる情報が明らかにされないまま大量買付が強行される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益が毀損される可能性があります。

当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。

 

(2)基本方針実現のための取組みの内容の概要 

(A)基本方針の実現に資する特別な取組み

(ⅰ)企業価値向上のための取組み

当社は、上記の企業価値の源泉をさらに維持・強化するためには、お客様に信頼され、満足いただけるサービス及び製品を提供し続けることとともに、今後は、お客様の環境・健康等に対する関心の高まりに応えた製品の開発・製造が求められるものと考えております。また、近年、中国、南米等の新興市場での当社の主力製品である自転車部品及び釣具に対する需要が増加してきております。これら新興市場においてもお客様の信頼を得られるよう様々な施策を講じてまいりたいと考えております。そのような背景の中、当社は、①コア・コンピタンスの強化、②自転車文化・釣り文化の創造とブランドの強化を基本方針として、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化、株主還元等

当社においては、独立性を有する社外取締役3名による取締役の業務執行の監視及び独立性を有する社外監査役2名を含む監査役会による取締役の業務執行の監視が行われております。また、当社は、内部監査室を設置し、内部監査部門としてコンプライアンスやリスク管理の状況等を定期的に監査するとともに、グローバルな内部統制システムの整備・充実を行っております。

また、当社は、株主還元を経営上の重要課題と捉えており、安定的な配当の維持・継続とともに、業績の進展に応じた成果の配分を行うことを基本方針としております。配当につきましては、1972年の上場以来安定的な配当を継続し、さらに業績の向上に沿った増配を行ってまいりました。また、積極的な自己株式取得も行ってきております。

さらに、当社グループは、社会的責任への取組みとして、過去より地域社会における文化活動、ボランティア活動への参加やイベントへの協賛等に積極的に取り組み、お取引先・地元住民等との信頼関係を構築してまいりました。

 

(B)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要

当社は、当社株式の大量買付けが行われた際には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上のために、積極的な情報収集と適切な情報の開示に努めるなど、その時点において適切な対応をしてまいります。

 

(3)具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

  基本方針の実現に資する特別な取組みについて

上記(2)(A)に記載した当社の企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。従って、これらの各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市況変動によるリスク

当社グループの製品に対する需要は、その販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動によるリスク

外貨建てで取引されている当社グループの国際取引、海外での製品価格、また連結財務諸表作成のために海外連結子会社の財務諸表は円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループは先物予約で外貨建ての仕入/売上に係る金銭債権債務等をヘッジ対象としておりますが、急激な為替相場変動があった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競争によるリスク

当社グループ製品は、国内外の市場において激しい競争にさらされています。競争力向上のために新技術・新製品の研究開発活動を積極的に行っていますが、製品価格の下落が当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外での事業活動に関するリスク

当社グループは海外に生産、販売拠点を有しており、グループ内外で多くの海外取引を展開しています。従いまして、現地での政治的要因及び経済的要因の悪化並びに法律又は規制の変更など外的要因によるリスクが当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製品の欠陥に関するリスク

当社グループでは、ISOによる品質管理体制を構築していますが、将来全ての製品について欠陥が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険で補償されない賠償責任を負担する可能性があります。大規模な品質問題が発生した場合、製品の回収及び交換等による多額のコストが発生することにより、また、当社グループ製品の品質に対する評価に重大な影響を与えることにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 貸倒れに関するリスク

当社グループでは、貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して引当金を計上しております。しかしながら、予測していない貸倒れのリスクは常に存在しており、追加的な損失や引当金の計上が必要となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 災害等に関するリスク

当社グループは、製造・販売拠点を世界中に展開しています。地震及び洪水等の自然災害、火災や停電及びコンピューターウィルスによる障害等があった場合、当社グループ設備の一部又は全部の稼動が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。その場合、設備復旧のための費用や生産高・売上高の減少などにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 感染症に関するリスク

当社グループは、世界各地に製造・販売拠点を設けています。新型インフルエンザ等の感染症が世界的に流行した場合、感染拡大による操業のための従業員の不足、原資材やエネルギーの確保困難によって、当社の生産活動や営業活動に重大な影響が生じ、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におきましては、欧州では、雇用・所得環境の改善に支えられ個人消費が景気を下支えしたものの、英国のEU離脱問題の不透明感から景気回復は足踏みする格好となりました。米国では、米中貿易摩擦の行方が懸念材料となったものの、良好な雇用・所得環境を背景に景気は堅調に推移しました。日本では、個人消費が緩やかな回復基調にありましたが、世界的な保護主義の動きから企業の業況は力強さを欠き、景気回復のペースは鈍化しました。

このような状況のもと、当社グループは、「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を使命に、健康志向や環境保全意識の高まりといった追い風の中、こころ躍る製品づくりを通じ、より豊かな自転車ライフ・フィッシングライフのご提案をしてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は363,230百万円前年同期比4.4%増)となりました。また、利益面につきましては、営業利益は68,010百万円前年同期比3.5%増)、経常利益は69,471百万円前年同期比5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は51,833百万円前年同期比3.9%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

  自転車部品

欧州市場では、引き続き天候にも恵まれ、完成車の店頭販売は電動アシストスポーツバイクを中心に好調を維持しました。市場在庫も概ね適正な水準で推移しました。

北米市場では、完成車の店頭販売台数は微減であったものの、販売単価上昇もあり販売金額は前年並みで推移しました。市場在庫については概ね適正水準を保ちました。

中国市場では、完成車の店頭販売は昨年までの減少傾向に歯止めがかかり、前年並みで推移しました。市場在庫は適正に推移しました。

他の新興国市場において、ブラジル市場では政情不安等の影響で店頭販売が鈍化し、アルゼンチン市場では通貨安の影響で低迷が続きました。 アルゼンチンを除いた市場在庫は概ね適正な水準で推移しました。
日本市場では、中高級スポーツバイクの販売は低調だったものの、通勤通学用クロスバイクや電動アシスト車の需要が伸長したことによる販売単価上昇もあり販売金額は前年並みで推移しました。市場在庫は適正水準を保ちました。

このような市況のもと、新製品である高級マウンテンバイクコンポーネントの「Deore XT」や「SLX」、中高級グラベルロードコンポーネント「GRX」が好評を得ました。また、電動アシストスポーツバイクコンポーネントのSHIMANO STEPSシリーズも前期に引き続いて好調を維持しました。

この結果、当セグメントの売上高は290,038百万円前年同期比4.6%増)、営業利益は57,850百万円前年同期比1.0%増)となりました。

 

  釣具

日本市場では、小売店の販売は9月まで堅調に推移しましたが、10月以降は台風の影響により足踏みする格好となり、最終的に前年並みとなりました。

海外市場において、北米市場では悪天候の影響が少なからずあったものの、堅調な国内景気に支えられ販売は順調に推移しました。欧州市場では全体としては力強さを欠いたものの、大陸の一部の国では持ち直しの兆しが見られ、さらにイギリスにおいては販売が回復し市場を下支えしました。アジア市場では中国でのスポーツフィッシング関連商品の販売は継続して好調でした。豪州市場では、悪天候によるシーズンインの遅れから市場が停滞し販売は低調な結果となりました。

このような市況のもと、日本では、新製品を含む高中価格帯リールが好調で、ロッドでもルアー関連製品を中心に好評を博し、また、海外市場では、「SLX DC」、「STRADIC」等の新製品の販売が好調であったため、売上は前年を上回りました。

この結果、当セグメントの売上高は72,838百万円前年同期比3.4%増)、営業利益は10,219百万円前年同期比19.6%増)となりました。

 

  その他

当セグメントの売上高は353百万円前年同期比0.7%減)、営業損失は59百万円(前年同期は営業損失107百万円)となりました。

 

当連結会計年度末における資産は538,769百万円前年同期比34,924百万円増)となりました。これは、現金及び預金が27,166百万円、建設仮勘定が10,368百万円、商品及び製品が3,835百万円それぞれ増加し、受取手形及び売掛金が2,796百万円、建物及び構築物が2,491百万円、投資その他の資産のその他が2,146百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における負債は49,533百万円前年同期比854百万円減)となりました。これは、短期借入金が2,565百万円、固定負債のリース債務が913百万円それぞれ増加し、固定負債のその他が2,501百万円、火災損失引当金が1,598百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における純資産は489,236百万円前年同期比35,778百万円増)となりました。これは、利益剰余金が37,465百万円増加し、為替換算調整勘定が1,811百万円減少したこと等によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ88,346百万円増加し、264,738百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は67,897百万円となりました(前連結会計年度は49,593百万円の増加)。資金の主な収入要因は税金等調整前当期純利益71,393百万円、減価償却費18,130百万円等によるものです。主な支出要因は法人税等の支払額17,680百万円、たな卸資産の増減額5,703百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の増加は34,409百万円となりました(前連結会計年度は49,008百万円の減少)。資金の主な収入要因は定期預金の払戻による収入73,130百万円等によるものです。主な支出要因は有形固定資産の取得による支出23,252百万円、定期預金の預入による支出13,234百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は12,832百万円となりました(前連結会計年度は21,709百万円の減少)。資金の主な収入要因は短期借入金の純増減額2,561百万円等によるものです。主な支出要因は配当金の支払額14,367百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

288,181

3.2

釣具

61,156

8.6

その他

212

△5.3

合計

349,550

4.1

 

(注) 1  金額は販売価格による概算値であります。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注状況

当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分見込生産によっております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

290,038

4.6

釣具

72,838

3.4

その他

353

△0.7

合計

363,230

4.4

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等につきましては、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は363,230百万円前年同期比4.4%増)となりました。セグメント別の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

当連結会計年度の売上総利益は140,591百万円前年同期比2.9%増)となりました。売上原価の増加等により売上総利益率は前連結会計年度より0.5ポイント下降し38.7%となりました。

当連結会計年度の営業利益は68,010百万円前年同期比3.5%増)となりました。広告宣伝費及び研究開発費の増加等により販売費及び一般管理費が72,581百万円前年同期比2.4%増)となり、営業利益率は前連結会計年度より0.2ポイント下降し18.7%となりました。

当連結会計年度の経常利益は69,471百万円前年同期比5.6%減)となりました。営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、受取利息等により1,460百万円(前年同期は7,900百万円)となりました。

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は固定資産売却益等により71,393百万円前年同期比0.2%増)となりました。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めています。

当社グループの運転資金および設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金により資金調達することとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。

 

 

c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。

当連結会計年度の売上高は計画比1,230百万円増(0.3%増)となりました。自転車部品事業では、売上は計画通りに推移しました。釣具事業では、主要な市場である日本および北米での当社新製品の販売が好調であったこと、並びに中国でのスポーツフィッシングの人気が継続していることから、売上は計画を上回りました。営業利益につきましては、釣具の増収に伴う増益効果、販管費の減少および為替影響の好転などにより、計画比1,010百万円増(1.5%増)となりました。
 営業利益率は計画比0.2ポイント増の18.7%となりました。

指標

計画

(百万円)

実績

(百万円)

増減

(百万円)

計画比

(%)

売上高

362,000

363,230

1,230

0.3

営業利益

67,000

68,010

1,010

1.5

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは「人と自然と道具の美しい調和」を目指し、基礎的な研究開発から製品化および生産技術分野まで幅広く研究開発活動を行っております。また、海外におきましても、Shimano(Singapore)Pte. Ltd.を核として、製品化および生産技術分野の研究開発活動を積極的に行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は12,073百万円であり、各セグメント別の主要な成果は以下のとおりであります。

 

(1) 自転車部品

当セグメントにおける研究開発の目的は、自転車を通じて人の体と心の健康を促進することにより、社会全体が人と環境にやさしい方向へと進化していくことです。

当社グループはより多くの人々に自転車に乗ることを享受していただくために、絶えず新しい技術を幅広く自転車に投入し、自転車の操作になるべくストレスを与えない製品づくりをすることで、人にやさしい自転車づくりを目指しています。

また自転車を取り巻く環境は世界的に大きな変革の時期を迎えています。健康というキーワードが人々の大きな関心事になり、サイクルスポーツが健康維持に効果があるエクササイズとして注目を集めています。環境問題に関してもCO2の排出が無いクリーンな乗り物として自転車がクローズアップされており、その動きに呼応するかのようにシェアバイクも世界のいくつかの都市ですでに市民生活に無くてはならない移動手段になっています。弊社はこれら世界を取り巻く自転車の大きな動きを的確にとらえることによって、よりニーズに合った新しい製品やサービスの開発を続けています。

なお、当セグメントにおける研究開発費は8,698百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

 

① マウンテンバイク分野においては、レース用コンポーネンツのフラッグシップであるXTRシリーズの技術をより多くのユーザーに提供するために、その下位グレードにあたるDEORE XTおよびSLXシリーズにもリアドライブ系統にクイックでショックの少ない12段変速を装備しました。これによって多くのMTBライダーが思い通りに山道を走りたいという期待に対して十分満足していただける製品群をそろえることができました。また中級グレードの機種においてフロントダブルの仕様を従来のシリーズに追加し、トレンドに幅広く対応しています。

② ロードバイク分野においては、北米市場に端を発し、幅広いフィールドで楽しむ新しいバイクカテゴリーのグラベルバイクに最適のコンポーネンツ「GRX」をリリースしました。グラベルバイク専用のコンポーネンツとしては世界初の試みとなります。この新しいシリーズはより多くのユーザーに使っていただくために最上位の電気式変速の11段変速仕様から機械式の10段変速仕様まで機能や価格に幅広い選択肢をユーザーに提供し、多種多様な市場要求に答えられるようになりました。また中級グレードにあたるTIAGRAシリーズにディスクブレーキ仕様を追加することで、より幅広いロードバイクユーザーにディスクブレーキの選択肢を提供することができました。

③ 世界的に需要が増加しているE-BIKE(電動アシストバイク)分野では、SHIMANO STEPSの12段変速に対応できる製品や新しい形式のバッテリーなどの新製品を最大の市場であるヨーロッパに投入することによって、様々なニーズに合った製品を提案しています。

 

 

(2) 釣具

当セグメントにおける研究開発は、基本性能の向上と新機能の実現を目指すと共に、感性を具現化するテクノロジーを追求しております。
 なお、当セグメントにおける研究開発費は3,362百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

 

リール

① 「NEW GIGA-MAX MOTOR」(NEW ギガマックスモーター)

電動リールの巻き上げパワーとスピードを向上するために新しく開発されたモーターで、2020年発売の「BEASTMASTER MD 3000」に搭載します。従来のブラシレス構造を保有する「GIGA-MAX MOTOR」の制御方法を見直すことで、モータートルクが従来製品比約40%向上しました。「NEW GIGA-MAX MOTOR」によって、「大物にも負けない巻き上げパワーとスピード」をより強くお客様に実感頂き、当社のブランド力強化が期待されます。

② 「Tankenmaru SCREEN」 (探見丸スクリーン)

「Tankenmaru SCREEN」とは電動リールのカウンター部に魚探の画像を映し出す機構のことです。探見丸システムとは、乗合船の操舵室でしか見ることのできない魚探の画像を、船べりにいる釣り人の手元で見ることができるシステムです。従来の探見丸システムでは、「探見丸子機」という専用の受信機を船べりに設置する必要がありましたが、新しい「Tankenmaru SCREEN」搭載の電動リールは「探見丸子機」が無くても魚探の画像を手元で見ることが可能となり、より多くのユーザーに手軽に新しい釣りの楽しみを感じてもらえるようになります。

 

ロッド

① 「Sephia LIMITED」

エギ部門において「Sephia LIMITED」を発売しました。ブランクスの「スパイラルXコア」を軸に、カーボンのみの中空構造で創り上げた「カーボンシェルグリップ」及び「カーボンモノコックグリップ」や、小型軽量で空気抵抗を軽減する「Xガイドエアロチタン」を搭載しております。当社の最新テクノロジーにより感性領域に踏み込んだ“真の軽さ”を実現しました。

② 「スクリューロックジョイント」&「アンチロックジョイント」

長年、釣り人の不満であった継部のゆるみと固着をそれぞれ解消する機構を開発しました。

ショアジギングロッド「コルトスナイパーXR」に搭載された「スクリューロックジョイント」は継部の固定力を高める特殊加工により、周方向にひねると固定力が増し、高負荷がかかるキャスティング時の継部のゆるみを防ぎます。また逆方向にひねると簡単に竿を分解することが出来ます。

磯用玉の柄「FIREBLOOD TAMANOE」に「アンチロックジョイント」を搭載しました。強く振り出したときや大物を引き上げる際の最大伸長時に節間が密着することがないため、固着を気にすることなく素早い取り込みが可能になりました。

 

フィッシングギア

① ライン

ハイクオリティ、ハイコストパフォーマンスで好評のピットブルに、タフクロス加工で超低伸度、高感度を実現したPEライン「ピットブル8プラス」が加わります。滑らかな表面加工に滑りの良いヒートシンクシリコンコートを併用し、当社リールの素晴らしい巻きごこちを際立たせます。

② クーラー

保冷力、利便性の進化に加え安全性を追求したクーラー「SPA-ZA WHALE 65L」を発売します。天面および側面からの開閉を可能にするだけでなく、意図せずロックされることによる不慮の閉じ込めを防ぐラックトップレバーR機構を搭載しております。また冷気が逃げやすい底面の保冷力を改善するため、スペース効率を高める厚底設計を採用しました。さらに本体接合部の浸水を防ぐ防水ボディを開発することで、シャワーを直接かけて洗えるようになりました。

 

(3) その他

当セグメントでは主にロウイング関連用品等の開発を行っております。

なお、当セグメントにおける研究開発費は12百万円であります。