当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
①経営成績の状況
当社グループは、前連結会計年度より第21次中期経営戦略をスタートしました。
当社グループの使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指しています。
当社グループが注力している領域は、働く人を単純作業から解放するプロセスオートメーション、創造性を高めるワークプレイスエクスペリエンス、そしてワークプレイスの基盤となる環境を構築するITサービスの3つです。この注力領域において、グローバルの顧客基盤や顧客の課題把握力・提案力に優れた販売・サービス体制、そして魅力的な自社IP*といった強みを活かしながら、変容するワークプレイスにおいて一貫したサービスをグローバルに提供する「ワークプレイスサービスプロバイダー」を目指します。
*自社IP(Intellectual Property):企業が自らの努力で生み出した知的財産で、ライセンス使用料など収益の源泉となるなどの経済価値を有するもの
当連結会計年度は、企業価値向上プロジェクトに最優先で取り組みます。デジタルサービスの会社として成長を実現するために、① 本社改革、② 事業の「選択と集中」の加速、③ オフィスプリンティング事業の構造改革、そして ④ オフィスサービス利益成長の加速の4つの領域で収益構造の変革に取り組んでいます。
世界経済は高インフレの落ち着きなどを背景に底堅い成長を維持しているものの、金融政策の変化に加え、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫等もあり、依然として先行きの不透明な状況が続きました。
当中間連結会計期間において、日本では企業業績の好調に加え個人消費にも持ち直しが見られ、景気は堅調に推移しました。米国では、高インフレの落ち着きに加え、底堅い雇用環境や個人消費等を背景に景気は堅調に推移しました。欧州は、インフレ圧力の緩和により景気の持ち直しの動きが見られるものの、一部の地域では依然として足踏み状態が続いています。その他の地域では中国において個人消費の低迷を背景に景気は減速しています。
主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 152.72円(前中間連結会計期間に比べ 11.80円の円安)、対ユーロが 166.01円(同 12.65円の円安)となりました。
このような状況の中、当中間連結会計期間の売上高は 12,025億円となり、前中間連結会計期間に比べ 8.1%増加しました。オフィスプリンティング事業でノンハードの弱含み等により売上が減少しましたが、同事業における東芝テック株式会社(以下、東芝テック)との開発・生産に関する事業統合*、オフィスサービス事業の成長や円安の影響等もあり増収となりました。
地域別では、国内は、バックオフィス系DX等の顧客課題に合わせたソリューション提供を行うスクラムシリーズが、法改正対応やセキュリティ関連の需要好調を背景に引き続き伸長したことに加え、パソコンの買い替え需要の増加もあり、オフィスサービス事業を中心に売上が増加しました。結果として、前中間連結会計期間と比べ 8.9%の増加となりました。
海外では、米州においては、オフィスプリンティング事業でハード・ノンハードともに売上が減少しました。一方で、商用印刷事業で新製品の販売等によりプロダクションプリンターの売上がハード・ノンハードともに伸長したことや、円安の影響もあり、前中間連結会計期間比 5.3%の増加となりました(為替影響を除くと 2.8%の減少)。欧州・中東・アフリカにおいては、海上輸送リードタイムの長期化に伴う供給影響は改善したもののエッジデバイスの販売が低調だったことや、ノンハードの弱含みによりオフィスプリンティング事業で売上が減少しました。オフィスサービス事業はDocuWareや買収したITサービス会社のけん引によりアプリケーションサービスやITサービスの売上が増加しました。加えて、円安の影響もあり、前中間連結会計期間比 7.2%の増加となりました(同 1.0%の減少)。その他の地域は、中国でのインクジェットヘッドの販売好調等による売上の増加や円安の影響もあり、前中間連結会計期間比 16.9%の増加となりました(同 9.7%の増加)。以上の結果、海外売上高全体では前中間連結会計期間に比べ 7.6%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前中間連結会計期間に比べ 0.4%の減少となります。
*7月1日付で東芝テックとの合弁会社「エトリア株式会社」(以下、ETRIA)を組成し、複合機等の開発・生産に関する事業を統合しました。
売上総利益は、オフィスプリンティング事業において売上の減少により利益が減少したものの、オフィスサービス事業の成長、体質強化や円安の影響等により増加しました。結果、前中間連結会計期間に比べ 9.6%増加し 4,232億円となりました。
販売費及び一般管理費は、オフィスサービス等での事業成長やインフレに伴う経費の増加や円安の影響等により増加しました。加えて、企業価値向上プロジェクトの一環として、海外でのオフィスプリンティング事業の販売・サービス体制の構造改革や、当社及び国内グループ会社でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上し、結果として、前中間連結会計期間に比べ 12.7%増加し 4,189億円となりました。
営業利益は、売上総利益の増加に対し企業価値向上プロジェクトの一時費用の影響等で販売費及び一般管理費の増加が上回ったため、前中間連結会計期間に比べて 127億円減少し 68億円となりました。
金融収益及び金融費用は、為替差益の増加等により、前中間連結会計期間に比べ金融収支が改善しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の利益増加により前中間連結会計期間に比べ増加しました。
税引前中間利益は、前中間連結会計期間に比べて 114億円減少し 131億円となりました。
法人所得税費用は、前中間連結会計期間に比べて 54億円減少しました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する中間利益は、前中間連結会計期間に比べ 63億円減少し 92億円となりました。
中間包括利益は、中間利益や在外営業活動体の換算差額の減少等により、前中間連結会計期間に比べて減少し 239億円(損失)となりました。
上述の国内・海外別売上高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
デジタルサービスの売上高は、前中間連結会計期間に比べ 4.6%増加し 9,237億円となりました。オフィスサービス事業では、国内において法改正対応やセキュリティ関連需要を背景にスクラムシリーズが引き続き伸長したことに加え、パソコンの買い替え需要増加等もあり、売上が増加しました。米州においては、アウトソーシングサービスが堅調に推移したことに加え、買収会社とのシナジー拡大が進みコミュニケーションサービスの販売が増加しました。欧州では、景気弱含みの影響が見られる中、DocuWareや買収したITサービス会社のけん引によりアプリケーションサービスやITサービスの売上が増加しました。4月には、AIを活用した先進的な画像認識やOCR技術に強みを持つドイツのNatif.ai GmbH(以下、natif.ai)の買収を完了し、デジタルサービスにおける注力領域であるプロセスオートメーションの強化を図っています。
オフィスプリンティング事業では、ノンハードが弱含みで推移したこと等により、売上が前中間連結会計期間に比べ減少しました。
オフィスサービス事業の成長により利益が増加したものの、オフィスプリンティング事業の売上減少や、販売・サービス体制見直しに伴う構造改革費用の計上により、デジタルサービス全体の営業利益は 30億円となり、前中間連結会計期間に比べ 159億円減少しました。
デジタルプロダクツの売上高は、前中間連結会計期間に比べ 44.4%増加し 643億円となりました(セグメント間売上高を含む売上高では 17.5%増加の 2,754億円)。複合機の生産調整からの回復により増収となりました。売上の増加に加え、A3複合機の生産量増加による製品ミックスの改善や生産・開発の体質強化の継続により利益が改善しました。また、ETRIA組成による東芝テック事業の対象事業統合も、売上、利益増加に寄与しています。
結果として、デジタルプロダクツ全体の営業利益は 140億円となり、前中間連結会計期間に比べ 122億円増加しました。
グラフィックコミュニケーションズの売上高は、前中間連結会計期間に比べ 16.5%増加し 1,402億円となりました。商用印刷事業では、プロダクションプリンターの販売が引き続き成長しました。ハードは新製品の拡販等により欧米を中心に、ノンハードは全地域で増加しました。産業印刷事業では中国での需要の増加を背景にインクジェットヘッドの販売が増加しました。売上の増加、前連結会計年度に実施した構造改革の効果に加え、円安効果もありグラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は 108億円となり、前中間連結会計期間に比べ 48億円増加しました。
インダストリアルソリューションズの売上高は、前中間連結会計期間に比べ 10.8%増加し 574億円となりました。サーマル事業で国内及び米州を中心に市況改善を受けて売上が増加しました。購買・生産効率化によるコストダウンやプライシングコントロールを継続し利益改善を進めている一方、9月に完了したオプティカル事業の譲渡に伴う一時費用の影響もあり、インダストリアルソリューションズ全体の営業損益は 19億円(損失)となり、前中間連結会計期間に比べ利益が 8億円減少しました。
その他の売上高は、前中間連結会計期間に比べ 36.2%増加し 168億円となりました。カメラ事業が新製品の貢献により好調で、増収増益となりました。新規事業創出のための先行投資により、その他全体の営業損益は 29億円(損失)となりましたが、前中間連結会計期間に比べ 23億円改善しました。
消去又は全社の配賦不能費用には、上記セグメントに帰属しない損益を計上しております。当中間連結会計期間に国内でのセカンドキャリア支援制度の実施に伴う一時費用を計上したこと等により、営業損益が 153億円減少しました。
(注)事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
②財政状態の状況
資産合計は、前連結会計年度末に比べ 203億円増加し 23,065億円となりました。前連結会計年度末と比較して為替レートが円高となったことから、海外資産の換算差額が発生し資産が減少した一方で、ETRIAの組成に伴い東芝テックからの承継資産等が増加しました。為替影響を除いた試算では 627億円の増加となります。主要通貨の当中間期末日レートは、対米ドルが 142.73円(前連結会計年度末に比べ 8.68円の円高)、対ユーロが 159.43円(同 3.81円の円高)となりました。
資産の部では、前連結会計年度末に比べ現金及び現金同等物が 279億円増加しました。また、販売に向けた在庫形成や海上輸送リードタイムの長期化、ETRIA組成等により棚卸資産が 141億円増加し、欧州での買収やETRIA組成によりのれん及び無形資産が 87億円増加しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ 526億円増加し 12,737億円となりました。負債の部では、社債及び借入金が流動負債と非流動負債を合わせ 538億円増加しました。
資本合計は、前連結会計年度末に比べ 323億円減少し 10,327億円となりました。資本の部では、ETRIA組成に伴い資本剰余金及び非支配持分が増加しました。一方で、株主還元策として 224億円の自己株式の取得を行い、前連結会計年度に取得した自己株式と合わせて 299億円の消却を実施しました。また、円高により在外営業活動体の換算差額が減少しました。
結果として親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 491億円減少し 9,895億円となりました。株主資本比率は、前連結会計年度末に比べ 2.5ポイント減少し 42.9%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ現金収入が 208億円増加し 522億円の収入となりました。前中間連結会計期間に比べ、営業債権及びその他の債権が減少したこと等により現金収入が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ現金支出が 230億円減少し 272億円の支出となりました。前中間連結会計期間はPFH Technology Groupの買収による支出、当中間連結会計期間はnatif.aiの買収による支出、ETRIA組成に伴う東芝テックからの資産受入やオプティカル事業の売却による収入等があり、結果として現金支出が減少しました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ現金収入が 438億円増加し 249億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間に比べ現金収入が 560億円増加し 67億円の収入となりました。当中間連結会計期間では 前中間連結会計期間に比べ自己株式の取得による現金支出が増加したものの、借入債務による調達等により現金収入が増加しました。
以上の結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 280億円増加し 1,977億円となりました。
当中間連結会計期間において、新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当中間連結会計期間の研究開発投資は 48,992百万円です。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。