(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。
この基本思想のもと、当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2019年11月に発表した中長期の経営戦略において、目標とする業績指標・財務ガイダンス参考指標を以下のとおり定めており、2023年3月期に営業利益率を20%超に改善することを目指しています。
・目標とする業績指標・財務ガイダンス参考指標
業績指標
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2023年3月期 |
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営業利益率※ |
20%~ |
財務ガイダンス参考指標
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2023年3月期 |
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フリーキャッシュフロー成長率※ |
20%~ (2020年3月期以降の年平均成長率) |
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ROIC※ |
20%~ |
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EPS成長率※ |
25%~ (2020年3月期以降の年平均成長率) |
※特殊要因調整後の水準
(3) 経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、経済活動は段階的に再開し、ワクチン接種も徐々に進んでいるものの、地域によっては感染再拡大の傾向が見られるなど、全体として当面は不確実性の高い状況が見込まれています。加えて、長引く米中貿易摩擦や金融資本市場の変動等により、依然として景気の下振れリスクが残ります。また、わが国経済においても、世界経済と同様に、当面は厳しい状況が続くと想定されます。
このような状況のもと、当社は、2019年1月に公表しましたとおり、創立100周年の節目を迎える中で、真のグローバル・メドテックカンパニーへの飛躍を目指し、企業変革プラン「Transform Olympus」を策定し、1.グローバル・グループ経営執行体制の構築、2.人事マネジメントのグローバル統一、3.医療事業の再編成(「Transform Medical」)4.取締役会メンバーの多様化、5.指名委員会等設置会社への移行など、真のグローバル・メドテックカンパニーとして、当社グループの持続的な成長を可能とする基盤整備に取り組んでまいりました。2019年11月には、真のグローバル・メドテックカンパニーとしての飛躍を遂げる第一歩として、また、当社の企業理念である「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」のもと、より競争力のある、ハイパフォーマンスな企業文化の醸成や、顧客価値の創造を目指し、中長期の経営戦略を発表しました。
当社は、「世界をリードするメドテックカンパニーへと成長し、革新的な価値によって患者様や医療従事者などの顧客、医療機関、医療経済にベネフィットをもたらし、世界の人々の健康に貢献する」ことを本経営戦略における戦略的目標とし、事業の成長・収益性向上のためのコア要素を、以下のとおり定めています。
(事業の成長・収益性向上のためのコア要素)
① 事業ポートフォリオの選択と集中
当社の主要な事業は、(i)内視鏡事業、(ii)治療機器事業及び(iii)科学事業になりますが、(i)内視鏡事業や(ii)治療機器事業が属する医療市場は、全体として高い成長性や収益性を有することに加えて、当社の事業としても持続的な成長及び高い収益性を示しています。この点を踏まえ、定期的に全社の事業ポートフォリオを見直す中で、更なる成長が見込まれる、(i)内視鏡事業及び(ii)治療機器事業に対して、今後も積極的に経営資源を投入していきます。
なお、当社の映像事業については、2020年9月30日に、当社が新たに設立する当社の完全子会社(以下、「映像新会社」)に対して、吸収分割により承継させたうえで、その映像新会社の株式の95%を日本産業パートナーズ株式会社が設立した特別目的会社であるOJホールディングス株式会社に譲渡する最終契約を同社と締結し、本契約に基づき、当社は2021年1月1日に当該株式の譲渡を完了しました。
② 内視鏡事業における圧倒的ポジションの強化
継続的な技術革新と強固な販売力により、リユース内視鏡の競争優位性をさらに高めるとともに、アンメットニーズへの対応も図り、市場全体として高い成長が期待できるシングルユース内視鏡分野における製品を拡充していきます。また、今後予想される医療機器に係るビジネスモデルの転換に適切に対応することで、内視鏡市場における現在の主導的な地位をより一層強固なものにしていきます。
具体的には、以下の施策等を実施していくことで、内視鏡事業において2021年3月期から2023年3月期の3年間で年平均6%の成長を目指します。
(i) リユース内視鏡における競争優位性の堅持
・AI搭載CAD(Computer-aided Diagnosis)機能等を実装した新消化器内視鏡システムの導入
・病変の発見、分類、ステージング、処置のそれぞれのシーンにおいて術者を支援する新技術の投入による内視鏡診断・処置の質的な向上
・新機能の投入による内視鏡診断の質の向上を示すクリニカルエビデンスの確立
・今後大きな成長が期待出来る新興国市場におけるドクタートレーニング支援とその継続
(ii) シングルユース内視鏡によるポートフォリオ拡充
・豊富なリユース内視鏡のラインアップにシングルユース内視鏡を加えることで、内視鏡医療のあらゆるシーンに対応する圧倒的な製品ポートフォリオを構築
(iii) 内視鏡の販売・サービスモデルの強化
・エビデンスベース、症例ベース課金モデルを試験的に導入
・包括的な保守サービスプログラムの試行拡大
なお、消化器内視鏡の領域においては、2020年4月には欧州と一部アジア地域、7月に日本で、主力の内視鏡システム新製品「EVIS X1(イーヴィス・エックスワン)」を導入しました。また、2020年10月には欧州と一部アジア地域にてAIを活用した内視鏡CADプラットフォーム「ENDO-AID」を発売しました。今後も世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現に向けて製品の普及に取り組んでいきます。
③ 治療機器事業への注力と拡大
当社が高い競争力を有する、消化器科関連処置具、泌尿器科、呼吸器科関連処置具の3つの領域を中心として、製品の拡充や手技の普及、販売体制の強化によって成長の拡大を図っていきます。
具体的には、2021年3月期から2023年3月期の3年間、以下の施策等を実施していくことにより、治療機器事業において年平均8%の成長を目指します。
(i)消化器科関連処置具
・ERCP、消化器ステント、止血デバイスなどの主要カテゴリーにおける付加価値の高い製品の拡充
(ii)泌尿器科
・泌尿器科クリニックに対する前立腺肥大処置に係るソリューションの提供
・ファイバーレーザー技術を用いた結石処置デバイスの導入と泌尿器内視鏡処置デバイスの導入によるラインアップ拡充
(iii)呼吸器科関連処置具
・気管支内バルブシステムの普及
・穿刺針の製品開発によるEBUS分野のポートフォリオ拡充
なお、治療機器事業においては、世界最大の治療機器市場である米国における事業展開を促進するため、事業のグローバル統括機能を米国に配置していますが、事業開発機能の強化を通して社外パートナーとの協働やライセンシング、M&Aを推し進め、製品ポートフォリオの拡充や補完を図るとともに、法規制対応やクリニカルアフェアーズなどの機能の強化、製品や手技に対するバリュー・プロポジションの追求もあわせて推進していきます。
当社は上記の3つの注力領域において自社開発による製品投入を行う他、M&Aにも積極的に取り組んでおり、2021年3月期以降、消化器科関連処置具の領域でArc Medical Design Limitedを、泌尿器科の領域でMedi-Tate Ltd.を、また呼吸器科関連処置具の領域でVeran Medical Technologies, Inc.を、それぞれ買収しました。
④ 次世代低侵襲手術市場のリード
当社は、患者様の術後のQOL(生活の質)維持といった観点で期待を集める低侵襲手術の分野を中長期の成長に向けた戦略分野と位置付けています。今後、手技の革新、機器の改善、低侵襲なロボティックスの開発を通じて、低侵襲手術の発展に貢献するとともに市場全体を牽引すべく、以下の施策を実施していきます。
・技術革新を目標とした病院や学会とのパートナーシップの確立
・技術的な優位性を確立することを主眼に置いたM&Aの実施
・持続可能なものづくりを実現する社内機能の強化
・低侵襲な内視鏡による治療技術(エンドルミナルマニピュレータープラットフォーム)の開発
(2022年3月期の経営方針)
新型コロナウイルスの感染拡大は、大きな価値観の転換をもたらすと認識している一方、世界的な高齢化と新興国の成長を背景に、長期的な医療需要の拡大は不変であると考えています。2022年3月期は、グローバル・メドテックカンパニーへの「転換」から、「深化」を図るフェーズに入っていると捉え、以下の取り組みを推し進め、2019年11月に公表した経営戦略における目標水準の達成に向けて企業変革を実行していきます。
(2022年3月期に取り組む予定の施策)
・医療ビジネスにおける収益性の高い成⻑戦略の深化
・Transform Olympusによる企業体質の更なる改善および基盤強化
・今後の成⻑を牽引する製品開発への着実な投資継続
・サステナブルな社会に資するESGへの取り組み
当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、積極的かつ健全なリスクテイクによる企業の持続的成長や価値創出に繋げる“攻め”と、不正や事故の防止という“守り”の両方の視点で、リスクマネジメントを行っています。
当社グループのリスクマネジメント体制においては、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクを管掌する執行役を明確にし(リスクアシュアランスの確立)、各執行役は担当するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制、プロセス整備、重点施策など)を遂行します。
また、当社グループでは、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価および対応策設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重点リスクについてはその対応状況を定期的にモニタリングし、グループ経営執行会議および取締役会へ報告しています。
これらのリスクマネジメントの取り組みにより「経営の基本方針」を実現していきます。
以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)医療行政の方針変更及びリプロセスに関する規制強化に係るリスク
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リスク |
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医療分野においては、国内外で医療費抑制や、医療サービスの安全性や有効性の向上を通じた患者様の生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、米国食品医薬品局(FDA)や、欧州医療機器規制(EU-MDR)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっています。加えて、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しています。 今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針変更や予測できない環境変化などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 FDAより、十二指腸内視鏡の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力をしながら市販後の調査研究を完了し、2020年2月に市販後調査の最終報告書を提出しました。現在は2020年に米国で販売を開始した後継機種に関する市販後調査を実施していますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループは、製品ライフサイクルマネジメントおよび感染予防に係る戦略を通じ、安全な商品の開発と選定、法規制に適合した商品開発、各国への提出資料の共有化などに取り組んでいます。また、当社では品質及び法規制対応関連部門等、当社グループ内部の人材の育成や対応力の強化を通じて、定期的な監査、検証の手順を継続しながら、市場の変化に速やかに対応できるよう、是正処置及び予防処置に係るプロセスを改善していきます。さらに、規制関連の事項について、定期的なモニタリングを実施し経営陣に対して状況のアップデートを行い、関連法令に対する理解を徹底させるとともに、ベストプラクティスを共有するなど、関連業務に従事する従業員に対して定期的なトレーニングを実施していきます。 |
(2)マクロ経済等に係るリスク
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リスク |
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先進国を中心に、高齢化が進展しており、医療へのニーズは堅調に推移するものと考えています。また、新興国においては、経済成長に伴い医療に対するニーズも高まっています。一方で、主に先進国では、増加する医療費に対して、医療費の適正化や効率的かつ質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とした医療制度改革が進められており、これらの変化は当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 また、地政学的リスクの顕在化による経済環境の変化により、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、内視鏡事業、治療機器事業、科学事業等において製品及びサービスを世界中の顧客に提供していますが、これらの事業の収益はグローバル経済や各国の景気動向に大きく影響を受けます。 医療分野では、各国の国家予算が縮小された場合、あるいは政策の転換等により、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 科学事業のライフサイエンス分野では、国公立の研究機関向けの販売の割合が高く、各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方、産業分野では、自動車産業・航空産業・石油関連産業向けの販売の割合が高く、企業の設備投資動向が収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。詳細は「新型コロナウイルス感染症に係るリスク」に記載しています。 |
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対応策・機会 |
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当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、新興国では内視鏡を操作できる医師を増やすことが重要なことから、内視鏡医の育成をサポートしています。 医療分野及び科学事業のライフサイエンス分野については、政策等により関連国家予算が増加した場合、また、科学事業の産業分野についても、顧客企業の事業環境の変化等により設備投資需要が増加した場合、収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 |
(3)市場競合状況に係るリスク
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リスク |
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当社グループが関連する事業分野において、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落や当社シェアの侵食、代替技術・製品の出現等が考えられます。その競争環境において、技術、品質等において競争力を有する製品を適時に市場へ投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策・機会 |
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当社では市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めます。また、社内での開発のみならず、アライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討します。市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。 市場環境の変化、代替技術や市場に投入される製品の動向をキャッチアップし、適時に競争力のある製品を市場へ投入できた場合には、販売単価の上昇や当社シェアの拡充等による収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 |
(4)販売活動に係るリスク
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リスク |
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当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関及び公務員と取引を行っています。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業活動が制限される可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底させており、贈賄防止や各国の競争関連法を順守することの重要性について従業員への教育を行っています。また、中国では、代理店を対象に法規制遵守等に係るトレーニングも実施しています。 |
(5)生産・開発活動に係るリスク
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リスク |
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特定の供給元に依存する製品及び部品について、その供給元の事情により、調達に制約を受ける場合には、生産及び供給能力に影響を及ぼす可能性があります。また、急激な市況の変化等に柔軟に対応ができない場合には、当社グループの収益確保及びサプライチェーンに影響が生じる可能性があります。 製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 技術的な進歩が速く、市場の変化を適切に予測できず、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴い費用の増加あるいは開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。 |
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対応策・機会 |
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取引先の動向把握の推進や取引先との関係強化施策、バックアップ計画の検討等により、供給上の課題の軽減を目指しています。また、製品開発プロセスを事業レビューや技術レビューなどに分けるなど、品質改善活動を推進することで品質問題の抑制を目指しています。 医療分野では、当社内での技術開発に加えM&A等を通じて製品ポートフォリオの拡充および新技術の獲得を推進しています。近年では、感染管理等への意識の高まりとともにニーズの高まっているシングルユース内視鏡、AIを用いた診断などに期待が高まっており、当社としても製品開発に積極的に取り組んでいます。 競争力のある製品を継続的に上市することができた場合には、成長機会の獲得につなげることができます。 また、生産・開発活動にあたっては、自社のコア・テクノロジーを見極めた上で、社内あるいは社外のどちらのリソースを用いるか、戦略的に検討を行っています。検討の結果を踏まえた最適なリソースの活用を通じて、さらなるコスト削減と利益率の向上を目指します。 |
(6)為替変動に係るリスク
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リスク |
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当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、海外売上高比率(連結ベース)は、2021年3月期において約83%です。円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
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為替変動リスクを軽減することを目的として、主に先物為替予約を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 |
(7)業務提携及び企業買収等に係るリスク
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リスク |
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技術及び製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、また戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業及び買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、事業売却損、事業清算損、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。 当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しています。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価及び評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、事業ポートフォリオの戦略的な見直しの一環で、当社はノンコア事業と位置付けられた関連会社あるいは事業の売却を実行することがありますが、各国の法規制や経済情勢および相手先の経営状況の変化などにより実施が困難となる場合、あるいは売却損、評価損が発生する場合、当社グループへの経営あるいは財務上の影響が生じる可能性があります。 当社は、連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.の保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.の持分譲渡に向けた活動を継続していますが、その活動の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策・機会 |
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M&Aや出資の検討に際しては、契約の成立後に深刻な問題が発見されるようなリスクを低減すべく、外部の弁護士や財務アドバイザー等も活用して、各種デューデリジェンスを実施した上で、社内で定められた承認プロセスに従って投資評価の妥当性を審議するなどのプロセスを経て、投資の可否について判断を行っています。また、コンプライアンスを遵守するための内部指針、価値評価モデル、デューデリジェンス項目の見直しを定期的に行うとともに、取引が完了した後も対象事業のモニタリングを実施するなど、投資に関するプロセス全体の改善に取り組んでいます。事業売却等においても同様の承認プロセスを経て判断を行い、プロセス全体の改善に取り組んでいます。 適切な対応策の下で行われる業務提携及び企業買収等を通じて、当社は製品ポートフォリオの拡充や新技術の獲得を進め、長期的な成長と企業価値の向上を実現することが可能となります。 |
(8)投資全般に係るリスク
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リスク |
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当社グループは、事業に係る様々な領域で投資を実施しており、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
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投資前には投資評価の妥当性を審議、投資の可否を判断しています。 |
(9)情報セキュリティに係るリスク
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リスク |
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当社製品やサービスを継続的に提供するため、事業継続を妨げるサイバー攻撃に備え、機密情報やステークホルダーの個人情報の漏えい防止などの情報セキュリティリスクの低減や、法令違反の防止に努めています。しかしながら以下にあげるような不測の事態が発生することにより、当社グループの企業価値の毀損、事業競争力の低下、社会的信用の失墜につながることに加えて、影響を受けるステークホルダーに対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ・進化したサイバー攻撃により、顧客の環境において、当社製品の使用やその保守作業を通じて患者様の情報が漏えいし、顧客が事業を継続することが出来なくなる、また当社において業務が中断したり、保守サービスの提供が滞るなどの結果として、医療機関において検査や治療行為が継続出来なくなるといった事象が発生すること ・情報セキュリティ対策の不備や内部不正による、当社内に保管される技術情報・顧客情報の漏えいまたは毀損 ・個人情報の取り扱いに関して、世界各国の個人情報保護法制(日本における「個人情報保護法」、欧州連合(EU)の「EU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation )」、米国カリフォルニア州の「カリフォルニア州消費者保護法(CCPA: California Consumer Privacy Act)」)等に違反することにより、政府機関から罰金その他の処分を受ける、またはステークホルダーから訴訟を提起されること |
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対応策 |
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当社グループでは、チーフ情報セキュリティオフィサーの下、情報セキュリティに係るリスクに適切に対処するための体制を構築し、情報セキュリティリスクの低減を推進しています。その中で、以下の対策を行っています。 ・製品のセキュリティレベルの向上による顧客環境でのサイバーリスクの低減、事業活動や顧客接点におけるセキュリティリスクの低減のために、製品セキュリティマネジメントシステムを導入し、リスク分析と評価に基づき、脆弱性に対処し、インシデント対応体制を整備しています。 ・機密情報や個人情報を含む外部への情報流出のリスク低減する為に、セキュリティマネジメントシステムを導入し、各種アクセスログの収集、分析による異常の早期検知などの対策を講じています。 ・個人情報保護の専任部門を設置し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社とともに個人情報の保護に関する国外の法令に対応するための体制を整備し、対処方針の制定やモニタリングを行っています。 |
(10)内部統制に係るリスク
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リスク |
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有効な内部統制システムを構築している状況においても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動など、様々な要因により内部統制システムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、また当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じることにより、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。 内部統制システム構築時点では想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化に対して、社内の組織・機能が適切に対応できないなど、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループは、財務報告の適正性と信頼性を確保するための体制を整備・運用し、継続的な改善を図っています。また、業務の有効性と効率性を確保するための体制についても、整備・運用しており、継続的な改善を図っています。 |
(11)法的規制に係るリスク
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リスク |
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当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。 当社は、米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において「当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」という義務が課されています。今後の実施状況によっては、米国司法省によりさらなる措置が取られる可能性があります。 当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底していますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しています。法務、コンプライアンス、内部監査などの統制部門が、当社グループに適用されるすべての法律、規制、内部方針を遵守しているかどうかという観点から、事業活動をモニタリングしています。また、従業員に対しても必要かつ適切な研修や教育を実施しています。事業を展開するすべてのマーケットにおいて、当社事業に関連する規制をモニタリングし、情報収集を行う体制の構築を進めています。また、関連する法律や規制に改正や変更があった場合には、従業員に対して周知徹底するとともに、その改正や変更に対応した製品を速やかに開発し、供給していきます。 |
(12)訴訟に係るリスク
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リスク |
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国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は研究開発及び生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社の連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投资发展有限公司から2016年12月23日付で訴訟を提起され、2018年7月30日付で判決が出されています。当社はこの第一審判決を不服として2018年8月17日付で控訴しておりました。2020年7月1日付で広東省高級人民法院から、安平泰側が請求の根拠とする事実関係が不明確であるなどとして、第一審判決を取り消し、本案の審理を差し戻す裁定が下されましたが、今後の経過によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
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訴訟その他法的な手続きが必要となる事案が発生した場合に、適時に弁護士等の外部専門家と対策を検討することが出来る体制を構築し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社においても社内の関連部署のスキル・専門知識の強化に努めています。また、財務上のリスクを極小化する目的で、訴訟による予期せぬ損失に備えて、保険の付保等を行っています。 |
(13)資金調達に係るリスク
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リスク |
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当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。 また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループでは、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 |
(14)事業構造改革に係るリスク
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リスク |
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当社グループは、2019年1月に企業変革プラン「Transform Olympus」を公表しました。また、2019年11月に経営戦略を公表し、製品(売上原価、研究開発)、コマーシャル(セールス・マーケティング、保守サービス)、コーポレート(コーポレート機能の間接費)の分野で大規模な効率改善を見込む、全社横断的な効率改善プログラムも推進し、持続的な成長と収益性を伴う真のグローバル・メドテックカンパニーを目指しています。 これらのプログラムの進展に遅れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
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企業変革プラン「Transform Olympus」においては、担当する役員(チーフトランスフォーメーションオフィサー)を任命するとともに、各プロジェクトにプロジェクトリーダーをおき、各施策にゲートプロセスやマイルストーンを設定して、月次で各施策の進捗をモニタリングしています。なお、重大な遅れが生じた場合は、プロジェクトリーダーからチーフトランスフォーメーションオフィサーに必要な報告がなされ、全社として課題を解決するプロセスを構築しています。 |
(15)その他のリスク
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リスク |
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当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となること、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省に対するFCPA遵守に関する自主的な開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響が生じる可能性があります。 また、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 その他、自然災害、疾病、戦争、内戦、暴動、テロ、サイバー攻撃等が発生した場合、収益確保に影響が生じる可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しています。 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 また、リスクマネジメントの一環として、戦略および年度目標の達成におけるリスクを同一のプロセス/基準で抽出/評価した上で、リスクの重要度に応じた重点施策を効率的、有効的に策定し、年間を通じて施策の実行状況をモニタリングしています。 重大な危機が発生した際には、グループ全体に適用される危機対応ルールに基づいて対策本部を設置し、企業価値に及ぼす影響を最小限にとどめるべく、危機管理に努めるとともに、平時においてもBCP(事業継続計画)の策定、定期的な見直し及びBCPの実効性を高めるための教育・訓練を通じて事業中断リスクへの対応を強化しています。 |
(16)新型コロナウイルス感染症に係るリスク
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リスク |
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新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、経済活動の再開は段階的に進められているものの、感染再拡大の傾向が見られるなど、全体として厳しい状況が続いています。 当社グループの事業活動においては、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。医療機関が新型コロナウイルスへの対応を優先せざるを得ない状況において、当社の事業に関連する医療行為が減少した場合、当社グループの販売活動にさらなる影響を及ぼす可能性があります。また、特定の製品及び部品調達に制約が生じた場合、当社グループの生産及び供給能力ひいては収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループは、感染防止対策の徹底に努めており、職場でのフィジカルディスタンスの確保やマスク着用の徹底、施設の換気、出張やイベントの自粛等の措置を講じています。また、確実な事業継続のために必要に応じてグローバルタスクフォースを設置します。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中、当社グループではオンラインでのトレーニングやデモンストレーション、セミナーを継続的に実施している他、新たな環境に対応したソリューションの提供に努めています。 |
(1)業績等の概要
① 業績
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売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
税引前利益 (百万円) |
親会社の所有者に帰属する当期利益 (百万円) |
基本的1株当たり 当期利益 (円) |
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当連結会計年度 |
730,544 |
81,985 |
76,810 |
12,918 |
10.05 |
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前連結会計年度 |
755,231 |
92,200 |
86,617 |
51,670 |
39.37 |
|
増減率(%) |
△3.3 |
△11.1 |
△11.3 |
△75.0 |
△74.5 |
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の大流行の影響により、厳しい状況となりました。経済活動は段階的に再開し、ワクチン接種も徐々に進んでいるものの、地域によっては感染再拡大の傾向が見られるなど、依然として不確実性の高い状況が続いています。わが国経済においては、輸出において持ち直しの動きがみられ、企業収益への影響も縮小しつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済と同様に厳しい状況となりました。
こうした環境下にあるものの、当社グループは、2019年1月に発表した真のグローバル・メドテックカンパニーへの飛躍を目指した企業変革プラン「Transform Olympus」と、それに基づき2019年11月に発表した中長期の経営戦略に沿って、持続的な成長に向けた取り組みを推し進めています。
その中で、当社は「事業ポートフォリオの選択と集中」を、当経営戦略の事業の成長・収益性向上のためのコア要素のひとつに位置付けています。その施策として2020年9月30日には、当社が新たに設立する当社の完全子会社(以下、「映像新会社」)に対して、吸収分割により当社の映像事業を承継させたうえで、その映像新会社の株式の95%を日本産業パートナーズ株式会社が設立した特別目的会社であるOJホールディングス株式会社に譲渡する最終契約を同社と締結し、本契約に基づき、当社は2021年1月1日に当該株式の譲渡を完了しました。これに伴い、第2四半期連結会計期間より、映像事業は非継続事業として表示しています。この結果、当連結会計年度の表示形式に合わせ、前連結会計年度の連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び関連する連結財務諸表注記を一部組替えて表示しています。また、厳しい外部環境の下で当経営戦略を実現するべく、(ⅰ)社外で自らの力を発揮することを希望する社員への支援、(ⅱ)変革を推進する人材の適所適材への採用と登用、(ⅲ)グローバル・メドテックカンパニーに相応しい収益性の達成を目的として、2021年2月には、社外転進支援制度により希望退職を募集しました。
業績の状況は以下の通りです。なお、以下(1)から(7)は継続事業の業績を示しています。
(単位:百万円)
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2020年3月期 |
2021年3月期 |
増減額 |
増減率(%) |
|
(1)売上高 |
755,231 |
730,544 |
△24,687 |
△3.3% |
|
(2)売上原価 |
272,456 |
271,014 |
△1,442 |
△0.5% |
|
(3)販売費および一般管理費 |
381,171 |
357,032 |
△24,139 |
△6.3% |
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(4)持分法による投資損益/ |
△9,404 |
△20,513 |
△11,109 |
- |
|
(5)営業利益 |
92,200 |
81,985 |
△10,215 |
△11.1% |
|
(6)金融損益 |
△5,583 |
△5,175 |
408 |
- |
|
(7)法人所得税費用 |
26,035 |
11,140 |
△14,895 |
△57.2% |
|
(8)親会社の所有者に帰属する当期利益 |
51,670 |
12,918 |
△38,752 |
△75.0% |
(1)売上高
前期比246億87百万円減収の7,305億44百万円となりました。その他事業では増収となった一方、内視鏡事業、治療機器事業、科学事業で減収となりました。詳細は次ページのセグメントの業績に記載しています。
(2)売上原価
前期比14億42百万円減少の2,710億14百万円となりました。売上原価率は、37.1%と前年同期比1.0ポイント悪化しました。
なお、前期においては、顧客の保有する十二指腸内視鏡製品を対象として、先端キャップ固定式の製品から、洗浄消毒作業の容易な先端キャップ着脱式の新製品へ自主的に置き換えることを決定し、その市場対応費用約104億円を引当計上しています。一方、当連結会計年度においては、内視鏡事業で気管支鏡および胆道鏡の自主回収に伴う費用約60億円を計上し、治療機器事業で処置具の自主回収に伴う費用約20億円を計上しています。さらに、新型コロナウイルス感染症による影響で生産量が減少した結果、工場の操業度が低下するなどの影響も生じています。
(3)販売費および一般管理費
前期比241億39百万円減少の3,570億32百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う販売活動の制限により、旅費交通費、広告・販売促進費等が減少したこと、また、2008年にGyrus Group PLCを買収した際に計上した無形資産の償却が前期に終了したことにより減価償却費が約52億円減少したこと等によるものです。
(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用
持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で205億13百万円の損失となり、前期比で損失が111億9百万円増加しました。その他の収益は、新型コロナウイルスの感染症対策に伴う政府補助金約24億円等により、増加しました。一方、その他の費用は、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約120億円や事業ポートフォリオの選択と集中を推進するため、映像事業における分社による新会社の設立及び譲渡に係る事業構造改革費用約52億円を計上したこと、企業変革プラン「Transform Olympus」を推進するための関連費用が約27億円増加したこと等により、増加しました。
(5)営業利益
上記の要因により、前期比102億15百万円減益の819億85百万円となりました。
(6)金融損益
金融収益と金融費用を合わせた金融損益は51億75百万円の損失となり、前期比で損益は4億8百万円改善しました。損益の改善は、主として為替差損の減少によるものです。
(7)法人所得税費用
前期比で148億95百万円減少し、111億40百万円となりました。減少は、主として映像事業の譲渡により収益性が改善することで、将来の課税所得の増加が見込まれることから、繰延税金資産を新たに積み増したことによるものです。
(8)親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業及び非継続事業の合算)
上記の要因により、前期比で387億52百万円減益となる129億18百万円となりました。
(研究開発支出および設備投資)
当期においては、非継続事業を除いた継続事業で817億94百万円の研究開発支出を投じるとともに、989億35百万円の設備投資を実施しました。
(新型コロナウイルス感染症の影響)
新型コロナウイルス感染症により、医療分野では各学会から手術の延期、中止が推奨され症例数が減少し、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販促活動に制約が生じました。また、科学事業では、顧客の設備投資意欲の減退が見られたことに加え、顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販促活動に制約が生じました。当連結会計年度における当社連結業績への影響は、継続事業の売上高で約324億円として認識しています。
(為替影響)
為替相場は前期に対して、対米ドルは円高となった一方、対ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=106.06円(前期は108.74円)、1ユーロ=123.70円(前期は120.82円)、1人民元=15.67円(前期は15.60円)となり、売上高では前期比で62億75百万円の減収要因、営業利益では前期比で69億54百万円の減益要因となりました。なお、為替の影響を除くと、連結売上高は前期比2.4%の減収、連結営業利益は前期比3.5%の減益となります。
セグメントの業績は次のとおりです。以下では、継続事業の数値を表示しています。
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|
売上高 |
営業利益又は営業損失(△) |
||||
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
|
|
内視鏡 |
425,742 |
419,466 |
△1.5 |
109,424 |
104,705 |
△4.3 |
|
治療機器 |
216,075 |
206,040 |
△4.6 |
26,191 |
24,633 |
△5.9 |
|
科学 |
105,189 |
95,861 |
△8.9 |
9,997 |
4,949 |
△50.5 |
|
その他 |
8,225 |
9,177 |
11.6 |
△2,864 |
△682 |
- |
|
小計 |
755,231 |
730,544 |
△3.3 |
142,748 |
133,605 |
△6.4 |
|
消去又は全社 |
- |
- |
- |
△50,548 |
△51,620 |
- |
|
連結計 |
755,231 |
730,544 |
△3.3 |
92,200 |
81,985 |
△11.1 |
(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。
内視鏡事業
内視鏡事業の連結売上高は、4,194億66百万円(前期比1.5%減)、営業利益は1,047億5百万円(前期比4.3%減)となりました。
消化器内視鏡においては、2020年4月に欧州と一部アジア地域、7月に日本において、主力の内視鏡システム新製品「EVIS X1(イーヴィス・エックスワン)」を導入したものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販促活動に制約が生じたことや、各学会から消化器内視鏡検査の延期、中止が推奨され症例数が減少したことで、内視鏡事業の売上高は減収となりました。
内視鏡事業の営業損益は、前期において、顧客の保有する十二指腸内視鏡製品を対象として、先端キャップ固定式の製品から、洗浄消毒作業の容易な先端キャップ着脱式の新製品へ自主的に置き換えることを決定し、その市場対応費用として約104億円を引当計上したことで前期の利益が減少していたことに加えて、当期において費用の効率化を進めたことで収益性がその分改善したものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による減収や第2四半期連結会計期間に気管支鏡および胆道鏡の自主回収に伴う費用として約60億円を引当計上したこと、さらに社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用として約42億円をその他の費用に計上したこと等により、減益となりました。
なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比0.5%の減収、営業利益は前期比0.3%の減益となっています。
治療機器事業
治療機器事業の連結売上高は、2,060億40百万円(前期比4.6%減)、営業利益は246億33百万円(前期比5.9%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、各学会から手術の延期、中止が推奨され症例数が減少したことや、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販促活動に制約が生じたことで、治療機器事業の売上高は減収となりました。
治療機器事業の営業損益は、2008年にGyrus Group PLCを買収した際に計上した無形資産の償却が前期に終了したことにより減価償却費が約52億円減少したことや、費用の効率化を進めたものの、減収や第3四半期連結会計期間に処置具の自主回収に関する費用として約20億円を、売上原価に計上したことに加え、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用として約14億円を、その他の費用に計上したこと等により、減益となりました。
なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比4.1%の減収、営業利益は前期比横ばいとなっています。
科学事業
科学事業の連結売上高は、958億61百万円(前期比8.9%減)、営業利益は49億49百万円(前期比50.5%減)となりました。
中国では、ライフサイエンス分野は、がん研究、再生医療向けを中心に、また産業分野は、半導体関連産業向けを中心に、事業環境が回復し、第4四半期以降、販売が好調に推移しました。一方で、全体としては、新型コロナウイルス感染症の影響により、航空産業等で設備投資意欲の減退が見られたことに加え、顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販促活動に制約が生じたことで、科学事業の売上高は減収となりました。
科学事業の営業損益は、費用の効率化を進めたものの、減収や新型コロナウイルス感染症の影響で生産量が減少した結果、生産拠点における操業度が低下したことに加え、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用として約12億円を、その他の費用に計上したこと等により、減益となりました。
なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比7.9%の減収、営業利益は前期比39.6%の減益となっています。
その他事業
その他事業では、人工骨補填材等の生体材料、整形外科用器具などの開発・製造・販売等を行っているほか、新規事業に関する研究開発や探索活動に取り組んでいます。
その他事業の連結売上高は、91億77百万円(前期比11.6%増)、営業損失は6億82百万円(前期は28億64百万円の営業損失)となりました。2020年11月に子会社化したFH ORTHO SASの売上高17億35百万円が加わったことにより、増収となりました。
その他事業の営業損益は、2021年3月に当社子会社であったオリンパスRMS株式会社の全株式をロート製薬株式会社に譲渡したことに伴う譲渡益17億70百万円をその他収益に計上したことにより、改善しました。
② 財政状態の状況
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前連結会計年度末 (百万円) |
当連結会計年度末 (百万円) |
増 減 (百万円) |
増減率 (%) |
|
資産合計 |
1,015,663 |
1,181,017 |
165,354 |
16.3 |
|
資本合計 |
371,958 |
395,480 |
23,522 |
6.3 |
|
親会社所有者帰属 持分比率 |
36.5% |
33.4% |
△3.1% |
|
[資産]
当連結会計年度末は、資産合計が、前連結会計年度末から1,653億54百万円増加し、1兆1,810億17百万円となりました。社債の発行及び借入による資金調達等により、現金及び現金同等物が549億84百万円増加、Arc Medical Design LimitedやVeran Medical Technologies, Inc.等を買収した影響等により、のれん及び無形資産がそれぞれ324億85百万円及び256億43百万円増加したことが主な要因となります。また、主に米国における治療機器事業等の拠点集約及び欧州における本社再開発に伴い、使用権資産を取得した影響等により、有形固定資産が368億18百万円増加しています。一方、第1四半期連結会計期間に、英国子会社の年金制度において、年金バイイン(Buy-in)を実施した影響等により退職給付に係る資産が84億34百万円減少しています。なお、年金バイインにより、保有していた年金資産の一部を保険会社に対して拠出し、将来にわたって受給者の年金給付に必要となる金額を年金基金が保険会社より受け取ることが出来る契約を締結しています。
[負債]
負債合計は、前連結会計年度末から1,418億32百万円増加し、7,855億37百万円となりました。社債の発行及び借入による資金調達等により、非流動負債の社債及び借入金が1,238億38百万円増加したことが主な要因となります。新型コロナウイルス感染症による業績への影響を鑑み、手元流動性を確保するため、2020年5月に長期借入により1,000億円、同7月に社債の発行により500億円の資金調達を行っています。一方で、主にコマーシャル・ペーパーの償還を行った影響等により、流動負債の社債及び借入金は494億89百万円減少しています。
[資本]
資本合計は、前連結会計年度末から235億22百万円増加し、3,954億80百万円となりました。剰余金の配当を行った一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益129億18百万円を計上したこと等により、利益剰余金が24億10百万円増加したことに加え、円安の影響による在外営業活動体の換算差額の変動により、その他の資本の構成要素が214億4百万円増加したことが主な要因となります。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の36.5%から33.4%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
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前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (百万円) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
133,544 |
124,122 |
△9,422 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△62,430 |
△118,918 |
△56,488 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△19,462 |
40,800 |
60,262 |
|
現金及び現金同等物期末残高 |
162,717 |
217,478 |
54,761 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は、1,241億22百万円(前連結会計年度は1,335億44百万円の増加)となりました。税引前当期利益768億10百万円及び減価償却費及び償却費の調整599億37百万円が主な要因になります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は、1,189億18百万円(前連結会計年度は624億30百万円の減少)となりました。主な要因は、Arc Medical Design LimitedやVeran Medical Technologies, Inc.等の買収による支出445億41百万円及び映像事業譲渡に伴う支出278億30百万円になります。また、生産設備やデモ機等の有形固定資産の取得により386億60百万円、研究開発資産等の無形資産の取得により205億67百万円を支出しています。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度において財務活動により増加した資金は、408億円(前連結会計年度は194億62百万円の減少)となりました。主な要因は、長期借入による収入992億30百万円、社債の発行による収入497億57百万円になります。一方で減少要因として、コマーシャル・ペーパーの償還を行った影響等による短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少677億21百万円、配当金の支払128億56百万円等があります。なお、長期借入及び社債の発行による収入は、新型コロナウイルス感染症による業績への影響を鑑み、手元流動性を確保するために資金調達を行ったことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から547億61百万円増加し、2,174億78百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
|
内視鏡 |
417,944 |
△3.1 |
|
治療機器 |
175,827 |
△6.9 |
|
科学 |
92,335 |
△17.0 |
|
その他 |
1,758 |
53.1 |
|
計 |
687,864 |
△6.1 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 仕入実績
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セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前期比(%) |
|
内視鏡 |
- |
- |
|
治療機器 |
- |
- |
|
科学 |
- |
- |
|
その他 |
1,759 |
△9.1 |
|
計 |
1,759 |
△9.1 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
③ 受注実績
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。
④ 販売実績
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
|
内視鏡 |
419,466 |
△1.5% |
|
治療機器 |
206,040 |
△4.6% |
|
科学 |
95,861 |
△8.9% |
|
その他 |
9,177 |
11.6% |
|
計 |
730,544 |
△3.3% |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度時点において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループは、2019年11月に発表した中長期の経営戦略において、目標とする業績指標を営業利益率で定めており、2023年3月期に営業利益率を20%超に改善することを目指しています。
当連結会計年度における営業利益率は、販管費の効率化を進めたものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、11.2%(前期比1.0ポイント悪化)となりました。
目標とする業績指標の達成に向けて、内視鏡事業では消化器内視鏡システム「EVIS X1」の拡販を進めるとともに、治療機器事業では消化器科処置具、泌尿器科、呼吸器科処置具の3領域に注力し、売上の成長と費用の効率向上を図るとともに、引き続き、財務の健全性を考慮しつつ、収益性と資産効率性の向上に向け、事業活動を推進していきます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
(i) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度において、買収や映像事業譲渡に伴う支払を行った一方で、営業活動からのキャッシュ・インフローが堅調であったことに加え、借入及び社債の発行による資金調達を行いましたので、当連結会計年度末時点で2,000億円超(前連結会計年度末より約550億円増加)の手元資金を保有しています。この手元資金規模は、安定した事業運営および財務基盤の確保に十分な水準であると認識しています。
(ⅱ) 財務政策
当社グループは、安定した財務基盤の維持と、適正な財務レバレッジのコントロールによる資本効率向上の両立を、財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、格付投資情報センター、およびS&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付においてBBB格(安定的)以上の維持を目標とし、自己資本比率やEBITDA有利子負債倍率等の財務健全性に関する指標を重視した財務政策を行っています。これらに加え、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、全社的な資本コストの削減にも努めています。
(ⅲ) 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの製品を製造するための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは、人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は、様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および欧米を中心とした製造、修理拠点の拡充など、生産効率向上のための設備投資です。加えて、当連結会計年度においては、Arc Medical Design LimitedやVeran Medical Technologies, Inc.等の買収を行い、戦略投資の資金需要も生じました。将来の成長に向けた戦略的な投資への資金需要に対しても、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、引き続き積極的に対応してまいります。
(ⅳ) 資金調達
当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金により充当していますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行により資金を調達しています。これらの借入金および社債については、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できると考えており、今後も成長に必要となる資金の調達に問題はないものと考えています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持していることに加えて、格付投資情報センターの格付はA格、及びS&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付もBBB+となっていることから、安定的かつ低コストで適時滞りなく資金を調達することが出来ると考えています。さらに、主要通貨(ドル・ユーロ・円)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しています。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症による業績への影響を鑑み、手元流動性を確保するため、2020年5月に長期借入により1,000億円、同7月に社債の発行により500億円の資金調達を行いました。安定した財務基盤の維持と、適正な財務レバレッジのコントロールによる資本効率向上の両立を意識しながら、今後も資金需要に応じて、借入や社債の発行による調達を検討していきます。
(ⅴ) 資金配分
(ⅳ) 資金調達に記載したとおり、機動的な資金調達体制により、当社グループは、成長投資や株主還元に必要な手元資金も十分に確保出来ています。当社グループの持続的な成長を実現させるため、手元資金は、成長ドライバーへの投資に優先的に配分していく方針であり、収益性の高い既存事業への投資や成長機会への戦略的な投資を実施していきます。また、事業成長等への投資を優先しつつ、株主価値を考慮した積極的な株主還元も実施していきます。配当については、安定的かつ継続的に増配する方針で、自己株式買入については、投資機会と資金状況に応じて柔軟に実施する方針です。
③ 重要な会計方針および見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(1)提携契約
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契約会社名 |
相手先 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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オリンパス㈱ |
テルモ㈱ |
日本 |
医療機器分野における開発・販売の提携 |
2001年4月25日より1年、但し毎年自動延長 |
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オリンパス㈱ |
ソニーグループ㈱ |
日本 |
医療事業における合弁会社の設立及び映像事業における業務提携の検討・実施 |
2012年9月28日以降、期間の定めなし |
(2)映像事業の譲渡に関する契約
当社は、2020年9月30日付で、日本産業パートナーズ株式会社が設立した特別目的会社であるOJホールディングス株式会社との間に締結した、映像事業の譲渡に関する株式譲渡契約に基づき、2020年10月9日に映像新会社を設立し、当社の映像事業を映像新会社へ承継させるための吸収分割契約を2020年11月6日に締結いたしました。映像事業の譲渡取引は、2021年1月1日付で完了しています。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 34.キャッシュ・フロー情報 (5)支配の喪失 ①映像事業の譲渡」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 41.非継続事業」に記載のとおりです。
(3)重要な営業の譲渡
当社は、2020年8月6日に米国における治療機器の製造拠点Olympus Surgical Technologies Americaの一つであるノーウォーク工場(以下、同工場)を、NISSHA株式会社(以下、NISSHA)の100%子会社Nissha Medical Technologiesに譲渡することについて、NISSHAとの間で契約を締結し、同工場の譲渡が2020年11月2日で完了しています。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 34.キャッシュ・フロー情報 (5)支配の喪失 ②重要な営業の譲渡」に記載のとおりです。
(4)FH ORTHO SASの取得
当社は、2020年11月2日付でFH ORTHO SASの発行済株式の全てを、当社の連結子会社であるOlympus Europa Holding SEを通じて取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 40.企業結合 (FH ORTHO SASの取得)」に記載のとおりです。
(5)Veran Medical Technologies,Inc.の取得
当社は、2020年12月29日付でVeran Medical Technologies, Inc.の発行済株式の全てを、当社の連結子会社であるOlympus Corporation of the Americasを通じて取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 40.企業結合 (Veran Medical Technologies,Inc.の取得)」に記載のとおりです。
(6)Quest Photonic Devices B.V.の取得
当社は、2021年2月9日付でQuest Photonic Devices B.V.の発行済株式の全てを、当社の連結子会社であるOlympus Winter & Ibe GmbHを通じて取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 40.企業結合 (Quest Photonic Devices B.V.の取得)」に記載のとおりです。
(7)オリンパスRMS株式会社の譲渡
当社は、当社の連結子会社であるオリンパスRMS株式会社の全株式をロート製薬株式会社へ譲渡する契約を締結し、譲渡手続きを2021年3月23日をもって完了しました。この結果、当社は同日付でオリンパスRMS株式会社に対する支配を喪失しました。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 34.キャッシュ・フロー情報 (5)支配の喪失 ③オリンパスRMS株式会社の譲渡」に記載のとおりです。
(8)Medi-Tate Ltd.株式取得のためのコールオプション行使の決定
当社は、2021年2月26日に、医療機器メーカーMedi-Tate Ltd.の発行済株式すべて(但し、当社が保有済みの株式を除きます)を取得するためにコールオプションを行使すること決定しました。
なお、2021年5月27日付で、Medi-Tate Ltd.の発行済株式の全てを、当社の連結子会社であるOlympus Winter & Ibe GmbHを通じて取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 43.後発事象 (取得による企業結合)」に記載のとおりです。
当社グループは、経営理念の「私たちの存在意義」を「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」とし、持続的発展の実現を目指して、研究開発活動を行っています。
2019年に当社グループは、真のグローバル・メドテックカンパニーとして持続的な成長を実現するための新たな経営戦略、企業変革プラン「Transform Olympus」を発表しています。本経営戦略に基づき、当社グループは研究開発プロセスの革新に取り組んでおり、フロントローディング型研究開発の推進とアライアンスやオープンイノベーションによる必要技術の獲得により、開発スピードを向上させます。また、各研究開発テーマの費用を、収益性を考慮しながら最適化するとともに、プロジェクトの見極めも含めて優先順位付けをし、支出を適切にコントロールすることにより研究開発の効率性も改善していきます。
当連結会計年度の非継続事業を除いた継続事業の研究開発支出は、前期比10.7%減の
○ 内視鏡事業
内視鏡ビデオスコープシステムや外科手術用内視鏡システムなど、病気の早期発見と患者様の負担の少ない低侵襲治療に貢献する医療機器の研究開発を主に行っています。
当期の主な成果としては、当社の消化器内視鏡を代表する基幹製品である次世代消化器内視鏡システム「EVIS X1」、焦点範囲の広い内視鏡画像を得る技術である、EDOF(被写界深度拡大技術)を搭載した上部消化管汎用ビデオスコープ「GIF-EZ1500」および大腸ビデオスコープ「CF-EZ1500DL/I」、AIを活用した内視鏡CADプラットフォーム「ENDO-AID」などを開発しました。
当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比14.7%減の
○ 治療機器事業
消化器科内視鏡処置具、呼吸器科および泌尿器科治療機器など、患者様の負担の少ない低侵襲治療に貢献する医療機器の研究開発を主に行っています。
当期の主な成果としては、膵胆管への高い挿入性とスムーズな造影剤の注入をサポートする2ルーメンディスポーザブルカニューラ「StarTip 2 V」などを開発しました。また、イグニッションのパフォーマンスを向上させ、より安全かつ効率的に膀胱がんおよび前立腺の治療を可能とした高周波焼灼電源装置「ESG-410」を開発しました。
当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比3.6%増の
〇 科学事業
医学・生命科学の研究を支援する生物顕微鏡や、非破壊検査領域で社会インフラの安心と安全を支える工業用顕微鏡、工業用内視鏡、超音波探傷器などの研究開発を主に行っています。
当期の主な成果としては、生物顕微鏡用イメージングソフトウェア「cellSens」に、無染色画像から蛍光染色状態などを推論し細胞への光毒性の低減と染色作業の省力化など、研究の効率を飛躍的に向上させるディープラーニングオプション「TruAI」を追加、最大30メートルと超長尺ながら空気圧湾曲機構や重力方向への画像自動回転などにより、快適かつ精密な操作を実現した工業用ビデオスコープ「IPLEX GAir」、非接触・非破壊で微細な3D形状の観察・測定において業界最高レベルの測定性能を誇りかつ、実験準備からレポート作成までの検査ワークフローを革新した「OLS5100」、などを開発しました。
当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比18.3%増の
〇 その他事業及び全社共通
医療分野を主とした当社の主力事業のさらなる発展を目指し、様々な分野における研究開発を行っています。
当期の主な成果としては、早期診断・観察機能向上を実現する光学技術やAIを含む画像処理技術、低侵襲治療を実現するためのデバイス技術やロボティクスを含む精密制御技術の開発、および内視鏡や治療器をはじめとした医療分野新製品の高機能化、低コストを実現するシミュレーション技術開発や材料技術開発、高精度レンズ量産化の加工技術開発や、自動化ラインに繋がる設備開発などの生産技術に関する取り組みなどです。
当事業領域に係わる研究開発支出は、前期比8.9%減の