文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
なお、経営環境につきましては、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社は創業140周年を迎えた2021年に、改めて当社のパーパス(存在意義)を明確化いたしました。それは「革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる未来を創ります」というものです。当社のすべての活動はこのパーパスを原点とし、「社会に信頼される会社であること」という企業理念のもと行われています。
また、2031年に迎える150周年に向け、以下のグループ10年ビジョンも定めました。
アナログとデジタルのシナジーにより
世界中の人・モノ・時をつなぐ製品・サービスを創造し、
サスティナブルな社会に貢献するソリューションを提供する
当社はこのグループ10年ビジョンの実現に向け、2026年度を最終年度とする第8次中期経営計画(SEIKO Milestone145=SMILE145)を策定し事業を推進しております。
第8次中期経営計画SMILE145は、創業150周年のありたい姿であるグループ10年ビジョンを実現するために、その中間地点である創業145周年にあたる2026年度に向けてグループ10年ビジョンからバックキャスティングで策定し、期間を5か年計画といたしました。
2026年のありたい姿を「人々と社会に感動をもたらす高付加価値・高収益な製品・サービスを提供する、ソリューションカンパニーになる」とし、その実現のために感動をもたらす高付加価値で高収益な製品に注力していく「MVP戦略(=Moving, Valuable, Profitable)」を基本方針といたします。
当社グループを取り巻く環境認識を機会とリスクの両面から分析した上で、グループパーパスを原点に社会課題解決を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献いたします。成長戦略として、グループコア戦略(SDGs、人材、ブランディング、DX、R&D)を推進するとともに、当社グループの強みである3つの戦略ドメイン(エモーショナルバリューソリューション、デバイスソリューション、システムソリューション)を設定し、4つの事業機会(感性消費、Society5.0、ウェルネス、社会/環境)においてこれらドメインの戦略を進めます。さらにグループシナジー創出を図ることで、社会価値の創造を実現するとともに当社グループの成長を目指します。
そのためにグループ10年ビジョンからバックキャスティングで描いた2026年のありたい姿の実現に向けてMVP戦略を推進いたします。
4) グループコア戦略
当社グループはグループを横断した5つの戦略をグループコア戦略として掲げ、成長戦略を推進してまいります。
① SDGs戦略
セイコーグループは、グループパーパスを原点に、“WITH”を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献します。
(“WITH”=Well-being:よりよい人生を、Inclusion:すべての人に、Trust:確かな信頼で、Harmony:地球との調和)
② 人材戦略
人材の育成を成長戦略の柱として、エンゲージメント向上とダイバーシティ推進に取り組み、失敗を価値に変える組織風土、体制を構築します。
③ DX戦略
デジタルとデータを駆使し、顧客中心で顧客体験を重視した高付加価値ビジネスを実現します。
④ R&D戦略
永年培ってきた「匠・小・省」と「デジタル」を融合し、技術をさらに進化させ、新たな価値を創造します。
⑤ ブランディング戦略
SEIKOは、社会課題に向き合い、自社の社会的価値・技術的価値・感性的価値を通して、世界中の人々の心を豊かにし、笑顔であふれる未来を創ります。
5) ドメイン別の目指す姿
① エモーショナルバリューソリューション(EVS)ドメイン
・お客様に感動を与える美意識やこだわりに満ち、機能的価値・感性的価値・社会的価値の高い製品・サービスを創出します。
・人生に寄り添い、悦びの時を共に歩める商品を、優れた顧客体験を通じて販売する事で、ブランド価値向上と企業価値向上を実現します。
② デバイスソリューション(DS)ドメイン
・技術革新が生み出すデバイスソリューションで社会が求める高機能・高品質を提供します。
・Society 5.0(サイバー空間とフィジカル空間を融合させて社会課題を解決)を実現します。
③ システムソリューション(SS)ドメイン
・社会のイノベーションをワンストップのICTソリューションにより提供しサスティナブルな成長を実現します。
・お客様ニーズに即した持続的な価値提供により、お客様・社会・グループの価値向上を実現します。
6) 財務方針・キャッシュアロケーション
SMILE145では、当社グループは売上総利益率の改善により成長投資力を向上させ、サスティナビリティ確立への投資を行うとともに、資本コストを踏まえた財務体質の改善、株主還元を確実に実施していくことを目指します。売上成長性やROICをベースとした積極投資、安定的収益基盤確保、新規領域への挑戦の3つをサスティナビリティ確立に向けた投資方針に掲げ、ブランディング・R&D・製造設備・M&A・DX・人材など当社グループの成長に向けた投資を行ってまいります。
7) 全社経営目標
SMILE145では中長期的な収益性と成長性を重視し、当社グループがサスティナブルな企業であり続けることを目指します。2026年度の財務目標は、連結営業利益180~200億円、連結GP率 +5.0ポイント(2021年度比)、連結ROIC 6.5%超といたします。ESG指標として、2026年度のSCOPE1・2におけるCO2排出量の25%削減(2020年度比)を目指します。また、2022年度から実施する従業員エンゲージメントサーベイによって課題の優先順位付けを明確にして、それぞれの課題解決に取り組むことでエンゲージメントスコアの向上を目指します。
① グループコア戦略
SDGs戦略では脱炭素・気候変動への取組みとして、国内拠点の再生可能エネルギー導入などによるCO2排出量削減やグループ全体のSCOPE3排出量の把握、TCFD開示(「気候関連財務情報開示タスクフォース」=Task Force on Climate-related Financial Disclosures)等を行いました。引き続き、CO2排出量削減やTCFD開示の充実を進めていくとともにSBT(Science Based Targets)申請を目指します。また、人権リスクを評価・低減する取組みや責任ある調達に向けたルール策定や運用を行ってまいります。
人材戦略では、国内のグループ社員を対象としたDX研修を実施しDX人材育成を進めました。また、経営者視点を持った事業家人材の育成にも取り組んでまいります。当期には初めてエンゲージメントサーベイを実施いたしました。この結果等を踏まえ、課題の優先順位付けを明確化し、様々な取組みを進めることでエンゲージメントスコア向上を実現させ、人的資本の充実を図ります。また、男性の育休取得を促進するため制度改定や啓蒙活動を行い、ダイバーシティも推進しております。
DX戦略では、顧客体験向上とCRM推進などデータドリブンによるビジネスモデルへの変革に取り組みました。デジタルセールス・マーケティングの深化を進めるとともに、メタバース空間でのECなど新事業創出も進めてまいります。
R&D戦略では、感性消費やSociety5.0といった基盤領域で、MVP製品・サービスの高付加価値化や製造の高度化・合理化により収益性向上に貢献しました。今後もさらなる技術開発を加速していきます。また、拡張領域としているウェルネスや社会・環境の領域における事業創出に向けたR&Dにも取り組んでおります。
ブランディング戦略では、社会的価値・技術的価値・感性的価値を訴求するPR・ブランディングを進め、またBtoBビジネスでの連携や感動提供型のブランディングへの進化に取り組みました。
② 戦略ドメイン
事業環境につきましては、円安による影響や日本国内におけるコロナ禍からの景気回復、インバウンド需要の戻りなど、経済環境で当社グループ事業へのプラスの影響が多くありました。一方、デバイスに関しては上期までの旺盛な需要から下期に急減速し、市場環境が急変いたしました。このような環境の下、EVSドメインでは国内及び海外市場でグローバルブランドを伸ばしたウオッチ事業や高額品需要が堅調な和光事業でMVP製品売上比率が着実に伸長いたしました。これに伴いEVSドメインのGP率も前期と比べ約2pts改善させることができました。今後も高付加価値製品の開発等を進めてMVP比率の改善を図ってまいります。DSドメインではSMILE145で想定していた事業前提が大きく変わるような市場環境の急変が起こり、MVP製品の売上も伸び悩みましたが、MVP製品売上比率は想定通り伸長できたこともあり、GP率は前期とほぼ同水準を維持することができました。DSドメインではこのような事業環境の変化に対応するため、事業戦略の再検討を実施の上、一部事業においては戦略の見直しをいち早く行っております。加えて、環境変化の影響を受けないMVP製品を開発していくことで事業収益向上を図ってまいります。SSドメインではストックビジネスの拡大と多角化を進めたことにより、MVP比率は着実に伸長し、GP率も約2pts改善しております。M&Aも視野に入れながら、今後もストックビジネス拡大と多角化を進めて安定的な収益獲得を図ってまいります。全体を通して、MVP比率が伸びた事業はGP率も上昇しており、その結果、連結全体でもGP率は目標通りに向上し、グループ全体の事業力を高めることができた中期経営計画初年度と捉えています。
SMILE145の第2年度となる2023年度はSMILE145達成に向けて非常に重要な年度となると捉えており、初年度の結果を踏まえた戦略の見直し、加速等をしっかり進めていくことで、営業利益は連結合計で120億円を目指してまいります。ドメイン別では、EVSドメインが130億円、DSドメインが48億円、SSドメインが48億円、その他・調整が△106億円となります。また、GP率もさらに連結ベースで1pts以上の改善を目指してまいります。
SMILE145における主要KPIの進捗は以下の通りになります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティに係る重要事項は、当社グループのESG・SDGsに関わる方針の策定や、それに基づく活動を円滑に行うことを目的として設置されたサステナビリティ委員会で議論のうえ決議され、取締役会に報告されます。取締役会はサステナビリティ委員会の監督機能を担っており、定期的にサステナビリティに係る重要事項について議論を行います。
また、役員業績連動報酬の業績評価指標(KPI)に「非財務(ESG)評価」としてCO2排出量削減率を組み入れています。
1) 推進体制

2) 各役割
(取締役会)
サステナビリティ委員会からの決議内容について年1回以上報告を受け、課題への取り組みや進捗状況の監督機能を担います。また、定期的にサステナビリティに係る重要事項について議論を行います。
(代表取締役社長)
代表取締役社長は、サステナビリティ委員会の委員長を担い、気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsに関わる方針の策定や、それに基づく活動全般に関する経営判断の最終責任を負っています。
(サステナビリティ委員会)
代表取締役社長を委員長とし、ESG・SDGs担当役員をはじめとした常勤役員、グループ各社代表取締役がメンバーとなり構成されています。気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項につき、原則年2回の定例会、必要に応じて開催される臨時委員会で議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。サステナビリティ委員会で決議された内容に基づき、担当役員が中心となって活動を進めています。
3) 取締役会・委員会開催実績
気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項については、原則年2回、サステナビリティ委員会において議論のうえ決議を行い、取締役会に年1回以上報告を行うこととなっています。当社グループでは2021年9月にサステナビリティ委員会を設置し、以降、活発に議論・決議を行い、取締役会に報告しております。
4) 役員業績連動報酬
役員業績連動報酬については、
当社グループでは、次の4つのステップを経て、マテリアリティ特定を行いました。
■STEP1 社会課題の把握・抽出
社会課題についてGRIスタンダード、SDGs、ISO26000等を中心に、当社に関連する社会課題を抽出、絞り込みを行いました。
■STEP2 マテリアリティ候補の抽出
当社グループ各社から選出されたメンバーで、社会課題解決について議論、取組み施策を検討、リスト化を行いました。
■STEP3 抽出された候補の重要度評価
当社に解決を期待するマテリアリティについてステークホルダーに対してアンケート調査を実施しました。
■STEP4 マテリアリティの特定
外部ステークホルダーの意見に基づき、再検討、見直しを行いました。企業理念、パーパス、長期ビジョンとの整合性を図り、最終的に取締役会で決議を行いました。
当社グループでは、グループの事業に重大な影響を与えるリスクを一元的に管理すべく、代表取締役社長を委員長とするセイコーグループリスクマネジメント委員会(以下「当社リスクマネジメント委員会」)が中心となり、リスクへの対応に取り組んでいます。グループ横断で対処すべき重要リスクを「グループ重要リスク」と定義し、毎年、当社リスクマネジメント委員会が、その発生可能性や影響度等から重要度を評価し選定を行っています。
グループ重要リスクについては、当社リスクマネジメント委員会が、当社およびグループ各社のリスクオーナーより、対応策やその進捗の報告を受け、リスク対応をモニタリングし、取締役会へ報告します。加えて、当社常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成するグループリスクマネジメント委員会と、グループ全体のリスクを確認・共有する体制としています。
気候関連リスクについては、より詳細な分析を行うため、サステナビリティ委員会がシナリオ分析を通じて、グループ各社の気候関連リスクの中から特にインパクトが大きいリスクを特定・評価し、決議を行い、グループ各社とリスクへの対応策を推進しています。決議内容については取締役会に報告する体制となっています。
なお、気候関連リスクはグループ重要リスクに含まれており、その気候関連リスクについては、サステナビリティ委員会で決議された対応策やその進捗を、担当役員を通じて当社リスクマネジメント委員会に報告しています。
グループリスクマネジメント推進体制

上記の各委員会の役割は以下の通りです。
■セイコーグループリスクマネジメント委員会
代表取締役社長を委員長とし、グループ横断で対処すべきリスクへの対応に取り組んでいます。また、当社およびグループ各社のリスクオーナーより報告を受け、各社のリスクマネジメントの推進を支援しています。
■グループリスクマネジメント委員会
常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成され、グループ全体のリスクの確認・共有、グループ重要リスクのリスク対応のモニタリング・情報共有を行っています。
■グループ各社リスクマネジメント委員会
グループ各社は、各社リスクマネジメント委員会を中心に、自律的にリスクマネジメントを推進しています。
■サステナビリティ委員会
気候関連リスクを含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項につき、議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。グループ重要リスクに選定された気候関連リスクについては、担当役員を通じて対策やその進捗をセイコーグループリスクマネジメント委員会に報告します。
1) サステナビリティ方針
セイコーグループは、グループパーパスを原点に、”WITH”(W:well being より良い人生を / I:inclusion すべての人に / T:trust 確かな信頼で / H:harmony 地球との調和)を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献します。
2) マテリアリティ
3) 気候変動・脱炭素への取り組み
セイコーグループは2021年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。
「気候変動・脱炭素への取り組み」をマテリアリティの一つに位置付け、取り組みを進めています。
今後も、TCFD提言に基づく情報開示(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に努めていきます。
① シナリオ分析プロセス
気候関連リスク・機会が当社グループに与える財務影響および事業インパクトを異なるシナリオ下で評価し、当社グループのレジリエンスを高めることを目的として、下記のステップに沿ってシナリオ分析を実施しています。
(参照シナリオ)
(シナリオ分析ステップ)
② 気候関連リスク・機会に伴う事業インパクトおよび当社グループの対応
2021年度は主たる事業分野についてシナリオ分析を実施しましたが、2022年度は対象範囲を全事業に広げ分析を行いました。
(気候関連リスク)
(気候関連機会)
※1 事業インパクト大:利益影響10億円以上、あるいは、事業の撤退、または数ヶ月以上の事業中断等、事業に対し極めて重大な影響をもたらす。
事業インパクト中:利益影響1億円以上10億円未満、あるいは、事業計画への影響、事業の縮小、または1週間~1ヶ月程度の事業中断等、事業に対し重大な影響をもたらす。
事業インパクト小:利益影響1億円未満、あるいは、事業計画への影響・事業中断はほとんどなく、事業に対し影響をもたらすが軽微である。
※2 2030年GHG排出量(Scope1, 2)を成長予測及び削減計画に基づき算出し、2℃未満・4℃シナリオ毎のIEA予測炭素価格を掛けて算出。為替レート1$=135JPY
4) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針と取り組みは、次のとおりであります。
<人材の育成に関する方針>
DX人材、事業家人材の育成をコア戦略とし、変革・改革の精神を持ち、挑戦し続けることができる人材を育成していきます。
<社内環境整備に関する方針>
多様な社員が働きがいをもって活き活きと働くための環境整備や制度設計を推進していきます。
<人材の育成及び社内環境整備に関する取り組み>
人的資本に関しては、「人材の育成」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「エンゲージメント向上」の3点において、各施策を実施します。
2026年のありたい姿であるソリューションカンパニーになるためには「人材の育成」が必要であり、パーパスにある「革新へのあくなき挑戦」を実現し、その意識を従業員に浸透させるためには「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」、「エンゲージメント向上」が必要であると考えております。
各施策の対象範囲は、当社及び国内直接子会社8社(セイコーウオッチ(株)、セイコーインスツル(株)、セイコーソリューションズ(株)、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光、セイコーNPC(株)、セイコーフューチャークリエーション(株)、ヒューマンキャピタル(株))になります。
① 人材の育成
当社の「グループコア戦略」には「DX戦略」が掲げられており、DX人材の育成は喫緊の課題であると捉えております。
また、第7次中期経営計画の振り返りを踏まえた課題として「DXによるビジネスモデルの変革」「新規事業の創出」が挙げられ、それらに対応できる経営者視点を持った人材の育成についても課題であると捉えております。
以上から当社の第8次中期経営計画における人材戦略においてはDX人材と事業家人材を重点人材領域として定め、各施策を推進してまいります。
以下5点の施策を実施することで、経営戦略上の課題に対応できる人材を育成します。
1.DX人材の育成
DXビジネスの素養をもった人材をコア人材とし、自社ビジネスに活用可能な企画の立案、施策の実行ができる人材を育成します。
2022年に全社員義務教育と位置づけた社内研修制度を立ち上げ、国内のグループ会社の全従業員を対象にDX基礎研修を実施しました。自分たちの業務・ビジネスに対してDXをいかに実践するかを考え、事業の競争力・付加価値向上に結びつけることができる人材の育成を目指し、今後もより実践的な研修を実施していく予定です。
2.事業家人材の育成
「新たな事業機会の発掘」と「既存の事業の深掘り」を牽引する経営者視点をもったリーダーを育成します。
3.キャリア自律支援
キャリア面談の充実とキャリア相談窓口の開設により、キャリアの自律を支援します。
4.部下育成研修の強化
マネジメント力向上、コミュニケーション強化などの部下育成研修を強化します。
5.人材と組織が自ら成長するための環境整備と施策の実行
個人目標と組織目標の連動、若年層の早期昇格の仕組づくり、語学・階層別研修等、人材と組織が成長するための環境整備と施策を実行します。
※上記3~5の施策は、当社および国内直接子会社8社ごとに実施している項目が異なります。
② ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社のパーパスにある「革新へのあくなき挑戦」を実現するためには組織の多様性が不可欠です。組織の多様性を実現することで当社グループの価値観に柔軟性を与え、様々なイノベーションを創出します。
以下6点の施策を実施することで、組織の多様性を推進します。
1.男性の育児休業取得の促進
2022年10月1日付の育児介護休業法改正に伴い、男性従業員(正社員)の出生時育児休業(子どもの生後8週間のうち最大4週間)を導入し、法定を上回る100%有給としました。
また、女性と比較して低い水準となっている男性の育児休業取得を後押しするため、グループ社員に向けたトップからのメッセージ発信、男性の育休取得促進をテーマにしたセミナーの開催など、制度取得者だけではなく、職場の上司や同僚の理解を促進するための施策にもグループ全体で積極的に取り組んでいます。
2.女性従業員の産前・産後休暇制度の充実化
従前より当社および一部の子会社では100%有給化されていた女性従業員(正社員)の産前・産後休暇について、適用範囲を国内直接子会社8社に拡大し、制度の充実化を図りました。
3.女性活躍推進
女性の活躍推進に関しては、2013年度から継続して研修・講演会の開催やグループ内専用サイトを通じた情報発信、各種制度の導入などの環境整備に取り組んできました。
当社グループの管理職数※に占める女性の割合を20.0%(2027年4月)に高めることを目標に掲げ、引き続き女性の活躍推進に努めてまいります。
※当社及び国内直接子会社8社に加え、セイコーウオッチ(株)の国内子会社4社、セイコーインスツル(株)の国内子会社1社、セイコーソリューションズ(株)の国内子会社6社の管理職数の合計
4.キャリア採用
世代・職種・役職の偏りを補充し、組織を活性化させるため、当社グループの社員に占めるキャリア採用者の割合を高めることを目標に掲げ、外部からのキャリア採用を積極的に推進してまいります。
外部からの人材が活躍し、新しいことにチャレンジできるよう、組織文化の変革や、人材が定着するための環境整備にも努めてまいります。
5.障がい者雇用の促進
ダイバーシティへの対応の一環として、障がい者雇用も積極的に進めています。当社グループは、特例子会社制度によるグループ適用の認定を受け、2023年6月1日現在の障がい者雇用率※は2.43%と、法定雇用率(2.3%)を上回っております。
※特例子会社制度によるグループ適用の認定を受けた、当社及びセイコーウオッチ(株)とその国内子会社2社、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光、ヒューマンキャピタル(株)、(株)あおばウオッチサービス(特例子会社)
6.シニア人材の活性化
定年年齢延長や高齢者雇用の処遇改善※により、シニア人材が後進の育成や業務の改善になど、貢献できる活き活きと働くことができる環境を整備しています。
※セイコーソリューションズ(株)を除きます
③ エンゲージメント向上
当社のパーパスを実現するためには、自由な発想、迅速な意思決定、スピーディーな行動を後押しする組織、文化を作らなければなりません。
上記のような組織、文化の実現に向け、社員の働きがいや満足度向上のための環境整備を行います。また、社員一人ひとりがパーパスと業務とのつながりを再認識できる施策の実行に取り組み、個人の成長を促します。
パーパスの浸透及びエンゲージメントの向上を目的とし、以下3点の施策を行っております。
1.パーパス浸透への取り組み(表彰制度)
社員一人ひとりがパーパスと業務とのつながりを再認識し、パーパスへの共感を深め、グループ全体でパーパスを実現するために様々な活動を推進します。
2021年からグループパーパスのキーワードである「信頼・感動・笑顔」や「革新・挑戦」の観点からグループの価値創出に特に大きく貢献した活動を表彰する制度「パーパス賞※」を導入しています。
2022年度下期からは、チャレンジを後押しし失敗を価値に変える企業文化の醸成に向けて、高い目標に挑戦し将来の成長につながる学びを得た活動を表彰する賞として「ビッグチャレンジ賞※」を新たに設けました。
※「パーパス賞」および「ビッグチャレンジ賞」は、ヒューマンキャピタル(株)を除きます
2.エンゲージメント向上に向けた取り組みの強化
2022年度よりエンゲージメント調査を実施しています。調査結果に基づく課題の優先順位を明確化し、アクションプランを実行する体制を構築しています。
3.健康経営の推進
全員活躍推進の取組みに健康経営の視点も加えた「健康経営宣言」を発信するとともに、グループ横断の「健康経営推進体制」を構築し、社員の健康維持・増進への取組みを進めています。また、2020年より3年連続で当社は健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けています。その他当社グループの3社(セイコーウオッチ(株)、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光)が大規模法人部門、2社(セイコーNPC(株)、ヒューマンキャピタル(株))は中小規模法人部門の認定を受けています。
1) 気候変動・脱炭素に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループは、2021年12月、温室効果ガス排出量削減の長期目標を設定しました。今後は、SBT(Science Based Targets)を踏まえた下記目標に則り、さらなる温室効果ガスの排出量削減に努めていきます。
① 温室効果ガス排出量削減の長期目標
温室効果ガス排出量削減目標 *1
2030年 Scope1、2 2020年比で42%削減
Scope3 2020年比で25%削減
2050年にカーボンニュートラル実現を目指す。
主な方策
・製造プロセスの見直し/改善
・高効率設備の導入/更新
・再生可能エネルギー導入の拡大
・環境配慮型(エネルギー効率の向上等)の製品・サービス・ソリューションの提供
・エネルギー関連の技術開発
・サプライヤー及び顧客との協働
*1:SBTi (Science Based Targets initiative) が運営・推進する、科学的根拠に基づく温室効果ガス排出量の削減目標である SBT (Science Based Targets) の「1.5℃水準」を踏まえています
② 脱炭素移行計画(Scope1,2)
当社グループは、2023年3月、温室効果ガス排出量削減の長期目標に沿って2050年にカーボンニュートラル実現を目指す、脱炭素に向けたロードマップを策定しました。既存設備の省エネ設備への更新、生産性向上、革新的な製造方法や装置の調査・要素開発・導入による省エネを継続してすすめ、再エネ導入については、設備導入から優先して行い、国内拠点の再エネ電力への切り替え、海外拠点の再エネ電力への切り替えを順次行ってまいります。使用する燃料も化石燃料から脱炭素・低炭素なものに切り替えを図り、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指します。

③ Scope1,2 CO2排出量(t-CO2)実績 2018年度~2022年度
温室効果ガス削減の取り組みは、2022年度も設備の効率的な運用などの継続的な取り組みの他、より省エネとなる設備への更新や照明器具のLED化などに努めました。また、国内外の複数の事業会社、拠点にて再生可能エネルギーの導入を進めた結果、全使用電力における再生可能エネルギー比率は約15%となりました。
長期目標達成のためには、2020年比で毎年4.2%の削減が必要ですが、2022年度の温室効果ガス排出量(Scope1,2)は約9.7万トンとなり、2020年比11.6%の削減を実現しました。

スコープ1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)
スコープ2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出
※端数処理の関係でCO2排出量と内訳の合計値はあわない場合があります。
注1:排出係数について
電気:日本国内は、地球温暖化対策の推進に関する法律で定める電気事業者別排出係数の調整後排出係数を使用。
海外はIEA (International Energy Agency) の各国の排出係数を使用。
燃料:日本国内、海外ともに地球温暖化対策の推進に関する法律で定める燃料種別の発熱量、燃料の使用に関する排出係数を使用。ただし、供給事業所からの発熱量等の情報提供がある場合は、それを使用。
冷温水:供給事業者提供の排出係数を使用。
注2:2020年度から、テナント、店舗、倉庫などを集計対象に追加。社用車も含むが、委託によるエネルギー使用は含まない。
注3:使用量が特定できない店舗、倉庫などは床面積から電力量を推定。
④ Scope3 CO2排出量(t-CO2)実績 2021年度

2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループでは、人材戦略に関する指標を設定しております。当該指標に関する内容、並びに目標及び実績は、次のとおりであります。
重要なリスクへの取組み
当社では、グループ各社の経営に甚大な損失をもたらすおそれのあるリスクを「重要リスク」と定義し、毎年グループ各社のリスクマネジメント委員会が選定、リスク責任部署が中心となってリスク対応を行っております。また、グループ横断で対処すべき重要リスクを「グループ重要リスク」と定義し、当社を中心にグループでリスク対応を行っております。リスクマネジメント委員会及びグループリスクマネジメント委員会においてリスク対応をモニタリング・情報共有するほか、グループ各社のリスクマネジメント担当者をメンバーとするグループリスクマネジメント連絡会ではグループ各社間の連携・協働等を通じ、各社重要リスクの対策の推進支援を行っています。
事業等のリスク リスクマップ
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の事項があります。また、当社グループでは短期的に経営成績等に重要な影響を与えるリスクに加えて、中期的なリスクとしてのブランド毀損リスクおよび従業員等の安全・健康に影響を与えるリスクを重要リスクとして位置付けております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、ウオッチ・クロックやデジタル商品・自動車向けの電子部品、高級宝飾・服飾・雑貨品など、一部、個人消費に直接関わる商製品を取り扱っております。このため連結業績は、最終的には国内外の景気動向、中でも個人消費の動向に強い影響を受けます。特にウオッチ及びクロックは世界130以上の国及び地域で販売されており、常に何らかの影響を受ける可能性は高い一方、同時にリスクの分散もされております。
ウオッチ事業の特定取引先への調達依存度が高く、エモーショナルバリューソリューション(EVS)事業の業績は同取引先との取引条件等の変更によって大きな影響を受ける可能性があります。
DS事業の業績は、国内外の電子デバイス機器等の需要動向に影響を受けています。また同事業分野は、新技術の開発及びそれらの量産化の速度が速く、価格競争も激しいため、それらの市場環境の変化への対応の遅れが業績に大きな影響を与える可能性があります。第8次中期経営計画「SMILE145」の主要戦略である「感動をもたらす高付加価値・高収益な製品・サービス」へのシフトを推進することで、事業のサスティナビリティを高めてまいります。
EVS事業及びDS事業は、シンガポール・マレーシア・タイ・中国に製造拠点を有しており、これら地域における政治・経済等による社会情勢変動が、同事業の生産活動に大きな影響を与える可能性があります。しかしながらそれぞれの製造ラインは概ね日本を含めた複数の地域で稼働させており、リスクによる影響を低減させる取組みを行っております。
(5) 主要顧客への依存
DS事業の一部においては、主要顧客への売上依存が高い傾向にあり、これら顧客からの発注量の減少が、同事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。一主要顧客への依存を低減させるために、新規顧客の開拓を含め事業拡大に向けた活動を進めております。
原油・電力などのエネルギーや原材料となる資材等が需給環境の変化に伴い不足・高騰した場合、製造活動に影響が生じる、あるいは製造コストが上昇し業績に影響を与える可能性があります。一部の原材料については、市場価格を見極めつつ、短期的な変動の影響を避けるため、必要に応じて在庫の保有レベルを高く設定しております。
当社グループが製造販売する製品には、通常の使用において身体に影響を与える事故を発生させるものはありません。しかしながら製品事故に関する法的規制の強まりなど社会環境の変化あるいは事業環境の変化などにより、製品リコールや賠償責任など品質問題や製造物責任に関するコストが増加する可能性があります。製品にかかわる品質問題はブランドイメージ毀損リスクに繋がる可能性が高いため、当社グループでは当リスクを最も重要なリスクの一つとして取扱っており、品質問題の発生を防ぐためにすべての製造拠点等において幅広い取組みを行っております。
当社グループでは重要な独自開発技術の保護のため、特許権の取得や機密情報の保護などの措置を講じていますが、地域によっては十分な保護が実現しない可能性があります。更にそのような措置を講じた場合でも、第三者による当社グループ類似製品を効果的に排除することができず、当社グループ製品の優位性が損なわれる可能性があります。また、当社グループは新製品の開発に際して他社の知的財産権を侵害しないよう特許調査等の対策を講じていますが、あらゆる侵害の可能性を排除することは困難であり、他社の知的財産権を侵害した場合には、差止め請求もしくは損害賠償請求などにより業績に影響を受ける可能性があります。知的財産権を侵害した場合も、侵害された場合においても、ブランドイメージを毀損するリスクが高いことから、両ケースを防ぐための調査活動等を幅広く進めています。
当社グループは、主としてEVS事業及びDS事業が海外市場向けに事業を展開しております。その一部は、国内外の製造拠点からその他の国の市場向けに販売しており、為替の変動が、製品の価格等に影響を与える可能性があります。また、主として国内市場向け事業展開を行っているシステムソリューション事業等において、海外製造拠点からの調達を外貨で行っている部分については、為替の変動が調達コストに影響を与える可能性があります。さらに、在外子会社の損益及び資産等現地通貨建項目のすべては、連結財務諸表作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、現地通貨の円貨換算価値が影響を受ける可能性があります。特に、米ドル及びユーロ等に対する円相場等の変動は、在外子会社における純資産の部の換算に係る為替換算調整も含め、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現在、当社グループと金融機関との関係は良好であり、海外も含めた事業展開上で必要とする資金は問題なく調達できております。しかしながら将来もひきつづき充分に調達可能であるという保証はありません。また、市場の金利水準が低い傾向にあるため、既存の長期借入金の金利につきましては、その60%超を固定化済みであります。大きな金利変動リスクはありませんが、将来の調達に関しては、金利動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業上の理由により投資有価証券を保有しております。また、一部の旧工場跡地等の遊休不動産を保有しております。これらの投資有価証券や不動産の時価が大きく変動した場合は、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12) 環境問題について
当社グループは、気候変動対策、資源保全、大気・水質汚染、化学物質の使用、廃棄物処理、リサイクル、製品含有化学物質および土壌・地下水汚染等を規制する様々な環境法令の適用を受けながら事業活動を展開しております。そのような中、環境保全活動を経営課題の一つとして、法規への対応はもとより、さらに厳しい自主的目標を掲げるなど、様々な環境保全活動等を進めております。しかし、将来において規制強化への対応費用の増大、環境問題の発生から損害賠償や対策費用を負担する可能性、さらにこれらの課題に対する社会的期待が高まる中、取り組みが遅れることで競争力を失う可能性があります。また、当社グループやサプライヤーにおいて適切な対応が取れていない場合、ブランドイメージ毀損リスクに繋がる可能性があります。
当社グループは、事業上入手した個人情報や機密情報等の保護・管理について、社内規定の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止を行なっておりますが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下や対応のための多額な費用負担により、連結業績に影響をおよぼす可能性があります。予期せぬ情報の流出が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクも高く、重要なリスクの一つとして防止策の徹底を図っております。
地震・台風等の自然災害やウイルス等の感染症の流行により、当社グループの国内外製造拠点及び諸施設または国内外の地域経済全般が被害あるいは規制等を受けた場合、製造の中断、営業・物流・調達機能の停滞等が発生し業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループは、自然災害および感染症の発生時には、当社の業務に従事する方々の安全確保を第一に考えた行動計画を策定しております。また、新型コロナウイルス感染症は現在収束に向かいつつありますが、状況が再び悪化に転じることがあれば、上記のように当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
すべての事業に従事する社員等に向けた各国における法令遵守等のための社内教育を充実させておりますが、何らかの問題が発生するリスクは皆無とは言えません。コンプライアンス違反等が発生した場合にはブランドイメージの毀損リスクへ繋がる可能性も高いため、すべてのグループ内法人において法令遵守等についての教育活動を進めるとともにブランドイメージの重要性の浸透も引き続き行ってまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、前期からの世界同時的な景気回復等から生じた物価上昇に加え、ウクライナ情勢の影響を受けた国際商品市況の高騰や各国での金融引き締めの進展等を背景に世界の多くの市場でインフレ懸念からの景気減速感が鮮明になりました。また、中国ではゼロコロナ政策によるロックダウンにともなうサプライチェーンの混乱等が生じましたが、期中でゼロコロナ政策は撤廃され、その後は回復傾向に向かっています。一方、わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されたことによる個人消費の回復が顕著となり、世界景気の悪化や物価高等を背景とした停滞感はあるものの、インバウンド需要の戻りも期待され緩やかな回復傾向となっています。
このような中、当社は、当期を初年度とする5か年計画である第8次中期経営計画「SEIKO Milestone 145 = SMILE145」をスタートさせ、新たに定めた3つの戦略ドメインである「エモーショナルバリューソリューション事業(EVS事業)」、「デバイスソリューション事業(DS事業)」、「システムソリューション事業(SS事業)」を中心に事業展開を進めました。
EVS事業では、国内市場向けのウオッチ事業、和光事業が個人消費の改善を背景に大きく回復し、ウオッチ事業の海外市場向けも多くの国や地域で売上高を伸ばすことができました。DS事業は、前半は引き続き好調な需要を確実に捉えることで売上高を伸ばしましたが、第3四半期から大きく市況が悪化したことにともない、民生品向けデバイス等を中心に売上高が急減速いたしました。SS事業は多角化やストックビジネス拡大への取組みが奏功して、前年度を上回る売上高となりました。その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、2,605億円(前年度比9.7%増)となりました。
連結全体の国内売上高は1,326億円(同6.6%増)、海外売上高は1,278億円(同13.2%増)となり、海外売上高割合は49.1%でした。
当連結会計年度の広告宣伝販促費は前年度に対して約15%増加いたしました。労務費やその他の販売費および一般管理費も前年度から増加しましたが、売上高が伸びたことなどにより営業利益は前年度から24億円改善し112億円(同28.1%増)となりました。営業外収支は概ねイーブンとなり、経常利益は前年度を12億円上回る111億円(同12.4%増)となりました。固定資産売却益が特別利益として2億円発生した一方、投資有価証券売却損等による特別損失17億円が発生し、また法人税等調整額が前年度より12億円増加したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は50億円(同21.6%減)となりました。
なお、当連結会計年度の平均為替レートは1米ドル135.5円、1ユーロ141.0円でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社はグループ10年ビジョンの実現に向け、提供するソリューションを基準とした3つの戦略ドメイン(エモーショナルバリューソリューションドメイン、デバイスソリューションドメイン、システムソリューションドメイン)を設定し、第8次中期経営計画「SMILE145」においてもドメインごとの戦略を策定し、推進しております。これにともない、報告セグメントを従来の「ウオッチ事業」、「電子デバイス事業」、「システムソリューション事業」から3つの戦略ドメインである「エモーショナルバリューソリューション事業」、「デバイスソリューション事業」、「システムソリューション事業」へ変更しております。従来のウオッチ事業および電子デバイス事業に含めていた一部事業ならびにタイムクリエーション・和光事業他に含めていたタイムクリエーション事業・和光事業をエモーショナルバリューソリューション事業といたしました。デバイスソリューション事業は、従来の電子デバイス事業からエモーショナルバリューソリューション事業に変更した一部事業以外となります。システムソリューション事業は従来から変更はありません。
EVS事業の売上高は前年度比199億円増加の1,707億円(前年度比13.2%増)となりました。
国内の完成品ウオッチは個人消費の回復により「グランドセイコー」、「セイコー プロスペックス」を中心に前年度から大きく売上高を伸ばしました。また海外でも、米国で「グランドセイコー」をはじめとしたグローバルブランドが牽引し大幅な売上高増となり、欧州でも全般的に「グランドセイコー」が好調に推移し、英国、フランス、ドイツ等で大きく売上高を伸ばしました。一方、中国ではロックダウンやその後の個人消費の低迷の影響を受けて売上高を落としました。
ウオッチムーブメントの外販ビジネスにつきましては、円安の影響もあり売上高は増加しました。
和光事業の売上高は国内高額品市場の回復にともない前年度と比べ大きく伸びましたが、国内市場向けクロック、設備時計の売上高は伸び悩みました。
売上高の増加、円安の進行等により営業利益は前年度から32億円増加し115億円(同39.6%増)となりました。
DS事業は売上高645億円(前年度比5.7%増)、営業利益50億円(同10.3%減)となりました。
第3四半期以降、民生品向けあるいは汎用品向けデバイスの受注に減速傾向が見られはじめたものの、医療向け電池、半導体製造装置向け高機能金属等が引き続き好調に推移しましたが、生産調整とエネルギーコストの高騰等により増収減益に留まりました。
SS事業の売上高は前年度比22億円増加の366億円(前年度比6.4%増)、営業利益は前年度比4億円増加の43億円(同10.7%増)となりました。
外食産業向けなどにコロナ禍からの回復傾向が見られた他、性能管理・セキュリティ関連ビジネスなどデジタルインフラを支える事業が年間を通して順調に推移し、またシステム関連、決済関連も伸長した結果、28四半期連続で対前年同四半期比増収増益となりました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は3,559億円となり、前連結会計年度末に比べて、為替による影響も含め283億円の増加となりました。流動資産では、現金及び預金が55億円、棚卸資産が107億円増加したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末より186億円増加し1,734億円となりました。固定資産では、有形固定資産が60億円、無形固定資産が6億円、投資その他の資産が30億円増加したことから、固定資産合計は前連結会計年度末と比べ97億円増加の1,825億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が88億円、長期借入金が71億円増加したことで借入金合計は1,322億円となりました。その他、支払手形及び買掛金が22億円減少したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比べ、為替による影響も含め182億円増加の2,241億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、株主資本が24億円増加し、また、為替換算調整勘定が55億円増加したことなどから、合計でも前連結会計年度末と比べ101億円増加の1,317億円となりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は362億円となり、前連結会計年度末と比べて54億円の増加となりました。また、営業活動および投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは△62億円となりました。
これは主に以下の要因によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が96億円となり、減価償却費123億円を加え、棚卸資産の増減額△82億円、仕入債務の増減額△33億円等の調整を行った結果、92億円のプラス(前年度は203億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△121億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△14億円等を計上した結果、155億円のマイナス(前年度は93億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入がネットで152億円、リース債務の返済による支出△18億円、配当金の支払額△25億円等があり105億円のプラス(前年度は139億円のマイナス)となりました。
当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要、設備投資や研究開発費、ブランディング費用などの成長及び企業価値向上を目的とした投資需要であり、資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、有利子負債による資金調達であります。
資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は362億円であり、将来の資金需要に対し適正な水準を確保していると認識しております。また、当社および国内の事業会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を図っております。さらに、様々な不測の事態においても機動的かつ安定的に経常運転資金を確保するため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、製造原価によって算出しております。
2.連結消去後の金額で記載しております。
3.前期比は、変更後のセグメントの区分で比較しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.連結消去後の金額で記載しております。
2.前期比は、変更後のセグメントの区分で比較しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.連結消去後の金額で記載しております。
2.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。
3. 前期比は、変更後のセグメントの区分で比較しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
当社グループは、繊細な技とノウハウで新たな価値を創る「匠」、精密加工や高密度実装技術で小型化を実現する「小」、材料やエネルギーなど様々な資源を効率的に活用する「省」、このような「匠・小・省」の技術開発を行ってきました。そして、サスティナブルな社会と事業の成長を実現させるために、永年培ってきた「匠・小・省」と「デジタル」を融合し、技術をさらに進化させ、新たな価値を創造していきます。
主な研究開発活動は次のとおりであります。
ウオッチ製造のルーツとして培ってきた「匠・小・省」の技術を極め、小型精密設計・加工技術をさらに深化させ、医療向け電池や超小型水晶等の長期的成長市場に向けた製品開発を推進しています。
エモーショナルバリューソリューション事業のうち、ウオッチ事業においては、高付加価値商品の創出と新要素技術の開発を目指し、高級ムーブメントの開発をはじめとして、ムーブメントや外装の素材、デザイン等にいたるまで幅広く開発を行っています。さらにその製造技術の育成や加工工程の最適化に向けた技術開発も行っております。タイムクリエーション事業においては、クロックのムーブメントおよび完成品の開発、設計に研究開発投資を行っています。
システムソリューション事業においては、次世代システム等のための高精度時刻同期に関する技術開発や金融向けプラットフォーム構築・サービス拡充のための技術開発を行っております。