第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。

 

(2) 目標とする経営指標

 2016年3月に策定した中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」において、グローバル企業として適切な健全性を確保した上で、サステナブルな成長を目指し、事業収益性・事業成長性の向上を図っていくために、以下の4つの経営目標を設定いたしました。戦略遂行の成果について、これらの経営指標にてモニタリングを行ってまいります。

経営目標

目標水準

① 株主資本利益率(ROE)

15%

② 営業利益率

15%

③ EBITDA

 期間平均成長率 2桁成長

④ 自己資本比率

50%

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 今後の世界経済は、全体として減速傾向が見込まれ、長引く米中貿易摩擦や中国の景気減速、また金融資本市場の変動等により、依然として景気の下振れリスクが残ります。また、わが国経済は、企業業績の改善により回復基調が続くものの、世界経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動等により、先行き不透明な状況が続くと思われます。

 このような状況のもと、当社グループは、2016年3月に策定した中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」を着実に推し進めるとともに、2019年1月に発表した企業変革プラン「Transform Olympus」を実現すべく、持続的な発展に向けた取り組みを推し進めてまいります。

 医療事業では、「Transform Olympus」とともに発表しております「Transform Medical」に則り、医療事業の再編成を行い、運営体制の最適化と合理化を図り、グローバル・メドテック業界における競争力の強化を図ってまいります。科学事業では、顧客群別の戦略推進により収益基盤を確立し収益性の向上を図ってまいります。映像事業では、生産拠点の再編を終え、黒字化構造確立に向けて、事業効率を向上してまいります。

 

 「Transform Olympus」の概要は、以下となります。この方針に基づき、真のグローバルなメドテックカンパニーとして持続的な成長を実現してまいります。

① グローバル・グループ一体経営体制へ転換

・ グローバル経営体制と5名の経営執行責任者によるリーダーシップの強化

・ 迅速な意思決定、リスクの一元化

② グローバル人事制度への転換

  以下の人材マネジメント方針の下、人事マネジメント制度を当社グループで統一し、国内外の優秀な人材を適所

    適材で積極的に確保、登用、配置できる人事制度を構築します。

・ 人材育成:早期選抜、機能ごとのプロフェッショナル・専門人材の育成

・ 人材の登用・配置:国籍・年齢を問わない人材登用・配置、人材情報システムの整備

 ・ 人材確保:グローバルレベルでの必要な人材の確保、人事制度の共通化

 ・ 人材ガバナンス:キーポジションの直接的なガバナンス、キーポジションの後継者のモニタリング

③ 医療事業の再編成(「Transform Medical」)

これまでの5部門(消化器科呼吸器科事業、外科事業、泌尿器科婦人科事業、医療サービス事業)から、内視鏡事業および治療機器事業の2事業部門体制に再編成しました。

④ コスト削減及び資本効率改善への取り組み

  グローバル医療機器市場における同業他社と同水準まで大幅に改善するよう取り組みます。

    ・ 営業利益率の改善:2020年3月期の販売管理費を2018年3月期の水準まで圧縮

・ 資本効率の改善:各事業の設備投資および運転資本の見直しならびに戦略的事業投資と株主還元に向けたフリー・キャッシュフローの持続的な増加

 ⑤ 取締役会メンバーの多様性を伴う指名委員会等設置会社への移行

   取締役会の体制をビジネスのグローバル展開に即したものにし、経営の監督を強化します。

  ・ 業務執行の意思決定の迅速化、ガバナンスの強化と透明性の一層の向上

  ・ 経営陣による戦略およびベストプラクティスの遂行に対する取締役会の監督機能を強化

  ・ 経営の機動性を向上させ、グローバルな経営実績を有する取締役候補者の招聘に繋げる

 

2【事業等のリスク】

 

 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。

 

 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。当グループでは、「リスクマネジメントおよび危機対応方針・規程」に基づき、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、事業リスクの低減に取り組んでいます。具体的には、戦略に基づく年度単位の活動テーマに対して、リスクを同一基準で評価し、重点施策を効率的、有効的に策定しています。また、グループレベルのテーマとして策定された重点施策は可視化され、定期的に進捗がモニタリングされるシステムが構築されています。さらに、各地域ごとの活動テーマにおいても、同一のリスクマネジメントプロセスが実行されるようにプロセスの標準化活動も開始しました。この取り組みを実施することにより、同一基準で共有化されたリスク評価情報やインシデント情報に基づき、適切にグループ全体でリスクをコントロールする活動の精度向上につなげていきます。

 以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスク要因を記載しています。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)販売活動に係るリスク

① 医療事業では、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更その他医療業界に係る変化が発生し、その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

② 科学事業では、各国の国家予算による研究に対するシステム供給が占める収益割合が高く、マクロ経済の変動により各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

③ 映像事業のデジタルカメラ分野では、市場環境が厳しさを増しており、予想を超える急激な市場の縮小が生じた場合には、当社グループが進めている事業再編施策が売上減少に追いつかず、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

(2)生産・開発活動に係るリスク

① 当社グループでは、その生産拠点の一部を海外に置いているため、為替変動等の影響によってはコスト増となり、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

② 当社グループ内で開発・生産できない製品および部品については、特定の供給元へ開発から生産までを依存しています。その供給元の都合により、調達に制約を受けた場合には、生産および供給能力に影響を及ぼす可能性があります。

③ 外部の生産委託先を含め、厳格な品質基準により製品の生産を行っていますが、万一、製品の不具合等が発生した場合にはリコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

④ 最先端の技術を用いた製品の開発を継続的に進めていますが、技術的な進歩が速く、市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズに合った新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 研究開発および生産活動を行う中ではさまざまな知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

(3)業務提携および企業買収等に係るリスク

① 技術および製品開発に関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーと、財務上その他の事業上の問題の発生、目標変更等により提携関係を維持できなくなることで、当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。

② 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業および買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業に影響を受けるほか、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用の発生等により、業績、財政状態に影響を受ける可能性があります。

③ 当社グループは、業務提携の円滑な実施等の政策投資目的で、投資有価証券等を保有しております。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4)資金調達に係るリスク

 当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行なっていますが、金融市場環境に変化があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります

(5)情報の流出に係るリスク

 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)内部統制に係るリスク

 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性ならびに業務の有効性と効率性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、いかに有効な内部統制システムを構築したとしても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動、もしくはシステム構築当時には想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化など、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、その場合、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じ、加えて当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じるなど、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。

(7)法的規制に係るリスク

 当社グループでは規制業種である医療事業を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加え各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(「FCPA」)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。

 医療事業においては全世界的に政府系の医療制度が発達しており、当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。一方で当社グループ及び当社グループの販売店、供給者は過去に贈収賄が発生した国・地域で事業を行っており、一定の状況においては現地の実務慣行が上記の贈収賄禁止法の厳格な適用に抵触する可能性があります。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業習慣が制限される可能性があります。

 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰の対象となりえます。更に、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には当社グループの製品の需要やそれを使用した手術の症例数に対して悪影響を与える可能性があります。

 当社グループではこれらの法的規制への遵守徹底を図っていますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8)米国における十二指腸内視鏡に係るリスク

 当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関して、被害を受けたと主張する民事訴訟が米国で提起されています。現在の状況から考えると、当社グループの業績及び財政状態への影響は大きくないと考えられます。また、米国食品医薬品局(FDA)より、当該製品の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力しながら市販後の調査研究を進捗させていますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。

 米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が「法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」義務が規定されました。今後の実施状況によっては、米国司法省により更なる措置が取られる可能性があります。

 

(9)その他、包括的なリスク

 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、各種事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となったり、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省へのFCPA遵守に関する自発開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、疾病、戦争、テロ等が発生した場合や予想を超える金利の上昇、為替レートの変動が発生した場合にも、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。

 

(1)業績等の概要

① 業績

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

税引前利益

(百万円)

親会社の所有者に帰属する当期利益

(百万円)

基本的1株当たり

当期利益

(円)

当連結会計年度

793,862

28,281

20,117

8,147

5.97

前連結会計年度

786,497

81,029

76,665

57,064

41.71

増減率(%)

0.9

△65.1

△73.8

△85.7

△85.7

 

 当連結会計年度における世界経済は、全体としては緩やかな回復が続くことが期待されたものの、米中貿易摩擦やEU離脱に関する英国の動向等から不透明な状況が続きました。わが国経済については、輸出や生産の一部に弱さがみられるものの、企業収益、雇用情勢が改善し、個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復傾向が続きました。

 このような経営環境の中、当社グループは2017年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」の基本的な考え方である「"Business to Specialist" Company」および「One Olympus」に基づき、事業運営を行ってきたことに加え、2019年1月には真のグローバル・メディカル・テクノロジーカンパニーへの飛躍を目指した企業変革プラン「Transform Olympus」を発表し、持続的な発展に向けた取り組みを推し進めてまいりました。

 当社グループの連結売上高は、医療事業、科学事業の増収により、7,938億62百万円(前期比0.9%増)となりました。営業利益については、医療事業は米国司法省との司法取引契約締結に伴う費用96億53百万円等の一時費用の計上により減益となりました。一方、科学事業は増収により増益となりました。加えて、証券訴訟の損害賠償請求の和解に伴う解決金193億80百万円や映像事業の生産拠点の再編に伴う費用61億74百万円、中国生産子会社に対する訴訟の判決に伴う損害賠償に対する引当金38億17百万円、および当社の海外子会社が行った間接税に係る自主調査に関して追加的に徴収が見込まれる税額53億28百万円の引当金計上等により、営業利益は282億81百万円(前期比65.1%減となりました。また、為替差損の計上に伴う金融費用の増加に伴い、親会社の所有者に帰属する当期利益は81億47百万円(前期比85.7%減)となりました。

 主力の医療事業においては、消化器内視鏡分野が製品ライフサイクル後半の中でも堅調に推移したほか、16CSPで高い成長を期待する外科分野では、日本、欧州で前期に本格導入した「VISERA ELITE Ⅱ(ビセラ・エリート・ツー)」および、エネルギーデバイスの「THUNDERBEAT(サンダービート)」の販売が好調に推移し、北米においては、前期に買収した米国 Image Stream Medical 社とのシナジーにより、4K外科内視鏡とシステムインテグレーション製品の販売が堅調に推移し、過去最高の売上高を更新しました。

 一方で、映像事業においては生産拠点の再編に伴い一部既存製品の供給や新製品数に制約が生じたことに加え、ミラーレスカメラの競合環境が激化した影響により減収減益となりました。

 また、当期においては、当社グループ全体で939億68百万円の研究開発費を投じるとともに、668億30百万円の設備投資を実施しました。

 為替相場は前期と比べ、対米ドルは前年並み、対ユーロは円高で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=110.91円(前期は110.85円)、1ユーロ=128.41円(前期は129.70円)となり、売上高は対ユーロで円高の影響を受け前期比34億73百万円の減収要因、営業利益については一部通貨がユーロに対して通貨安となったため前期比7億58百万円の増益要因となりました。

 

 

セグメントの業績は次のとおりです。

 

売上高

営業利益又は営業損失(△)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

医療

616,331

634,301

2.9

121,784

111,934

△8.1

科学

100,016

104,225

4.2

6,425

8,135

26.6

映像

60,298

48,679

△19.3

△1,200

△18,268

その他

9,852

6,657

△32.4

△4,966

△3,521

小計

786,497

793,862

0.9

122,043

98,280

△19.5

消去又は全社

△41,014

△69,999

連結計

786,497

793,862

0.9

81,029

28,281

△65.1

(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。

 

医療事業
 医療事業の連結売上高は6,343億1百万円(前期比2.9%増)、営業利益は1,119億34百万円(前期比8.1%減)となりました。
 消化器内視鏡分野においては、主力の内視鏡基幹システムが製品サイクル後半にあるものの、堅調に推移しました。外科分野においては、外科手術用内視鏡システムの新製品「VISERA ELITE Ⅱ(ビセラ・エリート・ツー)」が好調に推移したほか、バイポーラ高周波と超音波の統合エネルギーデバイス「THUNDERBEAT(サンダービート)」が引き続き売上を伸ばしました。処置具分野においては、膵胆管等の内視鏡診断・治療に使用するシングルユース製品などの販売が好調でした。

 医療事業の営業損益は、米国司法省との司法取引契約締結に伴う費用を計上したこと等により、減益となりました。

 

科学事業
 科学事業の連結売上高は1,042億25百万円(前期比4.2%増)、営業利益は81億35百万円(前期比26.6%増)となりました。

 病院及びライフサイエンス研究向けの生物顕微鏡は、北米や中国で好調に推移しました。

また、工業用顕微鏡は半導体、電子部品向けの販売が好調だったことに加え、非破壊検査機器も石油ガス市場向けを中心に中国、アジアで売上を伸ばし、増収となりました。

 科学事業の営業損益は、増収と費用の効率的なコントロールにより、増益となりました。

 

映像事業
 映像事業の連結売上高は486億79百万円(前期比19.3%減)、営業損失は182億68百万円(前年は12億円の営業損失)となりました。

 生産拠点の再編に伴い一部既存製品の供給や新製品数に制約が生じたことに加え、ミラーレスカメラの競合環境が激化した影響により、映像事業の売上は減収となりました。

 映像事業の営業損益は、減収および生産拠点の再編に伴う費用ならびに、減損損失19億90百万円を計上したこと等により、損失を計上しました

 

その他事業
 その他事業の連結売上高は66億57百万円(前期比32.4%減)、営業損失は35億21百万円(前期は49億66百万円の営業損失)となりました。

 コンパクトカメラのレンズユニットの外販を終了したこと等により、その他事業の売上高は、減収となりました。その他事業の営業損益は、事業ドメインへの経営資源の集中を進めるべく、非事業ドメインの整理を行い、前連結会計年度に子会社の事業譲渡を行ったこと等により、損失幅が縮小しました。

 

② 財政状態の状況

(単位:百万円)

 

前期末

当期末

増  減

増減率(%)

資産合計

978,663

932,030

△46,633

△4.8

資本合計

444,259

442,387

△1,872

△0.4

親会社所有者帰属

持分比率

45.2%

47.3%

2.1%

 当期末は、資産合計が、前期末に比べ466億33百万円減少し、9,320億30百万円となりました。
 資産合計は、棚卸資産が143億14百万円増加、有形固定資産が86億65百万円増加、繰延税金資産が101億32百万円増加した一方、現金及び現金同等物が768億13百万円減少、無形資産が41億2百万円減少しました。
 負債合計は、流動負債の社債及び借入金が290億84百万円減少、非流動負債の社債及び借入金が375億55百万円減少したこと等により、前期末に比べ447億61百万円減少し、4,896億43百万円となりました。
 資本合計は、前期末に比べ18億72百万円減少し、4,423億87百万円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益81億47百万円による利益剰余金の増加、配当95億59百万円による利益剰余金の減少、その他の資本構成要素が24億24百万円減少したこと等によるものです。
 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の45.2%から47.3%となりました。

③ キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

95,146

66,943

△28,203

投資活動によるキャッシュ・フロー

△53,312

△60,296

△6,984

財務活動によるキャッシュ・フロー

△51,058

△82,948

△31,890

現金及び現金同等物期末残高

191,239

114,563

△76,676

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して766億76百万円減少し、1,145億63百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により増加した資金は669億43百万円(前連結会計年度は951億46百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税引前利益201億17百万円の計上、減価償却費及び償却費586億69百万円の非資金項目の調整によるものです。主な減少要因は、棚卸資産の増加額143億57百万円及び法人所得税の支払額211億93百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により減少した資金は602億96百万円(前連結会計年度は533億12百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出470億94百万円、無形資産の取得による支出143億72百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により減少した資金は829億48百万円(前連結会計年度は510億58百万円の減少)となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出643億2百万円、社債の償還による支出250億円、配当金の支払額95億59百万円等によるものです。主な増加要因は、長期借入による収入94億25百万円、社債の発行による収入99億47百万円等によるものです。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

医療

616,983

11.8

科学

103,258

11.4

映像

46,878

△24.6

その他

1,551

△56.6

768,670

8.2

(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

② 仕入実績

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

医療

科学

映像

その他

2,213

5.4

2,213

5.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

③ 受注実績

 当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。

④ 販売実績

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

医療

634,301

2.9

科学

104,225

4.2

映像

48,679

△19.3

その他

6,657

△32.4

793,862

0.9

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は当連結会計年度現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

 当社グループは2016年3月に策定した中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」において、戦略遂行の成果
を、株主資本利益率(ROE)、営業利益率、EBITDA成長率、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)の4つの
経営目標でモニタリングしております。
 当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は1.8%(前期比11.8ポイント悪化)、営業利益率は3.6%(前期比6.7ポイント悪化)、EBITDA成長率は△35.1%(前期のプラス成長よりマイナス成長に転換)、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は47.3%(前期比2.1ポイント改善)となり、自己資本比率は借入金の返済により改善するも、その他の指標については、一時費用の計上により収益性が下がったことから悪化となりました。
 16CSPの目標水準に向けて、財務上の健全性確保および収益性と資産効率性を高めるという事業活動の改革に
より、ROE重視の経営を推進してまいります。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

(i) キャッシュ・フロー

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(ⅱ) 財務政策

 当社グループは、安定した財務基盤の維持と、適正な財務レバレッジのコントロールによる資本効率向上の両立を財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、自己資本比率の水準を50%程度に保ち、且つ格付投資情報センター等の格付においてA格(安定的)の維持を目指しています。また、コマーシャルペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減にも取り組んでいます。

 

(ⅲ) 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および欧米を中心とした修理拠点の統合、新設など、医療事業を中心とした生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら積極的に対応していく方針です。

 

(ⅳ) 資金調達

 当社グループの運転資金および設備投資資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。これらの借入金および社債について、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できるとともに、引き続き今後の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、さらに格付投資情報センターの格付はA格(安定的)となっていることから、安定的かつ低コストでの資金調達が適時滞りなく実施可能と認識しています。加えて、主要通貨(ドル・ユーロ・円)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性確保にも備えています。

 

③ 重要な会計方針および見積り

 当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

(4)経営成績等の状況の概況に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりです。

 なお、当該差異の金額については、当社グループは日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、一定の仮定を設定して算出した概算額で記載しています。

 

① のれんの償却

 日本基準では20年以内の合理的な年数で均等償却していましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止し、毎期減損テストを実施しています。

 上記により、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が9,452百万円減少しています。

 

② 開発費の資産計上

 研究開発に係る支出について、日本基準では費用処理していましたが、IFRSでは一部の支出について資産計上の要件を満たすため、無形資産として認識しています。また、資産計上に伴い償却が発生しています。

 上記により、IFRSでは日本基準に比べ無形資産が33,329百万円増加しています。

 

③ 退職後給付

 日本基準では数理計算上の差異及び過去勤務費用について、その発生時にその他の包括利益を通じて純資産の部に計上したうえで、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数による定額法により費用処理していました。IFRSでは数理計算上の差異については、発生時にその他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素で認識した後、直ちに利益剰余金に振替えています。また、過去勤務費用については、発生時にその全額を純損益として認識しています。

 上記により、IFRSでは日本基準に比べ利益剰余金が11,376百万円減少しています。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)提携契約

契約会社名

相手先

国名

契約内容

契約期間

オリンパス㈱

テルモ㈱

日本

医療機器分野における開発・販売の提携

2001年4月25日より1年、但し毎年自動延長

オリンパス㈱

ソニー㈱

日本

医療事業における合弁会社の設立及び映像事業における業務提携の検討・実施

2012年9月28日以降、期間の定めなし

オリンパス㈱

ソニー㈱

日本

ソニー㈱によるオリンパス㈱への出資

2012年9月28日より上記ソニー㈱との提携契約の終了日まで

 

(2)持分譲渡契約

 当社は連結子会社であるOlympus (China) Co., Ltd.の保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.の持分全部をShenzhen YL Technology Co.,Ltd.(以下「YL」)に対して譲渡することに関する契約を2018年12月25日にYLとの間で締結いたしました。

 

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、経営理念の「私たちの存在意義」を「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」とし、持続的発展の実現を目指して、研究開発活動を行っています。

 2016年3月に発表した「中期経営計画(16CSP)」において「技術開発機能戦略」を策定し、当社の研究開発機能は、経営目標の達成に向けて医療を中心とする各事業戦略を技術的側面から支援するとともに、当社のコア技術を継続的に強化し続けていくことを目標としています。

 当連結会計年度の研究開発費は前期比5.0%増の940億円であり、売上高に対する比率は前期から0.4ポイント上昇し11.8%となりました。

○ 医療事業

 内視鏡ビデオスコープシステムや内視鏡処置具、手術用エネルギーデバイスなど、病気の早期発見と患者の負担の少ない低侵襲治療に貢献する医療機器の研究開発を主に行っています。

 当期の主な成果としては、高い処置性と操作性により、安心で低侵襲な治療に貢献する十二指腸スコープ「TJF-Q290V、TJF-Q190V」、鼻咽喉ビデオスコープで世界初※の4方向アングル操作を実現した「ENF-VT3」、世界初の電動回転式を採用した小腸内視鏡システム「PowerSpiral」、アプローチが難しい結石の回収をサポートするディスポーザブル採石バスケット「VorticCatch V」などを開発しました。※2018年5月17日時点。当社調べ。

 当事業領域に係わる研究開発費は、前期比6.6%増の581億円です。

 

○ 科学事業

 医学・生命科学の研究を支援する生物顕微鏡や、非破壊検査領域で社会インフラの安心と安全を支える工業用顕微鏡、工業用内視鏡、超音波探傷器などの研究開発を主に行っています。

 当期の主な成果としては、創薬市場の研究効率向上やリスク低減に貢献が期待できる3次元細胞解析技術を搭載したソフトウェア「NoviSight」、発電設備から航空機エンジン、自動車などの製造、メンテナンス市場に対応する工業用ビデオスコープ「IPLEX G Lite」、「IPLEX GX/GT」などを開発しました。

 当事業領域に係わる研究開発費は、前期比24.6%減の76億円です。

 

○ 映像事業

 ミラーレス一眼を中心としたデジタルカメラやカメラ用の交換レンズ、ICレコーダーを始めとしたオーディオ製品などの研究開発を主に行っています。

 当期の主な成果としては、安定したホールディング性と高い操作性を実現し、かつ小型・軽量、OM-Dシステムのプロフェッショナルモデルとなるミラーレス一眼カメラ「OLYMPUS OM-D E-M1X」、旅行に最適な、ミラーレス一眼用レンズ最高倍率の16.6倍ズームを実現した「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3」など開発しました。

 当事業領域に係わる研究開発費は、前期比3.6%増の42億円です。

 

○ その他事業及び全社共通

 医療事業を主とした当社の主力事業のさらなる発展を目指し、様々な分野における研究開発を行っています。

 当期の主な成果としては、中長期戦略で設定したコア技術を強化するために、早期診断・観察機能向上を実現する光学技術やAIを含む画像処理技術、低侵襲治療を実現するためのデバイス技術やロボティクスを含む精密制御技術の開発、および内視鏡や治療器をはじめとした医療事業新製品の高機能化、低コストを実現するシミュレーション技術開発や材料技術開発、高精度レンズ量産化の加工技術開発や、自動化ラインに繋がる設備開発などの生産技術に関する取り組みなどです。

 また、今後注力するICT、AIに関しては、ICT-AIプラットフォーム構想を立ち上げています。

 当事業領域に係わる研究開発費は、前期比15.6%増の241億円です。