(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間における国内経済は、緩やかな回復基調にあるものの個人消費は力強さを欠く状況が続いており、弱い伸びに留まりました。また、米国経済は労働市場の回復が続いていますが、政策運営に対する不透明感が強く、低調な市況環境で推移しました。一方、欧州経済は英国のEU離脱決定など不安定さを抱えながらも、堅調な景気回復が継続しました。アジア経済は、景気の減速傾向が続いていましたが、中国をはじめとして持ち直しの動きも見られました。
このような状況の中、当第1四半期の連結経営成績は、時計市場全体の需要低迷の影響とデバイス事業の競争激化等により、売上高は726億円(前年同期比5.2%減)、営業利益は38億円(前年同期比17.0%減)と、減収減益となりました。一方、経常利益は主に前年同期に計上した為替差損がなくなったこと等により45億円(前年同期比64.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益も26億円(前年同期比14.7%増)と、それぞれ増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 時計事業
ウオッチ販売の内、“CITIZEN”ブランドの国内市場は、東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」に世界初のシチズンウオッチグループ フラッグシップストアをオープンした他、男性向け主要ブランド「ATTESA」の30周年モデルや3年目となるLIGHT IN BLACKキャンペーンがGPS衛星電波時計の市場シェア拡大につながる等、新製品が好調に推移しましたが、国内の時計市場全体における需要低迷の影響を受け、減収となりました。
海外市場においては、市況の緩やかな改善を背景に一部地域では業績を拡大させることが出来ましたが、時計需要は全般的に弱含みで推移し、海外市場全体で減収となりました。北米市場は、足元では多少復調の兆しが見られるものの、流通大手の店舗整理に伴う販売への影響を払拭するには至りませんでした。欧州市場は、相次ぐテロやインフレ傾向の強まりを受けて個人消費が伸び悩んだ英国や、景気低迷が長引くイタリア等の影響を受けて、販売は伸び悩みました。アジア市場は、市況の改善が進む一部地域を除き時計需要に勢いがなく、販売は伸び悩みました。一方、中国では政府の財政政策もあり、市況の回復が継続し、販売が拡大しました。
“BULOVA”ブランドは、一部流通では改善の兆しが見られたものの、全体的に弱含む時計需要、流通大手の店舗整理の影響を受けて減収となりました。
“Q&Q”ブランドは、一部地域で回復の兆しが見られましたが、全体的に需要が伸び悩み、減収となりました。
“Frederique Constant”ブランドは、欧州、中東地域を中心に堅調に推移しました。
ムーブメント販売は、売上は前年を下回ったものの、高付加価値商品の需要増加による製品ミックスの改善等により、収益性が高まりました。
営業利益については、売上は減少したものの固定費の削減を進めたこと等により増益となりました。
以上の結果、時計事業全体では、売上高は363億円(前年同期比2.4%減)、営業利益は26億円(前年同期比16.5%増)と、減収増益となりました。
② 工作機械事業
国内市場は、自動車関連及び半導体製造装置関連を中心に幅広い業種で販売が堅調に推移した結果、増収となりました。
米州市場は、主要業種全般で底堅い動きが見られたものの、政策動向に対する様子見から設備投資に慎重な姿勢が継続し、減収となりました。
欧州市場は、主要地域であるドイツやイタリアが自動車関連を中心に堅調に推移し、増収となりました。
アジア市場は、中国に底打ち感が見られるも、東アジア向けの大口受注があった前年同期の販売を上回るまでには至らず、減収となりました。
営業利益においては、前年同期との販売製品構成の違いにより、減益となりました。
以上の結果、工作機械事業全体では、売上高は132億円(前年同期比2.5%増)、営業利益は16億円(前年同期比16.0%減)と、増収減益となりました。
③ デバイス事業
精密加工部品のうち、自動車部品は、北米市場の減速が鮮明になる中、欧州、中国地域向けを中心に堅調に推移した他、国内向けも新規受注を獲得するなど全体を牽引しました。一方、スイッチは、車載向け等新市場への展開を進める中、スマートフォン向けの売上が大きく落ち込み、精密加工部品全体では減収となりました。
オプトデバイスのうち、チップLEDは、特に照明向けの競争環境が激化する中、アジア地域を中心に売上を伸ばした他、照明以外の用途でも車載、ゲーム向け等が堅調に推移しました。また、バックライトは、車載向け製品の売上が拡大し、オプトデバイス全体で増収となりました。
その他部品については、水晶デバイスがIoT市場の拡大による需要増を受けて堅調に推移した他、強誘電性液晶マイクロディスプレイもカメラ向けの需要が熊本地震の影響から脱したことにより売上を伸ばした結果、その他の部品全体で増収となりました。
営業利益においては、売上の減少と競争環境の激化等により、減益となりました。
以上の結果、デバイス事業全体では、売上高は166億円(前年同期比9.6%減)、営業利益は6億円(前年同期比48.9%減)、と減収減益となりました。
④ 電子機器事業
情報機器は、フォトプリンターが大幅な増収となったものの、POSプリンター及びラベルプリンターは伸び悩んだ他、大型ドットプリンターも昨年の特需の反動により、販売が大きく落ち込んだ結果、情報機器全体では減収となりました。
健康機器は、国内市場において体温計が好調に推移したものの、海外市場において米州、中東向けの販売が大きく落ち込んだ結果、減収となりました。
営業利益においては、売上の減少により、減益となりました。
以上の結果、電子機器事業全体では、売上高は49億円(前年同期比10.7%減)、営業利益は0億円(前年同期比46.8%減)と、減収減益となりました。
⑤ その他の事業
主要事業である宝飾製品は、国内消費マインドに依然回復の兆しは見られず、厳しい販売状況が継続しました。また、球機用機器事業からの撤退に伴う売上減の影響も受け、その他の事業全体で減収となりました。
営業利益においては、減収とはなったものの、安定した利益を確保することが出来ました。
以上の結果、その他の事業全体では、売上高は14億円(前年同期比42.5%減)、営業利益は0億円(前年同期比42.9%増)と、減収増益となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ121億円増加し、4,080億円となりました。資産の内、流動資産は、受取手形及び売掛金が33億円減少した一方で、現金及び預金が89億円、たな卸資産が62億円増加したこと等により、115億円の増加となりました。固定資産につきましては、繰延税金資産が5億円減少した一方で、投資有価証券が19億円増加したこと等により、6億円の増加となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、支払手形及び買掛金が37億円、賞与引当金が29億円、電子記録債務が20億円増加したこと等により89億円増加し、1,556億円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、為替換算調整勘定が18億円、その他有価証券評価差額金が15億円増加したこと等により31億円増加し、2,523億円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
(会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について)
a. 基本方針の内容
当社グループはその名のとおり、世界の市民「CITIZEN」によりよい製品・サービスを提供することを使命とし、“市民に愛され市民に貢献する”という企業理念のもと、「市民に愛され親しまれるモノづくり」を通じて世界の人々の暮らしに貢献することによって、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めてまいりました。当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社グループの企業理念や事業特性を理解したうえで、グループ経営戦略を中長期的視点に立って着実に実行し、当社が今後も持続的に企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくことを可能とする者でなければならないと考えております。
当社は、当社に対して大規模買付行為が行われた場合においても、これに応じるべきか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきであると考えており、大規模買付行為であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、現時点における法制度、金融環境を前提とした場合、その目的・手法等から見て、真摯に合理的な経営を目指すものではなく、会社に回復し難い損害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の株主や取締役会が買付けの条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするものなど、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも想定されます。
当社は、このような大規模買付行為を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと考えており、当社の企業価値・株主共同の利益に反する買付行為を抑止するための枠組みが必要不可欠であると考えております。
b. 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、多数の株主の皆様に、当社の企業価値をご理解いただいたうえで長期的に当社の株式を保有していただくために、様々な施策を実施してまいりました。
例えば、平成25年2月には、平成31年3月期を最終年度とする中期経営計画「シチズングローバルプラン2018」(以下、「本中期経営計画」といいます。)を策定し、平成28年2月に一部見直しを行いました。
本中期経営計画の前期3年間(平成26年3月期~平成28年3月期)では、筋肉質な経営体質の構築を図るため、徹底した構造改革と体質強化を行いました。
後期3年間(平成29年3月期~平成31年3月期)の初年度にあたる前期は、次のような施策を行いました。
・時計事業のマルチブランド戦略の一環として、Frederique Constant Holding SAを買収。
・時計事業を中核としたグループ全体の更なる成長と本社機能の強化を図るため、事業持株会社体制に移行。
・ムーブメント製造ラインの集約を目的に、長野県佐久市にムーブメントの組立工場を新設。
・不採算となっており、今後の回復が見込めない球機用機器事業から撤退。
・流通に対する更なるプレゼンスの向上とシナジーの最大化等を目的に、米国の時計販売子会社Citizen Watch Company of America Inc.とBulova Corporationを合併。
c. 基本方針に照らして不適切な者による支配を防止する取組み
当社は、平成25年5月23日開催の取締役会において、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応方針」について、これを一部変更したうえで更新すること(以下、かかる変更後の方針を「旧方針」といいます。)を決定し、同年6月27日開催の第128期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を受けました。
平成28年6月28日開催の第131期定時株主総会終結の時をもって旧方針の有効期間が満了することから、同年5月26日開催の取締役会において、上記 a.の基本方針を改めて決議するとともに、旧方針を一部変更したうえで更新することにつき、同年6月28日開催の第131期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を受けております(以下、かかる変更後の方針を「本方針」といいます。)。
本方針の内容は以下のとおりであります。
① 対象となる買付
本方針の対象となる買付は、特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為等であります。
② 手続
大規模買付者が、事前に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始することを手続として定めております。
③ 対抗措置の内容
大規模買付者が手続を守らない場合等には、当社取締役会は、独立委員会の勧告に基づいて、その時点のすべての株主の方に対して、新株予約権の無償割当てを行います。新株予約権の無償割当てを行う場合には、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件及び取得条項を設けることがあります。
④ 対抗措置発動の要件
当社は、以下の場合に対抗措置としての新株予約権の無償割当てを行うことがあります。
1) 大規模買付者が手続を守らない場合
2) 真に当社の経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて株式を当社または当社関係者に高値で引き取らせる目的であると判断される場合
3) 当社の経営を一時的に支配し、当社または当社グループ会社の資産等を大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなどの目的があると判断される場合
4) 当社の経営を支配した後、当社または当社グループ会社の資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する目的があると判断される場合
5) 当社の経営を一時的に支配して、資産の売却等によって一時的な高配当をさせ、あるいは一時的な高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けを目的としていると判断される場合
6) 最初の買付で全株式の買付を勧誘せず、二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで公開買付等を行うなど、当社株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要するおそれがある買付行為である場合
⑤ 対抗措置発動までのプロセス
独立委員会は、大規模買付者から大規模買付に関する意向表明書が提出された場合、10営業日以内に、大規模買付者から当初提供していただく情報のリストを交付します。なお、独立委員会が、当初提供していただいた情報だけでは不足していると判断した場合には、十分な情報が揃うまで追加的に情報提供をしていただくこともあります。また、独立委員会は、当社取締役会に対して60日を上限とする回答期間を定めて大規模買付行為に対する意見等を求めることがあります。独立委員会は、大規模買付者からの情報の提供及び当社取締役会による情報の提供が完了した後、60日以内(30日間を上限とする延長が可能です。)に評価、検討、交渉、意見形成を行います。
独立委員会は、これらの情報に基づいて、当社取締役会に対して、対抗措置を発動するか発動しないかの勧告を行い、当社取締役会は、独立委員会の勧告に基づいて、会社法上の機関としての決議を行います。また、独立委員会は、対抗措置の発動について株主総会に付議することが相当である旨の勧告を行う場合があり、この場合、当社取締役会は、株主総会を招集し、対抗措置の発動に関する議案を付議します。
⑥ 本方針の有効期間
本方針の有効期間は、平成28年6月28日開催の第131期定時株主総会終結の時から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとなっております。
d. 上記 b.及び c.の取組みについての取締役会の判断及びその理由
① 基本方針の実現に資する特別な取組みについて
上記 b.の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを直接目的とするものであり、結果として基本方針の実現に資するものです。従って、当該取組みは基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
② 基本方針に照らして不適切な者による支配を防止する取組みについて
当社は、以下の諸点を考慮し、織り込むことにより、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止する取組みが、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
1) 買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること等
本方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を完全に充足するとともに、経済産業省の企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」並びにコーポレートガバナンス・コード原則1-5及び補充原則1-5①を踏まえたものです。
2) 株主意思を重視するものであること
当社は、平成28年6月28日開催の第131期定時株主総会において、本方針について株主の皆様のご承認を得ております。また、本方針には、その有効期間を約3年間とするサンセット条項が付されているほか、当社取締役の任期は1年となっていますので、たとえ本方針の有効期間中であっても、取締役の選任を通じて株主の皆様のご意向を示していただくことが可能です。
3) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示
当社は、取締役の恣意的判断を排除し、本方針の発動及び廃止等の運用に際しての実質的な判断を客観的に行う機関として、独立委員会を設置しております。独立委員会委員は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社の社外役員の中から、当社取締役会が選任します。
当社株式に対して大規模買付等がなされた場合には、独立委員会が、独立委員会規則に従い、当該買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するか否か等について取締役会への勧告を行い、当社取締役会はその判断を最大限尊重して新株予約権無償割当ての実施または不実施等に関する会社法上の機関としての決議を行います。
このように、独立委員会によって、取締役が恣意的に対抗措置の発動を行うことのないよう厳しく監視するとともに、独立委員会の判断の概要については株主の皆様に情報を開示し、当社の企業価値・株主共同の利益に資するべく本方針の透明な運営が行われる仕組みが確保されております。
なお、平成29年6月30日現在の独立委員会委員は、当社社外取締役の小松正明、寺坂史明の両氏と、当社社外監査役の窪木登志子氏であります。
4) 合理的な客観的要件の設定
本方針は、上記 c.④にて記載したとおり、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
5) 第三者専門家の意見の取得
大規模買付者等が出現すると、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(フィナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得ること等ができます。これにより、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとしております。
6) デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本方針は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされており、当社の株券等を大量に買い付けようとする者が、自己の指名する取締役を当社株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本方針を廃止することが可能であります。従って、本方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は、取締役任期を1年とし期差任期制を採用していないため、本方針はスローハンド型(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間がかかる買収防衛策)でもありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,835百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。