文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)当社の社会的責任について
当社は「社会に信頼される会社であること」という企業理念のもと、ガバナンス(企業統治)を基盤とし、リスクマネジメントとともに、企業倫理の基本理念をはじめとする各個別理念や長期ビジョンを掲げ各種基本方針等を策定することで、グループ全体が同じ目標を共有し事業活動に取り組んでまいります。
この事業活動を通じて、持続可能な社会の発展に貢献し企業価値向上を追求することが当社の社会的責任と考えております。
(2)経営戦略及び対処すべき課題
[第6次中期経営計画(2017年3月期~2019年3月期)]
当社にとって当連結会計年度は2017年3月期を初年度とする第6次中期経営計画の最終年度にあたります。その内容と達成状況は次のとおりです。
1.長期ビジョン
グループスローガン「時代とハートを動かすSEIKO」を踏まえて、当社グループが10年後の将来に向け長期的に目指す姿を次のように制定しました。
常に時代をリードする先進性と革新性を備え
お客さまの期待を超える製品と品質・サービスを提供し
世界中のステークホルダーと感動を分かち合える
グローバルな企業グループを目指す
2.基本方針
ウオッチ事業を中核とする高収益グループを目指し、「収益力の強化と成長への投資」を推進するとともに、「経営基盤の強化」を徹底する。
3.収益力の強化と成長への投資
① ウオッチ事業はグループの中核事業としてさらなる成長へ(収益の拡大)
② 電子デバイス事業はコアビジネスに経営資源を重点配分し、利益を創出(収益力の向上)
③ システムソリューション事業は第3の主柱事業として事業基盤を強化(収益力の強化)
④ その他の事業は安定した収益体質を継続(収益力の安定)
4.経営基盤の強化
① コーポレートコミュニケーションの強化
② 資本・財務政策の基本方針の継続
③ コーポレートガバナンスの強化
④ 組織・グループ機能の強化、人事政策の基本方針の継続
5.第6次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
|
|
|
第6次中期経営計画 |
|
実績 |
対計画 |
|
|
2019年3月期 |
|
2019年3月期 |
増減 |
|
|
売上高 |
|
3,100 |
|
2,472 |
△627 |
|
営業利益 |
|
170 |
|
93 |
△76 |
|
経常利益 |
|
180 |
|
114 |
△65 |
|
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
|
125 |
|
92 |
△32 |
② 事業別売上高 (金額単位:億円)
|
|
|
第6次中期経営計画 |
|
実績 |
対計画 |
|
|
2019年3月期 |
|
2019年3月期 |
増減 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
1,900 |
|
1,417 |
△482 |
|
電子デバイス事業 |
|
750 |
|
555 |
△194 |
|
システムソリューション事業 |
|
250 |
|
308 |
58 |
|
その他 |
|
300 |
|
283 |
△16 |
|
連結合計 |
|
3,100 |
|
2,472 |
△627 |
③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
|
|
|
第6次中期経営計画 |
|
実績 |
対計画 |
|
|
2019年3月期 |
|
2019年3月期 |
増減 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
170 |
|
103 |
△66 |
|
電子デバイス事業 |
|
25 |
|
14 |
△10 |
|
システムソリューション事業 |
|
15 |
|
24 |
9 |
|
その他 |
|
10 |
|
6 |
△3 |
|
連結合計 |
|
170 |
|
93 |
△76 |
④ 貸借対照表項目 (金額単位:億円)
|
|
|
第6次中期経営計画 |
|
実績 |
対計画 |
|
|
2019年3月期 |
|
2019年3月期 |
増減 |
|
|
総資産 |
|
3,400 |
|
3,030 |
△369 |
|
純資産 |
|
1,200 |
|
1,104 |
△95 |
|
自己資本比率 |
|
35.0% |
|
36.0% |
+1.0% |
|
ネット有利子負債 |
|
750 |
|
721 |
△28 |
6.第6次中期経営計画の振返り
① 収益力の強化と成長への投資
ウオッチ事業は、グループの中核事業としてさらなる成長を目指し、収益の拡大を図りました。初年度に中・高価格帯ウオッチ強化のためマーケティング戦略の転換を行い、「グランドセイコー」や「プロスペックス」を中心としたグローバルブランド戦略を開始いたしました。主力の「グランドセイコー」は、2017年に独立ブランド化させ、昨年は世界最大規模のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」に「グランドセイコー」として初出展したほか、国内や米国などで「グランドセイコーブティック」をオープンしました。2018年には、米国に世界で初めて社名に「グランドセイコー」を冠したGrand Seiko Corporation of Americaを設立するなど、グローバル市場における様々な取り組みの成果により順調に売上を拡大しました。「プロスペックス」も2018年のジュネーブグランプリ・スポーツウオッチ部門ではグランプリを受賞するなど、国内外で知名度を着実に高め、売上も大きく伸長いたしました。中期経営計画初年度に起こった市場環境の大幅な変化により、最終年度の売上高および利益は中期経営計画から乖離しましたが、中・高価格帯ウオッチの強化を進め、継続的なコスト圧縮にも努めた結果、収益性は前年度から向上いたしました。また、ブランドのさらなる成長を目指し、世界に向けてセイコーブランドをダイレクトに発信する拠点として「セイコードリームスクエア」を銀座にオープンさせるなど、成長に向けた投資も継続的に行いました。
電子デバイス事業は、インクジェットプリントヘッド事業が伸び悩む中、その他の自社の強みのある領域を強化し、収益力の向上に努めました。最終年度の上期は半導体製造設備向けの高機能金属製品、サーマルミニプリンタメカニズムや精密部品を中心に順調に推移しましたが、下期に入り世界市場の急激な変化により、売上高、営業利益とも中期経営計画は未達となりました。
システムソリューション事業は、第3の主柱事業として事業基盤を強化しながら、収益力の強化に努めました。新規分野での売上増加やストックビジネスの拡大が進み、売上高、営業利益とも中期経営計画を大きく超過達成いたしました。
その他に含まれる事業は、安定した収益体質を継続すべく、収益力の安定化に努めました。収益力の安定は着実に進んだものの、最終年度の営業利益は中期経営計画の目標数値には届きませんでした。
② 経営基盤の強化
コーポレートコミュニケーションの強化については、「時代とハートを動かすSEIKO」のグループスローガンの下、スポーツ・音楽を通じたPRや社会貢献活動を継続しました。また、IRでは活動の充実を図るとともに、株主・投資家との対話の質的向上にも積極的に取組みました。
資本政策については、基本方針である継続的・安定的な配当の実施を目指して、2019年3月期も1株当たり75円の年間配当を実施します。また、自己資本比率は36.0%と向上し、中期経営計画の目標を達成いたしました。財務政策についても、有利子負債の圧縮に努めた結果、ネット有利子負債は721億円となり中期経営計画の目標を超過達成することができました。
コーポレートガバナンスの強化については、引き続き実効性のあるコーポレートガバナンス体制の強化に努めたほか、事業や環境の変化に合わせた柔軟なリスクマネジメントも進めております。
組織・グループ機能の強化については、意思決定の迅速化や業務の効率化などに向けて、グループ内の機能統合・組織変更などを行いました。また、人事政策の基本方針である多様な人財の育成については、グローバル人財や次世代を担う幹部候補生の育成とともに、全社員活躍推進へのさらなる取り組みや多様な働き方ができる労働環境の提供を行いました。
[第7次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)]
当社は新たに2020年3月期を初年度とする第7次中期経営計画を策定いたしました。その内容は次のとおりです。
1.長期ビジョン
グループスローガン「時代とハートを動かすSEIKO」を踏まえ、第6次中期経営計画策定時に制定いたしました長期ビジョンを第7次中期経営計画でも継続いたします。
常に時代をリードする先進性と革新性を備え
お客さまの期待を超える製品と品質・サービスを提供し
世界中のステークホルダーと感動を分かち合える
グローバルな企業グループを目指す
2.2025年度のあるべき姿
長期ビジョンの下、2025年度のあるべき姿について、より具体的なイメージを定めました。
グローバルな舞台で期待を超えるSEIKOの活躍
信頼度No.1とともに得意分野の拡大と新領域への挑戦
世界中から「未来」を期待される企業への躍進
さらに成長した人材・組織と強いグループ一体感
3.第7次中期経営計画の基本方針
2025年度に向け、この3年間の基本方針を以下のように定め、第7次中期経営計画の達成を目指します。
「選択と集中」を細部にまで展開しつつ
「未来」に向けたシナリオへの投資に積極的に取組み
SEIKOブランドと精密技術、ソリューション提案力を武器に
持続的成長を確実に実現する
4.計画の位置づけ
第6次中期経営計画の位置づけは「攻めへの組織改革を継続」でしたが、これに続く第7次中期経営計画の位置づけは「攻め」といたしました。成長に向けた投資を強化し、「勝ち」という結果に結びつけてまいります。
5.第7次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第7次中期経営計画 |
|
予算(参考) |
|
|
2019年3月期 |
|
2022年3月期 |
|
2020年3月期 |
|
|
売上高 |
|
2,472 |
|
2,850 |
|
2,550 |
|
営業利益 |
|
93 |
|
142 |
|
95 |
|
経常利益 |
|
114 |
|
160 |
|
115 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
|
92 |
|
125 |
|
95 |
② 事業別売上高 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第7次中期経営計画 |
|
予算(参考) |
|
|
2019年3月期 |
|
2022年3月期 |
|
2020年3月期 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
1,417 |
|
1,650 |
|
1,480 |
|
電子デバイス事業 |
|
555 |
|
630 |
|
550 |
|
システムソリューション事業 |
|
308 |
|
350 |
|
320 |
|
その他 |
|
283 |
|
310 |
|
290 |
|
連結合計 |
|
2,472 |
|
2,850 |
|
2,550 |
③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第7次中期経営計画 |
|
予算(参考) |
|
|
2019年3月期 |
|
2022年3月期 |
|
2020年3月期 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
103 |
|
145 |
|
115 |
|
電子デバイス事業 |
|
14 |
|
30 |
|
25 |
|
システムソリューション事業 |
|
24 |
|
30 |
|
25 |
|
その他 |
|
6 |
|
10 |
|
8 |
|
連結合計 |
|
93 |
|
142 |
|
95 |
④ その他 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第7次中期経営計画 |
|
|
2019年3月期 |
|
2022年3月期 |
|
|
自己資本比率 |
|
36.0% |
|
40.0% |
|
ネット有利子負債 |
|
721 |
|
概ね現状どおり |
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 景気変動等のリスク
当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品・自動車向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内・海外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。
(2) 特定の調達先への依存
ウオッチの特定取引先への調達依存度が高く、ウオッチ事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。
(3) 電子デバイス事業の経営環境
電子デバイス事業の業績は、国内・海外の電子デバイス機器等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性が高まっております。
(4) 海外製造拠点のカントリーリスク
ウオッチ事業、電子デバイス事業及びクロック事業は、シンガポール・マレーシア・タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。
(5) 主要顧客への依存
電子デバイス事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 資材の高騰
原油、その他原材料となる資源が需給環境の変化に伴い高騰した場合、製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。
(7) 品質問題と製造物責任
当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。
(8) 知的財産権
当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。
また当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。
(9) 為替変動の影響
当社グループは、主としてウオッチ事業、電子デバイス事業が海外市場向け事業展開を行っております。その一部は、国内外の製造拠点からその他の国の市場向けに事業を展開しており、為替の変動が、製品の価格等に影響を与える可能性があります。また、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業及びクロック事業において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。さらに、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、米ドル及びユーロ等に対する円相場等の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 金利変動の影響
現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その80%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 保有資産の時価変動の影響
当社グループは、事業上の理由により投資有価証券を保有しております。また、一部の旧工場跡地等の遊休不動産を保有しております。これらの投資有価証券や不動産の時価が大きく変動した場合は、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 環境問題について
ウオッチ事業、電子デバイス事業及びクロック事業は、省エネルギー、大気・水質の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。これらの事業は、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、あるいは環境問題の発生から、損害賠償や対策費用を負担する可能性があります。
(13) 情報管理について
当社グループは、事業上入手した個人情報や機密情報等の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、同事業の業績に影響をおよぼす可能性があります。
(14) 自然災害の影響
地震・台風等の自然災害により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設が被害を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、第6次中期経営計画の内容及び当連結会計年度における経過につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり必要な見積りについては、合理的な基準に基づき実施しております。
なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
(1) 経営成績
2018年度における世界経済は、米国経済が堅調な雇用拡大や個人消費に支えられ緩やかに拡張しました。年度の後半は、政治や経済面の不安定要素拡大により欧州で輸出が伸び悩みました。また、安定した成長を続けていた中国経済も米国との貿易摩擦の深刻化などにより減速傾向が見られるなど、世界経済の不透明感が強まりました。
わが国の経済は、雇用環境の改善や個人消費の伸長を背景に緩やかな回復基調が継続しましたが、2018年12月ごろから世界経済変動の影響を受け、先行きへの不透明感が高まりました。
当社の当連結会計年度の連結売上高は、半導体事業が連結範囲から外れた影響により電子デバイス事業の売上高が約250億円減少したものの、前年度から212億円の減少に留まり、2,472億円(前年度比7.9%減)となりました。事業別ではウオッチ事業、システムソリューション事業およびその他で前年度を上回りました。また、連結全体の国内売上高は1,399億円(同2.1%減)、海外売上高は1,072億円(同14.5%減)となり、海外売上高割合は43.4%でした。
利益面でも半導体事業が連結範囲から外れた影響で電子デバイス事業の営業利益が約50億円減少しましたが、営業利益は前年度から14億円の減益に留まる93億円(同13.3%減)となりました。さらに、営業外収支が持分法による投資損益の改善や支払利息の減少などにより前年度から改善した結果、経常利益は前年度を4億円上回る114億円(同4.6%増)となりました。特別利益を3億円計上した結果、法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は92億円(同19.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ウオッチ事業
ウオッチ事業の売上高は、前年度比16億円増の1,417億円(前年度比1.2%増)となりました。国内の完成品ウオッチでは、「グランドセイコー」が順調に売上を伸ばしました。国内で初めてとなる「グランドセイコーブティック 銀座」をオープンしたほか、新ムーブメントを搭載した女性向けモデルを発表するなど女性向けラインナップの強化も進めました。また、「プロスペックス」もダイバーズウオッチを中心に引き続き好調に推移しました。流通別ではデパート、専門店およびアウトレット向けの売上高が前年度を上回りました。海外では、米国で「グランドセイコー」が大きく伸長したほか、「プロスペックス」も好調に推移しました。一方で普及価格帯ウオッチの売上が減少したことから、売上高は前年度と同水準に留まりました。欧州では英国で普及価格帯ウオッチが伸び悩みましたが、ドイツなどで「プロスペックス」を中心に売上を伸ばしました。アジアでも「プロスペックス」は順調に拡大しました。また、ウオッチムーブメントの外販売上高は、普及価格帯ウオッチ市場の低迷により前年度を下回りました。
営業利益につきましては、完成品ウオッチの売上高増加や前期から取り組んだコストダウン効果などにより103億円(同31.5%増)となりました。
電子デバイス事業
電子デバイス事業の売上高は、前年度比263億円減の555億円(前年度比32.1%減)、営業利益は前年度から43億円減少し14億円(同75.6%減)となりました。2018年1月に半導体事業が連結範囲から外れたことから売上高、営業利益が減少しましたが、その影響を除くと、サーマルミニプリンタメカニズムや精密部品などが順調に推移し増益となりました。
システムソリューション事業
システムソリューション事業は売上高308億円(前年度比12.4%増)、営業利益24億円(同49.6%増)と売上高、利益ともに大きく伸長いたしました。金融向けシステムの新規開発需要の拡大などにより、業績は好調に推移いたしました。
その他
その他の売上高は283億円(前年度比1.8%増)、営業利益6億円(同26.6%増)となりました。その他に含まれる事業のうち、和光事業やタイムシステム事業は前年度の売上高を上回りましたが、クロック事業は前年度から売上高が減少しました。
(2) 財政状態
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は3,030億円となり、前連結会計年度末に比べて22億円の減少となりました。流動資産では、受取手形及び売掛金が6億円減少した一方、仕掛品が7億円、原材料及び貯蔵品が8億円増加したことなどにより、合計で前連結会計年度末より7億円増加の1,389億円となりました。固定資産では、有形固定資産が8億円、無形固定資産が7億円、投資その他の資産の投資有価証券が8億円減少し、固定資産合計で前連結会計年度末と比べ29億円減少の1,640億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が3億円、1年内返済予定の長期借入金が17億円、長期借入金が49億円減少した結果、借入金合計で1,044億円となりました。負債合計では前連結会計年度末と比べ75億円減少し1,926億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、利益剰余金が61億円増加しましたが、その他有価証券評価差額金が15億円減少したことなどにより、合計で前連結会計年度末と比べ52億円増加し1,104億円となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は338億円となり、前連結会計年度末と比べて67百万円の減少となりました。これは主に以下の要因によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が117億円となり、減価償却費89億円を加え、売上債権の減少11億円、たな卸資産の増加△9億円、仕入債務の減少△5億円、さらに法人税等の支払△24億円などの調整を行った結果、前年度から103億円減少となる175億円のプラス(前年度は278億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△63億円、有形固定資産の売却による収入10億円などにより70億円のマイナス(前年度は174億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入がネットで△71億円となったことに加えて、配当金の支払△31億円などにより106億円のマイナス(前年度は117億円のマイナス)となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
|
指標 \ 決算年月 |
2015年3月 |
2016年3月 |
2017年3月 |
2018年3月 |
2019年3月 |
|
自己資本比率(%) |
27.1 |
28.7 |
29.8 |
34.1 |
36.0 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
37.5 |
28.0 |
28.5 |
34.7 |
35.8 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
8.1 |
8.3 |
31.7 |
4.0 |
6.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
5.2 |
6.9 |
2.4 |
21.6 |
17.7 |
(注)1. 各指標の計算式
-自己資本比率:自己資本 / 総資産
-時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数) / 総資産
-キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(短期・長期借入金) / 営業キャッシュ・フロー
-インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー / 利払い
(注)2. 計算に利用した数値のベース
各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
-利払い:連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループは、第6次中期経営計画の資本・財務政策の基本方針として、自己資本の改善、有利子負債の削減、継続的・安定的な配当の実施を推進してまいりました。
当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要、設備投資や研究開発費などの成長及び企業価値向上を目的とした投資需要であり、資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、有利子負債による資金調達であります。第6次中期経営計画期間にわたって有利子負債の圧縮に努めた結果、当連結会計年度末のネット有利子負債は721億円となり(前連結会計年度末比69億円減)、第6次中期経営計画の目標を超過達成することができました。また、自己資本比率も36.0%と向上し、目標を達成しました。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は338億円であり、将来の資金需要に対し適正な水準を確保していると認識しております。なお、当社および国内の事業会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を図っております。
新たに策定した第7次中期経営計画において、その位置づけを「攻め」とし、成長に向けた投資を強化して、「勝ち」という結果に結びつけることを重要な骨子としております。第7次中期経営計画では、財務戦略として下記を推進してまいります。
・「攻め」の期間を支える営業キャッシュ・フローの創出、バランスのよい投資キャッシュ・フロー、
コストを抑えた財務キャッシュ・フロー、「勝ち」を実現させる投資管理の徹底
・利益の積み上げによる自己資本比率の継続的改善、安定配当の維持
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
25,382 |
△1.5 |
|
電子デバイス事業 |
38,122 |
△28.8 |
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システムソリューション事業 |
14,532 |
6.9 |
|
その他 |
5,214 |
9.9 |
|
合計 |
83,251 |
△14.8 |
(注)1.金額は、製造原価によって算出しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.連結消去後の金額で記載しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
1,300 |
2.4 |
78 |
29.2 |
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電子デバイス事業 |
14,226 |
△14.6 |
1,781 |
△18.0 |
|
システムソリューション事業 |
11,975 |
13.5 |
3,012 |
31.8 |
|
その他 |
6,250 |
15.2 |
1,789 |
40.5 |
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合計 |
33,753 |
△0.5 |
6,661 |
15.0 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
140,346 |
1.1 |
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電子デバイス事業 |
52,248 |
△33.2 |
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システムソリューション事業 |
29,435 |
10.0 |
|
その他 |
25,263 |
2.0 |
|
合計 |
247,293 |
△7.9 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
3.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
繊細な技とノウハウで新たな価値を創る「匠」、精密加工や高密度実装技術で小型化を実現する「小」、材料やエネルギーなど様々な資源を効率的に活用する「省」、このような「匠・小・省」の技術を極め、技術革新を支えると同時に、新製品・技術創出につながる開発を推進しています。
主な研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 電子デバイス事業
ウオッチ製造のルーツとして培ってきた「匠・小・省」の技術を極め、小型精密設計・加工技術をさらに深化させ、自動車向け精密部品等の長期的成長市場に向けた製品開発を推進しています。
(2) 電子デバイス事業以外
ウオッチ事業においては、「10年後も勝ち続けるための商品開発」を目指し、高価格・高付加価値へのシフトを実現させるため、新高級ムーブメントの開発を始めとしてムーブメントおよび外装の素材、デザイン等にいたるまで幅広く開発を行っています。さらにその製造技術の育成や加工工程の最適化に向けた技術開発も行っております。
システムソリューション事業においては、事業領域を広げる「新製品・新サービス」の開発およびそのための新技術の研究・獲得を目指した活動を行っております。
その他に属する事業においては、クロックのムーブメントおよび完成品の開発、設計に研究開発投資を行っています。