第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の売上高は、2兆288億円と前連結会計年度に比べ 8.2%の減少となりました。なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロに対する平均円レートはそれぞれ 108.39円(前連結会計年度に比べ 11.73円の円高)、118.82円(同 13.86円の円高)となっております。

国内の経済は緩やかに持ち直してきているものの、国内経済を取り巻く地政学リスクの高まりにより先行き不透明な状況が続いております。このような状況の中、国内の売上高については、画像&ソリューション分野が減少したものの、産業分野及びその他分野が前連結会計年度に比べ増加しました。結果として、国内売上高全体で前連結会計年度に比べ 0.8%の増加となりました。

海外の経済は、米州では米大統領選挙以降の景気拡大への期待感はあるものの、欧州でのイギリスのEU離脱問題等により先行き不透明感が高まっております。また中国をはじめとする新興国においては経済成長の減速傾向に歯止めがかかり持ち直しの動きがみられます。そのような状況の中、当連結会計年度の海外売上高については、主に画像&ソリューション分野が減少しました。米州においては 12.2%の減少(為替除くと 2.7%の減少)、欧州・中東・アフリカにおいては 14.0%の減少(同 4.1%の減少)、中華圏・アジア等のその他地域においては 12.1%の減少(同 2.8%の減少)となりました。

以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 12.9%の減少となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 3.2%の減少となります。

売上総利益は、売上高の減少の影響に加え、カメラ事業の有形固定資産及び無形固定資産の減損損失 17億円等により、前連結会計年度に比べ 10.6%減少し 7,886億円となりました。

販売費及び一般管理費は、将来の事業成長に向けた構造改革に着手したことによる費用増、カメラ事業の有形固定資産及び無形固定資産の減損損失 37億円があったものの、継続的にグループをあげて取り組んでいる経費削減活動の成果や為替影響等により、前連結会計年度に比べ 5.5%減少し 7,553億円となりました。

その他の収益は前連結会計年度に比べ大幅に減少しました。

その他の費用はカメラ事業ののれんの減損損失 39億円が含まれております。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ 66.9%減少し 338億円となりました。

金融収益及び金融費用は、前連結会計年度に比べ為替差益が増加しました。

税引前利益は前連結会計年度に比べ 68.7%減少し 299億円となりました。

また、独立企業間価格の算定方法等に関する事前確認(APA)に係る相互協議が日本及び米国の税務当局間で合意したことに伴う影響が法人所得税費用に含まれております。なお、当該日米間のAPA合意により、移転価格課税による二重課税リスクを排除しております。

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ 94.5%減少し 34億円となりました。

なお、開示が遅れていたインドの現地上場子会社の2016年3月期決算に計上した損失を含む69億円を、当連結会計年度に計上しています。

 

 

事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。

 

 

前連結会計年度
自 2015年4月1日
至 2016年3月31日

当連結会計年度
自 2016年4月1日
至 2017年3月31日

増減

 

 

金額

(%)

金額

(%)

金額

(%)

画像&ソリューション分野

売上高

1,974,510

100.0

1,792,064

100.0

△182,446

△9.2

営業損益

147,728

7.5

82,793

4.6

△64,935

△44.0

産業分野

売上高

138,026

100.0

136,278

100.0

△1,748

△1.3

営業損益

11,017

8.0

9,847

7.2

△1,170

△10.6

その他分野

売上高

109,053

100.0

111,949

100.0

2,896

2.7

営業損益

1,411

1.3

△6,069

△5.4

△7,480

 

 

上記にはファイナンス事業として以下が含まれております。                (単位:百万円)

 

 

前連結会計年度
自 2015年4月1日
至 2016年3月31日

当連結会計年度
自 2016年4月1日
至 2017年3月31日

増減

 

 

金額

(%)

金額

(%)

金額

(%)

ファイナンス事業

売上高

143,120

100.0

143,532

100.0

412

0.3

営業損益

31,229

21.8

31,885

22.2

656

2.1

 

 

① 画像&ソリューション分野

画像&ソリューション分野はオフィスイメージング、プロダクションプリンティング及びネットワークシステムソリューションから構成されております。画像&ソリューション分野全体の売上高は前連結会計年度に比べ 9.2%減少し、1兆7,920億円となりました。

 

(オフィスイメージング)

オフィスイメージングの売上高は、前連結会計年度に比べ 11.0%減少し 1兆2,748億円となりました。その他地域で売上高が増加したものの、円高の影響に加え、米州及び欧州・中東・アフリカでの販売不振等により、売上高が減少しました。

ハードの売上について、国内は、下期から収益性重視の商談展開の加速によりMFP販売台数は微減となりました。海外は、米州は景況感の回復を受けてMFP販売台数が前連結会計年度比で増加した一方、欧州は不透明なマクロ環境から引き続き需要が弱く、減少しました。結果、MFP全体の販売台数としては前連結会計年度並でしたが、製品構成としてA4機の割合は増加しており、平均単価下落による売上減の状況が継続しております。尚、MFPのカラー機は「MP C4504」シリーズを中心に前連結会計年度比増が続いております。
  アフターセールスについても販売価格下落の影響により減少していますが、収益性の低いローエンド機については、戦略的に販売の絞込みを行っているため減収は止まってきています。

 

(プロダクションプリンティング)

プロダクションプリンティングの売上高は、前連結会計年度に比べ 7.9%減少し 2,062億円となりました。

ハードの売上について、「Pro C9100シリーズ」「Pro VC60000」等が堅調に拡大した一方、前連結会計年度に投入したカットシート機の新製品効果による反動の影響が残っており、通期では前連結会計年度並みにとどまっております。影響が一巡した第4四半期はハードの売上高も増加に転じました。

 アフターセールスの売上高は、市場稼働台数の積み上がりを反映し、堅調な増加が続いております。

また、世界4極の「Customer Experience Center」開設が完了し、今後は商業印刷のワークフロー全体に対する改善提案拡大を加速していきます。 

 

(ネットワークシステムソリューション)

ネットワークシステムソリューションの売上高は、前連結会計年度に比べ 2.4%減少し 3,109億円となりました。

国内は、ITサービス、ビジュアルコミュニケーション(プロジェクター、ユニファイドコミュニケーションシステム、インタラクティブホワイトボード)の販売が拡大しました。
 海外は、その他地域でのITサービス減収が一段落して下期から増収基調に戻ったことにより、増収となりましたが、為替影響により減少となりました。

 

営業利益については、市場環境の悪化の影響に加え、将来に向けた構造改革に着手したことによる費用増等により、前連結会計年度に比べ 44.0%(649億円)減少し 827億円となりました。

 

② 産業分野 

産業分野の売上高は前連結会計年度に比べ 1.3%減少し 1,362億円となりました。
 円高の影響により減少となりましたが、サーマル事業においては、中国物流(eコマース)の拡大や国内及び欧州市場の販売が好調に推移しました。また、インクジェット事業において、インクジェット関連技術の外販事業が引き続き好調なため増産投資を行い、売上が伸長しました。今後もインクジェットヘッドの新製品を投入する等、事業規模の拡大を加速していきます。車載関連事業も販売が堅調に推移しました。今後、車載用ステレオカメラ等の製品も投入していきます。

営業利益については、円高の影響等により、前連結会計年度に比べ 10.6%(11億円)減少し、98億円となりました。

 

③ その他分野

その他分野の売上高は、前連結会計年度に比べ 2.7%増加し 1,119億円となりました。
 ファイナンス事業が好調に推移しました。また、デジタルカメラ事業においては、全天球カメラ「THETA」も売上増が続いています。

営業利益については、カメラ事業ののれん、有形固定資産及び無形資産の減損損失 94億円計上により大幅に減少し 60億円の営業損失となりました(前連結会計年度 営業利益 14億円)。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、「当期利益」の減少等に伴い、前連結会計年度に比べ 115億円減少し 882億円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、「定期預金」の増加等に伴い、前連結会計年度に比べ25億円増加し 1,067億円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、「長期借入債務の返済」の増加等により、前連結会計年度に比べ
625億円増加し 199億円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 411億円減少し 1,264億
円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

前連結会計年度
(自2015年4月1日
 至2016年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自2016年4月1日
 至2017年3月31日)
(百万円)

前年度比(%)

画像&ソリューション分野

1,507,040

1,276,509

△15.3%

産業分野

135,082

129,208

△4.3%

その他分野

114,848

116,916

1.8%

合計

1,756,970

1,522,633

△13.3%

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

前連結会計年度
(自2015年4月1日
 至2016年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自2016年4月1日
 至2017年3月31日)
(百万円)

前年度比(%)

画像&ソリューション分野

1,974,510

1,792,064

△9.2%

産業分野

125,465

124,886

△0.5%

その他分野

109,053

111,949

2.7%

合計

2,209,028

2,028,899

△8.2%

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

2017年3月に終了した第18次中期経営計画においては、前述の事業戦略展開に加えて、継続的な事業構造改革の取り組みを進めてまいりましたが、想定を上回る事業環境の急激な変化や、欧州経済の不透明感の拡大、新興国経済の減速、為替レートの変動等の経済環境の変化等の影響を受け、残念ながら掲げた財務目標を達成することができませんでした。この結果を真摯に捉え、2017年度からスタートする第19次中期経営計画を策定しました。
 第19次中期経営計画では「リコー再起動」を掲げ、これまでの社内の常識をゼロベースで見直します。マーケットシェア追求や市場稼動台数拡大等、規模重視の戦略を見直し、コスト構造改革を最優先事項として、オフィス領域の製品・サービスの収益力強化を推進します。同時に、リコーグループの強みを活用して市場を拡大していく成長事業に焦点を絞り、将来に向けた投資を実施します。また経営システムの改善を行い、実行力の強化と、権限委譲を進めます。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) コスト構造改革

 リコーグループは、オフィスイメージング事業における過去の成長・拡大時期において、販売会社垂直統合などにより収益獲得の機会を取りこぼさないことを優先してまいりました。その結果、高コストの体制やプロセスが作り上げられてきました。しかしながら、売価下落や競争激化が進む現在の経営環境を鑑み、それに適した体制に変えていくことが喫緊の課題であると考えます。モノづくりの自前主義や自社販売・サービス網の強化等、これまでの戦略を見直し、マーケットシェア追求や市場稼動台数拡大を狙った規模重視から、利益重視の戦略にかじを切ります。

 

(2) 成長事業の重点化

リコーグループの強みを「顧客基盤」及び「プリンティング技術」と捉え、それぞれを活用した成長の方向性を定めます。
 全世界に130万社ある法人のお客様、またそのお客様先で稼働している400万台の機器などの「顧客基盤」を活かし、従来のプリンティングに加え、さらにその付加価値を高める製品・サービスを提供し、お客様のNo.1パートナーとなることを目指します。例えば、主に中小企業様向けのワークフローを支援するソリューションをクラウドベースで提供するサービスや、それらのソリューションの導入、活用を可能にする大型操作パネル(Multilink-Panel)を登載したデジタル複合機を新たに提供していきます。また、インタラクティブ ホワイトボード(電子黒板)をベースに、自動通翻訳議事録作成等、人工知能を活用して遠隔地間での会議を支援するサービスの提供を開始します。
 一方で、光学、メカ、エレキ、ケミカル、制御等の技術を高度に組み合わせたプリンティング技術を核に、商用印刷及び産業印刷の領域への価値提供を進めます。例えば産業印刷では、リコーがオフィス事業や商用印刷事業で培ってきた画像処理技術や、様々な産業印刷向けにおいて実績を上げてきたインクジェットヘッドの技術を活かし、建材や衣料向けの産業用インクジェットプリンタを提供していきます。デジタル印刷により少量多品種への対応や、特徴的なデザインによる商品価値向上に貢献してまいります。
 さらに、これらに加え、バイオプリンターによる細胞積層等、プリンティングの可能性を拡大していくことで、様々な分野のお客様のニーズにお応えしてまいります。

 

(3) 経営システムの強化

実行力強化と権限委譲を進めるために、経営システムを見直します。迅速な意思決定と施策遂行を確実にして事業展開の質とスピードを高めるために、オフィスサービス領域、商用印刷、産業印刷領域の事業推進リーダーを、各事業の先進市場である米州、欧州から任命し、事業運営を任せます。加えて構造改革は、中期経営計画期間の前半で完遂させることを狙い、2017年度の最大の経営課題として位置づけ注力します。

 

リコーグループがこれまで培ってきた三愛精神に基づく文化・風土はしっかりと受け継ぐ一方で、今後の成長を阻害するような慣習や前例等は、聖域を設けずに見直します。そして大きな経営環境変化の中でも、着実に業績に結びつけられるような磐石な経営基盤を築いてまいります。

第19次中期経営計画は収益が出る構造へ会社を変え、次の成長に向けての基礎体力を十分に付ける時期と位置づけています。

リコーを再起動して進める第19次中期経営計画の財務目標については、構造改革の効果、2019年度の営業利益、3年間のファイナンス事業を除いたフリー・キャッシュフロー、それぞれについて1,000億円以上を目指します。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクの一部を以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 技術変化への対応力

当社グループは事務機器分野において、複写機や複合機、プロダクションプリンター、プリンター及びデジタル印刷機等を提供しております。この分野における技術の変化は急激であり、また製品のライフサイクルは非常に短くなっております。当社グループの製品は大半がこの分野に属しており、当社グループの成功はこうした技術変化への対応力にかかっております。この分野で競争力を維持するために、当社グループは研究開発活動に多くの経営資源及び資金を投入しております。このような投資にも関わらず、新製品の開発工程や技術内容は極めて複雑かつ不確実であり、以下を始めとする様々なリスクに晒されております。

・当社グループの製品や技術がお客様のニーズを満たす、あるいは市場から認められるかどうか、当社グループが正確に予測できる保証はありません。

・既存製品の機能を併せ持ったさらに先進的な製品の投入が、こうした各既存製品の販売実績に悪影響を及ぼさないという保証はありません。

・当社グループが新製品や技術に必要な原材料や部品を仕入先から低価格で調達できる保証はありません。

・当社グループが市場機会を捉えるのに失敗し、その結果損失を被ることのないように、新製品の販売プロセスを管理できる保証はありません。

・当社グループがすべての新規開発製品の販売に成功する保証はありません。

・当社グループが業界の変化に十分対応できる保証はありません。

上記のリスクを含め、当社グループがこの分野に関連するいずれかのリスクへの対応に失敗した場合、当社グループの将来の成長及び収益性が低下し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合の激化

当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合他社との競争激化、低価格品への需要シフト、製品ライフサイクルの短縮化、代替製品の出現等が考えられます。
 当社グループは、事務機器分野におけるリーディングカンパニーとして新製品の導入や高品質、高付加価値製品の提供等により、顧客満足を得るべく努めておりますが、将来、効率的に競争を継続できる保証はありません。当社グループが競争力を維持できず、価格低下圧力に晒され、あるいは潜在的な顧客の獲得に失敗した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) グローバルな事業活動

当社グループは事業活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。こうした海外市場で事業を行う際には、以下のような特有のリスクがあります。

・好ましくない政治的又は経済的要因

・為替レートの変動

・潜在的に不利な税影響

・予想外の法的、又は規制面の変化

・知的所有権の保護制度の未整備

・社員の採用と雇用維持及びマネジメントの難しさ

・インフラの未整備

グローバルな事業活動におけるリスクに当社グループが十分に対処できない場合、事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 主要市場における経済動向

当社グループ製品に対する需要は日本、米国、欧州及び中国を含むその他地域等の当社グループの主要市場における景気変動の影響を受けます。主要市場の景気後退及び消費の落込みは当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 為替レートの変動

当社の海外子会社の現地通貨建ての業績は各会計年度の平均レートを用いて円換算され、連結損益計算書及び連結包括利益計算書に計上されます。現地通貨建ての資産・負債は各決算日現在の為替レートを用いて円換算され、連結財政状態計算書に計上されます。従って、業績、資産・負債は為替レートの変動に左右されます。

さらに、営業損益は為替レートの変動の影響を非常に受けやすくなっております。当社グループは、生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国等その他地域等で行っており、外貨建て収益及び費用の比率が高いためです。当社グループは米ドル、ユーロ及び円等の主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関と為替予約等のヘッジ取引を行っておりますが、為替水準の中・長期的な変動により将来の調達、生産、物流及び販売活動が困難になり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 部品や原材料の調達

当社グループは部品や原材料を外部調達しており、幅広いサプライヤーから部品や原材料の供給を受けることで、質の確保はもとより、安定した価格及び量の確保を行っております。しかし、当社グループの製品は原油を原料とする部品や原材料を多数使用していることから、原油価格の高騰により、製造原価が上昇する可能性があります。また、サプライヤーに不測の事態が生じた場合やサプライヤーの部品や原材料に品質問題あるいは供給不足が発生した場合には、当社グループの生産活動が中断される可能性があります。当社グループがこれらの影響を販売価格に転嫁できなかった場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 公的な規制

当社グループは事業を展開している各国の政府の様々な規制及び認可手続きの影響を受けます。例えば、事業と投資計画の承認を得る必要があるほか、輸出規制と関税、並びに通商、独占禁止、特許、消費者と事業への課税、為替管理及び環境やリサイクル法等の規則や規制下にあります。当社グループは、CSR推進組織を設置し、遵法に関する社内的な諸活動を従業員に実施させ、これらの規則や規制に違反することを未然に防止しております。しかしながら、仮に当社グループがこうした規制のいずれかに準拠できない、又は必要な認可を得られない場合、各国での活動は制約される可能性があります。さらに、仮に規制に適合できても、それが費用の増加につながることも考えられます。従って、こうした規制は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的所有権の保護

当社グループは数多くの知的所有権を保有し、ライセンス供与しております。当社グループが必要、又は望ましいと判断した場合、他社の知的所有権を利用するため、新たにライセンスを導入いたします。当社グループがこうした知的所有権の保護、維持、あるいは取得に失敗した場合、経営成績及び競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは知的所有権の対象となる発明に対して、その発明者に相当の報奨金を支給する等、適切な対応をとっております。しかしながら、将来、発明者から発明の報奨金について対価を請求する訴訟を起こされる可能性があります。

 

(9) 人材の確保

当社グループの中長期的な成長は従業員個々人の力量に大きく依存するため、適切な時期に優秀な人材を確保し雇用を維持することが必須であると認識しております。当社グループでは継続的に優秀な人材の確保と育成に注力しておりますが、優秀な人材の確保が計画どおり進まなかった場合や既存の優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの将来の成長、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 確定給付制度債務

確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいて当社グループはこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。現時点では、直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場等の予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になる可能性があります。こうした追加的な資金拠出と費用負担が、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11) 環境規制

当社グループの事業は有害物質の排出、排水、使用及び処理、廃棄物処理、製品のリサイクル及び土壌と地下水の汚染等を管理する様々な環境法及び規制の制約を受けております。当社グループは現在及び過去の生産活動の中で環境責任というリスクに直面しております。将来の環境法遵守又は環境改善のための追加的な義務に関連した費用が当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) ファイナンス事業

当社グループは当社グループ製品の販売及びリースに伴い、一部のお客様に対してファイナンス事業を行っております。ファイナンス契約の締結前及びファイナンス期間中は定期的に、お客様の信用度及び信用の供与額を評価しています。信用リスクの集中、与信の未払い等の潜在的リスクも最小限に抑える必要があると考えているため、こうした評価によって、信用供与の程度を調整しております。このようなモニタリングを行っておりますが、お客様の債務不履行は完全には予測できないため、信用供与額をすべて回収できる保証はありません。

これに加えて、当社グループがお客様と締結するこうしたファイナンス契約は固定金利の長期営業債権になります。しかし、当社グループはこうしたファイナンス契約用の資金を変動金利による短期借入での調達のほか、長期確定の債権に対する金利変動リスクをヘッジする目的で、契約期間にあわせた固定金利による調達も行っておりますが、こうした金利差を完全にヘッジすることはできません。

仮に当社グループがファイナンス事業のこうしたリスクに十分に対処できない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 製造物責任

当社グループは当社グループ製品及びサービスに関連した欠陥や問題に対し責任を負う可能性があります。欠陥によっては、重大な賠償責任を負うことも考えられ、それが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、高度で複雑な技術を利用した製品及びサービスの提供が増加していくのに伴い、このような欠陥が発生する頻度は高まる可能性があります。当社グループの責任の拡大につながる可能性がある欠陥の潜在的な増加は経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、万が一、欠陥が発生した場合における社会的評価の低下は、お客様の当社グループの製品及びサービスに対する購買意欲を低減させる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

 

(14) 他社との業務提携、合弁事業及び戦略的投資

当社グループはお客様のニーズの変化に対応して様々な製品・サービスを提供するため、必要に応じて他社との業務提携、合弁事業、戦略的投資を行っております。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに新技術・新製品を開発・販売する上で有効な手段であると考えております。しかしながら、業務提携・合弁事業において、財政状態やその他の理由により、当事者間で利害の不一致が生じた場合には、提携を維持できなくなる可能性があります。また、買収等戦略的投資については、事業、技術、製品及び人材等の統合において、期待する成果や効果が得られない可能性があり、また時間や費用等が想定以上にかかる可能性があります。従って、これらの施策の成否は当社グループ事業に重大な影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 情報セキュリティ

当社グループは事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また多くの個人情報を有しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、データベースへのアクセス環境、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する制度の徹底を図る社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜や損害賠償責任のために多額の費用負担等の可能性があります。また、当社グループの機密事項が第三者に流出した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 災害等による影響

当社グループは、地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザ等の感染症の流行の発生時にも、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するために、定期的な設備点検、防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築等、事業継続計画(BCP)を整備し影響の回避に努めています。しかし、大規模な地震、その他事業の継続に支障をきたす災害、事故の影響等が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 技術の導入及び供与に関する契約等

 

契約会社名

相手方の名称

国・
地域

契約の内容

契約期間

株式会社リコー

International
Business Machines
Corporation

米国

情報処理分野に関する包括的特許クロスライセンスの許諾
(相互)

2007年3月28日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

ADOBE Systems
Incorporated

米国

プリンターソフトウエア開発及び販売ライセンスの許諾
(導入)

1999年1月1日から
2018年3月31日まで

株式会社リコー

Lemelson Medical,
Education &
Research Foundation Limited
Partnership

米国

コンピュータイメージ分析
(CIA)他の特許実施権の許諾
(導入)

1993年3月31日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

キヤノン株式会社

日本

事務機器製品に関する特許実施権の許諾
(相互)

1998年10月1日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

京セラドキュメントソリューションズ株式会社

日本

デジタル画像形成装置における複合機制御方式に関する特許実施権の許諾
(供与)

2012年1月1日から
2018年12月31日まで

株式会社リコー

京セラドキュメントソリューションズ株式会社

日本

ファクシミリ機能に関する特許実施権の許諾
(供与)

2012年6月1日から
2019年5月31日まで

株式会社リコー

ソニー株式会社

日本

光ディスクに関する特許実施権の許諾及びデジタルカメラに関する包括的クロスライセンス(供与・相互)

2009年4月1日から
2018年3月31日まで

株式会社リコー

Hewlett-Packard Company  

米国

文書処理システム分野に関する包括的特許クロスライセンスの許諾(相互)

2011年10月31日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

船井電機株式会社

日本

光ディスクに関する特許実施権の許諾(供与)

2014年10月1日から
2017年9月30日まで

株式会社リコー

ブラザー工業株式会社

日本

事務機器製品に関する特許実施権の許諾(供与)

2014年10月1日から
2019年9月30日まで

 

 

 

6 【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。
 この理念に基づき、当社グループは、第18次中期経営計画(2014年4月-2017年3月:以下、18次中計)において掲げた「基盤事業収益力の強化と成長」「新たな事業の柱の構築による成長」という2つの基本戦略のもと、研究開発活動を推進いたしました。
 「基盤事業収益力の強化と成長」においては、従来の「モノ」の提供に加え、お客様接点力の強みを活かしたサービスによる「コト」の価値提供を加えた「モノ+コト」の価値提供で競争力を高めています。具体的には、お客様の業務効率化を実現するクラウドサービスの入出力端末として活用できる複合機、マネージド・ドキュメント・サービスや、ドキュメントの電子化・ネット化に伴うワークスタイルの変革を提案するITサービスの強化等に取り組みました。研究開発では、製品シリーズ間での統合設計による開発効率の向上等、構造改革にも挑戦いたしました。
 「新たな事業の柱の構築による成長」においては、これまで培ってきたインクジェットヘッド技術とインク材料技術を活かし、産業用印刷市場でのインクジェット事業の強化に取り組みました。さらには、2016年4月に横河電機株式会社から脳磁計事業を譲り受け、ヘルスケア分野へ参入いたしました。同じく2016年4月に「リコー環境事業開発センター」を静岡県御殿場市に開所し、環境事業の創出・拡大に取り組みました。
 当社グループは、研究開発部門をグローバルで各地に配し、技術リサーチから、要素技術研究、製品応用化のための基盤技術開発、そして環境技術、生産技術開発まで、グループ全体で積極的な研究開発活動を進めております。また、大学・研究機関・企業の力を活用するオープンイノベーションを推進することで、最先端技術の開発を加速しています。
 今後も、長年の製品開発で培ってきた画像処理、光学、材料・デバイス、環境、ネットワーク、ソフトウェア等のコア技術を新たなアイデアと融合させ、イノベイティブな技術開発に積極的に取り組み、お客様に感動していただけるような革新的な商品・サービスの実現を目指していきます。

 

 IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費(14,013百万円)を含む当連結会計年度の研究開発投資は114,398百万円です。

 

 

(1) 画像&ソリューション分野

一般のオフィスからプロダクションプリンティング分野にわたる複合機やプリンターの電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウェア技術、オフィスソリューションを支えるアプリケーション技術の開発を行っております。また、オフィスや教育現場等さまざまな業種でのコミュニケーションをより快適で便利なものにし、生産性向上及び新たなワークスタイルを提案するビジュアルコミュニケーション関連の技術開発を行っております。
 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

■MFP(マルチファンクションプリンター)関連

オフィスの中心となる中・高速クラスのフルカラー複合機、及び低速から高速クラスのモノクロ複合機のラインアップを一新しました。主要モデルに10.1インチの大型フルカラータッチパネル「MultiLink-Panel」を搭載することで、操作性が向上し、さらには操作部から「RICOHアプリケーションサイト for MultiLink-Panel」に接続することで業務課題やニーズに合うアプリケーションをお客様自身でダウンロード可能となり、業務効率向上に貢献する拡張機能を提供できるようになりました。複合機をクラウドサービスの入出力端末として活用することで、働き方改革を支援していきます。ソリューション開発については、開発パートナーと協業し、複合機連携クラウドソリューションの展開を加速していきます。

 

・デジタルフルカラー複合機
「RICOH MP C6004/C5504/C4504/C3504/C3004シリーズ」

使いやすさと省エネの両立を実現した5シリーズ12モデル、全モデルに「MultiLink-Panel」を搭載しました。新たに人感センサーも搭載し、スリープモードから操作開始までの待ち時間を大幅に短縮しています。

・モノクロ複合機
「RICOH MP 9003/C7503/C6503シリーズ」

オフィス向けモノクロ複合機の最上位機種を含む3機種4モデル、全モデルに「MultiLink-Panel」及び人感センサーを搭載しました。市販回収材(プラスチック製容器包装と家電製品のプラスチック)を原材料に、新たに開発した繰り返し使える再生材を搭載する等、徹底した環境配慮設計により省資源・省エネにも貢献しています。

・デジタルモノクロ複合機
「RICOH MP C6055/C5055/C4055/C3555/C2555シリーズ」

使いやすさと省エネの両立を実現した5シリーズ10モデル、全モデルに「MultiLink-Panel」を搭載しました。

 

 

■プロダクションプリンティング関連

「RICOH Proシリーズ」のモノクロ/カラープロダクションプリンター、商用印刷市場向けプリンターコントローラー等を商品化しました。商用印刷市場では、多品種小ロットの印刷物を短納期で提供可能なデジタル印刷の対応ニーズが高まっており、2つの新コントローラーでは、既存のオフセット印刷システム環境との連携によりオフセット印刷とデジタル印刷をより効率的・柔軟に使い分けること、多品種小ロット印刷の業務効率を向上することをそれぞれ目的としています。
 

・モノクロプロダクションプリンター
「RICOH Pro 8200シリーズ」

カラープロダクションプリンターで採用している面発光型半導体レーザーVCSEL技術を搭載し、書き込み解像度1,200dpi×4,800dpiによる高画質に加え、136枚/分* (A4ヨコ)という高生産性、用紙対応力を実現しています。企業内印刷から商用印刷ニーズに対応します。
* RICOH Pro 8220Sの場合

・プリンターコントローラー
「TotalFlow プリントサーバー R-61/R-61A」

前身機「TotalFlow プリントサーバー R-60/R-60A」の豊富な機能や性能を継承した、プロダクションプリンター「RICOH Pro Cシリーズ」用のプリンターコントローラーです。全世界で広く利用されている既存のワークフローシステムを利用したオフセット印刷とデジタル印刷(Ricoh Pro Cシリーズ)のシームレスなハイブリッドワークフローの構築を実現しています。

・プリンターコントローラー
「RICOH TotalFlow BatchBuilder V2」

プリントオンデマンドの印刷ソリューションを提供する「TotalFlow」シリーズの、商業印刷向けソフトウェアです。大量に入ってくる多品種・少量の印刷ジョブを、使用する用紙、後工程の処理方法等の属性によって括り、自動実行させることで作業効率を向上します。

 

なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は89,170百万円です。

 

(2) 産業分野

インクジェットヘッド、光学機器、半導体、サーマルメディア、電装ユニット等の産業用途システム・デバイスの技術開発を行っております。 
 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

・産業用インクジェットヘッド
「RICOH MH5220」

ラベルやパッケージ、サイングラフィックス等のプリンティングシステムで使われる産業用インクジェットヘッドです。最小液滴量2.5pl(ピコリットル)により高精細印刷を実現しました。マルチドロップによる液滴制御で幅広い液滴量の吐出が可能、ステンレス構成で高耐久・長寿命を実現、内蔵ヒーターによる加熱で高粘度インクの吐出が可能、ラベル印刷分野で使われるUV硬化インクに対応しています。

・作業支援カメラシステム
「RICOH SC-10A」

画像認識により、手作業による部品等の組み立て作業が適正に行われているかを自動でチェックできる作業支援カメラシステムです。カメラで撮影した作業結果の画像を、事前に登録された正しい作業工程後の画像と照らし合わせて、部品の有無や形状の違いを認識し、自動的に判定します。自動チェックで作業ミスを防ぎ、生産効率を大きく向上します。

・定電流LEDドライバコントローラIC
「R1580Nシリーズ」

LED照明の明暗やフリッカー(ちらつき)を制御することができるICです。業界で初めて*PWM(パルス幅変調)信号入力でありながら、1/200までの低輝度調光とカメラ撮影時のフリッカーフリー(ちらつき無し)を同時に実現しました。
* 2016年3月時点、当社調べ

・IoT/ウェアラブル機器向け電源IC
「RP118シリーズ」

世界最高クラス*の超低消費電流ボルテージレギュレータです。無負荷時の消費電流を0.2μA、待機時電流を0.002μAに抑えることで、端末として使われる無線センサーやウェアラブル機器のバッテリーの長時間駆動に大きく貢献します。低消費電流でありながら、独自の回路技術により高い応答特性を実現しています。
* 2017年3月時点、当社調べ

 

なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は9,326百万円です。

 

(3) その他分野(コンシューマ分野)

全天球カメラやデジタル一眼レフカメラをはじめとするイメージング・システム関連技術の開発を行っております。
 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

■ 全天球カメラ関連

・スタンダードモデル
「RICOH THETA SC」

ワンショットで全天球イメージを撮影できる、わかりやすい操作性と充実の基本性能を備えた、スタンダードクラスの360°カメラです。シリーズ上位機種の「RICOH THETA S」と同等の高性能CMOSイメージセンサーや大口径レンズによる高画質はそのままに、本体の軽量化を実現しました。撮影した360°画像は、スマートフォンやタブレットに転送して楽しめるほか、市販のVRビューアーを利用して手軽にVR体験が可能です。

・24時間連続稼動が可能な

全天球ライブストリーミングカメラ

開発キット「RICOH R Development Kit」

独自の全天球映像技術を活用し、2K解像度で30fps(フレーム/秒)の全天球ライブストリーミングを可能にしました。全天球映像の標準フォーマットであるEquirectangular Projection Formatへの合成は、カメラ内でリアルタイムに行われます。

 

■ デジタルカメラ関連

・デジタル一眼レフカメラ
「PENTAX K-70」

アウトドア撮影に適した防塵・防滴構造、耐寒性能を備えた小型ボディに、最高ISO感度102400の超高感度撮影を実現し、新たに、像面位相差AFとコントラストAF、双方のメリットを併せ持つハイブリッドAFを採用しました。ボディ内手ぶれ補正等、上位機並みの本格機能も搭載しています。

・デジタル一眼レフカメラ
「PENTAX KP」

日常的なスナップから過酷なアウトドア環境下まで幅広く対応できるミドルクラスのモデルとして開発しました。新型APS-Cサイズ相当の新型CMOSイメージセンサーを採用し、有効約2432万画素の超高精細な画像を得られます。新設計の薄型のコンパクトボディで、手持ちでも夜景をスナップできるISO819200の超高感度撮影を実現しました。

 

なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は3,637百万円*です。

*カメラ事業に関する組織変更等に伴い、研究開発投資の集計方法の見直しを行いました。
前連結会計年度の研究開発投資を当連結会計年度と同様の方法で集計した場合、3,372百万円となります。 

 

(4) 基礎研究分野

各事業に分類できない基礎研究分野として、ナノテクノロジー、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、計測・分析・シミュレーション等の基盤技術の研究開発、新規材料やデバイスの研究開発、次世代画像表示・画像認識・画像処理技術とそれに必要なフォトニクス技術の研究開発、データの収集・解析技術の研究開発、人工知能の応用研究開発、システムソリューションの開発、生産技術開発、環境関連技術及びヘルスケア関連技術の研究開発等を行っております。

なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は12,265百万円です。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 3 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2) 業績

全般

 

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、2兆288億円と前連結会計年度に比べ 8.2%(1,801億円)減少しました。画像&ソリューション分野、産業分野において前連結会計年度に比べ減収となりました。

画像&ソリューション分野では、国内のネットワークシステムソリューションが伸長したものの、円高の影響に加え、A3モノクロMFPの販売台数やMFPのアフターセールスの売上が減少しました。

産業分野の売上高は、国内ではインダストリ事業を中心に伸長しましたが、海外では円高の影響等により売上高が減少しました。

また、その他分野の売上高は、リース・ファイナンス事業が増収・増益となりました。

 

② 売上原価

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ 6.5%(867億円)減少し1兆2,402億円となりました。売上高の減少や対米ドル及びユーロでの円高の影響等により減少しました。

 

③ 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ 10.6%(933億円)減少し 7,886億円となりました。売上高の減少の影響に加え、カメラ事業の有形固定資産及び無形資産の減損損失 17億円等により、減少しました。

 

④ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ 5.5%(440億円)減少し 7,553億円となりました。将来の事業成長に向けた構造改革に着手したことによる費用増、カメラ事業の有形固定資産及び無形資産の減損損失 37億円があったものの、継続的にグループをあげて取り組んでいる経費削減活動の成果や為替影響等により、減少しました。

 

⑤ その他の収益及びその他の費用

その他の収益は、前連結会計年度に比べ大幅に減少しました。

その他の費用は、カメラ事業ののれんの減損損失 39億円が含まれております。

 

⑥ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は、売上総利益の減少等により、前連結会計年度に比べ 66.9%(684億円)減少し 338億円となりました。

 

⑦ 税引前利益

当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べ 68.7%(657億円)減少し 299億円となりました。営業利益の減少により減少しました。

 

⑧ 法人所得税費用

当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ 27.7%(78億円)減少し 205億円となりました。

当連結会計年度における実効税率は68%となりました(前連結会計年度 実効税率30%)。標準法定実効税率32%との差異は、未認識の繰延税金資産等によるものです。

 

⑨ 親会社の所有者に帰属する当期利益

以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ 94.5%(594億円)減少し 34億円となりました。

 

 

 

(3) 流動性と資本源泉

キャッシュ・フロー

 

営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度に比べ 115億円減少し 882億円となりました。主な減少要因として、市場環境の悪化や競争激化による販売価格の下落の影響やカメラ事業の減損による当期利益の減少等が挙げられます。

投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、前連結会計年度に比べ25億円増加し 1,067億円となりました。主な増加要因として、拠点再配置等の構造改革活動により生じた遊休資産の売却収入の減少等が挙げられます。支出の主な内訳は、有形固定資産の設備投資 754億円、無形資産の購入 267億円、定期預金の純増 75億円等です。このうち、有形固定資産の設備投資には、複写機器及び情報機器生産設備の拡充及び合理化投資、レンタル用資産の取得等が含まれます。

財務活動によるキャッシュ・フローは、199億円の支出となりました。社債発行 515億円や、長期借入債務による調達 3,031億円等により、調達を実施しました。一方で、借入債務の返済 3,246億円、配当金の支払 289億円、社債の償還 200億円等による支出がありました。

 

現金及び資産負債総合管理

 

事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。

また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しており、金利の変動が金利支払によるキャッシュ・フローに与える潜在的な悪影響をヘッジするため、金利スワップ契約を結んでおります。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。

 

資金源泉

 

当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠、コマーシャルペーパー、及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資本源泉の必要額を判断する際、連結財政状態計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。

当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は1,264億円、借入枠は7,334億円であり、そのうち未使用残高は7,013億円でありました。当社は1,500億円(借入枠7,334億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。また、リコーリース株式会社は500億円(借入枠7,334億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。借入枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能ですが、これら金融機関からの借入のほとんどが無担保です。

当社及び一部の連結子会社は、コマーシャルペーパー、及び社債の発行により資金を調達しております。当連結会計年度において、当社及び一部の連結子会社が発行するコマーシャルペーパーの金利は1.28%~1.35%、銀行借入の金利は0.01%~13.70%、社債の金利は0.001%~7.30%です。また、当社グループは日本、米国、欧州及びグローバルにキャッシュマネジメントシステムを活用し、有利子負債の残高を継続的に削減しております。

当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下「ムーディーズ」)、及び格付投資情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。当連結会計年度末現在、当社の格付はS&Pが長期A-及び短期A-2、ムーディーズが短期P-1、R&Iが長期A+及び短期A-1となっております。

日本では慣習的に、ほぼすべての銀行借入はそれぞれの銀行との一般契約に従っております。これは、合理的で相当な理由がある場合、銀行は借入金に対して追加的な担保を求めることができ、提出された担保を定期預金と同様に現在及び将来の債務に対する担保として扱えるというものですが、当社は現在までそのような要請を受けたことはありません。

 

 

必要資金及び契約債務

 

当社グループは現金及び現金同等物、並びに営業活動により創出が見込まれる資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している借入枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び既存事業の拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。

当社グループは、翌連結会計年度に760億円の設備投資額を予定しておりますが、主に画像&ソリューション分野、産業分野における生産設備の拡充及び合理化投資に関するものです。

その他に、長期債務の返済として翌連結会計年度に1,676億円、その後3年間で4,733億円を予定しております。

当社及び一部の連結子会社は全従業員に対し様々な従業員年金制度を有しております。連結財務諸表の注記事項21に記載のとおり、確定給付制度債務の積立不足額は、当連結会計年度末現在 1,203億円となりました。この積立不足額を当連結会計年度の連結財政状態計算書に負債計上しております。

年金制度への拠出額は前連結会計年度が212億円、当連結会計年度は194億円でした。

 

(4)経営戦略の現状と見直し

当社グループの事業において中核をなす画像&ソリューション分野については、市場が大きく変化し業界全体の収益環境が悪化している状況にあります。そうした事業環境の変化に適応し永続的に新しい価値を創造し続ける企業であるため、2014年4月から2017年3月にわたる第18次中期経営計画を策定しました。まず、2020年とその先の未来を見据えた目指す姿を、「お客様の期待を超えて、 安心・快適・便利 を提供しライフスタイルの変革を支援する、環境にやさしい会社」と定めました。そして目指す姿に向けてリコーグループの長期的発展を確実にする変革の3年間として位置づけ、「事業戦略・経営システム・体質改造の三位一体での変革」を進めてまいりました。 

 

事業戦略においては、「①オフィスイメージングでの収益力の強化と成長」と「②新たな事業の柱の構築による成長」の2つを基本戦略と定めました。「①オフィスイメージングでの収益力の強化と成長」においては、"先進国の収益力強化"と、"新興国・サービス事業での新たな収益源の確立”を、重点施策として展開しました。
 また「②新たな事業の柱の構築による成長」においては、"商用印刷を中心としたプロダクションプリンティング並びに、産業分野での柱の構築"と、"コアアセットを活用した新規事業の創造"を、重点施策とし展開しました。

 

①オフィスイメージングでの収益力の強化と成長

 

オフィスイメージングでは、主力の複合機において、お客様への価値提供をさらに高める新プラットフォームを採用した新製品として、デジタルフルカラー複合機6シリーズ14モデル、デジタルモノクロ複合機8シリーズ14モデルを発売し、中核の製品ラインナップを一新しました。これらの新製品は、10.1インチの大型フルカラータッチパネル「MultiLink-Panel」を全モデルに標準搭載し、スマートデバイスと同様に指先ひとつで直感的な操作を行いながら、専用のアプリケーションサイトに接続し、多彩なアプリを複合機にダウンロードすることが可能です。これにより、オフィスの業務効率向上に貢献するさまざまな拡張機能を、お客様がすぐにお使いいただくことができるとともに、お客様の業務に合わせて、複合機をクラウドサービスの入出力端末として活用いただくことが可能となりました。また、株式会社コンカーと連携し、経費精算・管理を効率化する複合機連携クラウドソリューションの提供を始めました。複合機で領収書をスキャンするだけで、株式会社コンカーが提供する世界標準の出張・経費精算管理クラウドシステムにデータを取り込み、経費精算業務を効率的に行うことができます。

またデジタルフルカラー再生複合機の新製品を2機種発売しました。新製品は、環境を基軸とした事業の創出・拡大を目的に設立した「リコー環境事業開発センター」(静岡県御殿場市)で再生処理を行った製品です。リコーの再生複合機は、カラーで28枚機、40枚機、モノクロでは25~75枚機までの機種を揃えており、全体で9シリーズ17モデルという充実のラインナップでお客様の幅広いニーズに対応し、環境保全意識の高いお客様を中心にご提供しています。

 

サービス事業においては、ドキュメント、コミュニケーション、業種別のソリューションと連携した高付加価値サービスの提供により、収益力の向上を図りました。リコーグループは、長年にわたるMFPやプリンターの販売・サポートを通じて蓄積したITやネットワークのノウハウを活かし、IT環境の構築から、高水準のサービス・サポートまでをワンストップでお客様のご要望にあわせて提供しています。特に中小企業のお客様は、自社内で専任のIT管理者の確保が困難な場合があります。そこで、お客様に代わり、リコーグループが安心・快適なネットワーク環境の導入構築から運用保守まで、ワンストップでご提供する「NETBegin BBパック Next」を発売しました。お客様先の複合機やプリンターの修理に対応するカスタマーエンジニアが、ネットワーク環境も同様にワンストップでサポートします。このサービスは、2005年5月に前身となる商品の提供を開始して以降、日本国内で10万社以上のお客様に導入いただいています。

 

さらに、お客様のオフィスにおけるコミュニケーションや働き方が変わりつつある中で、いつでもどこでも働くことを可能とするコミュニケーション支援サービスを拡大しました。これは、プロジェクターやインタラクティブ ホワイトボード、テレビ会議システム等のビジュアルコミュニケーション製品の提供に加えて、これらを活用した仕事の効率化についてのノウハウやソリューション等を提供するものです。プロジェクターでは、LED光源を採用した超小型・短焦点プロジェクター「RICOH PJ WXC1110」を発売しました。手のひらサイズの超小型プロジェクターながら、600ルーメンスの明るさの長寿命LED光源と短い投影距離により、ミーティングコーナーや小規模会議室等の限られたスペースでの有効活用や、営業担当者が持ち歩いてお客様先での説明に活用すること等が可能です。インタラクティブ ホワイトボードでは、大規模会議室や企業の受付、公共施設、イベント会場でのインフォメーションボードとして最適な4K対応・84インチの「RICOH Interactive Whiteboard D8400」を発売しました。

 

加えて、日本国内で拡大しているインバウンド市場向けに主要7カ国語(英語・中国語・韓国語・タイ語・スペイン語・ポルトガル語・ロシア語)・24時間365日対応の高品質な通訳サービス「RICOH 多言語通訳サービス」を発売しました。これは、テレビ会議システム「RICOH Unified Communication System」のプラットフォームを活用したサービスで、スマートデバイスによる簡単操作による、多言語通訳サービスを提供します。

  

 

②新たな事業の柱の構築による成長

 

プロダクションプリンティングにおいては、お客様のリコーに対するご期待はプリンター単体での提供だけにとどまらず、印刷工程の上流システム、下流システムの課題解決に広がっています。こうしたご期待にお応えするために、プリントMIS(経営情報システム)ベンダー大手のAvanti Computer Systems(アヴァンティコンピューターシステムズ)社(本社:カナダ・トロント)を買収しました。プロダクションプリンティング市場のお客様に対して、生産ワークフローにおける提供価値の拡大を図り、経営効率・生産性向上の支援をグローバルに展開します。既に2014年12月に米国のPTI社を買収し、ウェブトゥープリントやバリアブルプリント等の提供価値を拡大してきました。今回Avanti Computer Systems社が加わったことで、自社製品群でプリントMISを含む生産ワークフロー全体のシステムの提供が可能となりました。

 

また商用印刷に関する一連のワークフロー(受注から編集、印刷、後加工、梱包、配送まで)をお客様に体感いただく“魅せる印刷工場”として、「RICOH Customer Experience Center(リコーカスタマーエクスペリエンスセンター)TOKYO」を東京都大田区平和島に開設しました。これはヨーロッパ(イギリス)、アメリカ、アジアパシフィック(タイ)に続く、4カ所目の拠点となります。これでリコーグループ4極すべてでの設置が完了となり、各極拠点の事例を共有し、展開しながら、グローバルレベルでご提案することが可能となりました。

 

産業分野では、リコーグループが培ってきたプリンティングや光学、画像処理技術がさまざまな場面で応用されています。近年特に市場が拡大しているのが、産業用インクジェット技術を応用した領域です。リコーは30年以上培ってきた独自のインクジェット技術を有し、産業分野のお客様に対してインクジェットヘッドやインクの外販から技術サポートまでを担う事業を展開しています。当期は、高精細印刷を実現するインクジェットヘッド「RICOH MH5220」、薄膜ピエゾアクチュエーターを搭載した産業用インクジェットヘッド等を新たに開発しました。ラベルやパッケージ、サイングラフィックス等のプリンティングシステムでの活用が期待されます。

 

新規事業の拡大においては、24時間連続で360°の全天球ライブストリーミングが可能となるカメラ「RICOH R Development Kit」を開発しました。「RICOH R Development Kit」は、リコー独自の全天球映像技術を活用し、全天球ライブストリーミングを可能にするものです。加えて、ACアダプターを使用した24時間の連続稼働やマイクロSDカードへの映像記録も可能です。また、カメラをコントロールするためのAPIを公開することで、エンターテインメント以外にもテレイグジスタンス技術やコンピュータービジョンの分野等で幅広く活用できます。

 

2017年3月に終了した第18次中期経営計画においては、上記の事業戦略の展開に加えて、継続的な事業構造改革の取り組みを進めてまいりましたが、想定以上の事業環境の急激な変化や、欧州経済の不透明感の拡大、新興国経済の減速、為替レートの変動等の経済環境の変化等の影響を受け、残念ながら第18次中計で掲げた財務目標を達成することができませんでした。この結果を真摯に捉えて、2017年度からスタートする第19次中期経営計画を策定しました。