第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針・経営戦略等

ア 経営環境

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、各国で外出禁止や移動制限などの規制による個人消費の大幅な減退により、一時は自転車部品や釣具の需要が落ち込みました。

しかし、規制緩和が進むにつれ、手軽なレクリエーションであり感染リスクの低い交通手段としての自転車が評価され、欧米を中心として世界的にその需要が急速に高まりました。これに伴い、特に中級・普及価格帯の自転車部品の売上が伸張しました。また、アウトドアレジャーである釣りについても、規制緩和後は各国で需要が回復しリールやロッドの販売が好調となり、釣具の売上が回復しました。

 イ 経営方針

当社グループはチームシマノの基本理念の中に「人と自然のふれあいの中で、新しい価値を創造し、健康とよろこびに貢献する。」を使命として掲げております。自転車部品事業、釣具事業ともに、常に新しく、より優れた製品をお届けすることにたゆまぬ努力を続け、皆様の心身の健康に貢献していきたいと考えております。

経営の方針としては次の4項目に重点を置いて運営してまいります。

・お客様に信頼され、満足していただけるサービスと製品を提供する。

・企業価値を高め、開かれた経営を約束する。

・達成感と、よろこびを分かち合える、公正でいきいきとした職場づくりに努める。

・社会の一員として環境を大切にし、共に繁栄することを目指す。

ウ 経営戦略等

 当社グループは、上記経営方針を踏まえ、「価値創造企業」を展望し、売上高・営業利益等を客観的な指標とし、次の3点を長期的な経営戦略として事業を展開しております。

①コア・コンピタンスの強化とマーケットの絞り込み: 卓越した発想力、デザイン力、技術力を磨き続け、そこから生まれる新しい製品アイディアを、現実の製品に造り上げる製造力の強化と明確なターゲットを定めたマーケティング。

②自転車文化・釣り文化の創造とブランド強化: 自転車・釣りを趣味、スポーツといった娯楽目的の行為としてではなく、豊かなライフスタイルを提供する文化としてとらえ、自転車・釣りの社会的価値向上を志す。その結果として、当社のプレゼンスが高まり、ブランド価値向上につながる。

③企業価値の向上: こころ躍る製品の継続的な提供を通じて、株主の皆様、顧客、従業員等の全てのステークホルダーにとっての企業価値が高まり続ける「善の循環」を維持する。

 これら3点を基本方針とし、今後も、開発型デジタル製造業としての本分を忘れず、こころ躍る製品を提案し続ける価値創造企業としての成長を経営の基本に置き、当社の根幹となる競争力を高め、持続可能な事業活動を行ってまいります。

 

(2)対処すべき課題

当連結会計年度末以降につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大、また、米中通商問題による混乱などによる世界全体の景気への影響が懸念されます。一方で、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から引き続き密を避けることができるアウトドアレジャーへの関心が継続すると思われます。

このような経営環境の中、当社グループは、自転車や釣具に対する好調な需要動向を注視しつつ、日本発の「開発型デジタル製造業」として、多くの人々に感動していただける「こころ躍る製品」の開発・製造に邁進することはもとより、企業と社会の共有価値を創造し続ける「価値創造企業」として、一歩一歩、前進していくことが大切であると考えております。その実現に向けて、次の3点の強化を課題として取り組んでまいります。

・技術開発力:開発型デジタル製造業として、電動アシスト自転車用ドライブユニットをはじめ、独自の機能を軸とした高性能部品を開発するための体制強化と意識改革などによりデジタルマニュファクチャリングの体制を強化してまいります。

・コスト競争力:製造力を強化する目的で行ってきた投資設備を最大限に活用することは当然ながら、環境負荷の低減に配慮した生産工程の改善と内在する無駄の削減を着実に進めることでコスト競争力を強化してまいります。

・コーポレート・ガバナンス:経営の意思決定機能及び監督機能の強化のため、独立社外取締役の複数化を進めております。また、事業がグローバルに広がる中、当社グループが共有すべき価値観を改めて統一すべく、従業員一人一人が日々の事業活動で遵守すべき方針として「行動規範」を策定しております。当規範が当社グループに広く浸透し、コンプライアンスがより一層徹底されるよう進めるとともに、当社の持続的な企業価値向上に根差した活動などの非財務情報の開示に努めます。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクや不確定な要因は以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。

なお、本項に含まれる将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

No

リスク区分

リスク項目

想定される具体的なリスク

対策

顕在化可能性

業績への影響の程度

1

事業環境

地震、ハリケーン、噴火等の大規模自然災害

・当該地域の拠点損壊等による工場、販社の操業停止及び出荷の停止
・当該地域の取引先からの原材料、部品等の供給の停止
・完成品、仕掛品の汚損
・消費者マインドの低下等による当該地域の自転車や釣具等当社事業に関わる製品需要の減退

・グローバル規模での製造拠点の分散

・製品のグローバル展開による特定地域に依存しない体制の構築
・緊急時の事業継続のための計画の策定
・緊急時を想定したサプライチェーンの再構築

・損失を最小限にするための適切な保険への加入

2

新型ウイルス等の感染症拡大(COVID-19を含む)

・当該地域の従業員における感染症蔓延または当該地域の政府が決定するロックダウンによる工場、販社の操業停止及び出荷の停止
・当該地域の取引先からの原材料、部品等の供給の停止
・消費者マインドの低下等による当該地域の自転車や釣具等当社事業に関わる製品需要の減退

・製品のグローバル展開による特定地域に依存しない体制の構築
・グローバル規模での製造拠点の分散
・緊急時の事業継続のための計画の策定
・緊急時を想定したサプライチェーンの再構築
・テレワークを可能とするシステムの構築
・社内におけるソーシャルディスタンスの確保

・政府のガイドライン等に基づいた感染防止対策の徹底

3

主要市場における政治経済の不安定化

・保護主義の台頭による関税リスクの上昇
・特定の国に対する経済制裁としての税制や貿易ルール等の改変
・その他テロや紛争の発生による地域経済の不安定化による当社生産及び販売活動への障害

・グローバル規模での製造拠点の分散
・製品のグローバル展開による特定地域に依存しない体制の構築

4

人材獲得競争の激化

・優秀な人材の不足、流出に伴う企画力、製品開発力等の低下

・キャリアパスを見据えた人事制度の制定
・ハラスメントの防止等良好な職場環境を維持するための従業員への教育
・研修等を通じたチームワークの醸成

 

 

No

リスク区分

リスク項目

想定される具体的なリスク

対策

顕在化可能性

業績への影響の程度

5

体制構築

ITシステムの侵害

・外部からのサイバー攻撃による当社グループの業務システムの停止、誤作動およびそれに伴う業務活動の停止
・外部からのサイバー攻撃による当社が保有する技術上、営業上の秘密情報流出による競争力低下や個人情報の漏洩による信用の失墜、またはこれらに対する賠償金の支払いや個人情報保護法制等に基づく制裁

・組織的なセキュリティ体制の構築

・適切なアンチウイルスソフトの導入、最新バージョンへの更新等セキュリティ対策の徹底
・従業員へのサイバーセキュリティに関する教育
・インシデント発生に備えた適切な体制の構築(個人情報保護のための体制含める)

・損失を最小限にするための適切な保険への加入

6

大規模な産業事故

・工場における火災、爆発、有毒ガスの漏洩等の事故による人的、周囲への被害の発生、これらに対する賠償金の支払い

・工場の操業停止及び出荷の停止

・完成品、仕掛品の汚損

・安全管理体制の構築

・従業員に対する安全に関する教育

・設備等の適切な維持管理体制の構築

・損失を最小限にするための適切な保険への加入

7

コンプライアンス違反

・欧州のGDPRをはじめとする各国の個人情報保護法制違反、各国の独禁法、競争法違反、各国の海外収賄防止法違反、各国の消費者保護法制違反等による高額の課徴金の負担、賠償金の支払い、レピュテーション低下

・従業員への個人情報保護、独禁法、海外収賄防止法等に関するEラーニング等による教育
・Code of Conductの制定とそれに沿った教育の実施
・各地域の法務部門等による相談対応及びリスク指導

・コンプライアンスチェック体制の整備

8

製品

大規模な製造物責任に基づく責任追及

・当社製品の欠陥を起因とする人損、物損に対する損害賠償リスクの発生
・リコール等による交換、改修コストの発生
・製品欠陥問題の広範囲化、長期化による当社製品への信用失墜、ブランド価値の毀損

・十分な品質管理体制の構築
・欠陥発生時の迅速かつ確実な対応を行うためのグローバルでの体制整備

・損失を最小限にするための製造物責任賠償に関する適切な保険への加入

9

製品の相対的な競争力低下

・競合先の技術力、競争力の急速な向上による相対的な当社製品の商品の魅力の低下及びそれにともなう価格競争の激化
・技術の陳腐化、新技術導入の失敗

・競争力向上のための新技術・新製品の研究開発活動及びそのための積極的な投資
・デジタルトランスフォーメーションのための活動及び積極的な投資
・有力な企業との適切な協働

 

 

No

リスク区分

リスク項目

想定される具体的なリスク

対策

顕在化可能性

業績への影響の程度

10

財務会計

為替の大幅な変動

・為替の変動による海外子会社業績や資産の円貨換算への影響
・為替変動による原材料価格への影響

・日本で生産したものを円建てで販売するなど為替変動を受けない形での取引の実行
・海外連結子会社における安定的な通貨での預金保有

11

子会社等への投資等の減損損失

・買収した子会社等の業績不振による減損損失の発生

・買収価格の適切性に関する十分な検討
・買収後のシナジー実現のためのフォロー及びモニタリング

12

環境問題

廃棄物の管理や気候変動等の環境問題への不十分な取組み

・各国の環境法令に違反することによる罰金や課徴金の負担、ブランド価値の毀損、レピュテーション低下
・グローバル企業として期待される基準を下回る環境問題への取組みによるブランド価値の毀損、レピュテーション低下
・気候変動の激化による天候不順、大規模自然災害の頻度上昇に伴うアウトドアレジャーである自転車や釣具に関する製品の需要減退

・環境法令遵守のための適切な体制整備
・温室効果ガス削減のための取組み
・資源の有効活用のための取組み

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におきましては世界的な新型コロナウイルス感染拡大により経済活動が大きな制約を受けました。欧州では感染拡大防止のため春先に各国においてロックダウン等が実施されました。夏のバカンスシーズン前にそれらの措置が緩和されたものの感染者数の増加により再び行動制限が強化されるなど、感染収束が見えないことによる景気の先行きに対する懸念から消費者マインドは低調に推移しました。

米国では、春の新型コロナウイルス感染拡大を受けて雇用環境が急速に悪化しました。外出制限緩和後一時的に回復の気配を見せた経済指標も本格的な回復基調に転ずることはなく、依然として不透明な先行きから消費を控える動きが拡がりました。

日本では、4月の緊急事態宣言に基づく外出自粛要請に伴い景気は後退しました。宣言解除後感染拡大防止策を講じつつ、Go Toキャンペーン等の経済施策導入により経済活動の下支えを図らんとしたものの感染拡大は止まらず、個人消費回復の足取りは重いままとなりました。

このような景況ではあったものの、密を避けることができる自転車、釣りへの関心から需要が高まり、当連結会計年度における売上高は378,040百万円前年同期比4.1%増)、営業利益は82,701百万円前年同期比21.6%増)、経常利益は81,471百万円前年同期比17.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は63,472百万円前年同期比22.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

  自転車部品

新型コロナウイルス感染拡大により、自転車の需要は春先に大きく落ち込んだものの、その後自転車は手軽なレクリエーション、エクササイズ、かつ感染リスクの低い交通手段として注目されるところにより、世界規模での需要の高まりが見られました。

このような状況の下、欧州市場、北米市場をはじめとする海外市場では、自転車および自転車関連商品の店頭販売は好調を維持した一方で、継続する旺盛な需要に供給が追いつかない状況から、各国の市場在庫、流通在庫ともに不足する傾向が続きました。

日本市場では、欧米のような大きな自転車需要の高まりは見られなかったものの、レクリエーションや交通手段を目的としたクロスバイクや電動アシスト軽快車の店頭販売は堅調に推移し、市場在庫は概ね適正水準で推移しました。

このような市況の下、マウンテンバイクコンポーネントの新型「Deore」をはじめ、既存の幅広い製品全般に多くの注文をいただきました。

この結果、当セグメントの売上高は297,777百万円前年同期比2.7%増)、営業利益は68,494百万円前年同期比18.4%増)となりました。

 

  釣具

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの国でロックダウン等の外出規制が行われ、それに伴う店舗営業禁止措置により、2020年前半は釣具の販売に影響が出ました。規制緩和後はアウトドアレジャーとしての釣りが再評価されるとともに、釣具への需要も高まりました。

このような状況の下、日本市場では、アウトドアを志向する新規参入者の増加により活発化した市場の動きにより販売は好調に推移しました。第4四半期においては天候にも恵まれ、特に中級・普及価格帯製品の販売が好調でした。

海外市場では、北米市場においては新製品への高い評価により、低中価格帯製品を中心に販売は好調に推移しました。欧州市場においては感染再拡大により一部の地域でロックダウンがあったものの、釣具のイーコマース伸張が販売チャネルの多様化を促したことにより販売は力強く推移しました。アジア市場においては、新型コロナウイルス感染からいち早く回復した中国市場の販売は堅調さを維持しました。第4四半期に釣りシーズンに入った豪州市場においては高い釣具需要を受け販売は好調に推移しました。

このような市況の下、新製品の注文は好調であり、ハイパワーXを搭載したバスロッド「ZODIAS」やスパイラルXコア搭載の磯竿「BB-Xスペシャル」シリーズ、スピニングリールの「VANFORD」や「SARAGOSA SW」は市場から好評を得ました。

この結果、当セグメントの売上高は79,907百万円前年同期比9.7%増)、営業利益は14,264百万円前年同期比39.6%増)となりました。

 

  その他

当セグメントの売上高は356百万円前年同期比0.8%増)、営業損失は57百万円(前年同期は営業損失59百万円)となりました。

 

財政状態は次のとおりであります。

当連結会計年度末における資産は590,420百万円前年同期比51,650百万円増)となりました。これは、現金及び預金が35,542百万円、建物及び構築物が13,828百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

当連結会計年度末における負債は60,635百万円前年同期比11,101百万円増)となりました。これは、買掛金が5,198百万円、流動負債のその他が3,811百万円、未払法人税等が3,598百万円それぞれ増加し、短期借入金が3,158百万円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における純資産は529,785百万円前年同期比40,549百万円増)となりました。これは、利益剰余金が49,104百万円増加し、為替換算調整勘定8,654百万円減少したこと等によるものです。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の90.8%から89.6%となり、1株当たり純資産額は5,275円96銭から5,709円69銭となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ35,458百万円増加し、300,197百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は91,050百万円となりました(前連結会計年度は67,897百万円の増加)。資金の主な収入要因は税金等調整前当期純利益84,820百万円、減価償却費18,270百万円、仕入債務の増減額5,348百万円、営業活動のその他5,406百万円等によるものです。主な支出要因は法人税等の支払額16,831百万円、たな卸資産の増減額6,212百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は28,328百万円となりました(前連結会計年度は34,409百万円の増加)。資金の主な収入要因は定期預金の払戻による収入2,276百万円等によるものです。主な支出要因は有形固定資産の取得による支出23,360百万円、無形固定資産の取得による支出4,205百万円、定期預金の預入による支出2,383百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は17,905百万円となりました(前連結会計年度は12,832百万円の減少)。資金の主な支出要因は配当金の支払額14,371百万円、短期借入金の純増減額2,623百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

293,543

1.9

釣具

63,831

4.4

その他

214

1.0

合計

357,589

2.3

 

(注) 1  金額は販売価格による概算値であります。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注状況

当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分を見込生産によっております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

自転車部品

297,777

2.7

釣具

79,907

9.7

その他

356

0.8

合計

378,040

4.1

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の事項が、当社グループの連結財務諸表の作成において適用される重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

a. 固定資産の減損

当社グループは、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として資産のグルーピングを行い、将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の算定に影響を与える可能性があります。

 

b. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込み額を計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

(売上高)

新型コロナウイルス感染拡大により人々の活動が制限される中、手軽なエクササイズかつ感染リスクの低い交通手段である自転車の需要が5月以降急速に回復しました。各国による自転車購入・利用を後押しする補助金の支給や、自転車専用レーンなどのインフラ整備政策も追い風となり新規顧客が増加し、主に中級・普及価格帯自転車用部品の販売が伸びました。また身近なアウトドアレジャーである釣りにおいては、家族層やアウトドア志向の新規顧客を中心に人気が高まり、世界中で釣具需要が増加しました。この結果、当連結会計年度の売上高は378,040百万円前年同期比4.1%増)となりました。

 

(売上総利益)

自転車部品事業、釣具事業ともに、急激な需要の高まりによる増収効果、並びに増産に伴う量産効果等により、当連結会計年度の売上総利益は153,083百万円前年同期比8.9%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度より1.8ポイント上昇し40.5%となりました。

 

 

(営業利益)

新型コロナウイルス感染拡大により、宣伝活動や国内外への出張が制限されたことから、広告宣伝費・旅費交通費等が減少した結果、販売費及び一般管理費が70,382百万円前年同期比3.0%減)となり、当連結会計年度の営業利益は82,701百万円前年同期比21.6%増)となりました。営業利益率は前連結会計年度より3.2ポイント上昇し21.9%となりました。

 

(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、受取利息の減少等により△1,229百万円(前年同期は1,460百万円)となり、当連結会計年度の経常利益は81,471百万円前年同期比17.3%増)となりました。

2018年3月26日に当社本社工場(堺市堺区)において発生した火災事故に対する受取保険金の特別利益等により、親会社株主に帰属する当期純利益は63,472百万円前年同期比22.5%増)となりました。

 

b. 財政状態の分析

資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めています。

当社グループの運転資金および設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金により資金調達することとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えています。

 

d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。

当連結会計年度の売上高は計画比8,040百万円増(2.2%増)となりました。自転車部品事業では、中級・普及価格帯自転車用部品の生産が計画を上回り、販売に結びついたことから計画比で増収となりました。釣具事業では、主要な市場である日本、北米および中国において、スポーツフィッシングの人気が継続したことから、売上高は計画を上回りました。営業利益につきましては、増収効果および増産による原価率低減などにより、計画比5,701百万円増(7.4%増)となりました。

営業利益率は計画比1.1ポイント増の21.9%となりました。

指標

計画

(百万円)

実績

(百万円)

増減

(百万円)

計画比

(%)

売上高

370,000

378,040

8,040

2.2

営業利益

77,000

82,701

5,701

7.4

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは「人と自然と道具の美しい調和」を目指し、基礎的な研究開発から製品化および生産技術分野まで幅広く研究開発活動を行っております。また、海外におきましても、Shimano(Singapore)Pte. Ltd.を核として、製品化および生産技術分野の研究開発活動を積極的に行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は12,566百万円であり、各セグメント別の主要な成果は以下のとおりであります。

 

(1) 自転車部品

 当セグメントにおける研究開発の目的は、より多くの人に、自然や日常の中で自転車に乗ることで健康的な生活を提案することです。それにより、環境にも人にもやさしい世界になっていくことを目指しています。

そのために、当社が絶えず開発のテーマとしてあげているのが、自転車を操作するときのストレスの軽減と自転車に乗る楽しさの追求です。

これまで電気制御の部品を多く展開していますが、単純にハードウエアを進化させるだけでなく、そのハードウエアをどのように動かしたら快適かを考えて、ソフトウエアのあり方も日々進化させています。また、人々の生活がデジタル化している中で、より楽しく快適に自転車に乗っていただけるようなアプリケーションも開発・提供しています。

2020年は自転車を取り巻く環境が大きく変化しました。これまでも世界中で、健康維持に効果がある手軽なエクササイズとしてサイクルスポーツへの関心が高まっていましたが、ソーシャルディスタンスを保つ移動手段としての自転車への関心も一層強まっております。こうした社会的なニーズにも応えられるように、新しい製品やサービスの開発を続けていきます。

なお、当セグメントにおける研究開発費は9,293百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

 

① マウンテンバイク分野においては、中級グレードのコンポーネント「Deore」をフルモデルチェンジしました。上位モデルの「XTR」や「Deore XT」シリーズと同様、リアドライブ系統にクイックでショックの少ない12段変速を搭載し、多くのMTBライダーのより思い通りに野山を走りたいという期待に応えています。12段だけでなく、11段、10段変速を同時に展開することで品揃えを強化し、様々なニーズに対応しています。

② E-BIKE(電動アシスト自転車)分野においては、活性化するE-MTB市場にむけ、次世代フラッグシップモデル「EP8」をリリースしました。旧来モデルより軽量かつパワフルなドライブユニット、乗り手の意思に呼応して自然な乗り心地をもたらすアシスト制御、そして、乗り手の好みに合わせてカスタマイズできるソフトウエアなどを提供することで、MTBライダーの満足度の向上とさらなる市場の活性化を推し進めています。

 

(2) 釣具

当セグメントにおける研究開発は、基本性能の向上と新機能の実現を目指すと共に、感性を具現化するテクノロジーを追求しております。
 なお、当セグメントにおける研究開発費は3,258百万円であり、主な成果としては、以下のとおりであります。

 

リール

① 「FORCEMASTER 200」(フォースマスター200)

2021年に当社最小サイズの電動リール「FORCEMASTER 200」を発売します。特殊なコンパクト設計を施すことで、十分なモーターパワー、糸巻量、快適な操作性を保ちながら、当社の現行最小サイズの電動リールと比べてパーミング面積で20%小型化しました。今まで手巻きリールで行っていた釣りを電動リールで快適に行うことができるようになり、電動リールを多様な釣りに使いたいというお客様のご要望にお答えいたします。

② 「NEW 4×8 DC ブレーキ」 (ニューフォーバイエイトDCブレーキ)

新製品「ANTARES DC」に搭載する新しいブレーキシステムです。CPUの処理速度を大幅に向上させることで、スプールの回転数の変化により細かく対応した、過不足のないブレーキをかけることができるようになりました。またバックラッシュを抑制しつつ、今までかかっていた過剰なブレーキを抑え、より遠くにルアーを投げることができます。ブラックバスを始めとするルアー釣りでは、ルアーを遠くに飛ばすことで釣果が期待できるため、「NEW 4×8 DC ブレーキ」はアングラーによりたくさんの魚との出会いをもたらします。

 

ロッド

① 「ZODIAS」(ゾディアス)

バスフィッシングの本場アメリカと日本で鍛え上げられたバーサタイルバスロッド「ZODIAS」がさらに磨き上げて生まれ変わりました。新設計の軽量肉薄かつパワフルなブランクスには、これまで上位機種のみに搭載されていたカーボンモノコック構造を採用し、フィッシングラインから伝わる変化をクリアに手元へ伝達する事を可能にしました。水中をより明確にイメージでき、ルアーフィッシングの楽しさをさらに引き上げます。

② 「Xシートフロントトリガー」

シマノの竿づくりの根幹であるブランクス性能を最大限発揮させるためのオリジナルリールシート「Xシート」に、テクニカルなロッド操作をサポートする「Xシートフロントトリガー」が加わりました。トリガーの位置を手の部位で最も繊細な指先に配置した設計により、細かなロッド操作が必要なシーンにおいて、あたかも指揮棒を振るがごとく高い操作性を実現しました。

 

フィッシングギア

① ルアー

昨年秋に発売し好評を博した「Sephia Clinch FLASHBOOST」シリーズに、春イカ狙いに不可欠な3.5号サイズが登場します。ボディ内部にバネで保持するミラープレートが、エギのアクションとともに振動して乱反射を生みます。アクションを止めた際にも、中のプレートが輝いてイカを誘います。

② ウェア

当社オリジナルの強くて伸びる防水透湿素材「DURAST」を採用した「レインギアジャケット01」を発売します。繊維自体の強度を高め、しなやかさと伸縮性を高次元で両立させた「DURAST」の特徴を最大限に活かし、軽量で着心地のいいレインウェアに仕上げました。快適に釣りに集中してもらうため、フードや襟回りの形状、フィット感を高める調整機能、シルエットなど、細部にまでこだわりました。

 

(3) その他

当セグメントでは主にロウイング関連用品等の開発を行っております。

なお、当セグメントにおける研究開発費は13百万円であります。