第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した重要な事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間の世界経済は、米国の関税政策による景気下押し圧力が懸念されるものの、総じて底堅い成長が続きました。地域別に見ますと、米国では、先行き懸念から企業の設備投資が鈍化しましたが、個人消費は底堅く推移しました。欧州では、消費マインドの改善傾向が続き緩やかな回復が見られました。中国では、景気刺激策による内需押し上げ効果がありましたが、不動産市場の低迷などを背景に弱含みました。その他の新興国については、個人消費が堅調なことに加え、相互関税の一次的な中断に伴う輸出の拡大もあり、堅調に推移しました。わが国では、雇用や所得環境の改善の動きが続く中で持ち直しが見られ、景気は緩やかに回復しました。

このような状況の中、当社関連市場においても需要は総じて堅調に推移しました。製品別に見ますと、オフィス向け複合機は欧州や中国で市況低迷が続きましたが全体としては底堅く推移しました。商業印刷は、一部の地域で設置の延伸などの動きが見られました。インクジェットプリンターの市場は縮小傾向が続いておりますが、大容量インクタンクモデルは堅調に推移しました。レーザープリンターは中国を中心に市場縮小が続いており、企業の投資抑制による影響を受けました。医療機器は、米国や新興国で堅調に推移しました。カメラ市場は、ミラーレスカメラを中心に需要が高い水準で推移しました。半導体製造装置市場は、スマホやPC向けメモリの需要は引き続き弱さがみられたものの、生成AI向け需要は増加しました。FPD製造装置市場は、パネルの需給バランスの改善に伴い、パネルメーカーの収益改善が進む中で緩やかな回復が継続しました。

平均為替レートにつきましては、米ドルが前年同期比で約4円円高の148.34円、ユーロが前年同期比で約3円円高の162.23円となりました。

 

[中間連結会計期間]

 

経営指標

 

 

 

(億円)

 

第124期

中間連結会計期間

第125期

中間連結会計期間

増減率

(%)

売上高

21,563

21,986

2.0%

売上総利益

10,300

10,357

0.6%

営業費用

8,315

8,214

△1.2%

営業利益

1,985

2,143

8.0%

営業外収益及び費用

229

80

税引前中間純利益

2,214

2,223

0.4%

当社株主に帰属する中間純利益

1,498

1,559

4.1%

 

 

 

 

1株当たり当社株主に帰属する中間純利益

 

(円)

基本的

152.53

169.16

10.9%

希薄化後

152.45

169.06

10.9%

 

当中間連結会計期間は、ミラーレスカメラやネットワークカメラなどが好調に推移し、売上高は前年同期比2.0%増の2兆1,986億円となり、2007年以来の過去最高売上を記録しました。売上総利益率は、円高やプロダクトミックスの影響を受け前年同期を0.7ポイント下回る47.1%となりましたが、売上総利益は販売増により前年同期比0.6%増の1兆357億円となりました。営業費用は、徹底した経費管理や昨年行った海外での構造改革の効果が出ており、前年同期比1.2%減の8,214億円となりました。その結果、営業利益は前年同期比8.0%増の2,143億円となりました。営業外収益及び費用は、外貨建て債権から生じた為替差損などにより、前年同期比で149億円悪化し、80億円の収益となりました。これらの結果、税引前中間純利益は前年同期比0.4%増の2,223億円、当社株主に帰属する中間純利益は前年同期比4.1%増の1,559億円となりました。

基本的1株当たり当社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に比べ16円63銭増の169円16銭となりました。

 

 

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。セグメント情報に関する詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 注20 セグメント情報」をご参照ください。

 

プリンティングビジネスユニット

 

 

(億円)

 

第124期

中間連結会計期間

第125期

中間連結会計期間

増減率

(%)

 プロダクション

2,100

2,028

△3.4%

 オフィス

5,271

5,240

△0.6%

 プロシューマー

4,937

4,915

△0.5%

外部顧客向け売上高合計

12,308

12,183

△1.0%

セグメント間取引

40

33

△17.3%

売上高合計

12,348

12,216

△1.1%

売上原価及び営業費用

10,901

10,716

△1.7%

営業利益

1,447

1,500

3.6%

税引前中間純利益

1,525

1,600

4.9%

 

プリンティングビジネスユニットでは、プロダクション市場向け機器の販売は安定的に推移していますが、前年は大型商談があったことが影響し、減収となりました。オフィス向け複合機は、市況悪化が継続する欧州で販売台数が減少しましたが、全体としては底堅く推移しました。インクジェットプリンターは大容量インクタンクモデルの販売が順調に推移しました。レーザープリンターは、OEM先の在庫調整が一巡し、出荷を大きく増やした前年同期と比較すると減収となりました。これらの結果、当ユニットの売上高は、前年同期比1.1%減の1兆2,216 億円、税引前中間純利益は、前年同期比4.9%増の1,600億円となりました。

 

メディカルビジネスユニット

 

 

(億円)

 

第124期

中間連結会計期間

第125期

中間連結会計期間

増減率

(%)

外部顧客向け売上高合計

2,750

2,790

1.5%

セグメント間取引

2

3

23.8%

売上高合計

2,752

2,793

1.5%

売上原価及び営業費用

2,641

2,675

1.3%

営業利益

111

118

6.5%

税引前中間純利益

114

121

5.5%

 

 メディカルビジネスユニットでは、地域別では米国や新興国を中心に売上を伸ばし、また市場における稼働台数増加などによりサービスの売上も堅調でした。これらの結果、当ユニットの売上高は、前年同期比1.5%増の2,793億円、税引前中間純利益は、メディカル事業革新委員会による活動の効果もあり、前年同期比5.5%増の121億円となりました。

 

 

 

 

 

イメージングビジネスユニット

 

 

(億円)

 

第124期

中間連結会計期間

第125期

中間連結会計期間

増減率

(%)

 カメラ

2,573

2,734

6.3%

 ネットワークカメラ他

1,628

1,992

22.3%

外部顧客向け売上高合計

4,201

4,726

12.5%

セグメント間取引

2

2

25.9%

売上高合計

4,203

4,728

12.5%

売上原価及び営業費用

3,650

4,025

10.3%

営業利益

553

703

27.2%

税引前中間純利益

566

724

27.8%

 

イメージングビジネスユニットでは、カメラは、前年下期に発売したEOS R5 Mark IIに加え、今年投入の動画撮影を重視した新製品EOS R50 VやPowerShot V1が中心となって好調に推移し、大幅な増収となりました。ネットワークカメラも市場が安定的に成長する中、米国関税引き上げが本格化する前の駆け込み需要もあり、売上を大きく伸ばしました。これらの結果、当ユニットの売上高は、12.5%増の4,728億円、税引前中間純利益は、27.8%増の724億円となりました。

 

インダストリアルビジネスユニット

 

 

(億円)

 

第124期

中間連結会計期間

第125期

中間連結会計期間

増減率

(%)

 光学機器

1,083

1,117

3.1%

 産業機器

494

463

△6.3%

外部顧客向け売上高合計

1,577

1,580

0.2%

セグメント間取引

29

18

△36.2%

売上高合計

1,606

1,598

△0.5%

売上原価及び営業費用

1,306

1,337

2.4%

営業利益

300

261

△12.9%

税引前中間純利益

307

274

△10.6%

 

インダストリアルビジネスユニットでは、半導体露光装置は生成AI向けの高い需要を捉え、業界標準となっている当社の後工程向け露光装置の販売は拡大傾向にありますが、販売台数は前年並みに推移しました。FPD露光装置は市況が緩やかな回復基調にある中で装置の設置が進み、販売台数は前年同期を上回りました。これらの結果に対し、円高の影響があり、当ユニットの売上高は、0.5%減の1,598億円となりました。税引前中間純利益は、これに加えてプロダクトミックス悪化の影響などもあり、10.6%減の274億円となりました。

 

 ②財政状態の状況

 

 

 

(億円)

 

第124期

前連結会計年度

2024年12月31日

第125期

中間連結会計期間

2025年6月30日

増減

資産合計

57,662

59,700

2,038

 負債合計

21,212

24,889

3,678

  株主資本合計

33,803

32,104

△1,699

  非支配持分

2,648

2,707

59

 純資産合計

36,451

34,811

△1,640

負債及び純資産合計

57,662

59,700

2,038

株主資本比率(%)

58.6%

53.8%

△4.8%

 

当中間連結会計期間末における総資産は、売掛債権の減少等はありましたが、現金及び現金同等物の増加や棚卸資産の積み増しなどにより、前連結会計年度末から2,038億円増の5兆9,700億円となりました。負債は、必要な運転資本の増加に伴う借入の実行などにより、前連結会計年度末から3,678億円増の2兆4,889億円となりました。純資産は、当社株主に帰属する中間純利益の積み増しはありましたが、当社株主への配当や2度の自己株式の取得を実施したこと、また円高により為替換算調整額が減少したことにより、前連結会計年度末から1,640億円減の3兆4,811億円となりました。

これらの結果、株主資本比率は、前連結会計年度末から4.8ポイント減少し53.8%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 

 

 

(億円)

 

第124期

中間連結会計期間

第125期

中間連結会計期間

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,420

1,589

△831

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,489

△1,242

248

フリーキャッシュ・フロー

930

347

△583

財務活動によるキャッシュ・フロー

678

1,874

1,196

為替変動の現金及び現金同等物への影響額

314

△85

△399

現金及び現金同等物の増減

1,922

2,136

214

現金及び現金同等物の期首残高

4,013

5,016

1,002

現金及び現金同等物の期末残高

5,935

7,152

1,216

 

当中間連結会計期間の営業キャッシュ・フローは、中間純利益は増加となりましたが、運転資本が増加したことなどにより前年同期比831億円減の1,589億円の収入となりました。投資キャッシュ・フローは、生産設備への投資は前年同期並みとなったものの、前年同期にプリマジェスト社の買収があったことから、前年同期比248億円減の1,242億円の支出となりました。当社は、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した純額をフリーキャッシュ・フローと定義しており、当中間連結会計期間のフリーキャッシュ・フローは、前年同期比で583億円減少し、347億円の収入となりました。財務キャッシュ・フローは、増配や2度の自己株式の取得など積極的な株主還元を実施した一方で、必要な運転資本の増加に伴う短期借入金が増加したことにより前年同期から1,196億円増加し、1,874億円の収入となりました。

これらの結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響分と合わせて前連結会計年度末から2,136億円増加し、7,152億円となりました。

 

(3)米国会計基準以外の財務指標(Non-GAAP財務指標)

当社は、米国会計基準に基づき財務情報を報告しております。

これに加えて、当社は米国会計基準以外の財務指標(Non-GAAP財務指標)であるフリーキャッシュ・フローを開示情報に含めております。

この指標は、当社の営業活動と投資活動を踏まえており、投資家の方々が、当社の現在の流動性や財務活動における資金の使用可能性を理解する上で重要な指標と考えております。

なお、最も直接的に比較可能な米国会計基準に基づき作成された指標とフリーキャッシュ・フローとの照合調整表は以下のとおりです。

 

(億円)

 

 

第125期

中間連結会計期間

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,589

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,242

フリーキャッシュ・フロー

347

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当中間連結会計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発費は、1,636億円です。

 

(7)設備の状況

 ①主要な設備の状況

当中間連結会計期間において、主要な設備の異動はありません。

 ②設備の新設、除却等の計画

当中間連結会計期間において、前連結会計年度末に計画中であった重要な設備の新設について、重要な計画変更並びに重要な設備計画の完了はありません。なお、重要な設備の除却等の計画はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。