第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

(1)変わることと変わらないこと

新型コロナウイルス感染症は、世界を、そして人々の暮らしを大きく変えました。人々はオフィスに出社できず、働き方の変革を余儀なくされ、徐々に進展すると考えられていた「いつでもどこでもはたらく」という新しいワークスタイルへの変革が強制的に加速されることとなりました。この変化は、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束したとしても元に戻らず、さらに進むと想定されます。その中で、私たち自らが実践で培ってきた働き方のノウハウが、お客様へのさらなるお役立ちにつながると確信しています。

 

このように働き方が変わっていく中で、私たちが変わらずに大切にし続けることが2つあります。

 

1つは、私たちは徹底的にお客様に寄り添い続けるということです。当社は1977年にオフィスオートメーションを提唱して以来、半世紀近くにわたりオフィスの効率化や生産性向上のお手伝いをしてきました。今後、仕事の価値が業務の効率化から人にしかできない創造力の発揮へと移っていく中で、私たちは変わらずにお客様の「はたらく」に寄り添い続け、すべてのお客様が「はたらく」を通じて歓びや幸せを感じることに役に立つ会社でありたいと考えています。そして、もう1つ変わらずに大切にするもの、それは当社の原点であり創業の精神である「三愛精神」です。「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる三愛精神は、SDGs*の原則である「誰一人取り残さない社会」という考え方にも通じるものがあります。当社は、この三愛精神に基づいて設定したマテリアリティ(23頁参照)に取り組むことで企業価値向上を図っていきます。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

*SDGs (Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標。貧困や飢餓、健康や安全衛生、経済発展、環境課題等、17の目標と169のターゲットに全世界が取り組むことによって、「誰も取り残さない」社会を2030年までに実現することを目指す。2015年9月の国連サミットで採択。

 


 

(2) 当社の中期展望

 当社は、2025年に「はたらく場をつなぎ、はたらく人の創造力を支えるデジタルサービスの会社」となることを目指しています。まず、将来財務と位置づけているESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から、サステナビリティやESGに関してグローバルでトップレベルの評価を受ける会社であることを基本とした上で、高まる顧客や投資家のESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。財務の視点では、現在のオフィスサービス事業が成長を続けて全社業績を牽引し、第20次中期経営計画(以下、20次中計)の最終年度である2022年度にはROE7%*を、2025年度には10%を超える水準を継続的に創出できる経営体質の実現を目指しています。

*2022年5月10日に、20次中計最終年度である2022年度の営業利益計画について、直近のコロナ禍からの回復状況や外部環境を考慮し、当初計画の1,000億円から900億円に見直しました。これに伴い、ROEの目標値も9%以上から7%に修正しました。

 

 


 

◆将来財務(ESG)の視点

 ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、7つのマテリアリティに紐づく将来財務目標(ESG目標)を設定した上で活動しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)や地球環境問題、人権問題への対応等のグローバルな潮流及び、経営戦略の実行力向上の観点から全社目標を設定し、各ビジネスユニットにブレークダウンして取り組んでいます。DXへの対応では、デジタルサービスの会社への変革に向けたデジタル人材の量・質の確保を図るとともに、関連特許の質の向上にも取り組みます。脱炭素社会の実現に向けては、地域性やビジネスユニット特性を踏まえた再生可能エネルギー由来の電力導入ロードマップに基づく着実なGHG(温室効果ガス)削減を進めています。循環型社会づくりについては、再生材料の活用、再生製品・部品事業の強化、お客様の循環型ビジネスモデルを支える技術・ソリューション開発に取り組んでいます。また、人権問題については、2021年に定めた人権方針に基づき人権デュー・デリジェンスを行い、取引先も含めた対応を進めています。

 

◆財務の視点

目標達成に向けて、①社内カンパニー制導入後のPDCA*推進、②当社らしい事業ポートフォリオ管理、③経営基盤の強化、④資本政策の確実な実行、に取り組んでいます。

*PDCA:Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Act(改善)サイクル

 

① 社内カンパニー制導入後のPDCA推進

2021年4月より、当社グループは社内カンパニー制を導入しました。この体制では、事業ポートフォリオ管理の徹底による資本効率経営の実現と権限委譲による意思決定の迅速化を主な狙いとし、事業を運営する5つのビジネスユニットと、グループ本部で構成されます。当社は、社内カンパニー制導入後における効果と課題を定点観測的にリスト化し状況を把握、PDCAを回してより良い制度への進化を目指しています。

社内カンパニー制導入の効果は、各ビジネスユニットに権限を委譲したことで、各ビジネスユニットが自律的にこの外部環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、危機を乗り越えることができたことです。開発・生産・販売の一気通貫の事業運営体制に移行したことで、各機能間の連携が高まり、コスト上昇分の価格転嫁、複数部品に対応するための設計変更と生産との連携等を迅速に実施することができました。課題としては、各ビジネスユニット内のさらなる一気通貫体制の強化および本社機能の先鋭化が挙げられます。

 

 

 


 

② 当社らしい事業ポートフォリオ管理

これまでのオフィスプリンティング事業への依存から脱皮し、グローバルヘッドクォーターによる厳正な事業ポートフォリオ管理のもとで、デジタルサービスの会社への変革を加速します。

当社の事業ポートフォリオ管理では、収益性と市場性という従来型のポートフォリオの切り口に加えて、新たに「デジタルサービス親和性」という観点を追加しています。この3つの観点において、各事業を客観的に評価し、「成長加速」「収益最大化」「戦略転換」「事業再生」の4つに分類しています。

「成長加速」に分類しているのは、オフィスサービス事業と商用印刷事業です。この2つの事業は、収益性が高く、市場も拡大し勝ち筋があり、デジタルサービスとの親和性が高く、当社の成長を牽引する事業として取り組んでいきます。

「収益最大化」に分類しているのは、オフィスプリンティング事業であり、当社の現在の稼ぎ頭として収益性を維持しながら、キャッシュの安定創出を狙い続けます。

「戦略転換」と分類しているのは、サーマル事業と企業内印刷事業です。それぞれ状況は異なりますが、市場の拡大が見込めない、あるいはデジタルサービスとの親和性がそれほど高くない事業は、戦略転換による価値最大化を狙っていきます。

「事業再生」に分類しているのは、産業プロダクツ事業とカメラ事業です。価値貢献に向けてさまざまな方策を検討します。

 

 


この事業ポートフォリオ管理の目的は、デジタルサービスの成長を推進することによる企業価値の向上にあります。

当社のデジタルサービスは、オフィス・現場のデジタル化により、オフィスと現場をつなぎ、ワークフロー全体を変革してお客様の生産性向上に貢献します。各ビジネスユニットでは、それぞれの強みであるデジタル技術・エッジデバイス*とお客様の“はたらく”に寄り添ったサービスで、お客様の期待を超える新しい価値創造を支援していきます。

*エッジデバイス:文字・写真・音声・動画等のさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を持つネットワーク機器

 


 

 

2021年度のデジタルサービス売上構成比は、連結売上高の42%です。2025年度には、60%を超える水準まで引き上げることを目標としています。

 


 

 

③ 経営基盤の強化

当社は現在、OA*メーカーから脱皮し、デジタルサービスの会社へ転換しようとしています。これまでの大量生産大量消費の時代は、同じ製品をいかに品質良く効率的に作り、お届けするかが求められてきました。

しかし現在は、社会の情報化が進み、より小さな単位での意思決定でビジネスが回るような世の中に変わりつつあります。

そのために、特に人的資本を着実に転換していく必要があると考えています。従来の働き方を変えていかなければなりません。例えば、従来はバリューチェーンに沿って各自が決められたことをやり切ることが大切でしたが、これからは、社員が自律的に問題を発見し、課題解決にあたることが望まれます。

この人的資本の転換のために、(A)デジタル人材の育成・獲得、(B)180の社内システムのクラウド移行を含む約7割の基幹システムの刷新、(C)リコー式ジョブ型人事制度導入(国内)による社員の自律化の促進を行っていきます。

*OA:オフィスオートメーション

 


 

 

④ 資本政策の確実な実行

当社は、ステークホルダーの期待に応えながら、企業価値・株主価値を最大化することを目指しています。株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。

 

 

 


 

 

 

当連結会計年度の実績、進捗状況について、「利益成長」では、資本収益性向上に向けた取り組みとして自己株式1,000億円の取得を完了し、保有自己株式を2022年2月28日に消却しました。また、「資産効率向上」では、ROIC管理を各ビジネスユニットで展開し、投下資本利益率をこれまで以上に意識し、スピードを上げて業務改善に取り組んでいます。さらに、「資本コスト最適化」では、リスクに応じた資本量最適化と負債の積極活用などに加え、企業価値向上の源泉となる人材に対する積極的な投資を推進しています。

バランスシート・マネジメントの視点では、2020年4月にリコーリースを非連結としたことで、自己資本(純資産)比率が高くなっていましたが、今後はデジタルサービスの会社への転換に向けて、リスク評価に基づいて適切な資本構成を目指し、投資の原資に借入を積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投下していきます。オフィスプリンティング事業等の安定事業には負債を積極的に活用し、比較的リスクの高い成長事業には資本を中心に配分する考えです。

事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への転換に向けて、2025年度までに成長投資で5,000億円程度を投じる計画としています。これまでに欧州で買収を進め、日本においても2022年4月28日にPFU社の買収を決定する等事業成長のためのM&A投資を着実に進めています。投資原資は、営業キャッシュ・フローを中心に有利子負債も活用しながら、メリハリを効かせて戦略的に実施します。

 

 

 


 

 

また、株主還元方針としては、総還元性向50%を目安とし、配当利回りを意識した継続的な増配と機動的な自己株式取得を行う方針です。配当については、2021年度の水準から毎年、利益拡大に沿った継続的な増配を目指します。自己株式取得は、経営環境や成長投資の状況を踏まえつつ、機動的に実施し、EPS*の向上を図ってまいります。

この株主還元方針を踏まえ、2022年度の配当見通しについては、前連結会計年度から1株当たり8円増配し年間34円とし、配当利回りを勘案して配当を実施します。加えて、2022年5月10日の取締役会で300億円を上限とする自己株式の取得を決議しました。2022年度上期中に実行し、取得した自己株式はすべて消却します。

*EPS(Earnings Per Share):1株あたり利益

 


 

 

(3) 2022年度の見通し

20次中計は、2025年度までの中期展望を達成するための大事な道筋となります。その最終年度となる2022年度の業績見通しは、売上高2兆500億円、営業利益900億円、ROE7%とし、さらなる事業成長を目指します。2021年4月より移行した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの自律的な事業運営を進め、それぞれの市場で起こる変化に迅速に対応しながら、体質強化に向けた取り組みを加速していきます。デジタルサービスの会社を支える人材育成や、基幹システムの刷新等にも取り組み、変革に全社一丸となってデジタルサービスの成長を実現してまいります。

 

 

(4) 7つのマテリアリティに対する当社グループの取り組みとESG目標


 

 


*1 トップスコア率:最も高い評価の選択率

*2 国内スクラムパッケージの顧客比率

*3 ICT商材不足の影響により、20%から目標を修正

*4 IPA:独立行政法人情報処理推進機構。ITSS:IPAが定めるITスキル標準。レベル0~レベル6の7段階

*5 SBT:Science Based Targets

*6 RBA:Responsible Business Alliance

 

*7 ISO/IEC:International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission

*8 NIST:National Institute of Standards and Technology

*9 評価スコア:当社に対する各パートナーからの評価結果

*10 CDP:気候変動等環境分野に取り組む国際NGOによる評価

*11 ETR:External Technology Relevanceの略。他社に引用された特許の多さを示すスコア

*12 RFG:Ricoh Family Group

 

(5) 気候変動への対応:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示

「気候変動」は、グローバル社会が直面している最も重要な社会課題の1つです。

当社グループでは、パリ協定を踏まえて、「2050年にバリューチェーン全体のGHG*1排出ゼロを目指す」という長期環境目標を設定しています。加えて「2030年にGHG排出スコープ1、2 63%削減、スコープ3(調達、使用、物流カテゴリー)40%削減(いずれも2015年比)」という野心的な環境目標を定めており、この目標は気候変動の国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ*2から「SBT1.5℃」水準として認定されています。この目標達成に向け徹底的な省エネ活動を進めるとともに、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の積極的な利活用を進めるべく「RE100*3」に日本企業として初めて参加、2021年3月には再エネ使用率の2030年目標を50%に引き上げ、より野心的な目標設定としました。また、2030年までのGHG削減ロードマップを策定し、生産プロセスの改善や高効率設備の導入、物流プロセスの見直しによる徹底的な省エネ活動を進めています。2021年度より国内拠点の再エネ比率向上と良質な再エネの確保を図るために独自の「再エネ総合評価制度」を導入し、この制度に基づいて実施した評価において本社事業所で使用する電力は全て良質な再エネとなりました。海外については2030年までに主要拠点の再エネ化を目指し、国内外4拠点でオンサイトPPAモデル*4を導入するなど様々な施策を展開しています。

気候変動対策は重要な経営課題の1つであることから、2020年からは経営戦略に基づいた「ESG目標」の1つに「GHG排出削減目標」を位置づけ、役員等経営幹部の報酬とも連動することで実効性のある取り組みを推進しています。また、取締役会においては気候変動を含むESG課題をテーマとした議論を進め、CEOを議長とするESG委員会の監督のもと、気候変動に伴うリスク及び機会を明確にした上で気候変動の緩和・適応に向けた活動に取り組んでいます。特に、激甚化傾向にある自然災害に対しては、リスクマネジメント計画・BCP(事業継続計画)の策定と実行によりリスク低減に努めています。さらに、製品のエネルギー効率向上及びビジネスパートナーや顧客との協働等を通じてバリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献していきます。

*1 GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス

*2 SBT(Science Based Targets)イニシアチブ:企業のGHG削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する
                         国際的なイニシアチブ

*3 RE100:再生可能エネルギーへの100%転換を目指す国際的なイニシアチブ

*4 Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデル

 

TCFD推奨4項目への取り組みと2021年度の進展状況

ガバナンス

アプローチ

・ 取締役会およびCEOを委員長としたESG委員会による気候変動問題の経営レベ

   ルでの監督

・ 環境目標の進捗管理、脱炭素関連の投資判断の審議

・ ESG委員会での決定に基づきESG主管部門が全社の気候変動施策推進

・ 役員および経営幹部を対象とした「GHG削減目標」の達成度合により変動する

   ESG連動報酬制度採用

2021年度

取り組み状況

・ ESG委員会(計4回開催)[79頁参照]において審議・決定された気候変動

   関連事項

- TCFDに沿った気候変動リスクと機会

- 脱炭素活動の進捗状況

- 脱炭素活動GHG削減シナリオの整合

戦略

アプローチ

・ SDGsへの貢献を重視した中期経営計画の策定

・ 重要社会課題(マテリアリティ)の1つに「脱炭素社会の実現」を設定。
  具体的な数値目標をESG目標で管理

・ ESG委員会を通じ、シナリオ分析によるリスクと機会の特定

2021年度

取り組み状況

・ 脱炭素ロードマップに沿った施策推進(再エネ総合評価制度・主要拠点の

   RE100化など)

・ 脱炭素活動と顧客訴求に向けた活動が進展

・ 脱炭素活動促進を目的として株式会社みずほ銀行と「Mizuho Eco Finance

  (みずほエコファイナンス)」の融資契約を締結

リスク管理

アプローチ

・ リスクマネジメント委員会を設置し、業績への影響が大きいリスクを経営重

   点リスクとして戦略リスクとオペレーショナルリスクに分けて管理

・ リスクレベルを財務への影響度・緊急度・リスクマネジメントレベルにより

   分類し対策の優先順位づけを実施

2021年度

取り組み状況

・ 非常時の初期対応、報告方法、各対策本部の設置と役割の文書化

・ 定期的な設備点検、防災訓練などの地域や事業に応じたBCPの作成

・ 国内主要拠点に対する水害リスクの具体的な対策実施

指標と目標

28頁参照

 

 

 

気候変動リスク認識と対応

   <シナリオ分析の実施と結果>

当連結会計年度は、シナリオ分析により各リスクにおける財務影響と緊急度について再評価を行いました。「サプライヤーへの炭素税・排出量取引制度の適用」においては排出権取引がグローバルで制度化され、日本でもカーボンプライシング導入の動きを勘案して緊急度の評価を変更しました。年々増加する自然災害については、自社拠点を含むサプライチェーンにおいてどのようなリスクの影響があるか再評価した上で、特に国内における水害リスクへ対処すべくリスクの高い主要生産拠点を優先し具体的な対策への投資を決定しました。

自然災害リスクは、先送りにすると当社にとって大きな事業インパクトが発生しかねない喫緊の課題であり、気候変動に伴う感染症リスクに関しても緊急度は高くはありませんが、一度発生すると大きな財務損失を招くことから、今後も継続的にBCPの強化を図っていきます。また気候変動に対する緩和・適応への積極的な対応は、将来の財務効果を生み出す大きな可能性があることが再確認できました。

 

気候変動のリスクと当社における対応 

移行リスク:2℃/1.5℃シナリオ*1に基づいて分析 物理リスク:4℃シナリオ*2に基づいて分析

当社グループへの影響

影響*3

緊急度

*3

当社における対応

移行

リスク

サプライヤー

への炭素税・

排出量取引制度の適用

・GHG排出量の多い素材系サプライヤ

 ーを中心にカーボンプライシング

 (炭素税・排出 量取引)が適用さ

  れ原材料への価格転嫁が進み調達 

  コストが上昇

・再生機販売・再生材の活用によ

  る新規投入資源量の削減

・サプライヤーにおける脱炭素活

  動を積極的に支援し、調達コス

  ト上昇のリスクに対処

脱炭素社会への

消費行動の急速

な変化

・1.5℃目標、RE100達成の前倒し要

  求に、省エネ・再エネ投資、再エ

  ネ電力切替え等施策前倒しの追加

  費用が発生

・SBT1.5℃目標に資する省エネ・

  再エネ施策の積極展開(再エネ

  証書の戦略的 活用やPPAモデル

  の導入等)

・サステナビリティ・リンク・ロ

  ーンによる資金調達

物理

リスク

自然災害の

急激な増加

気候変動により異常気象の激甚化

  が進み、サプライチェーンの寸断等

  で生産停止

・販売機会の損失拡大

・サプライチェーンのリスク対処 

・国内拠点のリスク対応強化

感染症の

地域性流行

・部品供給の寸断等で生産計画への影響

  が発生

・生産工場の稼働率低下による在庫不足

・対面販売が困難となり販売機会が減少

・感染症BCP対策の強化

・業務・商談のIT化、生産拠点の

  分散化/プロセスの自動化、部

  品・製品在庫積み増し

森林資源の減少

・温暖化により山火事、害虫等の森

  被害が増え、紙の原材料の安定供給が

  悪化、紙の調達コストが上昇

・環境に配慮した剥離紙レスラベ

  ルによる原紙利用の削減

森林保全活動の推進

 

*1 2℃/1.5℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が2℃未満に抑えられている世界

*2 4℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が4℃上昇する世界

*3 影響度・緊急度は32「リスクレベル」をご参照ください

 

 

気候変動リスクのモニタリング                

 気候変動リスクは、毎年ESG委員会において経営レベルでリスク評価を行い監督及び必要な対策への投資な

どを決定しています。

 リスク評価においては、財務影響と緊急度の2軸で対策投資の優先順位づけを行っています。「自然災害リス

ク」に関しては、緊急度が高く財務影響も中程度であるため全社の重点経営リスクとして管理しています。当年

度は、重要な国内における生産・開発拠点にて水害対策投資を実行しました。

 


 

 

財務を生み出す気候変動における機会
 当社グループにとって気候変動は、事業リスクのみならず、自社製品・サービスの提供価値及び企業価値を高める機会につながると認識しています。気候変動に取り組むことは、省エネ技術、サービス等を活かしたお客様の脱炭素化を支援する製品やソリューションの提供、感染症対策につながるソリューションの販売拡大、環境・エネルギー分野における事業拡大、新規事業創出等の機会をもたらし、現時点で環境配慮型のオフィス機器、感染症対策ソリューション、環境エネルギー事業は1兆円規模の売上に貢献しています。

 

気候変動に対する機会 

貢献領域

2021年度実績の概要

気候変動

「緩和への貢献」

約10,000億円

・ 脱炭素貢献(環境ラベル認定)製品の売上

・ ESG対応を伴う商談の売上

・ 製品再生・部品再生事業関連の売上

・ 省エネ・創エネ関連事業の売上

・ 新規事業による貢献(環境に配慮した剥離紙レスラ

   ベルの販売、PLAiRの販売など)

 約9,300億円

約200億円

約300億円

約200億円

 ―

 

気候変動

「適応への貢献」

約900億円

・ 新しい働き方を支援するソリューション
  (スクラムパッケージおよびスクラムアセット*1

    WTA*2)の売上

・ 新規事業による貢献(エネルギーハーベスト*3商品

  の販売など)

約900億円

 

 

 ―

 

 

*1 スクラムアセット:日本で販売する中堅企業向けの課題適応型ソリューションモデル

*2 WTA(Work Together Anywhere):欧州で販売するパッケージ型ソリューション

*3 エネルギーハーベスト:周辺環境に存在する光や熱、振動から発電する環境発電

(注)最新の「気候変動に対する機会」詳細情報については後日開示予定のTCFDレポート2022をご参照ください。     

       https://jp.ricoh.com/environment/management/tcfd

 

脱炭素貢献製品

 当社グループでは、お客様に環境配慮商品を提供する為、国内外の環境ラベルを積極的に取得しています。オフィス機器の省エネルギー化を推進する国際エネルギースタープログラムにおいては、2021年度に発売した製品を含む画像機器の95%がエネルギースター認証を取得し、脱炭素に貢献しています。また、省エネ・省資源・汚染予防・快適性・使いやすさを独自の厳しい基準で製品評価する「リコーサステナブルプロダクツプログラム」を運用し環境に貢献するものづくりを進めています。

 

ESG対応を伴う商談の増加

 近年、お客様からのESG要求が非常に高まってきています。特に、欧州の公共機関やグローバル企業はサプライヤー選定条件にESGへの取組状況を組み込む動きが加速しています。例えば、スペインの公共調達商談では価格・サービス以外に環境ラベル取得状況や省エネ性能等CSR側面の評価割合が10%以上になるケースもありました。また、国内においてはお客様から当社のESGへの取り組みについてのヒアリングが年々増加しており、顧客関係力強化に寄与しビジネスの後押しになっています。

 

 

製品再生・部品再生事業

 当社グループでは、1994年から培ってきたリデュース・リユース・リサイクル(以下、3R)関連技術とグローバルな回収体制を活かして製品再生・部品再生事業に積極的に取り組んできました。当社独自の循環型社会実現のコンセプト“コメットサークル”に基づき3Rを推進し、再生製品のリユース部品使用率は80~90%と高いレベルを維持しています。昨今のサーキュラーエコノミーへの潮流に沿った製品ラインアップを拡充することで、お客様のニーズに応えると同時に脱炭素社会および循環型社会の実現に貢献していきます。

[ ご参考 ]「サーキュラーエコノミーレポート2021」(2022年3月発行)

       https://jp.ricoh.com/info/2022/0303_1

 

省エネ・創エネ関連事業 

 脱炭素の潮流が加速する中、日本では省エネ・創エネ関連事業も拡大しています。IT/ネットワーク機器の分野で培った監視サービスを活用しお客様の太陽光発電設備のO&M(オペレーション&メンテナンス)やEV充電設備の保守・照明空調制御システム等省エネ・創エネ関連事業を進めています。

 

新しい働き方を支援するソリューション販売 

 当社グループが提供するスクラムパッケージは自社及び協業パートナーのエッジデバイスやソフトウェア・クラウドサービス等を組み合わせてお客様の新しい働き方・業務のデジタル化を支援しています。ニューノーマル時代に即したサービスを提供することでお客様の生産性向上に伴うCO2排出量削減にも貢献しています。

 


*GHGスコープ1、2、3

・GHGスコープ1:自社の工場・オフィス・車両などから直接排出されるGHG

・GHGスコープ2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うGHG

・GHGスコープ3:企業活動のサプライチェーンの排出量(GHGスコープ1、2を除く)

 


 

 

 


 

 

(6) ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフ・マネジメント

 デジタルサービスの会社への変革に不可欠なイノベーションは、多様な人材が個々の能力を活かし、協働することで創出されます。それには、多様な人材が活躍でき、社員それぞれが自身のパフォーマンスを最大化できる環境が必要となります。この実現のために、「ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)」と「ワークライフ・マネジメント」を経営戦略の1つと位置づけて取り組みを進めています。

 


 



 

 


(注)正社員女性比率:2022年3月末時点
   女性管理職比率及び女性上級管理職比率:2022年4月1日時点

 ※1 上級管理職はライン部長相当職以上

 ※2 グローバルは国内外全グループ会社

 ※3 日本は㈱リコー含む日本国内グループ会社

 

 当社では、多様な人材が自律的にキャリアを築き、活躍できる組織風土醸成に取り組んでいます。新規事業創出を目的とした共創プログラム「TRIBUS(トライバス)」の展開もその1つです。現在は日本のみでの取り組みとなりますが、社員の誰もが、やりたいこと、社会に価値を届けたいことをビジネスとして実現できるプログラムで、社外のスタートアップ企業も参加しています。多くの社員が、副業制度を利用して社内起業家や外部スタートアップ企業の支援に取り組む等、自分自身の知識や経験、本業との兼ね合いで捻出できる頻度や時間等にあった形でこの活動に参加しています。また、これまでに事業化アイディアとして採択された社内起業家チームのリーダーには、職務経験が浅い人や豊富な人、自分の専門性とは異なる分野に挑戦した人等が含まれ、さまざまな人材が活躍する場が広がっています。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識しているリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

■「重点経営リスク」の決定プロセス

グループマネジメントコミッティ(以下、GMC)とリスクマネジメント委員会は、経営理念や事業目的などに照らし、利害関係者への影響を含めて、経営に大きな影響を及ぼすリスクを網羅的に識別した上で、重点経営リスクを決定し、その対応活動に積極的に関与しております。(図1:重点経営リスク決定プロセス)

・重点経営リスクは、その特性から「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類し管理しております。戦略リスクについては、短期の事業計画達成に関わるリスクから中長期の新興リスクまで経営に影響を与えるリスクを幅広く網羅しております。

・リスクマネジメント委員会は、GMCの諮問機関として、より精度の高い重点経営リスク候補を提案すべく、委員会メンバーそれぞれの専門領域の知見・経験則を活かし、十分な議論のもと、リスクの識別・評価を行っております。

なお、当社グループのリスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会については、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 (Ⅷ) リスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会」を参照ください。

 

図1:重点経営リスク決定プロセス


 

「事業等のリスク」

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

環境

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響や対応については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営成績」を参照ください。

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴う業績への影響については、ワクチンや経口薬の開発・普及など明るい兆しが見えてきているものの、地域ごとの状況も異なり、未だに全体を正確に見通すことは難しい状況にあります。

主要市場における経済状況

当社グループはグローバルで事業活動を行っており、その主要市場である日本、米国、欧州の経済状況は事業に大きな影響を及ぼします。先に述べた新型コロナウイルス感染症が各市場に及ぼす影響が想定と乖離した場合はもちろんのこと、ロシア/ウクライナ情勢や、先行きが不透明な米中貿易摩擦等、保護主義の台頭による各国の動きについては業績に影響を及ぼしうる主なリスクであると認識しております。

また、その他の想定外の事象により主要国の経済状況が急速に悪化するリスクは潜在的に存在していると認識しております。

当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っております。

ロシア/ウクライナ情勢について、従業員とその家族の安全安心の担保を最優先にした危機管理チームを設置し、刻々と進展する状況に対応しています。

米中貿易摩擦については、従来から行ってきたBCP対策(並行生産)を活用し、主力製品の生産を出荷地域別に中国工場とタイ工場に振分け、関税リスク軽減策を実施して参りました。

関税やサプライチェーンの混乱により発生する当社製品の原価コスト増分に対し、お客様のご理解を頂いた上で、製品の価格に一部転嫁させて頂いております。

競合の激化

当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に悪影響が出る場合があります。

・競合による競争力のある新製品の発売

・価格競争の激化

・低価格品などへの需要シフト

新型コロナウイルス感染症等、急激な環境変化による競争軸の変化、競合の拡大・状況変化

がリスクとして考えられます。

当社グループでは、各事業分野において顧客の価値を高める新製品を企画し、継続的に導入することを計画しております。

・従来のハードウエア中心の価値提供から、より顧客のワークフローまで踏み込める高品質、高付加価値製品とサービスの提供等により常に競合優位を構築してまいります。

・価格競争については、規模の拡大からの脱却と上述の競合優位な製品提供により売価を下げることなく顧客満足を獲得してまいります。

・新型コロナウイルス感染症による、急激な環境変化による競争軸の変化をチャンスと捉え、ニューノーマル下での働き方や行動の変容をサポートできる提案を強化すると共に製品開発強化に反映してまいります。

・社内カンパニー制の導入により、権限委譲されたリーダーの元で各カンパニーがお客様・現場により近いところでの迅速な意思決定を行い、事業競争力強化に努めます。またグループ本部が競合環境、市場環境や動向を常に観測し各事業への最適経営資源配分を実施いたします。

 

 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

環境

部品・原材料の価格、為替レートの変動

当社グループでは、生産活動及び販売活動の相当部分を日本以外の米国、欧州及び中国等その他地域で行っており、事業活動において部品・原材料の価格変動及び為替レートの変動による影響を受けます。

・材料の市況変動の直接的な影響

・海外子会社の現地通貨建ての業績が各会計年度の平均レートを用いて円換算されていることによる、連結損益計算書及び連結包括利益計算書への為替レート変動影響

・現地通貨建ての資産・負債が各決算日現在の為替レートを用いて円換算され、連結財政状態計算書に計上されることによる資産・負債額への為替レート変動影響

等がリスクとして考えられます。

当社グループでは、

・材料の市況変動に柔軟に対応するべく、製品開発時及び量産移行後において代替材料の検討、材料調達における複数購買化を推進すると共に、吸収できない市況変動に関しては、競合他社の動きも見つつ、適切に売価反映を行っております。

・為替変動に関しては、米ドル、ユーロ及び円等の主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を実施しております。また、ヘッジ取引を行うことのできる会社又は組織は限定されており、それらは財務ルールとして徹底されております。

・グループ全体として決済におけるネッティングを最大限に行うことにより、為替リスクを最小化しております。

・海外子会社の資産・負債の通貨マッチングを実施しております。

他社との業務提携、戦略的投資

当社グループは、お客様のニーズの変化に対応して様々な製品・サービスを提供するために必要に応じて他社との業務提携、合弁事業や戦略的投資を行っております。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに新技術・新製品・新サービスを開発・販売する上で有効な手段と考えております。様々な理由により、
・当事者間で利害の不一致が起こることによる提携の解消
・検討における情報が十分ではない事などにより、狙いどおりの戦略的投資にならない
・事業、技術、製品及び人材等の統合について期待する成果や効果が得られない
等の状況に陥るリスクが考えられます。

当社グループでは、多様化するニーズに柔軟かつ確実に対応していくために、他社との協業や戦略的投資は今後ますます重要性が増してくると考えており、これを“重点経営(戦略)リスク”と位置づけ、事業ポートフォリオ管理プロセスや意思決定のプロセスの更なる強化に努めております。

当社グループにおける執行の最高意思決定機関であるGMCの諮問機関として“投資委員会”を設立し、投資について、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等の観点で投資計画の検証を行っております。多様化する外部への投融資案件について、専門的なメンバーが事前に確認/協議することにより、経営戦略との整合性や投資効果を高め、投資判断のスピードと適確性を向上させることを狙いとしております。

投資委員会の審議結果は、GMCにおける投資案件審議の際に共有され、意思決定をサポートします。また、決裁された外部への投融資案件に関して、投資委員会が進捗モニタリングを行うことにより、継続的にプロセス改善が回る仕組みを構築しております。

また、2019年度からPMI人材育成プログラムを期ごとに開催し、継続的なノウハウ蓄積と人材の育成を実施しております。

 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

環境

技術変化への対応

近年の急速な技術進化、革新への適切な対応は、当社グループの製品・サービスの競争力の源泉であります。

・技術変化に対する適切な情報収集と予測

・変化に対応した重点技術強化領域の設定と適切な資源の投下

・新規領域に対する技術力強化

・社内カンパニー制の導入により個別最適が生じ、技術者の適切な配置や情報共有に影響を及ぼす

等に対して十分な対応が取れていないことで、当社グループの業績、成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。

グローバルでの競争激化の中、お客様や社会が直面する課題をいち早く解決する技術の重要性がますます高まっております。当社グループではこれを“重点経営(戦略)リスク”と位置づけ、新たな社内カンパニー制度の下で意思決定プロセスのさらなる強化に努めております。

グローバルマーケット向けの製品・サービスの技術変化に対応するため、グローバルに研究開発拠点を設け、それぞれの地域特性も活かしつつ、グローバルに拠点間の連携を深めて研究開発を推進しております。また、変化の激しい市場環境に対応するために、自社単独での研究開発にこだわらず、大学・研究機関・企業と積極的に連携し、研究開発活動を加速させるオープンイノベーションを推進しております。

更に、CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)、CDIO(Chief Digital Innovation Officer:最高デジタルイノベーション責任者)を設置し、全社を通じた研究開発・技術開発の重点領域の選定、CTO/CDIO主催のグループ内連携会議等を通じて、経営戦略と連携した適切な資源配分を行い、技術力強化に向けた活動を推進しております。

加えて、グループ本部機能であるCTO配下の「先端技術研究所」、CDIO配下の「デジタル戦略部」がデジタルサービスの会社に必要な研究開発領域に特化し、カンパニー間の連携強化、及び、グループ横断での技術者の連携の推進・技術力強化と、全体最適に配慮した人材配置を行っております。

人材の確保

当社グループがデジタルサービスの会社への事業変革を成し遂げ、中長期的に成長を続けることは、人材に大きく依存します。

・事業変革をリードする経営人材

・デジタルサービスに必要なDXスキル・ノウハウを保有する人材

・事業変革の中で、変化する必要スキルを自律的に獲得、実力を高め続ける人材

等を継続して獲得、育成しなければ、当社グループの業績、成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、人材の確保・育成を“重点経営(戦略)リスク”と位置づけ、次のとおり対策を進めております。

・グローバルで事業変革、成長を進めるキーとなるトップタレントを明らかにし、育成計画を策定して実行しております。

・デジタル人材の育成体制を強化し、全社員のデジタルスキル・ノウハウの向上を計画的に進めるとともに、そのスキル・ノウハウを社内実践することにより、お客様への提供価値を明らかにし、具体的に提供することを進めております。

・リコー式ジョブ型人事制度を導入し、事業変化の中で適所適材で実力ある人材が活躍できる環境を整え、事業戦略の実行力を高めるとともに、自律的なスキル向上、キャリア形成と職務へのチャレンジを全社員に促します。

 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

環境

ファイナンス事業

当社グループは当社グループ製品の販売及びリースに伴い、一部のお客様に対してファイナンス事業を行っており、

・お客様の信用度及び信用の供与額のモニタリングを行っておりますが、お客様の債務不履行は完全には予測できないため、信用供与額をすべて回収できない

・当社グループがお客様と締結するファイナンス契約は固定金利の長期営業債権になるが、当該契約用の資金の一部は変動金利による短期借入で調達しており、営業損益が金利変動の影響を受ける

等のリスクが考えられます。

当社グループは、

・ファイナンス契約の締結前及びファイナンス期間中は定期的に、お客様の信用度及び信用の供与額を評価しております。また、信用リスクの集中、与信の未払い等の潜在的リスクも最小限に抑える必要があると考えているため、こうした評価によって、信用供与の程度を調整しております。

・外部環境の急激な変化によってファイナンス契約の信用リスクに相当の変動発生が予見される場合、随時の再評価を通じて予想信用損失を見直す場合があります。

・長期確定の債権に対する金利変動リスクをヘッジする目的で、当社グループでは契約期間にあわせた固定金利による調達も行っております。

事業

運営

情報セキュリティ

当社グループは、デジタルサービスの会社への転換に向け、様々なデジタルサービスの活用・提供、自社業務のデジタル化の実践などを行ってまいります。その上で、情報セキュリティを確保する体制・運用を重視し取組んでおります。

・巧妙化・複雑化するサイバーアタックにより、当社グループ各社の業務システムの停止/誤作動による事業活動の停止や、データの改ざん/漏洩/破壊などの発生

・従来生産工場は外部との接続が制限されてきたことからリスクは少なかったが、近年DXが進んだことで当社グループ各社の業務システムと当社グループ各社の生産工場との境界が薄れており、生産工場のシステムから侵入され、当社グループ各社の業務システムの停止/誤作動による事業活動の停止や、データの改ざん/漏洩/破壊などの発生

・インターネット公開サイトへのセキュリティ対策の不備や、お客様に納入した当社グループの製商品に内在する重大なセキュリティ問題により、意図せず他者への攻撃の踏み台として悪用されるなどのインシデントの発生

・各国で個人情報保護に関する法律(改正個人情報保護法やGDPR(*1)など)が施行され、自国外の事象にまで適用(域外適用)されるようになる中、グローバルでの共同利用にあたり、各国の規制に抵触し制裁金が課せられる

等の事象が発生した場合、信用の低下による企業ブランド価値の毀損やビジネス機会の喪失等、事業に影響を与えるリスクがあります。

*1 GDPR:General Data Protection Regulation

当社グループは、各国、国策レベルで対策が求められてきている中、変化し続ける情報セキュリティ情勢を常に把握した上で、グローバルに活動拠点のある当社グループにとって適切な対策を検討・推進していくことを、“重点経営(オペレーショナル)リスク”の中でも最重要課題の一つと位置づけております。

・国際的な情報セキュリティ標準(ISO/IEC(*2)、NIST(*3)など)に基づき、当社グループのサプライチェーン全体の情報セキュリティを意識した体制を構築/強化するとともに、企画・設計・購買・生産・販売・サポートの各フェーズの業務システムに関わるセキュリティリスクを適時想定し、継続的に対策検討及び実施を行っております。

・当社グループ各社の生産工場においても国際的な情報セキュリティ標準(ISO/IEC、NISTなど)に基づき、生産工場システムに関わるセキュリティリスクを適時想定し、継続的に対策検討及び実施を行っております。

・インターネット公開サイトの構築や製品開発において、情報セキュリティに関わる品質マネジメントを継続的に強化するとともに、公開済みのサイトや発売済みの製商品に対しても継続的に脆弱性の確認を行い、リスクが発見された場合に適切に対応いたします。そのために、セキュリティ問題の専用窓口の設置、製商品の安全な利用方法の案内、製商品の脆弱性対応ガイドラインの整備といった活動を継続的に実施しております。

・当社グループ内における個人情報取扱標準の改定検討や個人情報の取扱状況の調査・是正など、整備が進む各国での個人情報保護に関する法律を踏まえた

対応方針の策定と対策の検討を進めております。

*2 ISO/IEC:International Organization of Standardization/International Electrotechnical Commission

*3 NIST:National Institute of Standards and Technology

 

 

リスク分類

リスク

項目

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リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

運営

製造物責任

当社グループが製造・販売する製品に、

・重大な安全性問題(焼損・人損)

・安全・環境法規制問題

・品質問題の長期化

等が発生することで、お客様や社会の信頼を失墜させ、企業ブランドや製品ブランドが毀損され事業継続が困難になるリスクが考えられます。

当社グループでは、「製造物責任」に対する予防・対応プロセスを強化しております。

・機器の信頼性・安全性の向上に向け、故障、事故が生じるメカニズムの分析精度を高め、開発過程に反映しリスク低減につなげております。

・万が一、問題が発生した際に市場対応が迅速かつ確実に行われるよう体制を整備しております。

・各国における安全・環境法に準拠した製品をお客様に提供するため、現地と密に連携をとり適切な標準・ガイドの制定、定期的な見直しを実施しております。

製品の長期供給遅れ/停止

大規模地震、津波、政変・騒乱、洪水、感染症の拡大、サプライヤーの供給停止及び地政学リスクによる不測の事態により、

・部品供給の遅延や停止

・製品工場の製造の遅延や停止

・輸送機関の遅延や停止

・販売会社へ供給遅延や停止

等が発生し、ビジネス機会を損失するリスク等が考えられます。

当社グループでは、「製品の長期供給遅れ/停止」を“重点経営(オペレーショナル)リスク”と位置づけ、予防・対応プロセスを強化しており、BCP在庫の確保、重要部品別に複数仕入先選定を実施しております。

更には仕入先様が被災後、供給再開までの工場稼働停止等によりお客様への製品提供が止まることの無いようにしております。

また、リスク範囲を局部、復旧期間を短期と想定してきましたが、新型コロナウイルス感染症の急速な世界的拡大の経験や地政学リスクから、これまでの活動に加え今後はリスク範囲を局部からエリアへ拡大、復旧期間を短期から長期とし有事に備えた環境整備を行ってまいります。また、想定リスクに基づく行動計画及び机上訓練のみならず一定の実践を常態的に行い、対応策の有効性の確認と改善を継続的に行ってまいります。

感染症継続

地政学

地震・噴火・台風・洪水

 

 

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リスク

項目

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リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

運営

知的財産権の保護

当社グループは、知的財産権を重要な経営資源と捉え、現在及び将来の自社事業とそれを支える技術等の保護、差別化とその拡大のために、特許権、意匠権、商標権等の知的財産権を獲得しておりますが、競合他社が同等の技術等を開発して独自性が低下したり、各国特許庁の審査で狙いどおりの権利獲得ができず十分な保護が得られないリスクがあります。

また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害するとして、第三者から、販売の差し止めや損害賠償金の支払い等を求める警告を受けたり、訴訟を提起されるリスクがあります。

更に、当社グループの新規事業立上げで、他社との協業、共同研究や共同開発が活性化していることに伴い、知的財産権に関する契約が増えておりますが、当該契約でトラブル等が発生すると、自社事業に悪影響を与えるリスクが大きくなります。

当社グループでは、特許等の出願前に先行技術調査を徹底するとともに、各国の知的財産に係る法律、審査基準やプロセスを把握し、知的財産権獲得の精度向上に努めております。

また、自社製品・サービスを市場に提供する前に、第三者の知的財産権の調査と、自社製品・サービスと第三者の知的財産権との対比検討を徹底しております。第三者の知的財産権を侵害するリスクがある場合、外部の弁護士や弁理士による鑑定、必要であれば設計変更、ライセンス交渉やライセンス取得を行い、第三者との係争リスクを低減しております。

当社グループでは、「知的財産権の保護」を業績に影響を及ぼすリスクとして重要視し、過去に発生した、知的財産権に関する契約トラブル事例を形式知化し、トラブルの予防とリスク低減をしております。

公的な規制(輸出入管理)

輸出入関連法違反に対する輸出停止措置等の行政制裁による生産・販売への影響、社会的信用の失墜による取引の機会損失、罰金や刑事罰・国際的有事等の外的要因による各国の輸出規制法違反等のリスクがあります。

・刻々と変化する国際情勢を把握し、積極的なリスク回避策を実施しています。

(国際的有事の際は迅速にプロジェクトが編成されます)

・役員及び社員への教育の実施や、重要な輸出入管理情報のグループ内周知を行っています。

・輸出入関連のマネジメント及びプロセスの定期的な内部監査を実施しています。

公的な規制(法務)

当社グループの事業活動を行う中で、独占禁止法/競争法の違反が発生した場合、課徴金(行政処分)の負担や刑事罰、官公庁との取引停止、社会的信用の失墜によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。

当社グループでは、独占禁止法及び各国競争法の遵守徹底のため、各地域の法務部門が主導し教育活動及び発生時対応の強化に努めております。

 

 

リスク分類

リスク

項目

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リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

事業

運営

公的な規制(人事)

当社グループの事業活動を行う中で、人事関連の各種・コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)が発生した場合、社会的信頼を失墜し、事業に悪影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループでは、「公的な規制への対応(人事)」を“重点経営(オペレーショナル)リスク”と位置づけ、役員・社員一人ひとりが「リコーウェイ」を実践し、社会的責任を果たすために、国内外における関連法令、国際ルール及びその精神を理解し遵守しつつ高い倫理観をもって行動するという観点から「リコーグループ企業行動規範」を定め周知徹底を図っております。

人事関連の各種法規制の制定や改訂に関しては、速やかに対応し、社内ルールの新設、見直し、及び社員教育の実施を行う事で未然防止に努めると共に、発生時の対応体制の整備、ルール化を行っております。また、当社は2019年10月にサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する企業同盟「Responsible Business Alliance」(RBA)に加盟しました。人権に関しては、国際社会における人権課題の広範化を踏まえ、従来の人権方針の内容を見直し、2021年4月に「リコーグループ人権方針」を策定致しました。本方針に基づいた事業活動の実践のため、社内教育の徹底に加え、 サプライチェーンに属する企業に対しても、RBA行動規範に準じ児童労働や強制労働の排除等を規定した 「リコーグループサプライヤー行動規範」の遵守をお願いしております。その遵守状況は定期的な 「CSRセルフアセスメント」を通じてモニタリングし、必要な改善を促しております。 また、英国現代奴隷法 (The UK Modern Slavery Act 2015) に基づくステートメントを公表しております。

公的な規制への対応(環境)

当社グループの事業活動を行う中で、各種環境・労働安全衛生関連法の違反が発生した場合、行政処分等による生産への影響や課徴金の負担、刑事罰、社会信用の失墜やブランド価値の毀損によるビジネスへの悪影響等、会社に甚大な損害を与えるリスクがあります。

当社グループでは、環境マネジメントシステムを構築し、定期的なアセスメントによる環境関連法の順守徹底とともに、規制変化等のタイムリーな把握・対応に努めています。

また、リスク項目「公的な規制(人事)」に記載しましたとおり、当社はグローバルなサプライチェーンにおける企業の社会的責任を推進する企業同盟RBAにも加盟しRBA規格に準じた社内規範の制定、人材の育成等、グループ全体でESGリスクマネジメントシステムを構築しています。

さらに、RBA規格に基づく第三者監査を通じてESGリスクを把握し、リスクを最小化する改善活動を進めています。

 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

会計

制度

のれん、固定資産の減損

当社グループは、企業買収の際に生じたのれん、事業用の様々な有形固定資産及び無形資産を計上しております。

これらの資産については、今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、リスク項目「他社との業務提携、戦略的投資」に記載しましたとおり、投資委員会において買収金額の妥当性審議を行い、投資を決定しております。

確定給付制度債務

確定給付制度債務及び年金制度の資産に関し、一定の会計方針に基づいて当社グループはこれらの給付費用を負担し、政府の規制に従って資金を拠出しております。

現時点では、直ちに多額の資金は不要ですが、株式や債券市場等の予測し得ない市況変動により制度資産の収益性が低下すれば、追加的な資金拠出と費用負担が必要になるリスクがあります。

当社グループは、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しております。

環境

災害

気候変動に関する影響

気候変動はグローバルに活動する当社グループにとって重要な課題であると認識し、TCFD(*4)のフレームワークに沿った分析と対策を実施しております。

主なリスクとしては「脱炭素社会移行への対応遅れによるリスク」及び「気候変動による物理的リスク」があります。

 

(脱炭素社会移行への対応遅れによるリスク)

・サプライヤーへの炭素税・排出量取引制度の適用による調達コスト増加

・脱炭素社会への急速な移行による対応コスト(再エネ電力証書の購入等)の増加

等がリスクとして考えられます。

 

(気候変動による物理的リスク)

・異常気象による罹災への対処が遅れ、工場操業停止やサプライチェーンの寸断による製品・サービスの供給停止

・異常気象による紙などの原材料の高騰が及ぼす事業への悪影響

・異常気象による感染症の発生が及ぼす主要拠点の操業停止

等がリスクとして考えられます。

 

*4 TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース。金融安定理事会(FSB)によって設立され、企業に対する気候関連リスク・機会の情報開示の促進と、低炭素社会へのスムーズな移行による金融市場の安定化を目的としている。

気候変動に関する事業影響については、全社リスクマネジメントの枠組みの中で“重点経営(戦略)リスク”の一つとして管理しています。

 

(脱炭素社会移行への対応遅れによるリスク)

・脱炭素社会への移行に対処すべく代表取締役社長を委員長とするESG委員会を設置し変化する国際要請を常に確認し環境目標の見直しやリスクの未然防止・迅速な対処に努める体制を整備しています。

・移行対応遅れリスクへの対処としてESG委員会で審議し「リコーグループ環境目標」を見直しました。2030年の自社排出のGHG(温室効果ガス)削減目標を2015年比で従来の30%削減から63%削減に改定。更に再生可能エネルギー利用率も30%から50%へ引き上げました。

 

(気候変動による物理的リスク)

詳細は、リスク項目「部品・原材料の価格、為替レートの変動」「製品の長期供給遅れ/停止」「災害等による影響」に記載のとおり、水害リスク分析による設備投資の検討、調達系列の二重化、材料や部品在庫の積み増し等、サプライチェーンに対するリスクマネジメントを強化しています。また、サプライヤーと協力し、事業継続能力向上に取り組むため2021年度にサプライヤー様向けにESG説明会を行いました。サプライヤーにおける気候変動リスクを含めたESGへの対応を強化しコミュニケーションを通じて強靭なサプライチェーンを継続して構築していきます。

 

 

リスク分類

リスク

項目

リスクの説明

リスク対策

影響度

緊急度

リスクマネジメントレベル

環境

災害

災害等による影響

当社グループでは、国内外で発生する大規模な自然災害・事件・事故において、人的(家族を含む)/物的被害が生じ、経営に著しい影響を受けるリスクを想定しています。

 

(想定している災害・事故・事件)

・自然災害:地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪、噴火等

・事故:火災、爆発、危険物質の漏洩等の社内事故、列車、航空機、船舶など交通機関の大事故等

・事件:テロ、誘拐、脅迫、社会情勢の変化(内乱・戦争・危険な社会運動等)、感染症等

当社グループでは、「災害などによる影響」を“重点経営(オペレーショナル)リスク”と位置づけ、標準において、非常時の初期対応(事業所復旧含む)、報告方法、各対策本部の設置を含めた体制と役割について明記し、災害発生の際に適切な対応が取れるような仕組み(予防策、発生している事案の早期発見/事案発覚後の対応力を高めるための取組み)を構築しております。

災害の発生を防ぎ、万が一災害が生じた場合の被害を最小限に抑えるために、国内グループ合同での災害対応訓練や事業所単位での防災訓練、定期的な設備点検等を実施しております。また地域や事業に応じたBCPを作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。

特に近年は気候変動により、国内における水害リスクが高まっております。2020年度は国内の主要19拠点を対象とした水害リスクに関する詳細調査を行い、調査結果に基づく被害想定と対策案を経営会議にて報告しました。その結果、特にリスクが高いと想定される3拠点の重点的対応が決定し、2021年度から必要な工事等に着手するとともに関連自治体等との連携を図りながら対策を実施しています。

また、大地震発生時と同様に大規模な水害発生時の復旧行動計画も策定しており、その計画書に基づいた実地訓練も行っています。

国内:地震

国内:風水雪害

国外:大自然災害・事件事故

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。

 

(2) 経営成績

経営を取り巻く経済環境

当連結会計年度の世界経済は、一部の国や地域で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により経済活動が再開しつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の新たな変異ウイルスの世界的な感染再拡大により経済活動の回復が鈍化しました。加えて、半導体等の供給不足や海運等の流通網の停滞により広範な物価の上昇に直面し、経済活動は一進一退の状況となりました。

このような経済情勢の中で、当社のメイン市場であるオフィスにおいても、変異ウイルスまん延に伴う各国における経済活動に対するさまざまな規制・要請により、オフィスの出社率が引き続き低位に推移し、プリンティング需要は限定的な回復に留まりました。また、部材不足や物流の問題により供給が制約され、物価指数が主要国において上昇しており、地政学リスクの顕在化とあわせて先行きの不透明さが増しております。

なお、当連結会計年度の主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 112.36円(前年度に比べ 6.31円の円安)、対ユーロが 130.55円(同 6.85円の円安)となりました。

 

当連結会計年度の業績

当社グループは、当連結会計年度からスタートした第20次中期経営計画(以下、20次中計)期間の2年間で「“はたらく”の生産性を革新するデジタルサービスの会社への変革」の実現を目指しております。

当連結会計年度は、オフィスプリンティング事業および商用印刷事業において一昨年から続く新型コロナウイルス感染症拡大による事業影響は継続しているものの、欧米での経済活動の再開等によりノンハードを中心に回復基調となりました。また、開発・生産、サービス体制の最適化等の体質強化をさらに進めながら、20次中計の目標達成に向けて成長に舵を切り、オフィスサービス事業を中心としたデジタルサービスの成長と資本収益性向上を実現することで企業価値の向上を図ってまいりました。

 

当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度に比べ 4.5%増加し、17,585億円となりました。世界的に新型コロナウイルス感染症が再拡大したことによる販売の減少と生産ラインの停止、コンテナ船の不足、部材不足による供給の制約等多くの外的要因により事業活動が制限されましたが、前連結会計年度に比べ増収となりました。オフィスプリンティング事業では製品の供給不足によるハードウェア販売の回復の遅れがありながらも、ノンハードは日本を除く全地域で増収となりました。オフィスサービス事業においてもサービスの構成要素である複合機やIT商材の品不足が販売活動に影響を及ぼしましたが、ソフトウエア等を中心としたパッケージ販売等が前年に対し堅調に推移したことにより、増収となりました。この他、商用印刷事業においても、顧客である印刷業の事業活動の回復によりノンハードを中心に増収となりました。なお、社内カンパニー制導入に伴い当連結会計年度より採用しております新事業セグメントであるデジタルサービス、デジタルプロダクツ、グラフィックコミュニケーションズ、インダストリアルソリューションズのすべての事業セグメントで増収となりました。

地域別では、日本では主要都市での緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の継続による断続的な行動制限や、部材不足による供給の制約等もあり販売の回復が遅れました。また前連結会計年度のGIGAスクール案件による売上増の反動もあり、国内売上高全体では前連結会計年度に比べ 6.3%の減少となりました。米州においては、製品の不足や港湾問題によるサプライチェーンの混乱等販売活動への影響が続いているものの、ワクチン接種の進展に伴い経済活動が再開し、売上高は前連結会計年度に比べ 14.8%の増加となりました(為替影響を除くと 8.3%の増加)。欧州・中東・アフリカにおいても同様にワクチン接種の進展により経済活動が再開された一方で、製品の供給が間に合わない状況が続きましたが、オフィスサービス事業での買収による事業成長やパッケージ販売の展開により成長を持続し売上高は前連結会計年度に比べ 14.4%の増加となりました(為替影響を除くと 8.4%の増加)。その他地域は、オフィスプリンティング事業の増収等により、売上高は前連結会計年度に比べ 7.1%の増加となりました(為替影響を除くと 0.2%の増加)。

 

以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 13.4%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 7.1%の増加となりました。

 

売上総利益は、前連結会計年度に比べ 8.8%増加6,226億円となりました。売上高の増加による利益の回復に加え、利益率の高いノンハードの回復、開発・生産プロセスの効率化、製品原価の低減活動やサービス改革等の体質強化策により利益率が改善し、前連結会計年度と比べ大幅に増益となりました。

 

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ 3.1%減少6,002億円となりました。前連結会計年度は、商用印刷事業等における有形固定資産及び無形資産等の減損損失 248億円や体質強化のための費用等を計上していました。当連結会計年度においては、前連結会計年度からの売上の回復や成長投資により費用が増加しましたが、体質強化や機動的な経費コントロール等により支出を抑制しました。

その他の収益については、当連結会計年度において米国子会社における土地をはじめ遊休資産売却等による利益を計上し、前連結会計年度に比べて大幅に増加しました。

のれんの減損については、前連結会計年度において商用印刷事業等における減損損失 37億円を計上していましたが、当連結会計年度は大幅に減少しました。

なお、当社グループは、2021年4月より社内カンパニー制を導入いたしました。上記の通り、当連結会計年度は部材逼迫、物流費の高騰、そして新型コロナウイルス感染症の変異ウイルスまん延などの外部要因により約570億円もの大きな減益要因となりましたが、社内カンパニー制による権限委譲を受けた各ビジネスユニットが自律的な体質強化や、機動的に経費コントロールに取り組んだ結果、約430億円のリカバリーを実現しました。

 

以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べて 854億円増加と大幅に改善し、400億円となりました(前連結会計年度 営業利益 454億円(損失))。

 

金融収益及び金融費用は、前連結会計年度では為替差益を計上していましたが、当連結会計年度は為替による差損益は少額となり前連結会計年度に比べて金融収支は悪化しました。また、持分法による投資損益は、持分法適用会社の業績改善により前連結会計年度に比べ増加しました。

 

税引前利益は 443億円となり、前連結会計年度に比べて 854億円増加しました(前連結会計年度 税引前利益 410億円(損失))。

 

法人所得税費用は税引前利益が大幅に改善したこと等により、前連結会計年度に比べて 221億円増加しました。

 

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は 303億円となり、前連結会計年度に比べて 631億円増加しました(前連結会計年度 親会社の所有者に帰属する当期利益 327億円(損失))。

 

当期包括利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益や在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度に比べ 312.4%増加し、909億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。                   (単位:百万円)

 

前連結会計年度
自 2020年4月1日
至 2021年3月31日

当連結会計年度
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日

増減

金額

(%)

金額

(%)

金額

(%)

デジタルサービス

売上高計

1,376,613

100.0

1,428,192

100.0

51,579

3.7

 外部顧客向け

1,376,613

 

1,428,192

 

51,579

3.7

営業損益

△2,631

△0.2

16,209

1.1

18,840

デジタルプロダクツ

売上高計

357,166

100.0

364,968

100.0

7,802

2.2

 外部顧客向け

12,111

 

13,172

 

1,061

8.8

営業損益

16,451

4.6

41,731

11.4

25,280

153.7

グラフィック

コミュニケーションズ

売上高計

159,909

100.0

187,082

100.0

27,173

17.0

 外部顧客向け

159,909

 

187,082

 

27,173

17.0

営業損益

△47,451

△29.7

△466

△0.2

46,985

インダストリアル

ソリューションズ

売上高計

115,274

100.0

119,259

100.0

3,985

3.5

 外部顧客向け

108,878

 

110,791

 

1,913

1.8

営業損益

△1,634

△1.4

1,307

1.1

2,941

その他

売上高計

40,098

100.0

35,554

100.0

△4,544

△11.3

 外部顧客向け

24,558

 

19,350

 

△5,208

△21.2

営業損益

△13,867

△34.6

△15,521

△43.7

△1,654

 

 

 

a. デジタルサービス

当連結会計年度は、国内において、中小企業のお客様にエッジデバイス*1やソフトウエア、クラウドサービスを組み合わせて、業種業務ごとに固有のプロセスをデジタル化し課題解決を行うスクラムパッケージを、また、中堅企業向けには、これまでシステムエンジニアがお客様に提供してきた開発事例・導入事例に最新技術を組み合わせて水平展開できるようモデル化したスクラムアセットの拡販を進めました。欧州では、重点国でのITサービスの販売やサービス基盤の強化・拡大に向けてICT*2企業3社の買収を行いデジタルサービスを提供する能力の強化を図るとともに、在宅・リモートワーク向け等のパッケージ型ソリューション販売が進展し、売上高を伸ばすことができました。さらに、オフィスサービス事業のさらなる強化に向けシステムエンジニアの育成も進めました。加えて、2019年に買収したドキュウェア社のソフトウエアは、グローバル 45か国の販売会社で販売・サポート体制を構築し、グローバルでの水平展開を開始しました。

当連結会計年度のデジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 3.7%増加14,281億円となりました。オフィスサービス事業は、PCやサーバー、ネットワーク機器等のIT商材不足等による販売機会への影響があったものの、日欧でのパッケージ展開が引き続き堅調に推移しました。オフィスプリンティング事業は、複合機やプリンター等エッジデバイスが部材不足の影響を受けたことにより回復が鈍化したものの、新型コロナワクチン接種の進展等に伴うオフィスへの回帰によりノンハードが回復しました。営業利益は、オフィスサービス事業の収益性が改善し利益率が上昇したことに加え、オフィスプリンティング事業においても保守サービス体制の体質強化をはじめとした構造改革や経費削減策の効果により、前連結会計年度 26億円(損失)から、当連結会計年度は 162億円前連結会計年度に比べて増益となりました。

*1 エッジデバイス:文字・写真・音声・動画等のさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を持つネットワーク機器

*2 ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術

 

b. デジタルプロダクツ 

デジタルプロダクツは、「変動原価低減」「ものづくりの体質強化」等コスト構造の見直しを推し進めています。当連結会計年度は「変動原価低減」では部材価格の高騰による影響を大きく受けましたが、部品の共通化やAI(人工知能)を活用した生産の自動化等の取り組みを着実に進めました。また、「ものづくりの体質強化」では、設計業務のデジタル化推進を強力に進め、生産面では、主にデジタルマニュファクチュアリングと生産拠点の集約・再編を進めました。さらに、沖電気工業株式会社とA3モノクロプリンターのプリンターエンジン(印刷機構)の共同開発を行う等、他社との協業を積極的に進めて開発コストの低減に取り組みました。

デジタルによるコミュニケーションを支えるエッジデバイスにおいては、2022年3月に電子黒板の教育現場向けモデル「RICOH Interactive Whiteboard A6500-Edu」を発売しました。1人1台端末時代の授業に対応した、児童・生徒のパソコン/タブレットからの無線投影機能を標準搭載しており、分割投影による回答の比較や、電子黒板からのリモート指導も可能です。

当連結会計年度のデジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 2.2%増加3,649億円*となりました。営業利益は、部材不足や海外生産拠点周辺での新型コロナウイルス感染症の拡大により生産に大きな影響を受けましたが、製品原価の低減や開発・生産の効率化等の体質強化による収益改善、米国子会社での土地売却益等もあり、前連結会計年度に比べ 252億円増加し 417億円となりました。

*セグメント間売上高消去後の売上高は 8.8%増加131億円

 

c. グラフィックコミュニケーションズ

商用印刷事業においては、高画質や高生産性、幅広い用紙への対応力のみならず、新たなビジネスを切り開く付加価値の高い印刷物の生産を目指す印刷業のお客様のニーズにお応えしながら、お客様のビジネス成長に貢献することで事業拡大を図っています。産業印刷事業においては、さまざまなインクへの高い対応力を有するリコーのインクジェットヘッドを核として、産業向けの新たな市場・お客様の獲得を目指しています。

当連結会計年度は、商用印刷事業では、印刷業のお客様、ビジネスパートナーとのナレッジ共有を通じてお客様のビジネス拡大を目指す価値共創プラットフォーム「RICOH BUSINESS BOOSTER」を立ち上げました。この取り組みは、オンデマンド*ブック、カスタマイズドカタログ等新しい印刷アプリの共有、印刷プロセスの自動化・省人化ソリューションの提供等を通じて印刷業のお客様の事業規模拡大や経営品質向上に寄与し、総合的なパートナーになることを目指しています。産業印刷事業では、2021年9月に北米に続き高速ガーメントプリンター「RICOH Ri 2000」を国内でも発売し、Tシャツ等の服飾品生地に直接印刷するガーメントプリント市場において、衣料印刷業、総合印刷業のお客様のビジネス効率化や業務拡大を支援することで事業拡大を図っています。また、2021年11月に産業用インクジェットヘッドの最上位機種となる「RICOH TH6310F」の受注をグローバルで開始、2022年3月に産業用インクジェットヘッド「RICOH MH5422シリーズ」を発売し、さらなる事業拡大に向け、インクジェットヘッドのラインアップ拡充を進めました。

当連結会計年度のグラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 17.0%増加1,870億円となりました。商用印刷事業では主力市場である欧米での経済活動の再開により回復し、特にノンハードの売上が大きく改善しました。産業印刷事業では競争力のあるインクジェットヘッド等が大きく伸長しました。また、開発・生産のデジタル化の展開やサービス活動の効率化による原価低減活動も引き続き順調に進みました。営業損益は、前連結会計年度に商用印刷事業にかかるのれん、有形固定資産及び無形資産等の一部について減損損失 265億円を計上していたことから、前連結会計年度に比べ 469億円増加と大きく改善し 4億円(損失)となりました。

*オンデマンド:さまざまな可変情報を必要に応じて印刷するシステム

 

d. インダストリアルソリューションズ

サーマル事業においては、eコマースの拡大による配送ラベルへのニーズが全世界的に拡大する等、需要が堅調に拡大する中で、当社グループが長年培ってきた材料技術等を活かし、耐熱性、耐擦過性、印字精細性、保存性、環境配慮等に優れたサーマルペーパーや熱転写リボン等を提供し、事業を着実に拡大しています。産業プロダクツ事業においては、安全運転支援システムの普及が進む自動車業界へのステレオカメラ等の光学デバイスの提供をはじめとして顧客基盤の拡大を図っています。

当連結会計年度は、サーマル事業では、2021年6月に生産工程向け高速印刷ソリューション「RICOH FC-LDA Printer 500」を発売しました。大量生産ラインで高速搬送されているフィルムやラベル等の包装材に対して、レーザーにより最大毎分300mの速度で可変情報印字が可能なシステムで、生産工程内での印刷業務効率向上や省資源化による環境負荷の低減に貢献します。産業プロダクツ事業では、産業車両業界向けに、フォークリフト用ステレオカメラを株式会社豊田自動織機と共同開発しました。人と物が混在するフォークリフトの作業現場において、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高精度に検知することを可能にし、フォークリフト作業における安全性向上に貢献します。

当連結会計年度のインダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 3.5%増加1,192億円となりました。サーマル事業では剥離紙を使用しないラベルや流通分野での需要が堅調に推移しました。産業プロダクツ事業では自動車関連の顧客生産調整の影響を大きく受けました。営業利益は前連結会計年度に比べ改善し 13億円となりました(前連結会計年度 営業利益 16億円(損失))。

 

e. その他

その他において、社会課題解決に貢献するという強い思いのもと、デジタル技術を活用し、特許やノウハウといった知的財産を強みとするビジネスモデルを描き、新しい事業の創出に取り組んでいます。さらに、自社のみでは成し得ない新たな未来の価値は、オープンイノベーションで創り出します。Smart Vision事業では、リコーの強みであるキャプチャリング技術や画像処理技術を活かした360°カメラと物件案内をバーチャルに行うアプリケーションを不動産業界に提供し、好評をいただいています。当連結会計年度は、2014年から日本市場において提供していたバーチャルツアー作成サービス「THETA 360.biz」に加え、海外市場で展開していた「RICOH360 Tours」の日本市場での提供を2021年7月から開始しました。バーチャルツアーの需要は全世界で伸長しており、

「THETA 360.biz」と「RICOH360 Tours」を合わせて現在、全世界で6万を超えるお客様にご利用いただいています。

また、新規事業として、2022年1月に植物由来の新素材「PLAiR(プレアー)」のテスト販売を開始しました。「PLAiR」は、トウモロコシやさとうきび等に含まれるデンプンを原料としたポリ乳酸(PLA)を、独自の「CO2微細発泡技術」で発泡させた、しなやかさと強さを兼ね備えた発泡PLAシートです。「PLAiR」のテスト販売を通じて、さまざまな用途への活用可能性の検証を実施し、温暖化による気候変動や廃棄物による環境汚染といった社会問題の解決に貢献します。

当連結会計年度のその他の売上高は、主にリコーリース株式会社(以下、リコーリース)の持分法適用会社への移行の影響により前連結会計年度に比べ 11.3%減少355億円となりました。なおこの影響を除くと、カメラ事業で新製品の販売が好調に推移し増収となりました。その他全体の営業損益は新規事業への先行投資もあり 155億円(損失)となりました(前連結会計年度 営業損益 138億円(損失))。なおリコーリースの持分法適用会社への移行による影響を除くと実質 144億円(損失)となりました。

 

(注) 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事業の種類別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。

 なお、事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく場をつなぎ、はたらく人の想像力を支えるデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。

   

 

 生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。

① 生産実績

前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

前連結会計年度
(自2020年4月1日
 至2021年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自2021年4月1日
 至2022年3月31日)
(百万円)

前連結会計年度比

(%)

デジタルサービス

デジタルプロダクツ

305,674

308,036

0.8

グラフィック

コミュニケーションズ

104,203

143,192

37.4

インダストリアル

ソリューションズ

109,286

114,715

5.0

その他

16,791

19,021

13.3

合計

535,954

584,964

9.1

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事業の種類別セグメントを変更しております。また、当連結会計年度よりサービスに係る生産実績を除き、製造に係る生産実績としました。事業構造の変化により当社グループの提供するサービス事業はハードウエアの設置・保守サービスからクラウド型サービス、ライセンス提供型及びその他保守サービス等のソフトウエアサービスまで広範かつ多種多様となってきており、サービスの生産実績を一様の定義で示すことが困難であることから、製造に係る実績のみを対象とすることで、より適切な生産実績を示すと考えております。これらの変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。

 

② 受注実績

当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。

 

③ 販売実績

前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。

事業の種類別セグメントの名称

前連結会計年度
(自2020年4月1日
 至2021年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自2021年4月1日
 至2022年3月31日)
(百万円)

前連結会計年度比

(%)

デジタルサービス

1,376,613

1,428,192

3.7

デジタルプロダクツ

12,111

13,172

8.8

グラフィック

コミュニケーションズ

159,909

187,082

17.0

インダストリアル

ソリューションズ

108,878

110,791

1.8

その他

24,558

19,350

△21.2

合計

1,682,069

1,758,587

4.5

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。

3 当社グループは2021年4月1日より社内カンパニー制を導入しました。そのため、当連結会計年度より、事業の種類別セグメントを変更しております。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。

 

 

(3) 財政状態

資産合計は、前連結会計年度末に比べ 346億円減少18,532億円となりました。前連結会計年度末と比較して為替レートが大幅に円安となったことから海外資産の換算差額が発生し、為替影響を除いた試算では 1,137億円の減少となりました。当連結会計年度の主要通貨の期末日レートは、対米ドルが 122.39円(前連結会計年度に比べ11.68円の円安)、対ユーロが 136.70円(同 6.90円の円安)となりました。

資産の部は、前連結会計年度末の販売により減少した棚卸資産の在庫形成に加え、部材不足による仕掛品の増加や海運等の流通網の停滞の影響もあり棚卸資産が 405億円増加しました。また、欧州でのサービス事業に関わる一連の買収や開発資産の増加等により、のれん及び無形資産が 339億円増加しました。また、株主還元策として自己株式の取得を行ったこと等により現金及び現金同等物が 945億円減少しました。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ 165億円減少9,474億円となりました。為替影響を除いた試算では 494億円の減少となりました。負債の部では、営業債務及びその他の債務は取引先との支払い条件の見直しによる支払期間の短縮により 186億円減少しました。また、金利上昇による割引率の上昇等により退職給付に係る負債が 247億円減少しました。

資本合計は、前連結会計年度末から 180億円減少し、9,058億円となりました。2021年3月3日開催の取締役会において決議した自己株式の取得を実施し、資本が 927億円減少しました。また、2021年3月以前に取得していた自己株式と合わせ、2022年2月28日に 1,372億円の自己株式の消却を実施しました。円安により在外営業活動体の換算差額が 468億円増加しました。

親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 182億円減少9,020億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は 48.7%となり、引き続き安全な水準を維持しています。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 445億円減少824億円の収入となりました。当期利益は前連結会計年度に比べ大幅に増加しましたが、前連結会計年度では現金の支出を伴わない有形固定資産、のれん及び無形資産の減損を計上していたことに加え、当連結会計年度は、前連結会計年度と比べ棚卸資産が増加し、また営業債務及びその他の債務が減少した結果、収入額が減少しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 42億円減少593億円の支出となりました。当連結会計年度においては、米国子会社の土地等の有形固定資産の売却による現金収入が増加しました。一方で事業拡大のための開発投資による無形資産の取得の増加やITサービス、ソフトウエアサービス会社の継続的な買収により支出が増加しました。

以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 402億円減少し 231億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 1,276億円増加1,316億円の支出となりました。前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大による事業環境悪化リスクに備えた調達を実施し収入額が増加した一方、当連結会計年度では株主還元策として自己株式の取得等を実施したことに伴い、支出が増加しました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 963億円減少2,340億円となりました。

 

当社グループでは、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への転換に向けて、成長投資に5,000億円程度を投じる予定としています。投資原資は、営業キャッシュ・フローに加えて有利子負債も活用しながら、メリハリを効かせて戦略的に実施します。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

親会社所有者帰属持分比率

34.4 %

34.2 %

32.1 %

48.7 %

48.7 %

時価ベースの

親会社所有者帰属持分比率

28.8 %

30.8 %

20.1 %

42.8 %

36.5 %

債務償還年数

8.0 年

11.4 年

9.1 年

1.8 年

2.9 年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

18.8 倍

17.3 倍

25.5 倍

47.1 倍

26.9 倍

 

親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息
    ※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
    ※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
      有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。

 

当社グループの流動性と資本源泉は次のとおりです。 

現金及び資産負債総合管理

 

事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。

また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しております。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。

 

資金源泉

 

当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する際、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。

当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は 2,340億円、信用枠は 3,693億円であり、そのうち未使用残高は 3,690億円でありました。当社は 1,500億円(信用枠 3,693億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。これらは信用枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能です。

当社及び一部の連結子会社は、銀行借入及び社債の発行により資金を調達しております。また、当社グループはグローバルでキャッシュマネジメントシステムを活用してグループ資金を効率的に管理し、有利子負債残高の削減に取り組んでおります。

当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、及び格付投資情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。当連結会計年度末現在、当社の格付はS&Pが長期BBB+及び短期A-2、R&Iが長期A+及び短期a-1となっております。

 

必要資金及び契約債務

 

当社グループは現金及び現金同等物、営業活動により創出が見込まれる資金、並びに借入金・社債等の調達資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している信用枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び事業拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術の導入及び供与に関する契約等

 

契約会社名

相手方の名称

国・
地域

契約の内容

契約期間

株式会社リコー

International
Business Machines
Corporation

米国

情報処理分野に関する包括的特許クロスライセンスの許諾
(相互)

2007年3月28日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

Adobe Inc. 

米国

プリンター開発及び販売ライセンスの許諾
(導入)

1999年1月1日から
2023年3月31日まで

株式会社リコー

Lemelson Medical,
Education &
Research Foundation Limited
Partnership

米国

コンピュータイメージ分析
(CIA)

他の特許実施権の許諾
(導入)

1993年3月31日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

HP Inc.

米国

文書処理システム分野に関する包括的特許クロスライセンスの許諾(相互)

2011年10月31日から
契約対象特許権の満了日まで

株式会社リコー

ブラザー工業株式会社

日本

事務機器製品に関する特許実施権の許諾(供与)

2019年10月1日から
2024年9月30日まで

 

 

(2) 株式譲渡契約

当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、富士通株式会社から、同社の子会社である株式会社PFUの普通株式の一部(発行済株式数の80%)を取得することを決議し、株式譲渡契約を締結いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 39後発事象」をご参照ください。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。

2021年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的まん延が継続し、更に、半導体不足、各種材料不足、輸送手段の高騰など年度初めには予想できなかった事態により、根本的な事業構造の変革を迫られる年度になりました。その状況の中でも研究開発分野においては、アフターコロナを見据えた変革加速として、「OAメーカーからの脱皮」及び「デジタルサービスの会社への変革」に力をいれてまいりました。

当社グループの2036年ビジョン「“はたらく”に歓びを」の実現に向け、デジタルサービスの会社として、ワークプレイスを変化させていく商品やサービスを提供してまいります。

体制面では、CTO(Chief Technology Officer)のもと、技術面・経営面の両面から技術開発に取り組んでおりますが、2020年度からCDIO(Chief Digital Innovation Officer)を配置し、社内外でのデジタルとデータを活用した基盤及び価値創出の機能を強化しております。カスタマーサクセスを当社グループの提供価値と定め、既存ビジネスの深化と新たな顧客価値の進化、及びこれらを持続的に可能にする社内外でのデータ活用基盤、機能を強化しております。グローバルに広がる約140万社の顧客基盤を生かし、デジタルサービスの会社としてさらなる拡大を目指しております。

これまで当社では中長期的な研究開発及び要素技術開発は本社研究所機能にて集約的に行い、それらの成果を基に事業実施区にて製品設計に応用する研究開発体制を取ってまいりました。2021年度から導入された社内カンパニー制下においては、事業ドメインごとのビジネスユニットそれぞれが受け持つお客様・商品毎に向けたリソースを集約運用するという考え方から、研究開発についても将来に備えた中長期的な研究から直近の製品開発・設計・生産までを一貫として事業分野毎に集約した体制へと変更いたしました。

上記の体制変更に伴い、本社研究開発の役割・内容も変更しております。

 本社での研究領域として、当社の現事業ドメイン以外での中長期的な成長を支える技術戦略として「ワークプレイスではたらく人の働き方を進化させるデジタルツイン」と「マスカスタマイゼーション時代のデジタルプリンティング」の2つの領域を定めました。これらの実現に向けた研究開発及び当社グループの共通基盤技術開発に集中・特化した「先端技術研究所」を設立いたしました。

また共創プラットフォーム「 RICOH Smart Integration (RSI)」 を支えるデジタル基盤技術の研究開発を行う「デジタル戦略部」を設立いたしました。AI/ICT技術の開発や“はたらく”をデジタル化する技術の開発、それらに携わるデジタル人材の育成・強化を担いデジタルサービスの会社としての拡大を支えます。

更にこれらの本社研究所の技術開発からの事業インキュベーションに向け、2021年度から組織を新設し、開発体制の強化を行っております。

研究開発の進め方としては、グローバルに拠点間の連携を深めながらそれぞれの地域特性を活かした市場ニーズの調査・探索、研究・技術開発を行っております。また、世界各地にテクノロジーセンターやカスタマーエクスペリエンスセンターを開設し、お客様のサポートを通じて直接把握したニーズを製品開発へフィードバックする仕組みにより、お客様と一体となった価値共創活動を展開しております。

オープンイノベーションにおいては、大学・研究機関、企業の力を積極的に活用し、最先端技術の開発を効率的に進めております。

また、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」を2019年度より実施しております。3年目になります2021年度では195件の応募の中からコンテストを実施し、選出された優秀なテーマには当社グループ内に登録されている約250名のサポーターをはじめとした様々なリソースを活用可能とし、チャレンジする人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指しております。

IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資は 96,721百万円です。

 

(1) デジタルサービス

当社グループでは、お客様への提供価値を「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES」と定め、働く現場のデジタルトランスフォーメーションを支援することで、お客様の業務効率化や生産性向上に貢献しております。

近年、時間や場所にとらわれない多様な働き方が求められており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策をきっかけに、その要望は飛躍的に大きくなっております。当社グループでは、オフィス業務のペーパーレス化だけでなく、企業間取引業務を支援するトレードエコシステム、遠隔機器による現場作業支援など、様々なワークフローにおいて、デジタルトランスフォーメーションによりお客様の課題解決に貢献できるサービス開発に取り組んでおります。

当社グループでは、クラウドサービス等と親和性の高いMFPをはじめとした各機器がつながり、お客様がいつでも最新のサービスを利用可能な統合プラットフォーム「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES プラットフォーム」を提供しております。このプラットフォームを中心とした「RICOH Digital Processing Service」では、お客様の基幹システムや業務システムと「スクラムパッケージ」を連携させることで、手作業に頼っていたアプリ間のデータ受け渡しを自動化し、お客様の業務効率や生産性を向上いたします。お客様の働く環境をトータルにサポートすることで、お客様の生産性向上、多様な働き方に寄与する価値提供を目指しております。

2021年度は、お客様のワークフローをデジタル化するコンテンツ管理ソフトウエアの「DocuWare」を提供するDocuWare GmbHの全株式取得(2019年度)に続き、企業の業務プロセス自動化を支援するプラットフォームやアプリケーションを開発・販売するAxon Ivy AG(本社:スイス)の全株式を取得しました。当社グループの強みである顧客接点力やこれまで培ってきた製品や技術、ノウハウなどを組み合わせることで、さらなる顧客価値の創出に取り組むとともに、デジタルサービスの会社への変革を加速させてまいります。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

自然言語処理AIでデータを分析し、業務効率化や新しい価値の創造に貢献する「仕事のAI」を提供開始

~業種業務ごとにラインアップを拡充し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援~

・これまで業務に精通した人が行ってきた「問題の発見」「課題解決策の策定」「新たな価値の創出」といった付加価値の高い業務を、デジタルの力でよりスムーズに、人の判断によるばらつきを抑えて行える支援を実現

・第一弾として、食品業界の大手・中堅企業向けに「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」を発売。コールセンターやヘルプデスクに集まる膨大な問い合わせ情報を自然言語処理AIで分析し、重要度順に表示することで、迅速な顧客対応や品質改善によるリスク低減に貢献

 

世界最薄・最軽量42インチ電子ペーパーを使ったソリューションを提供開始

~図面などの大型用紙を使った作業が必要な現場のデジタル化を後押し~

・世界最薄・最軽量、世界初防塵・防水(IP65対応)の42インチ電子ペーパーデバイス「RICOH eWhiteboard 4200」と、ソフトウエア、クラウドサービスを組み合わせた商品・ソリューションを発売

・バッテリーを内蔵し、建設現場や工場をはじめとした、電源が確保しにくい場所での長時間利用を実現

・手書き入力文字のテキスト変換や、専門用語などをカスタム辞書に登録した即時変換が可能

・クラウド対応することで「RICOH eWhiteboard 4200」同士で離れた場所で相互書き込みや、遠隔共有が可能

 *42インチ電子ペーパー製品で、バッテリー内蔵の入力・表示装置において(2021年7月現在、当社調べ)

 

映像や音声のリアルタイム配信機能を提供する「RICOH Live Streaming API」を提供開始

~APIを活用した機能提供によるビジネスモデルを構築~

・API連携により、アプリケーションやWebサービスに短期間で埋め込み可能

・テレビ会議・Web会議システムなどで培ってきた動画や音声などのメディア帯域制御の技術により、高品質と低遅延を両立し、4Gなどのモバイルネットワーク環境においても安定した接続が可能

・当社の360度カメラ「RICOH THETA」などとの組み合わせで、臨場感あるライブストリーミングも実現

 

2022年1月施行の改正電子帳簿保存法に対応する「RICOH 証憑電子保存サービス」を提供開始

~様々な証憑をひとまとめに。手軽に手間なく始められる電子保存サービス~

・様々な証憑を版管理方式(削除・修正の履歴による方式)でクラウド上に法定年数に応じた長期保存が可能

・電子帳簿保存法のスキャナ保存・電子取引要件に準拠した検索が可能

・電子帳簿保存法改正で求められる「取引先名」「取引金額」「取引日」の項目の入力代行サービスも用意

 

 

「DocuWareバージョン 7.4/7.5」を提供開始

~より安全かつ高速にデータ、プロセス、ドキュメントを管理するための継続改善~

・ライブコラボレーション機能の追加、ドキュメントとデータ検索の高速化を提供(バージョン7.4)

・言語追加、Webhook機能による外部連携、自動ドキュメント処理機能を提供(バージョン7.5)

 

再生可能エネルギートラッキングの実証事業を開始へ

~蓄電池に充放電した再生可能エネルギーの環境価値を担保し、取引できる仕組み構築を目指す~

・日本ガイシ株式会社と、再生可能エネルギーの発電から消費及び余剰発電の電力貯蔵用NAS®電池への充放電も含めた全てのプロセスのトラッキング(追跡)を行う実証実験を、2022年度から開始

・発電した再生可能エネルギーをその環境価値が見える形で最大限活用するため、当社が開発するブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した再エネ流通記録プラットフォームを用いて、再生可能エネルギーの発電、蓄電、消費のトラッキングについて恵那電力株式会社を実フィールドとして検証実施

なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 11,890百万円です。

 

(2) デジタルプロダクツ

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、世界的なワークスタイルの変化が著しい中、オフィスにおいてはワークフローのさらなる効率化、そして在宅ワークにおいては安心して利用できるデバイスや機能のタイムリーな提供が求められております。これらのご要望にお応えするプリンティングやスキャニング環境を迅速に実現するための技術開発、また、外部環境変化の影響を受けずに安定して製品をお届けできる生産プロセス構築に力を注いでおります。

当社のデジタルサービスを実現するための特徴的なクラウド型統合プラットフォームである「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES プラットフォーム」との親和性を重視したオフィス機器の開発など、時間や場所の制約を受けずに働くための環境を実現するクラウドサービスへのご要望にもお応えしてまいります。

複合機やプリンターにおいては、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン要素技術、常に最新の機能をご利用いただけるソフトウエア技術「RICOH Always Current Technology」の新バージョンなど、各領域での設計・技術開発を継続して行っております。また、インタラクティブホワイトボード(電子黒板)、プロジェクターなど、働き方改革を実現するためのスマートコミュニケーションデバイスの商品開発にも引き続き注力してまいります。

2021年度においては、原料価格の高騰、半導体部品の不足、ロックダウンによる生産停止など、数々の困難に直面しました。そのような外部環境変化に左右されないものづくり体制を構築し、お客様へ必要な製品を安定的にお届けできるよう、設計面と生産面で様々な施策を打ちました。たとえば、有事において切り替えに時間を要する部品については、製品の開発段階からあらかじめ代替候補を選定した上で設計するようにプロセスを変更しました。

さらに、再生材料の使用促進など、近年重要となっている脱炭素社会や循環型社会の実現へ貢献するための技術開発も進めております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

デジタルモノクロ複合機「RICOH IM 6000/5000/4000/3500/2500」を新発売

~充実の基本性能と最新のクラウドサービス対応でユーザーの業務効率化に貢献~

・オフィスワークの自動化・省力化を推進する「RICOH Intelligent WorkCore」に対応

・多様なワークフローに対応できる後処理オプション、高速出力により高い生産性を実現

・デジタルサービスとの連携に不可欠となる紙文書のスキャナ機能を強化し、OCR(光学文字認識)処理速度も向上

・導入後も基本機能を最新の状態にアップデートできる「RICOH Always Current Technology」に対応

クラウド対応複合機の基本機能をアップデートする「RICOH Always Current Technology Version 2.0」を提供開始

~スマホライクな拡張性で最新機能に対応し、使いやすさやセキュリティを向上~

・最新のセキュリティ機能に対応したほか、ファクスやスキャンに関連するニーズの高い機能の追加・改善が可能に

・サブスクリプション型商品のラインアップを拡大し、お客様の業務環境変化に柔軟に追従できる便利な追加機能を提供

A4 カラーレーザープリンター/複合機「RICOH P C200L/C200SFL」を新発売

~小型・軽量で小規模オフィスや在宅勤務にも最適~

・一人でも持ち運び可能な軽さを実現する一方、印刷速度は24枚/分に高速化

・国際エネルギースタープログラム、グリーン購入法、エコマークなど各種環境基準に適合

A3 カラープリンター「RICOH P C6000L」を新発売

~世界最小クラスのコンパクトボディに多様な機能を凝縮~

・オフィスのデスクサイドから店舗窓口まで、様々な場所への設置が可能

・無線LANを標準搭載するとともに、幅広い用紙サイズに対応

 *A3カラーLED/レーザープリンターの設置面積(A3用紙使用時)において(2021年12月現在、当社調べ)

「RICOH Interactive Whiteboard A6500-Edu」を新発売

~学びの質を高める機能が充実の、シンプルで使いやすい電子黒板~

・「映す・書く・つながる・共有する」でコラボレーションを促進する教育現場向けモデル

・65インチで4K対応(3840×2160pixels)の高精細なディスプレイで地図や映像などのコンテンツを細部まで表示可能

・難しい操作をせずに直感的に使えるホワイトボードアプリケーションを内蔵

・児童・生徒のパソコン/タブレットからの無線投影機能を標準搭載

なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 34,684百万円です。

 

(3) グラフィックコミュニケーションズ  

 当社グループは、現場で働くお客様の課題をデジタルトランスフォーメーションにより解決し、お客様のビジネス拡大をサポートする総合パートナーとなることを目指しており、コンサルティングから印刷、デリバリーに至るお客様のバリューチェーン全体の生産性向上に寄与するソリューションを提供していきます。

 

 商用印刷事業分野においては、印刷業のお客様に向けて、生産性向上に寄与する印刷機やゴールド、シルバーなど高付加価値を可能にする特色トナー、上流から下流まで工程を統合的に管理するワークフローソリューションを組み合わせた提案を行っており、Offset to Digitalを加速して、お客様の現場プロセスのデジタル化・働き方改革を牽引していきます。

そのために、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウエア技術の開発を継続して行っております。

また印刷DXを推進するハイデルベルグ社(ドイツ)との長年のパートナーシップや、多様な印刷物を支える加工機ベンダーなどとのアライアンス、お客様と連携してソリューションを開発する取り組みを通じて、印刷のトータルソリューションを提供していきます。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

「RICOH Pro VC70000」がFogra認証を取得

~連帳インクジェット印刷機として、業界初のFogra認証取得~

・Fograは印刷業界をリードする認証機関

・Fogra認証取得は、「RICOH Pro VC70000」が業界最高水準に準拠していることを示し、一貫して優れた印刷品質を提供することでお客様のビジネス拡大に貢献

・Fograは以下2つの異なる印刷条件で「RICOH Pro VC70000」がISO 12647-8標準に準拠することを認定

-Fogra59(最新の広色域プリンタ向け基準での印刷)

-Fogra51(ISO 12647-2:2013に準拠したプレミアムコート紙への印刷)

 

印刷事業者のビジネス拡大を支援する「RICOH BUSINESS BOOSTER」を国内展開

~印刷事業者、ビジネスパートナー、リコーグループによる共創活動を強化~

・「RICOH BUSINESS BOOSTER」は、当社グループで北米・欧州を中心に2014年から展開している印刷事業者やビジネスパートナーの方々との共創活動の総称

・お客様である印刷事業者の課題ごとに当社のプロダクションプリンターや各種ソフトウエア、サービスと、ビジネスパートナー各社の機器、ソフトウエア、サービスを組み合わせたソリューションを3つの軸で最適化して提供

・既存の製品やサービスの組み合わせでは解決できない課題に対しては、価値共創プロジェクトを立ち上げ、印刷事業者やビジネスパートナーとともに新たなソリューション開発に取り組む

・リコージャパン株式会社ではこれまでも、印刷事業者、ビジネスパートナー、当社グループによる課題解決活動を行ってきましたが、この度新たに、価値共創プロジェクトを推進する専門組織を設立し、「RICOH BUSINESS BOOSTER」の活動を加速

 

 産業印刷事業分野においては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、製品ラインアップの拡充に取り組んでおります。高耐久性と幅広いインク対応力でお客様よりご好評をいただいているMHシリーズヘッドに加え、MEMS (Micro Electro Mechanical System) 技術を活用した小型・高精細印刷に対応するTHシリーズヘッドのフラッグシップモデルを新たに発売し、多様なアプリケーションへの対応力を強化しております。

また、衣料印刷市場向けには、北米・欧州地域でご好評を得ているクラス最高の印刷生産性を実現したガーメントプリンター「RICOH Ri 2000」を日本市場向けに発売しました。エントリークラスの「RICOH Ri 100」と合わせ、お客様の用途に応じた製品提供を行っております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

産業用インクジェットヘッド「RICOH TH6310F」を新発売

~高ギャップ印刷対応とインク循環機能を備えたフラッグシップモデル~

・MEMS技術を活用した独自の高集積設計により、100×8列×2モジュールの1,600ノズルを配列、2.6インチ印刷幅を実

・吐出不良のリスクを大幅に軽減するインク循環構造を採用し、吐出信頼性を確保

・UV、溶剤、水性のすべてに対応したインクにより、サイングラフィックス、テキスタイルなど幅広い用途に対応

・2階調時には周波数80kHz、4階調時には新機能により周波数40kHzの圧倒的な吐出性能を実現

高速ガーメントプリンター「RICOH Ri 2000」を国内市場に向けて発売

~ガーメントプリント市場で求められる高い生産性と使いやすさを両立~

・2つのキャリッジを搭載。ホワイト用キャリッジで下地となるベースレイヤーを印刷した上に、カラー用キャリッジ

でカラーレイヤーを連続して印刷することで高速印刷を実現

・自動ヘッド清掃機能による簡単メンテナンス、テーブルの自動高さ調整による高い操作性、定期自動クリーニングに

よるダウンタイムの低減など、お客様の使いやすさを重視した機能を搭載

なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 25,300百万円です。

 

(4)インダストリアルソリューションズ 

 サーマル事業分野においては、世界で圧倒的なシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高い品質の製品・サービスを提供し、さらなるお客様の信頼獲得を目指しております。

 高付加価値サーマルペーパーは、近年の環境意識の高まりから、社会課題解決型商品(環境負荷低減:フェノールフリー化)の欧州市場販売を皮切りに、2021年度は日本市場においても販売を開始しました。2022年度は北米市場で販売を開始し、順次、グローバル展開を進めてまいります。

 また、長年にわたり培ってきた光学系の独自技術を生かし、半導体レーザー光を用いた「リライタブル レーザーシステム」と「高速印刷ソリューション(FC-LDA Printer)」を事業展開し、人手不足が深刻な物流現場における省人化や製造業における自動化の進展に貢献しております。

 リライタブル レーザーシステム「RICOH Rewritable Laser System L3000/C3000」を、2021年4月に日本、7月に北米、中国で発売いたしました。発売以降コンビニ、日用品卸等のお客様において「環境負荷低減」、「自動化省力化実現」が評価され導入が進んできております。製造業のお客様では特に食品業界において「ラベルごみゼロによる衛生環境実現」、「異物混入防止」の実現のため導入が図られております。また本製品と他社製品、システムとの組合せによるソリューションの展開も順次図っていく予定でおります。

 

 産業プロダクツ事業分野においては、これまで培ってきた光学技術、電装技術、画像認識などの最先端技術を融合し、自動車、物流・建機車両の自動制御や安全補助をするステレオカメラの開発を様々なパートナーと進めております。

 2021年度は、フォークリフト作業現場の複雑な環境下において、周辺の障害物の中から人、物を立体的にとらえ、高精度に検知することを可能とする後方作業者検知運転支援システムを株式会社豊田自動織機との共同開発にて量産を開始しました。

 また、生産技術とIoT、AI、画像認識などの最先端技術を融合し、データ認識処理による情報変換を通じた情報の見える化により、様々な生産設備のインテグレーション、車体・外装部品等の塗装外観を中心とした検査ライン、近年では成長著しい車載リチウムイオンバッテリー生産における安全・信頼性を高める検査ラインの生産・販売を行って現場における少人化、自動化に貢献しております。今後、これら検査設備等から得られるデータの活用により、お客様への新たな価値提案へと繋げていく予定でおります。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

生産工程向け高速印刷ソリューション「RICOH FC-LDA Printer 500」を発売

~大量生産ライン内での印刷業務効率向上と省資源化による環境負荷の低減に貢献~

・世界最高出力の2000Wレーザーマーカー

 -10万分の1秒ほどの短時間照射で熱反応を起こして、高速にサーマル印字が可能

・192chレーザーアレイを80kHzで独立変調

 -チャンネルごとに最高毎秒8万回変調制御するレーザードライバーを独自に開発し、高速・高精細な印字を実現

・透明性の高いサーマルメディア層

 -分散技術や高耐性発色技術を生かしてサーマルインクを開発。これをコーティングすることでラベル、袋、箱など様々なものをメディア化し、レーザー印字が可能に

*2020年8月19日現在、当社調べ 

フォークリフト用ステレオカメラを株式会社豊田自動織機と共同開発

~フォークリフト作業における車両と人・物の接触事故の発生を抑制し、現場の安全性向上に貢献~

・広角化技術により水平角130度という広範囲の検知を実現

・3次元ベースの認識技術により不特定多数の人に対してタグ携帯なしでも検知を実現

・画像処理・電源機能をカメラ内に実装することで小型化、ワンパッケージ化を実現

・厳しい使用環境にあるフォークリフトの現場においても動作可能な高い耐環境性能を実現

なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 3,727百万円です。

 

(5) その他

当社グループの持つ技術力を活かして、産業向けからコンシューマー向けまで幅広い製品・サービスを提供しております。また、ヘルスケア、環境、社会インフラなど、社会課題解決に貢献する新たな事業創出を目指しております。

 

■デジタルカメラ事業

デジタルカメラ事業を担うリコーイメージング株式会社は22年1月に“リコーイメージングは生まれ変わります”(https://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2022/20220120_031454.html)と体制刷新のメッセージを公表しました。PENTAXとGRの2つのブランド価値をより高め、"デジタル"手法を駆使してお客様とダイレクトにつながり、"工房的"ものづくりによって両ブランドの魅力をより一層研ぎ澄ませて深化させる新しい事業体制を構築しております。

 当社グループでは、100年に及ぶカメラ開発の歴史で培われた、光学設計、光学部品加工技術を柱に、最先端のデジタル画像処理技術を搭載した画像処理エンジンPRIME VやGR ENGINE 6と、高度なノイズ処理を実現するアクセラレーターユニットI, IIのコンビネーションにより、すべての感度域で優れた階調再現や質感描写を実現したデジタルカメラ製品の開発を行っております。また、これらの技術に加え、当社独自のボディ内手振れ補正機構SR(Shake Reduction)を搭載し、優れた手振れ補正性能を有するとともに、この機構を応用したローパスセレクター機能やリアルレゾリューション機能を開発しております。写真に拘りを持つユーザーの皆様へ、これらの技術を搭載したデジタルカメラを以下のシリーズで提供しております。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

APS-Cフラッグシップデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-3 Mark III」を発売

・高い基本性能と「PENTAX STATEMENT」を体現する製品として、こだわりの機能を小型堅牢ボディに凝縮、一眼レフカメラの本質的な価値にこだわり、写真を生涯の趣味として楽しまれている多くの方々が、撮影のプロセスまで愉しめる機能・性能を備えたカメラとして開発

 

KマウントAPS-Cサイズデジタル一眼レフカメラ用大口径標準ズームレンズ「HD PENTAX-DA16-50mm F2.8ED PLM AW」を発売

・ズーム全域で開放F2.8と明るく、高い描写性能を追求した「★(スター)」シリーズのAPS-Cサイズデジタル一眼レフカメラ専用大口径標準ズームレンズ

 

ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「RICOH GR IIIx」を発売

・プロフェッショナルユースにも応える高画質とスナップシューティングに最適な小型軽量ボディを両立し、新たに35ミリ判換算で40mm相当の標準画角で撮影が楽しめる新レンズを搭載したハイエンドコンパクトデジタルカメラ

 

■ヘルスケア事業

当社グループでは高齢化社会への対応、医療費削減、ウイルス等の感染拡大防止などが求められるヘルスケア事業を、社会課題の解決に取り組む分野の1つとして位置付けております。

統合医療介護連携システムなどの「ヘルスケアソリューション」領域、脳磁計・脊磁計などの「メディカルイメージング」領域、独自のインクジェット方式を活用したバイオプリンティング技術を生かした「バイオメディカル」領域の3つの領域を重点領域とし技術開発に取り組んでおります。

当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 
 脊磁計が国家プロジェクト(AMED)で採択
 ・国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募する令和3年「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」(第6回)において「脊磁計による神経機能情報を活用した新たな診断技術の確立」で採択

 
■環境事業
 当社グループは事業を通じて注力する重要社会課題の1つとして、脱炭素社会の実現を掲げており、国内企業で初めてRE100に参加するなど、徹底した省エネや再生可能エネルギーの積極活用に向けた取り組みを強化しております。

製品のエネルギー効率向上、リサイクル材や植物由来原料を用いた素材開発など、技術開発を介して環境負荷の削減に取り組み、室内光で効率的に発電するエネルギーハーベストな環境発電デバイス(DSSC)を搭載したセンサーの製品化や、植物由来のポリ乳酸(PLA)を独自のCO2微細発泡技術にてしなやかさと強度を持たせたPLA発泡シート「PLAiR(プレアー)」の活用可能性を検証するテスト販売を開始しました。ビジネスパートナーや顧客にも協力を働きかけることで、バリューチェーン全体での脱炭素社会づくりへの貢献に取り組んでおります。

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

 

電池交換・配線不要な環境センシングデバイスの新製品「RICOH EH 環境センサーD201/D202」を発売
~冷凍環境や高温・高湿度環境のモニタリングをメンテナンスフリーで実現~

・屋内の温度・湿度・照度・気圧といった環境情報を電池交換レス・配線レスで取得できる環境センサーを発売

・発電効率が従来比20%向上、マイナス30℃の低温環境下に対応など、性能アップした固体型色素増感太陽電池を搭載

・冷凍環境や高温・高湿度環境でも使用が可能。自立電源で配線レス&電池交換レスを実現

・防水・防塵機能を備えた「D202」をラインアップに追加することで、利用可能なシーンを大きく広げる

 

植物由来の新素材「PLAiR」のテスト販売を開始

~緩衝性・断熱性を備え、加工が可能な発泡PLAシートの活用可能性を検証~

・脱炭素・循環型社会の実現を目指し、カーボンニュートラルかつコンポスタブルな植物由来99%の新素材PLAiRを開発

・発泡倍率を変えることで、梱包材や緩衝材、各種容器などに広く使用可能

・発泡倍率15倍を長さ80mのロール状にして発売

・テスト販売を通してお客様の声を伺い、様々な用途への活用可能性を検証

 

■スマートビジョン事業

 360度画像活用ビジネス「RICOH360」では、不動産、建設、広告、店舗などの業種業務を始めとして、様々な業界を横断するグローバルプラットフォームを構築することを目指しております。

 品質に定評があるカメラ機器に加え、全天球カメラなどユニークで魅力的なハードウエアとそのデータ活用により、新たな画像・映像体験を創造していきます。

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

デジタルサービスの拡大に向けて「RICOH360」プラットフォーム事業を強化

時間や場所にとらわれない情報共有やデータ収集・活用が容易になることで、不動産、建設・建築をはじめとする、様々な業種でのはたらく現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速し、業務効率化と生産性の向上に貢献

 

建設現場の状況共有を効率化するクラウドサービス「RICOH360 Projects」の強化

・RICOH THETA開発の利点を活かし、競合サービスが持たない「タイムラプス機能/ライブ映像機能」を実装。さらに、建設現場に適合した独自デバイス「Wearable」の開発に向けて、モック制作やユーザー価値検証の活動を展開中

・施工管理ワークフローに適合した機能(URL共有)、UX向上(ウォークスルー)、建設DXの推進に寄与する機能(BIM連携)を拡充し、プロダクト価値を向上

・BIM連携は国交省の「イノベーション促進事業」に採択

 

はたらく現場を効率化する360度カメラ「RICOH THETA X」を新発売

・360度カメラ「RICOH THETA X」を海外先行発売
・2.25型の大型タッチパネルモニターを搭載し、現場で撮影した画像をすぐに確認できるほか、RICOH THETAシリーズで初となるバッテリー、メモリーカードの交換に対応したことで、ビジネスの現場においても効率よく、確実な撮影が可能

 

■社会インフラ事業

 社会インフラの老朽化や自然災害の頻発化、激甚化が進み、インフラの効率的な維持管理が大きな社会課題となっております。当社は社会インフラの課題解決に取り組み、安心安全なまちづくりの実現を目指しております。
 一般車両に搭載した独自の撮影システムとAIなどのデジタル技術を用いて自動化し、低コストで効率的な点検の提案を行っております。従来の路面・トンネルモニタリングサービス提供に加え、2022年2月から宮崎県にてのり面モニタリングシステムの大規模実証実験を開始しております。

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

 

宮崎県と協同でのり面モニタリングシステムの大規模実証実験を開始

~安心安全なまちづくりを目指し、インフラ点検のDXを推進する新技術の実用化を加速~

・複数のラインセンサーカメラやLiDAR(3次元計測システム)を搭載した車両で道路を走行するだけで、高さや幅が広いのり面でも一度に高画質で撮影して3次元形状を計測し、AI(人工知能)でひび割れなどの変状を抽出

・撮影データの解析に加え、調書作成などの業務プロセスまでをデジタル化し、点検業務の効率化や省力化を実現

・宮崎県が大量に保有する人手での点検結果と本システムで測定した結果を突合し、システム精度の確認や効率化の度合い等の検証を一気に行うことで、のり面点検業務のDXを推進する新技術の実用化を加速

 

 なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は 5,836百万円です。

 

(6) 基礎研究分野 

当社グループではこれまで、商品の差別化につながる基礎研究分野として、フォトニクス技術、MEMS、画像認識・画像処理技術を融合した高度なセンシング技術・エッジデバイス技術、分析・シミュレーション等の基盤技術や検証、シミュレーション等の技術機能性材料、プリンティング技術の応用研究開発や、お客様の業務の効率化や時間、場所に捉われない新しい働き方に貢献するためのデータ収集・解析技術、人工知能を応用したシステムソリューション開発を進めてきました。

先端技術研究所では、将来に向けてこれらの技術を核として、2つの提供価値領域にフォーカスして開発を行っております。

・HDT(Human Digital Twin at Work):ワークプレイスで働く人のデジタル化技術。行動センシングやバイタルセンシン グ等の技術と、認識やAI等の技術とを活用し、働く人の創造力発揮を支援する

・IDPS(Industrial Digital Printing System):インクの代わりに機能材料を吐出する産業用インクジェット技術を発展させ、製造・生産プロセスをデジタル化し、飛躍的な改善や廃棄物削減、省エネにつなげる

 分析・シミュレーション等の共通基盤技術は、引き続き当社グループの開発生産現場に展開し、さらなる効率化と品質向上を図っていきます。

協業パートナーとの共創も積極的に促進しており、2021年度では十数社の協業パートナーと価値検証を実施いたしました。共創のためのコラボレーションスペース「RICOH Collaboration Hub」では遠隔の顧客・パートナー候補に向けたオンラインセミナーを積極的に開催し、それをきっかけとした個別のオンラインミーティングを実施するなどして、直接来訪していただけない状況でも、コラボレーションの機会を継続的に創出しております。

 

 デジタル戦略部では、お客様に最適なソリューションを提供する共創プラットフォーム「RICOH Smart Integration(RSI)」を支えるデジタル基盤技術として、当社独自のデバイスで獲得できる画像や音声などを利用したAI/ICT技術、並びに、人、システム、業務、企業同士をつなぎ、“はたらく”をデジタル化する技術開発に取り組み、新たな顧客価値創出の具現化を進めております。

 これらデジタル基盤技術によって、自社やパートナーの技術をコンポーネントやマイクロサービス、コンテナとして整備することで柔軟に組み合わせ、データを活用した新たなサービスを創造するプラットフォームを実現しております。また、当社の強みである自然言語処理AI技術の研究開発からサービス化された「法務支援クラウド」や「仕事のAI」などから得られた知見をAI化することで、パートナーやお客様にAIを容易にご活用いただけるプラットフォームを目指しております。さらに、創出したサービスをお客様に継続利用いただくため、カスタマーサクセスに適した販売システムに革新していきます。

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

インクジェット技術による二次電池の量産向け製造プロセス技術

~IoTデバイスなどに向けた多種多様な電池提供を目指す~

・リチウムイオン二次電池の電極材料や、安全性を付与するセラミック材料やセパレータをインク化し、狙った場所に狙った塗布量をデジタル印刷することで、高品質かつ柔軟に形状や膜厚を調整することが可能

・開発パートナーとともに、量産プロセスに適用可能なインクジェット印刷装置を開発し、電池製造に関わるお客様に製造プロセスを提案

・次世代電池として有望視される全固体リチウムイオン電池の固体電解質印刷技術をあわせて開発中

・以上の開発成果を、2022年3月の国際二次電池展で発表

 

プラスチック容器に直接文字やデザインをレーザーマーキングする技術
~完全ラベルレスで文字・デザインを表示し、プラごみ削減や資源リサイクル推進に貢献~

・商品名や原材料名など、食品表示法などで規定された情報をペットボトルにレーザーで直接書き込むことで、完全ラベルレスを実現

・深さ数十ミクロン程度でごく表面のみを加工し、ペットボトルの品質に影響をあたえずに描画可能

・細かい描画ができるため、成分表示などの小さな文字から、ロゴマークやイラストに至るまで幅広く表現

・描画部分がより白く見えるように光の散乱状態をコントロールすることで、視認性の高い表示が可能

・第一弾としてテスト販売用の「『アサヒ 十六茶』PET630ml ダイレクトマーキングボトル」に採用

なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 15,284百万円です。