文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、2019年2月に、2022年3月期を最終年度とする「シチズングループ中期経営計画2021」(以下「本中期経営計画」という。)を策定しました。
本中期経営計画においてグループ中期経営ビジョン「Innovation for the next ~時を感じ、未来に感動を~」を掲げ、それぞれの事業において、時の変化を捉え従来のものづくりに留まらず、今までにない新たな価値創造に挑戦し、持続可能な未来に感動を創ってまいります。
(2) 経営戦略等
本中期経営計画におけるグループ経営ビジョン実現に向けて、以下の3つの重点施策に取り組んでまいります。
1)時計・工作機械事業の成長促進
時計事業は、グループ経営資源を積極的に投下し、100年間培ってきたマニュファクチュールとしての高い技術力や開発力、確かな品質という土台に加え、更に新たな顧客体験を生み出す“コト”の価値をも提供するようなものづくりを進めてまいります。
工作機械事業は、景気動向に左右されやすいという特性もある事から、市場状況に合わせた投資を継続し、景気変動の渦中にあっても、世界最先端の生産革新ソリューションを創造し「新・モノづくり企業」のポジションを確立することを目指してまいります。
2)サステナブル経営の推進
当社グループは永続的に事業を継続できる企業を目指す為、事業を通じてさまざまな社会課題の解決を図り、2030年を見据えたグローバルな社会課題であるSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献していくことを目指してまいります。
その一つとして、製品の製造プロセスにおいてはSDGsを視野に入れ、「サステナブルファクトリー」というコンセプトを打ち出し、従来からの環境配慮に加えてサプライチェーン全体で、コンプライアンス、人権や労働慣行に配慮したものづくりを進めてまいります。
3)品質コンプライアンスの強化
当社グループは、2017年に発覚したグループ会社での不適切行為を受け、法務、環境、経理、知的財産、情報、人事、事業継続の7つの業務別リスク委員会に品質コンプライアンス委員会を加えた8つの委員会におけるリスクマネジメントが確実に機能するよう、グループリスクマネジメント委員会が管理及び統括を行うことにより、リスクの早期特定及び対応並びに再発防止に取り組んでまいります。
本中期経営計画における事業別の戦略としましては、
1)時計事業
「時を通して新たな価値と体験を創造する」を事業スローガンに掲げ、時計本来の機能や価値を超えた商品や魅力あふれるサービスの提供を目指してまいります。
これまで進めてきたシチズンブランドを核にしたマルチブランド戦略の成果発現に加え、今後成長が見込まれるスマートウォッチや機械式、高級品を中長期的に育成し製品領域の拡大を行ってまいります。また、デジタル技術の活用によるデジタルマーケティングの推進や製造革新によるムーブメント及び完成品のコスト力強化も図ってまいります。
2)工作機械事業
世界最先端の生産革新ソリューションを創造し「新・モノづくり企業」のポジションを確立するために、まずは現状の経営資源を最大限に効率化させる生産革新の実現及び今後期待される新興国市場での拡販や新自動盤の拡販を推進してまいります。また、IoTに対応したソリューション事業の拡充も目指してまいります。
3)デバイス事業及びその他事業
デバイス事業は、変化に応じた差別化製品の提案により、特定領域No.1を確立し、次なる成長事業の創出を目指してまいります。
当社グループの強みである小型金属加工技術を生かした自動車部品事業を中心に、組立・研削技術等の技術的な強みを強固なものとし、多様な車載関連製品を展開するほか、小型化、薄型化、高耐久化が要求されるLEDやスイッチ等、市場環境の変化に対応し、需要が高まる高品質、高付加価値製品の拡大を図ります。
また、その他事業では、当社グループの強みをしっかりと見極め、事業と製品における選択と集中を行い、生産効率の向上や合理化による利益確保を進め、経営の安定化を進めてまいります。
本中期経営計画の達成に向けて、以上の取組み・戦略を推進してまいります。
(会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について)
(1) 基本方針の内容
当社グループはその名のとおり、世界の市民「CITIZEN」によりよい製品・サービスを提供することを使命とし、“市民に愛され市民に貢献する”という企業理念のもと、「市民に愛され親しまれるモノづくり」を通じて世界の人々の暮らしに貢献することによって、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めてまいりました。当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社グループの企業理念や事業特性を理解したうえで、グループ経営戦略を中長期的視点に立って着実に実行し、当社が今後も持続的に企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくことを可能とする者でなければならないと考えております。
当社は、当社に対して大規模買付行為が行われた場合においても、これに応じるべきか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきであると考えており、大規模買付行為であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、現時点における法制度、金融環境を前提とした場合、その目的・手法等から見て、真摯に合理的な経営を目指すものではなく、会社に回復し難い損害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の株主や取締役会が買付けの条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするものなど、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも想定されます。
当社は、このような大規模買付行為を行う者は、例外的に、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと考えており、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、当社の企業価値・株主共同の利益を確保するために、株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報提供を求め、取締役会の意見等を開示し、株主の皆様が検討するための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
(2) 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は、多数の株主の皆様に、当社の企業価値をご理解いただいたうえで長期的に当社の株式を保有していただくために、様々な施策を実施してまいりました。
例えば、2013年2月には、2019年3月期を最終年度とする中期経営計画「シチズングローバルプラン2018」(以下「本中期経営計画」という。)を策定し、2016年2月に一部見直しを行いました。
本中期経営計画の前期3年間(2014年3月期~2016年3月期)では、筋肉質な経営体質の構築を図るため、徹底した構造改革と体質強化を行いました。
本中期経営計画の最終年度となる2019年3月期を新中期経営計画の助走期間と位置付け、次のような施策を行いました。
・創業100周年を記念し、歴代の腕時計の振返りと、新しい100年に向けた「はじまりの時」を演出するイベント「CITIZEN 100th Anniversary Touch & Try Event」を全国5都市で開催。
・ハイブリッドスマートウオッチ市場を世界規模で拡大すべく、Fossil Group, Inc.との間で業務提携契約を締結。
・時計事業の中核となる製造会社として更なる体質強化を目的に、シチズン時計マニュファクチャリング株式会社とその子会社5社の統合を決定。
・工作機械需要の拡大が見込まれるインド市場でのCNC自動旋盤の販売を強化するため、バンガロールテックセンターの拡張に加え、新たに首都ニューデリーにオフィスの開設を決定。
・当社グループ外の企業との共同でAR/MR(拡張/複合現実)グラスタイプのヘッドマウントディスプレイ向けモジュールを開発。
また、2019年2月には、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「シチズングループ中期経営計画2021」を策定しました。詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(3) 上記(2)の取組みについての取締役会の判断及びその理由
上記(2)の取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを直接目的とするものであり、結果として基本方針の実現に資するものです。従って、当該取組みは基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(注) 当社株式の大量取得行為に関する対応方針(買収防衛策)の非継続(廃止)について
当社は、2016年5月26日開催の取締役会において、会社法施行規則第118条第3号に定める当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を維持するとともに、当該基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(以下「本方針」という。)を更新することを決定し、同年6月28日開催の第131期定時株主総会において、株主の皆様のご承認を受けました。
しかしながら、2019年6月26日開催の第134期定時株主総会終結の時をもって本方針の有効期間が満了するにあたり、国内外の機関投資家をはじめとする株主の皆様のご意見や、買収防衛策を巡る近時の動向等、外部環境の変化を踏まえ、慎重に検討を重ねた結果、2019年5月28日開催の取締役会において、かかる有効期間満了をもって本方針を継続しないことを決定いたしました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 当社グループの各事業のリスクについて
当社グループは、時計、工作機械、デバイス、電子機器等の製造販売を主な事業とし、全世界で事業展開を行っております。そして、ユーザーは一般個人のほか、多種多様な製造業にまで広範囲に渡っております。従って、当社グループの業績は、多岐に渡る変動要因の影響を受けます。その要因の主なものは以下のとおりです。
時計事業
時計事業においては、ウオッチでは国内競合メーカーのほか、スイス高級腕時計メーカー、中国製普及価格帯時計メーカー、スマートウオッチメーカー等との競争も激しく、また、スマートフォン等の時計機能代替製品との競争も内在しております。ムーブメント事業においては、低価格帯を中心としたアナログクォーツ市場が減少傾向にあることや中国メーカーの台頭等に基因する競争環境の激化による単価下落の環境にあるため、数量減少及びシェア低下の危険性があります。
工作機械事業
工作機械事業は、景気サイクルや企業の設備投資需要の影響を受けやすく、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題等により世界経済は減速方向にあり、今後の業績に影響を与える可能性があります。
デバイス事業
デバイス事業は、技術革新が早く企業間競争も激しいことから、販売価格の下落や開発等の遅れ等が業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。精密加工部品においては、販売先であります自動車メーカーやスマートフォンメーカーの動向に影響を受けます。オプトデバイスにおいては、一部製品で特許実施許諾の契約を結んでおりますが、何らかの事情により提携関係が解消され、特許の実施許諾が受けられない状態になった場合、当事業に影響を与える可能性があります。
電子機器事業
電子機器事業は、景気変動による設備投資、個人消費の影響を受けやすく、また、国内競合メーカーはもとより、中国等の電子機器メーカーとの競争が激しく、技術革新が早いことから、販売価格の下落や開発等の遅れ等が業績に影響を与える可能性があります。
② 海外売上依存度について
当社グループの製品の売上高における海外比率は高く、また、全世界に販売されております。このため、各地域における景気・消費動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢が、同様に影響を及ぼす可能性があります。
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(単位:百万円) |
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(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
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売上高 |
構成比(%) |
売上高 |
構成比(%) |
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日本 |
105,259 |
32.9 |
108,463 |
33.7 |
|
|
アジア |
99,565 |
31.1 |
92,815 |
28.9 |
|
|
アメリカ |
61,472 |
19.2 |
62,983 |
19.6 |
|
|
欧州 |
50,754 |
15.9 |
54,862 |
17.1 |
|
|
その他 |
2,995 |
0.9 |
2,528 |
0.8 |
|
|
海外合計 |
214,787 |
67.1 |
213,189 |
66.3 |
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合計 |
320,047 |
100.0 |
321,652 |
100.0 |
③ 為替変動のリスクについて
上記②のとおり、当社グループの製品の売上高における海外比率は高いため、為替予約及び通貨オプション等によるリスクヘッジを行うとともに、海外生産の拡充・強化を推し進めておりますが、当社グループの業績は為替変動の影響を受けます。
④ 中国生産依存度について
中国は当社グループの製品における主な生産拠点の一つであり、中国において何らかのトラブルによる生産支障及び、生産に支障をきたすような規制等が実施された場合、または人民元が大幅に切り上げられた場合等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 減損損失について
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
⑥ 特許及びその他の知的財産について
当社グループが研究開発及び生産活動を行う中でさまざまな知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
特に一部製品において、特許実施許諾の契約を結んで製造を行っておりますが、何らかの事情により提携関係が解消され、特許の実施許諾が受けられない状態になった場合、当事業に影響を与える可能性があります。
⑦ 地震等の自然災害によるリスクについて
当社グループの本社・工場等の設備安全について火災・地震などの自然災害の発生時に、人的被害・工場などの設備破損が生じないよう、防災シミュレーション活動などを通じて管理体制の確立を行っております。しかしながら、想定以上の地震等が発生した場合、生産活動や商品供給に支障をきたしたり、復旧などにかかる費用などで業績及び財務状況に大きな影響が出る可能性があります。
⑧ M&A及び業務提携等に関するリスクについて
当社グループは、M&Aや業務提携等を通じた事業基盤の強化に取り組んでおります。これらを実行するにあたっては、対象企業の入念な調査、検討を行いますが、未認識債務の判明等や事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 借入金のリスクについて
当社グループの借入金の一部は、取引先金融機関とシンジケート・ローン契約及びコミットメント・ライン契約を締結していますが、これらの契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済請求を受けることがあり、当社グループの財務状態に影響を与える可能性があります。
⑩ その他のリスクについて
上記以外でも、当社グループの業績は、急激な技術革新等による社会インフラや市場競争状態の変化、当社グループの財務的・経営的状況の変動、国内外の主要市場における貿易規制等各種規制、移転価格税制等の国際税務リスク、株式市場や債券市場の大幅な変動により多様な影響を受けます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当期における国内経済は、個人消費に力強さを欠く状況が続いているものの、景気は緩やかな回復基調を維持しました。また、米国経済は各国との貿易をめぐる動向が懸念される中、設備投資と個人消費は堅調に推移しました。欧州経済は、通商上の緊張感や政治の不確実性が高まり、景気回復のペースは緩慢なものとなりました。アジア経済は、中国市場の一部で弱い動きも見られましたが、全体的に底堅く推移し、回復傾向を維持しました。
このような情勢のもと、当社グループは2013年2月に策定した中期経営計画「シチズングローバルプラン2018」の最終年度として、製造革新による収益力強化を図るとともに、真のグローバル企業を目指して、時計事業を中心に新たな成長戦略を推進してまいりました。
当期の連結業績は、売上高は3,216億円(前年同期比0.5%増)、営業利益は224億円(前年同期比10.1%減)となり、増収減益となりました。また、経常利益は266億円(前年同期比0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の計上に伴い133億円(前年同期比30.7%減)と、それぞれ減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(時計事業)
ウオッチ販売のうち、“CITIZEN”ブランドの国内市場は、高価格帯製品のうち「The CITIZEN」等が伸長したほか、中価格帯製品についても「xC」、「ATTESA」、「PROMASTER」等の主力製品が好調を維持し、売上を牽引しました。
海外市場においては、欧州市場に弱さが見られたものの、北米市場、中国・アジア地域が底堅く推移し、海外市場全体では増収となりました。北米市場は、デパートやジュエリーチェーンが復調の兆しを見せているほか、インターネット流通も継続して拡大し、「PROMASTER」やエコ・ドライブGPS衛星電波時計等の新製品が売上を伸ばしました。欧州市場は、政治不安の高まりが個人消費にも影を落とすなど、主要地域の多くで厳しい環境が続きました。アジア市場は、足下は景気の減速感に対する懸念が高まっているものの、期初からの好調な経済環境の後押しを受け、中国を中心に売上を伸ばしました。
マルチブランドについては、“Frederique Constant”ブランドが北米市場及びイタリアで一定の成果を上げたほか、“BULOVA”ブランドも主力市場である北米市場において新製品を中心に売上を伸ばし、マルチブランド全体では増収となりました。
ムーブメント販売は、依然として市場の回復に力強さを欠く厳しい環境が続く中、高付加価値商品の需要が伸び悩み、減収となりました。
なお、腕時計の生産規模は、前連結会計年度比1.1%減少し、約1,584億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、時計事業全体では、新製品の積極的な投入や広告宣伝投資の加速により完成品が持ち直したものの、ムーブメント市場の回復が想定に届かず苦戦を強いられた結果、売上高は1,635億円(前年同期比0.1%減)と減収となりました。営業利益においては、重点施策の一つである高価格帯製品が拡大しましたが、ムーブメント販売の低迷を補うには至らず、124億円(前年同期比23.1%減)と減益となりました。
(工作機械事業)
国内市場は、自動車関連のほか、医療、建機、住宅設備関連など幅広い業種で設備投資が堅調に推移し増収となりました。
米州市場は、高水準の受注からの反動による減速感が見られたものの、医療関連を中心に旺盛な設備投資が継続しました。
欧州市場は、政情不安等による先行き不透明感が強まる中、ドイツで自動車関連等が堅調に推移したほか、スイス、イタリアも好調を維持し、増収となりました。
アジア市場は、第2四半期までは自動車関連等を中心に堅調に推移していましたが、米中貿易摩擦の影響による買い控えの動きが強まり、横ばいとなりました。
なお、工作機械の生産規模は、前連結会計年度比10.6%増加し、約762億円(販売価格ベース)でありました。
以上の結果、工作機械事業全体では、国内外の好調な市況と当社グループの独自技術であるLFV(低周波振動切削)搭載機の販売増加が寄与し、売上高は721億円(前年同期比12.7%増)と大幅な増収となりました。営業利益においては、好調な市況を背景とした大幅な売上増を受け、130億円(前年同期比25.3%増)と、大幅な増益となりました。
(デバイス事業)
精密加工部品のうち、自動車部品は自動車市場の堅調な拡大を受け、エンジン部品が国内外で売上を伸ばしたものの、スイッチはスマートフォン市場の不振等により伸び悩み、精密加工部品全体では若干の増収となりました。
オプトデバイスのうち、チップLEDは、車載向けが売上を維持した一方で、照明向けは過熱する価格競争に追随せず、差別化製品の提案に注力したものの、オプトデバイス全体では減収となりました。
なお、オプトデバイスの生産規模は、前連結会計年度比11.8%減少し、約293億円(販売価格ベース)でありました。
その他部品は、水晶デバイスがスマートフォン市場の低迷等により勢いを欠く状況であったほか、強誘電性液晶マイクロディスプレイについても、主要市場であるデジタルカメラ市場の停滞が響き、その他部品全体で減収となりました。
以上の結果、デバイス事業全体では、主にオプトデバイスの落ち込みが響き、売上高は608億円(前年同期比7.3%減)と減収となりました。一方、営業利益においては、収益を重視した販売戦略に注力したものの、売上減を補うには至らず、25億円(前年同期比8.6%減)と減益となりました。
(電子機器事業)
情報機器は、POSプリンターは既存製品が伸び、バーコードプリンターにおいては新製品が好調に推移したものの、フォトプリンターのメディア及び本体の落ち込みが大きく、情報機器全体では減収となりました。
健康機器は、海外向けのうち、アジアや米州、中国向けが伸長しましたが、国内向けの不振を補うには至らず、減収となりました。
以上の結果、電子機器事業全体では、主力の情報機器の伸び悩み等を受け、売上高は193億円(前年同期比6.1%減)、営業利益は4億円(前年同期比14.6%減)と、減収減益となりました。
(その他の事業)
宝飾製品は、消費マインドに上向きの兆しが見られない厳しい環境が継続する中、市場在庫の整理を実施した影響等により、減収となりました。
以上の結果、その他の事業全体では、主に宝飾製品の伸び悩みにより、売上高は58億円(前年同期比4.5%減)、営業利益は1億円(前年同期比53.0%減)と、減収減益となりました。
② 目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、2019年3月期を最終年度とする中期経営計画「シチズングローバルプラン2018」において2019年3月期の目標営業利益を400億円、ROA(総資産当期純利益率)6.0%以上を確保することを主要な経営指標目標として定め、グローバル市場において求められる「価値」を継続して提供できる「真のグローバル企業」を目指しました。
当連結会計年度の営業利益は224億円、ROAは3.2%となり、時計事業を中心に成長に向けた販促活動や宣伝投資を加速させたものの、市場環境の変化を受け、苦戦を強いられました。一方、第二の柱として育成を図っていた工作機械事業は、売上高、営業利益共に過去最高を更新しました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことをしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、セグメント業績に関連付けて示しております。
(2)財政状態
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末に比べ40億円増加し、4,139億円となりました。資産の内、流動資産は、たな卸資産が76億円、受取手形及び売掛金が21億円増加した一方で、現金及び預金が52億円減少したこと等により、59億円の増加となりました。固定資産につきましては、繰延税金資産が22億円、機械装置及び運搬具が16億円、建設仮勘定が14億円増加した一方で、投資有価証券が60億円、のれんが43億円減少したこと等により、19億円の減少となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、短期借入金及び長期借入金が合わせて20億円、電子記録債務が7億円増加した一方で、未払法人税等が27億円減少したこと等により1億円増加し、1,463億円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ、利益剰余金が58億円、為替換算調整勘定が12億円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が37億円減少したこと等により38億円増加し、2,675億円となりました。
当連結会計年度末の現金及び預金は大きく減少しておりますが、これは、投資有価証券の売却による収入があった一方、時計事業と工作機械事業の在庫の増加と、設備投資による固定資産の購入による支出があったことが主な理由です。また、減損損失の計上によりのれんが大きく減少しております。
一方負債ではリファイナンスによる社債の償還と発行を行っております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度に比べ61億円減少し、当連結会計年度末には、845億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度と比べ126億円減少し198億円となりました。これは主にたな卸資産の増加額70億円、法人税等の支払額96億円等による減少要因がありました一方、税金等調整前当期純利益が192億円、減価償却費が139億円、減損損失が56億円となりましたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ119億円支出が増加し、198億円の支出となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入41億円、有形固定資産の売却による収入7億円等がありました一方、有形固定資産の取得による支出が193億円となりましたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度と比べ58億円支出が減少し、58億円の支出となりました。これは主に長期借入れによる収入50億円等がありました一方、長期借入金の返済による支出が37億円、配当金の支払額が74億円となりましたこと等によるものであります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は前年度より減少し、法人税等の支払額も増加したため、前年対比で大きく減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、積極的な設備投資により支出が増えたことに加え、前年度は大きな設備売却があったことから前年対比で投資活動による支出が大きく増加しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、増配により配当金の支払いによる支出が増えましたが、前年度は社債の償還があったことから前年度対比で支出が減少しております。また、当連結会計年度は、リファイナンスによる社債の償還と発行を行っております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び部品等の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。自己資金につきましては国内グループ会社間の資金効率を上げるためキャッシュマネージメントシステムを導入しております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入と債券市場からの社債等による調達を基本としております。
当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は52,485百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は84,533百万円となっております。
不測の事態に備えて、金融機関との良好な関係の維持に努めるとともに、複数の金融機関との間で合計20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
技術援助を受けている契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
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シチズン電子㈱ |
日亜化学工業㈱(注1) |
日本 |
白色LEDランプ |
特許実施許諾 |
2002年1月1日から 2008年12月31日まで (以降1年毎に自動延長) |
|
シチズン電子㈱ |
Cree, Inc. (注2) |
米国 |
LEDコンポーネント |
特許実施許諾 |
2017年10月1日から 2018年9月30日まで (疑義なしの場合、1年毎に自動延長) |
(注)1.ロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。
2.ロイヤリティを定額にて支払っております。
当社グループの研究開発活動は、グループ事業戦略に基づき、“市民に愛され市民に貢献する” という企業理念実現のため、将来を見据え、新たな顧客価値創出を担う研究開発体制を構築しております。
研究開発体制としては、研究開発センターが中央開発機能を持ち、経営方針に沿ってグループを俯瞰した研究開発を行っております。また、それぞれの事業に関わる製品開発、生産技術開発等は、時計事業の製品開発部門と技術開発部門、および各事業会社が担っております。
なお、研究開発費につきましては、各事業に配分できない基礎研究費用1,037百万円が含まれており、当連結会計年度中に投下した研究開発費は、
主な研究開発活動
①研究開発センターにおける研究開発活動
研究開発センターにおいては、当社のもつ基盤技術をより深化させるとともに、マーケティング活動にも力を入れ、新たな顧客を創造し続けることができる新技術・新製品の開発を行っております。また、グループ各社からの材料解析依頼や各種技術相談に応じることで、グループ研究開発活動の支援も行っております。
②時計事業
当社では、要素部品の小型化、高性能化により、小型化・薄型のムーブメントを実現し、シチズンブランドの主力商品であるエコ・ドライブのラインアップの強化を推し進めています。
光発電腕時計としての世界最高精度「年差±1秒」を持つエコ・ドライブ ムーブメント「Caliber 0100」を搭載した腕時計3モデルを、3月20日に発表いたしました。1918年の創業以来、常に時計の本質と新たな可能性を追求してきたシチズンは、「精度への挑戦」を重要課題のひとつに掲げてきました。創業から101年目にあたる2019年、より良い腕時計を提供していくという理念のもと、年差±1秒の世界最高精度のエコドライブムーブメント「Caliber 0100」を搭載したモデルを2019年秋に発売いたします。
また、スマートウオッチとしての機能性と腕時計としての美しさを兼ね備え、新たなIoTプラットフォームサービス『Riiiver』に対応したスマートウォッチ『Eco-Drive Riiiver(エコ・ドライブ リィイバー)』を3月8日に発表し、2019年秋に発売いたします。
また、表面硬化技術「デュラテクトMRK」の新色となる「デュラテクトMRKゴールド」を2月6日に発表いたしました。腕時計の表面を硬化し、腕時計をキズから守る表面硬化技術「デュラテクトMRK」に、今回上品な金色の「デュラテクトMRKゴールド」が追加されました。チタニウムの金属アレルギーを起こしにくい特長を守るため「デュラテクトMRKゴールド」ではガスで表面を金色に加工し、初めて耐メタルアレルギーの金色が実現しました。この「デュラテクトMRKゴールド」を採用した製品をメンズブランドの『アテッサ』や『プロマスター』で年内から発売予定です。
今後も、腕時計としての美しさと精度を追求し、グローバル展開を目指した環境に優しい「エコ・ドライブ」、「エコ・ドライブ電波腕時計」と、マニュファクチュール(自社一貫生産)としての実力を発揮した機械式時計の拡販に向け、表面処理・外装技術、精密加工技術、低消費電力技術、高感度受信技術、高密度実装技術、エネルギー源、通信技術の開発を継続し、「技術と美の融合」を実現していきます。
当事業に係わる研究開発費は
③工作機械事業
シチズンマシナリー㈱では、グローバル化と情報化の進展による顧客ニーズの多様化に対応する革新的なモノづくり『個の量産』を提唱し、事業を推進しています。
メインとなる製品ブランドとして、主軸台移動形自動旋盤の「Cincom」と、主軸台固定形自動旋盤の「Miyano」の2つの工作機械商品群を展開しています。また、切削加工において切りくずの絡みつきを解消するLFV(低周波振動切削)技術、及び3台もしくは4台分の単軸旋盤を1台に集約したMC20(Multi Station Machining Cell)は、『個の量産』のコンセプトから開発された今までにない革新的技術であり、国内外の業界紙及びLFVにおいては精密工学会からも表彰されるなど高い評価をいただいています。併せて、IoTを活用し多彩なソリューションを提供する「alkapplysolution(アルカプリソリューション)」も展開し、当社が蓄積した技術ノウハウ等を提供することで、お客さまの課題解決に役立てられています。
当事業に係わる研究開発費は
④デバイス事業
シチズン電子㈱では、技術開発機能と商品企画機能を統合した事業企画部門を新設し、要素技術開発と企画マーケティングとを緊密に連携させることで、独自の強みに基づいた高付加価値化・差別化製品の実現に向けて取り組んでおります。
二大重点事業の一つであるオプティカル事業については、近年の照明LED市場環境の変化を受けて、発光スペクトル調整技術・LED駆動回路技術・光学系や放熱系など器具組込の簡素化に寄与するモジュール化技術などをコアに据えた新製品開発を進めております。また、一般LED分野に向けては、今後の市場拡大が見込まれる3D空間認識分野向けに、新たな赤外発光デバイスとこれに組み合わせる光学素子・電気回路とを複合化した新たな光源デバイスパッケージの開発を進めております。
もう一つの重点事業であるスイッチ事業については、更なる高品質化・小型化に向けた取り組みに加え、新たな商品価値の付加・創造により、従来市場での地位強化を図るとともに、新規市場領域へ積極的に取り組んでおります。
シチズンファインデバイス㈱では、長年築き上げてきた独自の技術を活かして、事業拡大を図るべく、研究開発を行うとともに、市場ニーズを発掘して、新たな研究開発テーマを創出すべく、市場探索活動も積極的に行っております。
金属部品加工分野では、自動車部品を中心とした切削加工のほか、塑性加工、表面処理などを行うとともに、新たに高精度な穴加工を実現するための研削加工技術の開発にも取り組んでおり、金属部品加工分野における事業拡大に向けた動きを展開しています
水晶デバイス分野では、業界最小クラスの超小型水晶片の開発を行っております。表示デバイス分野では、強誘電液晶パネルを使用した高精細電子ビューファインダーの開発および製造技術の開発に取り組み、解像度において業界最高レベルのUXGA(0.5インチ・576万画素相当)、小型高解像度の720p(0.24インチ・276万画素相当)を電子ビューファインダー及び急速な市場拡大が期待されるヘッドマウントディスプレイなどウェアラブル用途向けに開発し、当分野でのシェア拡大を目指しております。
セラミックス部品の分野では、DVDや光通信用LD及び照明用LEDに使用される薄膜サブマウントの開発、小型軸受用セラミックス部品など、各種用途向けに継続した開発を行っており、新たにサイアロンを素材とした部品の開発にも取り組み始めています。
また、材料技術に超精密加工技術や薄膜技術などを融合させることで、高精度な微細加工部品の開発にも取り組んでいます。
センサの分野では、重要な戦略製品と位置付け、継続した開発を行っている燃焼圧センサにおいて、高温でも圧電性を失わないランガテイト結晶を用いることにより、自動車の燃焼効率向上という要求の実現を目指しております。また、スピンドルの絶対位置を光学的に検出し、高い分解能で出力する 高精度接触式変位センサの開発も行っております。
当事業に係わる研究開発費は
⑤電子機器事業
シチズン・システムズ㈱では、業務用プリンター製品及び健康機器製品を中心に開発を行っております。
プリンター関連のうち、POSプリンター、モバイルプリンターなどの小型プリンターは、モバイル端末普及により多様化する使用環境への対応を進めております。バーコードプリンターは、POSと技術共有が可能なミドルレンジを強化するための開発を進めております。フォトプリンターは、高付加価値製品のシリーズ化と多様化する市場要求に対応した新製品の開発に取り組んでおります。健康機器関連のうち、主力の体温計、血圧計は基本的機能の向上と操作性改善への取組みに加え、他社にない差別化された製品の実現に向けた開発に取り組んでおります。
当事業に係わる研究開発費は