当連結会計年度の売上高は、2兆2,090億円と前連結会計年度に比べ 2.7%の増加となりました。なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロに対する平均円レートはそれぞれ 120.12円(前連結会計年度に比べ 10.23円の円安)、132.68円(同 6.17円の円高)となっております。
国内の経済は企業収益や雇用情勢の改善がみられたものの、年初からの円高、株安等の影響により先行き不透明
な状況となっております。そのような状況の中、国内の売上高については、衣料事業の売却影響等によりその他分
野が減少したものの、ネットワークシステムソリューションが伸長したこと等により画像&ソリューション分野及
び産業分野が増加しました。結果として、国内売上高全体で前連結会計年度に比べ 0.3%の増加となりました。
海外の経済は、米国が引き続き緩やかな景気拡大を続けているものの、欧州の地政学的リスクの高まりに加え、
中国をはじめとする新興国経済が減速し、その影響が先進国経済にも波及する先行き不透明な状況となっていま
す。そのような状況の中、当連結会計年度の海外売上高については、MFPのカラー機が伸張したことに加え、対米ドルでの円安や事業買収の影響が寄与しました。米州においては 7.0%の増加、欧州・中東・アフリカにおいては 0.3%の減少、中華圏・アジア等のその他地域においては 5.6%の増加となりました。
以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 4.0%の増加となりました。
売上総利益は、売上高は増加したものの、市場環境の悪化や競争激化による単価下落の影響等により、前連結会
計年度に比べ 2.8%減少し 8,819億円となりました。
販売費及び一般管理費は、構造改革活動の成果はあったものの、対米ドルでの円安や買収の影響等により、前連
結会計年度に比べ 0.7%増加し 7,994億円となりました。
その他の収益は、国内販売拠点をはじめとした拠点再配置等、構造改革活動により生じた営業所・遊休地等の売
却益及びその他収益が含まれております。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ 11.6%減少し 1,022億円となりました。
金融損益は、前連結会計年度に比べ為替差損が増加しました。
税引前利益は前連結会計年度に比べ 14.8%減少し 956億円となりました。
また、インドの現地上場販売子会社において決算開示が遅れる等の問題がありました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ 8.1%減少し 629億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|||
|
|
|
金額 |
(%) |
金額 |
(%) |
金額 |
(%) |
|
画像&ソリューション分野 |
売上高 |
1,916,676 |
100.0 |
1,974,510 |
100.0 |
57,834 |
3.0 |
|
営業損益 |
172,258 |
9.0 |
147,728 |
7.5 |
△24,530 |
△14.2 |
|
|
産業分野 |
売上高 |
131,273 |
100.0 |
138,026 |
100.0 |
6,753 |
5.1 |
|
営業損益 |
6,399 |
4.9 |
11,017 |
8.0 |
4,618 |
72.2 |
|
|
その他分野 |
売上高 |
116,956 |
100.0 |
109,053 |
100.0 |
△7,903 |
△6.8 |
|
営業損益 |
△3,064 |
△2.6 |
1,411 |
1.3 |
4,475 |
― |
|
(注) 当連結会計年度より、一部のリース取引について総額表示から純額表示に変更しております。当該変更により前年同期については遡及適用した数値で表示しております。
上記にはファイナンス事業として以下が含まれております。 (単位:百万円)
|
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|||
|
|
|
金額 |
(%) |
金額 |
(%) |
金額 |
(%) |
|
ファイナンス事業 |
売上高 |
137,015 |
100.0 |
143,120 |
100.0 |
6,105 |
4.5 |
|
営業損益 |
29,779 |
21.7 |
31,229 |
21.8 |
1,450 |
4.9 |
|
① 画像&ソリューション分野
画像&ソリューション分野はオフィスイメージング、プロダクションプリンティング及びネットワークシステムソリューションから構成されております。画像&ソリューション分野全体の売上高は前連結会計年度に比べ 3.0%増加し 1兆9,745億円となりました。
(オフィスイメージング)
オフィスイメージングの売上高は、前連結会計年度に比べ 0.5%減少し 1兆4,320億円となりました。対米ド
ルでの円安の影響に加え、MFPのカラー機が国内外共に伸張したものの、市場環境の悪化や競争激化の影響等
により、売上高が減少しました。
国内においては、MFPのカラー機販売が堅調に推移しモノクロ機は台数を増やしたものの、販売価格下落により、ハードの売上高が減少しました。また厳しい事業環境と顧客要求の多様化を反映して販売価格が下落した影響により、アフターセールスの売上高も減少しました。
海外においては、積極的な拡販施策を展開しました。マネージドドキュメントサービス(MDS)の売上は米州を中心に伸長したものの、モノクロ機の減少及び販売価格の下落の影響により、売上高は減少しました。
(プロダクションプリンティング)
プロダクションプリンティングの売上高は、前連結会計年度に比べ 16.6%増加し 2,238億円となりました。
カラーPOD(プリントオンデマンド)のフラッグシップモデル「RICOH Pro C9110/C9100」シリーズの販売が好調に推移し、国内外ともにアフターセールスの売上が伸張しました。
国内においては、カラー機の販売及びアフターセールスが好調に推移したものの、連帳機・広幅機の落ち込みにより、売上高は前年並みとなりました。
海外においては、国内同様、連帳機の落ち込みがあるものの、カラー機の販売及びアフターセールスが好調に推移したことにより売上高は増加しました。
(ネットワークシステムソリューション)
ネットワークシステムソリューションの売上高は、前連結会計年度に比べ 11.8%増加し 3,186億円となりました。
国内においては、パソコン買替需要減少の影響を受けたものの、マイナンバー対応アプリケーション等の販売が好調に推移し、売上高が増加しました。
海外においては、前連結会計年度に買収を実施したイタリアNPO Sistemi srlが売上高増加に寄与しました。また、中華圏・アジア等のその他地域においては買収を実施した韓国Future Ware Ltd, Future Tech Ltdが売上高増加に寄与しました。
プロジェクターやユニファイドコミュニケーションシステム等新規事業についても、国内外で堅調に推移しました。
営業利益については、売上高の増加があったものの、競争激化による販売価格の下落の影響等により、前連結会計年度に比べ 14.2%(245億円)減少し 1,477億円となりました。
② 産業分野
産業分野の売上高は前連結会計年度に比べ 5.1%増加し 1,380億円となりました。
サーマル事業において、欧州における需要拡大により売上高が増加しました。また、インクジェット事業において、インクジェット関連技術の外販事業の伸長により国内外ともに売上高が好調に推移しました。
営業利益については、売上高の増加等により、前連結会計年度に比べ 72.2%(46億円)増加し、110億円となりました。
③ その他分野
その他分野の売上高は、前連結会計年度に比べ 6.8%減少し 1,090億円となりました。
デジタルカメラ事業においては、デジタル一眼レフKシリーズ「PENTAX K-3 Ⅱ」、ロングセラー機の後継ハイエンドコンパクトカメラ「GR Ⅱ」、ワンショットで360度撮影が可能なTHETAのハイエンド機「THETA S」等を発売しましたが、市場環境悪化の影響を受け、売上高は国内外ともに減少しました。また、衣料事業を売却した影響もあり、売上高が減少しました。
営業利益については、ファイナンス事業の増益等により大幅に増加し、14億円となりました(前連結会計年度 営業損失 30億円)。
営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、「当期利益」の減少等に伴い、前連結会計年度に比べ 26億円減少し 998億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、「有形固定資産の売却」の増加等に伴い、前連結会計年度に比べ
393億円減少し 1,041億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローの収入は、「長期借入債務の返済」の減少等により、前連結会計年度に比べ
127億円増加し 426億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 298億円増加し 1,675億
円となりました。
前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年度比(%) |
|
画像&ソリューション分野 |
1,511,533 |
1,507,040 |
△0.3% |
|
産業分野 |
131,815 |
135,082 |
2.5% |
|
その他分野 |
129,428 |
114,848 |
△11.3% |
|
合計 |
1,772,776 |
1,756,970 |
△0.9% |
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
事業の種類別セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年度比(%) |
|
画像&ソリューション分野 |
1,916,676 |
1,974,510 |
3.0% |
|
産業分野 |
117,772 |
125,465 |
6.5% |
|
その他分野 |
116,956 |
109,053 |
△6.8% |
|
合計 |
2,151,404 |
2,209,028 |
2.7% |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度より、一部のリース取引について総額表示から純額表示に変更しております。
当該変更により前年同期については遡及適用した数値で表示しております。
3 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
世界経済は、年初から先進国での株価下落が進んでおり長期金利も歴史的低水準となりました。また原油な
どの一次産品価格も全般的に極めて低い水準まで低下しました。他方、為替面では日本の円が安全通貨として
見られ円高が進んでいます。先進国では米国経済が引き続き緩やかな拡大を続けていますが、欧州では、不透
明な経済環境が継続する中、物価の押し下げ圧力が高まっています。また新興国では中国やロシア、ブラジル
などで経済の減速がみられる一方、中国以外のアジア諸国では成長が維持されています。日本経済は踊り場と
なっていますが、企業は合理化投資よりも自社の業績拡大・新規事業創出につながる戦略投資の比重を高めて
います。
このような環境変化の中で、リコーグループは対処すべき課題として以下の3点に注力します。
(1) 基盤事業の収益改善
オフィスイメージングでは、業務効率向上に貢献する拡張機能を備えた魅力ある新製品を継続的に投入し、
A3 複合機市場で世界シェアNo.1 を維持します。さらに製品原価の低減を図るだけでなく、販売・保守サービ
スに至るまでのバリューチェーンの最適化も行い収益向上を進めます。また、米州極をはじめとして市場競争
はますます激しくなる中、当社は業種業務別アプローチを強化し、顧客の業種特性にあわせた価値提供を行う
ことで収益性を高めます。
ネットワークシステムソリューションでは、サービス事業の拡大が狙い通りに進んでいます。今後は地域ご
との特色を活かしながらサービスメニューを全世界で拡充します。また、既に投資したインフラでは重複部分
の共通化を進め、事業の収益率を高めていきます。
プロダクションプリンティングでは、製品ラインナップを拡充するとともに、広告媒体や販促物の企画から
制作・生産まで一連のプロセスをワンストップで支援できる体制が整いました。今後、企業内印刷に加え、商
用印刷領域の事業拡大を加速します。さらに、製造業としてのリコーのノウハウを活用し、印刷業のお客様の
業務プロセス改善を支援していきます。
(2) 新たな事業の成長と加速
成長・新規事業においては狙いの市場に投資を集中し確実に事業の成長を実現します。
工業製品など紙以外のあらゆる媒体に印刷を行うデジタル印刷ニーズが高まっています。当社は長年培った
インクジェット技術を核として、産業用印刷市場で事業を拡大します。また、事業成長の加速のために外部企
業とのアライアンスなども積極的に進めていきます。
インダストリやアディティブマニュファクチャリング(3D プリント関連事業)などにおいても、各種の新た
な製品・サービスを投入し、リコーグループの顧客接点力を活かし積極的に拡販していきます。
(3) 全社構造改革の継続展開
これまで進めてきた資産の見直しを含む経営体質強化の勢いを緩めることなく、開発・生産・販売・購買・
本社等、すべての機能の生産性向上及び利益貢献のための活動をさらに推進し、外部環境の変化に左右され
ない強靭な経営基盤作りをグローバルで進めます。
また、見直しを行ったコーポレート・ガバナンス体制のもとで、誠実な事業運営を行い、厳しい事業環境の
中でも経営の透明性・実効性をさらに強化します。
最後に、リコーグループが永続するためには環境変化に適応しながら、新しいお客様価値を社会に提供し続け
なければなりません。「安心」、「快適」、「便利」の3つの側面から、お客様や社会などの未来を発想し、
その実現に貢献してまいります。そして、この貢献を実現すべく、今なすべき自己の変革を実行してまいりま
す。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクの一部を以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 技術変化への対応力
当社グループは事務機器分野において、複写機/複合機、プロダクションプリンター、プリンター及びデジタル印刷機等を提供しております。この分野における技術の変化は急激であり、また製品のライフ・サイクルは非常に短くなっております。当社グループの製品は大半がこの分野に属しており、当社グループの成功はこうした技術変化への対応力にかかっております。この分野で競争力を維持するために、当社グループは研究開発活動に多くの経営資源及び資金を投入しております。このような投資にも関わらず、新製品の開発工程や技術内容は極めて複雑かつ不確実であり、以下を始めとする様々なリスクに晒されております。
・当社グループの製品や技術がお客様のニーズを満たす、あるいは市場から認められるかどうか、当社グループが正確に予測できる保証はありません。
・既存製品の機能を併せ持ったさらに先進的な製品の投入が、こうした各既存製品の販売実績に悪影響を及ぼさないという保証はありません。
・当社グループが新製品や技術に必要な原材料や部品を仕入先から低価格で調達できる保証はありません。
・当社グループが市場機会を捉えるのに失敗し、その結果損失を被ることのないように、新製品の販売プロセスを管理できる保証はありません。
・当社グループがすべての新規開発製品の販売に成功する保証はありません。
・当社グループが業界の変化に十分対応できる保証はありません。
上記のリスクを含め、当社グループがこの分野に関連するいずれかのリスクへの対応に失敗した場合、当社グループの将来の成長及び収益性が低下し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合の激化
当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合他社との競争激化、低価格品への需要シフト、製品ライフサイクルの短縮化、代替製品の出現等が考えられます。
当社グループは、事務機器分野におけるリーディングカンパニーとして新製品の導入や高品質、高付加価値製品の提供等により、顧客満足を得るべく努めておりますが、将来、効率的に競争を継続できる保証はありません。当社グループが競争力を維持できず、価格低下圧力に晒され、あるいは潜在的な顧客の獲得に失敗した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) グローバルな事業活動
当社グループは事業活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。こうした海外市場で事業を行う際には、以下のような特有のリスクがあります。
・好ましくない政治的又は経済的要因
・為替レートの変動
・潜在的に不利な税影響
・予想外の法的、又は規制面の変化
・知的所有権の保護制度の未整備
・社員の採用と雇用維持及びマネジメントの難しさ
・インフラの未整備
グローバルな事業活動におけるリスクに当社グループが十分に対処できない場合、事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 主要市場における経済動向
当社グループ製品に対する需要は日本、米国、欧州及び中国を含むその他地域等の当社グループの主要市場における景気変動の影響を受けます。主要市場の景気後退及び消費の落込みは当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替レートの変動
当社の海外子会社の現地通貨建ての業績は各会計年度の平均レートを用いて円換算され、連結損益計算書及び連結包括利益計算書に計上されます。現地通貨建ての資産・負債は各決算日現在の為替レートを用いて円換算され、連結財政状態計算書に計上されます。従って、業績、資産・負債は為替レートの変動に左右されます。
さらに、営業損益は為替レートの変動の影響を非常に受けやすくなっております。当社グループは、生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国等その他地域等で行っており、外貨建て収益及び費用の比率が高いためです。当社グループは米ドル、ユーロ及び円等の主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関と為替予約等のヘッジ取引を行っておりますが、為替水準の中・長期的な変動により将来の調達、生産、物流及び販売活動が困難になり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 部品や原材料の調達
当社グループは部品や原材料を外部調達しており、幅広いサプライヤーから部品や原材料の供給を受けることで、質の確保はもとより、安定した価格及び量の確保を行っております。しかし、当社グループの製品は原油を原料とする部品や原材料を多数使用していることから、原油価格の高騰により、製造原価が上昇する可能性があります。また、サプライヤーに不測の事態が生じた場合やサプライヤーの部品や原材料に品質問題あるいは供給不足が発生した場合には、当社グループの生産活動が中断される可能性があります。当社グループがこれらの影響を販売価格に転嫁できなかった場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 公的な規制
当社グループは事業を展開している各国の政府の様々な規制及び認可手続きの影響を受けます。例えば、事業と投資計画の承認を得る必要があるほか、輸出規制と関税、並びに通商、独占禁止、特許、消費者と事業への課税、為替管理及び環境やリサイクル法等の規則や規制下にあります。当社グループは、CSR推進組織を設置し、遵法に関する社内的な諸活動を従業員に実施させ、これらの規則や規制に違反することを未然に防止しております。しかしながら、仮に当社グループがこうした規制のいずれかに準拠できない、又は必要な認可を得られない場合、各国での活動は制約される可能性があります。さらに、仮に規制に適合できても、それが費用の増加につながることも考えられます。従って、こうした規制は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 知的所有権の保護
当社グループは数多くの知的所有権を保有し、ライセンス供与しております。当社グループが必要、又は望ましいと判断した場合、他社の知的所有権を利用するため、新たにライセンスを導入いたします。当社グループがこうした知的所有権の保護、維持、あるいは取得に失敗した場合、経営成績及び競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは知的所有権の対象となる発明に対して、その発明者に相当の報奨金を支給する等、適切な対応をとっております。しかしながら、将来、発明者から発明の報奨金について対価を請求する訴訟を起こされる可能性があります。
(9) 人材の確保
当社グループの中長期的な成長は従業員個々人の力量に大きく依存するため、適切な時期に優秀な人材を確保し雇用を維持することが必須であると認識しております。当社グループでは継続的に優秀な人材の確保と育成に注力しておりますが、優秀な人材の確保が計画どおり進まなかった場合や既存の優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの将来の成長、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 確定給付制度債務
確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいて当社グループはこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。現時点では、直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場等の予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になる可能性があります。こうした追加的な資金拠出と費用負担が、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 環境規制
当社グループの事業は有害物質の排出、排水、使用及び処理、廃棄物処理、製品のリサイクル及び土壌と地下水の汚染等を管理する様々な環境法及び規制の制約を受けております。当社グループは現在及び過去の生産活動の中で環境責任というリスクに直面しております。将来の環境法遵守又は環境改善のための追加的な義務に関連した費用が当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) ファイナンス事業
当社グループは当社グループ製品の販売及びリースに伴い、一部のお客様に対してファイナンス事業を行っております。ファイナンス契約の締結前及びファイナンス期間中は定期的に、お客様の信用度及び信用の供与額を評価しています。信用リスクの集中、与信の未払い等の潜在的リスクも最小限に抑える必要があると考えているため、こうした評価によって、信用供与の程度を調整しております。このようなモニタリングを行っておりますが、お客様の債務不履行は完全には予測できないため、信用供与額をすべて回収できる保証はありません。
これに加えて、当社グループがお客様と締結するこうしたファイナンス契約は固定金利の長期営業債権になります。しかし、当社グループはこうしたファイナンス契約用の資金を変動金利による短期借入での調達のほか、長期確定の債権に対する金利変動リスクをヘッジする目的で、契約期間にあわせた固定金利による調達も行っておりますが、こうした金利差を完全にヘッジすることはできません。
仮に当社グループがファイナンス事業のこうしたリスクに十分に対処できない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 製造物責任
当社グループは当社グループ製品及びサービスに関連した欠陥や問題に対し責任を負う可能性があります。欠陥によっては、重大な賠償責任を負うことも考えられ、それが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、高度で複雑な技術を利用した製品及びサービスの提供が増加していくのに伴い、このような欠陥が発生する頻度は高まる可能性があります。当社グループの責任の拡大につながる可能性がある欠陥の潜在的な増加は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、万が一、欠陥が発生した場合における社会的評価の低下は、お客様の当社グループの製品及びサービスに対する購買意欲を低減させる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
(14) 他社との業務提携、合弁事業及び戦略的投資
当社グループはお客様のニーズの変化に対応して様々な製品・サービスを提供するため、必要に応じて他社との業務提携、合弁事業、戦略的投資を行っております。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに新技術・新製品を開発・販売する上で有効な手段であると考えております。しかしながら、業務提携・合弁事業において、財政状態やその他の理由により、当事者間で利害の不一致が生じた場合には、提携を維持できなくなる可能性があります。また、買収等戦略的投資については、事業、技術、製品及び人材等の統合において、期待する成果や効果が得られない可能性があり、また時間や費用等が想定以上にかかる可能性があります。従って、これらの施策の成否は当社グループ事業に重大な影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 情報セキュリティ
当社グループは事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また多くの個人情報を有しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、データベースへのアクセス環境、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する制度の徹底を図る社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜や損害賠償責任のために多額の費用負担等の可能性があります。また、当社グループの機密事項が第三者に流出した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16) 災害等による影響
当社グループは、地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザ等の感染症の流行の発生時にも、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するために、定期的な設備点検、防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築等、事業継続計画(BCP)を整備し影響の回避に努めています。しかし、大規模な地震、その他事業の継続に支障をきたす災害、事故の影響等が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
技術の導入及び供与に関する契約等
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国・ |
契約の内容 |
契約期間 |
|
株式会社リコー |
International |
米国 |
情報処理分野に関する包括的特許クロスライセンスの許諾 |
2007年3月28日から |
|
株式会社リコー |
ADOBE Systems |
米国 |
プリンターソフトウエア開発及び販売ライセンスの許諾 |
1999年1月1日から |
|
株式会社リコー |
Lemelson Medical, |
米国 |
コンピュータイメージ分析 |
1993年3月31日から |
|
株式会社リコー |
キヤノン株式会社 |
日本 |
事務機器製品に関する特許実施権の許諾 |
1998年10月1日から |
|
株式会社リコー |
京セラドキュメントソリューションズ株式会社 |
日本 |
デジタル画像形成装置における複合機制御方式に関する特許実施権の許諾 |
2012年1月1日から |
|
株式会社リコー |
京セラドキュメントソリューションズ株式会社 |
日本 |
ファクシミリ機能に関する特許実施権の許諾 |
2012年6月1日から |
|
株式会社リコー |
ソニー株式会社 |
日本 |
光ディスクに関する特許実施権の許諾及びデジタルカメラに関する包括的クロスライセンス(供与・相互) |
2009年4月1日から |
|
株式会社リコー |
Hewlett-Packard Company |
米国 |
文書処理システム分野に関する包括的特許クロスライセンスの許諾(相互) |
2011年10月31日から |
|
株式会社リコー |
船井電機株式会社 |
日本 |
光ディスクに関する特許実施権の許諾(供与) |
2014年10月1日から |
|
株式会社リコー |
ブラザー工業株式会社 |
日本 |
事務機器製品に関する特許実施権の許諾(供与) |
2014年10月1日から |
※ Quantum Storage Inc.との光ディスクに関する特許実施権の許諾(供与)契約につきましては、2016年2月22日に契約が満了したことに伴い終了しました。
近年の急速な技術革新、ビジネスのグローバル化等、私たちの働く環境は 急激な変貌を遂げています。こうした社会の変化を踏まえ、当社グループ(当社及び連結子会社)は、人と情報のかかわりを重視し、革新的な価値を生みだす商品・サービスの提供をとおして世の中に貢献することを基本理念としております。この理念に基づき、より良いコミュニケーションを生み出す新技術を開発するために研究開発部門をグローバルで各地に配し、技術リサーチから、要素技術研究、製品応用化のための基盤技術開発、そして環境技術、生産技術開発まで、グループ全体で積極的な研究開発活動を進めております。また、大学・研究機関・企業の力を活用するオープンイノベーションを推進することで、最先端技術の開発を加速しています。
当社グループは、今後も、長年の製品開発で培ってきた画像処理、光学、材料・デバイス、環境、ネットワーク、ソフトウェア等のコア技術を新たなアイデアと融合させ、イノベイティブな技術開発に積極的に取り組み、お客様に感動していただけるような革新的な商品・サービスの実現を目指していきます。
IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費(16,537百万円)を含む当連結会計年度の研究開発投資は118,583百万円です。
(1) 画像&ソリューション分野
一般のオフィスからプロダクションプリンティング分野にわたる複合機やプリンターの電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウェア技術、オフィスソリューションを支えるアプリケーション技術の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
■MFP(マルチファンクションプリンター)関連
コンパクト設計のA4デジタルフルカラー/モノクロ複合機、及び広幅のデジタル複合機を商品化しました。
|
・デジタルフルカラー複合機 |
… |
高性能A4カラー機「RICOH MP C305 SP」の後継機として、コンパクトボディながら、コピー/プリント速度は片面両面同速でフルカラー・モノクロともに30枚/分(A4タテ)と、高い生産性を達成しています。操作パネルの液晶画面は10.1インチに大型化し、かつ直感的な操作性を実現しています。 |
|
・デジタルモノクロ複合機 |
… |
本体サイズ幅350mm×奥行487mm×高505mmとコンパクト設計のA4複合機でありながら、A3サイズの給紙/排紙が可能です。さらに当社独自の静音化技術を搭載することで優れた静音性、そして連続複写速度は30枚/分(A4ヨコ)、ファーストコピータイムも4.3秒(A4ヨコ)と高い生産性を実現しています。 |
|
・A0/A1判対応デジタル複合機 |
… |
両製品とも前身機と比較して生産性と操作性が向上し、各種ソリューション連携が可能です。フルカラースキャナー機能の標準搭載に加え、高圧縮PDFデータ変換、スキャン変倍機能により、大判図面でもフルカラーによる電子化を促進します。 |
■プロダクションプリンティング関連
「RICOH Proシリーズ」のフラッグシップモデルと商用印刷市場向けプリンターコントローラーを商品化しました。
|
・カラープロダクションプリンター |
… |
当社のカラーPOD(プリントオンデマンド)のフラッグシップモデルとして、ラインアップ最高の品質、用紙対応力、生産性を実現しています。面発光型半導体レーザーVCSEL技術を搭載し、書き込み解像度1,200dpi×4,800dpiによる高画質に加え、130ページ/分(A4ヨコ)*という高生産性を実現しています。 |
|
・プリンターコントローラー |
… |
プロダクションプリンター「RICOH Pro C シリーズ」に、印刷業務をサポートする高速カラーコントローラーのラインナップが加わりました。商用印刷市場でデジタル印刷に求められる高い生産性と品質で、優れたパフォーマンスを実現しています。リコーの先進技術と独自アーキテクチャーによって、複雑なデザインやエフェクトを含んだPDFデータを高品質で高速、正確に出力することが可能です。 |
■VC(ビジュアルコミュニケーション)関連
テレビ会議・Web会議システム、インタラクティブホワイトボード(電子黒板)、プロジェクター、デジタルサイネージといったビジュアルコミュニケーション機器の提供を通して、さまざまな業種での生産性向上、新たなワークスタイルを提案します。
|
・教育現場のICT活用を支援する大画面の電子黒板「RICOH Interactive Whiteboard D6500」 |
… |
従来製品の「リコー インタラクティブ ホワイトボード D5510」に対し、教育現場で必要とされる機能に特化した新製品です。ディスプレイは65インチと大画面で映り込み防止処理がされ、教育用アプリケーションを搭載したパソコンと連動することにより、複数の生徒が指で同時に書き込むことが可能です。また、内蔵スピーカーを搭載し、複数種類の入出力端子にも対応しています。 |
|
・超短焦点プロジェクター |
… |
「RICOH PJ WX4141シリーズ」の後継機種です。当社独自の曲面ミラーを採用し、超短焦点モデルとしては世界最小*・最軽量*・最至近*の3大特長はそのままに、3,500lmに輝度を向上し、本体を横置きにした机上投影対応、ネットワークユーティリティを用いた4人同時接続等、機能活用の幅を大きく拡げました。 |
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は93,336百万円です。
(2) 産業分野
産業用レーザー、レーザー加工機の開発やFA用のピッキングシステム、車載機器向けDC/DCコントローラIC等の産業用途システム・デバイスの技術開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
|
・2D/3D併用型ピッキングシステム |
… |
業界で初めて*、部品のピッキングから組み付けまでを自動化しました。アームロボットに産業用ステレオカメラ「RICOH SV-M-S1」を搭載し、当社独自の3D認識技術とロボット制御技術などを組み合わせることで、さまざまなサイズの部品をピッキングから組み付けまで自動化することを実現しました。 |
|
・超短パルスファイバーレーザー |
… |
情報家電・IT分野のデバイスや光学部品製造等の精密加工を効率化する、産業用レーザー加工装置です。10W以上のファイバーレーザーでは業界初*となる直接変調方式シード光源を採用した、平均出力最大16W、最短パルス幅50ピコ秒のファイバーレーザーで、「熱加工」と「非熱加工」の各々の特徴を活かした複合的な加工が可能です。薄膜太陽電池の電極パターニングやフラットパネルディスプレイガラスの切断、微細光学素子の金型加工等で優れた性能を発揮します。 |
|
・機能性フィルム用レーザーパターニング装置 |
… |
スマートフォンやタブレット端末のタッチパネル等で使用される機能性高分子フィルム用のレーザー加工機です。前述の超短パルスファイバーレーザー「RICOH SU-1020」を搭載し、そのピコ秒レーザー技術により、タッチパネルに用いられるITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明電導膜と銀引出電極の同時加工を世界で初めて*実現しています。これにより、生産効率が著しく向上します。 |
|
・車載機器向け降圧DC/DCコントローラIC |
… |
高耐圧で動作最大電圧が34Vと高いため、車載バッテリ(+12V)から直接入力することができるICです。大電流出力を可能とし出力電流20A*を駆動することができます。このほか、軽負荷高効率を実現しており、SSCG機能も搭載しています。 |
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は8,994百万円です。
(3) その他分野(コンシューマ分野)
全天球カメラTHETAやデジタル一眼レフカメラをはじめとするイメージングシステム関連技術の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
■ 全天球カメラ関連
|
ハイスペック上位モデル |
… |
製品コンセプトである小型・軽量ボディはそのままに、新開発のレンズユニットやイメージセンサーの大型化、最新の画像処理等により、高画質な全天球イメージの撮影、高品質な全天球動画撮影(最大25分間)を実現しました。静止画撮影時には、全天球イメージをスマートフォンやタブレット上で確認しながら撮影できる、RICOH THETA初のライブビュー機能を搭載しました。 |
|
・360度画像編集アプリ |
… |
全天球カメラ「RICOH THETA(リコー・シータ)」で撮影した動画を編集できる専用アプリで、トリム、ビューの切り替え、色調の変更、BGM挿入等の編集・加工を簡単に行うことができます。 |
■ デジタルカメラ関連(リコーイメージング株式会社)
|
・35ミリフルサイズデジタル一眼レフカメラ |
… |
35ミリ判フィルムと同等サイズの大型CMOSイメージセンサーを搭載した、Kシリーズ最高級機です。超高精細な約3640万画素の有効画素数と独自の画像処理技術等により、階調再現性や高感度性能にも優れた高画質な画像を実現しています。このほか、5軸対応の新手ぶれ補正機構の搭載、人工知能技術を応用した露出制御機能等、最新のテクノロジーを採用しています。 |
|
ハイエンドコンパクトデジタルカメラ |
… |
「GR」の後継機として、当社一眼レフカメラと同等サイズの大型イメージセンサーによる高画質画像と、ストリートスナップに最適な小型ボディで、高画質と携帯性の両立というコンセプトを継承しています。また、「GR」シリーズ初となるWi-FiTM機能とスマートフォン等の端末と簡単にペアリングできるNFC(Near Field Communication)機能を新たに採用し、スマートフォン等と連携して画像伝送やリモート撮影を可能にしました。 |
|
ハイスペックアクションカメラ |
… |
スタンダードクラスの防水アクションカメラ「RICOH WG-M1」の上位機種として開発しました。小型・軽量ボディに、水深20mの防水性能と、高さ2mからの耐落下衝撃性能、マイナス10℃の耐寒性能を備えています。さらに、当社デジタルカメラで初となる4K動画撮影に対応しており、超広角約204°の迫力のある映像を、高ビットレートの高画質で記録することができます。 |
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は211百万円です。
(4) 基礎研究分野
各事業に分類できない基礎研究分野として、ナノテクノロジー、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、計測・分析・シミュレーション等の基盤技術の研究開発、新規材料/デバイスの研究開発、次世代画像表示・画像認識・画像処理技術の研究開発、データの収集・解析技術の研究開発、生産技術開発、システムソリューションの開発、高速・高品位画像処理のための光技術を中核としたフォトニクス技術、環境関連技術及びヘルスケア関連技術の研究開発等を行っております。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は16,042百万円です。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 3 重要な会計方針」に記載しております。
(2) 業績
|
全般 |
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、2兆2,090億円と前連結会計年度に比べ 2.7%(576億円)増加しました。画像&ソリューション分野、産業分野において前連結会計年度に比べ増収となりました。
画像&ソリューション分野では、国内のネットワークシステムソリューションにおいてパソコン買替需要減の影響はあったものの、対米ドルでの円安の影響に加え、MFPのカラー機やプロダクションプリンティングにおけるカットシートのカラー機、ソリューション商材において売上が伸長しました。
産業分野の売上高は、サーマル事業の伸長や、インクジェット事業の伸長により、増加しました。
また、その他分野の売上高は、衣料事業の売却影響に加え、カメラ事業の売上が減少しました。
② 売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ 6.6%(825億円)増加し1兆3,270億円となりました。売上高の増加や対米ドルでの円安の影響等により増加しました。
③ 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ 2.8%(249億円)減少し 8,819億円となりました。売上高は増加したものの、市場環境の悪化や競争激化による販売価格の下落の影響等により、減少しました。
④ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ 0.7%(53億円)増加し 7,994億円となりました。グループをあげて取り組んでいる構造改革活動の成果はあったものの、対米ドルでの円安や買収の影響等により、増加しました。
⑤ その他の収益
その他の収益は、国内販売拠点をはじめとした拠点再配置等、構造改革活動により生じた営業所・遊休地等の売却及びその他収益が含まれております。
⑥ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ 11.6%(134億円)減少し 1,022億円となりました。売上総利益の減少、販売費及び一般管理費の増加により減少しました。
⑦ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べ 14.8%(166億円)減少し 956億円となりました。営業利益の減少に加えて、為替差損が増加したことに伴い金融費用が前連結会計年度に比べ増加しました。
⑧ 法人所得税費用
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ 26.5%(102億円)減少し 283億円となりました。
当連結会計年度における実効税率は30%となりました(前連結会計年度 実効税率34%)。標準法定実効税率33%との差異は、海外連結子会社の法定税率との差異や未認識の繰延税金資産の減少等によるものです。
⑨ 親会社の所有者に帰属する当期利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ 8.1%(55億円)減少し 629億円となりました。
(3) 流動性と資本源泉
|
キャッシュ・フロー |
営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度に比べ 26億円減少し 998億円となりました。主な減少要因として、市場環境の悪化や競争激化による販売価格の下落の影響による当期利益の減少等が挙げられます。
投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、前連結会計年度に比べ 393億円減少し 1,041億円となりました。主な減少要因として、拠点再配置等の構造改革活動により生じた遊休資産の売却収入による影響等が挙げられます。支出の主な内訳は、有形固定資産の設備投資 837億円、無形資産の購入 289億円、事業の買収 56億円等です。このうち、有形固定資産の設備投資には、複写機器及び情報機器生産設備の拡充及び合理化投資、レンタル用資産の取得等が含まれます。
財務活動によるキャッシュ・フローは、426億円の収入となりました。長期借入債務の返済 844億円や、配当金の支払 250億円による支出がありました。一方で、社債発行 200億円や、長期借入債務による調達 1,988億円等により、調達を実施しました。
|
現金及び資産負債総合管理 |
事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、当連結会計年度よりグローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。
また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等及び通貨オプションを設定しており、金利の変動が金利支払によるキャッシュ・フローに与える潜在的な悪影響をヘッジするため、金利スワップ契約を結んでおります。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。
|
資金源泉 |
当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠、コマーシャルペーパー、及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資本源泉の必要額を判断する際、連結財政状態計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は1,675億円、借入枠は7,299億円であり、そのうち未使用残高は6,859億円でありました。当社は500億円(借入枠7,299億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。また、リコーリース株式会社は500億円(借入枠7,299億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。借入枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能ですが、これら金融機関からの借入のほとんどが無担保です。
当社及び一部の連結子会社は、コマーシャルペーパー、及び社債の発行により資金を調達しております。当連結会計年度において、当社及び一部の連結子会社が発行するコマーシャルペーパーの金利は0.08%~0.65%、銀行借入の金利は0.06%~10.90%、社債の金利は0.07%~7.30%です。また、当社グループは日本、米国、欧州及びグローバルにキャッシュマネジメントシステムを活用し、有利子負債の残高を継続的に削減しております。
当社は大手格付機関(マグロウヒル・カンパニーズの一部門であるスタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下「ムーディーズ」)、及び日本の格付け機関1社)から格付けを取得しております。当連結会計年度末現在、当社の格付けはS&Pが長期A及び短期A-1、またムーディーズは短期P-1となっております。
日本では慣習的に、ほぼすべての銀行借入はそれぞれの銀行との一般契約に従っております。これは、合理的で相当な理由がある場合、銀行は借入金に対して追加的な担保を求めることができ、提出された担保を定期預金と同様に現在及び将来の債務に対する担保として扱えるというものですが、当社は現在までそのような要請を受けたことはありません。
|
必要資金及び契約債務 |
当社グループは現金及び現金同等物、並びに営業活動により創出が見込まれる資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している借入枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び既存事業の拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。
当社グループは、翌連結会計年度に900億円の設備投資額を予定しておりますが、主に画像&ソリューション分野、産業分野における生産設備の拡充及び合理化投資に関するものです。
その他に、長期債務の返済として翌連結会計年度に1,467億円、その後3年間で4,567億円を予定しております。
当社及び一部の連結子会社は全従業員に対し様々な従業員年金制度を有しております。連結財務諸表の注記事項21に記載のとおり、確定給付制度債務の積立不足額は、当連結会計年度末現在 1,387億円となりました。この積立不足額を当連結会計年度の連結財政状態計算書に負債計上しております。
年金制度への拠出額は前連結会計年度が207億円、当連結会計年度は212億円でした。
(4)経営戦略の現状と見直し
当社グループの事業において中核をなす画像&ソリューション分野については、市場環境が大きく変化しており、事業構造の転換期にあると認識しております。そうした環境変化の中でも永続的に新しい価値提供を行うために、リコーグループは2020年とその先の未来を見据えた目指す姿を、「お客様の期待を超えた、 安心・快適・便利 を提供しライフスタイルの変革を支援する、環境にやさしい会社」と定めました。この目指す姿に向けて「事業戦略・経営システム・体質改造の三位一体での変革」を継続しています。
事業戦略としては、「基盤事業での収益力の強化と成長」と「新たな事業の柱の構築による成長」の2つを基本戦略としています。当連結会計年度における基本戦略の達成状況は以下のとおりです。
画像&ソリューション分野での収益力の強化と成長
基盤事業である「画像&ソリューション分野」においては、各種新製品の投入に加え、販売・サービス体制の拡大など、収益力強化のための施策を展開しました。
その中で、オフィスイメージングにおいては、デジタル複合機の新製品として、A4モノクロ複合機3機種、A4フルカラー複合機1機種を発売しました。A4フルカラー複合機「RICOH MP C306シリーズ」はコンパクトボディでありながら、コピー/プリント速度は、片面両面同速で30ページ/分(A4タテ)と、高い生産性を実現しています。また、オプションの個人認証システムなど各種ソリューションとも連携するなど、A3複合機と同等の対応力でお客様の業務改善を支援します。
プリンターでは、新製品としてA3カラープリンター「RICOH SP C740」、A4モノクロプリンター3機種を発売し、ラインナップ拡充を進めました。
加えて、新興地域での成長のために、東欧地域のオフィス機器販売代理店であるImpromat社のチェコ共和国及びスロバキア共和国における子会社2社を買収しました。地域に根付いた販売代理店の専門性とリコーの製品・サービスの連携をさらに強化することにより、お客様へのより質の高いサービス・付加価値を提供してまいります。
また、環境保全と利益創出の同時実現を目指す環境経営の取り組みの一環として、再生複合機のビジネスを中国でも開始しました。複合機メーカーで初めて使用済み複合機の中国への輸入と再生製造の認可を取得し、先進国で展開してきた再生複合機ビジネスを新興国にも拡大します。
プロダクションプリンティングにおいては、カラープロダクションプリンターの新製品「RICOH Pro C9110/C9100」を発売しました。リコーのカラープリントオンデマンド機の最上位機種として、最高の印刷品質、用紙対応力、生産性を実現しており、パッケージ、カタログ、ブックカバー、バナーなど多様な印刷物の制作を可能にします。加えて、自社開発プリンターコントローラー「TotalFlow プリントサーバー R-60/R-60A」を発売しました。これにより、商用印刷市場で求められる、多品種小ロットのオンデマンド印刷などお客様の幅広いニーズに対して優れたパフォーマンスを提供いたします。
ネットワークシステムソリューションにおいては、国内向けITサービスの新メニューとして、お客様のネットワーク環境を安全かつ柔軟に構築・保守・運用することが可能な「リモートネットワークサービス」を発売しました。さらに、クラウド型のセキュリティ対策サービスを発売するなど、お客様のニーズにお応えするサービスを拡充しました。また、ビジュアルコミュニケーションにおいても、教育現場などでのICT活用を支援する電子黒板「RICOH Interactive Whiteboard D6500」や、リコー初のレーザー光源を採用したプロジェクターの新製品「RICOH PJ WUL6280/WXL6280」を発売しました。
新たな事業の柱の構築による成長
産業分野においては、今後拡大が見込まれる産業用印刷市場で、インクジェット事業の強化、拡大を進めました。日立ハイテクファインシステムズ社との協業により、高精度・高効率な産業用インクジェットプリントシステムを製造し、建装材、インテリア、住宅設備から自動車内装など、さまざまな分野のお客様に新たな価値を提供いたします。さらにTシャツなどの服飾品生地に直接印刷するプリンターの製造販売会社であるAnaJet社を買収しました。今後、大手衣料製造業や印刷会社、アパレル店舗などのお客様に向けた販売を拡大します。
サーマル事業では、消費の増大に伴い市場拡大が期待されるインドネシアにバーコードラベル向けの熱転写リボンの現地加工・販売を行う新会社を設立しました。今後、工業用途や食品、物流などにおいて現地でのニーズに合わせた製品の提供を行います。
また、3Dプリンター関連事業であるアディティブマニュファクチャリングでは、製造現場向けの新たな3Dプリント関連サービスを開始しました。「RICOH Rapid Fab 厚木」(神奈川県厚木市)にて専門の技術者と複数の方式の3Dプリンターを活用し、お客様の部品や製品の直接製造サービスを行います。さらに、自社ブランド製品として初の3Dプリンター「RICOH AM S5500P」を発売しました。高機能材料に対応した大型部品の一括造形を実現します。
その他分野においては、撮影者を取り囲む全天球イメージをワンショットで撮影できる「RICOH THETA」の上位モデルとして、高精細な静止画像や高品質な動画撮影、ライブビュー機能などに対応した「RICOH THETA S」を発売しました。より高画質を求めるユーザーからの要望だけでなく、拡大しつつあるビジネス用途での高い要求にお応えし、好評いただいております。さらに、デジタルカメラでは、多くのファンの方にご愛用いただいている「GR」の後継機として「GRⅡ」を発売しました。使いやすさや撮影表現の幅を一層広げ様々なシーンで楽しめるモデルとなっています。
そのほか新たな取り組みとして、「人が集い、学び、成長する。そして未来を創造していく場」をコンセプトとした商業施設「RICOH Future House」を、神奈川県の海老名駅西口にオープンしました。安全なまちづくり、次世代育成など、地域の活性化に貢献する新たな事業の創出を目指しています。
また、従来から神経活動により生じる生体磁気を可視化する生体磁気計測装置(脊磁計)の開発に取り組んでおりましたが、このたび横河電機株式会社から脳磁計事業を継承し、ヘルスケア分野へ本格的に参入しました。今後、当分野での画像診断装置事業の研究開発・事業展開を加速してまいります。