文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
なお、経営環境につきましては、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社は創業140周年を迎え、改めて当社のパーパス(存在意義)を明確化しました。それは「革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる未来を創ります」というものになります。当社のすべての活動はこのパーパスを原点とし、「社会に信頼される会社であること」という企業理念のもと行われています。ガバナンス(企業統治)を基盤とし、リスクマネジメントとともに、企業倫理の基本理念をはじめとする各個別理念や長期ビジョンを掲げ各種基本方針等を策定することで、グループ全体が同じ目標を共有し事業活動を行ってまいります。また、環境への配慮(E)、社会課題解決への貢献(S)そして社会からの信頼を保つ体制づくり(G)にも意欲的に取組み、2031年に迎える150周年のその先も持続的な成長の実現を図ります。
当社は2025年のあるべき姿に向けて、2022年3月期を最終年度とする第7次中期経営計画を推進しています。その内容は次のとおりです。
[第7次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)]
1.長期ビジョン
グループスローガン「時代とハートを動かすSEIKO」を踏まえ、第6次中期経営計画策定時に制定いたしました長期ビジョンを第7次中期経営計画でも継続いたします。
常に時代をリードする先進性と革新性を備え
お客さまの期待を超える製品と品質・サービスを提供し
世界中のステークホルダーと感動を分かち合える
グローバルな企業グループを目指す
2.2025年度のあるべき姿
長期ビジョンのもと、2025年度のあるべき姿について、より具体的なイメージを定めました。
グローバルな舞台で期待を超えるSEIKOの活躍
信頼度No.1とともに得意分野の拡大と新領域への挑戦
世界中から「未来」を期待される企業への躍進
さらに成長した人材・組織と強いグループ一体感
3.第7次中期経営計画の基本方針
2025年度に向け、この3年間の基本方針を以下のように定め、第7次中期経営計画の達成を目指します。
「選択と集中」を細部にまで展開しつつ
「未来」に向けたシナリオへの投資に積極的に取組み
SEIKOブランドと精密技術、ソリューション提案力を武器に
持続的成長を確実に実現する
4.事業を取り巻く環境と課題への取組み
当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により国内外での経済活動は大きな影響を受けましたが、ウオッチ事業のグローバルブランド戦略をはじめとする第7次中期経営計画の戦略は着実に成果があらわれていることから、2022年3月期は中期経営計画に掲げた取組みをさらに加速してまいります。加えて、DXやESGへの取組みを一層強化し、外部環境の変化に伴い新たに発生したニーズへの対応や社会課題の解決を進めます。
① ウオッチ事業
前中期経営計画では初年度からグローバルブランド戦略をスタートし、「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」等を中心とするグローバルブランドは3年間で大きく成長しました。また、継続的なコスト圧縮に努めた結果、収益性も向上する等着実な結果を出すことができました。
この結果を踏まえ、第7次中期経営計画で、2025年に向けてSEIKOを、時代をリードする先進技術、匠の技、日本の美意識を持った真のグローバルブランドに成長させ、世界の時計市場における「メジャープレイヤー」となることを目標に事業を推進しています。グローバルブランド戦略を成長エンジンとし、戦略をさらに加速させて非連続を起こしながら、国内に続いて、海外、特に米国、アジアを中心に売上の拡大を図ってまいります。
② 電子デバイス事業
前中期経営計画期間では、一部の製品が中国市場の低迷等により伸び悩みましたが、得意分野で売上を伸ばし、不採算事業の解消やコストダウンも進めた結果、収益力は安定してきました。当社の持つ「匠・小・省」という強みをさらに進化させ、選択と集中を進めることによって、得意分野や成長市場をターゲットにした重点製品へのシフトを図ってまいります。
③ システムソリューション事業
ITシステムの性能管理やセキュリティソリューションを展開する株式会社アイ・アイ・エムを子会社にしたことに加え、新規分野での売上増加やストックビジネスの拡大等により前中期経営計画期間で順調に成長を遂げました。引き続きストックビジネスの拡大を図るとともに、M&Aの活用も含めた多角化等により、事業拡大や環境変化に強い事業構造の構築を目指します。加えて、行動様式の変革、組織のパワーアップとシェイプアップを図ってまいります。
④ クロック、和光、タイムシステム事業
クロック、和光、タイムシステム事業は、長い歴史を持ちかつてはセイコーの発展を支え、今でも多くのステークホルダーとの繋がりを持つ、まさにレガシー事業であると位置づけています。2021年4月1日にセイコークロック株式会社とセイコータイムシステム株式会社を統合し、シナジー効果の発揮と事業領域の拡大を図るとともに、和光も含めたそれぞれの事業で、今後もブランドの価値向上の担い手としての役割を果たしてまいります。
5.その他の課題への取組み
① 新規研究開発
ウオッチ事業における高価格・高付加価値製品へのシフトを実現させる積極投資によって、新高級ムーブメント、新素材、スマートリンクの開発に取り組みます。また電子デバイス事業、システムソリューション事業においても成長市場に向けた新製品、新素材、新技術等の研究開発を強化します。
② 経営基盤の強化
ブランディング、人材、財務それぞれの強化を図ります。
ブランディング戦略では、躍動感のある企業イメージをさらに高めるため、スポーツ、音楽領域での強化を進めるとともに、デジタル発信や若者向けのイベントに積極的に取り組む等、中長期的な視点で企業ブランド価値向上のための投資を継続します。
人材戦略では、多様な価値観を持った人材が活き活きと働くことができる環境を整備し、「採る」「育てる」「活かす」の好循環により、グループの持続的な成長を支えます。
財務戦略としては、「攻め」の期間を支える営業キャッシュ・フローの創出、バランスのよい投資キャッシュ・フロー、コストを抑えた財務キャッシュ・フロー等徹底した投資管理によって「勝ち」の実現を目指します。さらに、利益の積み上げによる自己資本比率の継続的な改善と安定配当の維持を目指します。
6.第7次中期経営計画目標数値
① 連結損益計画 (金額単位:億円)
② 事業別売上高 (金額単位:億円)
③ 事業別営業利益 (金額単位:億円)
④ その他 (金額単位:億円)
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。また、当社グループでは短期的に経営成績等に重要な影響を与えるリスクに加えて、中期的なリスクとしてのブランド毀損リスクおよび従業員等の安全・健康に影響を与えるリスクを重要リスクとして位置付けております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品・自動車向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内・海外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。特にウオッチ及びクロックは世界130以上の国及び地域で販売されており、常に何らかの影響を受ける可能性は高い一方、同時にリスクの分散もされております。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続する場合、国内・海外の景気動向、個人消費動向に強い影響を与えることが想定されますので、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
ウオッチの特定取引先への調達依存度が高く、ウオッチ事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続する場合、ウオッチ事業および電子デバイス事業の一部の調達先等で活動が停滞することが想定され、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
電子デバイス事業の業績は、国内・海外の電子デバイス機器等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性があります。当社グループは匠・小・省の技術理念の下、研究開発活動等に注力し、「時代の一歩先を行く」事業活動を推進してまいります。
ウオッチ事業、電子デバイス事業及びクロック事業は、シンガポール・マレーシア・タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。しかしながらそれぞれの製造ラインは概ね日本を含めた複数の地域で稼働させており、リスクによる影響を低減させる取組みを行っております。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、これら地域で今後もこの状況が継続する場合、少なからず当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
電子デバイス事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。一主要顧客への依存を低減させるために、事業全体の拡大に向けた活動を進めております。
原油、その他原材料となる資源等が需給環境の変化に伴い不足・高騰した場合、製造活動に影響が生じる、あるいは製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。一部の原材料については、市場価格を見極めつつ、短期的な変動の影響を避けるため、必要に応じて在庫の保有レベルを高く設定しております。
当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。製品にかかわる品質問題はブランドイメージ毀損リスクに繋がる可能性が高いため、当社グループでは当リスクを最も重要なリスクの一つとして取扱っており、品質問題の発生を防ぐためにすべての製造拠点等において幅広い取組みを行っております。
当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。また、当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。知的財産権を侵害した場合も、侵害された場合においても、ブランドイメージを毀損するリスクが高いことから、両方のケースを防ぐための調査活動等を幅広く進めています。
当社グループは、主としてウオッチ事業、電子デバイス事業が海外市場向け事業展開を行っております。その一部は、国内外の製造拠点からその他の国の市場向けに事業を展開しており、為替の変動が、製品の価格等に影響を与える可能性があります。また、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業及びクロック事業において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。さらに、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、米ドル及びユーロ等に対する円相場等の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その70%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業上の理由により投資有価証券を保有しております。また、一部の旧工場跡地等の遊休不動産を保有しております。これらの投資有価証券や不動産の時価が大きく変動した場合は、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
ウオッチ事業、電子デバイス事業及びクロック事業は、気候変動対策、資源保全、大気・水質汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。これらの事業は、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動等を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、環境問題の発生から損害賠償や対策費用を負担する可能性、さらにこれらの課題に対する社会的期待が高まる中、取り組みが遅れることで競争力を失う可能性があります。
当社グループは、事業上入手した個人情報や機密情報等の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、連結業績に影響をおよぼす可能性があります。予期せぬ情報の流出が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクも高く、重要なリスクの一つとして防止策の徹底を図っております。
地震・台風等の自然災害やウイルス等の感染症の流行により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設または国内外の地域経済全般が被害あるいは規制等を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、自然災害および感染症の発生時には、当社の業務に従事する方々の安全確保を第一に考えた行動計画を策定しております。また、2020年3月期第4四半期に顕在化した新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続する場合、上記のように当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
すべての事業に従事する社員等に向けた各国における法令遵守のための社内教育を充実させておりますが、何らかの違反が発生するリスクは皆無とは言えません。コンプライアンス違反が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクへ繋がる可能性も高いため、すべてのグループ内法人において法令遵守についての教育活動を進めるとともにブランドイメージの重要性の浸透も引き続き行ってまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の制限で大きく悪化しましたが、6月以降徐々に回復に向かいました。その後、米国では第3四半期の感染症再拡大により景気の回復が一時減速しましたが、第4四半期はワクチン接種の開始により持ち直しました。欧州では感染症再拡大や変異ウイルス拡大の影響等により第3四半期以降、景気の回復に停滞感が見られました。中国では、第4四半期に一部で移動の自粛などが行われたものの、期初から続く景気の回復基調は年度を通して維持されました。その他、半導体輸出が好調な台湾や住宅市場が好調なオーストラリア等でも景気の回復が続いています。
わが国の経済も4月に発令された緊急事態宣言に伴い、デパートや小売店舗など多くの商業施設が閉鎖されたことから急速に縮小いたしましたが、緊急事態宣言解除後、景気は緩やかに回復してきました。今年1月の緊急事態宣言の再発令、延長を受け、個人消費を中心に景気は一時的に停滞したものの、緊急事態宣言の解除によって持ち直しに向けた動きが見られました。
このような状況の中、当社はコロナ禍への対応に注力しつつ、2025年のあるべき姿に向けて第7次中期経営計画の方針を推進いたしました。ウオッチ事業においては新高級ムーブメントならびに新素材を使用した新製品の発売、海外事業の拡大を加速するための組織再編、ブランディング投資の推進を実施したほか、システムソリューション事業ではさらなる多角化に向けて、2020年4月1日付で株式会社コスモを子会社化いたしました。また、外部環境の変化に伴い、グループ全体でビジネスのデジタル化や多様な働き方の実現等にも取り組みました。
これらの結果、第1四半期の終わりから当社の業績も回復に向かいましたが、度重なる経済活動の制限等によって、当連結会計年度の連結売上高は、前年度から364億円減少し2,026億円(前年度比15.3%減)となりました。事業別ではウオッチ事業と電子デバイス事業の売上高が前年度を下回りましたが、システムソリューション事業は事業の多角化やストックビジネス拡大の取組みを進めてきたことが功を奏し前年度を上回る結果となりました。連結全体の国内売上高は1,131億円(同17.7%減)、海外売上高は895億円(同11.9%減)となり、海外売上高割合は44.2%でした。
外部環境の変化に合わせ広告宣伝販促費を前年度に比べ約20%抑えたほか、その他の営業費用も売上高減少に伴う削減や、主に第1四半期に発生した休業時固定費の特別損失への振替え等により減少いたしました。営業利益は第1四半期の営業損失21億円から毎四半期着実に改善し、当連結会計年度の営業利益は21億円(同64.2%減)となりました。営業外収支は、持分法適用関連会社であった半導体事業会社の株式譲渡や持分法適用関連会社の業績悪化で持分法による投資損益が悪化したこと等により、経常利益は前年度を63億円下回る6億円(同91.0%減)となりました。半導体事業会社の株式譲渡益76億円、固定資産売却益10億円および補助金収入6億円等を特別利益に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う損失36億円を特別損失に計上し、法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は34億円(同2.4%増)となりました。
なお、当連結会計年度の平均為替レートは1米ドル106.1円、1ユーロ123.8円でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ウオッチ事業の売上高は、前年度比304億円減の1,050億円(前年度比22.5%減)となりました。
国内の完成品ウオッチでは4月から5月までの2か月間、緊急事態宣言に伴い小売店舗、商業施設が閉鎖されたこと等により売上高は大きく減少いたしました。緊急事態宣言が解除された6月以降はブランド誕生60周年の「グランドセイコー」や、セイコーダイバーズ55周年となる「セイコー プロスペックス」の記念モデルや新キャリバーを搭載したモデルが好調に推移し、売上高は徐々に回復いたしました。11月以降、新型コロナウイルス感染症の第3波の影響で回復は一時足踏み状態となりましたが、2度目の緊急事態宣言解除後は再び回復に向かい、3月の「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」などの売上高は、感染症の影響があった前年同月のみならず、前々年同月も上回りました。流通別には量販店の店舗での売上が年度を通して厳しい結果となりましたが、Eコマースは堅調に推移しました。
海外の完成品ウオッチでも、各地のロックダウンが解除された7月以降、多くの国や地域の売上高に回復が見られ、第3四半期の3か月間にはすべての地域で売上高が前年同期を上回りました。ブランド別には「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」が世界各地で着実に伸長いたしました。米国では、中・高級店の拡大やオンラインを使用した販促活動強化の成果もあり、「グランドセイコー」が牽引し売上高は堅調に回復しました。欧州では、新型コロナウイルス感染症の第2波や変異ウイルスの発生で、11月頃から再びロックダウンが行われた結果、第4四半期の売上は停滞しましたが、英国、ドイツ、オランダ、フランス、イタリア等多くの国でグローバルブランドの当連結会計年度の売上高が前年度から拡大しました。中国では、Eコマースが好調に推移したことに加え、グランドセイコーブティックを含めた実店舗での「グランドセイコー」の売上も拡大し、当連結会計年度の売上高は前年度を大きく上回りました。タイやオーストラリアでもデジタル施策の強化などにより「グランドセイコー」や「セイコー プロスペックス」が伸長し、当連結会計年度の売上高は前年度を超える売上高となりました。9月に台北にグランドセイコーブティックをオープンした台湾では、9月以降ブティックが「グランドセイコー」の売上を牽引し、台湾の下期売上高は前年同期を上回りました。
ウオッチムーブメントの外販ビジネスにつきましては、感染症拡大防止のため第1四半期に政府の要請により海外における製造活動の一部が制限を受け、売上高は大きく落ち込みました。第2四半期以降、回復に向かいましたが、第1四半期の落込みをカバーするには至りませんでした。
外部環境に合わせた投資の見直しや売上高減少に伴う削減等により費用は前年度を下回りましたが、営業利益については前年度から45億円減少し56億円(同44.9%減)となりました。
電子デバイス事業は売上高502億円(前年度比3.0%減)、営業利益13億円(同112.2%増)となりました。大容量サーバー向けや自動車向けの精密切削部品に加え、半導体製造装置向けの高機能金属、医療機器用電池、水晶などが順調に推移しました。上期のプリンタ関連事業は新型コロナウイルス感染症の影響で小売市場向けビジネスが低調でしたが、昨年発売した水性インク対応品の拡販が奏功し、10月以降は産業用のインクジェットプリントヘッドが回復しました。第4四半期3か月間の売上高は、直近3年間の四半期売上高の中では最も高い売上高となりました。
システムソリューション事業の売上高は前年度比12億円増加の341億円(前年度比3.9%増)、営業利益は前年度比5億円増加の35億円(同17.5%増)となりました。コロナ禍によりモバイル製品や外食産業向け支援システム・サービスの需要が減少いたしましたが、デジタル化需要が高まる中で、AIやIoTを活用した新規事業の拡大やデジタル化を支えるネットワーク製品、性能管理サービス等のビジネスが伸長し、さらに、2020年4月に子会社化した株式会社コスモのIoT機器開発等が寄与し、増収増益を達成いたしました。
その他の売上高は前年度比46億円減少の248億円(前年度比15.9%減)、営業損失は40百万円(前年度は営業利益3億円)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による国内での緊急事態宣言を受け約2か月間店舗を閉鎖した和光事業や、デパートや量販店等販売流通の多くが閉鎖されたクロック事業では第1四半期の売上高が大きく落ち込みました。6月以降ビジネスは回復に向かいましたが、第4四半期に再び緊急事態宣言が発令された影響もあり、前年度の売上高を下回りました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は3,196億円となり、前連結会計年度末に比べて196億円の増加となりました。流動資産では、現金及び預金が64億円、受取手形及び売掛金が27億円、仕掛品が17億円、原材料及び貯蔵品が15億円増加し、合計で前連結会計年度末より119億円増加の1,500億円となりました。固定資産では、有形固定資産が91億円増加し、投資その他の資産が11億円減少したこと等により、固定資産合計では前連結会計年度末と比べ77億円増加の1,696億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が134億円、1年内返済予定の長期借入金が4億円、長期借入金が16億円増加した結果、借入金合計で1,251億円となりました。その他、支払手形及び買掛金が25億円、未払金が24億円減少したこと等により、負債合計では前連結会計年度末と比べ108億円増加し2,065億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益34億円を計上した他、その他有価証券評価差額金が49億円、為替換算調整勘定が18億円増加したこと等により、合計で前連結会計年度末と比べ88億円増加し1,130億円となりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は323億円となり、前連結会計年度末と比べて62億円の増加となりました。また、営業活動および投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは△49億円となりました。
これは主に以下の要因によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が64億円となり、減価償却費106億円を加え、仕入債務の増減額△38億円、たな卸資産の増減額△15億円、さらに投資有価証券売却損益△76億円等の調整を行った結果、前年度から1億円増加となる28億円のプラス(前年度は27億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△177億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△13億円、投資有価証券の売却による収入106億円等を計上した結果、78億円のマイナス(前年度は106億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入がネットで145億円となった一方、リース債務の返済による支出△17億円、配当金の支払△20億円などがあり104億円のプラス(前年度は6億円のプラス)となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
(注) 1.各指標の計算式
-自己資本比率:自己資本 / 総資産
-時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数) / 総資産
-キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(短期・長期借入金) / 営業キャッシュ・フロー
-インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー / 利払い
(注) 2.計算に利用した数値のベース
各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
-利払い:連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。
当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要、設備投資や研究開発費、ブランディング費用などの成長及び企業価値向上を目的とした投資需要であり、資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、有利子負債による資金調達であります。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は323億円であり、将来の資金需要に対し適正な水準を確保していると認識しております。また、当社および国内の事業会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を図っております。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大等の不測の事態においても機動的かつ安定的に経常運転資金を確保するため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当社グループは、2020年3月期より推進している第7次中期経営計画において、その位置づけを「攻め」とし、成長に向けた投資を強化して、「勝ち」という結果に結びつけることを重要な骨子とし、下記を推進しております。
・「攻め」の期間を支える営業キャッシュ・フローの創出、バランスのよい投資キャッシュ・フロー、
コストを抑えた財務キャッシュ・フロー、「勝ち」を実現させる投資管理の徹底
・利益の積み上げによる自己資本比率の継続的改善、安定配当の維持
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、製造原価によって算出しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.連結消去後の金額で記載しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.連結消去後の金額で記載しております。
3.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
繊細な技とノウハウで新たな価値を創る「匠」、精密加工や高密度実装技術で小型化を実現する「小」、材料やエネルギーなど様々な資源を効率的に活用する「省」、このような「匠・小・省」の技術を極め、社会課題の解決を目指すとともに、新製品・技術創出につながる開発を推進しています。
主な研究開発活動は次のとおりであります。
ウオッチ製造のルーツとして培ってきた「匠・小・省」の技術を極め、小型精密設計・加工技術をさらに深化させ、自動車向け精密部品等の長期的成長市場に向けた製品開発を推進しています。
ウオッチ事業においては、高付加価値商品の創出と新要素技術の開発を目指し、高級ムーブメントの開発をはじめとして、ムーブメントや外装の素材、デザイン等にいたるまで幅広く開発を行っています。さらにその製造技術の育成や加工工程の最適化に向けた技術開発も行っております。
システムソリューション事業においては、モバイル・次世代放送・インフラ関連等で要求されるネットワーク経由での高精度時刻配信技術の開発を行っております。
その他に属する事業においては、クロックのムーブメントおよび完成品の開発、設計に研究開発投資を行っています。
なお、2020年4月1日付けで、グループ全体の技術開発力のさらなる強化を目指し、研究開発・生産技術開発機能を、連結子会社であるセイコーインスツル株式会社から当社へ移管いたしました。