(1)業績
平成27年度における世界経済は、米国の利上げ観測と中国景気の下振れ懸念に揺れ、停滞色の濃い展開となりました。欧米では個人消費が経済成長を牽引しましたが、中国の景気は減速傾向となり、また、原油をはじめとした資源安により新興国の景気低迷がさらに進みました。
わが国の経済は、インバウンド需要の増加に支えられながらも輸出が低調にとどまり、景気回復は足踏み状態が続いています。百貨店業界はインバウンド需要により好調に推移してきましたが、その効果も一巡しつつあります。電子デバイス・半導体市場ではスマートフォンの需要低迷などはあるものの、高機能化や自動車関連の電装化による需要拡大は続いています。
当社の当連結会計年度の連結売上高は、第3四半期に大判プリンタ事業を株式会社沖データに譲渡いたしましたが、前年度より32億円増収の2,967億円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
① ウオッチ事業
ウオッチ事業の当連結会計年度の売上高は、前年度比53億円増加の1,644億円(前年度比3.4%増)となりました。国内ではメンズウオッチの「グランドセイコー」「アストロン」「メカニカル」「プロスペックス」、レディスウオッチの「ルキア」「ティセ」が牽引し、インバウンド需要の効果もあって、好調に売上を伸ばすことができました。海外では、テロの影響によりフランスのクリスマス商戦で伸び悩むなど、一部に厳しい市場はあったものの、欧州ではドイツ、アジアでは台湾などの市場で売上を伸ばすことができました。また、東京・銀座にセイコープレミアムブティックを、フランクフルト、モスクワ、シドニーにセイコーブティックをオープンいたしました。
利益につきましては、売上高の増加に伴い営業利益は前年度比3億円増の127億円(同3.2%増)となりました。
② 電子デバイス事業
電子デバイス事業は売上高949億円(前年度比1.3%減)、営業利益29億円(同56.4%増)となりました。分野別では、半導体がスマートフォン向け電源ICなどを中心に順調に推移いたしました。また、産業用インクジェットプリントヘッドや小型サーマルプリンタ、水晶振動子なども売上を増加しております。なお、大判プリンタ事業を第3四半期に株式会社沖データに譲渡したことにより売上高は前年度から減少しました。
③ システムソリューション事業
システムソリューション事業は売上高194億円(前年度比8.0%減)、営業利益3億円(同11.2%増)となりました。データサービス事業は堅調に推移しましたが、通信モジュールなどの売上が伸び悩みました。
④ その他
その他の売上高は282億円(前年度比6.7%増)、営業利益9億円(同43.2%増)となりました。その他に含まれる事業では、クロック事業が国内で順調に売上を伸ばし、和光事業で高額ウオッチが売上を牽引しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は389億円となり、前連結会計年度末と比べて13億円の減少となりました。これは主に以下の要因によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が88億円となり、減価償却費103億円を加え、為替差損7億円などの調整を行い、さらにたな卸資産の増加△54億円、仕入債務の増加23億円、法人税等の支払△34億円などの結果、150億円のプラス(前年度は165億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△130億円などに対して、有形固定資産の売却による収入67億円などがあったことにより83億円のマイナス(前年度は462億円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入がネットで△87億円となったことなどにより66億円のマイナス(前年度は668億円のマイナス)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
27,316 |
11.3 |
|
電子デバイス事業 |
65,188 |
△1.7 |
|
システムソリューション事業 |
9,175 |
△14.9 |
|
その他 |
4,776 |
△5.6 |
|
合計 |
106,456 |
△0.2 |
(注)1.金額は、製造原価によって算出しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.連結消去後の金額で記載しております。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
1,376 |
17.6 |
53 |
△17.3 |
|
電子デバイス事業 |
22,827 |
3.3 |
3,087 |
△15.5 |
|
システムソリューション事業 |
6,094 |
△1.2 |
2,343 |
0.2 |
|
その他 |
5,050 |
28.9 |
1,527 |
160.2 |
|
合計 |
35,349 |
6.0 |
7,011 |
5.5 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
163,128 |
3.2 |
|
電子デバイス事業 |
90,112 |
△2.1 |
|
システムソリューション事業 |
19,224 |
△8.1 |
|
その他 |
24,239 |
8.1 |
|
合計 |
296,705 |
1.1 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
3.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。
1)第5次中期経営計画(平成26年3月期~平成28年3月期)
当社にとって、当連結会計年度は平成26年3月期を初年度とする第5次中期経営計画の最終年度にあたります。その内容と達成状況は次のとおりです。
1.基本方針
当社は「社会に信頼される会社であること」を引き続きグループ経営の基本理念とし、平成26年3月期を初年度とする3か年計画である第5次中期経営計画を策定しました。当中期経営計画においては、「事業収益の最大化に向けてウオッチ事業を中核に事業ポートフォリオを再構築すると共に、経営基盤の質的強化を実現する」を基本方針として、次に示す基本戦略・課題に取り組んでまいりました。
2.事業収益最大化に向けた基本戦略
① グループの基盤事業であるウオッチ事業の強化・拡大
完成品ビジネス、ムーブメントビジネスの総合力を発揮した戦略実行による収益の最大化
② 電子デバイス事業はコアビジネスへの集中
時計をベースにした「匠、小、省」の技術を最大限活かしながら、コアとなる事業分野に資源を集中し、安定的な収益構造を確立
③ 第3の柱としてシステムソリューション事業の育成
セイコーソリューションズ(株)を核とし、グループが保有するリソースを活用した付加価値の高いソリューション提案ビジネスを育成
④ ブランド力を有効活用したビジネス展開の拡大
各種製品におけるブランド活用を一層強化すると共に、ブランドイメージ・認知度向上に向けた活動の継続
3.経営基盤の質的強化に向けた課題
① 財務体質の改善
さらなる有利子負債の削減と自己資本比率の改善を実現
② 人財活用の促進
事業の持続的成長に向けた人財育成やグループ横断的な人財交流の仕組み作り
③ 持株会社の役割強化
持株会社によるグループ経営上の戦略的意思決定及び事業会社サポート機能の強化
4.第5次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
|
|
|
第5次中期経営計画 |
|
2016年3月期 |
|||
|
|
2014年 |
2015年 |
2016年 |
|
実績 |
対計画 増減 |
|
|
売上高 |
|
3,000 |
2,900 |
3,200 |
|
2,967 |
△233 |
|
営業利益 |
|
100 |
140 |
200 |
|
133 |
△67 |
|
経常利益 |
|
60 |
100 |
160 |
|
118 |
△42 |
|
(%) |
|
2.0% |
3.4% |
5.0% |
|
4.0% |
△1.0% |
|
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
|
50 |
80 |
120 |
|
121 |
+1 |
|
(%) |
|
1.7% |
2.8% |
3.8% |
|
4.1% |
+0.3% |
② 事業別売上高 (金額単位:億円)
|
|
|
第5次中期経営計画 |
|
2016年3月期 |
|||
|
|
2014年 |
2015年 |
2016年 |
|
実績 |
対計画 増減 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
1,350 |
1,400 |
1,500 |
|
1,644 |
+144 |
|
電子デバイス事業 |
|
950 |
1,050 |
1,150 |
|
949 |
△201 |
|
システムソリューション事業 |
|
280 |
300 |
350 |
|
194 |
△156 |
|
その他 |
|
480 |
250 |
270 |
|
282 |
+12 |
|
連結 計 |
|
3,000 |
2,900 |
3,200 |
|
2,967 |
△233 |
③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
|
|
|
第5次中期経営計画 |
|
2016年3月期 |
|||
|
|
2014年 |
2015年 |
2016年 |
|
実績 |
対計画 増減 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
100 |
110 |
130 |
|
127 |
△3 |
|
電子デバイス事業 |
|
20 |
45 |
70 |
|
29 |
△41 |
|
システムソリューション事業 |
|
10 |
15 |
20 |
|
3 |
△17 |
|
その他 |
|
10 |
5 |
10 |
|
9 |
△1 |
|
連結 計 |
|
100 |
140 |
200 |
|
133 |
△67 |
④ 貸借対照表項目 (金額単位:億円)
|
|
|
第5次中期経営計画 |
|
2016年3月期 |
|||
|
|
2014年 |
2015年 |
2016年 |
|
実績 |
対計画 増減 |
|
|
有利子負債 |
|
2,020 |
1,950 |
1,750 |
|
1,275 |
△475 |
|
純資産 |
|
450 |
525 |
630 |
|
1,026 |
+396 |
|
総資産 |
|
3,500 |
3,500 |
3,400 |
|
3,291 |
△109 |
|
自己資本比率 |
|
12.3% |
14.3% |
17.6% |
|
28.7% |
+11.1% |
|
Net D/Eレシオ |
|
3.6 |
2.9 |
2.1 |
|
0.9 |
△1.2 |
5.当連結会計年度における経過
① 事業収益最大化に向けた基本戦略
ウオッチ事業の強化・拡大に向けて、高級品である「グランドセイコー」、世界初のGPSソーラーウオッチ「アストロン」、プロフェッショナル向けのスポーツウオッチ「プロスペックス」を中心として日本・欧米・アジア市場でマーケティング活動を行いました。また、広告宣伝費も引き続き増加させるなど今後の拡大に向けた投資も推進しております。ウオッチ事業の売上は中期経営計画を超過達成し、営業利益も概ねその水準を達成しております。これにより中核事業であるウオッチ事業の売上高の全体に占める割合が前年度の54%から55%とさらに伸び、事業収益最大化に向けた基盤の整備は順調に進みました。
安定的な収益構造の確立を目指した電子デバイス事業では不採算事業の改善も進んだことから、収益性は前年度より大きく向上しましたが、売上・収益ともに中期経営計画未達となっています。
システムソリューション事業では前年度にセイコーソリューションズ(株)にセイコーインスツル(株)のシステムアプリケーション事業を統合し、それぞれの持つ技術やノウハウをトータルサービスとして提供できる体制を構築しましたが、売上を伸ばすまでには至りませんでした。
その他に含まれる事業ではクロック事業、設備時計事業がセイコーブランドを、和光事業がWAKOブランドを軸に事業展開し、それぞれ売上を伸ばしております。
また、セイコーブランドの価値向上に向け、スポーツ、音楽および社会貢献を通した積極的なブランディング活動を展開いたしました。
② 経営基盤の質的強化に向けた課題
財務体質の改善につきましては、引き続き借入金の圧縮に努めた結果、長短借入金およびリース債務の合計は1,275億円となり、有利子負債の削減およびNet D/Eレシオの中期経営計画を超過達成することができました。また、自己資本比率も28.7%と中期経営計画を上回っております。
人財活用の促進においても、グローバル人財や次世代を担う幹部候補生の育成、女性管理職の登用に向けた施策などを積極的に進めました。
持株会社の役割強化に向けては、グループ経営上の戦略的意思決定および事業会社へのサポート強化を取り組んだ結果、課題事業に関わる収益性の改善などを進めることができました。
2)第6次中期経営計画(平成29年3月期~平成31年3月期)
当社は新たに平成29年3月期を初年度とする第6次中期経営計画を策定いたしました。その内容は次のとおりです。
1.長期ビジョン
グループスローガン「時代とハートを動かすSEIKO」を踏まえて、当社グループが10年後の将来に向け長期的に目指す姿を次のように制定しました。
常に時代をリードする先進性と革新性を備え
お客さまの期待を超える製品と品質・サービスを提供し
世界中のステークホルダーと感動を分かち合える
グローバルな企業グループを目指す
2.基本方針
ウオッチ事業を中核とする高収益グループを目指し、「収益力の強化と成長への投資」を推進するとともに、「経営基盤の強化」を徹底する。
3.収益力の強化と成長への投資
① ウオッチ事業はグループの中核事業としてさらなる成長へ(収益の拡大)
② 電子デバイス事業はコアビジネスに経営資源を重点配分し、利益を創出(収益力の向上)
③ システムソリューション事業は第3の主柱事業として事業基盤を強化(収益力の強化)
④ その他の事業は安定した収益体質を継続(収益力の安定)
4.経営基盤の強化
① コーポレートコミュニケーションの強化
② 資本・財務政策の基本方針の継続
③ コーポレートガバナンスの強化
④ 組織・グループ機能の強化、人事政策の基本方針の継続
5.第6次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
予算(参考) |
|
|
2016年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
2017年3月期 |
|
|
売上高 |
|
2,967 |
|
3,100 |
|
2,900 |
|
営業利益 |
|
133 |
|
170 |
|
120 |
|
経常利益 |
|
118 |
|
180 |
|
120 |
|
(%) |
|
4.0% |
|
5.8% |
|
4.1% |
|
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
|
121 |
|
125 |
|
100 |
|
(%) |
|
4.1% |
|
4.0% |
|
3.4% |
② 事業別売上高 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
予算(参考) |
|
|
2016年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
2017年3月期 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
1,644 |
|
1,900 |
|
1,600 |
|
電子デバイス事業 |
|
949 |
|
750 |
|
900 |
|
システムソリューション事業 |
|
194 |
|
250 |
|
200 |
|
その他 |
|
282 |
|
300 |
|
290 |
|
連結 計 |
|
2,967 |
|
3,100 |
|
2,900 |
③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
予算(参考) |
|
|
2016年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
2017年3月期 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
127 |
|
170 |
|
120 |
|
電子デバイス事業 |
|
29 |
|
25 |
|
30 |
|
システムソリューション事業 |
|
3 |
|
15 |
|
10 |
|
その他 |
|
9 |
|
10 |
|
10 |
|
連結 計 |
|
133 |
|
170 |
|
120 |
④ 貸借対照表項目 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
|
2016年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
|
総資産 |
|
3,291 |
|
3,400 |
|
純資産 |
|
1,026 |
|
1,200 |
|
自己資本比率 |
|
28.7% |
|
35% |
|
ネット有利子負債 |
|
884 |
|
750 |
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 景気変動等のリスク
当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内・海外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。
(2) 特定の調達先への依存
ウオッチの特定取引先への調達依存度が高く、ウオッチ事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。
(3) 電子デバイス事業の経営環境
電子デバイス事業の業績は、国内・海外のスマートフォン等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性が高まっております。
(4) 海外製造拠点のカントリーリスク
電子デバイス事業及びクロック事業は、タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。
(5) 主要顧客への依存
電子デバイス事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 資材の高騰
原油、その他原材料となる資源が需給環境の変化に伴い高騰した場合、製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。
(7) 品質問題と製造物責任
当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。
(8) 知的財産権
当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。
また当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。
(9) 為替変動の影響
当社グループは、主としてウオッチ事業、電子デバイス事業が海外市場向け事業展開を行っておりますが、当該事業は全体として外貨建売上と外貨建仕入が概ね相殺される状況にあり、ネットの為替リスクは限定的なものにとどまります。一方、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業及びクロック事業において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。また、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、当社グループ売上の重要部分を占める米ドル及びユーロ等に対する円相場の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 金利変動の影響
現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その40%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 保有資産の時価変動の影響
当社グループは、有利子負債の更なる圧縮と株主資本の充実を図るため、非営業資産の処分にも取り組んでおりますが、処分予定の不動産、有価証券の時価が大きく変動した場合は、計画している業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 環境問題について
電子デバイス事業、クロック事業は、省エネルギー、大気・水質の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。これらの事業は、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、あるいは環境問題の発生から、損害賠償や対策費用を負担する可能性があります。
(13) 情報管理について
システムソリューション事業では、事業上入手した個人情報や機密情報の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、同事業の業績に影響をおよぼす可能性があります。
(14) 自然災害の影響
地震・台風等の自然災害により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設が被害を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。
当社は、当社の子会社であるセイコーインスツル株式会社(以下、SII)が、株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJ)と、平成27年5月12日付けにて締結しました「半導体事業の新会社設立に関する基本合意書」に基づき、SIIの半導体事業を両社の共同出資による半導体事業の新会社へ移管すること、並びに、その後2年経過時点以降にSIIが保有する新会社株式の一部をさらにDBJに譲渡するオプション等を含む契約(以下、本件取引)について締結する旨を平成27年9月8日の取締役会で決議いたしました。また、本件取引は同日付で締結されております。
(1)本件取引の背景及び目的
SIIの半導体事業(以下、対象事業)は、時計関連技術をベースに、EEPROMや電源ICなどのアナログ半導体をはじめとする優れた製品を提供してきました。対象事業は、その高い収益性とともに、グローバル・トップクラスの技術・人材・知的財産・顧客基盤等の経営資源や市場での競争ポジションを最大限に活かすことにより、更なる成長が期待できる事業です。今後、グローバルでの競争激化が進む半導体市場での持続的な成長のために、今回のDBJとの取り組みが、対象事業のさらなる拡大・成長につながるものであると判断し、正式契約の合意に至りました。
新会社は、製造能力拡大・開発機能強化を図りながら、M&Aやアライアンス等を含めた業界再編を成長戦略の中核として推進し、半導体業界においてグローバル・プレゼンスを有する事業体(とりわけ、アナログ半導体を中心とした対象事業の主力分野では、世界トップ5位以内)になることを目指します。
(2)本件取引の概要
対象事業の新会社株式を、当初、SIIが60%持分を、DBJが40%持分を保持し、両社が協働して新会社の運営を行い、その後上記(1)記載の成長戦略を進める中で、2年経過時点以降にSIIが保有する新会社株式の一部をDBJに譲渡し、DBJが70%持分を取得するオプション等を含む契約について合意しました。
SIIが継続して新会社の一定持分を保持することで、対象事業の円滑な経営・事業体制を確立し、DBJとの取り組みにより新会社の成長と収益の拡大を図り、SII及び当社グループ全体の中長期的な企業価値向上に貢献することを目指しております。
(3)セイコーインスツル株式会社(当社子会社)の概要
事業内容 ウオッチ(完成品、ムーブメント)、半導体、電子デバイス、精密メカトロ製品の開発・製造・販売
資本金 9,756百万円
(4)新会社(孫会社)の概要
名称 エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
事業内容 半導体の製造・販売
資本金 9,250百万円
(5)株式譲渡の相手先の概要(平成28年3月31日現在)
名称 株式会社日本政策投資銀行
所在地 東京都千代田区大手町一丁目9番6号
代表者の役職・氏名 代表取締役社長 柳 正憲
事業内容 金融保険業
資本金 1,000,424百万円
(6)譲渡価額は未確定であります。
(7)日程
新会社設立 平成27年9月
共同出資・事業移管 平成28年1月
株式譲渡日(予定) 平成30年1月 以降
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は40億円です。その主なものは電子デバイス事業およびシステムソリューション事業に係るものです。
(1) 電子デバイス事業
セイコーインスツル(株)は、ウオッチ製造のルーツとして培ってきた精密メカトロニクス技術、省エネルギー技術、マイクロデバイス技術を基盤技術に据え、市場の要求に迅速に対応し、かつ優位性を発揮できるよう技術の強化・継承を図ります。世の中より一歩進んだもの(=匠)を、ミニマムなサイズ・コストで(=小)、環境にやさしく効率よく生産する(=省)をSYOイズムとして研究開発活動の理念に掲げ、研究開発投資を行っています。
また、セイコーNPC(株)、エスアイアイ・プリンテック(株)等でも研究開発投資を行っています。
(2) システムソリューション事業
セイコーソリューションズ(株)は、モバイル・次世代放送・インフラ関連等で要求されるネットワーク経由での高精度時刻配信技術等の開発に関連する研究開発投資を行っています。
(1)経営成績の分析
当社の当連結会計年度の連結売上高は、第3四半期に大判プリンタ事業を株式会社沖データに譲渡いたしましたが、前年度より32億円増収の2,967億円となりました。事業別では、ウオッチ事業が国内で好調に売上を伸ばし、電子デバイス事業も引き続き半導体を中心に順調に推移しましたが、システムソリューション事業の売上は残念ながら前年度を下回りました。連結全体の国内売上高は1,458億円(前年度比4.6%増)、海外売上高は1,508億円(同2.1%減)となり、海外売上高割合は50.8%でした。
利益面では、売上の増加などにより営業利益は前年度から16億円増益となり、133億円(同14.1%増)計上いたしました。しかしながら、営業外収支は第4四半期に為替差損を計上したことなどによって前年度から悪化し、経常利益は前年度を4億円下回る118億円(同4.0%減)となりました。固定資産売却益4億円を特別利益に計上し、また、大判プリンタ事業譲渡に関わる事業構造改善費用など特別損失を合計で35億円計上したことで、法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は121億円(同44.2%減)となりました。
なお、第4四半期には株式会社日本政策投資銀行より半導体事業を行う子会社エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社へ40%の出資を受けております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は3,291億円となり、前連結会計年度末に比べて45億円の減少となりました。流動資産では、原材料及び貯蔵品が14億円増加し、現金及び預金が21億円、売上債権が31億円、繰延税金資産が14億円減少した結果、合計で前連結会計年度末より52億円減少の1,596億円となりました。固定資産では、有形固定資産が土地の売却などにより16億円減少し、投資有価証券が57億円減少したものの繰延税金資産が72億円増加したことなどで投資その他の資産が18億円増加し、固定資産合計で前連結会計年度末と比べ6億円増加の1,694億円となりました。
負債につきましては、短期借入金が40億円、1年内返済予定の長期借入金が4億円、長期借入金が46億円減少し、借入金合計で1,247億円となりました。そのほか、支払手形及び買掛金が17億円減少したことなどにより、負債合計で前連結会計年度末と比べ146億円減少の2,264億円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、合計で前連結会計年度末と比べ101億円増加の1,026億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
|
指標 \ 決算年月 |
平成24年3月 |
平成25年3月 |
平成26年3月 |
平成27年3月 |
平成28年3月 |
|
自己資本比率(%) |
6.2 |
11.0 |
17.1 |
27.1 |
28.7 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
9.4 |
24.5 |
23.2 |
37.5 |
28.0 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
21.4 |
9.3 |
12.6 |
8.1 |
8.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
2.1 |
4.5 |
3.8 |
5.2 |
6.9 |
(注)1. 各指標の計算式
-自己資本比率:自己資本 / 総資産
-時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数) / 総資産
-キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(短期・長期借入金) / 営業キャッシュ・フロー
-インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー / 利払い
(注)2. 計算に利用した数値のベース
各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
-利払い:連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
なお事業別の分析につきましては本報告書の「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」に記載しております。