第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

  当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生、または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び経営成績の状況

イ. 財政状態

  当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ受取手形、売掛金及び契約資産が179億7千4百万円減少しましたが、現金及び預金が88億1千6百万円、棚卸資産が80億1千7百万円、投資有価証券が35億9千7百万円それぞれ増加したことなどにより、3億2千3百万円増加し、6,725億円となりました。また、負債は、支払手形及び買掛金が83億2千万円、契約負債が43億9千3百万円それぞれ減少したことなどにより、156億2千3百万円減少し、1,584億8千7百万円となりました。純資産は、利益剰余金が118億3千6百万円増加したことなどにより、159億4千6百万円増加し、5,140億1千3百万円となりました。

 

ロ. 経営成績

  当中間連結会計期間の世界経済は、米国の関税政策の影響による景気の下振れリスクや中国経済での民需停滞による景気不振に加え、ウクライナや中東情勢の緊迫化等の地政学リスクもあり、先行きの不透明な状況が続きました。

  このような状況の下、計測機器事業では、その他のアジア地域(注)の医薬品市場や北米の臨床検査市場など、成長分野への販売を強化しました。また、AI・ロボティクスの活用や操作性向上を実現した新製品を積極的に投入し、ソリューション提案力の強化に取り組みました。医用機器事業では、健康寿命の延伸および医療従事者の業務効率化に向け、画像解析にAIやIoT技術を融合した新製品の市場浸透施策を展開しました。産業機器事業では、キーコンポーネントの提供を通じて生成AI分野など先端半導体製造に貢献するため、製造装置向けターボ分子ポンプの販売強化とアフターサービスの拡充を推進しました。航空機器事業では、より安全で快適な飛行環境を目指し、防衛や民間航空機向け搭載品の需要拡大を捉えた事業展開を行いました。

  以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、円高進行による押し下げを受けたものの、売上高は2,563億4千2百万円(前年同期比2.0%増)となりました。営業利益は売上高の増加等により、315億8千万円(同4.5%増)となりました。経常利益は313億4千9百万円(同10.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は236億3千万円(同10.9%増)となりました。

 

(注)その他のアジア地域:インド、東南アジア、韓国、台湾

 

  各セグメントの経営成績はつぎのとおりです。

 

① 計測機器事業

  計測機器事業は、日本、北米、その他のアジア地域では、医薬品研究開発・品質管理などで質量分析システムや液体クロマト分析システムが増加しました。また欧州では、ヘルスケア領域の血中薬物濃度測定、新生児スクリーニング検査装置が増加した他、グリーン領域の水質検査における質量分析システムが増加しました。中国では、民間市場の停滞に伴い売上高が減少しましたが、政府の経済対策を背景とした官公庁や大学向けの需要を捉え、積極的な営業活動を展開しました。

  この結果、当事業の売上高は1,681億3千2百万円(前年同期比4.7%増)となりました。営業利益は売上高の増加等により、233億9千8百万円(同9.8%増)となりました。

  なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。

 

2025年3月期

中間期

(百万円)

2026年3月期

中間期

(百万円)

増減率

(%)

概況

日本

55,896

60,455

8.2

製薬・食品・大学市場向けに液体クロマト分析システムや質量分析システムが増加。また、電機市場向けに試験機が増加

海外

104,691

107,676

2.9

海外売上高比率が64.0%と1.2pt減少

主要地域

 

北米

18,454

19,902

7.8

北米R&Dセンターで顧客と共同開発した質量分析システムが、臨床検査市場で増加。また、連結化したマルチベンダーサービス*事業を展開するZef Scientific, Inc.の業績も貢献

欧州

18,952

20,388

7.6

官公庁・大学向けに液体クロマト分析システムや質量分析システムが増加。また、化学市場向けでガスクロマト分析システムが増加

中国

34,814

33,258

△4.5

官公庁・大学は政府の経済対策により需要が増加。民間市場は製薬向け質量分析システムが増加したものの、市場回復遅れの影響を受け減少

その他の

アジア

22,563

24,610

9.1

インド・韓国で液体クロマト分析システムが増加したほか、官公庁・大学や製薬市場向けに、質量分析システムが増加

*お客様が使用中の装置についての、製造元を問わず一社による一括したアフターサービス形態のこと

 

② 医用機器事業

  医用機器事業は、患者の安全性を向上させる新ソフトウェアを搭載したX線TVシステムが好調に推移しましたが、日本、欧州、中国での市況低迷により全体では減収となりました。北米、その他のアジア地域では新製品効果により増加しました。欧州では、東欧での官公庁予算の執行遅延の影響で減少しました。中国では、国家標準規格変更への対応に時間を要し減少しましたが、市況は回復基調にあり、受注は増加しています。

  この結果、当事業の売上高は336億2千8百万円(前年同期比1.2%減)となりました。営業利益は採算性の悪化により、12億6千6百万円(同20.6%減)となりました。

  なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。

 

2025年3月期

中間期

(百万円)

2026年3月期

中間期

(百万円)

増減率

(%)

概況

日本

15,529

15,208

△2.1

前年の放射線動体追跡システム大口案件の反動により減少

海外

18,496

18,420

△0.4

海外売上高比率は54.8%と0.4pt増加

主要地域

 

北米

5,387

5,747

6.7

X線TVシステムや血管撮影システムが新製品効果により増加

欧州

1,773

1,537

△13.3

東欧での官公庁予算執行の遅延の影響により減少

中国

2,064

1,806

△12.5

国家標準規格変更への対応が必要となり、血管撮影システムなどが減少

その他の

アジア

4,250

4,595

8.1

低被ばくかつ高画質な画像が評価されX線TVシステムや血管撮影システムが増加

③ 産業機器事業

  産業機器事業では、ターボ分子ポンプは、半導体製造装置メーカーの中国向け事業の減少により苦戦しましたが、AI分野など先端半導体やコーティング製造装置向け需要は堅調に推移しました。また中国・その他のアジア地域で、アフターサービス事業が拡大しました。油圧機器は、産業車両向けが北米で減少したものの、日本でバッテリー車への置き換え需要を捉え増加しました。工業炉は、日本、中国で車載用セラミック製造向け需要が減少しました。

  この結果、当事業の売上高は329億1千8百万円(前年同期比8.7%減)となりました。営業利益は売上高の減少等により、46億1千9百万円(同12.8%減)となりました。

  なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。

 

2025年3月期

中間期

(百万円)

2026年3月期

中間期

(百万円)

増減率

(%)

概況

日本

15,209

12,542

△17.5

半導体製造装置向けターボ分子ポンプや、車載用セラミック製造向け工業炉が減少。油圧機器は産業車両のバッテリー車への置き換え需要で拡大

海外

20,827

20,376

△2.2

海外売上高比率は61.9%と4.1pt増加

主要地域

 

北米

4,481

3,889

△13.2

半導体製造装置向けターボ分子ポンプの減少に加え、油圧機器が産業車両の市況回復遅れにより減少

欧州

2,448

2,076

△15.2

半導体製造装置向けターボ分子ポンプが減少

中国

9,662

10,155

5.1

車載用セラミック製造向け工業炉は減少したものの、半導体製造装置およびコーティング製造装置向けターボ分子ポンプが増加

その他の

アジア

4,151

4,169

0.4

台湾・韓国でターボ分子ポンプのアフターサービスが増加

 

④ 航空機器事業

  航空機器事業は、日本では、政府の防衛力強化方針により防衛分野向け需要が増加しましたが、サプライチェーンの一部に課題が生じ、一時的に売上が減少しました。海外では、民間航空機分野での航空旅客需要の増加に伴い、民間航空機向け搭載品や航空会社向け補用部品が増加しました。

  この結果、当事業の売上高は182億1千1百万円(前年同期比1.0%増)となりました。営業利益は売上高の増加や採算性の改善により、35億6千3百万円(同49.0%増)となりました。

  なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。

 

2025年3月期

中間期

(百万円)

2026年3月期

中間期

(百万円)

増減率

(%)

概況

日本

14,233

14,169

△0.5

サプライチェーンの一部に課題が生じ、航空機用搭載品が減少

海外

3,794

4,042

6.5

海外売上高比率は22.2%と1.2pt増加

主要地域

北米

3,474

3,591

3.4

民間航空機向け搭載品や航空会社向け補用部品の需要拡大により増加

 

⑤ その他の事業

  当事業の売上高は34億5千1百万円(前年同期比34.4%増)となりました。営業利益は4億5千5百万円(同197.2%増)となりました。

 

  (注) セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでいません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

  当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ99億6千5百万円増加し、1,471億5千6百万円となりました。

  当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況はつぎのとおりです。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動によるキャッシュ・フローは、303億7千6百万円の収入となり、前年同期に比べ21億6千6百万円増加しました。その主なものは、仕入債務の増減による増加20億6千8百万円です。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ60億2千4百万円支出が減少し、82億4千5百万円の支出となりました。その主なものは、固定資産の取得による支出80億6千1百万円です。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ21億4千9百万円支出が減少し、142億6千5百万円の支出となりました。その主なものは、配当金の支払額115億5千2百万円です。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

  当中間連結会計期間の研究開発費の総額は、111億9千5百万円です。

 

3 【重要な契約等】

  該当事項はありません。