第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

  当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活用し、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供と、それを基にした社会課題解決のための仕組み作りを行い、企業価値の向上に努めています。

  また、社是、経営理念に次いで「地球・社会・人との調和を図りながら、社会課題に取り組み、明るい未来を創造する」という当社の基本姿勢を表したCSR憲章を制定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「社会の一員としての責任ある活動」の両輪で企業活動を行い、社会的責任を果たすことを目指しています。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題

1) 経営環境および中期的な成長戦略

  2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くものの、ワクチンの段階的な普及と各国の経済支援策によって、世界経済は回復に向かい、5%台の成長率に拡大すると予想されています。

  当社においては、経済回復に伴う需要の拡大やコロナ禍で発生した新たな需要を取り込み、高い経済成長が予想される地域を中心に事業成長を図ります。また、引き続き管理可能経費の適正化に取り組むとともに、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進によって生産性を向上させ、新しいビジネスとして収益性の更なる向上を図ります。

  2020年より開始した中期経営計画の方針や成長戦略を踏襲し、「世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業」として、感染症や認知症等の診断を通じたヘルスケアに関する課題の対策、電動モビリティの電池、モーター、材料等の評価を通じた脱炭素社会の実現をはじめとする「社会課題解決のための仕組み作り」を進め、持続的な事業成長を目指します。

 

2) 感染症対策プロジェクトの取り組み

  2020年は、感染症対策を緊急かつ重要な社会的課題として位置づけ、新型コロナウイルス検出試薬キットやクリニック向け全自動PCR検査装置の開発販売、大学でのPCR検査センターの設立支援、クラスター発生防止に役立つ下水中ウイルス検査サービスなど、感染拡大防止に寄与する事業を進めてまいりました。今後は呼気によるウイルス検査や重症化を予測して防ぐ取り組み等の新たな検査法の確立に取り組みます。また、検出試薬キットや全自動PCR検査装置の海外展開を進めます。加えて、検査結果や検査履歴を管理するネットワークシステムを開発し、陰性確認を行う検査体制の構築を目指して企業内検査室や大学PCR検査センターなどへも提案してまいります。さらに政府や自治体との連携も進め、感染症対策の仕組み作りを推進してまいります。

 

3) 4つの成長戦略と成長基盤の強化

① 重点事業の強化

  計測機器事業の液体クロマトグラフと質量分析システムを中心に、高分解能・高感度のハイエンド製品、AI・IoT・ロボットなどを用いた全自動前処理システムなどの製品ラインナップを拡充し、リモートワークを可能とするソフトウェアと組合せ、戦略・事業パートナーとともに社会実装を推進します。

 

② 海外事業の強化

  海外での事業成長を実現するために、米国では医薬品分野、欧州では臨床分野に注力する等、各地域の需要に合わせてイノベーションセンターの機能を強化し、有力パートナーと共同して地域の強い産業に向けたソリューションを開発します。また、開発したソリューションをグローバルに展開することで、成長の好循環サイクルを実現してまいります。

 

③ リカーリング事業の拡大

  新型コロナウイルス感染症対策の中で成長した試薬を含む消耗品事業を拡大することで、アフターマーケット事業の着実な成長を目指します。さらに、新たに創設したDX戦略統括部を中心に、デジタル技術と既存の製品・サービスを融合し、サブスクリプションビジネス等の新たな事業の創出に取り組みます。

 

④ 成長分野での事業拡大

  取り組みを進めている4成長分野での事業拡大は、アドバンスト・ヘルスケア分野では、高齢化対策と感染症対策という2つの切り口を中心に事業を進めます。環境・エネルギー分野では、電気自動車等の電動モビリティ、電池、再生可能エネルギー分野のソリューションを提案するバーチャル展示等の仕組みをつくり、事業化を加速します。また、マテリアル分野では、材料計測と成分分析の複合データを用いたマテリアルインフォマティクスを中心に事業構想を検討してまいります。

  社会インフラでは、開発製品の事業化を加速し、新市場の開拓を進めます。

  また、シンガポール・チャンギ総合病院と共同で臨床検査と個別化治療のための協働ラボを開設するなど、社外の事業パートナーとの協働も強化し、新市場創出を加速してまいります。

 

⑤ 事業ポートフォリオの見直し

  2020年の業績を振り返りますと、事業や機種毎に新型コロナウイルス感染症の影響は様々でした。社会課題解決のための投資を増やすためにも、新たな経営指標に基づき、拡大・育成・撤退の区別のもと、事業ポートフォリオの見直しを引き続き進めます。

 

  事業別の対処すべき課題として、中長期で目指すことおよび中期経営計画の中で実施する主な取り組みテーマは、以下のとおりです。

 

・計測機器事業

  液体クロマトグラフと質量分析システムを当社グループの重点事業と位置づけ、引き続き売上と営業利益の増加を牽引します。液体クロマトグラフ等は海外の市場規模が8割以上を占めており、成長には、海外、特に欧米市場で伸ばすことが必須となります。そのため各地のイノベーションセンターで、顧客との共同研究による新製品開発を進めるとともに、コロナ禍で培ったリモートでの展示会・イベントなどデジタルマーケティングのノウハウを活用し、試薬・消耗品事業の拡大と、AIやIoTを活用した顧客課題解決型サービスなど、新しい価値の提供に取り組みます。

 

・医用機器事業

  収益性が改善してきたⅩ線TVシステムの拡販を米国での直販化等の事業強化によって進めます。また、計測機器事業の技術を用いて開発した全自動PCR検査装置をクリニック向けに販売する等、分析と医用の融合による新たなビジネスモデルの確立に取り組みます。サービス事業の拡大と、診断支援アプリケーションソフトウェアの販売に取り組み、収益性の向上を目指します。

 

・航空機器事業

  コロナ禍での民間航空機減産の影響を大きく受け、大変厳しい事業環境が続くと予想されます。収益確保を図るために製品毎に拡大・育成・撤退を区分し、防衛・民間航空機用部品の区別なく選択と集中を進めています。

  さらに、航空機器で培った技術を他の分野に活用し新事業の取り組みを進めます。

 

・産業機器事業

  5G(第5世代通信網)やデータセンター向けなど継続的な需要増が見込まれる半導体の製造に不可欠なターボ分子ポンプを柱とした事業成長を継続しつつ、工業炉等の既存製品の改良開発による付加価値向上に取り組みます。同時に、海外サービス拠点の新規開設などによってサービス事業の比率を高め、収益性の更なる向上を図ります。また、油圧機器分野では、日本と中国の2拠点生産体制を強化し生産効率の向上を図るとともに、欧米において販売活動を強化し、事業規模の拡大を目指します。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当社グループは、2020年5月に2020-2022中期経営計画を策定・公開しましたが、コロナ禍の影響で事業環境が大きく変化し、持続的な成長のためには新たな対策が必要となりました。この観点で、2021年5月に中期経営計画の内容を見直し、目標数値を上方修正しました。

  3ヵ年の中期経営計画において、連結売上高4,300億円以上(4,000億円以上)、営業利益570億円以上(460億円以上)、営業利益率13.3%以上(11.5%以上)、株主利益重視の観点から自己資本利益率10.0%以上(10.0%以上)を、最終年度である2023年3月期の目標数値としています。

 (注) ( )内は2020年5月に公開した目標数値です。

 

2 【事業等のリスク】

  当社グループでは、リスクマネジメントの最高責任者である社長の下、審議機関として半期ごとに「リスク・倫理会議」を開催し、当社が優先して対策を講じるべきリスクやコンプライアンスに関わるリスクに対する取組について報告し必要事項を決定しています。

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

  なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 国内外の市場の動向

  当社グループの連結売上高の約5割は国内におけるものです。当社グループは、当社(日本)と世界各地の子会社が密接に連携し、各地域の市場規模や産業構造に応じて販売戦略を策定・実行しています。しかしながら、日本を含む世界各国の政策や景気動向、設備投資動向などにおいて、戦略策定時には予期できなかった変化が当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、企業間の国際的な分業の進展によって、1国の経済の変調が全世界のサプライチェーンを停滞させ、企業業績の悪化、設備投資の抑制に波及する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外での事業活動

  当社グループは、事業戦略の一環として海外市場における事業の拡大を図っており、これを通じて、売上高の増加、コストの削減および収益性の向上を目指しています。また、海外での事業活動を支える経営基盤を強化するため、各地域ごとの主要な子会社に域内のガバナンスを統括する機能を持たせ、各地域におけるリスクの把握と適切な対応に努めています。しかしながら、海外での事業活動には、予期しない法律や規制および政策の変更、産業基盤の脆弱性、国家間の貿易制限措置および報復措置、テロ、戦争その他の要因による社会的または政治的混乱といったリスクがあるため、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 製品品質

  当社グループは、ISO規格の認証を受けた品質システムを構築し、「品質保証基本方針」を定め、開発・製造・販売・サービスなど製品ライフサイクルの各段階での絶え間ない改善を通して、優れた品質で顧客にとって最大の価値を生み出す製品・サービスを提供するように努めています。また、顧客の満足を得る上で、基本的かつ重要である製品安全性のさらなる向上を目指した「製品安全基本方針」により、グループ一丸となって顧客の安全と信頼を最優先に行動することを宣言しています。しかしながら、想定が難しい多様な環境で製品使用による品質トラブルや、新たな技術・管理レベルによる製品の安全に対する懸念などが発生する場合には、当社グループの信頼性やブランド力の低下にも繋がり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新製品開発力

  当社グループの事業は、専門性が高く、高度な技術力を必要とします。そのため、新製品・新技術の研究開発には多額の投資を行っていますが、商品化遅れや、市場ニーズを満たす新製品を開発できない場合には、競合力の低下や市場トレンドに沿ったビジネスの取り込みが進まないことにより、将来の事業成長と収益性が低下し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 購買調達

  当社グループは、品質および環境面で当社グループの要求を満たす原材料やサービスを安定的に入手するため、信頼のおける調達先を選定しています。また、重要な原材料等について一定の在庫を確保するとともに、代替調達先の選定、特定調達先に依存しないよう自社における生産能力獲得等を実施しています。しかしながら、自然災害や疫病、事故、調達先の倒産などにより、原材料等が不足または供給量が制限され当社グループの生産活動に影響を及ぼす場合があります。また、長期にわたる原材料等の供給悪化や、急激に調達価格が高騰する場合には、機会損失の発生や製品の価格競争力の低下、利益率の悪化等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材確保

  当社グループの事業成長に必要な人材は、研究開発に従事する人材をはじめ、製造業各社にとっても必要な人材候補と重なるため、採用活動においては企業間の獲得競争になることがあります。特に当社の研究開発部門の多くが所在する日本では、今後、少子高齢化、労働人口の減少を背景に、新卒一括採用のみでは社内需要を充足出来なくなるリスクがあります。グローバル採用、即戦力人材採用に力を入れるとともに、従業員の流出を防ぐための魅力的な処遇への改善や働き方改革の推進、社内人材の再配置や活用のためのグローバルタレントマネジメント強化を通じて、事業への影響を低減させるべく取り組んでいますが、有能な人材の確保が出来ない場合や、従業員の流出を防止出来ない場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法令・規制

  当社グループは、グローバルに様々な事業を展開しているため、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、国内外の各種法令、行政による許認可および規制の適用を受けており、その遵守に努めています。また、当社グループでは、法令の遵守のみならず、社是・経営理念・CSR憲章のもと、役員および従業員が共有・遵守すべき倫理規範を「企業倫理規定」として定めています。集合研修やEラーニングなどの教育活動により、当該規定の内容を啓発・浸透させることでコンプライアンス上の問題発生の予防に取り組むとともに、上記法令等への対応状況を適時にモニタリングすること、相談・通報窓口を社内外に設置し、問題発生時の報告体制を整備することなどにより、当社グループにおけるコンプライアンスの実効性を担保しています。しかしながら、法令・規制に対する理解が不十分、または予期せぬ変更への対応が適切でない場合等には、コンプライアンス違反と判定され、過料、課徴金等による損失や営業停止等の行政処分、または信用の低下などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権

  当社グループは、現在の事業活動および将来の事業展開に有用な知的財産権を取得できるよう、研究所、事業部、知的財産部が一体となり知的財産創出活動を行っています。一方、他社知的財産権の調査・検討体制を整備し、問題発生を未然に防止するよう努めています。また、技術者を対象とした知的財産研修会を定期的に開催することにより、技術者の知的財産に対するスキルの底上げを図っています。しかしながら、権利範囲の解釈によっては他社との間に知的財産紛争が生じる場合があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 環境規制・気候変動への対応

  当社グループは、気候変動、水質汚濁、大気汚染、騒音、土壌汚染、廃棄物、使用する有害化学物質などにおいて、国内外の様々な環境法令および規制等の適用を受けており、その遵守に努めています。また、ISO14001の国際規格にもとづいた環境マネジメントシステムを構築し、第三者認証を受け環境対策を継続的に改善しています。気候変動対応に関しては、当社グループによる中長期のCO2排出量削減目標として、2030年度に30%削減(2017年度比)を定めています。科学的根拠に基づいた削減を促す国際イニシアティブ「SBT(Science Based Targets)」の認定取得、気候変動による影響予測などの開示を求める「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」提言への賛同、国際的な環境イニシアティブである「RE100」に加盟し、2050年までに事業活動で使用する電力を再生可能エネルギー100%とすることを宣言しました。環境情報の適切な開示を行うとともに、環境課題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。しかしながら、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、環境対応に関する費用の増加や事業活動の停止など、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報セキュリティ

  当社グループは、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報などの機密情報を保有しています。当社グループでは、IT資産の盗難・紛失などを通じた情報漏洩や、サイバー攻撃による改ざん・流出・システム停止等の被害を防ぐため情報セキュリティ推進体制を構築し、「情報セキュリティポリシー:セキュリティ基本方針」を定め、外部からの不正侵入防止、データの暗号化、社外向けWebサイトの情報漏洩・改ざん防止などのセキュリティ対策を実施しています。また、ネットワークやIT資産に対するセキュリティ対策はもとより、従業員への定期的な情報セキュリティ教育も実施しています。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃や、予期せぬ不正利用などにより、重要情報や個人情報の漏洩や事業活動停止などの被害が発生する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 自然災害等

  当社グループは、大規模地震を始めとする災害や新型インフルエンザ等の感染症の発生等を想定し、必要とされる安全対策の実施、早期復旧のための事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、防災訓練等の対策を講じています。なお、新型コロナウイルス感染症に対しては、対策本部を設置し感染予防と感染拡大防止のための様々な施策を実施するとともに、当社グループ各社と連携し顧客、関係者、従業員の安全を第一に考えた事業活動を行っています。しかしながら、当社グループの事業活動はグローバルに展開されていることから、新型コロナウイルス感染症の更なる流行、新たな感染症の流行、自然災害等が発生する場合のリスクを全て回避・管理することは困難であり、想定外の規模の被害が発生する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 為替変動の影響

  当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、外国通貨建て取引にかかる事業活動は為替変動によるリスクに晒されています。為替変動リスクは、現地生産体制や、為替予約等により、最小限に抑える努力をしていますが、影響を完全に排除することは困難です。また、連結財務諸表の作成においては、各地域の現地通貨建ての項目を円換算しているため、換算時の為替レートにより、換算後の価値が変動します。通常、他の通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響となるため、過度な為替相場の変動は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 国際税務

  当社グループは、グローバルに事業を展開しており、グループ内でも相互に取引を行っていることから、移転価格税制等の国際税務リスクが伴います。各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国の税制の変化や税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2018年3月30日公表分。以下「収益認識会計基準」という。)等を経過的な取扱いに従って当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態および経営成績に影響を及ぼしています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」に記載しています。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要はつぎのとおりです。

 

① 経営成績の状況

  当連結会計年度の経営成績は、売上高3,934億9千9百万円(前期比2.1%増)、営業利益497億4千2百万円(同18.9%増)、経常利益483億7千8百万円(同13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益360億9千7百万円(同13.6%増)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績はつぎのとおりです。

 

・計測機器事業

  売上高2,485億5千万円(前期比5.2%増)、営業利益424億8千5百万円(同18.8%増)となりました。

 

医用機器事業

  売上高669億3百万円(前期比4.7%減)、営業利益43億7千万円(同37.0%増)となりました。

 

・航空機器事業

  売上高285億6千万円(前期比4.9%減)、営業利益6千7百万円(同91.5%減)となりました。

 

・産業機器事業

  売上高450億8千2百万円(前期比4.8%増)、営業利益41億2千3百万円(同12.7%増)となりました。

 

・その他の事業

  売上高44億1百万円(前期比26.3%減)、営業利益9億8千9百万円(同17.5%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ401億7千2百万円増加し、1,068億5千5百万円となりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況はつぎのとおりです。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動によるキャッシュ・フローは、638億1百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ242億9千2百万円増加しました。その主なものは、棚卸資産の増減による増加86億8百万円、税金等調整前当期純利益の増加67億4百万円、仕入債務の増減による増加57億1千5百万円です。

 

・投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ22億2百万円支出が減少し、138億6千万円の支出となりました。その主なものは、設備投資による支出133億1千2百万円です。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ131億5千1百万円支出が減少し、130億3千3百万円の支出となりました。その主なものは、配当金の支払額88億4千万円、リース債務の返済による支出39億7千3百万円です。

 

生産、受注及び販売の実績

イ. 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測機器

246,505

1.5

医用機器

66,785

△4.6

航空機器

29,129

△4.7

産業機器

46,173

9.4

その他

3,703

△37.6

合計

392,296

0.2

  (注) 1 金額は、販売価格によっています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

ロ. 受注実績

  当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

計測機器

248,756

4.2

68,933

0.3

医用機器

66,273

△3.6

16,861

△3.6

航空機器

20,826

△22.9

29,204

△20.9

産業機器

43,524

1.2

9,874

△13.6

その他

3,693

△31.0

2,868

△19.8

合計

383,073

0.1

127,742

△7.5

  (注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

2 「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、受注残高の前年同期比については、当該会計基準等を適用した後の期首の受注残高と比較しています。

 

ハ. 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測機器

248,550

5.2

医用機器

66,903

△4.7

航空機器

28,560

△4.9

産業機器

45,082

4.8

その他

4,401

△26.3

合計

393,499

2.1

  (注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容はつぎのとおりです。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ. 財政状態

  当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が418億9千2百万円、棚卸資産が97億7千8百万円それぞれ増加したことなどにより、総資産は598億4千1百万円増加し、4,974億5千9百万円となりました。純資産は、利益剰余金が177億1千1百万円増加したことなどにより、327億2千9百万円増加し、3,355億4百万円となりました。

 

ロ. 経営成績

  当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、世界全体で依然として厳しく推移しました。

  このような状況のもと、当社は緊急重要課題として「感染症対策プロジェクト」を立ち上げ、最優先で取り組んだことで、新型コロナウイルス検出試薬キットや全自動PCR検査装置、肺炎の診断用途で用いられる回診用X線撮影装置が業績に貢献しました。加えて、ヘルスケア向けやウイルスの研究用に液体クロマトグラフ、質量分析システムの売上が増加しました。

  また、5Gやデータセンター向け半導体需要の拡大に伴い、半導体製造装置市場が拡大したことで、ターボ分子ポンプの需要が増加しました。当社は、生産能力の拡大を行うなど、需要を取り込んだことから、売上は大幅に増加しました。

  以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は3,934億9千9百万円(前期比2.1%増)となり、営業利益は売上の増加に加え、経費抑制と投資の見極めなどにより、497億4千2百万円(同18.9%増)、経常利益は483億7千8百万円(同13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は360億9千7百万円(同13.6%増)となり、過去最高の業績を達成することができました。

 

  セグメントの経営成績は、つぎのとおりです。

 

・計測機器事業

  新型コロナウイルス検出試薬キットおよびクリニック向け全自動PCR検査装置は、感染症対策に貢献するとともに、医薬・臨床向けなどのヘルスケア分野も堅調に推移しました。また、各国政府による経済対策を背景に官庁・大学分野は下期から回復基調となりました。一方、輸送機などの分野では、設備投資抑制の影響を受け厳しく推移しました。

  この結果、当事業の売上高は2,485億5千万円(前期比5.2%増)となり、営業利益は売上の増加に加え、経費抑制などにより、424億8千5百万円(同18.8%増)となりました。

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

100,801

104,173

3.3

新型コロナウイルス検出試薬キットや全自動PCR検査装置の貢献に加え、下期は官公庁・大学向けに補正予算需要を取り込んだことなどから増収。

北米

26,234

25,979

△1.0

新型コロナウイルス検出試薬キットや病院内の微生物同定用途で質量分析システムが増加した一方、中小ラボの投資が停滞し、食品安全分野の需要が減少したことなどにより減収。

欧州

24,724

25,626

3.6

医薬品の自国生産強化などにより液体クロマトグラフが増加したことや、臨床向けに質量分析システムが増加したことなどから増収。

中国

47,920

57,563

20.1

2020年12月、医薬品の品質や使用の安全性を保証するため品質管理などを定める「2020年版薬典」が施行されたことや、食品安全管理の強化により、医薬・食品向けに液体クロマトグラフや質量分析システムが好調に推移したことなどから増収。

その他アジア

26,845

26,821

△0.1

インドで医薬品原薬の生産増加などにより、液体クロマトグラフが増加したものの、東南アジアで入札の延期などにより、官公庁向けが減少したことなどから微減。

 

・医用機器事業

  新型コロナウイルスによる肺炎の診断用途で回診用X線撮影装置が増加しましたが、それ以外の機種は、医療機関で新型コロナウイルス対策に重点が置かれたことや、医療機関の収益悪化により設備投資が延期・凍結され、厳しく推移しました。

  この結果、当事業の売上高は669億3百万円(前期比4.7%減)となりましたが、営業利益は経費抑制などにより、43億7千万円(同37.0%増)となりました。

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

43,072

36,944

△14.2

補正予算需要を取り込んだものの、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた、病院やクリニックなどの医療機関における設備投資の延期・凍結により減収。

北米

7,286

8,292

13.8

回診用X線撮影装置が増加したことに加え、買収した代理店を統合し、事業体制を強化したことなどから増収。

欧州

3,689

4,759

29.0

回診用X線撮影装置の増加に加え、東欧地域で一般撮影システムが牽引し増収。

中国

5,182

5,241

1.2

X線TVシステムが、高付加価値製品の拡販を推進したことに加えて政府支援に伴う設備投資増により増加したことなどから増収。

その他アジア

5,219

5,983

14.6

回診用X線撮影装置が牽引し増収。

 

・航空機器事業

  防衛分野では、修理案件の減少を大口案件が補い増収となりました。一方、民間航空機分野では、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受け大幅な減収となりました。

  この結果、当事業の売上高は285億6千万円(前期比4.9%減)となり、営業利益は民間航空機の需要減少の影響などにより、6千7百万円(同91.5%減)となりました。

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

24,216

24,764

2.3

防衛分野において、修理案件の減少を大口案件が補い増収。

北米

5,428

3,569

△34.2

民間航空機分野の大幅な需要減少により減収。

 

 

・産業機器事業

  5Gやデータセンター向け半導体需要の増加により、ターボ分子ポンプは半導体製造装置向けの売上が好調に推移しました。一方、油圧機器・工業炉は中国で増収となったものの、新型コロナウイルス感染症や設備投資の減少の影響により、厳しく推移しました。全体では、好調なターボ分子ポンプが牽引し増収となりました。

  この結果、当事業の売上高は450億8千2百万円(前期比4.8%増)となり、営業利益は売上の増加などにより、41億2千3百万円(同12.7%増)となりました。

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

22,634

23,140

2.2

好況な半導体製造装置向けにターボ分子ポンプが増加した一方、油圧機器は、設備投資の減少を受け減少。全体では、ターボ分子ポンプが牽引し増収。

北米

5,068

5,311

4.8

半導体製造装置向けターボ分子ポンプが好調に推移し増収。

欧州

2,770

2,180

△21.3

ガラスコーティング装置向けターボ分子ポンプや油圧機器が減少したことにより減収。

中国

8,344

10,058

20.5

フラットパネルディスプレイ製造装置向けターボ分子ポンプが増加したことに加え、インフラ投資増により、フォークリフトや建機、農機向けに油圧機器が増加したことなどから増収。

その他アジア

3,986

4,205

5.5

ターボ分子ポンプのサービス事業拡大により増収。

 

・その他の事業

  当事業の売上高は44億1百万円(前期比26.3%減)となり、営業利益は9億8千9百万円(同17.5%減)となりました。

 

(注) セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでいません。

 

  当社グループは、当連結会計年度を初年度とする2020-2022中期経営計画において、最終年度の目標数値として、売上高4,000億円以上、営業利益460億円以上、営業利益率11.5%以上、自己資本利益率10.0%以上を設定し、取り組んできました。初年度である当連結会計年度の結果は、売上高3,934億9千9百万円、営業利益497億4千2百万円、営業利益率12.6%、自己資本利益率11.3%となり、目標に対して順調に進捗しました。

 この結果をふまえ、2021年5月に2020-2022中期経営計画を修正しています。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しています。

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ. キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要  ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ロ. 資金需要

  当社グループの資金需要のうち営業活動については、当社グループ製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および研究開発費です。

  投資活動については、生産能力の拡大・効率化、研究開発環境の整備、ITインフラの強化を目的とした設備投資・研究開発投資が主な内容です。今後、成長分野に対しては必要な設備投資・研究開発投資等を継続していく予定です。

 

ハ. 財務政策

  当社グループは、売上債権および棚卸資産の圧縮等資金の効率を高め、内部資金を生み出すことにより、借入金、社債等の残高を減少させ、借入依存度を引き下げることで財務基盤の健全化を進めてきました。当連結会計年度末の借入金、社債等の残高は、前連結会計年度末に比べ3億6千8百万円減少し、17億4千3百万円となりました。

  当社グループは、営業活動によりキャッシュを生み出す能力を持っていることなどから、当社グループの成長を維持するために将来必要となる運転資金および設備投資資金を創出・調達することが十分に可能であると考えています。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。

  連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したうえで行っています。特に重要な見積りを伴う会計方針は第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

4 【経営上の重要な契約等】

技術導入契約

提携先

国名

対象製品/技術

Boeing Intellectual Property Licensing Company

アメリカ

F-15 ジェット戦闘機用ヘッド・アップ・ディスプレイの製造、補修技術

Honeywell International Inc.

アメリカ

F-15 ジェット戦闘機用空気調和装置、第二次動力装置の製造、サービス、修理およびオーバーホールの技術

F-15 航空機近代化改修用装備品の製造および改修の技術

P-3C 対潜哨戒機、EP-3 航空機およびUP-3 航空機用空気調和装置、エンジン始動装置等の製造、サービス、オーバーホール、修理の技術

Rockwell Collins Inc.

アメリカ

航空機のコックピットに搭載するプロジェクション方式マルチ・ファンクション・ディスプレイ装置に関する技術

Vision Systems International, LLC

アメリカ

固定翼航空機装備品の製造および修理の技術

  (注) 上記経営上の重要な契約等は、すべて当社との契約であり、連結子会社において重要な契約等に該当する契約はありません。

5 【研究開発活動】

  当社グループの研究開発活動は、主として当社が行っており、当社においては、先端的および基盤的な技術の研究開発、製品化技術の研究開発を総合的、有機的に連携させ、運営しています。すなわち、ライフサイエンステクノロジー、ナノテクノロジーなどの先端技術研究活動の成果を活かし、基盤事業としての計測機器事業、医用機器事業、航空機器事業、産業機器事業に対する新製品開発を推進しています。

  また、子会社においては、独自に研究開発を行うほか、欧州および中国の研究開発子会社において次世代の当社製品の核となる基盤要素技術の研究開発を行うなど積極的な研究開発に取組んでいます。

  なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、10,155百万円です。セグメントで見ますと、計測機器事業では4,669百万円、医用機器事業では1,699百万円、航空機器事業では571百万円、産業機器事業では875百万円であり、その他の事業では45百万円です。また、上記事業区分に配賦しない基礎的研究費等は2,293百万円です。

  当連結会計年度における主要な研究開発成果にはつぎのものがあります。

 

<計測機器事業>

  計測機器事業では、クロマト分析システム、質量分析システム、光分析システム、ライフサイエンス関連分析システム、表面分析・観察システム、水質計測システムなどの開発に注力しています。クロマト分析システムとして、耐圧性能の向上と在宅勤務・リモートワークの支援機能を強化した一体型高速液体クロマトグラフシステムを開発しました。また、ガスクロマトグラフ用システムとして、自動試料注入装置を開発しました。これは、安定的な長期間稼働と在宅勤務・リモートワーク支援の機能を強化したもので、セットした容器から試料を注射器で吸い上げ、分析装置に自動で注入する前処理装置です。質量分析システムとして、世界最高クラスの感度、測定速度を実現しながら、操作性、耐久性をさらに向上させた高速液体クロマトグラフ質量分析システムを開発しました。さらに、「顕微鏡による画像」と「質量分析計で取得できる成分分布情報」を合わせて解析することで、微小領域において対象成分の分布を可視化できるイメージング質量顕微鏡システムを開発しました。光分析システムとして、従来の異物分析の同定精度を大きく改善させ、近年関心が高まっている海洋を浮遊するマイクロプラスチックの分析にも有効なフーリエ変換赤外分光光度計プラスチック劣化評価システムを開発しました。また、高速・高分解能・広波長範囲を実現し、レーザーの研究開発から製造までを支援するレーザースペクトラムアナライザシステムを開発しました。ライフサイエンス関連分析システムとして、血液や尿など生体試料の前処理から液体クロマトグラフ質量分析計による測定までを自動化できる検体前処理システムを開発しました。また、実験データである細胞画像の共有を実現し、AIが細胞の数量・面積などを高速・高精度で算出する、細胞培養ラボ向けデータ管理・解析ソフトウェアを開発しました。表面分析・観察システムとして、高い操作性と高速処理を実現し、光学調整・観察条件設定を自動化し、操作に慣れていないユーザーでも簡単に高分解能の観察データを取得できる走査型プローブ顕微鏡システムを開発しました。水質計測システムとして、水銀フリーを実現し、小型で軽量、高感度な純水用オンラインTOC計システムを開発しました。

  世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に対し、医療現場など最前線に立つ方々の支援や事態の終息に貢献するため、煩雑な手作業を省き検査時間を半分にできる新型コロナウイルス検出試薬キットおよび変異株検出試薬キット、検体取得時に医療従事者の感染を防ぐ唾液による検出試薬キットを開発しました。また、生体試料の入った検体容器、分注チップ、試薬容器、反応容器をセットするだけでPCR検査を全自動で行えるクリニック向け全自動PCR検査装置を開発しました。更に、東北大学と共同で呼気を用いた新型コロナウイルス検査法を開発しました。今後も当社のコア技術である分析計測技術を活かして本社会課題の解決に役立てるよう取り組みます。

 

<医用機器事業>

  医用機器事業では、X線TVシステム、X線撮影システム、血管撮影システム、PETシステム、放射線治療装置用動体追跡システム、近赤外光イメージング装置、医療情報システムなどの開発に注力しています。X線撮影システムとして、医療現場での検査環境を改善するため、パワーアシスト技術を駆使し、軽快でよりスムーズな操作を可能にするX線一般撮影システムを開発しました。PETシステムとして、頭部と乳房の検査に特化した世界初のTOF-PETシステムを開発しました。本システムは、保険適用されている脳腫瘍やてんかんの臨床診療に加え、アルツハイマー型認知症をはじめとする各種神経変性疾患の診療応用を支援するものです。