第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

なお、経営環境につきましては、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。

 

(1) 企業理念

当社は昨年創業140周年を迎え、改めて当社のパーパス(存在意義)を明確化いたしました。それは「革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる未来を創ります」というものです。当社のすべての活動はこのパーパスを原点とし、「社会に信頼される会社であること」という企業理念のもと行われています。

また、2031年に迎える150周年に向け、以下のグループ10年ビジョンも定めました。

 

アナログとデジタルのシナジーにより

世界中の人・モノ・時をつなぐ製品・サービスを創造し、

サスティナブルな社会に貢献するソリューションを提供する

 

当社はこのグループ10年ビジョンの実現に向け、2026年度を最終年度とする第8次中期経営計画(SEIKO Milestone145=SMILE145)を策定し事業を推進してまいります。

 

(2) 経営戦略及び対処すべき課題

1) SMILE145の位置づけ

SMILE145は、創業150周年のありたい姿であるグループ10年ビジョンを実現するために、その中間地点である創業145周年にあたる2026年度に向けてグループ10年ビジョンからバックキャスティングで策定した計画であり、期間を5か年といたしました。

 

2) SMILE145の目指す姿

2026年のありたい姿を「人々と社会に感動をもたらす高付加価値・高収益な製品・サービスを提供する、ソリューションカンパニーになる」とし、その実現のために感動をもたらす高付加価値で高収益な製品に注力していく「MVP戦略=感動(Moving)、高付加価値(Valuable)、高収益(Profitable)」を基本方針といたします。

 

3) 2031年に向けた価値創造ストーリー

当社グループを取り巻く環境認識を機会とリスクの両面から分析した上で、グループパーパスを原点に社会課題解決を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献いたします。成長戦略として、グループコア戦略(SDGs、人材、DX、R&D、ブランディング)を推進するとともに、当社グループの強みである3つの戦略ドメイン(エモーショナルバリューソリューション、デバイスソリューション、システムソリューション)を設定し、4つの事業機会(感性消費、Society5.0、ウェルネス、社会/環境)においてこれらドメインの戦略を進めます。さらにグループシナジー創出を図ることで、社会価値の創造を実現するとともに当社グループの成長を目指します。

そのためにグループ10年ビジョンからバックキャスティングで描いた2026年のありたい姿の実現に向けてMVP戦略を推進いたします。

 

4) グループコア戦略

当社グループは、社会とグループの成長のため全事業で取組む5つの戦略をグループ共通コア戦略として掲げ、成長戦略を推進してまいります。

① SDGs戦略

セイコーホールディングスグループは、グループパーパスを原点に、“WITH”を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献します。

(“WITH”=Well-being:よりよい人生を、Inclusion:すべての人に、Trust:確かな信頼で、Harmony:地球との調和)

② 人材戦略

人材の育成を成長戦略の柱として、エンゲージメント向上とダイバーシティ推進に取り組み、失敗を価値に変える組織風土、体制を構築します。

③ DX戦略

デジタルとデータを駆使し、顧客中心で顧客体験を重視した高付加価値ビジネスを実現します。

④ R&D戦略

永年培ってきた「匠・小・省」と「デジタル」を融合し、技術をさらに進化させ、新たな価値を創造します。

⑤ ブランディング戦略

SEIKOは、社会課題に向き合い、自社の社会的価値・技術的価値・感性的価値を通して、世界中の人々の心を豊かにし、笑顔であふれる未来を創ります。

 

5) ドメイン別の目指す姿

「パーパスドリブンで事業シナジー創出を目指す求心力経営体制の構築」、「DXによる社会課題解決型のビジネスモデルへの革新」および「事業環境の変動リスクに対応したリスク分散型の事業体制」を狙いとし、3つの戦略ドメインを設定いたしました。

① エモーショナルバリューソリューション(EVS)ドメイン

・お客様に感動を与える美意識やこだわりに満ち、機能的価値・感性的価値・社会的価値の高い製品・サービスを創出します。

・人生に寄り添い、悦びの時を共に歩める商品を、優れた顧客体験を通じて販売する事で、ブランド価値向上と企業価値向上を実現します。

② デバイスソリューション(DS)ドメイン

・技術革新が生み出すデバイスソリューションで社会が求める高機能・高品質を提供します。

・Society 5.0(サイバー空間とフィジカル空間を融合させて社会課題を解決)を実現します。

③ システムソリューション(SS)ドメイン

・社会のイノベーションをワンストップのICTソリューションにより提供しサスティナブルな成長を実現します。

・お客様ニーズに即した持続的な価値提供により、お客様・社会・グループの価値向上を実現します。

 

6) 財務方針・キャッシュアロケーション

SMILE145では、当社グループは売上総利益率の改善により成長投資力を向上させ、サスティナビリティ確立への投資を行うとともに、資本コストを踏まえた財務体質の改善、株主還元を確実に実施していくことを目指します。売上成長性やROICをベースとした積極投資、安定的収益基盤確保、新規領域への挑戦の3つをサスティナビリティ確立に向けた投資方針に掲げ、ブランディング・製造設備・新領域開発投資(R&D、M&A、DX、人材等)を当社グループの成長に向け行ってまいります。

 

7) 全社経営目標

SMILE145では中長期的な収益性と成長性を重視し、当社グループがサスティナブルな企業であり続けることを目指します。2026年度の財務目標は、連結営業利益180~200億円、連結GP率 +5.0ポイント(2021年度比)、連結ROIC 6.5%超といたします。ESG指標として、2026年度のSCOPE1・2におけるCO2排出量の25%削減(2020年度比)を目指します。また、2022年度から実施する従業員エンゲージメント調査によって課題の優先順位付けを明確にし、それぞれの課題解決に取り組むことでエンゲージメントスコアの向上を目指します。

 

2 【事業等のリスク】

重要なリスクへの取組み

当社では、グループ各社の経営に甚大な損失をもたらすおそれのあるリスクを「重要リスク」と定義し、毎年グループ各社のリスクマネジメント委員会が選定、リスク責任部署が中心となってリスク対応を行っております。また、グループ横断で対処すべき重要リスクを「グループ重要リスク」と定義し、当社を中心にグループでリスク対応を行っております。リスクマネジメント委員会及びグループリスクマネジメント委員会においてリスク対応をモニタリング・情報共有するほか、グループ各社のリスクマネジメント担当者をメンバーとするグループリスクマネジメント連絡会ではグループ各社間の連携・協働等を通じ、各社重要リスクの対策の推進支援を行っています。

 

事業等のリスク リスクマップ


当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。また、当社グループでは短期的に経営成績等に重要な影響を与えるリスクに加えて、中期的なリスクとしてのブランド毀損リスクおよび従業員等の安全・健康に影響を与えるリスクを重要リスクとして位置付けております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 景気変動等のリスク

当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品・自動車向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。特にウオッチ及びクロックは世界130以上の国及び地域で販売されており、常に何らかの影響を受ける可能性は高い一方、同時にリスクの分散もされております。また、新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続すれば、国内外の景気動向、個人消費動向に影響を与えることが想定されますので、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 特定の調達先への依存

ウオッチ事業の特定取引先への調達依存度が高く、エモーショナルバリューソリューション(EVS)事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続すれば、EVS事業及びデバイスソリューション(DS)事業の一部の調達先等で活動が停滞することが想定され、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) DS事業の経営環境

DS事業の業績は、国内外の電子デバイス機器等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性があります。第8次中期経営計画「SMILE145」の主要戦略である「感動をもたらす高付加価値・高収益な製品・サービス」へのシフトを推進することで、事業のサスティナビリティを高めてまいります。

 

(4) 海外製造拠点のカントリーリスク

EVS事業及びDS事業は、シンガポール・マレーシア・タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。しかしながらそれぞれの製造ラインは概ね日本を含めた複数の地域で稼働させており、リスクによる影響を低減させる取組みを行っております。また、新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、これら地域で今後もこの状況が継続すれば、少なからず当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 主要顧客への依存

DS事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。一主要顧客への依存を低減させるために、新規顧客の開拓を含め事業拡大に向けた活動を進めております。

 

(6) 資材等の不足・高騰

原油や原材料となる資材等が需給環境の変化に伴い不足・高騰した場合、製造活動に影響が生じる、あるいは製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。一部の原材料については、市場価格を見極めつつ、短期的な変動の影響を避けるため、必要に応じて在庫の保有レベルを高く設定しております。

 

(7) 品質問題と製造物責任

当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。製品にかかわる品質問題はブランドイメージ毀損リスクに繋がる可能性が高いため、当社グループでは当リスクを最も重要なリスクの一つとして取扱っており、品質問題の発生を防ぐためにすべての製造拠点等において幅広い取組みを行っております。

 

(8) 知的財産権

当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。また、当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。知的財産権を侵害した場合も、侵害された場合においても、ブランドイメージを毀損するリスクが高いことから、両ケースを防ぐための調査活動等を幅広く進めています。

 

 

(9) 為替変動の影響

当社グループは、主としてEVS事業及びDS事業が海外市場向けに事業を展開しております。その一部は、国内外の製造拠点からその他の国の市場向けに販売しており、為替の変動が、製品の価格等に影響を与える可能性があります。また、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業等において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。さらに、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、米ドル及びユーロ等に対する円相場等の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 金利変動の影響

現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その80%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 保有資産の時価変動の影響

当社グループは、事業上の理由により投資有価証券を保有しております。また、一部の旧工場跡地等の遊休不動産を保有しております。これらの投資有価証券や不動産の時価が大きく変動した場合は、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12) 環境問題について

当社グループは、気候変動対策、資源保全、大気・水質汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。そのような中、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動等を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、環境問題の発生から損害賠償や対策費用を負担する可能性、さらにこれらの課題に対する社会的期待が高まる中、取り組みが遅れることで競争力を失う可能性があります。また、当社グループやサプライヤーにおいて適切な対応が取れていない場合、ブランドイメージ毀損リスクに繋がる可能性があります。

 

(13) 情報管理について

当社グループは、事業上入手した個人情報や機密情報等の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、連結業績に影響をおよぼす可能性があります。予期せぬ情報の流出が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクも高く、重要なリスクの一つとして防止策の徹底を図っております。

 

(14) 自然災害・感染症の影響

地震・台風等の自然災害やウイルス等の感染症の流行により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設または国内外の地域経済全般が被害あるいは規制等を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、自然災害および感染症の発生時には、当社の業務に従事する方々の安全確保を第一に考えた行動計画を策定しております。また、新型コロナウイルス感染症は世界中に拡大しており、今後もこの状況が継続すれば、上記のように当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(15) コンダクトリスク

すべての事業に従事する社員等に向けた各国における法令遵守等のための社内教育を充実させておりますが、何らかの問題が発生するリスクは皆無とは言えません。コンプライアンス違反等が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクへ繋がる可能性も高いため、すべてのグループ内法人において法令遵守等についての教育活動を進めるとともにブランドイメージの重要性の浸透も引き続き行ってまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、多くの国で前期の新型コロナウイルス感染症拡大の影響による急激な落ち込みからの回復が見られました。米国経済は感染再拡大や人手不足の影響を受け、雇用や消費の拡大ペースが鈍化し始めたものの、回復傾向は持続いたしました。欧州ではオミクロン株の急拡大に伴う行動規制の強化などが経済活動に大きく影響を与えました。中国でも経済は堅調に推移いたしましたが、「ゼロコロナ」政策の影響や不動産市場の低迷などにより成長は鈍化いたしました。

わが国の経済は変異株拡大により活動制限と緩和が繰り返されましたが、回復基調を維持し、慎重だった個人消費にも9月の緊急事態宣言解除後は持ち直しの動きが見られました。

 

このような中、当社でも変異株の感染急拡大に伴い、ステークホルダーの健康、安全に留意しながら第7次中期経営計画の戦略を推進しました。ウオッチ事業では「グランドセイコー(GS)」や「セイコー プロスペックス」を中心としたグローバルブランド(GB)拡大の取組みを進め、特に海外市場で売上高が大きく伸長しました。電子デバイス事業では医療分野などの好調な需要を確実に捉え、システムソリューション事業でも多角化やストックビジネス拡大への取組みが奏功し、両事業とも前年度および新型コロナウイルス拡大前の前々年度を上回る売上を計上しました。その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、2,373億円(前年度比17.1%増)となりました。

連結全体の国内売上高は1,244億円(同10.0%増)、海外売上高は1,129億円(同26.1%増)となり、海外売上高割合は47.6%でした。

当連結会計年度の広告宣伝販促費は、前年度に対して約7%増加いたしましたが、前々年度に対しては約15%下回る水準となりました。その他の販売費及び一般管理費も会計基準変更の影響による増加の他、事業活動の平常化にあわせて概ね通常の水準まで戻りましたが、売上高の回復や収益性の改善により営業利益は前年度から65億円改善し87億円(同299.7%増)となりました。営業外収支が持分法による投資損益や為替差損益などにより前年度から改善した結果、経常利益は前年度を93億円上回る99億円(前年度は経常利益6億円)となりました。補助金収入1億円を特別利益に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う損失等、合計で11億円を特別損失に計上し、法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は64億円(同84.6%増)となりました。

なお、当連結会計年度の平均為替レートは1米ドル112.4円、1ユーロ130.6円でした。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

ウオッチ事業

ウオッチ事業の売上高は前年度比206億円増加の1,257億円(前年度比19.7%増、前々年度比7.2%減)となりました。当連結会計年度の国内の完成品ウオッチは変異株拡大の影響で計画を若干下回ったものの、第3四半期からは回復基調に転じております。140周年記念モデルや荘厳な白樺林をダイヤルに表現したモデルを中心に好調だったGSが前年度を上回ったほか、「セイコー アストロン」の売上高が伸長しました。流通別には、富裕層の旺盛な購買に支えられた百貨店や時計専門店が順調に推移いたしました。

海外ではGSが牽引し、GBの売上高はすべての地域で前年度だけでなく前々年度を上回りました。米国ではクリスマス商戦も好調に推移し、GS、「セイコー プロスペックス」を中心に前年度、前々年度を大きく上回りました。欧州でも英国、フランスなど多くの国でGSをはじめとするGBが売上を伸ばしました。中国では夏以降、不動産会社のデフォルト懸念が広がるなど社会不安から消費マインドが低下し、売上高は前年度を下回りました。変異株拡大の影響によりその他のアジアの売上高は前年並みに留まりましたが、オーストラリアではGBを中心に好調に推移しました。

 

ウオッチムーブメントの外販ビジネスは、アジア市場向けが低調でした。

事業活動の回復に伴い費用は前年度から通常水準に戻りましたが、売上高増加に伴い営業利益は前年度から20億円増加し76億円(同36.4%増)となりました。

 

電子デバイス事業

電子デバイス事業は売上高646億円(前年度比28.8%増)、営業利益58億円(同347.4%増)となりました。サーマルプリンタや一部の精密デバイスで部材供給の遅れなどの影響を受けたものの、医療向け電池や水晶に加えオシレータや半導体製造装置向けの高機能金属、自動車向けやデータセンター向けの精密部品などが引き続き好調に推移し、前年度から大幅な増収増益となりました。

 

システムソリューション事業

システムソリューション事業は売上高344億円(前年度比0.9%増)、営業利益39億円(同11.5%増)となりました。外食産業などがコロナ禍の影響を受けたほか、一部で部材調達難が発生いたしましたが、社会のデジタル化の波を捉えた電子契約関連ビジネスや株式会社アイ・アイ・エムの性能管理・セキュリティ関連ビジネス、さらに公共・通信業界向けの5G向けネットワーク関連ビジネスなどが伸長し、24四半期連続で対前年同期増収増益を達成いたしました。

 

タイムクリエーション・和光事業他

タイムクリエーション・和光事業他の売上高は前年度比24億円増加の273億円(前年度比9.8%増)、営業利益は7億円(前年度は営業損失40百万円)となりました。国内で個人消費に持ち直しの傾向が見られた第3四半期以降順調に回復し、第4四半期も2022年1月から東京都等でまん延防止等重点措置が適用されたものの影響は限定的で、好調を維持することができました。また、海外向けクロックも、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの市況回復にあわせ、前年度より売上を伸ばしました。

 

(2) 財政状態

(資産)

当連結会計年度末の総資産は3,275億円となり、前連結会計年度末に比べて78億円の増加となりました。流動資産では、現金及び預金が18億円減少した一方、商品及び製品等の棚卸資産が46億円増加したことに加え、受取手形、売掛金及び契約資産の合計が前連結会計年度末の受取手形及び売掛金と比べ15億円増加したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末より47億円増加し1,547億円となりました。固定資産では、有形固定資産19億円増、無形固定資産9億円減、投資その他の資産21億円増となり、固定資産合計は前連結会計年度末と比べ31億円増加の1,727億円となりました。

 

(負債)

負債につきましては、短期借入金が89億円、長期借入金が65億円減少いたしましたが、1年内返済予定の長期借入金が64億円増加した結果、借入金合計は1,161億円となりました。また、支払手形及び買掛金が17億円、電子記録債務が10億円、未払金が20億円増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比べ6億円減少の2,059億円となりました。

 

(純資産)

純資産につきましては、株主資本が31億円、為替換算調整勘定が40億円増加したことなどから、合計で前連結会計年度末と比べ85億円増加の1,216億円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は307億円となり、前連結会計年度末と比べて16億円の減少となりました。また、営業活動および投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは110億円となりました。

これは主に以下の要因によるものです。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が88億円となり、減価償却費108億円を加え、退職給付に係る負債の増減額△17億円、売上債権の増減額14億円、棚卸資産の増減額△20億円等の調整を行った結果、前年度から174億円増加となる203億円のプラス(前年度は28億円のプラス)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△87億円等を計上した結果、93億円のマイナス(前年度は78億円のマイナス)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入がネットで△96億円、リース債務の返済による支出△17億円、配当金の支払額△20億円等があり139億円のマイナス(前年度は104億円のプラス)となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要、設備投資や研究開発費、ブランディング費用などの成長及び企業価値向上を目的とした投資需要であり、資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、有利子負債による資金調達であります。

資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は307億円であり、将来の資金需要に対し適正な水準を確保していると認識しております。また、当社および国内の事業会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を図っております。さらに、様々な不測の事態においても機動的かつ安定的に経常運転資金を確保するため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ウオッチ事業

23,749

6.6

電子デバイス事業

40,259

23.2

システムソリューション事業

14,463

1.2

タイムクリエーション・和光事業他

5,624

6.6

合計

84,097

12.8

 

(注) 1.金額は、製造原価によって算出しております。

2.連結消去後の金額で記載しております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

ウオッチ事業

200

△20.8

15

127.2

電子デバイス事業

20,309

43.4

7,737

107.6

システムソリューション事業

16,847

3.9

3,050

△8.5

タイムクリエーション・和光事業他

5,627

△7.6

1,367

△2.8

合計

42,985

17.1

12,170

43.6

 

(注) 1.連結消去後の金額で記載しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

ウオッチ事業

123,074

19.3

電子デバイス事業

58,168

29.0

システムソリューション事業

32,511

0.1

タイムクリエーション・和光事業他

23,627

7.5

合計

237,382

17.1

 

(注) 1.連結消去後の金額で記載しております。

2.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は41億円であり、主として電子デバイス事業に係る研究開発活動を行っております。電子デバイス事業に係る研究開発費は25億円、電子デバイス事業以外に係る研究開発費は15億円であります。

当社グループは、繊細な技とノウハウで新たな価値を創る「匠」、精密加工や高密度実装技術で小型化を実現する「小」、材料やエネルギーなど様々な資源を効率的に活用する「省」、このような「匠・小・省」の技術開発を行ってきました。そして、サスティナブルな社会と事業の成長を実現させるために、永年培ってきた「匠・小・省」と「デジタル」を融合し、技術をさらに進化させ、新たな価値を創造していきます。

主な研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1) 電子デバイス事業

ウオッチ製造のルーツとして培ってきた「匠・小・省」の技術を極め、小型精密設計・加工技術をさらに深化させ、医療向け電池や超小型水晶等の長期的成長市場に向けた製品開発を推進しています。

 

(2) 電子デバイス事業以外

ウオッチ事業においては、高付加価値商品の創出と新要素技術の開発を目指し、高級ムーブメントの開発をはじめとして、ムーブメントや外装の素材、デザイン等にいたるまで幅広く開発を行っています。さらにその製造技術の育成や加工工程の最適化に向けた技術開発も行っております。

システムソリューション事業においては、次世代システム等のための高精度時刻同期に関する技術開発や金融向けプラットフォーム構築・サービス拡充のための技術開発を行っております。

タイムクリエーション・和光事業他に属する事業においては、クロックのムーブメントおよび完成品の開発、設計に研究開発投資を行っています。