(1)業績
平成28年度における世界経済は、前半は米国経済の足踏みや中国経済の失速懸念に加え、英国のEU離脱問題による金融市場の混乱などを背景に減速したものの、後半は米国の新大統領による経済政策への期待から米国経済が底堅く推移したほか、中国経済の下支えなどもあり緩やかに回復が進みました。
わが国の経済は、前半は円高の影響や訪日外国人客によるインバウンド需要の後退により足踏み状態が続きましたが、後半は円安・株高が進みそれまで低迷していた個人消費に回復の兆しが見え始めました。一方で、米国の経済政策への期待が剥落し、各国の保護主義の高まりによる世界経済の先行きへの不透明感から株安・円高が顕在化するリスクも想定されています。
当社の当連結会計年度の連結売上高は、前年度から395億円減少し、2,571億円(前年度比13.3%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
① ウオッチ事業
ウオッチ事業の売上高は、前年度比298億円減少の1,345億円(前年度比18.2%減)となりました。国内は、インバウンド需要の後退や個人消費の低迷による高級品の伸び悩みなどから売上が減少しました。主力商品である「グランドセイコー」はレディスモデルが好調であったもののメンズモデルの売上は前年度を下回りました。「アストロン」「プロスペックス」の売上は前年度を下回り苦戦しましたが、「プレザージュ」「アルバ」の売上はほぼ前年度並みと健闘しました。インバウンド需要の後退も下げ止まりつつあり、邦人向け販売も話題商品に動きがみられるなど、穏やかではありますが回復基調に移行しています。海外は、円高の影響に加えて米国市場におけるデパート流通の落ち込みなどにより売上が減少しました。現地通貨ベースでは、欧州ではドイツやオランダなど、アジア・オセアニアではタイやオーストラリアなど、多くの国・地域の市場で売上を伸ばし堅調に推移しました。また、米国のマイアミ、中国の北京、広州などにセイコーブティックをオープンしました。ウオッチムーブメントの外販は、取扱商品の商流変更の影響のほか、米国・中国市場の低迷から前年度から大きく落ち込みました。
利益につきましては、売上高の減少により営業利益は前年度比51億円減少し76億円(同40.1%減)となりました。
② 電子デバイス事業
電子デバイス事業は売上高840億円(前年度比11.4%減)、営業利益38億円(同30.6%増)となりました。半導体がスマートフォン向け部品などを中心に数量ベースで順調に推移したほか、半導体製造設備向けの高機能金属製品など一部の製品が堅調だったものの、事業全体としては円高の影響や前年度の大判プリンタ事業の譲渡などにより前年度から売上高が減少しました。
③ システムソリューション事業
システムソリューション事業は売上高202億円(前年度比4.3%増)、営業利益12億円(同252.3%増)となりました。決済関連ビジネスを中心としたデータサービス事業やホームセキュリティ向けのモバイルソリューション事業などが好調に推移しました。
④ その他
その他の売上高は270億円(前年度比4.2%減)、営業利益3億円(同66.4%減)となりました。その他に含まれる事業では、和光事業はインバウンド需要の落ち込みにより売上高が減少しましたが、クロック事業は国内向けの売上高が増加し堅調に推移しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は353億円となり、前連結会計年度末と比べて35億円の減少となりました。これは主に以下の要因によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が61億円となり、減価償却費109億円を加え、売上債権の減少20億円、たな卸資産の増加△11億円、仕入債務の減少△40億円、特別退職金の支払△40億円、法人税等の支払△26億円などの結果、42億円のプラス(前年度は150億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△121億円などに加え、投資有価証券の取得による支出△6億円、貸付による支出△4億円などがあったことにより132億円のマイナス(前年度は83億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入による収支がネットで88億円となったことなどにより57億円のプラス(前年度は66億円のマイナス)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
24,409 |
△10.6 |
|
電子デバイス事業 |
56,844 |
△12.8 |
|
システムソリューション事業 |
8,888 |
△3.1 |
|
その他 |
4,292 |
△10.1 |
|
合計 |
94,435 |
△11.3 |
(注)1.金額は、製造原価によって算出しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.連結消去後の金額で記載しております。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
1,118 |
△18.8 |
85 |
61.6 |
|
電子デバイス事業 |
18,146 |
△20.5 |
2,049 |
△33.6 |
|
システムソリューション事業 |
10,717 |
75.9 |
1,750 |
△25.3 |
|
その他 |
4,081 |
△19.2 |
1,009 |
△33.9 |
|
合計 |
34,064 |
△3.6 |
4,894 |
△30.2 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
ウオッチ事業 |
133,460 |
△18.2 |
|
電子デバイス事業 |
80,064 |
△11.2 |
|
システムソリューション事業 |
19,983 |
4.0 |
|
その他 |
23,606 |
△2.6 |
|
合計 |
257,115 |
△13.3 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
3.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお経営環境につきましては本報告書の「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
1)第6次中期経営計画(平成29年3月期~平成31年3月期)
当社は新たに平成29年3月期を初年度とする第6次中期経営計画を策定し、推進中です。その内容は次のとおりです。
1.長期ビジョン
グループスローガン「時代とハートを動かすSEIKO」を踏まえて、当社グループが10年後の将来に向け長期的に目指す姿を次のように制定しました。
|
常に時代をリードする先進性と革新性を備え、お客さまの期待を超える製品と品質・サービスを提供し、世界中のステークホルダーと感動を分かち合えるグローバルな企業グループを目指す
|
2.基本方針
ウオッチ事業を中核とする高収益グループを目指し、「収益力の強化と成長への投資」を推進するとともに、「経営基盤の強化」を徹底する。
3.収益力の強化と成長への投資
① ウオッチ事業はグループの中核事業としてさらなる成長へ(収益の拡大)
② 電子デバイス事業はコアビジネスに経営資源を重点配分し、利益を創出(収益力の向上)
③ システムソリューション事業は第3の主柱事業として事業基盤を強化(収益力の強化)
④ その他の事業は安定した収益体質を継続(収益力の安定)
4.経営基盤の強化
① コーポレートコミュニケーションの強化
② 資本・財務政策の基本方針の継続
③ コーポレートガバナンスの強化
④ 組織・グループ機能の強化、人事政策の基本方針の継続
5.第6次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
第6次中期経営計画 |
|
|
2017年3月期 |
|
2017年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
|
売上高 |
|
2,571 |
|
2,900 |
|
3,100 |
|
営業利益 |
|
74 |
|
120 |
|
170 |
|
経常利益 |
|
66 |
|
120 |
|
180 |
|
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
|
53 |
|
100 |
|
125 |
② 事業別売上高 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
第6次中期経営計画 |
|
|
2017年3月期 |
|
2017年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
1,345 |
|
1,600 |
|
1,900 |
|
電子デバイス事業 |
|
840 |
|
900 |
|
750 |
|
システムソリューション事業 |
|
202 |
|
200 |
|
250 |
|
その他 |
|
270 |
|
290 |
|
300 |
|
連結合計 |
|
2,571 |
|
2,900 |
|
3,100 |
③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
第6次中期経営計画 |
|
|
2017年3月期 |
|
2017年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
|
ウオッチ事業 |
|
76 |
|
120 |
|
170 |
|
電子デバイス事業 |
|
38 |
|
30 |
|
25 |
|
システムソリューション事業 |
|
12 |
|
10 |
|
15 |
|
その他 |
|
3 |
|
10 |
|
10 |
|
連結合計 |
|
74 |
|
120 |
|
170 |
④ 貸借対照表項目 (金額単位:億円)
|
|
|
実績 |
|
第6次中期経営計画 |
|
|
2017年3月期 |
|
2019年3月期 |
|
|
総資産 |
|
3,288 |
|
3,400 |
|
純資産 |
|
1,071 |
|
1,200 |
|
自己資本比率 |
|
29.8% |
|
35% |
|
ネット有利子負債 |
|
1,012 |
|
750 |
2)当連結会計年度における経過
1. 収益力の強化と成長への投資
ウオッチ事業は、グループの中核事業としてさらなる成長を目指し、収益の拡大に努めました。高級品としてさらなる売上拡大を目指しブランドを独立させた「グランドセイコー」、世界初のGPSソーラーウオッチ「アストロン」、本格スポーツウオッチ「プロスペックス」の3つのグローバルブランドを中心として日本・欧米・アジア市場で積極的なマーケティング活動を行いました。しかしながら、当連結会計年度の業績は売上高・営業利益ともに、初年度の計画に対して未達に終わりました。こうした厳しい損益状況の中でもブランド価値向上への投資は削減せず、中長期的な視野に立って「2020年に向けてSEIKOを真のグローバルブランドに成長させ、世界の時計市場においてリーディングカンパニーとなることを目指す」ことを目標に、今後の成長に向けた投資を継続してまいります。
電子デバイス事業は、コアビジネスに経営資源を重点配分することで利益を創出し、収益力の向上に努めました。ここ数年にわたり取り組んできた不採算事業の整理・改善も進んだことから、収益力が前年度より大きく向上しました。売上高は円高の影響もあり初年度の計画に達しなかったものの、営業利益は初年度の計画を上回る結果となりました。
システムソリューション事業は、第3の主柱事業として事業基盤を強化しながら、収益力の強化に努めました。決済関連ビジネスが収益を牽引し、モバイル関連ビジネスが事業規模を拡大しました。利益を重視した事業運営の浸透や統合の完了に伴う経営合理化の進展もあり、売上高・営業利益ともに初年度の計画を上回る結果となりました。
その他に含まれる事業は、安定した収益体質を継続すべく、収益力の安定化に努めました。クロック事業は国内向け販売を中心に堅調に推移したものの、和光事業と設備時計事業は収益力の安定に課題が残り、事業全体としては売上高・営業利益ともに初年度の計画を下回る結果となりました。
2. 経営基盤の強化
コーポレートコミュニケーションの強化については、セイコーブランドの価値向上を目指して、スポーツ、音楽および社会貢献を通した積極的なブランディング活動を展開しました。
資本政策については、基本方針である継続的・安定的な配当の実施を目指して、1株当たり年間15円の配当を実施します。また、自己資本比率は29.8%と向上しましたが、計画の最終年度の目標値である35%に向けてさらなる改善を図ってまいります。財務政策については、引き続き有利子負債の圧縮に努めましたが、ネット有利子負債は1,012億円となりました。計画の最終年度の目標値である750億円に向けて一層の削減努力を進めてまいります。
コーポレートガバナンスの強化については、コーポレートガバナンス・コードへの対応も踏まえ、役員業績連動報酬制度の導入や独立社外役員を中心としたコーポレートガバナンス委員会の設置など、体制の強化に努めました。
組織・グループ機能の強化については、グループの経営方針の策定や戦略の実行を主導し、事業会社へのサポート強化に取り組んだ結果、課題事業に関わる収益性の改善やグループ内の機能統合などを推進することができました。また、人事政策の基本方針である多様な人財の育成については、グローバル人財や次世代を担う幹部候補生の育成とともに、女性活躍推進へのさらなる取り組みに向けた施策を積極的に進めてまいります。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 景気変動等のリスク
当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内・海外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。
(2) 特定の調達先への依存
ウオッチの特定取引先への調達依存度が高く、ウオッチ事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。
(3) 電子デバイス事業の経営環境
電子デバイス事業の業績は、国内・海外のスマートフォン等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性が高まっております。
(4) 海外製造拠点のカントリーリスク
電子デバイス事業及びクロック事業は、タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。
(5) 主要顧客への依存
電子デバイス事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 資材の高騰
原油、その他原材料となる資源が需給環境の変化に伴い高騰した場合、製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。
(7) 品質問題と製造物責任
当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。
(8) 知的財産権
当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。
また当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。
(9) 為替変動の影響
当社グループは、主としてウオッチ事業、電子デバイス事業が海外市場向け事業展開を行っておりますが、うちウオッチ事業は外貨建売上と外貨建仕入が概ね相殺される状況にあり、ネットの為替リスクは限定的なものにとどまります。一方、一部の電子デバイス事業は、国内製造拠点から海外市場向けに事業を展開しており、為替の変動が、製品の価格等に影響を与える可能性があります。また、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業及びクロック事業において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。さらに、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、当社グループ売上の重要部分を占める米ドル及びユーロ等に対する円相場の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 金利変動の影響
現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その50%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 保有資産の時価変動の影響
当社グループは、有利子負債の更なる圧縮と株主資本の充実を図るため、非営業資産の処分にも取り組んでおりますが、処分予定の不動産、有価証券の時価が大きく変動した場合は、計画している業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 環境問題について
電子デバイス事業、クロック事業は、省エネルギー、大気・水質の汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。これらの事業は、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、あるいは環境問題の発生から、損害賠償や対策費用を負担する可能性があります。
(13) 情報管理について
システムソリューション事業では、事業上入手した個人情報や機密情報の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、同事業の業績に影響をおよぼす可能性があります。
(14) 自然災害の影響
地震・台風等の自然災害により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設が被害を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。
当社は、当社の子会社であるセイコーインスツル株式会社(以下、SII)が、株式会社日本政策投資銀行(以下、DBJ)と、平成27年5月12日付けにて締結しました「半導体事業の新会社設立に関する基本合意書」に基づき、SIIの半導体事業を両社の共同出資による半導体事業の新会社であるエスアイアイ・セミコンダクタ株式会社(以下、SSJ)へ移管すること、並びに、その後2年経過時点以降にSIIが保有するSSJ株式の一部をさらにDBJに譲渡するオプション等を含む契約(以下、本件取引)について締結する旨を平成27年9月8日の取締役会で決議いたしました。また、本件取引は同日付で締結されております。
(1)本件取引の背景及び目的
SIIの半導体事業(以下、対象事業)は、時計関連技術をベースに、EEPROMや電源ICなどのアナログ半導体をはじめとする優れた製品を提供してきました。対象事業は、その高い収益性とともに、グローバル・トップクラスの技術・人材・知的財産・顧客基盤等の経営資源や市場での競争ポジションを最大限に活かすことにより、更なる成長が期待できる事業です。今後、グローバルでの競争激化が進む半導体市場での持続的な成長のために、今回のDBJとの取り組みが、対象事業のさらなる拡大・成長につながるものであると判断し、正式契約の合意に至りました。
SSJは、製造能力拡大・開発機能強化を図りながら、M&Aやアライアンス等を含めた業界再編を成長戦略の中核として推進し、半導体業界においてグローバル・プレゼンスを有する事業体(とりわけ、アナログ半導体を中心とした対象事業の主力分野では、世界トップ5位以内)になることを目指します。
(2)本件取引の概要
SSJ株式を、当初、SIIが60%持分を、DBJが40%持分を保持し、両社が協働してSSJの運営を行い、その後上記(1)記載の成長戦略を進める中で、2年経過時点以降にSIIが保有するSSJ株式の一部をDBJに譲渡し、DBJが70%持分を取得するオプション等を含む契約について合意しました。
SIIが継続してSSJの一定持分を保持することで、対象事業の円滑な経営・事業体制を確立し、DBJとの取り組みによりSSJの成長と収益の拡大を図り、SII及び当社グループ全体の中長期的な企業価値向上に貢献することを目指しております。
(3)セイコーインスツル株式会社(当社子会社)の概要
事業内容 ウオッチ(完成品、ムーブメント)、電子デバイス、精密メカトロ製品の開発・製造・販売
資本金 9,756百万円
(4)エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社(孫会社)の概要
事業内容 半導体の製造・販売
資本金 9,250百万円
(5)株式譲渡の相手先の概要(平成29年3月31日現在)
名称 株式会社日本政策投資銀行
所在地 東京都千代田区大手町一丁目9番6号
代表者の役職・氏名 代表取締役社長 柳 正憲
事業内容 金融保険業
資本金 1,000,424百万円
(6)譲渡価額は未確定であります。
(7)日程
新会社設立 平成27年9月
共同出資・事業移管 平成28年1月
株式譲渡日(予定) 平成30年1月 以降
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は39億円であり、主として電子デバイス事業に係る研究開発活動を行っております。電子デバイス事業に係る研究開発費は25億円、電子デバイス事業以外に係る研究開発費は13億円であります。
主な研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 電子デバイス事業
ウオッチ製造のルーツとして培ってきた精密メカトロニクス技術、省エネルギー技術、マイクロデバイス技術を基盤技術に据え、市場の要求に迅速に対応し、かつ優位性を発揮できるよう技術の強化・継承を図ります。世の中より一歩進んだもの(=匠)を、ミニマムなサイズ・コストで(=小)、環境にやさしく効率よく生産する(=省)をSYOイズムとして研究開発活動の理念に掲げ、研究開発投資を行っています。
(2) 電子デバイス事業以外
ウオッチ事業においては、ウオッチの完成品およびムーブメントの商品価値向上のための技術を追求しています。完成品については、外観のデザイン性や質感を高めユーザーの感性に訴求すべく、形状形成、彩色や仕上げなどの技術開発に取り組んでいます。ムーブメントについては、省エネルギー性やコストパフォーマンスに優れた製品を供給すべく、解析、材料、機構や加工・組立などの技術開発に取り組んでいます。
システムソリューション事業においては、モバイル・次世代放送・インフラ関連等で要求されるネットワーク経由での高精度時刻配信技術の開発等に関連する研究開発投資を行っています。
その他に属する事業においては、クロックのムーブメントおよび完成品の開発、設計に研究開発投資を行っています。
(1)経営成績の分析
当社の当連結会計年度の連結売上高は、前年度から395億円減少し、2,571億円(前年度比13.3%減)となりました。事業別では、円高による影響などのためウオッチ事業、電子デバイス事業は売上高が前年度から減少しましたが、システムソリューション事業の売上高は前年度を上回りました。連結全体の国内売上高は1,348億円(同7.5%減)、海外売上高は1,222億円(同18.9%減)となり、海外売上高割合は47.6%でした。
利益面では、売上高の減少などにより営業利益は前年度から58億円減少し、74億円(同43.7%減)に留まりました。営業外収支は支払利息の削減など前年度から改善したものの、経常利益は前年度を52億円下回る66億円(同43.8%減)となりました。固定資産売却益4億円を特別利益に、特許契約関連和解金5億円や事業再編費用4億円などを特別損失に計上し、法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は53億円(同55.6%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は3,288億円となり、前連結会計年度末に比べて2億円の減少となりました。流動資産では、商品及び製品が14億円増加し、現金及び預金が37億円、売上債権が18億円減少した結果、流動資産合計で前連結会計年度末より57億円減少の1,539億円となりました。固定資産では、有形固定資産が10億円、投資有価証券が57億円増加したことなどにより投資その他の資産が39億円増加した結果、固定資産合計で前連結会計年度末と比べ54億円増加の1,749億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が99億円、長期借入金が42億円増加し、1年内返済予定の長期借入金が53億円減少した結果、借入金合計で1,335億円となりました。そのほか、支払手形及び買掛金が30億円、未払金が21億円、退職給付に係る負債が45億円減少したことなどにより、負債合計で前連結会計年度末と比べ47億円減少の2,216億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、合計で前連結会計年度末と比べ44億円増加の1,071億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
|
指標 \ 決算年月 |
平成25年3月 |
平成26年3月 |
平成27年3月 |
平成28年3月 |
平成29年3月 |
|
自己資本比率(%) |
11.0 |
17.1 |
27.1 |
28.7 |
29.8 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
24.5 |
23.2 |
37.5 |
28.0 |
28.5 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
9.3 |
12.6 |
8.1 |
8.3 |
31.7 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
4.5 |
3.8 |
5.2 |
6.9 |
2.4 |
(注)1. 各指標の計算式
-自己資本比率:自己資本 / 総資産
-時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数) / 総資産
-キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(短期・長期借入金) / 営業キャッシュ・フロー
-インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー / 利払い
(注)2. 計算に利用した数値のベース
各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
-利払い:連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
なお事業別の分析につきましては本報告書の「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」に記載しております。